JP2019207342A - 観察光学系及びそれを有する観察装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アイレリーフが長く大瞳径で且つ広画角の画像を提示しながら、薄型に構成した小型・軽量の観察光学系を得ること。【解決手段】 画像表示面に表示された画像を観察するための観察光学系であって、観察光学系は、観察面側から画像表示面側へ順に、半透過反射面よりなる第1面、半透過反射面よりなる第2面、透過面よりなる第3面より成り、第1面と第2面の間および第2面と第3面はそれぞれ屈折率が1より大きい媒質で満たされており、観察面から画像表示面側へと光路をとったとき、観察面からの光束は順に、第1面を透過、第2面で反射、第1面で反射、第2面を透過、第3面を透過し、画像表示面に入射し、第2面は観察面側に凹形状、第3面は観察面側に凸形状であることを特徴としている。【選択図】 図1

Description

本発明は、画像表示素子に表示された画像を拡大虚像として提示するヘッドマウントディスプレイ(HMD)等の観察装置に好適な観察光学系に関する。特にアイレリーフが長く大瞳径で観察しやすく広画角の画像を観察することができ、且つ眼前の画像光学素子が小型で全長が薄い観察光学系に関する。
HMD等の観察装置では、臨場感を増すために画像表示素子の画像情報を広画角で観察できることが望まれている。また、頭部装着するために全系が小型・軽量であること、頭部装着時のモーメントを低減するために薄型であること等も望まれている。
更に、装着時にすぐ良好な画像が観察できる面、中心から周辺までの観察時の眼球回転によるケラレや光学性能劣化の抑制面、メガネ使用の観察者に対応できる面などから、大瞳径、ハイアイポイント(アイレリーフが長い)ことも望まれている。
従来、広視野で小型化を図った観察光学系が知られている。特許文献1の小型コリメーター装置において、図2に示される光学系は、観察者側の平凸レンズの両面を半透過反射面とし、平凹レンズとの境界である曲面で接合されたレンズ構成となっている。また、偏光を適宜利用することによって平凸レンズ内で2つの半透過反射面間を往復した光を選択的に瞳に導くことを容易としている。
特開2000−275566号公報
従来、観察光学系には、アイレリーフが長く大瞳径で且つ広画角の画像を提示しつつ、観察光学系を薄型に構成することが要望されている。
一般に、観察光学系において、アイレリーフが長く大瞳径で且つ広画角の画像を提示しようとすると、瞳から像面(表示面)への逆光線追跡で全反射が生じてくる。このためアイレリーフが長く、瞳径が大きく、かつ広画角化を図るのは大変困難である。また、アイレリーフと同程度の曲率半径を有する曲率の強いレンズ面を用いると、中心肉厚が薄くても周辺まで含めた光学系全体は厚くなってしまい、全系が大型化してくる。
本発明は、アイレリーフが長く大瞳径で且つ広画角の画像を提示しながら、光学系の薄型化及び全系の小型・軽量化が容易な観察光学系及びそれを有する観察装置の提供を目的とする。
本発明の観察光学系は、画像表示面に表示された画像を観察するための観察光学系であって、前記観察光学系は、観察面側から画像表示面側へ順に、半透過反射面よりなる第1面、半透過反射面よりなる第2面、透過面よりなる第3面より成り、
前記第1面と前記第2面の間及び前記第2面と前記第3面の間は共に屈折率が1より大きい媒質で満たされており、観察面から画像表示面側へと光路をとったとき、観察面からの光束は順に、前記第1面を透過、前記第2面で反射、前記第1面で反射、前記第2面を透過、前記第3面を透過し、画像表示面に入射し、前記第2面は観察面側に凹形状、前記第3面は観察面側に凸形状であることを特徴としている。
本発明によれば、アイレリーフが長く大瞳径で且つ広画角の画像を提示しながら、薄型に構成した小型・軽量の観察光学系並びにそれを用いた観察装置を得ることができる。
本発明の実施例1の観察光学系の要部断面図である。 実施例1の観察光学系における偏光利用構成例を説明する図である。 本発明における面形状に関する条件を説明するための図である。 条件式に用いるパラメータを説明するための図である。 本発明の実施例1の観察光学系の光路断面図である。 本発明の実施例1の観察光学系の縦収差図である。 本発明の実施例2の観察光学系の要部断面図である。 本発明の実施例2の観察光学系の光路断面図である。 本発明の実施例2の観察光学系の縦収差図である。
