JP2019203538A - インサート - Google Patents
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Abstract
Description
1.構造
(1)概要
(2)基体
(3)ねじ部
(コイルスプリング)
(外殻)
(規制部)
(4)基体に対するねじ部の固定
2.作用効果
(インサートに対する吊りボルトの取り付け)
(インサートからの吊りボルトの取り外し)
(インサートの長さ寸法と雄ねじのねじ込み保持強度との非依存性)
(インサートの長さ寸法とインサートの引張耐力の関係)
(作業負担の軽減)
(構造の簡素化)
(加工精度)
(結合強度)
(溶接作業上の問題)
(その他)
3.変形例
(1)概要
本実施の形態のインサート101は、吊りボルト201の雄ねじ202を受け入れるための先端部102を露出させた状態でコンクリートの天井301(設置対象物)に埋設される(図9、図11参照)。このときインサート101は、完全に硬化する前のコンクリートに埋設され、その硬化によって固定される。
基体111は、円筒状の筒状部112の一端に、円板状のフランジ113を固定した構造物である。両者の固定は、例えば筒状部112の周囲とフランジ113との間に施した溶接による。これらの筒状部112及びフランジ113は、例えば鋼鉄製である。
図4〜図8に示すように、ねじ部131は、両端に開口132a,132bを有する外殻133を備えている。外殻133の内部には雌ねじ134が形成され、収納空間135が設けられている。雌ねじ134は一方の開口132aに連絡し、吊りボルト201が有する雄ねじ202のねじ込みを許容する。収納空間135はもう一方の開口132bと雌ねじ134との間に配置され、コイルスプリング151を収納する。
コイルスプリング151について詳しく述べる。
その詳細は、外殻133の詳細な説明の項において後述する。
規制部171の詳細についても、外殻133の詳細な説明の項において後述する。
外殻133について詳しく述べる。
螺合空間135Aの内径は、吊りボルト201の雄ねじ202の螺合によって拡大し、螺合を解く方向への雄ねじ202の回転によってさらに拡大する第1の領域151Aの外径よりも、大径となる径に設定されている。したがって螺合空間135Aは遊びをもって第1の領域151Aを収納し、雄ねじ202の螺合状態のいかんにかかわらず、第1の領域151Aの径の変動を妨げない。
このとき回り止め空間135Bは、僅かな遊びをもって第2の領域151Bを収納するように、その内寸を定めている。したがって第2の領域151Bは、回り止め空間135Bの内壁に固定されることなく保持され、コイルスプリング151を回り止めする。
この構造は、外殻133が開口132bの側に有している六つの辺のそれぞれから内周側に突出する突片137によって構成されている。これらの突片137は、一例として、外殻133の六つの辺の端部の一部を開口132bの側から加圧し、塑性変形させることによって形成される。その結果、外殻133の六つの辺の端部それぞれに窪み部138が形成され、この際に移動した肉の部分によって突片137が形成される。これらの突片137は、コイルスプリング151の開口132bからの脱落を防止する。
図4、図6〜図8に示すように、外殻133はさらに、規制部171を構成するための貫通開口172を側壁に設けている。貫通開口172は、外殻133の外径形状をなす六角柱の一面に設けられた貫通孔であり、コイルスプリング151の第1の領域151Aの始端部分に設けられたストッパ153を挿入させ得る位置に設けられている。
つまりストッパ153は、規制端Rを始点として、コイル素線152と雄ねじ202との間に滑りが生じるまで貫通開口172内を移動する。そこで貫通開口172の幅は、このようなストッパ153の移動を許容し得る幅に設定されている。
このとき第1の領域151Aは、ねじ戻し方向への雄ねじ202の回転に連れ回されることで径を縮小するわけであるが、規制端Rにストッパ153が干渉してその回転が規制されれば、それ以上径を縮小しない。したがって規制端Rによるストッパ153の移動規制は、第1の領域151Aの径の縮小を止めさせるという意味合いを持つ。
そこで規制端Rとストッパ153との位置関係は、雄ねじ202をねじ戻して螺合を解くことができる程度に第1の領域151Aの径の縮小範囲を規制し得る位置に定められている。
ねじ部131の外殻133は、六角柱形状をしているが故に、外周に六面を備え、隣り合う二面の間に角部を有している。角部は、外殻133がなす断面六角形の頂点をなす。
基体111が有する筒状部112の軸孔114は、この頂点をなす外殻133の角部に内接するように、その内径が定められている。したがってねじ部131は、筒状部112の軸孔114に嵌り込んで外殻133の角部を密接させる。
図8に示すように、外殻133の六面は、筒状部112の軸孔114との間に隙間Gを形成する。そこで基体111の筒状部112に対してねじ部131の外殻133は、隙間Gに溶接材191を流し込むようにして溶接されて固定される。
