JP2019206269A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】上位制御装置による操舵介入に対して適切に対応することができる操舵制御装置を提供する。【解決手段】補正処理部85は、車両が横断勾配を有する曲線道路である第1の傾斜路を走行しているときには理想軸力の演算に使用する目標ピニオン角θp*を補正量θc*だけ増加させる一方、車両が横断勾配を有する直線道路である第2の傾斜路を走行しているときには理想軸力の演算に使用する目標ピニオン角θp*を補正量θc*だけ減少させる。補正処理部85は横断勾配に沿った方向の重力成分Gaと補正量θc*との関係を規定する第1および第2のマップM1,M2を使用して重力成分Gaに応じた補正量θc*を演算する。補正処理部85は上位制御装置が操舵制御に介入する際に生成する配分指令DRaに基づき補正量θc*の分配比率DRmを演算し、この分配比率DRmを補正前の補正量θc*に乗算することにより最終的な補正量θc*を演算する。【選択図】図7

Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
従来、ステアリングホイールと転舵輪との間の動力伝達を機械的に分離した、いわゆるステアバイワイヤ方式の操舵装置が知られている。この操舵装置は、ステアリングシャフトに付与される操舵反力の発生源である反力モータ、および転舵輪を転舵させる転舵力の発生源である転舵モータを有している。車両が走行しているとき、操舵装置の制御装置は、反力モータを通じて操舵反力を発生させる反力制御を実行するとともに、転舵モータを通じて転舵輪を転舵させる転舵制御を実行する。
ここで、ステアバイワイヤ方式の操舵装置においては、ステアリングホイールと転舵輪との間の動力伝達が機械的に分離されているため、転舵輪に作用する路面反力がステアリングホイールに伝わりにくい。したがって、運転者は路面状況を、ステアリングホイールを通じて手に感じる操舵反力(手応え)として感じにくい。
そこで、たとえば特許文献1に記載の操舵制御装置は、操舵角に基づく理想的なラック軸力であるフィードフォワード軸力と、車両の状態量(横加速度、転舵電流、およびヨーレート)に基づく推定軸力であるフィードバック軸力とを演算する。操舵制御装置は、フィードフォワード軸力およびフィードバック軸力に所定の配分比率を乗算した値を合算することにより最終的な軸力を演算し、この最終的な軸力に基づき反力モータを制御する。フィードバック軸力には路面状態(路面情報)が反映されるため、反力モータにより発生される操舵反力にも路面状態が反映される。したがって、運転者は、路面状態を操舵反力として感じることができる。
特開2014−148299号公報
従来、車両の安全性あるいは利便性をより向上させるための様々な運転支援機能を実現するための運転支援システムの開発が進められている。近年では、システムが運転を代替する自動運転機能を実現するための自動運転システムの開発も盛んに行われている。運転支援システムあるいは自動運転システムの制御装置(以下、「上位制御装置」という。)は、その時々の車両の状態に基づき最適な制御方法を求め、その求められる制御方法に応じて各車載システムの制御装置に対して個別の制御を指令する。操舵制御装置は、上位制御装置により生成される指令値に基づき反力モータおよび転舵モータの駆動を制御する。
運転支援システムあるいは自動運転システムが車両に搭載される場合、つぎのようなことが懸念される。たとえば反力モータが発生する操舵反力は、ステアリングホイールの挙動にも影響を及ぼす。このため、運転者によって手動運転が行われるときと、運転支援あるいは自動運転が行われるときとで、操舵制御装置が実行する反力制御に対する要求が異なることがある。しかし、特許文献1の操舵制御装置では、たとえば手動運転時と上位制御装置による操舵介入時とで車両の状態量に基づくフィードバック軸力が同じように演算されるため、反力モータが発生する操舵反力にも常に同じように路面状態が反映される。したがって、上位制御装置による操舵介入時の要求に応じた操舵反力、ひいてはステアリングホイールの挙動が得られないおそれがある。
本発明の目的は、上位制御装置による操舵介入に対して適切に対応することができる操舵制御装置を提供することにある。
上記目的を達成し得る操舵制御装置は、車両の操舵機構に付与される駆動力の発生源であるモータを操舵状態に応じて演算される指令値に基づき制御する。操舵制御装置は、第1の演算部、第2の演算部、第3の演算部、第4の演算部、第5の演算部、第6の演算部を有している。第1の演算部は、ステアリングホイールに印加される操舵トルクに応じて前記指令値の第1の成分を演算する。第2の演算部は、前記ステアリングホイールの操作に連動して回転する回転体の目標回転角を前記操舵トルクおよび前記第1の成分の少なくとも一方を含む入力トルクに基づき演算する。第3の演算部は、前記回転体の実際の回転角を前記目標回転角に一致させるフィードバック制御を通じて前記指令値の第2の成分を演算する。第4の演算部は、転舵輪に作用する理想的な軸力であって前記入力トルクに反映させる軸力である理想軸力を前記目標回転角に基づき演算する。第5の演算部は、道路の路線直角方向の勾配である横断勾配に応じて、前記理想軸力を、車両直進状態に対応する前記理想軸力の中立値を基準として、前記横断勾配に沿った方向であって前記横断勾配に起因して車両が道路から逸れていく側と反対側である特定の方向へオフセットさせる。第6の演算部は、上位制御装置が操舵制御に介入する際に生成するものであって操舵制御に対する前記上位制御装置の介入度合いを示す配分指令に基づき、前記理想軸力のオフセット量を変更する。
車両が横断勾配を有する道路を走行する場合、ステアリングホイールの操作が行われないと、道路の横断勾配に起因して車両が道路から逸れていくおそれがある。
上記の操舵制御装置によれば、車両が横断勾配を有する道路を走行している場合、道路の路線直角方向の勾配である横断勾配に応じて、前記理想軸力が、車両直進状態に対応する前記理想軸力の中立値を基準として、前記横断勾配に沿った方向において前記横断勾配に起因して車両が道路から逸れていく側と反対側へオフセットされる。
このため、車両が横断勾配を有する道路を走行している場合、ステアリングホイールが操作されないときであれ、理想軸力、ひいては入力トルクは零にならず、当該入力トルクに基づき目標回転角が演算される。そして、回転体の回転角を目標回転角に一致させるフィードバック制御を通じて、道路の横断勾配に応じた回転体の回転角、ひいてはステアリングホイールの回転角である舵角が実現される。このときの回転体の回転角およびステアリングホイールの舵角は、車両直進状態に対応する角度の中立値を基準として、前記横断勾配に沿った方向であって前記横断勾配に起因して車両が道路から逸れていく側と反対側である特定の方向へオフセットされた角度となる。したがって、車両が横断勾配を有する道路を走行する場合、たとえステアリングホイールに操舵トルクが加えられなくても、道路の横断勾配に応じた舵角が実現されることによって、適切な操舵フィーリングを得ることができる。
ここで、上位制御装置が操舵制御に介入するときとしないときとで、モータが発生する駆動力に対する要求が異なることがある。これは、操舵機構に付与される駆動力は、たとえばステアリングホイールの挙動にも影響を及ぼすためである。
この点、上記の構成によれば、車両が横断勾配を有する道路を走行している場合、上位制御装置が操舵制御に介入するとき、この上位制御装置が生成する配分指令に基づき、理想軸力のオフセット量が変更される。すなわち、本来路面状態が反映されない理想軸力に対して道路の横断勾配を路面状態として反映させる度合い(オフセット量)が、操舵制御に対する上位制御装置の介入度合い(配分指令)に応じて変更される。これにより、車両が横断勾配を有する道路を走行している場合、上位制御装置が操舵制御に介入するときとしないときとで、目標回転角の演算に使用される入力トルク、ひいては目標回転角の値が変わる。このため、車両が横断勾配を有する道路を走行している場合、上位制御装置が操舵制御に介入するとき、モータは配分指令に応じた駆動力を発生する。その結果、ステアリングホイールの挙動についても配分指令に応じたものとなる。したがって、上位制御装置による操舵制御への介入に対して適切に対応することができる。
上記の操舵制御装置において、前記第5の演算部は、前記第4の演算部において前記理想軸力の演算に使用される前記目標回転角に対して、前記横断勾配に応じて演算される補正角度を加算することにより、前記理想軸力を前記特定の方向へオフセットさせるものであってもよい。この場合、前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正角度を変更することにより、前記理想軸力のオフセット量を変更することが好ましい。
上記の操舵制御装置において、前記第5の演算部は、前記第4の演算部において演算される前記理想軸力に対して、前記横断勾配に応じて演算される補正軸力を加算することにより、前記理想軸力を前記特定の方向へオフセットさせるものであってもよい。この場合、前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正軸力を変更することにより、前記理想軸力のオフセット量を変更することが好ましい。
上記の操舵制御装置において、前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正角度の分配比率を演算し、当該演算される分配比率を前記第5の演算部により演算される前記補正角度に乗算することにより最終的な前記補正角度を演算するようにしてもよい。
上記の操舵制御装置において、前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正軸力の分配比率を演算し、当該演算される分配比率を前記第5の演算部により演算される前記補正軸力に乗算することにより最終的な前記補正軸力を演算するようにしてもよい。
本発明の操舵制御装置によれば、上位制御装置による操舵介入に対して適切に対応することができる。
操舵制御装置の第1の実施の形態が搭載されるステアバイワイヤ方式の操舵装置の構成図。 第1の実施の形態における制御装置の制御ブロック図。 第1の実施の形態における目標舵角演算部の制御ブロック図。 第1の実施の形態における車両モデルの制御ブロック図。 (a)は第1の傾斜路を走行する車両の走行軌跡を示す模式図、(b)は第2の傾斜路を走行する車両の走行軌跡を示す模式図。 第1の実施の形態における車両に作用する力を説明する車両の模式図。 第1の実施の形態における補正処理部の制御ブロック図。 (a)は、第1の実施の形態における路面勾配による重力成分と補正量との関係を示す第1のマップを示すグラフ、(b)は、第1の実施の形態における路面勾配による重力成分と補正量との関係を示す第2のマップを示すグラフ。 (a)は、第1の実施の形態における目標ピニオン角と理想軸力との関係を示すグラフ、(b)は、第1の実施の形態における操舵角と操舵トルクとの関係を示すグラフ。 第3の実施の形態における補正処理部の制御ブロック図。 第4の実施の形態における補正処理部の制御ブロック図。 第5の実施の形態における車両モデルの制御ブロック図。 第5の実施の形態における軸力配分演算部の制御ブロック図。
<第1の実施の形態>
操舵制御装置をステアバイワイヤ方式の操舵装置に適用した第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、車両の操舵装置10は、ステアリングホイール11に連結されたステアリングシャフト12を有している。ステアリングシャフト12は操舵機構を構成する。また、操舵装置10は、車幅方向(図1中の左右方向)に沿って延びる転舵シャフト14を有している。転舵シャフト14の両端には、それぞれタイロッド15,15を介して左右の転舵輪16,16が連結されている。転舵シャフト14が直線運動することにより、転舵輪16,16の転舵角θが変更される。
<操舵反力を発生させるための構成:反力ユニット>
また、操舵装置10は、操舵反力を生成するための構成として、反力モータ31、減速機構32、回転角センサ33、およびトルクセンサ34を有している。ちなみに、操舵反力とは、運転者によるステアリングホイール11の操作方向と反対方向へ向けて作用する力(トルク)をいう。操舵反力をステアリングホイール11に付与することにより、運転者に適度な手応え感を与えることが可能である。