以下、本発明の観察光学系及びそれを有する観察装置について説明する。
本発明の観察光学系は、画像表示面に表示された画像を観察するための観察光学系である。観察光学系は、観察面側から画像表示面側へ順に、半透過反射面よりなる第1面、半透過反射面よりなる第2面、透過面よりなる第3面より成る。
第1面と第2面の間及び第2面と第3面の間は共に屈折率が1より大きい媒質で満たされている。観察面から画像表示面側へと光路をとったとき、観察面からの光束は順に、第1面を透過、第2面で反射、第1面で反射、第2面を透過、第3面を透過し、画像表示面に入射する。第2面は観察面側に凹形状であり、第3面は観察面側に凸形状である。
図1は、本発明の実施例1の観察光学系の要部断面図である。図5は、本発明の実施例1の観察光学系の光路断面図である。図6は、本発明の実施例1の観察光学系の縦収差図である。実施例1は、瞳径EPD:23.752mm (瞳半径Rp:11.876)、アイレリーフER:20.00mmで、半画角ω:42.5°の光を像高y':13.02mmに結像させる焦点距離f:17.50mmの観察光学系である。
図7は、本発明の実施例2の観察光学系の要部断面図である。図8は、本発明の実施例2の観察光学系の光路断面図である。図9は、本発明の実施例2の観察光学系の縦収差図である。実施例2は、瞳径EPD:20mm (Rp:10)、中心アイレリーフt0:18.50mm、周辺ER:16.58mmで半画角ω: 40°の光を像高y': 10.70mmに結像させる近軸焦点距離焦点距離f:15.60mmの観察光学系である。
要部断面図において、Sは観察面(瞳面)(絞り面)、IMは画像表示面である。
1は観察光学系である。観察光学系1は観察面Sから第1面R1と第2面R2からなる第1レンズ11と、第2面R2と第3面R3からなる第2レンズ12を有する。第1面R1と第2面R2に半透過反射膜が形成されている。第1レンズ11と第2レンズ12は接合された構成となっている。
そのため、光学面は実質的に第1面R1、第2面R2、第3面R3の3つの面である。また、第1レンズ11と第2レンズ12とは共に屈折率nがn(>1)の同じ媒質で構成されており、第2面R2を透過する際は屈折は生じず単純に透過するのみである。また、第1面R1は曲率半径r1が∞、又は有限の値である。第2面R2、第3面R3はそれぞれ有限の曲率半径r2、r3を有する。
本実施例では第2面R2は瞳側(観察面側)に凹形状であり、第3面R3は瞳側に凸形状である。第1面R1、第2面R2の2つの面は半透過反射面であり反射面として作用する場合と透過面として作用する場合との両方がある。第3面R3は透過面としてのみ作用する。
縦収差図においては、無限遠物点からの光が観察面Sから画像表示面IMに結像した場合の図となっている。実施例1は左より順に瞳半径Rp=11.876mmを1に正規化した時の球面収差、画角に対する像面湾曲、歪曲を示している。像面湾曲の図においては、破線がメリディオナル像面、実線がサジタル像面の湾曲を表している。
図9は、実施例2の観察光学系1の縦収差図である。左より順に瞳半径Rp=10mmを1に正規化した時の球面収差、画角に対する像面湾曲、歪曲を示している。
次に画像表示面IMから出射した光束の光路について説明する。画像表示面IMから出た光は、第3面R3で屈折・透過し、半透過反射面よりなる第2面R2を透過した一部の光が半透過反射面よりなる第1面R1に向かう。第1面R1で反射された一部の光は第2面R2に向かい、第2面R2で反射された一部の光が再度第1面R1に向かう。そして第1面R1を透過した光は観察光学系1の観察面(瞳)Sに到達する。
以上の光路を辿る際に、観察面S側に凸形状の第3面R3での屈折による発散作用と、観察面S側に凹形状の第2面R2での反射による集光作用により、画像表示面IM上の点を発した発散光束が略平行光に変換されて観察面Sに導かれる。そのため、画像表示面IM上に表示された画像は、観察面Sの近傍に瞳孔を置いた観察者により、無限遠方に出来た虚像として観察される。
実施例2と実施例1との違いは第1面R1が有限の曲率半径r1を持ち、観察面S側に凹形状の面としたことであり、その他はほぼ同じである。唯一の追加点は、第1面R1を観察面S側に凹形状の面としたために、第1面R1の有効径の外側の鏡面端部までの周辺アイレリーフERを示した点である。
