以下、本発明の実施の形態による燃料荷卸しシステムとして、タンクローリ車から給油所の地下タンクに荷卸しする場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1において、給油所1の敷地地下には、複数液種の燃料(例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、灯油または軽油等)を貯留する地下タンク2が埋設されている。この地下タンク2は、通常は複数個に分離または分画して設けられ、夫々のタンク毎に液種の異なる液体燃料(例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、灯油または軽油等)が収容して貯留される。
そこで、以下の説明では、複数の地下タンク2−n(n=1,2,3,…)とし、全体としては、地下タンク2という。なお、図1中では、例えば合計3個の地下タンク2−nを示している。また、図2中では、例えば合計4個の注油口4−n(即ち、注油口4−1,4−2,4−3,4−4)を示している。しかし、これは説明の都合上で符号を付したものであり、地下タンク2、注油口4の個数や配列等はこれに限られるものではない。また、液種と油種とは同じ意味で用いている。
各地下タンク2−nは、夫々の注油管3(複数個)を介して、敷地適所に配置された複数の注油口4−nと接続されている。各地下タンク2−nは、この注油口4−nから各注油管3を介して、後述するタンクローリ車8から燃料の補給を受ける。なお、各地下タンク2−nは、敷地適所に配置された給油用の計量機にも供給管(いずれも図示せず)を介して接続されている。前記計量機は、ポンプ、流量計等の機器(いずれも図示せず)を備えており、各地下タンク2−n内から貯留されている燃料を汲み上げ、給油車両等の給油対象に供給する。
各地下タンク2−nには、それぞれの燃料液面を個別に検出する液面検出器5が設けられ、これにより、地下タンク2−n内の燃料残量が個別に監視されている。これらの液面検出器5からの検出信号は、給油所1の敷地適所に設置されたタンク管理端末6に出力される。このタンク管理端末6は、給油所事務所7から離間した位置に配置されている。タンク管理端末6は、給油所事務所7に配置されたメインのタンク管理装置に専用の回線(いずれも図示せず)を介して接続され、例えばタンクローリ車8による燃料の荷卸し作業時に前記タンク管理装置からの貯油管理情報等が送信される。
これにより、タンク管理端末6は、各地下タンク2−nの液面検出器5と個別に接続され、各液面検出器5からの計測出力に基づいて各地下タンク2−nの燃料残量(在庫量)等の液量情報を演算により求めることができる。タンク管理端末6は、予め設定された各地下タンク2−nの個別識別情報(例えば、タンク番号)、貯留液種、タンク容量等のタンク情報と一緒に、この演算した各地下タンク2−nの液量情報をデータ記憶部(図示せず)に記憶し、これらタンク情報や液量情報を基に各地下タンク2−nの貯油管理を行うことができる。
換言すると、タンク管理端末6は、各地下タンク2−nに貯留されている燃料の残量をタンク毎の在庫量として更新可能に記憶することができ、その記憶内容を通信インタフェース6Aを介して後述の荷卸しコンピュータ15へと電送することができる。地下タンク2−nに貯留されている燃料の残量(タンク毎の在庫量)は、前記計量機による燃料の汲み上げやタンクローリ車8からの燃料の補給によって変動する。
タンクローリ車8は、給油所1に燃料を配送するものである。タンクローリ車8の前部には、運転室を画成するキャブ8Aが設けられ、キャブ8Aの後側には車載タンク9が設けられている。キャブ8A内には、運転席、ハンドル等(図示せず)の他に後述の充電器18が設けられている。一方、タンクローリ車8の車載タンク9は、内部が仕切り板によって複数のハッチ10−N(N=1,2,3,4,…)に仕切られた構造になっている。例えば、図1中では、車載タンク9に合計4個のハッチ10−Nを設けた場合を示している。しかし、これは説明の都合上で符号を付したものであり、ハッチ10−Nの個数や配列等はこれに限られるものではない。