反力モータ31は、操舵反力の発生源である。反力モータ31としてはたとえば三相(U,V,W)のブラシレスモータが採用される。反力モータ31(正確には、その回転軸)は、減速機構32を介して、ステアリングシャフト12に連結されている。反力モータ31のトルクは、操舵反力としてステアリングシャフト12に付与される。
回転角センサ33は反力モータ31に設けられている。回転角センサ33は、反力モータ31の回転角θを検出する。反力モータ31の回転角θは、舵角(操舵角)θの演算に使用される。反力モータ31とステアリングシャフト12とは減速機構32を介して連動する。このため、反力モータ31の回転角θとステアリングシャフト12の回転角、ひいてはステアリングホイール11の回転角である舵角θとの間には相関がある。したがって、反力モータ31の回転角θに基づき舵角θを求めることができる。
トルクセンサ34は、ステアリングホイール11の回転操作を通じてステアリングシャフト12に加わる操舵トルクTを検出する。トルクセンサ34は、ステアリングシャフト12における減速機構32よりもステアリングホイール11側の部分に設けられている。
<転舵力を発生させるための構成:転舵ユニット>
また、操舵装置10は、転舵輪16,16を転舵させるための動力である転舵力を生成するための構成として、転舵モータ41、減速機構42、および回転角センサ43を有している。
転舵モータ41は転舵力の発生源である。転舵モータ41としては、たとえば三相のブラシレスモータが採用される。転舵モータ41(正確には、その回転軸)は、減速機構42を介してピニオンシャフト44に連結されている。ピニオンシャフト44のピニオン歯44aは、転舵シャフト14のラック歯14bに噛み合わされている。転舵モータ41のトルクは、転舵力としてピニオンシャフト44を介して転舵シャフト14に付与される。転舵モータ41の回転に応じて、転舵シャフト14は車幅方向(図中の左右方向)に沿って移動する。
回転角センサ43は転舵モータ41に設けられている。回転角センサ43は転舵モータ41の回転角θを検出する。
ちなみに、操舵装置10は、ピニオンシャフト13を有している。ピニオンシャフト13は、転舵シャフト14に対して交わるように設けられている。ピニオンシャフト13のピニオン歯13aは、転舵シャフト14のラック歯14aに噛み合わされている。ピニオンシャフト13を設ける理由は、ピニオンシャフト44と共に転舵シャフト14をハウジング(図示略)の内部に支持するためである。すなわち、操舵装置10に設けられる支持機構(図示略)によって、転舵シャフト14は、その軸方向に沿って移動可能に支持されるとともに、ピニオンシャフト13,44へ向けて押圧される。これにより、転舵シャフト14はハウジングの内部に支持される。ただし、ピニオンシャフト13を使用せずに転舵シャフト14をハウジングに支持する他の支持機構を設けてもよい。
<制御装置>
また、操舵装置10は、制御装置50を有している。制御装置50は、各種のセンサの検出結果に基づき反力モータ31、および転舵モータ41を制御する。センサとしては、前述した回転角センサ33、トルクセンサ34および回転角センサ43に加えて、車速センサ501、横加速度センサ502、およびヨーレートセンサ503がある。車速センサ501は、車両に設けられて車両の走行速度である車速Vを検出する。横加速度センサ502は、車両に作用する横加速度LAを検出する。横加速度LAとは、車両が旋回するとき、車両の進行方向に対して直交する方向の加速度をいう。ヨーレートセンサ503は、車両に作用するヨーレートYRを検出する。ヨーレートYRとは、車両の重心点を通る鉛直軸まわりの回転角速度をいう。
制御装置50は、反力モータ31の駆動制御を通じて操舵トルクTに応じた操舵反力を発生させる反力制御を実行する。制御装置50は操舵トルクTおよび車速Vに基づき目標操舵反力を演算し、この演算される目標操舵反力、操舵トルクTおよび車速Vに基づきステアリングホイール11の目標操舵角を演算する。制御装置50は、実際の舵角θを目標操舵角に追従させるべく実行される舵角θのフィードバック制御を通じて舵角補正量を演算し、この演算される舵角補正量を目標操舵反力に加算することにより操舵反力指令値を演算する。制御装置50は、操舵反力指令値に応じた操舵反力を発生させるために必要とされる電流を反力モータ31へ供給する。
制御装置50は、転舵モータ41の駆動制御を通じて転舵輪16,16を操舵状態に応じて転舵させる転舵制御を実行する。制御装置50は、回転角センサ43を通じて検出される転舵モータ41の回転角θに基づきピニオンシャフト44の実際の回転角であるピニオン角θを演算する。このピニオン角θは、転舵輪16,16の転舵角θを反映する値である。制御装置50は、前述した目標操舵角を使用して目標ピニオン角を演算する。そして制御装置50は、目標ピニオン角と実際のピニオン角θとの偏差を求め、当該偏差を無くすように転舵モータ41に対する給電を制御する。
ここで、車両には、安全でより良い運転を実現するために運転者の運転操作を支援する運転支援システム、あるいはシステムが運転を代替する自動運転機能を実現する自動運転システムが搭載されることがある。この場合、車両においては、制御装置50と他の車載システムの制御装置との協調制御が行われる。協調制御とは、複数種の車載システムの制御装置が互いに連携して車両の動きを制御する技術をいう。車両には、たとえば各種の車載システムの制御装置を統括制御する上位制御装置500が搭載される。上位制御装置500は、その時々の車両の状態に基づき最適な制御方法を求め、その求められる制御方法に応じて各種の車載制御装置に対して個別の制御を指令する。
上位制御装置500は、制御装置50による操舵制御に介入する。上位制御装置500は、運転席などに設けられる図示しないスイッチの操作を通じて、自己の運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能をオン(有効)とオフ(無効)との間で切り替える。
上位制御装置500は、たとえば車両に目標車線上を走行させるための指令値Sとして付加角度指令値を演算する。付加角度指令値は、その時々の車両の走行状態に応じて、車両を車線に沿って走行させるために必要とされる操舵角の目標値(現在の操舵角に付加すべき角度)である。制御装置50は、上位制御装置500により演算される指令値Sを使用して反力モータ31および転舵モータ41を制御する。
また、上位制御装置500は、制御装置50に対する配分指令DRとしてフラグを生成する。フラグは、運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能がオンであるかオフであるかを示す情報である。上位制御装置500は、運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能がオンであるときにはフラグの値を「1」に、運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能がオフであるときにはフラグの値を「0」にセットする。フラグは、車両の運転に対するシステムの関与の度合い(ここでは、操舵制御に対する上位制御装置500の介入度合い)を示す情報でもある。フラグの値が「1」であるとき、車両の運転に対するシステムの関与の度合いは100%である。フラグの値が「0」であるとき、車両の運転に対するシステムの関与の度合いは0%である。
<制御装置の詳細構成>
つぎに、制御装置50について詳細に説明する。
図2に示すように、制御装置50は、反力制御を実行する反力制御部50a、および転舵制御を実行する転舵制御部50bを有している。
<反力制御部>
反力制御部50aは、目標操舵反力演算部51、目標舵角演算部52、舵角演算部53、舵角フィードバック制御部54、加算器55、および通電制御部56を有している。
目標操舵反力演算部51は、操舵トルクTおよび車速Vに基づき目標操舵反力T を演算する。
目標舵角演算部52は、目標操舵反力T 、操舵トルクTおよび車速Vを使用してステアリングホイール11の目標舵角θを演算する。目標舵角演算部52は、目標操舵反力T および操舵トルクTの総和を入力トルクとするとき、この入力トルクに基づいて理想的な舵角(操舵角)を定める理想モデルを有している。この理想モデルは、ステアリングホイール11と転舵輪16,16との間が機械的に連結されている操舵装置を前提として、入力トルクに応じた理想的な転舵角に対応する舵角を予め実験などによりモデル化したものである。目標舵角演算部52は、目標操舵反力T と操舵トルクTとを加算することにより入力トルクを求め、この入力トルクから理想モデルに基づいて目標舵角θ(目標操舵角)を演算する。
舵角演算部53は、回転角センサ33を通じて検出される反力モータ31の回転角θに基づきステアリングホイール11の実際の舵角θを演算する。舵角フィードバック制御部54は、実際の舵角θを目標舵角θに追従させるべく舵角θのフィードバック制御を通じて舵角補正量T を演算する。加算器55は、目標操舵反力T に舵角補正量T を加算することにより操舵反力指令値Tを算出する。
通電制御部56は、操舵反力指令値Tに応じた電力を反力モータ31へ供給する。具体的には、通電制御部56は、操舵反力指令値Tに基づき反力モータ31に対する電流指令値を演算する。また、通電制御部56は、反力モータ31に対する給電経路に設けられた電流センサ57を通じて、当該給電経路に生じる実際の電流値Iを検出する。この電流値Iは、反力モータ31に供給される実際の電流の値である。そして通電制御部56は、電流指令値と実際の電流値Iとの偏差を求め、当該偏差を無くすように反力モータ31に対する給電を制御する(電流Iのフィードバック制御)。これにより、反力モータ31は操舵反力指令値Tに応じたトルクを発生する。運転者に対して路面反力に応じた適度な手応え感を与えることが可能である。
ちなみに、上位制御装置500による運転支援制御または自動運転制御の実行を通じて、指令値Sとして付加角度指令値が演算される場合、指令値Sは目標舵角演算部52により演算される目標舵角θに加算される。
<転舵制御部>
図2に示すように、転舵制御部50bは、ピニオン角演算部61、舵角比変更制御部62、微分ステアリング制御部63、ピニオン角フィードバック制御部64、および通電制御部65を有している。
ピニオン角演算部61は、回転角センサ43を通じて検出される転舵モータ41の回転角θに基づきピニオンシャフト44の実際の回転角であるピニオン角θを演算する。前述したように、転舵モータ41とピニオンシャフト44とは減速機構42を介して連動する。このため、転舵モータ41の回転角θとピニオン角θとの間には相関関係がある。この相関関係を利用して転舵モータ41の回転角θからピニオン角θを求めることができる。さらに、これも前述したように、ピニオンシャフト44は、転舵シャフト14に噛合されている。このため、ピニオン角θと転舵シャフト14の移動量との間にも相関関係がある。すなわち、ピニオン角θは、転舵輪16,16の転舵角θを反映する値である。
舵角比変更制御部62は、車両の走行状態(たとえば車速V)に応じて舵角θに対する転舵角θの比である舵角比を設定し、この設定される舵角比に応じて目標ピニオン角を演算する。舵角比変更制御部62は、車速Vが遅くなるほど舵角θに対する転舵角θがより大きくなるように、また車速Vが速くなるほど舵角θに対する転舵角θがより小さくなるように、目標ピニオン角θ を演算する。舵角比変更制御部62は、車両の走行状態に応じて設定される舵角比を実現するために、目標舵角θに対する補正角度を演算し、この演算される補正角度を目標舵角θに加算することにより舵角比に応じた目標ピニオン角θ を演算する。
微分ステアリング制御部63は、目標ピニオン角θ を微分することにより目標ピニオン角θ の変化速度(転舵速度)を演算する。また、微分ステアリング制御部63は、目標ピニオン角θ の変化速度にゲインを乗算することにより目標ピニオン角θ に対する補正角度を演算する。微分ステアリング制御部63は、補正角度を目標ピニオン角θ に加算することにより最終的な目標ピニオン角θ を演算する。舵角比変更制御部62により演算される目標ピニオン角θ の位相が進められることにより、転舵遅れが改善される。すなわち、転舵速度に応じて転舵応答性が確保される。
