JP2019206623A - 有機ビヒクルの製造方法、及び、導電性ペーストの製造方法、並びに、積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、本実施形態の有機ビヒクルの製造方法の一例を示す図である。本実施形態の有機ビヒクルの製造方法は、図1に示すように、セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂と、結合剤と、第1の有機溶剤とを混合すること(ステップS10)と、その混合により得られた混合物を熱処理すること(ステップS20)と、を備える。以下、各工程について詳細を説明する。
まず、セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂と、結合剤と、第1の有機溶剤とを混合する。本実施形態の製造方法では、セルロース系樹脂およびアセタール系樹脂の少なくとも一部が、後の熱処理工程(ステップS20)において、結合剤を介して、化学的に結合(例、ウレタン結合など)し、これらの樹脂よりも大きな重量平均分子量を有する樹脂が得られる。このように樹脂の少なくとも一部が化学的に結合することにより、セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂との相溶性が向上すると考えられる。以下、各材料について説明する。
セルロース系樹脂としては、特に限定されず、バインダー樹脂として用いられる公知のセルロース系樹脂(セルロース誘導体)を用いることができる。セルロース系樹脂としては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、アセチルセルロースなどが挙げられる。中でも、溶剤への溶解性、燃焼分解性、印刷品質の観点などから、エチルセルロースが好ましい。なお、セルロース系樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
セルロース系樹脂は、水酸基を有する。セルロース系樹脂の水酸基価は、特に限定されないが、好ましくは70mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、より好ましくは70KOH/g以上95mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは75KOH/g以上95mgKOH/g以下である。セルロース系樹脂の水酸基価が上記範囲である場合、アセタール系樹脂と好適に結合して、樹脂同士の相溶性が改善され、かつ、導電性ペーストに好適に用いることができる。なお、水酸基価は、JIS K 0070 に準拠して測定される値であり、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数を示す値である。
セルロース系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば、20000以上300000以下であり、好ましくは、200000以上250000以下であり、より好ましくは210000以上250000以下である。重量平均分子量(Mw)が上記範囲である場合、導電性ペーストに用いた際に、導電性粉末等の分散性に優れ、好適なペースト粘度とすることができる。なお、セルロース系樹脂の重量平均分子量(Mw)が200000以下である場合、熱処理(ステップS20)後に得られる樹脂の重量平均分子量の増加が観察されないことがある。このような場合、後述するアセタール系樹脂の重量平均分子量等を適宜調整することにより、セルロース系樹脂とアセタール系樹脂とを結合させ、熱処理後(ステップS20)後に得られる樹脂の重量平均分子量を増加させることができる。
アセタール系樹脂としては、特に限定されず、バインダー樹脂として用いられる公知のアセタール系樹脂を用いることができる。アセタール系樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。アセタール系樹脂を用いた場合、グリーンシートとの接着性を向上させることができる。なお、アセタール系樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
アセタール系樹脂は、水酸基を有する。アセタール系樹脂の水酸基価は、特に限定されないが、好ましくは70mgKOH/g以上100mgKOHmg/g以下であり、より好ましくは90mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。アセタール系樹脂の水酸基価が上記範囲である場合、アセタール系樹脂と好適に結合して、相溶性が改善され、かつ、内部電極用の導電性ペーストとして用いられた場合、誘電体層との接着性に優れる。なお、水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定される値であり、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数を示す値である。
アセタール系樹脂の重量平均分子量Mwは、特に限定されず、例えば、20000以上200000以下であり、好ましくは、150000以上200000以下であり、より好ましくは150000以上180000以下である。重量平均分子量Mwが上記範囲である場合、導電性ペーストに用いた際に、導電性粉末等の分散性に優れ、好適なペースト粘度とすることができる。
