JP2019206092A - 炭素粒子塗工箔の積層方法及び箔の積層装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】得られる金属−炭素粒子複合材の平面方向の物性についての不均一性や異方性を緩和し得る炭素粒子塗工箔の積層方法を提供する。【解決手段】炭素粒子塗工箔の積層方法は、炭素粒子塗工箔の幅広条材を複数の幅狭条材にスリット分割する工程と、二つの幅狭条材を裁断位置P2にて所定長さに同時に裁断する工程と、二つの幅狭条材の裁断片4a、5aを裁断位置P2から積層場所P3に、一方の裁断片4aの搬送時間が他方の裁断片5aの搬送時間よりも長くなるように搬送する工程と、を含む。搬送する工程では、両裁断片4a、5aの少なくとも一方の裁断片4aを、積層場所P3での当該一方の裁断片4aの炭素粒子塗工方向D1が積層場所P3での他方の裁断片5aの炭素粒子塗工方向D2に対して相対的に90°回転するように裁断位置P2から積層場所P3に搬送することにより、当該一方の裁断片4aを積層場所P3にて他方の裁断片5a上に積層する。【選択図】図4
Description
本発明は、金属−炭素粒子複合材の製造などに用いられる炭素粒子塗工箔の積層方法及び箔の積層装置、並びに、炭素粒子塗工箔の積層方法を用いた金属−炭素粒子複合材の製造方法に関する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特に文中に明示する場合を除き、アルミニウムの語は純アルミニウム及びアルミニウム合金の双方を含む意味で用いられ、銅の語は純銅及び銅合金の双方を含む意味で用いられる。
金属−炭素粒子複合材は一般に高熱伝導性及び低線膨張性を有している。この種の複合材の製造方法を開示した文献として、特許第5150905号公報(特許文献1)、特許第4441768号公報(特許文献2)及び特開2006−1232号公報(特許文献3)などがある。
特許第5150905号公報は、シート状又はフォイル状の金属支持体上に炭素粒子としての炭素繊維を含有する皮膜が形成されたプリフォーム(炭素繊維塗工箔)を形成し、これを複数積み重ねて積層体を形成し、積層体を加熱圧接することでプリフォーム同士を一体化させることにより、金属−炭素粒子複合材としての金属基炭素繊維複合材を製造する方法を開示している。この方法では、得られる複合材において熱伝導率が高くなるのは炭素繊維が配向した一方向のみである。
特許第4441768号公報は、鱗状黒鉛粉末と所定の鱗状金属粉末との混合体を用いて焼結前駆体を形成し、焼結前駆体を加圧しながら焼結することにより、金属−炭素粒子複合材としての金属−黒鉛複合材を製造する方法を開示している。この方法では、製造時において金属粉末の取り扱い難しいし、製造コストが高いという問題がある。
特開2006−1232号公報は、結晶系カーボン材層と金属層とが積層され複合化された複合体をホットプレス焼結することにより、金属−炭素粒子複合材としての高熱伝導・低熱膨張複合材を製造する方法を開示している。この方法では、複合体の焼結が難しく、そのため、接合が不十分で接合界面のずれが生じやすいと考えられる。
金属−炭素粒子複合材又はその製造方法を開示したその他の文献として、特開2015−25158号公報(特許文献4)、特開2015−217655号公報(特許文献5)、特開2017−88913号公報(特許文献6)及び国際公開第2017/110141号(特許文献7)がある。
上記特許第5150905号公報に開示された製造方法で得られる金属−炭素粒子複合材は、金属マトリックスからなる金属層と金属マトリックス中に炭素繊維(炭素粒子として)が分散した炭素繊維分散層(炭素粒子分散層として)とが交互に複数積層した状態に接合一体化されたものである。
ここで以下では、上述のように金属層と炭素粒子分散層(炭素繊維分散層を含む)とが交互に複数積層した状態に接合一体化された金属−炭素粒子複合材において、金属層及び炭素粒子分散層の積層方向を複合材の厚さ方向と定義し、複合材の厚さ方向に対して垂直な面及びその方向をそれぞれ複合材の平面及び平面方向と定義する。
また、金属箔上に炭素粒子が塗工された炭素粒子塗工箔の積層体において、炭素粒子塗工箔の積層方向を積層体の厚さ方向と定義し、積層体の厚さ方向に対して垂直な面及びその方向をそれぞれ積層体の平面及び平面方向と定義する。
上記特許第5150905号公報に開示された複合材のように、炭素粒子分散層(例::炭素繊維分散層)の炭素粒子(例:炭素繊維)が複合材の平面内で一方向に配向している場合、複合材の平面方向の物性(熱伝導率、線熱膨張率、機械的強度など)に大きな異方性が生じ、当該複合材製の製品の品質に悪影響を及ぼすことがある。
また、金属箔上に炭素粒子をグラビア塗工法などにより所定の塗工方向に塗工すると、塗工方向に対して垂直な方向に塗工ムラが発生し易い。塗工ムラが発生した状態では、炭素粒子塗工箔の炭素粒子塗工量は炭素粒子塗工方向に対して垂直な方向において不均一になっている。
塗工ムラが発生した炭素粒子塗工箔を用いて上記特許5150905号公報に開示の製造方法に従って金属−炭素粒子複合材を製造すると、複合材の平面方向の物性について均一性が損なわれる。一方、塗工ムラが発生しないように炭素粒子を金属箔上に塗工することは容易ではない。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、本発明の一つの目的は、金属箔上に炭素粒子が塗工された炭素粒子塗工箔の積層方法であって、炭素粒子塗工箔に炭素粒子の配向や塗工ムラが発生していても、得られる金属−炭素粒子複合材の平面方向の物性についての不均一性や異方性を緩和し得る炭素粒子塗工箔の積層方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、上述の炭素粒子複合材の積層方法に好適に用いられる箔の積層装置を提供することにある。
本発明の更にもう一つの目的は、平面方向の物性についての不均一性や異方性を緩和し得る金属−炭素粒子複合材の製造方法を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
1) 金属箔の幅広条材上に炭素粒子が所定の塗工方向に塗工された炭素粒子塗工箔の幅広条材を前記炭素粒子塗工箔の複数の幅狭条材にスリット分割する工程と、
前記複数の幅狭条材のうち少なくとも二つの幅狭条材を裁断位置にて所定長さに同時に裁断する工程と、
前記二つの幅狭条材の裁断片のうち一方を第1裁断片及び他方を第2裁断片とするとき、前記第1及び第2裁断片を前記裁断位置から積層場所に、前記裁断位置から前記積層場所への前記第1裁断片の搬送時間が前記裁断位置から前記積層場所への前記第2裁断片の搬送時間よりも長くなるように搬送する工程と、を含み、
前記搬送する工程では、前記第1及び第2裁断片の少なくとも前記第1裁断片を、前記積層場所での前記第1裁断片の炭素粒子塗工方向が前記積層場所での前記第2裁断片の炭素粒子塗工方向に対して相対的に90°回転するように前記裁断位置から前記積層場所に搬送することにより、前記第1裁断片を前記積層場所にて前記第2裁断片上に積層する、炭素粒子塗工箔の積層方法。
前記複数の幅狭条材のうち少なくとも二つの幅狭条材を裁断位置にて所定長さに同時に裁断する工程と、
前記二つの幅狭条材の裁断片のうち一方を第1裁断片及び他方を第2裁断片とするとき、前記第1及び第2裁断片を前記裁断位置から積層場所に、前記裁断位置から前記積層場所への前記第1裁断片の搬送時間が前記裁断位置から前記積層場所への前記第2裁断片の搬送時間よりも長くなるように搬送する工程と、を含み、
前記搬送する工程では、前記第1及び第2裁断片の少なくとも前記第1裁断片を、前記積層場所での前記第1裁断片の炭素粒子塗工方向が前記積層場所での前記第2裁断片の炭素粒子塗工方向に対して相対的に90°回転するように前記裁断位置から前記積層場所に搬送することにより、前記第1裁断片を前記積層場所にて前記第2裁断片上に積層する、炭素粒子塗工箔の積層方法。