このとき溶接材191がどこまで入り込むかは、筒状部112と外殻133との間の隙間Gの大きさや、溶接材191の種類、さらには溶接作業時の外部環境などの各種の条件に依存する。距離Lは、これらの条件を考慮した上で、溶接材191が貫通開口172にまで達しないように、適宜設定される。
このような構成において、インサート101は、例えば図9、図11に示すように、コンクリートの天井301に埋設されて使用される。
図9及び図10は、天井301に埋設されたインサート101に対する吊りボルト201のねじ込み作業時の状態を示している。
インサート101に吊りボルト201をねじ込むには、ねじ部131の雌ねじ134に吊りボルト201の雄ねじ202を螺合させ、時計方向CWであるねじ込み方向にねじ込む。雄ねじ202が雌ねじ134の終端にまで至ると、雄ねじ202はコイルスプリング151の第1の領域151Aに螺合し、さらにねじ込まれていく。
このとき第1の領域151Aは、雄ねじ202の螺合によって径を拡大し、雄ねじ202との接触抵抗の増大に応じて連れ回され、いずれ雄ねじ202との間に滑りを生じる。両者間に滑りが生じれば、雄ねじ202は第1の領域151Aにねじ込まれる。
雄ねじ202との接触抵抗の増大に応じて連れ回されたとき、規制端Rに位置していたストッパ153は貫通開口172内を移動する。この移動は、第1の領域151Aと雄ねじ202との間に滑りが生ずるまで続くが、両者間に滑りが生じればストッパ153は移動せず、貫通開口172内で規制端Rと反対側の端部に干渉することはない。
したがって第1の領域151Aの自由な挙動は妨げられず、雄ねじ202は第1の領域151Aに円滑に螺合する。
図11及び図12は、天井301に埋設されたインサート101に対する吊りボルト201のねじ戻し作業時の状態を示している。
雄ねじ202を反時計方向CCWであるねじ戻し方向に回転させると、コイルスプリング151の第1の領域151Aが連れ回されて径を縮小し、雄ねじ202を締めつける。このとき第1の領域151Aの連れ回りによってストッパ153が移動し、規制端Rと干渉してその移動が規制される。すると第1の領域151Aはそれ以上径を縮小することがなくなり、雄ねじ202をねじ戻して第1の領域151Aとの間の螺合を解くことが可能になる。
本実施の形態によれば、基体111にねじ部131を固定するという構造上、吊りボルト201が有している雄ねじ202のねじ込み量は、インサート101の雌ねじ134の軸方向長さによってのみ規定される。したがってコイルスプリング151による緩み防止機能を持たせながら、雄ねじ202のねじ込み量を減少させて施工時の作業負担を低減することができる。
とりわけ数多くのインサート101を天井301に埋設し、その分の吊りボルト201を取り付けなければならない場合には、インサート101及び吊りボルト201の数量が増えれば増えるほど、作業負担を大幅に低減することが可能である。
しかも規制端Rに対するストッパ153の干渉によって雄ねじ202をねじ戻す際の手ごたえが変わるため、雄ねじ202の螺合がこれから解かれるのだという節度感を作業者に与えることができる。
このような音と感触とによる作業者への報知は、作業性を向上させ、作業負担の軽減に貢献する。
本実施の形態では、雄ねじ202の保持を専らねじ部131によって担っている。ねじ部131は、雄ねじ202を十分な保持強度で保持する。このため基体111の筒状部112の長さ寸法と雄ねじ202のねじ込み保持強度との間の依存関係がなく、筒状部112の長さ寸法を自由に設定することが可能である。また筒状部112の長さ寸法を長くしたとしても、雄ねじ202のねじ込み量が増加しない。
コンクリートに埋め込まれたインサート101の引張耐力は、インサート101にねじ込まれた吊りボルト201に引張力が作用した際に生じる強度によって決定される。より詳しくは、コンクリートが円錐状に割れて破壊するコンクリートのコーン状破壊強度、吊りボルト201の引張降伏強度、インサート101の引張降伏強度のうち、その最小値が上記引張耐力を決定づける。
このためコンクリートのコーン状破壊強度は、吊りボルト201とインサート101とのそれぞれの引張降伏強度を上回っていなければならない。そこで実際の施工にあたっては、この条件を満たすだけのコンクリートのコーン状破壊強度を確保するために、インサート101を埋設する建設部材ごとに、筒状部112の基体111の長さ寸法L1(図9参照)を調整する必要がある。
本実施の形態のインサート101は、基体111が有する円筒状の筒状部112の先端部分に、コイルスプリング151を内蔵するねじ部131を溶接によって固定する構造を採用している。このためコイルスプリング151を含むねじ部131の構造を改変することなく、筒状部112の長さ寸法L1を自由に設定することが可能である。したがってインサート101を埋設する建設部材ごとに要求される引張耐力を満足するインサート101を容易に実現することができる。
