しかしながら、上記特許文献1に記載された発明によれば、流体が通過可能な通り道(path)がネット又はメッシュの部位が形成されているため、かかる部位の形成工程が必要になるとともに、敷物自体の強度が低下する問題がある。
また、ネット又はメッシュ生地の開口部を通じて流体が通過するため、開口部以外の部位では効果的に放出されず、流体による効果が半減する問題がある。
詳細には、特許文献1によれば、特開2000−17300号公報を先行技術文献として紹介し、かかる先行技術文献に対して、特許文献1の段落(0007)に『しかしながら、天然ムートンの皮部や人工ムートンの裏地層等は、通気性を有していないために、熱やマイナスイオン等の健康補助成分を含んだ流体が皮部や裏地層等を通過して羊毛側(表面側)に流出することが遮断されてしまう。したがって、天然又は人工のムートンでは、皮部や裏地層等の流体遮蔽効果によって、皮部や裏地層等というムートンの裏面側で発生したマイナスイオンをムートンの表面側に運ぶことができないために、所望の健康補助効果を得ることができないという問題がある。』という問題乃至課題を指摘したうえで、特許文献1に記載された発明の『したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、流体が通過可能な、ムートンを用いた敷物を提供することであり、さらに、天然ムートンの皮部や人工ムートンの裏地層の側に配置された健康補助器材からのオゾン、熱、マイナスイオンあるいは水分等の健康補助成分を含んだ有益な流体がムートンの羊毛側に提供されることによって高機能化が図られる、ムートンを用いた敷物を提供することである(引用文献1の段落(0008))。』に至り、特許文献1に記載された発明が完成している。
かかる特許文献1の発明に至る過程を参酌すれば、開口部がない場合にはマイナスイオン効果(有益な流体)がムートン体の羊毛側に流動しないことが従来の問題点としてあげられており、それに対して開口部を積極的に設けるように発明されているため、特許文献1では『開口部を有すること』が発明の必須となる特徴的技術(本質的部分ないし発明の前提)を意味するものである。
よって、特許文献1に発明された発明では、開口部位の形成工程が必須になるとともに、開口部を形成する分だけ敷物自体の強度が低下する問題を避けることができず、致命的な問題となる。
特許文献2及び特許文献3には、マイナスイオン発生による効果が高い繊維シートが開示されているが、かかる繊維シートを内在させた敷物では、敷物内部にマイナスイオンが留まり、敷物の表面から外部への発散効果が制限される。
そこで、本発明においては、上記の様々な課題を解決し、ムートンの品質低下を防止し、かつムートンの拡散効果を利用したトルマリンによるマイナスイオン効果を最大限に発揮できる敷物及び蒲団を提供することを目的とする。
第1の発明は、開口部を有さないムートン体と、ベース材と、前記ムートン体と前記ベース材との間に介在された中間層と、が積層されて形成される敷物であって、前記ムートン体は、羊毛が密集した羊毛部と、前記羊毛が一度も切り離されない皮で構成された皮部と、を有し、前記中間層に、Al2O3、TiO3、BaO、BaTiO2の1種類又は2種類以上からなる焼結粉粒体とトルマリンの粉粒体とが、前記焼結粉粒体と前記トルマリンとの配合比率が、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%となるように混入され、前記皮から一度も切り離されないことに伴う前記羊毛の表面に形成された微細な隙間の開閉作用を利用して、前記トルマリンからのマイナスイオンを前記羊毛の前記隙間から大気中に放出させることを特徴とする。
第2の発明は、開口部を有さないムートン体と、ベース材と、前記ムートン体と前記ベース材との間に介在された中間層と、が積層されて形成される蒲団であって、前記ムートン体は、羊毛が密集した羊毛部と、前記羊毛が一度も切り離されない皮で構成された皮部と、を有し、前記中間層に、Al2O3、TiO3、BaO、BaTiO2の1種類又は2種類以上からなる焼結粉粒体とトルマリンの粉粒体とが、前記焼結粉粒体と前記トルマリンとの配合比率が、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%となるように混入され、前記皮から一度も切り離されないことに伴う前記羊毛の表面に形成された微細な隙間の開閉作用を利用して、前記トルマリンからのマイナスイオンを前記羊毛の前記隙間から大気中に放出させることを特徴とする。
第3の発明は、開口部を有さないムートン体と、ベース材と、前記ムートン体と前記ベース材との間に介在された中間層と、が積層されて形成される敷物であって、前記ムートン体は、羊毛が密集した羊毛部と、前記羊毛が一度も切り離されない皮で構成された皮部と、を有し、前記中間層は、Al2O3、TiO3、及びBaOを主成分とする焼結粉粒体とトルマリンの粉粒体とを含有するレーヨン繊維と、綿糸との混紡糸からなり、前記焼結粉粒体と前記トルマリンとの配合比率が、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%であり、混紡糸の配合比率が、レーヨン繊維20〜40重量%;綿糸80〜60重量%であり、前記皮から一度も切り離されないことに伴う前記羊毛の表面に形成された微細な隙間の開閉作用を利用して、前記トルマリンからのマイナスイオンを前記羊毛の前記隙間から大気中に放出させることを特徴とする。