ピニオン角フィードバック制御部64は、実際のピニオン角θを、微分ステアリング制御部63により演算される最終的な目標ピニオン角θ に追従させるべくピニオン角θのフィードバック制御(PID制御)を通じてピニオン角指令値T を演算する。
通電制御部65は、ピニオン角指令値T に応じた電力を転舵モータ41へ供給する。具体的には、通電制御部65は、ピニオン角指令値T に基づき転舵モータ41に対する電流指令値を演算する。また、通電制御部65は、転舵モータ41に対する給電経路に設けられた電流センサ66を通じて、当該給電経路に生じる実際の電流値Iを検出する。この電流値Iは、転舵モータ41に供給される実際の電流の値である。そして通電制御部65は、電流指令値と実際の電流値Iとの偏差を求め、当該偏差を無くすように転舵モータ41に対する給電を制御する(電流Iのフィードバック制御)。これにより、転舵モータ41はピニオン角指令値T に応じた角度だけ回転する。
<目標舵角演算部>
つぎに、目標舵角演算部52について詳細に説明する。
前述したように、目標舵角演算部52は、目標操舵反力T および操舵トルクTの総和である入力トルクから理想モデルに基づいて目標舵角θを演算する。この理想モデルは、ステアリングシャフト12に印加されるトルクとしての入力トルクTin が、次式(1)で表されることを利用したモデルである。
in =Jθ*′′+Cθ*′+Kθ …(1)
ただし、「J」はステアリングホイール11およびステアリングシャフト12の慣性モーメント、「C」は転舵シャフト14のハウジングに対する摩擦などに対応する粘性係数(摩擦係数)、「K」はステアリングホイール11およびステアリングシャフト12をそれぞればねとみなしたときのばね係数である。
式(1)から分かるように、入力トルクTin は、目標舵角θの二階時間微分値θ*′′に慣性モーメントJを乗じた値、目標舵角θの一階時間微分値θ′に粘性係数Cを乗じた値、および目標舵角θにばね係数Kを乗じた値を加算することによって得られる。目標舵角演算部52は、式(1)に基づく理想モデルに従って目標舵角θを演算する。
図3に示すように、式(1)に基づく理想モデルは、ステアリングモデル71、および車両モデル72に分けられる。
ステアリングモデル71は、ステアリングシャフト12および反力モータ31など、操舵装置10の各構成要素の特性に応じてチューニングされる。ステアリングモデル71は、加算器73、減算器74、慣性モデル75、第1の積分器76、第2の積分器77および粘性モデル78を有している。
加算器73は、目標操舵反力T と操舵トルクTとを加算することにより入力トルクTin を演算する。
減算器74は、加算器73により算出される入力トルクTin から後述する粘性成分Tvi およびばね成分Tsp をそれぞれ減算することにより、最終的な入力トルクTin を演算する。
慣性モデル75は、式(1)の慣性項に対応する慣性制御演算部として機能する。慣性モデル75は、減算器74により算出される最終的な入力トルクTin に慣性モーメントJの逆数を乗ずることにより、舵角加速度αを演算する。
第1の積分器76は、慣性モデル75により算出される舵角加速度αを積分することにより、舵角速度ωを演算する。
第2の積分器77は、第1の積分器76により算出される舵角速度ωをさらに積分することにより、目標舵角θを演算する。目標舵角θは、ステアリングモデル71に基づくステアリングホイール11(ステアリングシャフト12)の理想的な回転角である。
粘性モデル78は、式(1)の粘性項に対応する粘性制御演算部として機能する。粘性モデル78は、第1の積分器76により算出される舵角速度ωに粘性係数Cを乗ずることにより、入力トルクTin の粘性成分Tvi を演算する。
車両モデル72は、操舵装置10が搭載される車両の特性に応じてチューニングされる。操舵特性に影響を与える車両側の特性は、たとえばサスペンションおよびホイールアライメントの仕様、および転舵輪16,16のグリップ力(摩擦力)などにより決まる。車両モデル72は、式(1)のばね項に対応するばね特性制御演算部として機能する。車両モデル72は、第2の積分器77により算出される目標舵角θにばね係数Kを乗ずることにより、入力トルクTin のばね成分Tsp (トルク)を演算する。
このように構成した目標舵角演算部52によれば、ステアリングモデル71の慣性モーメントJおよび粘性係数C、ならびに車両モデル72のばね係数Kをそれぞれ調整することによって、入力トルクTin と目標舵角θとの関係を直接的にチューニングすること、ひいては所望の操舵特性を実現することができる。
また、目標ピニオン角θ は、入力トルクTin からステアリングモデル71および車両モデル72に基づき演算される目標舵角θが使用されて演算される。そして、実際のピニオン角θが目標ピニオン角θ に一致するようにフィードバック制御される。前述したように、ピニオン角θと転舵輪16,16の転舵角θとの間には相関関係がある。このため、入力トルクTin に応じた転舵輪16,16の転舵動作もステアリングモデル71および車両モデル72により定まる。すなわち、車両の操舵感がステアリングモデル71および車両モデル72により決まる。したがって、ステアリングモデル71および車両モデル72を調整することにより所望の操舵感を実現することが可能となる。
<車両モデル>
図4に示すように、車両モデル72は、理想軸力演算部81、および換算部84を有している。
理想軸力演算部81は、目標ピニオン角θ に基づき、転舵輪16,16を通じて転舵シャフト14に作用する軸力の理想値である理想軸力F1を演算する。理想軸力演算部81は、制御装置50の図示しない記憶装置に格納された理想軸力マップを使用して理想軸力F1を演算する。理想軸力F1は、目標ピニオン角θ (あるいは目標ピニオン角θ に所定の換算係数を乗算することにより得られる目標転舵角)の絶対値が増大するほど、また車速Vが遅いほど、より大きな絶対値に設定される。なお、車速Vは必ずしも考慮しなくてもよい。
換算部84は、理想軸力演算部81により演算される理想軸力F1に基づき入力トルクTin に対するばね成分Tsp を演算(換算)する。この理想軸力F1に基づくばね成分Tsp が入力トルクTin に反映されることによって、目標ピニオン角θ に応じた操舵反力をステアリングホイール11に付与することが可能となる。
<車両が傾斜路を走行する場合>
ここで、車両が横断勾配(道路の路線直角方向の勾配)を有する曲線状の傾斜路を走行する場合について検討する。
まず比較例として、舵角θのフィードバック機能およびピニオン角θのフィードバック機構を有さない操舵装置として電動パワーステアリング装置が搭載された車両が曲線状の傾斜路を走行する場合について説明する。ここでは、ステアリングホイール11と転舵輪16との間が機械的に連結されていることを前提とする。この場合、車両に作用する力(重力、遠心力)の釣り合いにより、ステアリングホイール11が運転者によって操舵されなくても、ステアリングホイールの操舵位置および転舵輪16の転舵位置は、傾斜路の傾斜に応じた位置へ向けて変化する。このため、車両が曲線状の傾斜路を走行している場合、運転者はステアリングホイール11を大きく操舵する必要がない。
これに対して、舵角θのフィードバック機能およびピニオン角θのフィードバック機能を有する操舵装置10が搭載された車両が傾斜路を走行する場合、つぎのような走行状態が想定される。ここでは車両が、曲線状に延びる第1の傾斜路(いわゆるバンク路)、および直線状に延びる第2の傾斜路(いわゆるカント路)を走行する場合について検討する。
図5(a)に示すように、まず車両90が第1の傾斜路91aを走行する場合について説明する。ここでは、第1の傾斜路91aは車両90の進行方向に対して左へカーブしている。また、第1の傾斜路91aの路面は、その横断勾配に沿った方向におけるカーブの外側から内側へ向けて徐々に低くなるように傾斜している。
この場合、運転者がステアリングホイール11に力(操舵トルクT)を加えて保舵し続けないと、図5(a)に二点鎖線の矢印B1で示されるように、車両90は、第1の傾斜路91aにおける路線92に沿った走行を維持できずに直進し、第1の傾斜路91aを外側へ向けて駆けあがっていくかたちで走行する。
これはつぎの理由による。すなわち、目標ピニオン角θ に基づき演算される理想軸力F1は、車両に作用する力の釣り合いを無視した軸力である。このため、理想軸力F1を前提とした反力制御下で車両が曲線状の傾斜路を走行する場合、運転者がステアリングホイール11に操舵トルクTを加えないと、ステアリングホイール11の操舵位置および転舵輪16の転舵位置が傾斜路の傾斜(横断勾配)に応じた位置とならず、中立位置に戻される。
図5(b)に示すように、つぎに車両90が第2の傾斜路91bを走行する場合について説明する。第2の傾斜路91bの路面は、車両90の進行方向に対して右側から左側へ向けて徐々に低くなるように傾斜している。
この場合、運転者がステアリングホイール11に力を加えて保舵し続けないと、図5(b)に二点鎖線の矢印B2で示されるように、車両90は、第2の傾斜路91bにおける路線92に沿った走行を維持できず、前進するにつれて徐々に第2の傾斜路91bの高さが低い側へ向けて下っていくかたちで走行する。これは、車両90が路面の傾斜の影響を受けるからである。
このように、車両90が第1の傾斜路91aを走行する場合であれ、第2の傾斜路91bを走行する場合であれ、運転者は車両90を路線92に沿って走行させるために、ステアリングホイール11に路面の傾斜に応じた力を加えて保舵し続ける必要がある。このため、運転者は適切な操舵フィーリングが得られないおそれがある。
そこで、本実施の形態では、車両が傾斜路を走行する場合、ステアリングホイール11の操舵位置(舵角θ)および転舵輪16の転舵位置(転舵角θ)を傾斜路の傾斜に応じた位置にするために、車両モデル72として、つぎの構成を採用している。
すなわち図4に示すように、車両モデル72は、補正処理部85を有している。補正処理部85は、傾斜路の傾斜度合いに応じて目標ピニオン角θ を補正する。この補正対象となる目標ピニオン角θ は、理想軸力演算部81において理想軸力F1の演算に使用されるものである。補正対象となる目標ピニオン角θ として、舵角比変更制御部62により演算される値、および微分ステアリング制御部63により演算される値のいずれの値を使用してもよいところ、本実施の形態では舵角比変更制御部62により演算される目標ピニオン角θ を使用する。
補正処理部85は、傾斜路上の車両に作用する重力の路面勾配(車幅方向)に沿った方向の成分に基づき、傾斜路の傾斜度合いを認識し、当該認識される傾斜度合いに応じて目標ピニオン角θ を補正する。
図6に示すように、傾斜路上の車両に作用する重力の路面勾配に沿った方向の成分である重力成分Gは、次式(2)で表される。
=G・sinβ …(2)
ただし、「G」は重力加速度、「β」は傾斜路における路面の水平面に対する傾斜角度である。
式(2)によれば、路面の傾斜角度βが大きくなるほど重力成分Gはより大きな値に、傾斜角度βが小さくなるほど重力成分Gはより小さな値になることが分かる。すなわち、重力成分Gは、傾斜路の傾斜度合いを反映する値である。
補正処理部85は、実際には重力成分Gを次式(3)に基づき演算する。
=LA−YR・V …(3)
ただし、「LA」は横加速度、「V」は車速、「YR」はヨーレートである。
ちなみに、式(3)は、横加速度LAが次式(4)で表されること、および車両に作用する遠心加速度αが次式(5)で表されることに基づき導出される。すなわち、式(5)を式(4)に適用し、当該式(4)を重力成分Gについて解くことにより式(3)が得られる。
LA=α+G …(4)
α=YR・V …(5)
ただし、「α」は遠心加速度、「G」は車両に作用する路面勾配に沿った方向の重力成分、「YR」はヨーレート、「V」は車速である。
<補正処理部>
つぎに、補正処理部85の構成を詳細に説明する。
図7に示すように、補正処理部85は、乗算器101、減算器102、補正量演算部103、ゲイン演算部104、乗算器105、および加算器106を有している。
乗算器101は、ヨーレートセンサ503を通じて検出されるヨーレートYRと、車速センサ501を通じて検出される車速Vとを乗算することにより、遠心加速度αを演算する。これは、先の式(5)に基づく。
減算器102は、横加速度センサ502を通じて検出される横加速度LAから、乗算器101により演算される遠心加速度αを減算することにより、路面勾配による重力成分Gを演算する。これは、先の式(3),(5)に基づく。