各実施例において好ましい構成について説明する。第3面R3の有効面における光軸からの高さがH3である点の、第3面R3の面頂点からの光軸方向の距離をD3とする。第3面R3上の有効径範囲内の任意の点P3aにおけるD3/H3の値のうちの最大値を(D3/H3)maxとする。観察光学系の焦点距離をf、第2面R2の反射時の焦点距離をf2とする。第3面R3の曲率半径をr3、第2面R2の曲率半径をr2とする。
第1面R1から第2面R2までで第1レンズ11が構成され、第2面R2から第3面R3までで第2レンズ12が構成され、第1レンズ11の媒質の屈折率をn1、第2レンズ12の媒質の屈折率をn2とする。第1面R1の有効面における光軸からの高さがH1である点の、第1面R1の面頂点からの光軸方向の距離をD1とする。第1面R1上の有効径範囲内の任意の点P1aにおけるD1/H1の値のうちの絶対値が最大となる値を(D1/H1)maxとする。第1面R1の曲率半径をr1とする。
このとき、次の条件式のうち1つ以上を満足するのが良い。
0.01<(D3/H3)max<0.20 ・・・(1)
1.0<f/f2<1.5 ・・・(2)
−0.4<r2/r3≦0.0 ・・・(3)
−0.15<n1−n2<0.15 ・・・(4)
−0.2<(D1/H1)max<0.2 ・・・(5)
−0.2<r2/r1<0.5 ・・・(6)
次に前述の各条件式の技術的意味について説明する。ここで焦点距離fは無限遠からの光束が第1面R1(透過)、第2面R2(反射)、第1面R1(反射)、第2面R2(透過)、第3面R3(透過)を介したときに定義される値である。
反射面の焦点距離fRは反射面の曲率半径をR、反射面側の媒質の屈折率をnとするとき、
fR=n/R
で求められるものである。
まず条件式(1)に係るパラメータについて説明する。図3は、各実施例における面形状に関する条件の説明図である。第i面Riの光軸からの高さをHiとし、高さHiにおける第i面Riの面頂点からの光軸方向の距離をDiとする。この際、高さHiは図のy軸の正方向を高さHiの正方向とするものとし、距離Diは図のz軸の正方向を距離Diの正方向とするものとする。
従って図3(A)に示すように、第i面Riが観察面S側に凸形状の場合はDi>0、図3(B)に示すように観察面S側に凹形状の場合はDi<0である。
本実施例では図3(A)に示す場合と同様に第3面R3が瞳S側に凸形状の面であるため、第3面R3上の光軸からの任意の高さH3の点に対する第3面R3の面頂点からの光軸方向の距離D3は正である。第3面R3上の有効径範囲内の任意の点におけるD3/H3の値の最大値を(D3/H3)maxとする。このとき、条件式(1)を満足している。
条件式(1)の下限を超えると、第3面R3がほぼ平面となるため、第3面R3を瞳S側に凸形状の面にすることによる全反射の回避の能力が低くなる。また、上限を超えると、第3面R3の曲率が大きくなり過ぎ、観察光学系1の周辺部まで含めた全体の厚みTmが厚くなるとともに、観察光学系1から画像表示面IMまでの周辺部まで含めたバックフォーカスBFを確保するのが困難になる。
更に望ましくは、条件式(1)は、
0.015<(D3/H3)max<0.100・・・(1a)
とするのが良い。
これによれば、下限値を下回る際の全反射回避の能力低下を更に防ぎつつ、上限値を超える際の全体の厚みTmの薄型化、全体のバックフォーカスBFを確保するのが容易となる。
図4は各条件式に用いるパラメータを説明するための図である。図1と同じ要素には同じ符号を用いている。図4に図示した光線は,最大半画角ωの角度で観察面(瞳)Sの上端部を通る最大画角上側マージナル光線である。
ここまでの観察光学系1を説明するにあたって、画像表示面IMからの光が観察面Sに至る順光線追跡の光路順で説明した。しかし、観察面Sを入射瞳として逆光線追跡した場合、画像表示面IMは本実施例の観察光学系1における無限遠方からの物体を結像させる像面となるが、これは光路順が違うだけでどちらも同義である。そのため、以降の説明における光路順は、説明の便宜上、観察面Sから画像表示面(像面)IMに向かう逆光線追跡の順で説明する。