第4の発明は、開口部を有さないムートン体と、ベース材と、前記ムートン体と前記ベース材との間に介在された中間層と、が積層されて形成される蒲団であって、前記ムートン体は、羊毛が密集した羊毛部と、前記羊毛が一度も切り離されない皮で構成された皮部と、を有し、前記中間層は、Al2O3、TiO3、及びBaOを主成分とする焼結粉粒体とトルマリンの粉粒体とを含有するレーヨン繊維と、綿糸との混紡糸からなり、前記焼結粉粒体と前記トルマリンとの配合比率が、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%であり、混紡糸の配合比率が、レーヨン繊維20〜40重量%;綿糸80〜60重量%であり、前記皮から一度も切り離されないことに伴う前記羊毛の表面に形成された微細な隙間の開閉作用を利用して、前記トルマリンからのマイナスイオンを前記羊毛の前記隙間から大気中に放出させることを特徴とする。
第1の発明によれば、ムートン体を身体の敷物とすることにより、ムートン体の吸湿性により身体からの汗(水分)が羊毛から吸収される。羊毛から吸収された汗(水分)は羊毛の内部で保持される。そして、羊毛の微細な隙間の開閉作用により羊毛内の水分が外部へ適宜放出される。これにより、ムートン体の羊毛の表面に形成された微細な隙間の開閉作用に伴う吸湿・発散作用を利用して、ムートン体の羊毛に蓄積された湿度が一定に維持され、ムートン体の清潔性及び耐久性が向上する。
なお、ムートン体では羊毛と皮とが一度も切り離されずに一体となって取得される。これにより、羊毛の微細な隙間の開閉作用が生じる。そして、後述するように、羊毛の微細な隙間の開閉作用により内部のマイナスイオン等が敷物の外部へ放出され、マイナスイオン等の放射効果が著しく高くなる。本明細書では、「ムートン体では羊毛と皮とが一度も切り離されずに一体となって取得される結果、羊毛の微細な隙間の開閉作用」を説明の便宜上、『羊毛の呼吸』と表現する。
また、羊毛が弾性力を有するらせん状構造を有しているため、使用者の身体の重さを羊毛で均等に支持することができ、身体に対する負担が軽減する。また、羊毛のラノリン効果により人肌に良い影響(美容効果)を与えることができる。
ムートン体と、ベース材と、トルマリンを含んだ中間層と、が積層されて一体に形成されているため、トルマリンから放出されたマイナスイオンは敷物の内部に保持されるため、敷物の内部におけるマイナスイオンの濃度が高くなる。羊毛の放湿性を利用して、羊毛を介して高濃度のマイナスイオンを効率良く、外部へ放出させることができる。
ここで、発明者らは、トルマリンからのマイナスイオンの発生をより効果的にするため、以下のように考えた。すなわち、敷物の中間層に、アルミニウム、チタン、バリウム系化合物の1種類又は2種類以上からなる焼結粉粒体と、トルマリンの粉粒体とを混入している。
上記焼結粉粒体とトルマリン粉粒体との混合体は、トルマリン単体の場合に比べ誘電率が大となって、高い電気的刺激効果が得られる。特に、熱や圧力を加えることにより、分極現象が高められる。よって、上記混合体を混入した敷物は、人体と接触・使用されることにより、誘電率が大となって、人体への電気的刺激効果が高められる。
また、上記焼結粉粒体は、人体が吸収し易い波長領域における赤外線のエネルギー放射率が高いので、血行が良くなって良好な保温効果が得られる。
さらに、上記焼結粉粒体は、人体の活性化に有効なマイナスイオンを発生するので、身体全体の電気の流れが良好となって回復に寄与する。
しかも、上記焼結粉粒体とトルマリン粉粒体との混合体は、消臭作用があり、特にアンモニア系成分に対して優れた消臭効果を発揮し、また抗菌作用も有している。
このとき、トルマリンおよび焼結粉粒体としては、粒径0.2〜20μm程度のものが好適に使用される。この粒径のものは、原料中に混入して繊維の紡糸が容易に行える。また、上記粒径のものは、トルマリンと焼結粉粒体が具有する上記各作用を効果的に発揮する。これらトルマリンおよび焼結粉粒体の粉砕化は、湿式または乾式など周知の方法で任意に行うことができる。
そして、以上のような混合体を中綿の繊維に混入することにより、健康保持又は健康増進効果が得られ、病院や一般家庭等で使用する敷物として最適となる。特に、上記混合体を混入したことにより敷物の全体が重量感に富むものとなって、使用時に身体に密着し、最適なものとなる。
なお、中間層として、アルミニウム、チタン、バリウム系化合物の1種類又は2種類以上からなる焼結粉粒体と、トルマリンの粉粒体とが混入された繊維からなる放射層を不織布などのシートを設け、このシートを布帛内に介入させてもよい。
このような敷物によっても、シートに設けた放射層により、上記と同様な作用効果が得られる。また、この場合、既成の敷物内にシートを組み込むことにより、健康保持又は健康増進効果に優れた敷物に容易に変えられる。さらに、布帛と中綿となる羽毛との間にシートを介入させることにより、羽毛独特の感触を損なうことなく、健康保持又は健康増進効果に優れた敷物とすることができる。つまり、第1発明のように焼結粉粒体とトルマリン粉粒体の混合体が混入された繊維を用い、これを羽毛間に介入させると、上記したような混合体による作用効果は得られるが、使用者が違和感をいだくおそれがある。