補正量演算部103は、減算器102により演算される路面勾配による重力成分G、およびヨーレートセンサ503を通じて検出されるヨーレートYRに基づき、目標ピニオン角θ に対する補正量θ (補正角度)を演算する。
ゲイン演算部104は、車速センサ501を通じて検出される車速Vに基づき、補正量θ に対するゲインGを演算する。ゲイン演算部104は、車速Vが速くなるほどより大きな値のゲインGを演算する。
乗算器105は、補正量演算部103により演算される補正量θ と、ゲイン演算部104により演算されるゲインGとを乗算することにより、最終的な補正量θ を演算する。
加算器106は、理想軸力F1の演算に使用される目標ピニオン角θ に対する補正処理として、当該目標ピニオン角θ と、乗算器105により演算される最終的な補正量θ とを加算することにより、理想軸力演算部81において理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ を演算する。
<補正量演算マップ>
補正量演算部103は、第1のマップM1および第2のマップM2を使用して、補正量θ を演算する。第1のマップM1および第2のマップM2は、制御装置50の図示しない記憶装置に格納されている。
図8(a)に示すように、第1のマップM1は、横軸を路面勾配による重力成分Ga、縦軸を補正量θ とするマップであって、路面勾配による重力成分Gaと補正量θ との関係を規定する。第1のマップM1は、つぎの特性を有する。すなわち、重力成分Gaが正の値である場合、補正量θ は正の値となる。重力成分Gaが正の値である場合、重力成分Gaの絶対値の増加に対して、補正量θ の値は正の方向へ指数関数的に増加する。また、重力成分Gaが負の値である場合、補正量θ は負の値となる。重力成分Gaが負の値である場合、重力成分Gaの絶対値の増加に対して、補正量θ の値は負の方向へ指数関数的に増加する。
図8(b)に示すように、第2のマップM2も、横軸を路面勾配による重力成分G、縦軸を補正量θ とするマップであって、路面勾配による重力成分Gと補正量θ との関係を規定する。第2のマップM2は、つぎの特性を有する。すなわち、重力成分Gaが正の値である場合、補正量θ は負の値となる。重力成分Gaが正の値である場合、重力成分Gaの絶対値の増加に対して、補正量θ の値は負の方向へ指数関数的に増加し、やがて負の値−Pに収束する(頭打ちとなる)。また、重力成分Gaが負の値である場合、補正量θ は正の値となる。重力成分Gaが負の値である場合、重力成分Gaの絶対値の増加に対して、補正量θ の値は正の方向へ指数関数的に増加し、やがて正の値+Pに収束する。
補正量演算部103は、ヨーレートYRがしきい値YRth以上である場合、図8(a)に示される第1のマップM1を使用し、ヨーレートYRがしきい値YRth未満である場合には図8(b)に示される第2のマップM2を使用する。しきい値YRthは、車両が曲線状の第1の傾斜路91aおよび直線状の第2の傾斜路91bのいずれを走行しているのかを区別するために設定されている。すなわち、ヨーレートYRは、車両の重心点を通る鉛直軸まわりの回転角速度である。このため、ヨーレートYRは、基本的には車両が旋回運動を行うことがない直線状の道路を走行するときよりも、車両が旋回運動を行う曲線状の道路を走行するときの方が大きな値となる。したがって、ヨーレートYRに基づき、車両が曲線状の第1の傾斜路91aを走行しているのか、直線状の第2の傾斜路91bを走行しているのかを判定することができる。しきい値YRthは、たとえば車両が曲線状の第1の傾斜路91aを走行しているときのヨーレートYRよりも小さな値、かつ車両が直線状の第2の傾斜路91bを走行しているときのヨーレートYRよりも大きな値に設定される。
<補正処理部の作用>
つぎに、道路の形状に応じた補正処理部85の作用を説明する。ここでは、車両が平坦路、第1の傾斜路91a、および第2の傾斜路91bを走行する場合について順番に説明する。
<車両が平坦路を走行する場合>
車両が横断勾配を有さない平坦路を走行する場合、路面勾配による重力成分Gは「0(零)」となる。このため、補正量演算部103により演算される補正量θ の値は「0」となる。すなわち、補正前の目標ピニオン角θ が、そのまま理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ となる。この場合、目標ピニオン角θ と理想軸力F1との関係は、車両モデル72として補正処理部85を有さない構成を採用したときと同様である。具体的には、つぎの通りである。
図9(a)のグラフに実線で示すように、車両が平坦路を走行する場合、目標ピニオン角θ と理想軸力F1との関係は特性線L0で表される。
特性線L0は、原点を通る直線である。すなわち、車両が平坦路を走行する場合、補正前の目標ピニオン角θ が車両直進時の転舵中立位置に対応する0度(中立角)であるとき、理想軸力F1も「0」(車両直進状態に対応する中立値)となる。目標ピニオン角θ が0度を基準として正の方向へ増加するにつれて、理想軸力F1は正の方向へ向けて線形的に増加する。目標ピニオン角θ が0度を基準として負の方向へ増加するにつれて、理想軸力F1は負の方向へ向けて線形的に増加する。正の目標ピニオン角θ は右転舵方向に、負の目標ピニオン角θ は左転舵方向に対応する。
図9(b)のグラフに実線で示すように、車両が平坦路を走行する場合、舵角θと操舵トルクT(入力トルクTin )との関係は特性線L10で表される。
すなわち、操舵トルクTが「0」である場合、目標操舵反力T 、ひいては入力トルクTin が「0」となることにより、目標舵角θ、ひいては目標ピニオン角θ も「0」になる。このため、実際の舵角θを目標舵角θに追従させる舵角θのフィードバック制御を通じて、舵角θは車両直進時の操舵中立位置に対応する0度となる。また、実際のピニオン角θを目標ピニオン角θ に追従させるピニオン角θのフィードバック制御を通じて、転舵輪16の転舵角θは車両直進時の転舵中立位置に対応する0度となる。ちなみに、正の目標舵角θ(舵角θ)は右操舵方向に、負の目標舵角θ(舵角θ)は左転舵方向に対応する。
<車両が第1の傾斜路を走行する場合>
つぎに、車両が曲線状の第1の傾斜路91aを走行する場合について説明する。ここで第1の傾斜路91aは、先の図5(a)に示されるように、車両の進行方向に対して左へカーブしているとともに、その横断勾配に沿った方向におけるカーブの外側から内側へ向けて徐々に低くなるように傾斜している。
この場合、第1のマップM1に従って重力成分Gaに応じた正の補正量θ が演算される。この補正量θ が、補正前の目標ピニオン角θ に加算されることにより、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ が演算される。このため、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ の値は、補正前の目標ピニオン角θ の値よりも補正量θ の分だけ増加する。
図9(a)のグラフに一点鎖線で示すように、車両が左カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、目標ピニオン角θ と理想軸力F1との関係は特性線L1で表される。
特性線L1は、先の特性線L0を横軸に沿って補正量θ の分だけ正の方向へオフセット(平行移動)させたものとしてみることができる。すなわち、車両が左カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、理想軸力F1が「0」となる目標ピニオン角θ の値(以下、「理想軸力F1のゼロ点」という。)は、車両が平坦路を走行する場合における理想軸力F1のゼロ点に対して、補正量θ の分だけ正の方向へ向けてオフセットされた角度「+θ 」となる。したがって、車両が左カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、目標ピニオン角θ が「0」であるとき、理想軸力F1は「0」ではなく理想軸力「−F」となる。
車両が左カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、第1のマップM1に従って重力成分Gaに応じて演算される補正量θ の分だけ、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ の値が増加される。このため、軸力配分演算部83により演算される最終的な軸力Fsp、ひいては換算部84により演算されるばね成分Tsp の値も目標ピニオン角θ の増加量に応じて増大する。これにより、減算器74(図3参照)により演算される最終的な入力トルクTin の値は、ばね成分Tsp の増加量に応じて減少し、当該入力トルクTin の減少に応じて目標舵角θが減少する。したがって、実際の舵角θを目標舵角θに追従させる舵角θのフィードバック制御を通じて実現される舵角θは、目標舵角θの減少量に応じて減少する。
図9(b)に一点鎖線で示すように、車両が左カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、舵角θと操舵トルクT(入力トルクTin )との関係は特性線L11で表される。
特性線L11は、先の特性線L10を横軸に沿って補正量θ に基づく目標舵角θの減少量に応じた分だけ負の方向へオフセット(平行移動)させたものとしてみることができる。すなわち、車両が左カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、操舵トルクTが「0」となる舵角θの値(以下、「操舵トルクTのゼロ点」という。)は、車両が平坦路を走行する場合の操舵トルクTのゼロ点に対して、目標舵角θの減少量に応じた分だけ負の方向へ向けてオフセットされる。
このため、図9(b)の特性線L11で示されるように、操舵トルクTが「0」である場合、舵角θのフィードバック制御を通じて実現される実際の舵角θは、車両が平坦路を走行する場合における操舵トルクTが「0」であるときの舵角θ(=0°)を基準として、目標舵角θの減少量に応じた負の角度「−θ」となる。この角度「−θ」は目標ピニオン角θ が「0」のときの理想軸力F1の値である理想軸力「−F」に応じた値である。これは、操舵トルクT(入力トルクTin )が「0」である場合、理想軸力「−F」に基づくばね成分Tsp に応じた目標舵角θが演算されることに基づく。
ちなみに、正の舵角θは右操舵方向に、負の舵角θは左転舵方向に対応する。また、角度「−θ」の値は、路面勾配による重力成分Gaに応じて変化する。これは、路面勾配による重力成分Gaの値によって補正量θ の値が変化し、ひいては補正量θ の値によって特性線L10に対する特性線L11のオフセット量が変化するからである。また、正の重力成分Gは、車両の進行方向に対する右方向へ向けて徐々に高くなるように傾斜した横断勾配を有する左カーブの第1の傾斜路91aに対応している。負の重力成分Gは、車両の進行方向に対する左方向へ向けて徐々に高くなるように傾斜した横断勾配を有する右カーブの第1の傾斜路91aに対応している。
したがって、車両が左カーブの第1の傾斜路91aを走行している場合、ステアリングホイール11に操舵トルクTが加わっていない状態であっても、ステアリングホイール11はその操舵中立位置を基準として舵角θ(=−θ)だけ左操舵方向へ向けて回転した位置に保持される。また転舵輪16は、その転舵中立位置を基準として、角度「−θ」に対応する目標舵角θに基づく目標ピニオン角θ に応じた転舵角θだけ左転舵方向へ向けて転舵した位置に保持される。ここで、左カーブの第1の傾斜路91aは、車両の進行方向に対して左へカーブしているため、ステアリングホイール11の左操舵方向、および転舵輪16の左転舵方向は、左カーブの第1の傾斜路91aにおける路面勾配が下がっていく方向に対応している。このため、図5(a)に実線の矢印C1で示されるように、運転者がステアリングホイール11を操作しなくても、車両90は、左カーブの第1の傾斜路91aにおける路線92のカーブに沿って走行する。
つぎに、車両が先の図5(a)に示される左カーブの第1の傾斜路91aとは路面の傾斜方向が逆の第1の傾斜路91aを走行する場合について説明する。ここでの第1の傾斜路91aは、車両の進行方向に対して右へカーブしているとともに、その横断勾配に沿った方向におけるカーブの外側から内側へ向けて徐々に低くなるように傾斜している。車両が右カーブの第1の傾斜路91aを走行している場合の重力成分Gaは、車両が図5(a)に示される左カーブの第1の傾斜路91aを走行している場合の重力成分Gaに対して正負の符号が逆になる。