燃料の移送に際して、タンクローリ車8には、出荷所としての油槽所等で、配送先からの注文に応じてハッチ10−N毎に積込液種や積込液量が適宜に割付けされ、ハッチ10−N毎に、割付け液種が割付け液量分だけ出荷装置によって積込みされる。例えば、ハッチ10−1には「ハイオクガソリン」を貯蔵し、ハッチ10−2には「レギュラーガソリン」を貯蔵し、ハッチ10−3には「灯油」を貯蔵し、ハッチ10−4には「軽油」を貯蔵するように、ハッチ10−N毎に配送先からの注文に応じた所定の液種が所定量だけ積み込まれる。
タンクローリ車8の車載タンク9には、各ハッチ10−Nの頂部に、積荷である燃料を積込むための給液口(図示せず)がそれぞれ設けられ、各ハッチ10−Nの底部には、常閉のエア式開閉弁からなる底弁と荷卸し用吐出配管(いずれも図示せず)とがそれぞれ設けられている。これらの各底弁は、それぞれ荷卸し用吐出配管を介して吐出口11に並列接続されている。この吐出口11は、タンクローリ車8の側面および/または後面側に設けられており、前記各荷卸し用吐出配管を介して各ハッチ10−Nの前記底弁に連通する。各ハッチ10−Nに積込まれた燃料は、対応の底弁を開弁したときに各荷卸し用吐出配管を通って吐出口11に送出される。図2に示すように、吐出口11には、係員M(例えば、タンクローリ車8の運転者、給油所1の作業員等)により後述の荷卸しホース12が接続される。
荷卸しホース12は、タンクローリ車8のハッチ10−Nから給油所1の地下タンク2−nに燃料を荷卸しするためのホースである。荷卸しホース12の一端は、車載タンク9の底部側に設けられた吐出口11に接続され、荷卸しホース12の他端は、地下タンク2−nの注油口4−nのうちいずれかの注油口4−nに接続される。荷卸しホース12の他端側には、後述の液種キーが差込まれるホース液種キー読取器13が設けられている。
また、荷卸しホース12の一端側には、ホース液種キー読取器13からの検出信号を後述する荷卸制御装置16に送信する中継器14が設けられている。荷卸しホース12には、一端側の中継器14と他端側のホース液種キー読取器13との間を接続し、両者間で信号の授受を行う信号線(図示せず)が設けられている。
タンクローリ車8には、例えばキャブ8A側に車載用の荷卸しコンピュータ15が設けられている。この荷卸しコンピュータ15は、例えば図2に示すように、マイクロコンピュータ等からなる制御手段としての荷卸制御装置16と、この荷卸制御装置16を通信によって遠隔操作する荷卸操作盤としての携帯端末器17とを含んで構成されている。
荷卸制御装置16は、タンク管理端末6および携帯端末器17等に有線または無線の回線を介して接続されている。そして、荷卸制御装置16は、携帯端末器17に対する操作に応じて、タンクローリ車8の複数のハッチ10−Nに対応して設けられた前記底弁の開閉制御を個別に行うことにより、前記各ハッチ10−Nのいずれかから複数の地下タンク2−nのいずれかに燃料の荷卸しを行う。
荷卸制御装置16は、不揮発性メモリ,RAM,ROM等の記憶装置からなるメモリ16Aを有している。このメモリ16Aには、例えば図3に示す荷卸し制御処理用のプログラム等が記憶されている。また、荷卸制御装置16のメモリ16Aには、タンクローリ車8の各ハッチ10−N内に貯蔵された燃料の情報と、給油所1の各地下タンク2−n内に貯留された燃料の情報とがそれぞれ更新可能に記憶される。荷卸制御装置16は、これらの記憶情報(燃料の情報)に基づき、複数のハッチ10−Nと複数の地下タンク2−nのうち荷卸し可能なハッチとタンクとの関連付け(案内処理)を行う機能を有している。
携帯端末器17は、図2に示すように、タンクローリ車8の運転者等の係員Mが携行可能なタブレットPC等の端末からなり、内蔵された充電式の電池によって駆動されるものである。携帯端末器17は、液晶画面等の表示画面17Aを備え、この表示画面17Aは、係員Mに対して画面表示による報知を行う報知手段を構成している。この表示画面17Aには、例えば複数のハッチ10−Nと複数の地下タンク2−nのうち荷卸し可能なハッチとタンクとの関連付け表示、地下タンク2−nの状態表示、荷卸し作業時の状態表示等が行われ、係員Mに報知される。なお、報知手段は、携帯端末器17の表示画面17Aに限らず、例えば音声合成装置により報知を行う構成としてもよい。