上記各発明で用いる焼結粉粒体は、Al2O3、TiO3、BaO、BaTiO2の1種類又は2種類以上とすることが好ましい。このような焼結粉粒体よれば、電気的刺激効果や赤外線効果が高められ、またマイナスイオンの発生率も高められて、健康保持又は健康増進効果に優れた敷物が得られる。
また、上記混合体の配合比率は、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%とすることが好ましい。このような配合比率とすれば、焼結粉粒体のトルマリンによる分極現象つまり誘電率が高められる。仮に、上記範囲を逸脱すると、十分な電気的刺激効果が得られず、また赤外線効果やマイナスイオンの発生効果も十分には得られず、健康保持又は健康増進用の敷物として最適な使用が行えなくなる。また、上記混合体は、繊維を紡糸し得る範囲で繊維中に自由に配合することができるが、繊維を容易に紡糸し、かつ繊維中の混合体の量を出来るだけ増大させて、所期の目的を十分に達成するためには、繊維に対する混合体の添加比率を、5〜15重量%程度とすることが好ましい。本願発明は、中間層には不織布からなる薄いシートが介装され、該シートの一面若しくは両面に、Al2O3、TiO3、BaO、BaTiO2の1種類又は2種類以上からなる焼結粉粒体とトルマリンの粉粒体とが、焼結粉粒体とトルマリンとの配合比率を、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%として混入された繊維からなる格子状開口を持つシート状の放射層が接合一体化されて設けられていることを特徴とする敷物である。
第2の発明の蒲団についても、第1の発明の敷物と同様の作用効果を得る。
第3の発明によれば、ムートン体と、ベース材と、トルマリンを含んだ中間層と、が積層されて一体に形成されているため、トルマリンから放出されたマイナスイオンは敷物の内部に保持されるため、敷物の内部におけるマイナスイオンの濃度が高くなる。羊毛の放湿性を利用して、羊毛を介して高濃度のマイナスイオンを効率良く、外部へ放出させることができる。
特に、中間層は、Al2O3、TiO3、及びBaOを主成分とする焼結粉粒体とトルマリンの粉粒体とを含有するレーヨン繊維と、綿糸との混紡糸からなり、焼結粉粒体とトルマリンとの配合比率が、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%であり、混紡糸の配合比率が、レーヨン繊維20〜40重量%;綿糸80〜60重量%である敷物である。
上記焼結粉粒体は、Al2O3、TiO3、及びBaOの3種類を主成分とすることが好ましい。このような焼結粉粒体によれば、電気的刺激効果や遠赤外線効果が高められ、またマイナスイオンの発生率も高められて、十分な治癒効果が得られる。
上記混合体の配合比率は、焼結粉粒体60〜40重量%;トルマリン40〜60重量%とすることが好ましい。このような配合比率とすれば、焼結粉粒体のトルマリンによる分極現象つまり誘電率が高められる。仮に、上記範囲を逸脱すると、十分な電気的刺激効果が得られず、また遠赤外線効果やマイナスイオンの発生効果も十分には得られず、毛布や敷物又はサポータなどとして最適な使用が行えなくなる。また、上記混合体は、繊維を紡糸し得る範囲で自由に配合することができるが、繊維を容易に紡糸し、かつ繊維中のトルマリンおよび焼結粉粒体の量を出来るだけ増大させて、所期の目的を十分に達成するためには、繊維に対する混合体の添加比率を、5〜15重量%程度とすることが好ましい。
第3の発明は、Al2O3、TiO3、及びBaOの3種類を主成分とする焼結粉粒体とトルマリンの粉粒体を混入した繊維と、綿糸との混紡糸から形成している。
以上のような混紡糸で敷物を作ることにより、上記の優れた効果が得られながら、敷物全体の肌ざわり感が良好となって、最適なものとなる。
なお、より最適なものとするためには、混紡糸の配合比率を、焼結粉粒体とトルマリンの混入繊維20〜40重量%;綿糸80〜60重量%とする。このとき、混入繊維の配合比率を20重量%以下とし、綿糸の配合比率を80重量%以上にすると、肌ざわり感は良好となるものの、トルマリンと焼結粉粒体を添加したことによる所期の目的が得られ難くなる。一方、混入繊維の配合比率を40重量%以上とし、綿糸の配合比率を60重量%以下にすると、トルマリンと焼結粉粒体による効果は向上するものの、肌ざわり感が悪くなってしまう。
第4の発明の蒲団についても、第3の発明の敷物と同様の作用効果を得る。
以下、本発明の一実施形態に係る敷物について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、敷物として、「トルマリン素材含有敷物」を一例にあげて、説明する。
本発明の「敷物」とは、座布団、シート、カバー、足ふきなどとして、身体の一部に敷くもの、又は身体にかけるものの用途で用いる意味である。
本発明は、蒲団の用途で用いることもできる。蒲団の説明については、用途が異なるだけの敷物と同じになるため、省略する。
[1.トルマリン素材含有敷物の全体構成]