この場合、図8(a)に示される第1のマップM1に従って負の重力成分Gaに応じた負の値の補正量θ (=−│+θ │)が演算される。このため、車両が右カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、目標ピニオン角θ と理想軸力F1との関係を示す特性線(図示略)は、図9(a)に示される特性線L0を横軸に沿って補正量θ の絶対値の分だけ負の方向(図9(a)に示される特性線L1と逆方向)へオフセットさせたものとなる。したがって、車両が右カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、目標ピニオン角θ が「0」であるとき、理想軸力F1は「0」ではなく正の値(=│−F│)となる。
車両が右カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、重力成分Gaに応じて演算される補正量θ の分だけ、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ の値が減少される。このため、軸力配分演算部83により演算される最終的な軸力Fsp、ひいては換算部84により演算されるばね成分Tsp の値も目標ピニオン角θ の減少量に応じて減少する。これにより、減算器74(図3参照)により演算される最終的な入力トルクTin の値は、ばね成分Tsp の減少量に応じて増加し、当該入力トルクTin の減少に応じて目標舵角θが増加する。したがって、実際の舵角θを目標舵角θに追従させる舵角θのフィードバック制御を通じて実現される舵角θは、目標舵角θの増加量に応じて増加する。
車両が右カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、舵角θと操舵トルクT(入力トルクTin )との関係を示す特性線(図示略)は、図9(b)に示される特性線L10を横軸に沿って補正量θ に基づく目標舵角θの増加量に応じた分だけ正の方向(図9(b)に示される特性線L11と逆方向)へオフセットさせたものとなる。すなわち、車両が右カーブの第1の傾斜路91aを走行する場合、操舵トルクTが「0」となる舵角θの値(以下、「操舵トルクTのゼロ点」という。)は、車両が平坦路を走行する場合の操舵トルクTのゼロ点に対して、目標舵角θの増加量に応じた分だけ正の方向へ向けてオフセットされる。このため、操舵トルクTが「0」である場合、舵角θのフィードバック制御を通じて実現される実際の舵角θは、車両が平坦路を走行する場合における操舵トルクTが「0」であるときの舵角θ(=0°)を基準として、目標舵角θの増加量に応じた正の角度(=│−θ│)となる。
したがって、車両が右カーブの第1の傾斜路91aを走行している場合、ステアリングホイール11に操舵トルクTが加わっていない状態であっても、ステアリングホイール11はその操舵中立位置を基準として正の舵角θ(=│−θ│)だけ右操舵方向へ向けて回転した位置に保持される。また転舵輪16は、その転舵中立位置を基準として、正の角度(=│−θ│)に対応する目標舵角θに基づく目標ピニオン角θ に応じた転舵角θだけ右転舵方向へ向けて転舵した位置に保持される。ここで、車両は右カーブの第1の傾斜路91aを走行しているため、ステアリングホイール11の右操舵方向、および転舵輪16の右転舵方向は、右カーブの第1の傾斜路91aにおける路面勾配が下がっていく方向に対応している。このため、運転者がステアリングホイール11を操作しなくても、車両90は、右カーブの第1の傾斜路91aにおける路線92のカーブに沿って走行する。
<車両が第2の傾斜路を走行する場合>
つぎに、車両が直線状の第2の傾斜路91bを走行する場合について説明する。ここで第2の傾斜路91bの路面は、先の図5(b)に示されるように、車両の進行方向に対して右側から左側へ向けて徐々に低くなるように傾斜している(左傾斜)。
この場合、第2のマップM2に従って重力成分Gに応じた負の補正量θ が演算される。この補正量θ が、補正前の目標ピニオン角θ に加算されることにより、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ が演算される。このため、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ の値は、補正前の目標ピニオン角θ の値よりも補正量θ の分だけ減少する。
図9(a)のグラフに二点鎖線で示すように、車両が左傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、目標ピニオン角θ と理想軸力F1との関係は特性線L2で表される。
特性線L2は、先の特性線L0を横軸に沿って補正量θ の分だけ負の方向へオフセット(平行移動)させたものとしてみることができる。すなわち、車両が左傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、理想軸力F1のゼロ点は、車両が平坦路を走行する場合における理想軸力F1のゼロ点(θ =0)に対して、補正量θ の絶対値の分だけ負の方向へ向けてオフセットされた角度「−θ 」となる。したがって、車両が左傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、目標ピニオン角θ が「0」であるとき、理想軸力F1は「0」ではなく理想軸力「+F」となる。
車両が左傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、第2のマップM2に従って重力成分Gに応じて演算される負の補正量θ の分だけ、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ の値が減少される。このため、軸力配分演算部83により演算される最終的な軸力Fsp、ひいては換算部84により演算されるばね成分Tsp の値も目標ピニオン角θ の減少量に応じて減少する。これにより、減算器74(図3参照)により演算される最終的な入力トルクTin の値は、ばね成分Tsp の減少量に応じて増加し、当該入力トルクTin の増加に応じて目標舵角θが増加する。したがって、実際の舵角θを目標舵角θに追従させる舵角θのフィードバック制御を通じて実現される舵角θは、目標舵角θの増加量に応じて増加する。
図9(b)に二点鎖線で示すように、車両が左傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、舵角θと操舵トルクT(入力トルクTin )との関係は特性線L12で表される。
特性線L12は、先の特性線L10を横軸に沿って補正量θ に基づく目標舵角θの増加量に応じた分だけ正の方向へオフセット(平行移動)させたものとしてみることができる。すなわち、車両が左傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、操舵トルクTが「0」となる舵角θの値(以下、「操舵トルクTのゼロ点」という。)は、車両が平坦路を走行する場合の操舵トルクTのゼロ点に対して、目標舵角θの増加量に応じた分だけ正の方向へ向けてオフセットされる。
このため、図9(b)の特性線L12で示されるように、操舵トルクTが「0」である場合、舵角θのフィードバック制御を通じて実現される実際の舵角θは、車両が平坦路を走行する場合における操舵トルクTが「0」であるときの舵角θ(=0°)を基準として、目標舵角θの増加量に応じた正の角度「+θ」となる。この角度「+θ」は目標ピニオン角θ が「0」のときの理想軸力F1の値である理想軸力「+F」に応じた値である。これは、操舵トルクT(入力トルクTin )が「0」である場合、理想軸力「+F」に基づくばね成分Tsp に応じた目標舵角θが演算されることに基づく。
したがって、車両が左傾斜の第2の傾斜路91bを走行している場合、ステアリングホイール11に操舵トルクTが加わっていない状態であっても、ステアリングホイール11はその操舵中立位置を基準として舵角θ(=+θ)だけ右操舵方向へ向けて回転した位置に保持される。また転舵輪16は、その転舵中立位置を基準として、角度「+θ」に対応する目標舵角θに基づく目標ピニオン角θ に応じた転舵角θだけ右転舵方向へ向けて転舵した位置に保持される。ここで、ステアリングホイール11の右操舵方向、および転舵輪16の右転舵方向は、左傾斜の第2の傾斜路91bにおける路面勾配が上がっていく方向に対応している。このため、図5(b)に実線の矢印C2で示されるように、運転者がステアリングホイール11を操作しなくても、車両90は、左傾斜の第2の傾斜路91bの路面を下る方向へ向けて自然と曲がることなく、路線92に沿って直進する。
つぎに、車両が先の図5(b)に示される左傾斜の第2の傾斜路91bとは路面の傾斜方向が逆の第2の傾斜路91bを走行する場合について説明する。ここでの第2の傾斜路91bの路面は、車両の進行方向に対して左側から右側へ向けて徐々に低くなるように傾斜している(右傾斜)。車両がこの右傾斜の第2の傾斜路91bを走行している場合の重力成分Gaは、車両が図5(b)に示される左傾斜の第2の傾斜路91bを走行している場合の重力成分Gaに対して正負の符号が逆になる。
この場合、図8(b)に示される第2のマップM2に従って重力成分Gに応じた正の補正量θ が演算される。このため、車両が右傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、目標ピニオン角θ と理想軸力F1との関係を示す特性線(図示略)は、図9(a)に示される特性線L0を横軸に沿って補正量θ の絶対値の分だけ正の方向(図9(a)に示される特性線L2と逆方向)へオフセットさせたものとなる。したがって、車両が右傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、目標ピニオン角θ が「0」であるとき、理想軸力F1は「0」ではなく負の値(=−│+F│)となる。
車両が右傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、重力成分Gに応じて演算される正の補正量θ の分だけ、理想軸力F1の演算に使用される最終的な目標ピニオン角θ の値が増加される。このため、軸力配分演算部83により演算される最終的な軸力Fsp、ひいては換算部84により演算されるばね成分Tsp の値も目標ピニオン角θ の増加量に応じて増加する。これにより、減算器74(図3参照)により演算される最終的な入力トルクTin の値は、ばね成分Tsp の増加量に応じて減少し、当該入力トルクTin の減少に応じて目標舵角θが減少する。したがって、実際の舵角θを目標舵角θに追従させる舵角θのフィードバック制御を通じて実現される舵角θは、目標舵角θの減少量に応じて減少する。
車両が右傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、舵角θと操舵トルクT(入力トルクTin )との関係を示す特性線(図示略)は、図9(b)に示される特性線L10を横軸に沿って補正量θ に基づく目標舵角θの減少量に応じた分だけ負の方向(特性線L12と逆方向)へオフセットさせたものとなる。すなわち、車両が右傾斜の第2の傾斜路91bを走行する場合、操舵トルクTが「0」となる舵角θの値(以下、「操舵トルクTのゼロ点」という。)は、車両が平坦路を走行する場合の操舵トルクTのゼロ点に対して、目標舵角θの減少量に応じた分だけ負の方向へ向けてオフセットされる。このため、操舵トルクTが「0」である場合、舵角θのフィードバック制御を通じて実現される実際の舵角θは、車両が平坦路を走行する場合における操舵トルクTが「0」であるときの舵角θ(=0°)を基準として、目標舵角θの減少量に応じた負の角度(=−│+θ│)となる。
したがって、車両が右傾斜の第2の傾斜路91bを走行している場合、ステアリングホイール11に操舵トルクTが加わっていない状態であっても、ステアリングホイール11はその操舵中立位置を基準として舵角θ(=−│+θ│)だけ左操舵方向へ向けて回転した位置に保持される。また転舵輪16は、その転舵中立位置を基準として、負の角度(=−│+θ│)に対応する目標舵角θに基づく目標ピニオン角θ に応じた転舵角θだけ左転舵方向へ向けて転舵した位置に保持される。ここで、ステアリングホイール11の左操舵方向、および転舵輪16の左転舵方向は、右傾斜の第2の傾斜路91bにおける路面勾配が上がっていく方向に対応している。このため、運転者がステアリングホイール11を操作しなくても、車両90は、右傾斜の第2の傾斜路91bの路面を下る方向へ向けて自然と曲がることなく、路線92に沿って直進する。