2) 前記搬送する工程では、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ下り勾配を有する第1及び第2搬送ステージ上を自重により滑らせて搬送する前項1記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
3) 前記第1搬送ステージの搬送経路長さが前記第2搬送ステージの搬送経路長さよりも長い前項2記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
4) 前記第1搬送ステージの下り勾配と前記第2搬送ステージの下り勾配が、前記第1裁断片の前記搬送時間が前記第2裁断片の前記搬送時間よりも長くなるように相異している前項2又は3記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
5) 前記搬送する工程では、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ前記第1及び第2搬送ステージ上を自重により滑らせて搬送する前項2〜4のいずれかに記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
6) 前記搬送する工程では、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ第1及び第2コンベヤにより搬送する前項1記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
7) 前記第1コンベヤの搬送経路長さが前記第2コンベヤの搬送経路長さよりも長い前項6記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
8) 前記第1コンベヤの搬送速さが前記第2コンベヤの搬送速さよりも遅い前項6又は7記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
9) 前記搬送する工程では、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ前記第1及び第2コンベヤにより搬送する前項6〜8のいずれかに記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
10) 前項1〜9のいずれかに記載の炭素粒子塗工箔の積層方法により炭素粒子塗工箔を積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼結する工程とを含む、金属−炭素粒子複合材の製造方法。
前記積層体を焼結する工程とを含む、金属−炭素粒子複合材の製造方法。
11) 箔の幅広条材を前記箔の複数の幅狭条材にスリット分割するスリッタと、
前記複数の幅狭条材のうち二つの幅狭条材を裁断位置にて所定長さに同時に裁断する裁断手段と、
前記二つの幅狭条材の裁断片のうち一方を第1裁断片及び他方を第2裁断片とするとき、前記第1及び第2裁断片を前記裁断位置から積層場所に、前記裁断位置から前記積層場所への前記第1裁断片の搬送時間が前記裁断位置から前記積層場所への前記第2裁断片の搬送時間よりも長くなるように搬送する搬送手段と、を含み、
前記搬送手段は、前記第1及び第2裁断片の少なくとも前記第1裁断片を、前記積層場所での前記第1裁断片の長さ方向が前記積層場所での前記第2裁断片の長さ方向に対して相対的に90°回転するように前記裁断位置から前記積層場所に搬送することにより、前記第1裁断片を前記積層場所にて前記第2裁断片上に積層するように構成されている、箔の積層装置。
前記複数の幅狭条材のうち二つの幅狭条材を裁断位置にて所定長さに同時に裁断する裁断手段と、
前記二つの幅狭条材の裁断片のうち一方を第1裁断片及び他方を第2裁断片とするとき、前記第1及び第2裁断片を前記裁断位置から積層場所に、前記裁断位置から前記積層場所への前記第1裁断片の搬送時間が前記裁断位置から前記積層場所への前記第2裁断片の搬送時間よりも長くなるように搬送する搬送手段と、を含み、
前記搬送手段は、前記第1及び第2裁断片の少なくとも前記第1裁断片を、前記積層場所での前記第1裁断片の長さ方向が前記積層場所での前記第2裁断片の長さ方向に対して相対的に90°回転するように前記裁断位置から前記積層場所に搬送することにより、前記第1裁断片を前記積層場所にて前記第2裁断片上に積層するように構成されている、箔の積層装置。
12) 前記搬送手段は、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ自重により滑らせて搬送する、下り勾配を有する第1及び第2搬送ステージを備えている前項11記載の箔の積層装置。
13) 前記第1搬送ステージの搬送経路長さが前記第2搬送ステージの搬送経路長さよりも長い前項12記載の箔の積層装置。
14) 前記第1搬送ステージの下り勾配と前記第2搬送ステージの下り勾配が、前記第1裁断片の前記搬送時間が前記第2裁断片の前記搬送時間よりも長くなるように相異している前項12又は13記載の箔の積層装置。
15) 前記第1及び第2搬送ステージは、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ自重により滑らせて搬送する前項12〜14のいずれかに記載の箔の積層装置。
16) 前記搬送手段は、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ搬送する第1及び第2コンベヤを備えている前項11記載の箔の積層装置。
17) 前記第1コンベヤの搬送経路長さが前記第2コンベヤの搬送経路長さよりも長い前項16記載の箔の積層装置。
18) 前記第1コンベヤの搬送速さが前記第2コンベヤの搬送速さよりも遅い前項16又は17記載の箔の積層装置。
19) 前記第1及び第2コンベヤは、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ搬送する前項16〜18のいずれかに記載の箔の積層装置。
20) 前記スリッタは、金属箔の幅広条材上に炭素粒子が塗工された炭素粒子塗工箔の幅広条材を前記箔の幅広条材として、複数の幅狭条材にスリット分割するものである前項11〜19のいずれかに記載の箔の積層装置。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1によれば、搬送する工程では、第1及び第2裁断片は裁断位置から積層場所に第1裁断片の搬送時間が第2裁断片の搬送時間よりも長くなるように搬送されるので、第1裁断片が積層場所に到達する時には第2裁断片は積層場所に既に到達している。そのため、第1裁断片を積層場所にて第2裁断片上に積層することができる。
さらに、搬送する工程では、第1及び第2裁断片の少なくとも第1裁断片を、積層場所での第1裁断片の炭素粒子塗工方向が積層場所での第2裁断片の炭素粒子塗工方向に対して相対的に90°回転するように裁断位置から積層場所に搬送することにより、第1裁断片を積層場所にて第2裁断片上に積層することから、炭素粒子塗工箔の幅広条材に炭素粒子の配向や塗工ムラが発生していても、積層体の平面方向における炭素粒子の配向や塗工ムラを相殺することができる。そのため、得られる金属−炭素粒子複合材の平面方向の物性(熱伝導率、線熱膨張率、機械的強度など)についての不均一性や異方性を緩和できる。
前項2〜5では、第1及び第2裁断片をそれぞれ下り勾配を有する第1及び第2搬送ステージ上を自重により滑らせて搬送することにより、安価な搬送システムを構築できる。