図1に示すように、本発明のトルマリン素材含有敷物10は、ムートン体12と、ベース材14と、ムートン体12とベース材14との間に介在されトルマリン素材16A1を含んだ中間層16と、が積層されるとともに周囲の縁部付近における縫製等により、例えば一体に形成されている。なお、中間層16は、ベース材14と同じ材質又は異なる材質のもので一体的に形成されていてもよい。
換言すれば、トルマリン素材含有敷物10は、ムートン体12とベース材14と中間層16の3層が縫製により縫い部18で一体に形成されている。
ムートン体12は、天然のものであり、複数本の羊毛12A1が密集した羊毛部12Aと、羊毛12A1が一度も切り離されない皮12B1で構成された皮部12Bと、を有している。このため、本発明のムートン体12は、羊毛12A1と皮12B1とが一度分離された後、相互に縫い合わされて人工的に形成されたムートン体とは明確に異なり、羊毛12A1と皮12B1との境界の細胞が分断されず、天然のままで維持される。
なお、ムートン体12は、特許文献1に示すような開口部を有しておらず、連続的かつ一体的なものとなる。
羊毛12A1と皮12B1は、両者を切り離さずに羊又は子羊から取得したものである。ゆえに羊毛12A1と皮12B1との間は分断されておらず、細胞が連続したものとなっている。これは羊毛12A1の毛根がいわゆる生きた状態と表現することもでき、羊毛12A1のいわゆる呼吸が維持されているともいえる。
換言すれば、羊毛12A1の表面には微細な隙間が複数形成されている。毛根がいわゆる生きた状態であるからこそ、羊毛12A1の微細な隙間の開閉作用が維持される。これにより、大気中の水分が羊毛12A1に吸湿され、または羊毛12A1の内部の水分が大気中に放出される。なお、羊毛12A1の微細な隙間の開閉作用の詳細については後述する。
ベース材14は、シート状に形成された裏地であり、ポリビニル、ポリアミド、ポリエステルなどの素材、あるいはそれらの混合素材等、既知の合成樹脂素材や天然素材を使用することができる。
中間層16は、トルマリン素材16A1を含んでいる。詳細には、中間層16は、トルマリン素材16A1を含むトルマリンシート16Aが綿16B1で構成された綿シート16Bに縫製され、縫い部18において一体に形成されている。
ここで、トルマリン素材16A1が綿シート16B上に平面視にてほぼ均一に分布するように配置されている。綿シート16B上にトルマリン素材16A1を敷き詰めた層である。
トルマリン素材16A1は、各種の素材を採用することができるが、好ましい一例としては、トルマリン鉱石を混在させた繊維状または薄幕状の素材からなるものである。
なお、図2に示すように、トルマリン素材含有敷物10は、所定の寸法に形成された方形状のものであるが、複数のトルマリン素材含有敷物10をマジックテープ(登録商標)等の連結手段で連結させて大きさを調整することができる。このため、トルマリン素材含有敷物10は、座布団、寝具としての蒲団、敷布団、足マットなど様々な用途に利用することができる。
トルマリン素材16A1は、縫い部18を基準として内面側に位置していることが好ましい。これにより、トルマリン素材16A1から発生したマイナスイオンが縫い部18を基準として内側(内部側)に充満する。この結果、トルマリン素材含有敷物10の内部に充満されたマイナスイオンの濃度が高くなり、高濃度のマイナスイオンが羊毛12A1の微細な隙間から大気中へ放出され、マイナスイオン効果が高くなる。
また、トルマリン素材16A1は、羊毛12A1の毛根(図示省略)の近傍、詳細には羊毛12A1の毛根の鉛直下方側に配置されていることが好ましい。これにより、トルマリン素材16A1から発生したマイナスイオンが羊毛12A1の毛根に浸入し易くなり、この結果、羊毛12A1の表面の微細な隙間から大気中に拡散され易くなる。
[2.トルマリン素材含有敷物の作用効果]
次に、本発明の敷物の一実施形態に係るトルマリン素材含有敷物10の作用について説明する。
図1に示すように、トルマリン素材含有敷物10を利用することにより、使用者は、ムートンによる効果が得られる。すなわち、ムートン体12の吸湿性と放湿性により肌触りの良い感覚を使用者に与えることができる。使用者の身体から出た汗(水分)は、ムートン体12の羊毛12A1から吸湿される。これにより、使用者は、爽やかな使用感が得られる。
羊毛12A1から吸収された汗(水分)は、羊毛12A1の微細な隙間の開閉作用により、複数の隙間を通して、適宜、羊毛12A1(の内部)から大気中に放出される。このため、羊毛12A1内の湿度が一定に維持され、耐久性が向上する。このように、羊毛12A1の吸湿性と放湿性により、トルマリン素材含有敷物10の使用時における心地良さと耐久性が向上する。また、トルマリン素材含有敷物10の肌触りが良くなり、清潔性が増す。
また、羊毛12A1がらせん状に巻回されているため、使用者の身体がバランス良く均等に支持される。これにより、使用者の身体に対する負担が軽減され、使用感が高くなる。また、羊毛12A1のラノリン効果により人肌に良い影響を与えることができる。
さらに、トルマリン素材含有敷物10は、トルマリン素材16A1から発生するマイナスイオン効果を使用者に与えることができる。ここで、ムートン体12の羊毛12A1は皮12B1と切離さずに一体となっている。このため、大気の湿度に応じて、羊毛12A1の表面上にある隣接したキューティクル間から微細な隙間が開き、羊毛12A1内に保持された水分が大気中に放出され、または大気中の水分が羊毛12A1の内部に浸入する。この羊毛12A1の呼吸現象により、羊毛12A1の吸湿性と放湿性が機能にして羊毛12A1内の湿度が一定に維持される。