携帯端末器17の表示画面17Aには、例えば「荷卸し開始ボタン」または「荷卸し停止ボタン」等がタッチパネル式で表示される。係員Mは、タンクローリ車8から給油所1の地下タンク2に対する燃料の荷卸しを行うときに、荷卸しホース12と注油口4−nとの接続状態を確認しながら、表示された「荷卸し開始ボタン」を指先で押下するように操作する。これにより、荷卸制御装置16は、タンクローリ車8の空圧制御ユニット(図示せず)に荷卸し開始信号を送信して前記底弁を開弁させ、タンクローリ車8からの燃料の荷卸しを開始させる。また、「荷卸し停止ボタン」を押下したときには、前記底弁を閉弁させ、タンクローリ車8からの燃料の荷卸しを停止させる。
携帯端末器17用の充電器18は、例えばタンクローリ車8のキャブ8A内に設けられている。充電器18は、携帯端末器17が接続されることにより、この携帯端末器17に内蔵された電池に対する充電を行うものである。携帯端末器17には、充電器18による充電が行われている(充電中である)か否かを判断する判断手段としての充電判断部17Bが設けられている。充電判断部17Bは、携帯端末器17に対する充電が行われているときには、荷卸制御装置16に携帯端末器17が充電中であることを示す信号を出力する。そして、荷卸制御装置16は、充電判断部17Bにより携帯端末器17が充電中ではないと判断された場合に、荷卸し作業を可能とする。
また、荷卸制御装置16は、充電判断部17Bにより携帯端末器17が充電中であると判断された場合には、荷卸し作業を禁止する。即ち、キャブ8A内の充電器18を用いて携帯端末器17が充電されている場合には、係員Mが荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続部位から離れた場所(キャブ8A内)で、両者の接続を十分に確認することなく携帯端末器17を操作している可能性があるため、安全性を確保するために荷卸し作業を禁止する構成となっている。ここで、携帯端末器17が充電中であるために荷卸し作業を禁止する場合には、荷卸制御装置16は、例えば携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しできません」等の表示を行い、係員Mに対して携帯端末器17が充電中であるために荷卸し作業が禁止されていることを報知する。
一方、燃料の荷卸しが開始された後にも、この荷卸し作業の途中で充電器18による携帯端末器17の充電が行われた場合には、荷卸制御装置16は、荷卸し作業を停止(中断)させる。この場合には、荷卸制御装置16は、例えば携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しを停止しました」等の表示を行い、係員Mに対して携帯端末器17が充電状態となったために荷卸し作業が停止されたことを報知する。
また、携帯端末器17には、内蔵された電池の残量(電池残量)を検出する電池残量検出手段としての電池残量検出部17Cが設けられている。電池残量検出部17Cは、携帯端末器17の表示画面17A上に電池残量を表示させると共に、電池残量を示す信号を荷卸制御装置16に出力する。荷卸制御装置16は、電池残量検出部17Cによって検出された携帯端末器17の電池残量が、予め設定された所定値以上である場合には、荷卸し作業を可能とする。ここで、電池残量の所定値は、例えば携帯端末器17を用いた荷卸し作業の開始(底弁の開弁)から終了(底弁の閉弁)までに消費される消費電力量よりも大きな値として設定されている。
そして、荷卸制御装置16は、電池残量検出部17Cによって検出された携帯端末器17の電池残量が所定値未満である場合には、荷卸し作業を禁止する。携帯端末器17の電池残量が不足(所定値未満)であるために荷卸し作業を禁止する場合には、荷卸制御装置16は、例えば携帯端末器17の表示画面17Aに「電池残量不足のため荷卸しできません」等の表示を行い、係員Mに対して電池残量が不足しているために荷卸し作業が禁止されていることを報知する。
一方、荷卸し作業が開始された後にも、荷卸し作業の途中で携帯端末器17の電池残量が所定値未満となった場合には、荷卸制御装置16は、荷卸し作業を停止(中断)させる。この場合には、荷卸制御装置16は、例えば携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しを停止しました」等の表示を行い、係員Mに対して電池残量の不足によって荷卸し作業が停止されたことを報知する。
実施の形態による燃料荷卸しシステムは、上述の如き構成を有するもので、次に、タンクローリ車8から給油所1の地下タンク2に燃料を荷卸しする作業について説明する。