前項6〜9では、第1及び第2裁断片をそれぞれ第1及び第2コンベヤにより搬送することにより、搬送速さを制御し易い。そのため、搬送効率がよい搬送システムを構築できる。
前項10では、平面方向の物性についての不均一性や異方性が緩和された金属−炭素粒子複合材を得ることができる。
前項11〜20では、例えば本発明に係る炭素粒子塗工箔の積層方法に好適に用いられる箔の積層装置を提供できる。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
本発明の一実施形態に係る炭素粒子塗工箔の積層方法は、金属箔上に炭素粒子が塗工された炭素粒子塗工箔を積層するものである。
詳述すると、炭素粒子塗工箔の積層方法は、図1、3及び4に示すように、炭素粒子塗工箔3の幅広条材3Aをスリット分割位置P1にて炭素粒子塗工箔3の複数の幅狭条材4、5にスリット分割する工程S1(この工程を説明の便宜上「スリット分割工程S1」という)と、複数の幅狭条材4、5のうち二つの幅狭条材4、5を裁断位置P2にて所定長さに同時に裁断する工程S2(この工程を説明の便宜上「裁断工程S2」という)と、二つの幅狭条材4、5の裁断片4a、5aを裁断位置P2から積層場所P3に搬送する工程S3(この工程を説明の便宜上「搬送工程S3」という)とを含む。なお、積層場所P3とは、裁断片4a、5aが積層される場所である。
これらの工程S1〜S3は、本発明の一実施形態に係る箔の積層装置20により行われる。そのため、積層装置20は、炭素粒子塗工箔3の幅広条材3Aをスリット分割位置P1にて炭素粒子塗工箔3の複数の幅狭条材4、5にスリット分割するスリッタ21と、二つの幅狭条材4、5を裁断位置P2にて所定長さに同時に裁断する裁断手段23と、二つ幅狭条材4、5の裁断片4a、5aを裁断位置P2から積層場所P3に搬送する搬送手段25とを具備している。以下では炭素粒子塗工箔3を単に「塗工箔3」ともいう。
本実施形態では、図3に示すように裁断工程S2での塗工箔3のスリット分割数は二つである。二つの幅狭条材4、5の幅は互いに略等しい。
塗工箔3の幅広条材3Aとは、図2に示すように金属箔2の幅広条材2A上にその長さ方向に多数の炭素粒子1が塗工されたものであり、例えば次のようにして得られる。
図2において、符号「10」は炭素粒子1を塗工する塗工機である。
塗工機10は、金属箔2の幅広条材2A上に多数の炭素粒子1をロールtoロール方式で塗工するものであり、金属箔2の幅広条材2Aを巻き出す巻出しロール11と、塗工箔3の幅広条材3Aを巻き取る巻取りロール12と、塗工装置13と、乾燥炉18とを具備している。塗工装置13及び乾燥炉18は、巻出しロール11と巻取りロール12との間に金属箔2の幅広条材2Aの送り方向Fに順次並んで設置されている。
塗工装置13は、炭素粒子1とバインダ(図示せず)とバインダ用溶剤(図示せず)とを混合状態に含む塗工液(図示せず)を金属箔2の幅広条材2A上に塗工するものである。
塗工装置13の種類は限定されるものではなく、本実施形態では塗工装置13としてグラビア塗工装置が用いられている。
グラビア塗工装置13は、互いに対向して配置されたグラビアロール14及びバックアップロール15を備えており、更に、グラビアロール14の周面に塗工液を供給する塗工液供給手段16を備えている。
塗工液供給手段16は、例えば、塗工液を収容した塗工液パン(図示せず)を備えており、グラビアロール14の周面の周方向の一部がパン内の塗工液に接触した状態でグラビアロール14が回転することにより、グラビアロール14の周面にその周方向に塗工液が連続的に付着されるように構成されている。グラビアロール14の周面に付着した余分な塗工液はドクターブレード17により掻き取られる。パン内の塗工液中には多数の炭素粒子1がその配向方向がランダムになるように分散している。
グラビアロール14の周面にはその全体に亘って多数のセル(凹部)が整然と配列して設けられている。セルのサイズは炭素粒子1の最長軸方向の平均長さよりも大きく設定されており、これにより、グラビアロール14の周面に付着した塗工液中の炭素粒子1がセル内に収容されうるようになっている。
炭素粒子1の種類は限定されるものではなく、特に、炭素繊維(例:PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、天然黒鉛粒子(例:鱗片状黒鉛粒子)、グラフェン(例:単層グラフェン、多層グラフェン)及びカーボンナノチューブ(例:単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維)からなる群より選択される一種又は二種以上のものが炭素粒子1として好適に用いられる。その理由は、このような炭素粒子は熱伝導率が高いからである。
炭素粒子1の大きさは限定されるものではなく、通常、炭素粒子1として、炭素粒子1の最長軸方向の平均長さが0.1μm〜1000μmの範囲のものが用いられる。
金属箔2の材質は限定されるものではなく、例えばアルミニウム箔や銅箔である。
金属箔2の幅広条材2Aの幅は限定されるものではなく、所望する金属−炭素粒子複合材の幅や長さに応じて設定されるものであり、例えば200mm〜1500mmの範囲である。
金属箔2の幅広条材2Aの厚さは限定されるものではなく、例えば6μm〜100μmの範囲である。
塗工液において、バインダは、金属箔2の幅広条材2A上に塗工された炭素粒子1が幅広条材2A上から脱落しないように炭素粒子1に幅広条材2A上への結着力を付与するものであり、通常、樹脂などからなる。
バインダとして、非酸化雰囲気中にて200℃〜450℃の範囲で炭化せずに昇華、分解などにより消失するものを用いることが特に望ましい。そのようなバインダとして、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂などが好適に用いられる。
塗工液において、溶剤はバインダを溶解するものであり、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系用溶剤などが好適に用いられる。
乾燥炉18は、金属箔2の幅広条材2A上の塗工液中の溶剤を乾燥除去するものである。
グラビア塗工装置13により炭素粒子1(塗工液)が塗工される金属箔2の幅広条材2Aの塗工予定面2aは、金属箔2の幅広条材2Aの厚さ方向の両側の表面のうち少なくとも一方の片側の表面である。本実施形態では、塗工予定面2aは、金属箔2の幅広条材2Aの厚さ方向の一方の片側の表面(図2では上表面)である。
塗工機10により炭素粒子1を塗工する場合、巻出しロール11から巻き出された金属箔2の幅広条材2Aは、グラビア塗工装置13のグラビアロール14とバックアップロール15との間と、乾燥炉18とを順次通過したのち巻取りロール12に巻き取られる。
金属箔2の幅広条材2Aがグラビアロール14とバックアップロール15との間を通過する際、塗工液が金属箔2の幅広条材2A上(詳述すると金属箔2の幅広条材2Aの塗工予定面2a)にその幅方向の全体に亘ってグラビアロール14により金属箔2の幅広条材2Aの長さ方向に連続的に層状に塗工される。
次いで、金属箔2の幅広条材2Aが乾燥炉18を通過する際、金属箔2の幅広条材2A上の塗工液が乾燥されて塗工液中の溶剤が除去される。これにより、金属箔2の幅広条材2A上にその長さ方向に多数の炭素粒子1が塗工された炭素粒子塗工箔3の幅広条材3Aが得られる。そして、塗工箔3の幅広条材3Aが巻取りロール12に巻き取られる。
塗工箔3の幅広条材3Aにおいてその長さ方向が塗工機10(詳述すると塗工機10のグラビア塗工装置13)による炭素粒子塗工方向Dである。以下では炭素粒子塗工方向Dを単に「塗工方向D」ともいう。
図3に示すように、スリット分割工程S1では、巻取りロール12から略水平状に巻き出された塗工箔3の幅広条材3Aはスリッタ21により上述したように二つの幅狭条材4、5に分割される。