[2−1.羊毛の表面状態]
詳細には、図4に示すように、羊毛12A1は、我々の皮膚やツメと同じように蛋白質の細胞からできており、1本の繊維の断面を拡大すれば、表皮部と、皮質部(コルテックス)から成り立っている。羊毛12A1の表皮部は、屋根瓦のようにウロコ状に重なり合っている。このウロコをスケールといい、スケールは規則正しく毛先の方向に突出している。
図4の右側は、皮膚などから発生する汗(水分)にウールが反応してスケールが開いた状態である。外部の湿度に応じて、スケールが自在に開閉し、外部の湿気を吸収したり、又は内部の湿気を放出することができる。このように、スケールの開閉動作を羊毛12A1の呼吸といい、これは血流が動力源となって発生しているものではなく、羊毛12A1と皮12B1を一度も切断・分離させたことがない状態において奏されるスケールの開閉動作に基づくものである。
[2−2.羊毛表面の詳細構造]
図5に示すように、1本の羊毛(ウール)12A1を拡大すれば、異なる細胞から成る2種類の領域(AコルテックスとBコルテックス)を張り合わせたような構造になっており、双方の性質の違いが、ウールの縮れと弾力性を生んでいる。
[2−3.羊毛表面の微細な隙間の開閉原理]
図6に示すように、羊毛12A1の場合、スケール間に微細な隙間があり、血流の有無ではなく、外部の湿度等の環境条件に応じてスケールが反応することで微細な隙間が開閉する。これにより、表皮部では、湿気は微細な隙間を通過して内部に浸入することができるが、水滴は微細な隙間から浸入することはできず、弾かれる。これも羊毛12A1の性質である。
[2−4.特有の効果]
図1、図4、図5及び図6に示すように、トルマリン素材16A1から発生したマイナスイオンは、羊毛12A1の微細な隙間の開閉動作に伴って、羊毛12A1の表面の微細な隙間から大気中に放出される。すなわち、トルマリン素材16A1から発生したマイナスイオンは、各羊毛12A1の隙間の開閉作用に合わせて、羊毛12A1の内部から大気中へ放出される。
特に、羊毛12A1が複数本存在し、各羊毛12A1には複数の微細な隙間が自在に開閉するため、各羊毛12A1の隙間の開閉作用によりマイナスイオンの高い拡散効果が実現される。
ここで、使用者がトルマリン素材含有敷物10を敷いている場合には、羊毛12A1が使用者の身体に絡みついて接触又は密着し、その接触面積が大きくなる。マイナスイオンは、羊毛12A1と身体との接触を介してより効率的に身体の内部に取り込まれるため、使用者により多くのマイナスイオンを供給することができる。
これに対して、例えば特開2008−295850号公報に記載された発明では、羊毛ではなく、開口部を有するネット又はメッシュ生地からマイナスイオンが放出されることを意図しているため、使用者の身体が羊毛で支持された構成では、ネット又はメッシュ生地の部位が身体には接触しない。このため、マイナスイオンがネット又はメッシュ生地から大気中に放出されてしまう問題がある。
マイナスイオンが大気中に放出され大気中のマイナスイオンが身体に及ぼす影響と、羊毛と身体とが接触して羊毛から身体にマイナスイオンが直接供給される影響と、を比較すれば、後者の身体に対するマイナスイオンの吸収率が格段に高くなる。本願は、羊毛12A1の微細な隙間の開閉作用を利用してマイナスイオンが放出される構成を採ることで、使用者がトルマリン素材含有敷物10を敷いている場合には、身体に対するマイナスイオンの吸収率を高める格別の効果がある。
また、例えば特開2008−295850号公報に記載された発明のように、布等によるマイナスイオンの遮断を阻止しマイナスイオンを放出し易くするという目的のために、開口部を有するネット又はメッシュ生地を設けた構成では、耐久性が低下するばかりか、敷物内部に充満するマイナスイオンがネット又はメッシュ生地から大気中に逃げてしまい、敷物内部におけるマイナスイオンの濃度が低下する問題がある。
これに対して、本願は、ムートン体12とベース材14と中間層16とが積層され縫製により一体的に形成されているため、中間層16に含まれているトルマリン素材16A1から発生したマイナスイオンが各層12、14、16と縫い部18により形成された領域に閉じ込められる。このため、トルマリン素材含有敷物10の内部のマイナスイオン濃度が極大化する。そして、高濃度のマイナスイオンは、羊毛12A1の微細な隙間の開閉動作を介して羊毛12A1の内部から外部に放出される。このため、羊毛12A1と使用者の身体が接触していれば、羊毛12A1から高濃度のマイナスイオンが使用者の身体内に効率良く取り込まれるため、マイナスイオン効果が極めて高くなる。
また、トルマリン素材含有敷物10の中間層16は、トルマリン素材16A1を含んだトルマリンシート16Aが綿シート16Bに縫い部18により固定されて構成されているため、トルマリンシート16Aが綿シート16Bに対して位置ずれしない。このため、トルマリン素材16A1が綿シート16B上に平面視にて均一に分布された状態が維持され、マイナスイオンの放出むらを防止できる。