結合剤は、前記セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂が有する水酸基と結合可能な官能基を2つ以上有するものであれば、特に限定されないが、反応性の観点から、イソシアネート基及びアミノ基のいずれか一方、又は、両方を有する化合物が好ましく、イソシアネート基を有する化合物が好ましい。なお、結合剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
第1の有機溶剤は、特に限定されず、後述する熱処理工程(ステップS20)において、樹脂と結合剤とが反応できるものであれば、公知の有機溶剤を用いることができる。ただし、結合剤との反応を抑制するため、OH基を有しない有機溶剤を使用する。第1の有機溶剤は、安定した反応を行うという観点から、沸点が80℃以上であることが好ましく、90℃以上以上であることが好ましい。また、後述するように、導電性ペースト用の有機ビヒクルとして用いる場合、第2の有機溶剤との置換を容易に行うという観点から、沸点が150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
セルロース系樹脂の混合割合は、特に限定されず、要求される特性に応じて、適宜、調整することができるが、混合する樹脂全体100質量部に対して、例えば、20質量部以上80質量部以下であってもよく、30質量部以上70質量部以下であってもよく、40質量部以上60質量部以下であってもよい。
混合方法は、特に限定されず、上記のセルロース系樹脂、アセタール系樹脂、分散剤が第1の有機溶剤中に十分に均一に分散されるように、混合できればよい。なお、混合の順番は特に限定されず、例えば、セルロース系樹脂、及び、アセタール系樹脂を第1の有溶剤に添加した後、分散剤を混合してもよい。また、セルロース系樹脂とアセタール系樹脂と第1の有機溶剤を別々に第1の有機溶剤に分散させた後、これらを混合し、第1の有機溶剤中にセルロース系樹脂及びアセタール系樹脂を含む混合物を得た後、この混合物に分散剤を添加してもよい。また、結合剤を第1の有機溶剤に添加した混合物を得た後、この混合物に、第1の有機溶剤に分散させたセルロース系樹脂、第1の有機溶剤に分散させたアセタール系樹脂を添加してもよい。
次いで、上記の混合して得られた混合物を、80℃以上の温度、4時間以下で熱処理する(ステップS20)。熱処理することにより、セルロース系樹脂及びアセタール系樹脂の少なくとも一部が結合剤を介して、化学的に結合(例、ウレタン結合など)し、熱処理工程(ステップS20)後に得られる樹脂の相溶性が向上すると考えられる。
熱処理の温度は、80℃以上であり、好ましくは80℃以上100℃以下、より好ましくは85℃以上95℃以下の範囲である。熱処理の温度が上記範囲である場合、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、および結合剤の間の反応が好適に促進され、相溶性が改善されたバインダー樹脂を短時間で安定した品質で得ることができ、生産性が向上する。また、このバインダー樹脂を用いた導電性ペーストは、分散性に優れる。
熱処理の時間は、10時間以下であり、生産性の観点から、好ましくは4時間以上であり、より好ましくは0.5時間以上4時間以下であり、さらに好ましくは0.5時間以上3時間以下である。熱処理の時間が上記範囲である場合、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、および結合剤の間の反応が好適に促進され、相溶性が改善され、かつ、非常に高い生産性で、導電性ペーストに用いた場合分散性に優れるバインダー樹脂を得ることができる。
また、本実施形態の有機ビヒクルの製造方法は、図2に示すように、熱処理工程(ステップS20)の後の混合物に、第2の有機溶剤を混合して、第1の有機溶剤と置換すること(溶剤置換工程;ステップS30)とを備えてもよい。以下、溶剤置換工程(ステップS30)について詳細を説明する。
(ゲル浸透クロマトグラフィー測定)
熱処理工程(ステップS20)後の混合物に含まれる樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定において、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂のそれぞれの重量平均分子量よりも、重量平均分子量が大きいことが好ましい。重量平均分子量の増加は、セルロース系樹脂及びアセタール系樹脂の少なくとも一部が結合剤を介して、化学的に結合していることを示すと考えられる。なお、GPC測定は、標準ポリマーとしてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて行った。
熱処理後の混合物に含まれる樹脂は、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂を有機溶剤に混合したのみの場合の透過率に対して、透過率が好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上上昇する。透過率は、樹脂の相溶性の指標の一つであり、透過率が高い程、樹脂の相溶性が向上することを示す。なお、透過率は、ガラスに試料(熱処理後の混合物、又は、対照となる樹脂混合物)を塗付し、140℃で乾燥後に得られた膜に対して、分光光度計(日本分光株式会社製 紫外可視近赤外分光光度計V−670)を用いて400〜800nmの波長に対する透過率を測定する。なお、この際得られた600nmの透過率を得られた樹脂の透過率と定義した。なお、膜厚は9〜12μmとする。なお、得られた樹脂の600nmの透過率は、例えば、80%以上であることが好ましい。また、得られた樹脂の600nmの透過率の上限は、特に限定されないが、90%以下であってもよい。