h1は最大画角上側マージナル光線の第1面R1への入射高である。ω’は該光線が第1面R1に屈折・入射した後に第1面R1の面法線と成す角度である。h2は第1面R1で屈折された光線が第2面R2に入射する際の入射高である。また、θ2は該光線が第2面R2に入射するヒットポイントと第2面R2の曲率中心を結んだ線が光軸となす角度である。h1’は該光線が第2面R2にて反射された後に第1面R1へ再入射する際の入射高、α1はその際の第1面R1での面法線に対して該光線が成す角度である。α2は第1面R1で反射された該光線が第3面R3に入射する際の入射角である。
h3は第3面R3に入射する際の該光線の入射高、θ3は第3面R3上の入射高h3の位置と第3面R3の曲率中心とを結んだ線が光軸となす角度である。Tcは観察光学系1の中心肉厚、Tmは観察光学系1の最大肉厚である。BFは観察光学系1の周辺部まで含めた画像表示面IM側の最小クリアランスである。ERはアイレリーフであり、観察面Sから第1面R1までの距離である。
本実施例においては、第1面R1が平面である。このため、アイレリーフERは観察面Sから第1面R1までの間隔t0と等しい。Rpは観察面(瞳)Sの瞳半径である。
次に、本発明の観察光学系をHMD等の観察装置に適用する際の課題と、その対策について述べる。広画角で観察できる即ち半画角ωが大きいこと、瞳径が大である即ち瞳半径Rpが大きいこと、ハイアイポイントである即ちアイレリーフt0が長いこと、これらは全て高さh2が増大する。
最大画角の上側マージナル光線はh1=Rp+t0×tanωの位置で第1面R1に入射する。第1面R1で屈折して第1面R1の法線に対してω’=asin(sin(ω)/n)の角度となって光軸から高さがh1より高いh2の高さで第2面R2に入射するためである。
ここで、第2面R2の曲率半径r2は、曲率をきつくして高さh2と高さh1との差が大きくなることを抑制する。それとともに、第2面R2で反射し、第1面R1に戻った際のマージナル光線の光軸からの高さh1’が高さh2よりも低くなるようにして観察光学系1の径を小型化することが望ましい。
結果として観察光学系1の主パワーを第2面R2に担わせることが望ましく、全系の焦点距離fと第2面R2反射時の焦点距離f2との比が条件式(2)を満足するのが良い。
条件式(2)の下限値以下となると、第2面R2の曲率半径r2が緩くなり、観察光学系1の径、特に第1レンズ11の有効径が大型化する。条件式(2)以上となると第2面R2の曲率半径r2がきつくなり、第1レンズ11の中心肉厚が厚くなる。
第2面R2が球面の場合、第2面R2の光軸からの高さh2の点と第2面R2の曲率中心とを結ぶ線と光軸との成す角度θ2を用いると、h2はh2=r2×sinθ2としても与えられる。
曲率半径r2は、第2面R2の前後の媒質の屈折率をそれぞれn,n’とした場合、r2=f2×(n’−n)であり、前記条件式(2)の制約もあって自由度が低いため、高さh2が大きいことは角度θ2が大きい状況を引き起こす。光軸から高さh2で第2面R2で反射されたマージナル光線は、第1面R1の法線に対して角度α1で入射し、角度α1で反射する。角度α1を他のパラメータで表すと、α1=2×θ2−ω’となっており、角度θ2が大きくなると角度α1が大きくなり、第1面R1での反射が全反射となる臨界角を超えやすくなる。
従来技術である特許文献1に開示の観察光学系のように第3面R3が平面の場合は、第3面R3法線に対しても角度α1でマージナル光線が入射することになるため、第3面R3で全反射が生じてしまい、マージナル光線が像面に到達できない状況が生じ得る。即ち、観察光学系として考えた場合には、瞳径を大きく出来ない状況が生じやすい。
そこで、各実施例では第3面R3に適切な曲率を持たせることによって、第3面R3へのマージナル光線の入射位置の高さh3における入射角度を減少させることによって全反射を抑制し、観察光学系の瞳径を大きくさせている。第3面R3が球面の場合、第3面R3の光軸からの高さh3はh3=r3×sin(θ3)である。第3面R3を画像表示面側に凹面(瞳面側に凸面)形状としてθ3>0とすることにより、第3面R3へのマージナル光線の入射位置の高さh3における入射角度α2をα2=α1−θ3=2×θ2−ω’−θ3 として入射角度を減少させている。