また、トルマリン素材含有敷物10の平面視における縁部には縫い部18により各層間において密着固定されているため、トルマリン素材16A1から発生したマイナスイオンは、トルマリン素材含有敷物10の各積層面から外部に漏えいし難い。換言すれば、トルマリン素材含有敷物10の内部には、マイナスイオンが高濃度で充満している。このマイナスイオンは、羊毛12A1の毛根から羊毛12A1の内部に浸入し、羊毛12A1の微細な隙間の開閉作用に伴って羊毛12A1の表面の微細な隙間から放出されるため、マイナスイオンの放出量が極大化する。
特に、羊毛12A1は複数本の束になっているため、各羊毛12A1から大気中にマイナスイオンが放出されると、マイナスイオンの拡散効果が得られ、トルマリン素材含有敷物10の使用者に対して大量のマイナスイオンが供給される。
ここで、羊毛12A1内に水分が保持されている場合には、マイナスイオンが水分と共に羊毛12A1から大気中に放出される。これにより、適度な湿度の環境下において、ミスト効果とマイナスイオン効果が得られ、爽快感と美容効果が実現される。
特に、羊毛12A1から吸収された使用者の汗がトルマリン素材16A1と反応してヒドロキシルイオンというマイナスイオンが生成され、このマイナスイオンが使用者の皮膚や呼吸によって体内に吸収される。また、人体の皮膚の中でも特に誘電性の高い「ツボ」の部分から血液などの体液に吸収される。これにより、マイナスイオン効果が高くなる。
また、皮12B1を通してもマイナスイオンが放出され、羊毛12A1からのマイナスイオンの拡散効果と相まってマイナスイオンの供給量が大幅に増大する。これによっても、マイナスイオン効果が高くなる。
また、トルマリン素材16A1は、独特な結晶構造から乾電池のようにプラスとマイナスの電極を持ち、微弱電流が発生する。この電流は、0.06ミリアンペアであり、人体に流れている生体電流と同じである。これにより、使用者の身体の細胞を活性化させることができる。
トルマリン素材16A1から6ミクロン〜14ミクロンの波長の遠赤外線が放出される。これにより、使用者の身体を深部から暖めることができる。
さらに、トルマリン素材含有敷物10の製造方法によれば、羊毛12A1の呼吸を利用してトルマリン素材16A1からのマイナスイオンを羊毛12A1の表面の微細な隙間から大気中に放出させるように、ムートン体12と中間層16とベース材14とが積層されて縫製により一体に形成されるため、マイナスイオンの放出効果を向上させつつ、トルマリン素材含有敷物10を容易に製造できる。
詳細には、ムートン体12とトルマリン素材16A1を含んだ中間層16とベース材14とが積層されて縫製により一体に形成されることにより、トルマリン素材16A1がムートン体12の下面側に位置し、固定される。これにより、羊毛12A1の毛根の近傍にトルマリン素材16A1が位置するため、トルマリン素材16A1から発生したマイナスイオンが羊毛12A1の毛根から羊毛12A1の内部に浸入し、羊毛12A1の微細な隙間の開閉作用により、水分とともに大気中に放出・拡散される。このように、トルマリン素材含有敷物10を容易に製造できるとともに、マイナスイオンの拡散効果を高めることができる。
[3.トルマリン素材含有敷物の積層構造の変形例]
次に、本発明の一実施形態に係るトルマリン素材含有敷物の積層構造の変形例について説明する。なお、上記実施形態のトルマリン素材含有敷物と重複する構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
図3に示すように、変形例に係るトルマリン素材含有敷物10は、ムートン体12の皮部12Bの下面に、ラジウムシート20と、トルマリンシート16Aと、ウレタン層22と、固わた層24と、ベース材14とが順に積層された構成である。
なお、トルマリン素材含有敷物10の各層は、縫製により縫い部18において一体に形成されている。
本発明の「中間材」は、変形例において、ラジウムシート20と、トルマリンシート16Aと、ウレタン層22と、固わた層24と、を含めた概念である。
変形例のトルマリン素材含有敷物10においても、各層が縫製により一体に形成されている。
変形例によれば、トルマリン素材含有敷物10にラジウムシート20が含まれているため、ラジウムシート20から放出される微量放射線が身体に細胞の活性化に機能し若返り効果、あるいは所謂ホルミシス効果が得られる。
[4.トルマリン素材含有敷物の中間層の変形例]
次に、本発明の一実施形態に係るトルマリン素材含有敷物の中間層の変形例について説明する。なお、上記実施形態のトルマリン素材含有敷物と重複する構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
[4−1.トルマリン素材含有敷物の中間層の第1変形例]
中間層16として、例えば繊維径1.5〜6.0デニールで繊維長38〜60mmのポリエステル繊維を用いる。そして、上記中間層16を、下記する各実施例のようにして作る。なお、中間層16の周囲を布帛(図示省略)により包み込んでいる。
実施例1;トルマリン(粒径5μm)の40重量%と、BaTiO2を主成分とする焼結粉粒体(粒径5μm)の60重量%とからなる混合体を、原料中に5重量%混入してポリエステル繊維を紡糸し、これにより、上記中間層16を作った。
実施例2;トルマリン(粒径15μm)の50重量%と、Al2O3、TiO3、BaOを主成分とする焼結粉粒体(粒径15μm)の50重量%とからなる混合体を、原料中に15重量%混入してポリエステル繊維を紡糸し、これにより、上記中間層16を作った。