そして、裁断工程S2では、両幅狭条材4、5が平面視において塗工箔3の幅広条材3Aの幅方向に並列した状態で所定長さに同時に一括して裁断位置P2にて裁断手段23により裁断される。これにより、塗工箔3の二つの幅狭条材4、5の裁断片4a、5aが得られる。
ここで説明の便宜上、二つの幅狭条材4、5のうち一方を第1幅狭条材4及び他方を第2幅狭条材5という。また、第1幅狭条材4の裁断片4aを第1裁断片4a及び第2幅狭条材5の裁断片5aを第2裁断片5aという。
図3において、矢印「D」は、上述したように塗工箔3の幅広条材3Aの塗工方向を示している。同図では、塗工方向Dを分かり易くするため、塗工箔3の幅広条材3A、各幅狭条材4、5及び各裁断片4a、5aには塗工方向Dを表示する細線が描かれている。その他の図面(図4〜7)でも同じである。また、矢印「D1」は第1裁断片4aの塗工方向、矢印「D2」は第2裁断片5aの塗工方向をそれぞれ示している。
塗工箔3の幅広条材3Aにおいて炭素粒子1の塗工ムラは塗工方向Dに対して垂直な方向(即ち塗工箔3の幅広条材3Aの幅方向)に発生する。塗工ムラが発生した状態では、塗工箔3の幅広条材3A上の炭素粒子塗工量は塗工方向Dに対して垂直な方向において不均一になっており、肉眼では炭素粒子塗工量が多い箇所は濃く少ない箇所は淡く見える。
裁断手段23は限定されるものではない。本実施形態では、裁断手段23として、開閉駆動可能な上下一対の裁断刃23a、23aを有する裁断装置が用いられている。
裁断装置は、両裁断刃23a、23aのうち少なくとも一方の裁断刃23aが他方の裁断刃23aに向かって相対的に閉駆動することにより、両裁断刃23a、23a間を通過する第1及び第2幅狭条材4、5を所定長さに一括して同時に裁断するように構成されている。両裁断刃23a、23aの配置位置が裁断位置P2に対応している。
裁断装置による第1及び第2幅狭条材4、5の裁断長さは限定されるものではない。本実施形態では、第1及び第2幅狭条材4、5は、例えば、第1及び第2裁断片4a、5aの長さが第1及び第2裁断片4a、5aの幅と略等しくなるように裁断装置により裁断される。そのため、第1及び第2裁断片4a、5aの平面視形状は略正方形状である
スリッタ21は回転刃21aを有するものである。回転刃21aは、巻取りロール12から巻き出された塗工箔3の幅広条材3Aの送り方向Mに対して相対的に裁断装置の両裁断刃23a、23aの配置位置(即ち裁断位置P2)よりも上流側に配置されている。なお、送り方向Mは、塗工箔3の幅広条材3Aの長さ方向(即ち塗工方向D)に設定されている。
スリッタ21は回転刃21aを有するものである。回転刃21aは、巻取りロール12から巻き出された塗工箔3の幅広条材3Aの送り方向Mに対して相対的に裁断装置の両裁断刃23a、23aの配置位置(即ち裁断位置P2)よりも上流側に配置されている。なお、送り方向Mは、塗工箔3の幅広条材3Aの長さ方向(即ち塗工方向D)に設定されている。
そして、巻取りロール12から巻き出された塗工箔3の幅広条材3Aがスリッタ21(詳述すると回転刃21a)によるスリット分割位置P1と裁断装置(詳述すると両裁断刃23a、23a)による裁断位置P2とを順次通過するように略水平に送られることにより、上述のスリット分割工程S1と上述の裁断工程S2が連続的に行われる。
搬送工程S3では、裁断工程S2で得られた第1及び第2裁断片4a、5aは、図4、5又は6に示すように、裁断位置P2から積層場所P3に、裁断位置P2から積層場所P3への第1裁断片4aの搬送時間が裁断位置P2から積層場所P3への第2裁断片5aの搬送時間よりも長くなるように搬送手段25により搬送される。
すなわち、第1裁断片4aの搬送時間を「ΔT1」、第2裁断片5aの搬送時間を「ΔT2」とするとき、第1及び第2裁断片4a、5は裁断位置P2から積層場所P3に「ΔT1>ΔT2」の関係を満たすように搬送手段25により搬送される。
本実施形態では、裁断位置P2から積層場所P3への第1及び第2裁断片4a、5aの搬送は同時に開始される。
ここで、裁断位置P2から積層場所P3への第1裁断片4aの搬送時間ΔT1とは、詳述すると、第1裁断片4aを裁断位置P2から積層場所P3まで搬送するのに要する時間を意味する。裁断位置P2から積層場所P3への第2裁断片5aの搬送時間ΔT2についてもこれと同じ意味である。
さらに、搬送工程S3では、第1及び第2裁断片4a、5aの少なくとも第1裁断片4aは、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転するように搬送手段25により裁断位置P2から積層場所P3に搬送されることにより、積層場所P3にて第2裁断片5a上に積層される。
次に、図4に示した搬送工程例(この工程例を説明の便宜上「搬送工程S3の第1例」という)について以下に説明する。
搬送工程S3の第1例では、積層場所P3は裁断位置P2に対して低位置にある。搬送手段25は、第1及び第2裁断片4a、5aをそれぞれ自重により滑らせて搬送する、下り勾配を有する第1及び第2搬送ステージ26、27を備えている。そして、裁断位置P2から積層場所P3まで第1及び第2裁断片4a、5aはそれぞれ第1及び第2搬送ステージ26、27上を自重により滑って搬送される。
第1裁断片4aを搬送する第1搬送ステージ26の搬送経路の上流端と第2裁断片5aを搬送する第2搬送ステージ27の上流端は、平面視において裁断位置P2にて塗工箔3の幅広条材3Aの幅方向に並んで配置されており、詳述すると、裁断位置P2における第1裁断片4aの直下位置と第2裁断片5aの直下位置とにそれぞれ配置されている。
第2搬送ステージ27の搬送経路は、平面視において裁断位置P2から積層場所P3まで略直線状に延びている。
第1搬送ステージ26の搬送経路は、平面視において裁断位置P2の下流側近傍から積層場所P3の上流側近傍まで第2搬送ステージ27側とは反対側に略く字状に屈曲するとともに、積層場所P3の上流側近傍にて第2搬送ステージ27の搬送経路と合流している。これにより、第1搬送ステージ26の搬送経路長さが第2搬送ステージ27の搬送経路長さよりも長くなっている。
したがって、第1及び第2裁断片4a、5aは、裁断位置P2から積層場所P3に、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送される。すなわち、第1及び第2裁断片4a、5aは、裁断位置P2から積層場所P3に、第1裁断片4aの積層場所P3への到達時刻が第2裁断片5aの積層場所P3への到達時刻よりも遅くなるように搬送される。
第1及び第2幅狭条材4、5が裁断手段23により同時に裁断されると、第1及び第2裁断片4a、4aはそれぞれ第1及び第2搬送ステージ26、27上に落下等により同時に載置される。これにより、第1裁断片4aの塗工方向D1と第2裁断片5aの塗工方向D2とが互いに平行な状態で第1及び第2裁断片4a、5aがそれぞれ第1及び第2搬送ステージ26、27上を自重により裁断位置P2から同時に滑り始める。
そして、第2裁断片5aは、裁断位置P2から積層場所P3までの搬送経路の全長さ領域に亘って第2裁断片5aの塗工方向D2が回転しないように第2搬送ステージ27上を滑って積層場所P3に到達する。換言すると、第2搬送ステージ27の搬送経路は、第2搬送ステージ27により搬送される第2裁断片5aについて、積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2が裁断位置P2での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して回転しないように延びている。