以上の構成において、第3面R3の曲率半径r3に関する条件としては、観察光学系の主パワーを担う第2面R2の曲率半径r2との比において、条件式(3)を満足するのが良い。
条件式(3)の上限を超えると、全反射が生じやすくなる。条件式(3)の下限値以下となると、観察光学系1全体の厚みTmが厚くなるとともに、観察光学系1から画像表示面IMまでの周辺部まで含めたバックフォーカスBFが短くなるので良くない。
また、各実施例では、望ましい構成として第1レンズ11と第2レンズ12とに同一の屈折率nの媒質を用いている。第1レンズ11と第2レンズ12とに同一の屈折率nの媒質を用いることで、第2面R2を最も曲率の大きい面として観察光学系1の主パワーを担う面としながらも透過時に屈折が生じず、透過時の収差の発生がなくなるという利点を有する。
しかしながら、必ずしも第1レンズ11と第2レンズ12とに同一の屈折率nの媒質を用いることに限定するものではない。第1レンズ11と第2レンズ12とに異なった屈折率の媒質を用いる場合は、それぞれの媒質の屈折率をn1,n2とする。このとき、条件式(4)を満足することが望ましい。
画像表示面IM側の第2レンズ12の媒質の屈折率n2が第1レンズ11の媒質の屈折率n1に対して低いと、画角の大きいマージナル光線が接合した半透過の第2面R2で屈折して光軸側に曲がるため、第3面R3で全反射が生じる場合が高くなる。即ち、条件式(4)の上限を超えないようにすることで、第3面R3の曲率の増加を抑え、観察光学系1全体の薄型化を図りつつ、所定の長さのバックフォーカスBFの確保を容易にしている。
また、画像表示面IM側の第2レンズ12の媒質の屈折率n2が屈折率n1に対して高いと、半透過面の透過時に発散パワーが強くなり観察光学系1全体としての短焦点距離化が困難になる。即ち、条件式(4)の下限を超えないようにすることで、観察光学系1全体の焦点距離を短くし易くし、広画角での観察を容易にしている。
また、第1面R1が平面であるとき、条件式(5)の値は0となる。
各実施例においては第1面R1に曲面を用いると、周辺まで含めたアイレリーフを長く確保することが難しくなる。このため、周辺まで含めた観察光学系1の厚みが厚くなる等を抑制するために、第1面R1の形状を適切に設定している。
第1面R1が観察面S側に凹形状の面であると、第1面R1上の光軸からの任意の高さH1に対する第1面R1の面頂点からの光軸方向の距離D1は負であるが、第1面R1は観察面S側に凸の形状でも良い。但し、第1面R1上の有効径範囲内の任意の点におけるD1/H1の値のうち絶対値|D1/H1|が最大のものを(D1/H1)maxとするとき、条件式(5)を満足するのが良い。
条件式(5)の下限を超えると、観察面S側に凹形状での第1面R1の曲率が大きくなり過ぎ、周辺まで含めたアイレリーフを長くすることが難しくなるとともに、観察光学系1の周辺部まで含めた全体の厚みTmが厚くなる。条件式(5)の上限を超えると、最大半画角の瞳上端を通るマージナル光線の入射高が高くなり、全反射が生じやすくなって、大瞳径とすることが困難となる。
更に望ましくは、条件式(5)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
−0.1<(D1/H1)max<0.1・・・(5a)
第1面R1の曲率半径r1と第2面R2の曲率半径r2との間には、条件式(6)を満足するのが良い。
条件式(6)の下限を超えると、最大半画角の瞳上端を通るマージナル光線の入射高が高くなり、全反射が生じやすくなって、大瞳径とすることが困難となる。条件式(6)の上限を超えると、透過と反射の両作用において(負のパワー)発散のパワーが強くなり過ぎ、焦点距離を短くすることが困難となって、広画角化が難しくなる。また、第1面R1の曲率がきつくなるため、周辺まで含めた観察光学系1の厚みTmが厚くなり、観察光学系1全体が厚くなる。
図2は本発明の観察光学系1の実施例1における偏光を利用した構成例の説明図である。図中、21は偏光選択性半透過反射素子であり、偏光ビームスプリッター(PBS)からなり、例えばS偏光を透過し、P偏光を反射する。
22は第一の四分の一波長板,23は第二の四分の一波長板、24は偏光板である。偏光選択性半透過反射素子21は、例えば偏光板24を通過した際と同じ方向に偏光した直線偏光を反射し、これに直交した直線偏光を透過するように構成されたワイヤーグリッド偏光子である。偏光選択性の半透過反射素子21のワイヤーグリッド形成面が、前述の半透過反射面としての第1面R1として機能する。
