JP2019203383A - 複合建具 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属製の上枠の屋内側の垂下片部の表面で結露しにくく、結露しても屋内側からみえにくいようにした。【解決手段】引き違い窓1は枠体5内に外障子8と内障子7を納めた。枠体5の金属上枠15における屋内側垂下片部15dの先端と屋内側の面a1を上部樹脂アングル16で囲った。屋内側垂下片部15dの屋外側の面a2には中間樹脂枠17を当接させた。屋内側垂下片部15dの屋外側の面a2には内障子7の金属上框10aにシール部材36を当接させた。屋内側垂下片部15dの先端を囲う上部樹脂アングル16の先端に断熱層42を形成した。断熱層42は、上部樹脂アングル16の本体部16bから屋内側垂下片部15dの先端に当接する先端片16cと段付き部16aに設けた軟質樹脂のヒレ部40とで内障子7の樹脂上框10bに延びる断面略コの字状に形成した。【選択図】図3

Description

本発明は、金属枠及び樹脂枠を有する枠体内に障子を納めた引き違い障子や片引き障子等の各種の複合建具に関する。
従来、例えば中層や高層のマンション等のビルディングでは、例えば特許文献1に記載された引き違い窓が提案されている。特許文献1に記載されたアルミ合金等の金属部材からなる引き違い窓は、例えば図7に示す構成を備えている。アルミ合金製の上枠101は、内部に外障子と内障子102を納める金属製の室外枠部材103と枠体の室内側部材を構成する金属製の室内枠部材104とを、樹脂製のブリッジ材105で連結して断熱している。
この上枠101はその見込み方向に室外枠部材103と中間レール106との間に外障子を走行可能に挟み込み、中間レール106と室内枠部材104との間に内障子102を走行可能に挟み込んでいる。この引き違い窓は屋内側の垂下片をなす室内枠部材104が結露することを低減するために樹脂製のブリッジ材105を設置している。このブリッジ材105は上枠101内で外部の冷気が室内に伝達することを抑制する断熱ラインを構成している。
また、ブリッジ材105の下方で内障子102の上框108と室内枠部材104との間に気密ラインを構成する気密材107が設置されている。
特許第5621122号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載された引き違い窓では、屋外から中間レールと内障子102の上框108との間の空間から冷気が流れ込み、ブリッジ材105よりも室内側で冷気を受けて屋内側の室内枠部材104の内外の表面で結露するためブリッジ材105による断熱効果が小さかった。また、ブリッジ材105はかしめ等で固定するため製造コストが高いという欠点があった。しかも、室内は外気に比較して高温であるため温度差によって室内枠部材104の表面で結露し易く、垂下片をなす室内枠部材104の屋内側と屋外側の表面で結露した結露水が落下するおそれがあった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、金属部材の上枠の屋内側の垂下片部の表面で結露しにくい上に結露したとしても屋内側からみえにくいようにした複合建具を提供することを目的とする。
本発明による複合建具は、枠体内に障子を納めた複合建具であって、枠体の金属上枠における屋内側の垂下片部の先端と少なくとも屋内側の面が樹脂部材で囲われていることを特徴とする。
本発明によれば、金属上枠の屋内側の垂下片部の先端と少なくとも屋内側の面を樹脂部材で囲っているために垂下片部の表面温度が高くなり、屋外側から流入する冷気によって垂下片部に結露することを低減できる。
なお、垂下片部の表面を囲う樹脂部材は屋内側の面でもよいし屋内外両側の面でもよい。垂下片部の両側の面を樹脂部材で囲うようにすれば表面温度を高くできるため、冷気による垂下片部の結露の発生を一層抑制できる。
また、屋内側の垂下片部の先端を囲う樹脂部材には断熱層が形成されていることが好ましい。
垂下片部の先端を囲う樹脂部材に断熱層を形成したことで、屋外からの冷気が垂下片部の屋内側に伝達されることを断熱層で防いで結露も防止できる。
また、屋内側の垂下片部から屋外側に延びる気密材、または障子の上框から屋内側に延びる気密材が取り付けられていることが好ましい。