図3は、本実施形態に係る導電性ペーストの製造方法の一例を示す図である。本実施形態の導電性ペーストの製造方法は、図3に示すように、上述の方法により得られた有機ビヒクルと、導電性粉末とを混合すること(ステップS40)、を備える。
本実施形態に係る導電性ペースト(以下、単に「導電性ペースト」とも記載する)は、導電性粉末と、上記有機ビヒクルと、および上記以外の有機溶剤と、任意成分としてセラミック粉末と、を混合して得られる。以下、各成分について説明する。
導電性粉末は、特に限定されず、例えば、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、およびこれらの合金から選ばれる1種以上の粉末を用いることができる。これらの中でも、導電性、耐食性及びコストの観点から、Ni、またはその合金の粉末が好ましい。Ni合金としては、例えば、Mn、Cr、Co、Al、Fe、Cu、Zn、Ag、Au、PtおよびPdからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素とNiとの合金を用いることができる。Ni合金におけるNiの含有量は、例えば、50質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、Ni粉末は、脱バインダー処理の際、バインダー樹脂の部分的な熱分解による急激なガス発生を抑制するために、数百ppm程度のSを含んでもよい。
有機ビヒクルは、上述した製造方法により得られた有機ビヒクルを用いることができる。有機ビヒクルの詳細は、上記と同様であるため、記載を省略する。なお、有機ビヒクルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した以外の他の樹脂を少量混合してもよい。
また、ペースト混合工程(ステップS40)においては、上記材料以外にセラミック粉末を混合してもよい。セラミック粉末としては、特に限定されず、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストである場合、適用する積層セラミックコンデンサの種類により適宜、公知のセラミック粉末が選択される。セラミック粉末としては、例えば、Ba及びTiを含むペロブスカイト型酸化物が挙げられ、好ましくはチタン酸バリウム(BaTiO3)である。なお、セラミック粉末は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
また、ペースト混合工程(ステップS40)においては、さらに、第3の有機溶剤を混合してもよい。第3の有機溶剤を混合することにより、例えば、導電性ペーストの粘度を好適な範囲に調整することができる。粘度調整用の有機溶剤は、特に限定されず、従来公知の溶剤を適宜選択して用いることができる。また、粘度調整用の有機溶剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。なお、有機溶剤の沸点は、例えば、100℃を超えることが好ましい。溶剤の沸点が100℃以下の場合、ペースト製造時に蒸発する恐れがある。
本実施形態に係る導電性ペーストは、上記した成分以外の、従来公知の添加成分、例えば、分散剤などを含んでもよい。
導電性ペーストの混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記の各成分を、3本ロールミル、ボールミル、ミキサーなどで攪拌・混練することにより導電性ペーストを得ることができる。その際、導電性粉末表面に予め分散剤を塗布すると、導電性粉末が凝集することなく十分にほぐれて、その表面に分散剤が行きわたるようになり、均一な導電性ペーストを得やすい。また、予め、バインダー樹脂を有機溶剤の一部に溶解させて、有機ビヒクルを作製した後、ペースト調整用の有機溶剤へ、導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、及び、有機ビヒクルを添加した後、攪拌・混練し、導電性ペーストを作製してもよい。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、上記の製造方法により得られた導電性ペーストと、グリーンシートとを交互に積層した後、圧着、焼成して積層体を得ることと、を備える。また、グリーンシートは、アセタール系樹脂を含むことが好ましい。
[評価方法]
(透過率)
得られた試料(熱処理後の樹脂混合物、又は、対照となる樹脂混合物)をガラスに塗付し、140℃で乾燥して、膜厚9〜12μmの範囲の乾燥膜を得た。得られた乾燥膜に対して、分光光度計(日本分光株式会社製 紫外可視近赤外分光光度計V−670)を用いて400〜800nmの波長に対する透過率を測定し、波長600nmの透過率を得られた試料の透過率として定義した。
得られた試料について、標準ポリマーとしてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行った。
なお、GPC測定に用いた装置及び条件は以下のとおりであった。