また、第一の四分の一波長板22と第二の四分の一波長板23とはそれぞれの遅相軸が90°傾いた状態で配置され、且つ、偏光板24の偏光透過軸に対して第一の四分の一波長板22の遅相軸が45°傾いた状態で配置されている。また、半透過反射面よりなる第2面R2は、例えば誘電体多層膜を形成されたハーフミラーとなっている。
本実施例の偏光を利用した構成における光路並びに光学作用について、以下に説明する。
画像表示面IMから出た光は偏光板24で直線偏光となり、第二の四分の一波長板23によって円偏光となり、第3面R3を透過して第2面R2に向かう。第2面R2に到達した光の一部は第2面R2で反射されて逆回りの円偏光となり、第3面R3を透過しての第二の四分の一波長板23に戻る。第二の四分の一波長板23に戻った逆回り円偏光の光は、第二の四分の一波長板23によって最初に偏光板24を通過した際と直交した方向に偏光した直線偏光として偏光板24に戻り、偏光板24で吸収される。
一方、第2面R2に到達した光の一部は第2面R2を透過して第一の四分の一波長板22によって偏光板24を通過した際と同じ方向に偏光した直線偏光となって偏光選択性半透過反射素子21に入射する。そのため、偏光選択性半透過反射素子21の偏光選択性により第1面R1では光が反射される。第1面R1で反射された光は、第一の四分の一波長板22によって最初に第二の四分の一波長板23によって円偏光となった際と逆回りの円偏光となり、第2面R2に入射する。
第2面R2で反射された光は、第2面R2での反射前の光と逆回りの円偏光となり、第一の四分の一波長板22に入射して最初に偏光板24を通過した際と直交した方向に偏光した直線偏光になって偏光選択性の半透過反射素子21に入射する。そして、第1面R1を透過して観察面(瞳)Sに導かれる。
以上の光学作用により、第3面R3を透過して、第2面R2を透過し、第1面R1で反射し、第2面R2で反射し、第1面R1を透過した光のみが観察面Sに導かれる。
次に各実施例の数値データについて示す。表1は実施例1の数値データである。表中、rの項はレンズ面の曲率半径、tは面間隔、nはレンズ面の後の媒質の屈折率を示している。
Siは観察面Sからの光路順の第i番目の面を示す。S1は観察面S、S7は画像表示面IMである。光路はS1,S2,S3…S7の順となっている。
第1面R1(第2面S2,第4面S4)は、曲率半径が∞の面であり、実施例1で説明した構成に従う光学系となっている。また、面R2である第3面S3,第5面S5と、面R3である第6面S6のいずれもが球面の構成である。
表2は実施例2の数値データである。表2中の記号は表1と同様であるが、本実施例では第1面R1(第2面S2,第4面S4)、第2面R2(第3面S3,第5面S5)、第3面R3(第6面S6)のいずれも非球面を用いている。そのため、第1面R1,第2面R2,第3面R3のそれぞれに対する非球面項の係数を下側に示してある。第1面R1,第2面R2,第3面R3に続くA,B,C,Dが、各面における非球面項A*r+B*r+C*r+D*r10のそれぞれの係数である。各面の面形状は、表3上側のrにある曲率半径の球面と、下側の非球面項とを足し合わせた形状となっている。
次に各実施例に対する前述の各条件式の値を表3に示す。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
各実施例は、アイレリーフ≧16mm、半画角ω≧40°(即ち、全画角2ω≧80°),瞳半径Rp≧10mm(瞳径EPD≧20mm)、焦点距離f≦20mmのような広画角、長いアイレリーフ、大瞳径に好適である。また、この範囲外の観察光学系に対しても適用可能である。
また、本発明の観察光学系を用いて、観察装置を構成することができる。例えば、図1の画像表示面IMを液晶ディスプレイやELディスプレイなどの表示素子の画像表示面として使い、本発明の観察光学系と組み合わせても良い。これによれば画像表示素子上に適宜生成される画像を拡大した一方の眼で広画角に虚像を観察できる観察装置が出来る。
また、画像表示素子と観察光学系をそれぞれ2つ用意し、それぞれの画像表示面上に適宜生成された画像に対してそれぞれ対応する観察光学系を用いて両方の眼に導くことにより、広画角の画像を両眼で観察できる臨場感の高い観察装置が得られる。