タンクローリ車8が給油所1に到着すると、係員Mは、車載タンク9の底部側に設けられた吐出口11に荷卸しホース12の一端を接続し、荷卸しホース12の他端を地下タンク2−nの注油口4−nのうちいずれかの注油口4−nに接続する。これらの注油口4−nには、各地下タンク2−nに貯蔵されている液種(燃料の種別)に対応した液種キー(図示せず)がそれぞれ設けられている。
荷卸しホース12の他端側には、前記液種キーが差込まれるホース液種キー読取器13が設けられている。このホース液種キー読取器13には、前記液種キーのいずれか1つが選択的に差込まれる。荷卸しホース12の一端側には、ホース液種キー読取器13からの検出信号を荷卸制御装置16に送信する中継器14が設けられている。ホース液種キー読取器13は、前記液種キーのいずれか1つが選択的に差込まれることにより、差込まれた液種キーに基づいたデータ通信を中継器14を介して荷卸しコンピュータ15の荷卸制御装置16との間で行う。
このため、係員Mが荷卸しホース12の他端を注油口4−nに接続する接続作業を行うことにより、ホース液種キー読取器13は、複数の注油口4−nのうち接続された注油口4−nの液種キーから該当する液種データ(種別データ)を読取ることができる。ホース液種キー読取器13によって読取られた地下タンク2−nの液種データは、中継器14を介してタンクローリ車8の荷卸しコンピュータ15(荷卸制御装置16)に転送される。荷卸制御装置16は、ホース液種キー読取器13から送信された液種情報がハッチ10−Nの液種と一致する場合、当該ハッチに積み込まれた油液の荷卸しを許可する。この状態で、係員Mが携帯端末器17を操作することにより、タンクローリ車8から地下タンク2への燃料の荷卸し作業が行われる。
そこで、携帯端末器17を用いて燃料の荷卸し作業を行うときに、荷卸制御装置16が実行する制御処理について、図3を参照して説明する。
図3の制御処理がスタートすると、ステップ1において、携帯端末器17の充電判断部17Bからの信号に基づき、充電器18を用いた携帯端末器17の充電が行われているか否かを判定する。ステップ1で「YES」と判定された場合には、携帯端末器17が充電中であるためステップ2に進み、携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しできません」と表示して係員Mに報知し、ステップ1に戻る。
このように、係員Mが、キャブ8A内の充電器18を用いて携帯端末器17を充電することにより、荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続を十分に確認しない状態で携帯端末器17を操作している可能性がある場合には、安全性を確保するために荷卸し作業を禁止することができる。一方、携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しできません」と表示して係員Mに報知することにより、係員Mに対し、携帯端末器17の充電を中断して荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続部位の近くで携帯端末器17の操作を行うように促すことができる。
ステップ1で「NO」と判定された場合には、次のステップ3において、携帯端末器17の電池残量検出部17Cからの信号に基づき、携帯端末器17の電池残量が所定値以上か否かを判定する。ステップ3で「NO」と判定された場合には、携帯端末器17の電池残量が、荷卸し作業の開始(底弁の開弁)から終了(底弁の閉弁)までに消費される消費電力量に満たないためステップ4に進み、携帯端末器17の表示画面17Aに「電池残量不足のため荷卸しできません」と表示して係員Mに報知し、ステップ1に戻る。
これにより、荷卸し作業の途中で携帯端末器17が電池切れとなり、携帯端末器17が操作不能となって荷卸しコンピュータ15との通信が途絶える可能性がある場合には、予め荷卸し作業を禁止することができる。一方、携帯端末器17の表示画面17Aに「電池残量不足のため荷卸しできません」と表示して係員Mに報知することにより、係員Mに対して携帯端末器17の充電を促すことができる。