垂下片部から屋外側に延びる気密材、または障子の上框から屋内側に延びる気密材を取り付けて、障子または垂下片部等に接触させると共に、この気密材を断熱層の屋外側に設けたことで、屋外からの冷気が屋内側に伝達されることをより一層抑制できる。
また、樹脂部材に形成された断熱層は、垂下片部の先端から内障子の上框に延びる断面略コの字状の樹脂片部で形成していてもよい。
断熱層を垂下片部の先端から内障子等の上框に向けて断面略コの字状の樹脂片部で形成したため、冷気の伝達を阻止できると共に、垂下片部に結露が発生して流れ落ちたとしても略コの字状の樹脂片部で受け止めて貯留することができる。
なお、断面略コの字の下側の樹脂片部を上側の樹脂片部より軟質の軟質樹脂を用いてもよい。
また、樹脂部材に形成された断熱層は、中空のホロー部で形成されていてもよい。
断熱層をホロー部で形成することで断熱効果が高くなり、冷気の屋内側への伝達を一層低減できる。
本発明による複合建具では、金属上枠における屋内側の垂下片部の先端と少なくとも屋内側の面を樹脂部材で囲ったため、垂下片部の表面温度が高くなり断熱性が高いため結露を低減できると共に、屋外側から流入する冷気を垂下片部の先端で遮断することができる。
また、仮に垂下片部の面が冷気に晒されて結露したとしても、垂下片部の先端と屋内側の面を樹脂部材で覆っているため結露を屋内側から目視できない上に結露水の落下を樹脂部材の先端で阻止できる。
本発明の第一実施形態による引き違い窓の要部縦断面図である。 図1に示す引き違い窓の要部水平断面図である。 図1に示す枠体の上枠と内外障子の上框との配置構成を示す要部拡大断面図である。 図1に示す下枠と内障子との配置構成を示す要部拡大断面図である。 図4において、下部樹脂アングルを取り外す状態を示す図4と同様な断面図である。 本発明の第二実施形態による上枠と内障子の上框との構成を示す要部拡大断面図である。 従来の枠体の上枠と内障子の上框との配置構成を示す要部断面図である。
以下、本発明の実施形態による複合建具の一例としての引き違い窓について添付図面により説明する。
本発明の第一実施形態による引き違い窓1を図1から図5に基づいて説明する。
図1及び図2に示す実施形態による引き違い窓1は、上枠2と下枠3と左右の縦枠4とで四角形枠状に形成された枠体5内に内障子7と外障子8が見込み方向に納められている。内障子7と外障子8はそれぞれ上框10と下框11と左右の縦框12、13とで四角形枠状に形成され、その内部に例えばペアガラス等の複層ガラス9が納められている。
図1及び図3において、枠体5の上枠2は主として金属上枠15で形成され、その屋内側の面に断面略L字状をなす樹脂製の上部樹脂アングル16が連結されている。金属上枠15はその上面部をなす基部15aの見込み方向にみて屋外側端部から垂下する屋外側垂下片部15bと中間部から垂下する中間レール部15cと屋内側端部から垂下する屋内側垂下片部15dとを有している。
中間レール部15cにはその屋内側に断面略櫛形をなす中間樹脂枠17が連結され、屋内側垂下片部15dにはその屋外側の面に略板状の内側樹脂枠18が当接されている。しかも中間樹脂枠17と内側樹脂枠18は樹脂製の連結板14aによって接続されて基部15aに係合されている。金属製の屋内側垂下片部15dは内側樹脂枠18と上部樹脂アングル16によって屋内外の面a1,a2を囲われている。
そして、屋外側垂下片部15bと中間レール部15cとの間に外障子8が走行可能に保持されている。中間レール部15cと屋内側垂下片部15dとの間にも内障子7が走行可能に保持されている。
また、下枠3は主として金属下枠19で形成されており、金属下枠19の見込み方向に見て屋外側領域に外側レール20が形成され、屋内側領域には内側レール21が形成されている。外側レール20には外障子8の図示しない戸車が走行可能に載置され、内側レール21には内障子7の戸車が走行可能に載置され、それぞれ外障子8と内障子7の荷重を受けて走行可能である。金属下枠19の屋内側端部には図4に示す木製の額縁22との間に断面略L字形状で樹脂製の下部樹脂アングル24が取り外し可能に設置されている。
また、図2において、左右の縦枠4は主として金属縦枠25で形成され、左側の金属縦枠25の屋内側に複数のホロー部を形成した樹脂縦枠26が連結され、右側の金属縦枠25の屋内側には上部樹脂アングル16と同様な構成を備えた側部樹脂アングル27が連結されている。