実施例3;トルマリン(粒径8μm)の60重量%と、BaTiO2を主成分とする焼結粉粒体(粒径8μm)の40重量%とからなる混合体を、原料中に10重量%混入してポリエステル繊維を紡糸し、これにより、上記中間層16を作った。
なお、上記実施例1〜3においては、トルマリンとして、ショール(Schorl)を用いた。
次に、上記実施例1〜3で使用した混合体の作用効果を調べるため、この混合体とその比較例であるトルマリン単体について、それぞれ誘電率、誘電正接、放射率(全エネルギーと全放射率)、赤外線放射量を測定した。その結果は、図7に示す。なお、図7は、実施例2の混合体を使用したときのデータである。また、実施例1、3の混合体を使用する場合も、図7とほぼ同一の作用効果が得られる。
図7に示すように、本発明で用いる混合体は、トルマリン単体に比べて、誘電率と誘電正接及び赤外線放射量の何れもが優れている。また、放射率については、混合体とトルマリン単体との差は殆どないが、後述するように、放射の発生領域が異なり、混合体の場合は、人体が吸収し易い領域で放射量が多くなる。
ここで、誘電率と誘電正接についての測定試験は、混合体とトルマリン単体を20mmφ、2mm厚に圧縮成形して試験片として用いた。また、試験は、インピーダンス/ゲイン・フェイズアナライザー4194A(HEWLEFTT PAKARD社製)を用い、電極外径20mmφ、測定周波数1MHZ、試験温湿度23℃、50%RHで行った。
エネルギーの放射率についての測定試験は、混合体とトルマリン単体を20mmφ、2mm厚に圧縮成形して試験片として用いた。また、試験は、IFS−113V(Bruker社製 FT−1R)を用い、波長領域2〜100μ、試験温度40℃で行った。なお、図7の放射率の項目には、理想黒体のデータも示している。
赤外線放射量(ファブリック)についての試験は、混合体とトルマリン単体を50×50mmの両面テープに接合して試験片として用いた。また、試験は、サーモグラフィー(NEC三栄社製)を用い、与熱時間15分、温度36℃、検出波長8〜13μ、試験温湿度23℃、50%RHで行った。
図8は、縦軸にRelative emissivity(放射率、%)を、横軸にWavelength(波長、μm)をとった上記混合体の放射率スペクトルを示している。また、図9は、比較例としてトルマリン単体の放射率スペクトルを示している。これらの各図から明らかなように、人体が吸収し易い7〜12μm領域での放射率スペクトルが高い。
図10は、縦軸にWatt×m-2×μm-1(熱エネルギー)を、横軸にWavelength(波長、μm)をとった上記混合体と理想黒体の発光エネルギー分布を示している。また、図11は、比較例としてトルマリン単体と理想黒体の発光エネルギー分布を示している。これらの各図から明らかなように、人体が吸収し易い7〜12μm領域において、発光エネルギー分布の曲線が理想黒体の曲線に近づき、上記領域での発生エネルギー量が多い。
以上のことから、上記各実施例による中間層16を使用した場合、その内部に混入したアルミニウム、チタン、バリウム系化合物を主成分とする焼結粉粒体とトルマリン粉粒体との混合体により、人体が吸収し易い波長領域でのエネルギー放射率が高い赤外線特性を具有していることが理解できる。つまり、波長7〜12μmの領域において、約30〜36Watt×m-2×μm-1のエネルギーを放射する赤外線特性を具有する。よって、上記中間層16を用いた敷物10とすることにより、血行が良くなって良好な保温効果が得られる。
また、上記中間層16は、誘電率及び誘電正接が大きいので、高い電気的刺激効果が得られる。特に、敷物10を使用するとき、これが人体により加温されたり、又は圧力が加えられると、誘電率がさらに高められるので、人体への電気的刺激効果がより高められる。
さらに、上記混合体はマイナスイオンを発生するので、これが混入された中間層16ひいては敷物10を使用することにより、身体全体の電気の流れが良好となって人体の活性化に有効となる。しかも、上記混合体は、アンモニア系成分に対して優れた消臭効果を発揮し、また抗菌作用も有しているので、これが混入された中間層16ひいては敷物10は、家庭だけではなく、病院などで看護用として使用するものとして最適となる。
中間層16とその表面を覆う布帛との間に例えば綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステルなどの不織布からなる薄いシートを介装してもよい。そして、このシートの一方側表面には、上記各実施例で用いた焼結粉粒体とトルマリン粉粒体の混合体が混入された繊維からなる格子状開口をもつシート状の放射層(図示省略)を接合一体化させる。この放射層は、例えば上記シートと同様に不織布により形成する。このようにすれば、シートと放射層の強固な接合一体化が容易に行える。上記放射層は、全面を盲状としてシートの全面に接合してもよく、また放射層は、シートの表裏両面に接合させてもよい。さらに、放射層は、片状としてシートの表裏両面又は一方の面に点在状に設けることもできる。また、シートは、不織布に限らず布などを用いることもできる。
これによれば、中間層16とその表面の布帛との間に上記シートを介装させることにより、健康保持又は健康増進効果に優れたものに容易に変えられる。