ステップ3で「YES」と判定された場合には、携帯端末器17の電池残量が所定値以上であるため、続くステップ5において荷卸し作業を開始し、例えば特許文献1(特開2013−193775号公報)に記載の荷卸し制御を実行する。具体的には、係員Mが携帯端末器17の表示画面17Aで「荷卸し開始ボタン」を操作する。これにより、荷卸制御装置16は、タンクローリ車8の前記空圧制御ユニットに荷卸し開始信号を送信して前記底弁を開弁させる。このため、タンクローリ車8の選択したハッチ10−Nから荷卸しホース12を通じて給油所1の地下タンク2−nに燃料が荷卸しされる。
次のステップ6では、この荷卸し作業の途中で再度、携帯端末器17に対する充電が行われているか否かを判定する。ステップ6で「NO」と判定された場合には、携帯端末器17が充電器18に接続されておらず、係員Mが荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続を確認した状態で携帯端末器17を操作していると考えられる。従って、ステップ6で「NO」と判定された場合には、このまま荷卸し作業を継続する。
次のステップ7では、荷卸し作業の途中で再度、携帯端末器17の電池残量が所定値以上か否かを判定する。ステップ7で「YES」と判定された場合には、このまま荷卸し作業を継続し、続くステップ8において、荷卸し作業を終了する操作が行われたか否か、即ち、携帯端末器17の表示画面17Aで「荷卸し停止ボタン」が操作されたか否かを判定する。ステップ8で「NO」と判定された場合にはステップ6に戻り、ステップ8で「YES」と判定された場合には、ステップ9に進む。ステップ9では、タンクローリ車8の前記空圧制御ユニットに荷卸し終了信号を送信して前記底弁を閉弁させる。これにより、タンクローリ車8から地下タンク2に対する燃料の荷卸し作業が終了する。
一方、ステップ6で「YES」と判定された場合には、ステップ10に進み、携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しを停止しました」と表示して係員Mに報知した後、ステップ9に進んで荷卸し作業を終了する。これにより、荷卸し作業の最中においても、携帯端末器17が充電器18に接続され、荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続が確認されない状態で携帯端末器17が操作されている可能性がある場合には、荷卸し作業を終了(中断)させることにより、安全性を確保することができる。また、携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しを停止しました」と表示して係員Mに報知することにより、係員Mに対し、荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続部位の近くで携帯端末器17の操作を行うように促すことができる。
また、ステップ7で「NO」と判定された場合には、携帯端末器17の電池残量が不足し、荷卸し作業の途中で携帯端末器17が操作不能になる可能性がある。このため、ステップ7で「NO」と判定された場合にはステップ11に進み、携帯端末器17の表示画面17Aに「電池残量不足のため荷卸しを停止しました」と表示して係員Mに報知した後、ステップ9に進んで荷卸し作業を終了する。これにより、荷卸し作業の途中で携帯端末器17が電池切れとなり、携帯端末器17が操作不能となって荷卸しコンピュータ15との通信が途絶える前に、荷卸し作業を終了(中断)することができる。また、携帯端末器17の表示画面17Aに「電池残量不足のため荷卸しを停止しました」と表示して係員Mに報知することにより、係員Mに対して携帯端末器17の充電を促すことができる。
このように、実施の形態によれば、荷卸制御装置16は、タンクローリ車8から給油所1の地下タンク2に燃料を荷卸しする作業を行うときに、携帯端末器17に対する充電が行われている(携帯端末器17が充電中)か否かを判断し、携帯端末器17の充電判断部17Bからの信号に基づいて充電が行われていると判断した場合には荷卸し作業を禁止する。これにより、係員Mが荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続部位から離れた場所(キャブ8A内)で、携帯端末器17を充電しつつ携帯端末器17を操作している可能性がある場合には、荷卸し作業を禁止することができる。これにより、荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続状態を目視によって確認できない位置で、係員Mが携帯端末器17を用いて燃料の荷卸し作業を行うことを防止でき、安全性を確保することができる。