このように、車両モデル72に補正処理部85を設けることによって、たしかに車両が第1の傾斜路91aあるいは第2の傾斜路91bを走行する場合において、適切な操舵フィーリングが実現される。
ところが、運転支援システムあるいは自動運転システムが車両に搭載される場合、つぎのようなことが懸念される。たとえば、反力モータ31が発生する操舵反力は、ステアリングホイール11の挙動にも影響を及ぼす。このため、運転者によって手動運転が行われるとき(上位制御装置500が操舵制御に介入しないとき)と、運転支援あるいは自動運転が行われるとき(上位制御装置500が操舵制御に介入するとき)とで、制御装置50が実行する反力制御に対する要求、あるいは反力モータ31が発生する操舵反力(駆動力)に対する要求が異なることがある。
たとえば、手動運転が行われる場合、車両が第1の傾斜路91aあるいは第2の傾斜路91bを走行するときには、前述したように、反力モータ31により発生される操舵反力に路面状態(ここでは、傾斜路の横断勾配)が反映されることが好ましい。これは、運転者が第1の傾斜路91aあるいは第2の傾斜路91bの横断勾配に応じた適切な操舵フィーリングを得ることができるからである。
これに対して、運転支援あるいは自動運転が行われる場合、すなわちステアリングホイール11の操作の実行主体が運転者ではなく運転支援システムあるいは自動運転システムの上位制御装置500となるとき、反力モータ31が発生する操舵反力に路面状態を反映させないことが要求されることがある。これは、ステアリングホイール11の操作の実行主体が上位制御装置500となる場合、反力モータ31が発生する操舵反力に必ずしも路面状態を反映させる必要がないという観点に基づく。
また、運転支援あるいは自動運転が行われている場合、たとえば車両が第1の傾斜路91aあるいは第2の傾斜路91bを走行しているとき、操舵反力に路面状態(ここでは、傾斜路の横断勾配)を反映させることによって、路面状態に応じてステアリングホイール11が回転するおそれがある。製品仕様によっては、運転支援あるいは自動運転が行われているとき、ステアリングホイール11の無駄な動作を抑えることが要求される。
そこで、本実施の形態では、車両モデル72の補正処理部85として、つぎの構成を採用している。
図7に示すように、補正処理部85は、減算器107を有している。減算器107は、上位制御装置500により生成される配分指令DRとしてのフラグを取り込む。減算器107は、制御装置50の記憶装置に格納された固定値である「1」から、配分指令DRとしてのフラグの値を減算することにより分配比率DRを演算する。このため、配分指令DRとしてのフラグの値が「1(100%)」であるとき、分配比率DRの値は「0」になる。配分指令DRとしてのフラグの値が「0(0%)」であるとき、分配比率DRの値は「1」になる。
乗算器105は、補正量演算部103により演算される補正量θ (補正角度)、ゲイン演算部104により演算されるゲインG、および減算器107により演算される分配比率DRを乗算することにより、分配比率DRに応じた最終的な補正量θ を演算する。分配比率DRの値が「0」であるとき、乗算器105により演算される最終的な補正量θ は「0」となる。分配比率DRの値が「1」であるとき、補正量演算部103により演算される補正量θ とゲイン演算部104により演算されるゲインGとを乗算した値が、最終的な補正量θ となる。
<第1の実施の形態の効果>
したがって、第1の実施の形態によれば、以下の作用および効果を得ることができる。
(1)操舵装置10の制御装置50によれば、車両が第1の傾斜路91aあるいは第2の傾斜路91bを走行している場合であれ、上位制御装置500が操舵制御に介入するときには、傾斜路(91a,91b)の横断勾配に応じた目標ピニオン角θ の補正を行わない。すなわち、運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能がオンである場合、配分指令DRとしてのフラグの値が「1」にセットされるところ、このフラグの値が「1」であるとき、理想軸力演算部81において理想軸力F1の演算に使用される目標ピニオン角θ に対する補正量θ は「0」となる。この路面状態(ここでは、傾斜路の横断勾配)が反映される重力成分Gに応じた補正量θ による目標ピニオン角θ の補正が行われないことによって、この目標ピニオン角θ に基づく理想軸力F1、および理想軸力F1に基づくばね成分Tsp に路面状態が反映されることもない。このため、運転支援あるいは自動運転が行われている場合、入力トルクTin 、ひいては反力モータ31が発生する操舵反力にも路面状態が反映されることはない。これにより、路面状態に応じてステアリングホイール11が無駄に回転することもない。したがって、上位制御装置500による操舵介入に対して適切に対応することができる。ひいては、手動運転が行われる場合、ならびに運転支援あるいは自動運転が行われる場合において、それぞれ適切な反力制御を実行することができる。
<第2の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には第1の実施の形態と同様の構成を有している。
本実施の形態では、上位制御装置500は配分指令DRとして、フラグ(「0」または「1」)ではなく、自動運転率を制御装置50へ供給する。自動運転率とは、車両の運転に対するシステムの関与の度合い(ここでは、操舵制御に対する上位制御装置500の介入度合い)を示す値をいう。技術レベルの高度化に応じて運転支援システムが複合化あるいは高度化されるにつれて、システムの運転への関与度合いが高まる。たとえば、自動運転率が100%であるとき、システムが完全に運転を代替する。逆に、自動運転率が0%であるとき、走行環境の認識、危険判断、および車両の運転操作(操舵、加減速など)を運転者がすべて行う。ここでは、上位制御装置500は、自動運転率として「0(0%)〜1(100%)」の範囲の値を設定する。
図7に示すように、この場合であれ、補正処理部85の減算器107は、制御装置50の記憶装置に格納された固定値である「1(100%)」から配分指令DRとしての自動運転率の値を減算することにより分配比率DRを演算する。
たとえば自動運転率の値が「1(100%)」であるとき、補正量θ に対する分配比率DRは「0」に設定される。また、自動運転率の値が「0.3(30%)」であるとき、補正量θ に対する分配比率DRは「0.7(70%)」に設定される。また、自動運転率の値が「0.7(70%)」であるとき、補正量θ に対する分配比率DRは「0.3(30%)」に設定される。ちなみに、運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能がオフである場合、自動運転率の値は「0(0%)」とされる。このとき、補正量θ に対する分配比率DRは「1.0(100%)」に設定される。
<第2の実施の形態の効果>
したがって、第2の実施の形態によれば、以下の作用および効果を得ることができる。
(2)上位制御装置500が操舵制御に介入するとき、配分指令DRとしての自動運転率に基づき、補正量θ に対する分配比率DRが設定される。このため、入力トルクTin 、ひいては操舵反力指令値Tに対して路面状態(傾斜路の横断勾配)を反映させる度合いが自動運転率に応じて好適に設定される。したがって、上位制御装置500による操舵制御への介入に対して適切に対応することができる。
<第3の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、車両モデル72における補正処理部85の構成の点で第1の実施の形態と異なる。
図10に示すように、補正処理部85は、乗算器101、減算器102、補正量演算部103、ゲイン演算部104、乗算器105、および加算器106に加え、スイッチ108を有している。
スイッチ108は、データ入力として、図示しない記憶装置に記憶された固定値である「0」、および同じく固定値である「1」を取り込む。これら固定値は、補正量演算部103により演算される補正量θ に対する分配比率DRである。また、スイッチ108は、制御入力として、上位制御装置500により生成される配分指令DRとしてのフラグを取り込む。スイッチ108は、フラグの値に基づき、乗算器105へ供給する値を、固定値「0」と固定値「1」との間で切り替える。スイッチ108は、配分指令DRとしてのフラグの値が「0」であるとき、固定値「1」を補正量θ に対する分配比率DRとして乗算器105へ供給する。スイッチ108は、配分指令DRとしてのフラグの値が「1」であるとき(より正確には、フラグの値が「0」ではないとき)、固定値「0」を補正量θ に対する分配比率DRとして乗算器105へ供給する。
ちなみに、上位制御装置500は、運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能がオンであるときには配分指令DRとしてのフラグの値を「1」にセットする。また、上位制御装置500は、運転支援制御機能あるいは自動運転制御機能がオフであるときには配分指令DRとしてのフラグの値を「0」にセットする。
乗算器105は、補正量演算部103により演算される補正量θ (補正角度)、ゲイン演算部104により演算されるゲインG、およびスイッチ108から供給される分配比率DRを乗算することにより、分配比率DRに応じた最終的な補正量θ を演算する。分配比率DRの値が「0」であるとき、乗算器105により演算される最終的な補正量θ は「0」となる。分配比率DRの値が「1」であるとき、補正量演算部103により演算される補正量θ とゲイン演算部104により演算されるゲインGとを乗算した値が、最終的な補正量θ となる。
<第3の実施の形態の効果>
したがって、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)に加え、以下の効果を得ることができる。
(3)スイッチ108は、乗算器105へ供給する分配比率DRを、上位制御装置500により生成される配分指令DR(フラグ)の値に応じて、記憶装置に記憶された固定値「0」と固定値「1」との間で切り替えるだけでよい。配分指令DR(フラグ)に基づき分配比率DRを演算する必要がないため、補正処理部85の演算負荷を軽減することができる。
<第4の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は、車両モデル72における補正処理部85の構成の点で第2の実施の形態と異なる。
図11に示すように、補正処理部85は、乗算器101、減算器102、補正量演算部103、ゲイン演算部104、乗算器105、および加算器106に加え、分配比率演算部109を有している。
分配比率演算部109は、配分指令DRとしての自動運転率を取り込み、この自動運転率に応じた分配比率DRを演算する。自動運転率は、「0(0%)〜1(100%)」の範囲内の値に設定される。分配比率演算部109は、たとえば配分指令DR(自動運転率)と分配比率DRとの関係を規定するマップを使用して分配比率DRを演算する。このマップは、つぎの特性を有する。すなわち、配分指令DRとしての自動運転率が増加するにつれて、分配比率DRは線形的に減少する。分配比率DRは「0(0%)」以上「1(100%)」以下の値となる。
したがって、第4の実施の形態によれば、第2の実施の形態の効果(2)と同様の効果を得ることができる。
<第5の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置の第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は、車両モデル72の構成の点で第1の実施の形態と異なる。本実施の形態は、第2〜第4の実施の形態に適用することもできる。
さて、第1の実施の形態の制御装置50によれば、ステアリングモデル71および車両モデル72の調整を通じて、手動運転が行われる場合(上位制御装置500が制御装置50による操舵制御に介入しない場合)において所望の操舵感を実現することが可能である。