装置:Waters製 ACQUITY ACQUITY ACQUITY UPLC H−class
カラム:Waters製 XT900+XT450+XT200
検出器:RI検(示差屈折計)
分離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1mL/分
カラム温度:140℃
標準試料:ポリスチレン
(有機ビヒクルの製造)
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:81mgKOH/g、重量平均分子量Mw:230000)50質量部と、アセタール系樹脂としてポリビニルブチラール(水酸基価:90mgKOH/g、重量平均分子量Mw:170000)50質量部と、結合剤としてトルエンジイソシアネート0.25質量部と、第1の有機溶剤として1,4−ジオキサン667質量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物を90℃、2時間、撹拌しながら熱処理をした。
結合剤の混合割合を0.52質量部とした以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
結合剤の混合割合を1.03質量部とした以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:80mgKOH/g、重量平均分子量Mw:220000)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
結合剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
結合剤としてジフェニルメタンジイソシアネートを用い、第1の有機溶剤としてメチルエチルケトンを用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
第1の有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
結合剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを用い、アセタール系樹脂としてポリビニルブチラール(数平均分子量Mn:53000)を用い、得られた混合物を60℃、24時間で熱処理した以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
得られた混合物を60℃、24時間で熱処理した以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
結合剤としてヘキサメチレンジイソシアネート0.5質量部を用い、得られた混合物を60℃、24時間で熱処理した以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:79mgKOH/g、重量平均分子量Mw:29000)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:80mgKOH/g、重量平均分子量Mw:160000)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
結合剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
実施例で得られた有機ビヒクルは、波長600nmにおける透過率が80%以上であり、混合したセルロース系樹脂とアセタール系樹脂の相溶性が向上したことが確認された。また、実施例1〜7で得られた有機ビヒクル中の樹脂についてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行ったところ、重量平均分子量Mwが280000であり、重量平均分子量が、原料として用いたセルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂のそれぞれの重量平均分子量よりも大きくなっていることが確認された。また、波長600nmの透過率の増加と、重量平均分子量の増加とが相関することが確認された。また、実施例1で得られた有機ビヒクル中の樹脂について13C−NMR測定を行ったところ、ウレタン結合に由来するピークが検出された。
次に、上記の実施例5及び比較例6の有機ビヒクルを用いて導電性ペーストを作製し、その分散性について、以下の方法で評価した。
(表面粗さ)
得られた導電性ペーストをガラス基板に幅20mm長さ30mm厚み0.01mmで印刷した後、乾燥、焼成工程を経て導体を形成した。得られた導体に対して、表面粗さ計(キーエンス社製 レーザー顕微鏡)を用いて、2μm2範囲の粗さを計測した。表面粗さが小さい程、表面が平滑であることを示し、導電性ペーストの分散性が良好であると評価できる。
導電性粉末として、平均粒径0.2μmのNi粉末を50質量%、有機ビヒクルとして実施例5の有機ビヒクルを45質量%、添加剤として高分子分散剤(日本ルーブリゾール社製、商品名:SOLSPERSE36000)を1質量%、粘度調整用に有機溶剤としてミネラルスピリットA(JXTGエネルギー株式会社製)を4質量%用いて、3本ロールにて混合撹拌して評価用の導電性ペーストを得た。
有機ビヒクルとして比較例6の有機ビヒクルを用いた以外は、実施例8と同様にして導電性ペースト作製し、その後、印刷、乾燥、焼結を行い評価用の導体を作製し、その表面粗さを計測した。評価結果を表2に示す。