一方、携帯端末器17に対する充電が行われていないと判断した場合には、荷卸制御装置16は、タンクローリ車8の前記空圧制御ユニットに荷卸し開始信号を送信して前記底弁を開弁させる。これにより、タンクローリ車8のハッチ10−Nから給油所1の地下タンク2−nへの燃料の荷卸し作業を開始することができる。そして、荷卸し作業が開始された後に、荷卸し作業の途中で充電器18による携帯端末器17の充電が行われた場合には、荷卸制御装置16は、タンクローリ車8の前記空圧制御ユニットに荷卸し終了信号を送信して前記底弁を閉弁させる。これにより、燃料の荷卸し作業の途中においても、携帯端末器17が充電状態となり、係員Mが荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続部位から離れたと見做される場合には、荷卸し作業を停止(中断)させることができ、荷卸し作業の安全性を確保することができる。
そして、携帯端末器17が充電中であるために荷卸し作業を禁止する場合には、携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しできません」等の表示が行われる。また、荷卸し作業の途中で携帯端末器17が充電状態となったために荷卸し作業を停止(中断)する場合には、携帯端末器17の表示画面17Aに「充電中のため荷卸しを停止しました」等の表示が行われる。これにより、係員Mに対し、荷卸し作業を行うときに携帯端末器17が充電中である場合には荷卸し作業が禁止される旨を報知し、荷卸し作業の途中で携帯端末器17を充電した場合には荷卸し作業を停止する旨を報知することができる。
また、荷卸制御装置16は、燃料の荷卸し作業を行うときに、携帯端末器17の電池残量が所定値以上であるか否かを判断し、電池残量が所定値未満であると判断した場合には荷卸し作業を禁止する。これにより、携帯端末器17の電池残量が、荷卸し作業の開始(底弁の開弁)から終了(底弁の閉弁)までに消費される消費電力量よりも少なく、荷卸し作業の途中で携帯端末器17が操作不能となる可能性がある場合には、荷卸し作業を禁止して安全性を確保することができる。
一方、携帯端末器17の電池残量が所定値以上であると判断した場合には、荷卸制御装置16は、タンクローリ車8の前記空圧制御ユニットに荷卸し開始信号を送信して前記底弁を開弁させ、燃料の荷卸し作業を開始させる。そして、荷卸し作業が開始された後に、荷卸し作業の途中で携帯端末器17の電池残量が所定値未満となった場合には、荷卸制御装置16は、タンクローリ車8の前記空圧制御ユニットに荷卸し終了信号を送信して前記底弁を閉弁させ、荷卸し作業を停止させる。これにより、燃料の荷卸し作業の途中においても、携帯端末器17が操作不能となる可能性がある場合には、荷卸し作業を禁止して安全性を確保することができる。
そして、携帯端末器17の電池残量が所定値未満であるために荷卸し作業を禁止する場合には、携帯端末器17の表示画面17Aに「電池残量不足のため荷卸しできません」等の表示が行われる。また、荷卸し作業の途中で電池残量が所定値未満となって荷卸し作業を停止(中断)する場合には、携帯端末器17の表示画面17Aに「電池残量不足のため荷卸しを停止しました」等の表示が行われる。これにより、係員Mに対し、荷卸し作業を行うときに携帯端末器17の電池残量が所定値未満(電池残量不足)である場合には荷卸し作業が禁止される旨を報知し、荷卸し作業の途中で携帯端末器17の電池残量が所定値未満となった場合には荷卸し作業を停止する旨を報知することができ、係員Mに対して携帯端末器17の充電を促すことができる。
なお、上述した実施の形態では、タンクローリ車8のキャブ8A内に搭載された充電器18を用いて携帯端末器17に対する充電を行う場合を例示している。しかし、キャブ8A内に搭載された充電器18に代えて、例えば携行可能な充電器(図示せず)を用いて携帯端末器17の充電を行うようにしてもよい。この携行可能な充電器を用いて携帯端末器17の充電を行う場合には、充電器のコネクタに対して携帯端末器17を抜差しするときに発生した火花が、タンクローリ車8の周囲に滞留したガソリン等のベーパに引火する虞がある。