しかし、制御装置50による反力制御を通じてステアリングホイール11に付与される操舵反力(ステアリングを通じて感じる手応え)は、目標舵角θに応じたものにしかならない。すなわち、車両挙動あるいは路面状態(路面の滑りやすさなど)によって操舵反力が変わらない。このため、運転者は操舵反力を通じて車両挙動あるいは路面状態を把握しにくい。そこで本実施の形態では、車両モデル72をつぎのように構成している。
図12に示すように、車両モデル72は、理想軸力演算部81および換算部84に加え、推定軸力演算部82、および軸力配分演算部83を有している。
推定軸力演算部82は、転舵モータ41の電流値Iに基づき、転舵シャフト14に作用する推定軸力F2(路面反力)を演算する。ここで、転舵モータ41の電流値Iは、路面状態(路面摩擦抵抗)に応じた外乱が転舵輪16に作用することに起因して目標ピニオン角θ と実際のピニオン角θとの間の差が発生することによって変化する。すなわち、転舵モータ41の電流値Iには、転舵輪16,16に作用する実際の路面反力が反映される。このため、転舵モータ41の電流値Iに基づき路面状態の影響を反映した軸力を演算することが可能である。推定軸力F2は、車速Vに応じた係数であるゲインを転舵モータ41の電流値Iに乗算することにより求められる。
軸力配分演算部83は、理想軸力F1、および推定軸力F2に対してそれぞれ個別に設定される分配比率(ゲイン)を乗算した値を合算することにより、入力トルクTin に対するばね成分Tsp の演算に使用される最終的な軸力Fspを演算する。分配比率は、車両挙動、路面状態あるいは操舵状態が反映される複数種の状態量に応じて設定される。状態量としては、たとえばヨーレートYR、横加速度LA、舵角θ、ピニオン角θ、車速V、操舵速度、ピニオン角速度などが挙げられる。操舵速度は、舵角θを微分することにより得られる。ピニオン角速度は、ピニオン角θを微分することにより得られる。
換算部84は、軸力配分演算部83により演算される最終的な軸力Fspに基づき入力トルクTin に対するばね成分Tsp を演算(換算)する。
このように構成した車両モデル72によれば、車両挙動あるいは路面状態が反映される複数種の状態量に応じて設定される分配比率で、理想軸力F1と推定軸力F2とが合算されることにより、路面状態がより細やかに反映された最終的な軸力Fspが演算される。この軸力Fspが入力トルクTin に反映されることによって、車両挙動あるいは路面状態に応じた、より細やかな操舵反力がステアリングホイール11に付与される。
ここで、第1の実施の形態の制御装置50によれば、運転支援あるいは自動運転が行われる場合(上位制御装置500が操舵制御に介入する場合)、補正処理部85による目標ピニオン角θ に対する補正(補正量θ の加算)は行われない。このため、理想軸力F1、ひいては入力トルクTin に第1の傾斜路91aまたは第2の傾斜路91bの横断勾配が路面状態として反映されることはない。しかし、推定軸力F2は、運転支援あるいは自動運転が行われる場合であれ、入力トルクTin に反映されるため、反力モータ31が発生する操舵反力に推定軸力F2に応じた車両挙動あるいは路面状態が反映される。
そこで本実施の形態では、運転支援あるいは自動運転が行われる場合、操舵反力に車両挙動あるいは路面状態を反映させないことが要求されていることを前提として、軸力配分演算部83をつぎのように構成している。
図13に示すように、軸力配分演算部83は、4つの演算部111〜114、および2つの加算器115,116を有している。
演算部111は、理想軸力演算部81により演算される理想軸力F1に分配比率DRを乗算することにより、分配比率DRに応じた値の理想軸力F1を演算する。演算部112は、推定軸力演算部82により演算される推定軸力F2に分配比率DRを乗算することにより、分配比率DRに応じた値の推定軸力F2を演算する。分配比率DR,DRは、車両挙動、路面状態あるいは操舵状態が反映される状態量に応じて都度設定される。
加算器115は、演算部111により演算される理想軸力F1、および演算部112により演算される推定軸力F2を合算することにより、混合軸力F3を演算する。
演算部113は、理想軸力演算部81により演算される理想軸力F1、および上位制御装置500により演算される配分指令DR(ここでは、フラグ)を取り込む。演算部113は、配分指令DRを理想軸力F1に乗算することにより、配分指令DRに応じた値の理想軸力F1を演算する。運転支援あるいは自動運転が行われる場合であって、配分指令DRの値が「1(100%)」であるとき、理想軸力演算部81により演算される理想軸力F1がそのまま最終的な理想軸力F1となる。運転支援あるいは自動運転が行われない場合であって、配分指令DRの値が「0(0%)」であるとき、演算部113により演算される最終的な理想軸力F1の値は「0」となる。
演算部114は、加算器115により演算される混合軸力F3、および上位制御装置500により演算される配分指令DRを取り込む。演算部114は、配分指令DRの値を次式(6)に適用することによって、混合軸力F3に対する分配比率DRを演算する。配分指令DRの値が「1」であるとき、分配比率DRの値は「0」になる。配分指令DRの値が「0」であるとき、分配比率DRの値は「1」になる。
DR=1−DR …(6)
演算部114は、分配比率DRを混合軸力F3に乗算することにより、分配比率DRに応じた値の混合軸力F3を演算する。運転支援あるいは自動運転が行われる場合であって、配分指令DRの値が「1(100%)」であるとき、混合軸力F3の値は「0」となる。運転支援あるいは自動運転が行われない場合であって、配分指令DRの値が「0(0%)」であるとき、加算器115により演算される混合軸力F3がそのまま最終的な混合軸力F3となる。
加算器116は、演算部113により演算される理想軸力F1と、演算部114により演算される混合軸力F3とを合算することにより、ばね成分Tsp の演算に使用される最終的な軸力Fspを演算する。
<第5の実施の形態の効果>
したがって、第5の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(4)上位制御装置500が制御装置50による操舵制御に介入する場合、配分指令DRの値に基づき、入力トルクTin 、ひいては操舵反力指令値Tに反映させる最終的な軸力Fspが、推定軸力F2を含む混合軸力F3から理想軸力F1へ切り替えられる。ここで、上位制御装置500が操舵制御に介入する場合、補正処理部85による目標ピニオン角θ に対する補正(補正量θ の加算)が行われない。すなわち、理想軸力F1に傾斜路(91a,91b)の横断勾配が路面状態として反映されないため、入力トルクTin 、ひいては反力モータ31が発生する操舵反力に路面状態が反映されることもない。このため、ステアリングホイール11の挙動が路面状態に左右されることがない。また、上位制御装置500が操舵制御に介入する場合、操舵反力に路面状態を反映させないことに対する要求に応えることができる。したがって、上位制御装置500による操舵介入に対して適切に対応することができる。
(5)上位制御装置500が制御装置50による操舵制御に介入しない場合、配分指令DRの値に基づき、入力トルクTin 、ひいては操舵反力指令値Tに反映させる最終的な軸力Fspとして、理想軸力F1および推定軸力F2が混合された混合軸力F3が使用される。ここで、上位制御装置500が操舵制御に介入しない場合、補正処理部85による目標ピニオン角θ に対する補正(補正量θ の加算)が行われる。このため、この補正後の目標ピニオン角θ に基づく理想軸力F1には、傾斜路(91a,91b)の横断勾配が路面状態として反映される。また、転舵モータ41の電流値Iに基づく推定軸力F2には、路面摩擦抵抗などの路面状態が反映される。このため、最終的な軸力Fspに基づく入力トルクTin 、ひいては反力モータ31が発生する操舵反力には、傾斜路の横断勾配および路面摩擦抵抗などの路面状態が反映される。したがって、上位制御装置500が操舵制御に介入しない場合、車両が第1の傾斜路91aあるいは第2の傾斜路91bを走行するとき、運転者がステアリングホイール11を積極的に操作しなくても、車両は第1の傾斜路91aあるいは第2の傾斜路91bの路線に沿って走行する。また、運転者が路面摩擦抵抗などの路面状態を操舵反力として感じることにより、運転者はより速く正確に操舵することが可能となる。
<第6の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置の第6の実施の形態を説明する。本実施の形態は、車両モデル72における補正処理部85の設置箇所の点で第1の実施の形態と異なっている。なお、本実施の形態は、第2〜第5の実施の形態に適用することもできる。
本実施の形態では、理想軸力F1の演算に使用される目標ピニオン角θ に対して傾斜路(91a,91b)の横断勾配に応じた補正量θ を加算するのではなく、理想軸力演算部81により演算される理想軸力F1そのものを補正する。
図4に二点鎖線で示すように、補正処理部85は、車両モデル72における理想軸力演算部81の後段に設けられている。この場合、補正処理部85を理想軸力演算部81の内部構成として設けてもよい。
図7に示される補正量演算部103は、図8(a),(b)に括弧書きの符号で示される第3のマップM3および第4のマップM4を使用して、重力成分Gに応じた補正量F(補正軸力)を演算する。この補正量Fは、理想軸力演算部81により演算される理想軸力F1に対するものである。第3のマップM3および第4のマップM4の特性(重力成分Gに対する補正量Fの変化傾向)は、第1のマップM1および第2のマップM2の特性(重力成分Gに対する補正量θ の変化傾向)と同様である。
図7に示される乗算器105は、補正量演算部103により演算される補正量Fと、ゲイン演算部104により演算されるゲインGと、減算器107により演算される分配比率DRとを乗算することにより、最終的な補正量Fを演算する。加算器106は、理想軸力演算部81により演算される理想軸力F1に対する補正処理として、当該理想軸力F1と、乗算器105により演算される最終的な補正量Fとを加算することにより、最終的な理想軸力F1を演算する。
このようにしても、上位制御装置500が操舵制御に介入しない場合、車両が第1の傾斜路91aを走行するときの舵角θと操舵トルクTとの関係は、図9(b)に一点鎖線の特性線L11で示される通りの関係となる。また、上位制御装置500が操舵制御に介入しない場合、車両が第2の傾斜路91bを走行するときの舵角θと操舵トルクTとの関係は、図9(b)に二点鎖線の特性線L12で示される通りの関係となる。このため、上位制御装置500が操舵制御に介入しない場合、第1の傾斜路91aおよび第2の傾斜路91bの傾斜に適した舵角θおよび転舵角θを実現することができる。
したがって、第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)と同様の効果を得ることができる。
<他の実施の形態>
なお、各実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・第1〜第6の実施の形態において、目標操舵反力演算部51は、操舵トルクTおよび車速Vに基づいて目標操舵反力T を求めるようにしたが、操舵トルクTのみに基づいて目標操舵反力T を求めるようにしてもよい。
・第1〜第6の実施の形態において、目標舵角演算部52は、目標操舵反力T および操舵トルクTの総和である入力トルクTin を使用してステアリングホイール11の目標舵角θを演算したが、操舵トルクTのみ、あるいは目標操舵反力T のみを入力トルクTin としてステアリングホイール11の目標舵角θを演算してもよい。
・第1〜第6の実施の形態において、制御装置50として、微分ステアリング制御部63を割愛した構成を採用してもよい。この場合、ピニオン角フィードバック制御部64は、舵角比変更制御部62により演算される目標ピニオン角θ を取り込み、当該取り込まれる目標ピニオン角θ に実際のピニオン角θを追従させるべくピニオン角θのフィードバック制御を実行する。
・第1〜第6の実施の形態において、制御装置50として、微分ステアリング制御部63および舵角比変更制御部62の双方を割愛した構成を採用してもよい。この場合、目標舵角演算部52により演算される目標舵角θがそのまま目標ピニオン角(θ )として使用される。すなわち、ステアリングホイール11が操作された分だけ転舵輪16,16は転舵する。