第1裁断片4aは、第1搬送ステージ26の上述した搬送経路に沿って搬送されることにより、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で時計回りに90°回転するように第1搬送ステージ26上を滑って積層場所P3に到達する。換言すると、第1搬送ステージ26の搬送経路は、第1搬送ステージ26により搬送される第1裁断片4aについて、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で時計回りに90°回転するように屈曲している。
第1裁断片4aが積層場所P3に到達する時には第2裁断片5aは積層場所P3に既に到達している。そのため、第1裁断片4aは積層場所P3にて第2裁断片5a上に第1裁断片4aの塗工方向D1が第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転した状態に積層される。
このように、裁断工程S2と搬送工程S3を繰り返し行うことにより、第1裁断片4aと第2裁断片5aは、積層場所P3において、第1裁断片4aの塗工方向D1が第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転するように交互に複数積層される。その結果、第1及び第2裁断片4a、5aの積層体(7、図7参照)が積層場所P3にて形成される。
第1及び第2裁断片4a、5aの合計積層枚数は、所望する金属−炭素粒子複合材の厚さなどに対応して設定されるものであり限定されるものではなく、例えば10〜10,000枚の範囲である。
次に、図5に示した搬送工程例(この工程例を説明の便宜上「搬送工程S3の第2例」という)について、図4に示した上記第1例との相異点を中心に以下に説明する。なお図5には、上記第1例の要素と同じ作用を奏する要素には、上記第1例の要素に付された符号と同じ符号が付されている。
第2搬送ステージ27の搬送経路は、上記第1例と同じく、平面視において裁断位置P2から積層場所P3まで略直線状に延びている。
第1搬送ステージ26の搬送経路は、平面視において裁断位置P2の下流側近傍から積層場所P3まで第2搬送ステージ27側とは反対側に略半円弧状に屈曲するとともに、積層場所P3にて第2搬送ステージ27の搬送経路と合流している。これにより、第1搬送ステージ26の搬送経路長さが第2搬送ステージ27の搬送経路長さよりも長くなっている。
第2搬送ステージ27上を裁断位置P2から滑り始めた第2裁断片5aは、上記第1例と同じく、第2裁断片5aの塗工方向D2が回転しないように第2搬送ステージ27上を滑って積層場所P3に到達する。
第1搬送ステージ26上を裁断位置P2から滑り始めた第1裁断片4aは、第1搬送ステージ26の上述した搬送経路に沿って搬送されることにより、積層場所P3での第1裁断片4aの子塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で反時計回りに90°回転するように第1搬送ステージ26上を滑って積層場所P3に到達する。換言すると、第1搬送ステージ26の搬送経路は、第1搬送ステージ26により搬送される第1裁断片4aについて、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で反時計回りに90°回転するように屈曲している。
第1裁断片4aが積層場所P3に到達する時には第2裁断片5aは積層場所P3に既に到達している。そのため、第1裁断片4aは積層場所P3にて第2裁断片5a上に第1裁断片4aの塗工方向D1が第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転した状態に積層される。
このように、裁断工程S2と搬送工程S3を繰り返し行うことにより、第1裁断片4aと第2裁断片5aは、積層場所P3において、第1裁断片4aの塗工方向D1が第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転するように交互に複数積層される。その結果、第1及び第2裁断片4a、5aの積層体(7、図7参照)が積層場所P3にて形成される。
次に、図6に示した搬送工程例(この工程例を説明の便宜上「搬送工程S3の第3例」という)について、図4に示した上記第1例との相異点を中心に以下に説明する。なお図6には、上記第1例の要素と同じ作用を奏する要素には、上記第1例の要素に付された符号と同じ符号が付されている。
第2搬送ステージ27の搬送経路は、図6に示すように、平面視において裁断位置P2の下流側近傍から積層場所P3まで第1搬送ステージ26側とは反対側に略円弧状に屈曲している。
第1搬送ステージ26の搬送経路は、平面視において裁断位置P2の下流側近傍から積層場所P3まで第2搬送ステージ27側とは反対側に第2搬送ステージ27よりも大きく略円弧状に屈曲するとともに、積層場所P3にて第2搬送ステージ27の搬送経路と合流している。これにより、第1搬送ステージ26の搬送経路長さが第2搬送ステージ27の搬送経路長さよりも長くなっている。
第2搬送ステージ27上を裁断位置P2から滑り始めた第2裁断片5aは、第2搬送ステージ27の上述した搬送経路に沿って搬送されることにより、積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2が裁断位置P2での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して平面視で時計回りに45°回転するように第2搬送ステージ27上を滑って積層場所P3に到達する。換言すると、第2搬送ステージ27の搬送経路は、第2搬送ステージ27により搬送される第2裁断片5aについて、積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2が裁断位置P2での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して平面視で時計回りに45°回転するように屈曲している。
第1搬送ステージ26上を裁断位置P2から滑り始めた第1裁断片4aは、第1搬送ステージ26の上述した搬送経路に沿って搬送されることにより、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で反時計回りに45°回転するように第1搬送ステージ26上を滑って積層場所P3に到達する。換言すると、第1搬送ステージ26の搬送経路は、第1搬送ステージ26により搬送される第1裁断片4aについて、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で反時計回りに45°回転するように屈曲している。
第1裁断片4aが積層場所P3に到達する時には第2裁断片5aは積層場所P3に既に到達している。そのため、第1裁断片4aは積層場所P3にて第2裁断片5a上に第1裁断片4aの塗工方向D1が第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転した状態に積層される。
このように、裁断工程S2と搬送工程S3を繰り返し行うことにより、第1裁断片4aと第2裁断片5aは、積層場所P3において、第1裁断片4aの塗工方向D1が第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転するように交互に複数積層される。その結果、第1及び第2裁断片4a、5aの積層体(7、図7参照)が積層場所P3にて形成される。
図4〜6に示した上述の搬送工程S3の第1〜第3例では、第1搬送ステージ26の搬送経路長さが第2搬送ステージ27の搬送経路長さよりも長いことにより、第1及び第2裁断片4a、5aは、裁断位置P2から積層場所P3に、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送される。