実施例5の有機ビヒクルを用いた実施例8の導電性ペーストは、含有樹脂同士が結合し、透過率も高い有機ビヒクルを用いているため、表面粗さが0.1μmと非常に平滑であることが確認され、分散性に優れることが示された。
10 積層体
11 内部電極層
12 誘電体層
20 外部電極
21 外部電極層
22 メッキ層
Claims (15)
- セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂と、結合剤と、第1の有機溶剤とを混合することと、
前記混合して得られた混合物を、80℃以上の温度、4時間以下で熱処理することと、を備え、
前記結合剤は、前記セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂が有する水酸基と反応可能な官能基を分子内に2つ以上有し、
前記官能基は、イソシアネート基及びアミノ基のいずれか一方、又は、両方であり、
前記熱処理後の混合物に含まれる樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が、前記セルロース系樹脂、及び前記アセタール系樹脂のそれぞれの重量平均分子量よりも大きい、
有機ビヒクルの製造方法。 - 前記セルロース系樹脂の水酸基価が70mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、請求項1に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 前記アセタール系樹脂の水酸基価が90mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、請求項1又は請求項2に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 前記セルロース系樹脂の重量平均分子量が20000以上300000以下であり、前記アセタール系樹脂の重量平均分子量が20000以上200000以下である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 前記セルロース系樹脂を、前記混合物中の樹脂全体に対して、20質量%以上80質量以下含有し、前記アセタール系樹脂を、前記混合物中の樹脂全量に対して、80質量%以上20質量%以下含有する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 前記結合剤は、ジイソシアネート化合物である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 前記結合剤を、前記混合物中の樹脂全体100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下含有する、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 第1の有機溶剤は、メチルイソブチルケトン、及び1,4−ジオキサンのうち少なくとも1種である、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 前記熱処理後の混合物に、第2の有機溶剤を混合して、前記第1の有機溶剤と置換することと、を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 前記第2の有機溶剤は、前記第1の有機溶剤より高い沸点を有する、請求項9に記載の有機ビヒクルの製造方法。
- 請求項9又は請求項10に記載の製造方法で得られた有機ビヒクルと、導電性粉末とを混合すること、を備える、導電性ペーストの製造方法。
- 導電性粉末は、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属粉末を含む、請求項11に記載の導電性ペーストの製造方法。
- 前記有機ビヒクルと、前記導電性粉末と、セラミック粉末とを混合すること、を備える、請求項11又は請求項12に記載の導電性ペーストの製造方法。
- 前記セラミック粉末は、ペロブスカイト型酸化物を含む、請求項11〜請求項13のいずれか一項に記載の導電性ペーストの製造方法。
- 誘電体層と、内部電極層とが交互に積層した積層体を備える積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
請求項11〜請求項14のいずれか一項に記載の製造方法により得られた導電性ペーストと、グリーンシートとを交互に積層して、圧着、焼成させて積層体を得ることと、を備え、
前記グリーンシートは、前記アセタール系樹脂を含む、
積層セラミックコンデンサの製造方法。
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WO2015107811A1 (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-23 | 昭栄化学工業株式会社 | バインダー樹脂の製造方法および樹脂組成物の製造方法ならびにバインダー樹脂および樹脂組成物 |
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- 2018-05-28 JP JP2018101739A patent/JP7102943B2/ja active Active
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