・第1〜第6の実施の形態において、制御装置50の補正処理部85は、最終的な補正量θ を演算するに際して、ゲイン演算部104により演算されるゲインGを使用しなくてもよい。この場合、補正処理部85として、ゲイン演算部104を割愛した構成を採用することができる。
・第1〜第6の実施の形態において、制御装置50の補正処理部85は、配分指令DRに対して時間に対する徐変処理(徐々に変化させるための処理)を施すローパスフィルタなどを有していてもよい。このようにすれば、上位制御装置500が制御装置50による操舵制御に介入する場合、ばね成分Tsp の演算に使用される最終的な軸力(F1,Fsp)の急激な変化を抑えることができる。
・第1〜第6の実施の形態において、制御装置50は、たとえば第1の傾斜路91aに対応した第1の制御、およびたとえば第2の傾斜路91bに対応した第2の制御のうち、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。このようにしても、車両が横断勾配を有する曲線状の道路および横断勾配を有する直線状の道路のいずれか一方を走行する場合において、適切な操舵フィーリングを得ることができる。
・第1〜第6の実施の形態において、操舵装置10にクラッチを設けてもよい。この場合、図2に二点鎖線で示すように、ステアリングシャフト12とピニオンシャフト13とをクラッチ21を介して連結する。クラッチ21としては、励磁コイルに対する通電の断続を通じて動力の断続を行う電磁クラッチが採用される。制御装置50は、クラッチ21の断続を切り替える断続制御を実行する。クラッチ21が切断されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪16,16との間の動力伝達経路が機械的に切断される。クラッチ21が接続されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪16,16との間の動力伝達が機械的に連結される。
・第1〜第6の実施の形態は、車両の操舵機構にモータのトルクをアシスト力として付与するEPS(電動パワーステアリング装置)の制御装置に適用してもよい。EPSとしては、転舵シャフトに噛み合うピニオンシャフト(回転体)を有するステアリングシャフトにアシスト力を付与するタイプでもよいし、ステアリングシャフトとは別個に設けられたピニオンシャフト(回転体)を介して転舵シャフトにアシスト力を付与するタイプでもよい。EPSの制御装置は、操舵状態に応じて演算される指令値に基づきモータを制御する。指令値はモータに発生させるべきトルクを示す。ここで、EPSの制御装置には、ピニオンシャフトの回転角度であるピニオン角(転舵角)を目標回転角としての目標ピニオン角(目標転舵角)に追従させるフィードバック制御の実行を通じて、指令値に反映させるべきトルク成分(転舵シャフトの軸力)を演算するものが存在する。目標ピニオン角は、第1〜第6の実施の形態における目標舵角θと同様にして求められる。このような制御装置においても、車両が傾斜路を走行している場合、運転者がステアリングホイールに力を加え続ける必要があるという課題がある。また、車両に運転支援システムあるいは自動運転システムが搭載される場合、上位制御装置がEPSの制御装置による操舵制御に介入することも考えられる。
<他の技術的思想>
つぎに、前記各実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)上記の操舵制御装置において、前記第5の演算部は、車両の旋回運動が反映される状態量に基づき、車両が横断勾配を有する曲線状の道路である第1の傾斜路を走行している旨判定されるとき、道路の路線直角方向の勾配である横断勾配に応じて、前記理想軸力を、車両直進状態に対応する前記理想軸力の中立値を基準として、前記特定の方向である前記第1の傾斜路の横断勾配が下がっていく側へオフセットさせること。
目標回転角に基づき演算される理想軸力は、車両に作用する力の釣り合いを無視した軸力である。このため、車両が曲線状の道路である第1の傾斜路を走行する場合、運転者がステアリングホイールに操舵トルクを加えて保舵し続けないと、ステアリングホイールの舵角が第1の傾斜路の横断勾配に応じた角度とならず、車両直進状態に対応する中立角に維持される。したがって、車両が第1の傾斜路を走行している場合、ステアリングホイールに操舵トルクを加えて保舵し続けないと、車両は、第1の傾斜路に沿った走行を維持できずに直進し、第1の傾斜路をカーブの外側へ向けて駆けあがっていくかたちで走行するおそれがある。
この点、上記の操舵制御装置によれば、回転体の回転角を目標回転角に一致させるフィードバック制御を通じて、回転体の回転角およびステアリングホイールの舵角は、車両直進状態に対応する角度の中立値を基準として、横断勾配に起因して車両が道路から逸れていく側と反対側、すなわち第1の傾斜路の横断勾配が下がっていく側へオフセットされた角度となる。したがって、車両が第1の傾斜路を走行する場合、たとえステアリングホイールに操舵トルクが加えられなくても、第1の傾斜路の横断勾配に応じた舵角が実現されることによって、適切な操舵フィーリングを得ることができる。
(ロ)上記の操舵制御装置において、前記第5の演算部は、車両の旋回運動が反映される状態量に基づき、車両が横断勾配を有する直線状の道路である第2の傾斜路を走行している旨判定されるとき、道路の路線直角方向の勾配である横断勾配に応じて、前記理想軸力を、車両直進状態に対応する前記理想軸力の中立値を基準として、前記特定の方向である前記第2の傾斜路の横断勾配が上がっていく側へオフセットさせること。
車両が直線状の道路である第2の傾斜路を走行する場合、運転者がステアリングホイールに操舵トルクを加えて保舵し続けないと、車両は、第2の傾斜路91bに沿った走行を維持できず、前進するにつれて徐々に第2の傾斜路の高さが低い側へ向けて下っていくかたちで走行する。これは、車両が第2の傾斜路の横断勾配の影響を受けるからである。
この点、上記の操舵制御装置によれば、回転体の回転角を目標回転角に一致させるフィードバック制御を通じて、回転体の回転角およびステアリングホイールの舵角は、車両直進状態に対応する角度の中立値を基準として、横断勾配に起因して車両が道路から逸れていく側と反対側、すなわち第2の傾斜路の横断勾配が上がっていく側へオフセットされた角度となる。したがって、車両が第2の傾斜路を走行する場合、たとえステアリングホイールに操舵トルクが加えられなくても、第2の傾斜路の横断勾配に応じた舵角が実現されることによって、適切な操舵フィーリングを得ることができる。
(ハ)上記の操舵制御装置において、前記第5の演算部は、センサを通じて検出される車両の旋回運動が反映される状態量としてのヨーレートがしきい値以上であるとき、車両が横断勾配を有する曲線状の道路である第1の傾斜路を走行している旨判定し、前記ヨーレートが前記しきい値未満であるとき、車両が横断勾配を有する直線状の道路である第2の傾斜路を走行している旨判定すること。
車両が横断勾配を有する曲線状の道路である第1の傾斜路を走行しているときのヨーレートは、車両が横断勾配を有する直線状の道路である第2の傾斜路を走行しているときのヨーレートよりも大きくなる。このため、上記の操舵制御装置によるように、ヨーレートに基づき車両が第1の傾斜路を走行しているのか、第2の傾斜路を走行しているのかを判定することができる。
(ニ)上記の操舵制御装置において、前記配分指令は、運転支援機能あるいは自動運転機能がオンであるかオフであるかを示すフラグであって、前記第6の演算部は前記フラグが運転支援機能あるいは自動運転機能がオンである旨示すものである場合、前記理想軸力のオフセット量を変更する処理を行わないこと。
(ホ)上記の操舵制御装置において、前記配分指令は、操舵制御に対する上位制御装置の介入度合いを示す自動運転率であること。
(ヘ)上記の操舵制御装置において、前記回転体は、ステアリングシャフトまたはピニオンシャフトであること。
11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト(回転体)、16…転舵輪、31…モータ、50…制御装置(操舵制御装置)、51…目標操舵反力演算部(第1の演算部)、52…目標舵角演算部(第2の演算部)、54…舵角フィードバック制御部(第3の演算部)、81…理想軸力演算部(第4の演算部)、85…補正処理部(第5の演算部)、91a…第1の傾斜路、91b…第2の傾斜路、107…減算器(第6の演算部)、108…スイッチ(第6の演算部)、109…分配比率演算部(第6の演算部)、501…車速センサ、502…横加速度センサ、503…ヨーレートセンサ、DR…配分指令、DR…分配比率、F1…理想軸力、F…補正量(補正軸力)、G…重力成分、LA…横加速度(状態量)、T…操舵反力指令値(指令値)、T…操舵トルク、Tin …入力トルク、T …目標操舵反力(第1の成分)、T …舵角補正量(第2の成分)、V…車速、YR…ヨーレート(状態量)、YRth…しきい値、θ…目標舵角(目標回転角)、θ…舵角(回転角)、θ …補正量(補正角度)。

Claims (5)

  1. 車両の操舵機構に付与される駆動力の発生源であるモータを操舵状態に応じて演算される指令値に基づき制御する操舵制御装置であって、
    ステアリングホイールに印加される操舵トルクに応じて前記指令値の第1の成分を演算する第1の演算部と、
    前記ステアリングホイールの操作に連動して回転する回転体の目標回転角を前記操舵トルクおよび前記第1の成分の少なくとも一方を含む入力トルクに基づき演算する第2の演算部と、
    前記回転体の実際の回転角を前記目標回転角に一致させるフィードバック制御を通じて前記指令値の第2の成分を演算する第3の演算部と、
    転舵輪に作用する理想的な軸力であって前記入力トルクに反映させる軸力である理想軸力を前記目標回転角に基づき演算する第4の演算部と、
    道路の路線直角方向の勾配である横断勾配に応じて、前記理想軸力を、車両直進状態に対応する前記理想軸力の中立値を基準として、前記横断勾配に沿った方向であって前記横断勾配に起因して車両が道路から逸れていく側と反対側である特定の方向へオフセットさせる第5の演算部と、
    上位制御装置が操舵制御に介入する際に生成するものであって操舵制御に対する前記上位制御装置の介入度合いを示す配分指令に基づき、前記理想軸力のオフセット量を変更する第6の演算部と、を有している操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の操舵制御装置において、
    前記第5の演算部は、前記第4の演算部において前記理想軸力の演算に使用される前記目標回転角に対して、前記横断勾配に応じて演算される補正角度を加算することにより、前記理想軸力を前記特定の方向へオフセットさせるものであって、
    前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正角度を変更することにより、前記理想軸力のオフセット量を変更する操舵制御装置。
  3. 請求項1に記載の操舵制御装置において、
    前記第5の演算部は、前記第4の演算部において演算される前記理想軸力に対して、前記横断勾配に応じて演算される補正軸力を加算することにより、前記理想軸力を前記特定の方向へオフセットさせるものであって、
    前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正軸力を変更することにより、前記理想軸力のオフセット量を変更する操舵制御装置。
  4. 請求項2に記載の操舵制御装置において、
    前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正角度の分配比率を演算し、当該演算される分配比率を前記第5の演算部により演算される前記補正角度に乗算することにより最終的な前記補正角度を演算する操舵制御装置。
  5. 請求項3に記載の操舵制御装置において、
    前記第6の演算部は、前記配分指令に基づき前記補正軸力の分配比率を演算し、当該演算される分配比率を前記第5の演算部により演算される前記補正軸力に乗算することにより最終的な前記補正軸力を演算する操舵制御装置。
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