さらに本発明では、その他に例えば、第1搬送ステージ26の下り勾配と第2搬送ステージ27の下り勾配とが相異することにより、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように第1及び第2裁断片4a、5aが搬送されても良い。この場合について一例を具体的に示すと次のとおりである。
第1搬送ステージ26は、平面視において裁断位置P2から積層場所P3まで略直線状に延びるとともに、裁断位置P2から積層場所P3までの第1搬送ステージ26の下り勾配が一定であり、すなわち裁断位置P2から積層場所P3までの第1搬送ステージ26の搬送経路が側面視で直線状である。
第2搬送ステージ27は、平面視において裁断位置P2から積層場所P3まで略直線状に延びるとともに、裁断位置P2から積層場所P3までの第2搬送ステージ27の下り勾配がサイクロイド曲線(最速降下曲線)に従って変化しており、すなわち裁断位置P2から積層場所P3までの第2搬送ステージ27の搬送経路が側面視でサイクロイド曲線状に屈曲している。
このように、本発明では第1搬送ステージ26の下り勾配と第2搬送ステージ27の下り勾配とが相異していても良い。
さらに本発明では、その他に例えば、第1搬送ステージ26の搬送経路長さが第2搬送ステージ27の搬送経路長さよりも長く且つ第1搬送ステージ26の下り勾配と第2搬送ステージ27の下り勾配とが相異することにより、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように第1及び第2裁断片4a、5aが搬送されても良い。
上述した搬送工程S3の第1〜第3例によれば、第1及び第2裁断片4a、5aがそれぞれ第1及び第2搬送ステージ26、27上を自重により滑って搬送されるので、安価な搬送システムを構築できる。
上述した搬送工程S3の第1〜第3例では、搬送手段25として第1及び第2搬送ステージ26、27が用いられているが、本発明では、その他に例えば、搬送手段25として第1及び第2コンベヤ28、29が用いられても良い。各コンベヤとしては例えばベルトコンベヤが用いられる。
搬送手段25として第1及び第2コンベヤ28、29が用いられる場合における幾つかの例について図4〜6を参照して説明すると、次のとおりである。
一つ目の例(この例を説明の便宜上「搬送工程S3の第4例」という)としては、図4〜6に示すように、第1裁断片4aを搬送する第1コンベヤ28の搬送経路長さが第2裁断片5aを搬送する第2コンベヤ29の搬送経路長さよりも長く、これにより、第1及び第2裁断片4a、5aが、裁断位置P2から積層場所P3に、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送される。
図4の場合では、第2コンベヤ29の搬送経路は、第2コンベヤ29により搬送される第2裁断片5aについて、積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2が裁断位置P2での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して回転しないように延びている。
第1コンベヤ28の搬送経路は、第1コンベヤ28により搬送される第1裁断片4aについて、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で時計回りに90°回転するように屈曲している。
図5の場合では、第2コンベヤ29の搬送経路は、第2コンベヤ29により搬送される第2裁断片5aについて、積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2が裁断位置P2での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して回転しないように延びている。
第1コンベヤ28の搬送経路は、第1コンベヤ28により搬送される第1裁断片4aについて、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で反時計回りに90°回転するように屈曲している。
図6の場合では、第2コンベヤ29の搬送経路は、第2コンベヤ29により搬送される第2裁断片5aについて、積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2が裁断位置P2での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して平面視で時計回りに45°回転するように屈曲している。
第1コンベヤ28の搬送経路は、第1コンベヤ28により搬送される第1裁断片4aについて、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が裁断位置P2での第1裁断片4aの塗工方向D1に対して平面視で反時計回りに45°回転するように屈曲している。
この第4例では、第1コンベヤ28の搬送速さと第2コンベヤ29の搬送速さは等しくても良いし相異していても良い。相異している場合、第1コンベヤ28の搬送速さは第2コンベヤ29の搬送速さよりも遅い方が望ましい。その理由は、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように第1及び第2裁断片4a、5aを確実に搬送できるからである。
二つ目の例(この例を説明の便宜上「搬送工程S3の第5例」という)としては、第1コンベヤ28の搬送速さが第2コンベヤ29の搬送速さよりも遅く、これにより、第1及び第2裁断片4a、5aが、裁断位置P2から積層場所P3に、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送される。
この第5例では、第1コンベヤ28の搬送経路長さと第2コンベヤ29の搬送経路長さは等しくても良いし相異していても良い。相異している場合、第1コンベヤ28の搬送経路長さは第2コンベヤ29の搬送経路長さよりも長い方が望ましい。その理由は、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように第1及び第2裁断片4a、5aを確実に搬送できるからである。
上述した搬送工程S3の第4及び第5例では、積層場所P3は裁断位置P2に対して低位置にあっても良いし高位置にあっても良いし等高位置にあっても良い。
上述した搬送工程S3の第4及び第5例によれば、第1及び第2裁断片4a、5aがそれぞれ第1及び第2コンベヤ28、29により搬送されるので、搬送速さを制御し易い。そのため、搬送効率がよい搬送システムを構築できる。
さらに本発明では、上述の第4例と第5例とを組み合わすことにより、第1及び第2裁断片4a、5aが裁断位置P2から積層場所P3に、第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送されても良い。
さらに本発明では、搬送手段25は、第1及び第2搬送ステージ26、27と第1及び第2コンベヤ28、29とを備えていてもよい。
この場合には、裁断位置P2から積層場所P3への搬送途中位置まで第1及び第2裁断片4a、5aをそれぞれ第1及び第2搬送ステージ26、27上を自重により滑らせて搬送し、搬送途中位置から積層場所P3まで第1及び第2裁断片4a、5aをそれぞれ第1及び第2コンベヤ28、29により搬送し、これにより、第1及び第2裁断片4a、5aが裁断位置P2から積層場所P3に第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送される。