ストッパ153は、コイルスプリング151の雄ねじ202を螺合させる第1の領域151Aの端部を外周側に起立させるだけという簡素な構造を有している。
ストッパ153の可動範囲を規制する凹部は、外殻133の側面に貫通させた貫通開口172という簡素な構造によって実現されている。
したがって本実施の形態によれば、規制部171の構造の簡素化を図ることができる。
外殻133は、例えば鍛造や切削加工によって一体成形された金属材である。このため別部品を組み合わせたような一体成形品ではないものとの比較において、高い精度が得られる。
基体111の筒状部112とねじ部131の外殻133との溶接部分には、筒状部112の軸孔114の入口に位置させて開先192が形成されている。このため開先192がない場合と比較して、筒状部112と溶接材191との接触面積が増大し、結果的に外殻133と溶接材191との接触面積も増大する。
したがって溶接による基体111とねじ部131との結合強度を高めることができる。
また開先192を設けることによって溶接空間が拡がるため、溶接による各部の変形も防止することができる。
筒状部112とねじ部131との結合位置は、筒状部112の先端に対して、規制部171の貫通開口172が距離Lだけ離隔されるように設定されている。このため筒状部112とねじ部131との溶接に際して、筒状部112と外殻133との間に流し込まれる溶接材191が貫通開口172にまで達しないようにすることができる。
したがって貫通開口172に溶接材191が入り込んでしまったり、溶接材191で塞がれてしまったりすることによる規制部171の動作不良を防止することができる。
基体111をなす筒状部112はパイプ状の部材であり、フランジ113は円板状の部材である。いずれも容易に入手可能で、汎用品の流用も可能である。加工も容易で、筒状部112は様々な長さへの対応、フランジ113は様々な径への対応が可能である。
したがって基体111を容易かつ手軽に構成することができる。
実施に際しては、各種の変形や変更が許容される。
102 先端部 151A 第1の領域
111 基体 151B 第2の領域
112 筒状部 152 コイル素線
113 フランジ 153 ストッパ
114 軸孔 171 規制部
131 ねじ部 172 貫通開口(凹部)
132a 開口(一方の開口) 191 溶接材
132b 開口(もう一方の開口) 192 開先
133 外殻 201 吊りボルト
134 雌ねじ 202 雄ねじ
135 収納空間 301 天井
135A 螺合空間 CW 時計方向
135B 回り止め空間 CCW 反時計方向
136 貫通孔 G 隙間
137 突片 R 規制端
138 窪み部
Claims (3)
- 雄ねじを受け入れるための先端部を露出させた状態で設置対象物に埋設されて固定される基体と、
両端に開口を有する外殻と、一方の前記開口に連絡して前記雄ねじのねじ込みを許容する雌ねじと、もう一方の前記開口と前記雌ねじとを連絡させる収納空間と、この収納空間に回り止めされて収納され、前記雌ねじと同一方向の螺旋状に巻回されて前記雌ねじにねじ込まれた前記雄ねじを螺合させるコイルスプリングと、緩め方向に回転する前記雄ねじに連れ回されるコイルスプリングの回転を規制する規制部とを備え、前記一方の開口を露出させて前記基体に固定されたねじ部と、
を備えることを特徴とするインサート。 - 前記ねじ部は、前記基体の先端部に固定されており、
前記規制部は、
前記コイルスプリングの前記雄ねじを螺合させる部分の端部を外周側に起立させたストッパと、
前記外殻の内周面に設けられて前記ストッパの可動範囲を規制する凹部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のインサート。 - 前記コイルスプリングは、前記雄ねじを螺合させる第1の領域と、前記第1の領域よりも大径の回り止めされる第2の領域とを連続的に備えており、
前記外殻は、前記第2の領域を前記収納空間内で回り止めする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインサート。
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DE112020005493T5 (de) | 2019-11-08 | 2022-09-08 | Denso Corporation | Rotierende elektrische Maschine |
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2018
- 2018-05-22 JP JP2018097968A patent/JP7107744B2/ja active Active
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