また、外障子8と内障子7は、複層ガラス9の四辺の框部が上框10、下框11、左右の縦框12,13で構成されている。複層ガラス9はグレージングチャンネルを介して金属上框10a、金属下框11a、左右の金属縦框12a、13aにそれぞれ設けたガラス受け部34で四辺の側縁部を支持されている。これら金属框の屋内側を樹脂上框10b、樹脂下框11b、左右の樹脂縦框12b、13bでそれぞれ覆っている。
なお、金属上枠15、金属下枠19、左右の金属縦枠25、金属上框10a、金属下框11a、左右の金属縦框12a、13aは例えばアルミ合金製である。
次に図3により上枠2の金属上枠15と内障子7の上框10との間の気密構造と断熱構造について説明する。金属上枠15の屋内側端部に形成した金属製の屋内側垂下片部15dは上端側の基部15aから垂下されており、その下端部の屋外側の面a2には受け部35が形成されている。この受け部35には気密材として例えば弾性を有するアルミ合金製のシール部材36が嵌合しており、その先端は内障子7の金属上框10aの面部10aaに当接して気密にシールしている。
なお、気密材としてアルミ合金等の金属に代えてゴム等の弾性部材を用いてもよい。屋内側垂下片部15dの屋内側の面a1には係合受け部37が形成されている。
また、金属上枠15の屋内側垂下片部15dに係合された樹脂製の上部樹脂アングル16は、段付き部16aを備えた本体部16bを有し、その先端片16cが金属製の屋内側垂下片部15dの下端に当接して覆っている。
更に、上部樹脂アングル16は、段付き部16aの近傍先端側には基部が屋内側垂下片部15dに当接すると共に先端側が屋内側に屈曲して係合受け部37に係合可能な係止片38を有する。更に、上部樹脂アングル16は、本体部16bから上方に延びていて先端側で屈曲または湾曲して屋内側垂下片部15dに当接する当接片39を形成している。
また、段付き部16aには屋外側即ち内障子7の上框10に向かって延びる軟質樹脂からなるヒレ部40が連結または一体形成されている。ヒレ部40の軟質樹脂は他の樹脂よりも軟質で弾性変形可能に形成されており、内障子7の上框10に当接している。内障子7を走行させるとヒレ部40が当接した状態で変位し、気密状態を維持する。
なお、ヒレ部40は他の樹脂と同様に比較的硬質の樹脂で形成してもよく、この場合には内障子7の上框10と非接触で近接することが気密を保持するために好ましい。
一方、内障子7の上框10には、金属上框10aの屋内側端部は例えば鉛直に延びる面部10aaが、上部樹脂アングル16のシール部材36に当接して気密にシールしている。シール部材36と面部10aaとで外気の屋内への通気を阻止する気密ラインを構成する。
また、金属上框10aに屋内側で連結された樹脂上框10bは、ヒレ部40が当接する部分が例えば平面状をなす屋内側鉛直部10baを形成している。更に、その下方部分は屋内側に向かって拡幅するように傾斜するテーパ部10bbを形成し、更にその下方側には先端に突起部を有する凹部10bcを形成している。
なお、樹脂上框10bは内障子7を枠体5から屋内側に外す際に上枠2に当接して損傷しないように軟質樹脂で形成してもよい。
そのため、上部樹脂アングル16の段付き部16aと先端片16cとヒレ部40とで、屋外側から伝達される冷気を断熱する断面略コの字状の断熱層42を構成し、断熱ラインを構成する。また、屋内側垂下片部15dの面a1,a2に付着した結露がその面a1,a2に沿って降下した場合でも断熱層42によって保持することができる。更にこの断熱層42から結露水がヒレ部40を経由して樹脂上框10bに流れ落ちても凹部10bcで貯留することができる。断熱層42において、先端片16cは上框10に非接触でヒレ部40は接触しているが、ヒレ部40も非接触でもよく上框10に近接する位置に延びていればよい。
そして、樹脂上框10bは凹部10bcから垂直面またはわずかに傾斜して降下する面と複層ガラス9側に傾斜する逆テーパ面10bdとを有している。これによって凹部10bcをあふれ出た結露水は樹脂上框10bに沿って流れて逆テーパ面10bdから複層ガラス9上に流れ落ちるため、室内に落下しない。