あるいは、裁断位置P2から積層場所P3への搬送途中位置まで第1及び第2裁断片4a、5aをそれぞれ第1及び第2コンベヤ28、29により搬送し、搬送途中位置から積層場所P3まで第1及び第2裁断片4a、5aをそれぞれ第1及び第2搬送ステージ26、27上を自重により滑らせて搬送し、これにより、第1及び第2裁断片4a、5aが裁断位置P2から積層場所P3に第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送される。
次に、上述した積層体を用いた、本発明の一実施形態に係る金属−炭素粒子複合材の製造方法について以下に説明する。
積層場所P3にて積層されて形成された積層体7を積層場所P3から取り出す。そして、図7に示すように積層体7を焼結装置30により焼結する。この工程を説明の便宜上、金属−炭素粒子複合材の製造方法における「焼結工程」という。
焼結装置30としては加圧加熱焼結装置などが用いられ、特に、ホットプレス装置(例:真空ホットプレス装置)、放電プラズマ焼結装置などが好適に用いられる。
焼結工程では、積層体7を焼結装置30の焼結室31内に配置し、所定の焼結雰囲気中にて積層体7をその厚さ方向(即ち、積層体7における第1及び第2裁断片4a、5aの積層方向)に加圧しながら加熱することにより、積層体7を焼結する。これにより、図8に示すように所望する金属−炭素粒子複合材9が得られる。複合材9では、積層体7を構成していた複数の第1及び第2裁断片4a、5aは焼結一体化されている。
積層体7中のバインダは、焼結工程における積層体7を約室温から焼結温度まで加熱する途中で昇華、分解などにより消失する。
焼結雰囲気は非酸化雰囲気であることが望ましい。非酸化雰囲気は、不活性ガス雰囲気(例:窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気)、真空などを含む。
焼結工程において積層体7が上述のように加圧加熱されることにより、各裁断片4a、5aの金属箔2の金属材料の一部が各裁断片4a、5aの炭素粒子1間に浸透して炭素粒子1間の空隙が略消滅する。さらに、各裁断片4a、5aの金属箔2の金属材料が複合材9の金属マトリックスを形成するとともに、各裁断片4a、5aの炭素粒子1は複合材9の金属マトリックス中に複合材9の平面方向に分散した状態になる。
したがって、複合材9では、金属マトリックスからなる金属層と金属マトリックス中に炭素粒子1が複合材9の平面方向に分散した炭素粒子分散層とが交互に複数積層した状態に焼結一体化(接合一体化)されている。
積層体7への加圧は、例えば、焼結装置30に備えられた一対の押圧パンチで積層体7をその厚さ方向の両側から挟圧することにより行われる。図8中の上向き及び下向きの一対の矢印「32」及び「32」は、両押圧パンチによる積層体7への加圧方向を示している。
積層体7の焼結温度は、各裁断片4a、5aの金属箔2の金属材料の融点温度以下に設定され、特に、金属箔2の金属材料の融点と当該融点よりも50℃程度低い温度との間の温度に設定されることが望ましい。この場合、積層体7を確実に良好に焼結することができる。具体的には、金属箔2が例えばアルミニウム箔である場合、焼結温度は550〜620℃の範囲に設定されることが望ましい。
本実施形態には次の利点がある。
塗工箔3の幅広条材3Aに炭素粒子1の配向や塗工ムラが発生した場合であっても、搬送工程S3において、第1及び第2裁断片4a、5aの少なくとも第1裁断片4aを、積層場所P3での第1裁断片4aの塗工方向D1が積層場所P3での第2裁断片5aの塗工方向D2に対して相対的に90°回転するように裁断位置P2から積層場所P3に搬送することにより、第1裁断片4aを積層場所P3にて第2裁断片5a上に積層することから、積層体7の平面方向における炭素粒子1の配向や塗工ムラを相殺することができる。そして、この状態で積層体7を焼結することにより、得られる複合材9の平面方向の物性(熱伝導率、線熱膨張率、機械的強度など)についての不均一性や異方性を緩和できる。
さらに、搬送工程S3では、第1及び第2裁断片4a、5aは第1裁断片4aの搬送時間ΔT1が第2裁断片5aの搬送時間ΔT2よりも長くなるように搬送されるので、第1裁断片4aが積層場所P3に到達する時には第2裁断片5aは積層場所P3に既に到達している。そのため、第1裁断片4aを積層場所P3にて第2裁断片5a上に確実に積層することができる。
本実施形態の複合材9は、上述したように複合材9の平面方向の物性についての不均一性や異方性が緩和されているので、冷熱サイクル等の温度変化に対して高い信頼性を有している。したがって、複合材9は、図9に示した冷却器40を構成する複数の構成部材のうち少なくとも一つの構成部材の材料として好適に使用可能である。
冷却器40は、冷却対象物としての発熱体(二点鎖線で示す)46を冷却するものであり、複数の構成部材として、配線層41、絶縁層42、緩衝層43及び放熱部材(冷却部材を含む)44を備えている。そして、上から下へ順に配線層41、絶縁層42、緩衝層43及び放熱部材44が積層された状態でこれらが所定の接合手段(例:ろう付け)により接合一体化されることにより、冷却器40が形成されている。
発熱体46としては、例えば、パワーモジュールチップ等の発熱性素子(半導体素子を含む)が挙示される。発熱体がパワーモジュールチップである場合、冷却器40はパワーモジュール用冷却器である。
配線層41の上面からなる搭載面41aには発熱体46がはんだ層(二点鎖線で示す)47で接合搭載される。絶縁層42は電気絶縁性を有しており、通常、セラミックからなる。緩衝層43は、冷却器40に発生する熱応力等の応力を緩和するための層である。放熱部材44は、発熱体46の熱を放散することで発熱体46を冷却するための部材であり、例えば同図に示すように複数の放熱フィン44aを有するヒートシンクからなる。
なお本発明では、放熱部材44はヒートシンクであることに限定されるものではなく、その他に例えば、放熱板であっても良いし、内部に冷却液流通路が設けられた液冷式冷却部材であっても良い。
上述の冷却器40では、詳述すると、上述した複数の構成部材41〜44のうち絶縁層42を除く構成部材(即ち、配線層41、緩衝層43及び放熱部材44)からなる群より選択される少なくとも一つが本実施形態の複合材9製である。したがって、冷却器40は、冷熱サイクル等の温度変化に対して高い信頼性(例:高い接合信頼性)を有している。
ここで本発明では、複合材9は上述した冷却器40の構成部材の材料として使用されるものに限定されるものではなく、その他に、照明機器の構成部材の材料、携帯・モバイル端末の構成部材の材料、ヒートスプレッダーの構成部材の材料、電池モジュールの構成部材の材料などとしても使用することができる。
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
例えば、本発明では、スリット分割工程S1において炭素粒子塗工箔3の幅広条材3Aを耳落とし(トリミング)しながら複数の幅狭条材4、5にスリット分割しても良い。この場合、所望する幅を有する幅狭条材4、5を確実に得ることができる。
また、上記実施形態では、上述したように、炭素粒子塗工箔3の幅広条材3Aがスリット分割位置P1と裁断位置P2とを順次通過するように送られることにより、スリット分割工程S1と裁断工程S2が連続的に行われるが、本発明では、その他に例えば、塗工箔3の幅広条材3Aをその長さ方向の全体に亘って複数の幅狭条材にスリット分割し、その後で二つの幅狭条材を裁断しても良い。
また、上記実施形態では、箔の積層装置20により積層される対象箔は、炭素粒子塗工箔(詳述すると、炭素粒子塗工箔の幅狭条材の裁断片)であるが、本発明では、対象箔はそのような塗工箔であることに限定されるものではなく、その他の箔(箔の裁断片を含む)であって良い。
本発明は、金属−炭素粒子複合材の製造などに用いられる炭素粒子塗工箔の積層方法及び箔の積層装置、並びに、炭素粒子塗工箔の積層方法を用いた金属−炭素粒子複合材の製造方法に利用可能である。
1:炭素粒子