尚、後者の構成において、2つの画像を1つの画像表示素子の異なる領域に形成すること、2つの画像にそれぞれ対応する眼に応じた視差を設けて立体視をさせること等は、本発明の範囲内での種々の変形および変更の範囲内である。
1 観察光学系 11 第1レンズ 12 第2レンズ
R1 第1面 R2 第2面 R3 第3面
S 瞳 IM 像面

Claims (10)

  1. 画像表示面に表示された画像を観察するための観察光学系であって、前記観察光学系は、観察面側から画像表示面側へ順に、半透過反射面よりなる第1面、半透過反射面よりなる第2面、透過面よりなる第3面より成り、
    前記第1面と前記第2面の間および前記第2面と前記第3面の間は共に屈折率が1より大きい媒質で満たされており、
    観察面から画像表示面側へと光路をとったとき、観察面からの光束は順に、前記第1面を透過、前記第2面で反射、前記第1面で反射、前記第2面を透過、前記第3面を透過して画像表示面に入射し、
    前記第2面は観察面側に凹形状、前記第3面は観察面側に凸形状であることを特徴とする観察光学系。
  2. 前記第3面の有効面における光軸からの高さがH3である点の、前記第3面の面頂点からの光軸方向の距離をD3とし、前記第3面上の有効径範囲内の任意の点におけるD3/H3の値の最大値を(D3/H3)maxとするとき、
    0.01<(D3/H3)max<0.20
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の観察光学系。
  3. 前記観察光学系の焦点距離をf、前記第2面の反射時の焦点距離をf2とするとき、
    1.0<f/f2<1.5
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の観察光学系。
  4. 前記第3面の曲率半径をr3、前記第2面の曲率半径をr2とするとき、
    −0.4<r2/r3≦0.0
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の観察光学系。
  5. 前記第1面の有効面における光軸からの高さがH1である点の前記第1面の面頂点からの光軸方向の距離をD1とし、
    前記第1面上の有効径範囲内の任意の点におけるD1/H1の値の絶対値が最大となる値を(D1/H1)maxとするとき、
    −0.2<(D1/H1)max<0.2
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の観察光学系。
  6. 前記第1面の曲率半径をr1、前記第2面の曲率半径をr2とするとき、
    −0.2<r2/r1<0.5
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の観察光学系。
  7. 前記第1面から前記第2面までで第1レンズが構成され、前記第2面から前記第3面までで第2レンズが構成され、前記第1レンズの媒質の屈折率をn1、前記第2レンズの媒質の屈折率をn2とするとき、
    −0.15<n1−n2<0.15
    を満足することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の観察光学系。
  8. 前記第1レンズの媒質の屈折率と前記第2レンズの媒質の屈折率は等しいことを特徴とする請求項7に記載の観察光学系。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の観察光学系と、画像情報を表示する画像表示素子を有し、前記観察光学系によって拡大された前記画像表示素子の画像情報を前記観察光学系を介して観察することを特徴とする観察装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の観察光学系を2つと、画像情報を表示する画像表示素子を有し、前記観察光学系によって拡大された前記画像表示素子の画像情報を前記観察光学系を介して観察することを特徴とする観察装置。
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