なお、図1及び図3において上枠2の金属上枠15における中間レール部15cの屋外側にも外障子8の上框10に当接する気密材としてシール部材36Aが設置されており、気密ラインを構成している。
また、中間レール部15cの屋内側に連結した中間樹脂枠17は、上述した屋内側垂下片部15dに取り付けた上部樹脂アングル16と同様な構成を有している。即ち、中間レール部15cの屋内側に連結した中間樹脂枠17も先端片17aが中間レール部15cの下端部に当接することで屋内側と先端を囲っている。中間樹脂枠17の先端片17aと傾斜段部と軟質樹脂製のヒレ部40Aとによって断面略コの字状の断熱層42Aを形成し、断熱層42Aによって断熱ラインを構成している。
また、外障子8の金属上框10aに取り付けた樹脂上框10bにおいて、内障子7に設けた樹脂上框10bと同様に、ヒレ部40Aが当接する屋内側鉛直部10ba、テーパ部10bb、凹部10bc、凹部10bcから垂直またはわずかに傾斜して降下する面と逆テーパ面10bdとを有している。
次に下枠3の金属下枠19と額縁22との間に設けた下部樹脂アングル24について図4及び図5により説明する。
下部樹脂アングル24は上述した上部樹脂アングル16と略同一の構成を有している。金属下框11aは屋内側端部で樹脂下框11bとの係合部の更に下側に延びていて略L字状に屈曲する下部枠11aaを形成している。金属下枠19の屋内側端部に設けた屋内側壁面19aは上下方向に延びており、上端部で下部枠11aaと水平方向に重なっていて、その屋外側に受け部19bが形成されている。屋内側壁面19aの屋内側には係合受け部19cが形成されている。
そして、この受け部19bに嵌合するアルミ合金製またはゴム製等の弾性部材からなるシール部材44が下部枠11aaに当接しており、冷気の屋内側への通気を阻止する気密材を構成する。
また、金属下枠19の屋内側壁面19aと額縁22との間には小さな間隙が形成され、その上部には下部樹脂アングル24が設置されている。下部樹脂アングル24は略平板状に形成されていてその基部は固定ボルト45によって額縁22の段部に固定され、先端は屋内側壁面19aの上端に載置されて先端に形成した弾性を有する軟質樹脂製のヒレ部46が金属下枠19に設けた下部枠11aaに当接している。
下部樹脂アングル24には、ヒレ部46の近傍で間隙内の下方に向けて係合受け部19cに係合可能な係止片48が形成され、更にその額縁22側には間隙内の下方に延びていて先端側で屈曲または湾曲して金属下枠19の屋内側壁面19aに当接する当接片49を形成している。
そのため、下部樹脂アングル24は固定ボルト45と係止片48によって額縁22と金属下枠19の係合受け部19cに係止されている。しかも係止片48は屋内側壁面19aの屋内側に設けられているため、固定ボルト45を額縁22から外して下部樹脂アングル24のヒレ部46側の先端を引き上げると、当接片49が弾性変形することで係止片48が係合受け部19cから外れるため取り外すことができる。そのため、下部樹脂アングル24は損傷等した場合に着脱交換可能である。
また、下部樹脂アングル24も、先端片16cを引き下げると当接片39が弾性変形して係止片38を係合受け部37から離脱させて着脱交換できる。
本第一実施形態による引き違い窓1は上述した気密及び断熱構造を備えており、次にその作用を説明する。図1及び図2に示す引き違い窓1は例えば中層階や高層階等のビルディングに設置されているものとする。引き違い窓1の外障子8と内障子7の閉鎖状態において、内障子7側では、低温の外気が、上枠2の中間レール部15c及び中間樹脂枠17と内障子7の上框10との間の空間を流れて屋内側に流入する。
外気は屋内側の金属上枠15と内障子7の上框10との隙間を通って屋内側垂下片部15d側に流れる。ここでは、屋内側垂下片部15dに設けたシール部材36が内障子7の金属上框10aに当接することで気密シールできる。この気密ラインによって外気がシール部材36を超えて屋内側に流れることを阻止する。
また、屋内側垂下片部15dと内障子7の上框10との間に流入する外気の一部が屋内側垂下片部15dを冷却して下方に向けて冷気を伝達する。この場合でも、上部樹脂アングル16の先端には断面略コの字状の断熱層42が形成されているために、上部樹脂アングル16を通して低温の伝達や屋内側への冷気の流入が阻止され、或いは低減できる。