2:金属箔
2A:金属箔の幅広条材
3:炭素粒子塗工箔
3A:炭素粒子塗工箔の幅広条材
4:炭素粒子塗工箔の第1幅狭条材
4a:第1裁断片
5:炭素粒子塗工箔の第2幅狭条材
5a:第2裁断片
7:積層体
9:金属−炭素粒子複合材
20:箔の積層装置
21:スリッタ
23:裁断手段
23a:裁断刃
25:搬送手段
26:第1搬送ステージ
27:第2搬送ステージ
28:第1コンベヤ
29:第2コンベヤ
30:焼結装置
P1:スリット分割位置
P2:裁断位置
P3:積層場所
D:炭素粒子塗工方向
2:金属箔
2A:金属箔の幅広条材
3:炭素粒子塗工箔
3A:炭素粒子塗工箔の幅広条材
4:炭素粒子塗工箔の第1幅狭条材
4a:第1裁断片
5:炭素粒子塗工箔の第2幅狭条材
5a:第2裁断片
7:積層体
9:金属−炭素粒子複合材
20:箔の積層装置
21:スリッタ
23:裁断手段
23a:裁断刃
25:搬送手段
26:第1搬送ステージ
27:第2搬送ステージ
28:第1コンベヤ
29:第2コンベヤ
30:焼結装置
P1:スリット分割位置
P2:裁断位置
P3:積層場所
D:炭素粒子塗工方向
Claims (20)
- 金属箔の幅広条材上に炭素粒子が所定の塗工方向に塗工された炭素粒子塗工箔の幅広条材を前記炭素粒子塗工箔の複数の幅狭条材にスリット分割する工程と、
前記複数の幅狭条材のうち二つの幅狭条材を裁断位置にて所定長さに同時に裁断する工程と、
前記二つの幅狭条材の裁断片のうち一方を第1裁断片及び他方を第2裁断片とするとき、前記第1及び第2裁断片を前記裁断位置から積層場所に、前記裁断位置から前記積層場所への前記第1裁断片の搬送時間が前記裁断位置から前記積層場所への前記第2裁断片の搬送時間よりも長くなるように搬送する工程と、を含み、
前記搬送する工程では、前記第1及び第2裁断片の少なくとも前記第1裁断片を、前記積層場所での前記第1裁断片の炭素粒子塗工方向が前記積層場所での前記第2裁断片の炭素粒子塗工方向に対して相対的に90°回転するように前記裁断位置から前記積層場所に搬送することにより、前記第1裁断片を前記積層場所にて前記第2裁断片上に積層する、炭素粒子塗工箔の積層方法。 - 前記搬送する工程では、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ下り勾配を有する第1及び第2搬送ステージ上を自重により滑らせて搬送する請求項1記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 前記第1搬送ステージの搬送経路長さが前記第2搬送ステージの搬送経路長さよりも長い請求項2記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 前記第1搬送ステージの下り勾配と前記第2搬送ステージの下り勾配が、前記第1裁断片の前記搬送時間が前記第2裁断片の前記搬送時間よりも長くなるように相異している請求項2又は3記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 前記搬送する工程では、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ前記第1及び第2搬送ステージ上を自重により滑らせて搬送する請求項2〜4のいずれかに記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 前記搬送する工程では、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ第1及び第2コンベヤにより搬送する請求項1記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 前記第1コンベヤの搬送経路長さが前記第2コンベヤの搬送経路長さよりも長い請求項6記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 前記第1コンベヤの搬送速さが前記第2コンベヤの搬送速さよりも遅い請求項6又は7記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 前記搬送する工程では、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ前記第1及び第2コンベヤにより搬送する請求項6〜8のいずれかに記載の炭素粒子塗工箔の積層方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の炭素粒子塗工箔の積層方法により炭素粒子塗工箔を積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼結する工程とを含む、金属−炭素粒子複合材の製造方法。 - 箔の幅広条材を前記箔の複数の幅狭条材にスリット分割するスリッタと、
前記複数の幅狭条材のうち二つの幅狭条材を裁断位置にて所定長さに同時に裁断する裁断手段と、
前記二つの幅狭条材の裁断片のうち一方を第1裁断片及び他方を第2裁断片とするとき、前記第1及び第2裁断片を前記裁断位置から積層場所に、前記裁断位置から前記積層場所への前記第1裁断片の搬送時間が前記裁断位置から前記積層場所への前記第2裁断片の搬送時間よりも長くなるように搬送する搬送手段と、を含み、
前記搬送手段は、前記第1及び第2裁断片の少なくとも前記第1裁断片を、前記積層場所での前記第1裁断片の長さ方向が前記積層場所での前記第2裁断片の長さ方向に対して相対的に90°回転するように前記裁断位置から前記積層場所に搬送することにより、前記第1裁断片を前記積層場所にて前記第2裁断片上に積層するように構成されている、箔の積層装置。 - 前記搬送手段は、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ自重により滑らせて搬送する、下り勾配を有する第1及び第2搬送ステージを備えている請求項11記載の箔の積層装置。
- 前記第1搬送ステージの搬送経路長さが前記第2搬送ステージの搬送経路長さよりも長い請求項12記載の箔の積層装置。
- 前記第1搬送ステージの下り勾配と前記第2搬送ステージの下り勾配が、前記第1裁断片の前記搬送時間が前記第2裁断片の前記搬送時間よりも長くなるように相異している請求項12又は13記載の箔の積層装置。
- 前記第1及び第2搬送ステージは、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ自重により滑らせて搬送する請求項12〜14のいずれかに記載の箔の積層装置。
- 前記搬送手段は、前記第1及び第2裁断片をそれぞれ搬送する第1及び第2コンベヤを備えている請求項11記載の箔の積層装置。
- 前記第1コンベヤの搬送経路長さが前記第2コンベヤの搬送経路長さよりも長い請求項16記載の箔の積層装置。
- 前記第1コンベヤの搬送速さが前記第2コンベヤの搬送速さよりも遅い請求項16又は17記載の箔の積層装置。
- 前記第1及び第2コンベヤは、前記裁断位置から前記積層場所まで前記第1及び第2裁断片をそれぞれ搬送する請求項16〜18のいずれかに記載の箔の積層装置。
- 前記スリッタは、金属箔の幅広条材上に炭素粒子が塗工された炭素粒子塗工箔の幅広条材を前記箔の幅広条材として、複数の幅狭条材にスリット分割するものである請求項11〜19のいずれかに記載の箔の積層装置。
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JP2018101275A JP2019206092A (ja) | 2018-05-28 | 2018-05-28 | 炭素粒子塗工箔の積層方法及び箔の積層装置 |
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