これに対し、実施の形態では、携行可能な充電器を用いて携帯端末器17の充電を行う場合にも、荷卸制御装置16によって燃料の荷卸し作業を禁止または停止(中断)させることができる。従って、充電器のコネクタに対して携帯端末器17を抜差しするときに発生した火花がガソリン等のベーパに引火するのを防止でき、燃料の荷卸し作業の安全性を確保することができる。
かくして、実施の形態によれば、タンクローリ車8に設けられ燃料が貯留されたハッチ10−Nの底弁の開閉制御を行うことによりハッチ10−Nから地下タンク2への荷卸しを行う制御手段としての荷卸制御装置16と、係員Mが携行可能であり、電池駆動により荷卸制御装置16と通信を行う携帯端末器17とを備えた燃料荷卸しシステムにおいて、携帯端末器17に対する充電を行う充電器18と、充電器18による携帯端末器17の充電が行われているか否かを判断する判断手段としての充電判断部17Bとを備え、荷卸制御装置16は、充電判断部17Bにより携帯端末器17の充電が行われていないと判断された場合に荷卸しを可能とさせる構成としている。
これにより、携帯端末器17に対する充電が行われていない場合にのみ、タンクローリ車8から地下タンク2への燃料の荷卸し作業が可能となる。この結果、係員Mが、荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続部位の近傍で両者の接続状態を確認しつつ携帯端末器17を操作していると見做すことができる場合にのみ、燃料の荷卸し作業が可能となるので、携帯端末器17を用いた燃料の荷卸し作業の安全性、信頼性を高めることができる。
実施の形態では、携帯端末器17は、電池残量を検出する電池残量検出手段としての電池残量検出部17Cを備え、荷卸制御装置16は、電池残量検出部17Cにより検出された電池残量が所定値以上である場合に荷卸しを可能とさせる構成としている。この構成によれば、携帯端末器17の電池残量が、燃料の荷卸し作業の開始(底弁の開弁)から終了(底弁の閉弁)までに消費される消費電力量よりも少ない場合、即ち、荷卸し作業の途中で携帯端末器17が操作不能となる可能性がある場合には、荷卸し作業を禁止して安全性、信頼性を高めることができる。
実施の形態では、携帯端末器17は、係員への報知を行う報知手段としての表示画面17Aを備え、荷卸制御装置16は、充電判断部17Bにより携帯端末器17の充電が行われていると判断された場合には、表示画面17Aによる報知を行う構成としている。この構成によれば、係員Mに対し、携帯端末器17が充電中であるために荷卸し作業が禁止される旨を報知することができ、係員Mが携帯端末器17の充電を中断し、荷卸しホース12の他端と注油口4−nとの接続部位の近くで携帯端末器17の操作を行うように促すことができる。
また、荷卸制御装置16は、荷卸しが開始された後に電池残量検出部17Cにより検出された電池残量が所定値未満となった場合には、表示画面17Aによる報知を行う構成としている。この構成によれば、係員Mに対し、携帯端末器17の電池残量が不足している旨を報知することができ、携帯端末器17の充電を行うように促すことができる。
なお、実施の形態では、携帯端末器17の電池残量を検出する電池残量検出部17Cを、携帯端末器17に設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば充電器18に電池残量検出部を設ける構成としてもよい。
また、実施の形態では、係員Mに対する報知を行う報知手段を、携帯端末器17に設けられた表示画面17Aによって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばタンクローリ車8に設けられた表示画面、音声合成装置等によって報知手段を構成してもよい。
また、本発明の携帯端末器17の表示画面17Aには、電池残量の数値が表示されてもよい。また、携帯端末器17の電池残量と前述した荷卸し作業に必要な消費電力量との関係から、荷卸し作業が可能か否か(例えば、「荷卸し○」とか「荷卸し×」等)を表示画面17Aに表示させてもよい。さらに、電池残量が荷卸し作業に必要な所定値未満となって携帯端末器17を充電する場合には、電池残量が荷卸し作業に必要な所定値を超えるまでの所要充電時間を、表示画面17Aに表示させてもよい。これにより、係員の荷卸し作業に関する作業性の向上が図られる。