また、屋内側垂下片部15dは屋外側の内側樹脂枠18と屋内側の上部樹脂アングル16によって先端と両面a1,a2を囲われているため、表面温度が高く結露を抑制できる。特に、屋内側垂下片部15dの先端と屋内側は、上部樹脂アングル16の断熱層42と当接片39が屋内側垂下片部15dの屋内側の面a1を覆うために断熱効果を発揮して、屋内への冷気の伝達を抑制すると共に屋内側垂下片部15dの屋内側の面a1に結露が生じることを低減できる。
しかし、一部の冷気は内側樹脂枠18を回り込んで屋内側垂下片部15dに接触することで、屋内側垂下片部15dの内外の面a1,a2に結露が生じることがある。この場合でも、屋内側垂下片部15dは上部樹脂アングル16の当接片39で覆われており、屋内側に露出しないので屋内の人が目視できない。
そして、低温によって屋内側垂下片部15dが結露して一部の結露水が水滴になって下方に流れたとしても、断面コの字状の断熱層42のヒレ部40で結露水を受け止めて保水することができ、結露水の落下を抑制できる。
また、断熱層42に保水された結露水がその重みでヒレ部40を経由して下方に流れる場合には、樹脂上框10bにおける屋内側鉛直部10baからテーパ部10bbを流れて突起を有する凹部10bcに貯留される。これによっても結露水が屋内側を落下することを防止できる。
更に凹部10bcを結露水が溢れたとしても、この結露水は床面等に落下することなく、樹脂上框10bの凹部10bcの略鉛直の面から逆テーパ面10bdを経由して複層ガラス9の表面に流れ落ちる。そのため、結露水の一部が内障子7の屋内側で樹脂上框10bから複層ガラス9を通って下方に流れたとしても目立たない。
また、金属上枠15の屋外側垂下片部15bと外障子8の上框10との間に低温の外気が進入した場合でも、内障子7の場合と同様に断熱できる。即ち、外障子8の屋内側に設けた金属上枠15の中間レール部15cと外障子8の金属上框10aとの間に当接させたシール部材36Aによって内障子7の上框10との間で気密ラインを構成する。そのため、外気はシール部材36Aによって屋内側への進入を阻止される。
更に、中間樹脂枠17は先端片17aが中間レール部15cの先端に当接して覆い、先端片17aとヒレ部40Aによる断面略コの字状の断熱層42Aを備えているため外気の屋内側への伝達を低減または阻止できる。
しかも、断熱層42Aに加えて、中間レール部15cの屋内側の面は中間樹脂枠17で囲われているために表面温度を向上でき、冷気による結露を阻止できる。仮にわずかに結露が生じたとしても、中間樹脂枠17で覆われているために屋内側に露出せず室内から目視できない。そして、中間レール部15cの屋外側の表面に結露が生じた場合、結露水が降下しても断熱層42Aで結露水の貯留を行えるため、落下を阻止できる。
また、断熱層42Aで貯留された結露水の一部がヒレ部40Aから降下した場合でも、同様に、流れ落ちる結露水を樹脂上框10bの凹部10bcに貯留でき、更には複層ガラス9に沿って流れ落とすことができる。
なお、上部樹脂アングル16を屋内側垂下片部15dに係止させ、中間樹脂枠17を中間レール部15cに係止させることで、熱によって上部樹脂アングル16や中間樹脂枠17が伸縮することを抑制できる。
上述のように本実施形態による引き違い窓1によれば、屋内側垂下片部15dと内障子7の上框10との間にシール部材36による気密ラインを設け、更に気密ラインの屋内側に断熱層42による断熱ラインを設けたので屋外側の冷気を室内側に伝達することを阻止し、冷たい外気を断熱層42で遮断できる断熱効果が高い。
また、屋内側垂下片部15dの先端と屋内外の両面を上部樹脂アングル16と内側樹脂枠18と断熱層42とで囲ったため、屋内側垂下片部15dの表面温度が高くなり、屋内側垂下片部15dの内外面に結露が生じ難く、仮に結露が生じても室内側から見えないようにすることができて見栄えがよい。
しかも、屋内側垂下片部15dの屋内外の表面に生じた結露が流れ落ちたとしても、上部樹脂アングル16に設けた断熱層42によって貯留することができて結露水の流れ落ちを抑制できる。更に断熱層42のヒレ部40から結露水が流れ落ちるとしても、上框10の樹脂上框10bに形成したテーパ部10bbを流れて凹部10bcに貯留でき、更には樹脂上框10bの形状に沿って複層ガラス9の表面に流れ落とすことができるので、結露水の落下を確実に防止できる。