[4−2.トルマリン素材含有敷物の中間層の第2変形例]
実施例4;先ず、トルマリン(平均粒径0.9μm)の40重量%と、BaTiO2を主成分とする焼結粉粒体(平均粒径0.5μm)の60重量%とからなる混合体を、原料セルロースに対し10重量%混入してレーヨン繊維を紡糸した。次に、上記で得られた繊維の20重量%と綿糸80重量%の混紡糸を作製し、この混紡糸を用いて中間層16を製造した。
実施例5;先ず、トルマリン(平均粒径0.9μm)の50重量%と、Al2O3、TiO3、BaOを主成分とする焼結粉粒体(平均粒径0.9μm)の50重量%とからなる混合体を、原料セルロースに対し10重量%混入してレーヨン繊維を紡糸した。次に、上記で得られた繊維の40重量%と綿糸60重量%の混紡糸を作製し、この混紡糸で中間層16を製造した。
実施例6;先ず、トルマリン(平均粒径0.9μm)の60重量%と、BaTiO2を主成分とする焼結粉粒体(粒径1μm)の40重量%とからなる混合体を、原料セルロースに対し10重量%混入してレーヨン繊維を紡糸した。次に、上記で得られた繊維の30重量%と綿糸70重量%の混紡糸を作製し、この混紡糸で中間層16を作った。
なお、上記実施例4〜6においては、トルマリンとして、ショール(Schorl)を用いた。
次に、上記実施例4〜6で使用した混合体の作用効果を調べるため、この混合体とその比較例であるトルマリン単体について、それぞれ誘電率、誘電正接、放射率(全エネルギーと全放射率)、遠赤外線放射量を測定した。その結果は、図7に示す。なお、図7は、実施例5の混合体を使用したときのデータである。また、実施例4、6の混合体を使用する場合も、図7とほぼ同一の作用効果が得られる。
図7から明らかなように、本発明で用いる混合体は、トルマリン単体に比べて、誘電率と誘電正接及び遠赤外線放射量の何れもが優れている。また、放射率については、混合体とトルマリン単体との差は殆どないが、後述するように、放射量の発生領域が異なり、混合体の場合は、人体が吸収し易い領域で多量の放射量が発生する。
ここで、誘電率と誘電正接についての測定試験は、混合体とトルマリン単体を20mmφ、2mm厚に圧縮成形して試験片として用いた。また、試験は、インピーダンス/ゲイン・フェイズアナライザー4194A(HEWLEFTT PAKARD社製)を用い、電極外径20mmφ、測定周波数1MHZ、試験温湿度23℃、50%RHで行った。
エネルギーの放射率についての測定試験は、混合体とトルマリン単体を20mmφ、2mm厚に圧縮成形して試験片として用いた。また、試験は、IFS−113V(Bruker社製 FT−1R)を用い、波長領域2〜100μ、試験温度40℃で行った。なお、図7の放射率の項目には、理想黒体のデータも示している。
遠赤外線放射量(ファブリック)についての試験は、混合体とトルマリン単体を50×50mmの両面テープに貼り付けて試験片として用いた。また、試験は、サーモグラフィー(NEC三栄社製)を用い、与熱時間15分、温度36℃、検出波長8〜13μ、試験温湿度23℃、50%RHで行った。
図8は、縦軸にRelative emissivity(放射率、%)を、横軸にWavelength(波長、μm)をとった上記混合体の放射率スペクトルを示している。また、図9は、比較例としてトルマリン単体の放射率スペクトルを示している。これらの各図から明らかなように、人体が吸収し易い7〜12μm領域での放射率スペクトルが高い。
図10は、縦軸にWatt×m-2×μm-1(熱エネルギー)を、横軸にWavelength(波長、μm)をとった上記混合体と理想黒体の発光エネルギー分布を示している。また、図11は、比較例としてトルマリン単体と理想黒体の発光エネルギー分布を示している。これらの各図から明らかなように、人体が吸収し易い7〜12μm領域において、発光エネルギー分布の曲線が理想黒体の曲線に近づき、上記領域での発生エネルギー量が多い。
以上のことから、上記各実施例による中間層16を用いた場合、これに混入したアルミナ、チタン、バリウム系化合物を主成分とする焼結粉粒体とトルマリン粉粒体との混合体により、人体が吸収し易い波長領域でのエネルギー放射率が高い遠赤外線特性を具有していることが理解できる。つまり、波長7〜12μmの領域において、約30〜36Watt×m-2×μm-1のエネルギーを放射する遠赤外線特性を具有する。よって、上記敷物10を使用することにより、血行が良くなって良好な保温効果が得られる。
また、上記各中間層16は、誘電率が大きくて、高い電気的刺激効果が得られる。特に、敷物10を使用したとき、これが人体により加温されたり、又は圧力が加えられると、誘電率がさらに高められるので、人体への電気的刺激効果がより高められる。
さらに、上記混合体はマイナスイオンを発生するので、これを混入した各敷物10を使用することにより、身体全体の電気の流れが良好となって人体の活性化に有効となる。しかも、上記混合体は、アンモニア系成分に対して優れた消臭効果を発揮し、また抗菌作用も有しているので、これを混入した敷物10は病院などで使用するものとして最適となる。
なお、上記説明したトルマリン素材含有敷物10の各構成要素は、本発明の一形態を例示したものに過ぎず、当業者が容易に想到できる程度の変形等は、本発明の範囲に含まれるものである。