また、金属上枠15内における低温の外気の熱伝達を阻止するために金属上枠15に樹脂製のシール材を用いないため、かしめ固定等が必要なく組立も容易で低廉である。
また、外障子8の上框10と金属上枠15の中間レール部15c及び中間樹脂枠17とにおいても同様な構成を備えているため同様な作用効果を得られる。
なお、本発明による引き違い窓1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。以下に、本発明の他の実施形態や変形例等について説明するが、上述した実施形態で説明した部品や部材等と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を省略する。
次に本発明の第二実施形態による引き違い窓1Aの断熱構造について図6により説明する。
本第二実施形態による引き違い窓1Aでは、第一実施形態による引き違い窓1と概略同一の構成を備えている。相違点として、本第二実施形態による引き違い窓1Aでは、第一実施形態による上部樹脂アングル16に設けた断面略コの字状の断熱層42に代えて、樹脂で覆われた中空のホロー形状の断熱層50が形成されている。この断熱層50は開口部がないため落下する結露水を貯留する機能を得られないが中空のホロー部を形成しているため断熱性能が一層向上する。
なお、本実施形態において、上部樹脂アングル16における断熱層42、50の形状は断熱効果を発揮できるものであればよく、他の適宜の構成を採用できる。例えば、断熱層42、50として断面コの字状や中空のホロー部形状に代えて、中空部を樹脂で充填した中実の断面四角形状やその他の断面形状等でもよいし、或いは上框10の樹脂上框10bに対向して略Z字状の断面形状を有していてもよい。
また、断熱層42、50を形成する樹脂製の先端片16c、17a、軟質樹脂のヒレ部40、40Aまたは硬質樹脂は樹脂片部を形成する。
また、上述した各実施形態において、断熱構造として屋内側垂下片部15dの屋内側と屋外側とに上部樹脂アングル16と内側樹脂枠18を設けて屋内側垂下片部15dの表面温度の低下と結露の抑制を行うようにしたが、内側樹脂枠18は必ずしも設置しなくてもよい。
また、上述した各実施形態では気密材を形成するシール部材36、36Aを屋内側垂下片部15dや中間レール部15cの受け部35に設けて内外障子7,8の上框10に当接させるようにしたが、これとは逆に上框10にシール部材36、36Aを取り付けて屋内側垂下片部15dや中間レール部15cに当接させてシールするようにしてもよい。
また、断熱層42、42Aにおいて、ヒレ部40、40Aはなくてもよい。
なお、本発明において、上部樹脂アングル16と内側樹脂枠18と中間樹脂枠17は樹脂部材を構成する。また、本発明は引き違い窓1に限定されることなく、片引き障子等の各種の複合建具に適用できる。
1 引き違い窓
2 上枠
7 内障子
8 外障子
10 上框
11 下框
10a 金属上框
10b 樹脂上框
15 金属上枠
15b 屋外側垂下片部
15c 中間レール部
15d 屋内側垂下片部
16 上部樹脂アングル
16c、17a 先端片
17 中間樹脂枠
24 下部樹脂アングル
36,36A シール部材
40,40A ヒレ部
42,42A、50 断熱層

Claims (5)

  1. 枠体内に障子を納めた複合建具であって、
    前記枠体の金属上枠における屋内側の垂下片部の先端と少なくとも屋内側の面が樹脂部材で囲われていることを特徴とする複合建具。
  2. 前記屋内側の垂下片部の先端を囲う前記樹脂部材には断熱層が形成されている請求項1に記載された複合建具。
  3. 前記屋内側の垂下片部から屋外側に延びる気密材、または前記障子の上框から屋内側に延びる気密材が取り付けられている請求項1または2に記載された複合建具。
  4. 前記樹脂部材に形成された前記断熱層は、前記垂下片部の先端から前記障子の上框に延びる断面略コの字状の樹脂片部で形成している請求項2に記載された複合建具。
  5. 前記樹脂部材に形成された前記断熱層は、中空のホロー部で形成されている請求項2に記載された複合建具。
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