JP2019203246A - 緩衝材 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的なクッション材は、特許文献1の図5に示すように、扉の端面に当てる背板と、背板の長手方向の両側縁に繋がり、背板との間に空間を形成する湾曲クッション壁と、背板に外向きに突設された一対の鈎片とを備える。
湾曲クッション壁は、背板の両側縁から背板に対して直交する方向に延出された側壁部と、側壁部に連続して形成された湾曲部と、各湾曲部を連結する天面部とを備えた形状とされている。このため、湾曲クッション壁が柱に当接した際に、各側壁部は外側に倒れやすくなり、湾曲クッション壁に加わる荷重が増えるほど、特許文献1の図6のように潰れ易くなり、扉を閉めた際の緩衝性能を高めることが難しい。
このため、特許文献1では、図4に示すように、中間壁を設けて湾曲クッション壁と背板とが接触することを防止している。
本発明によれば、緩衝材の中空筒状部の断面形状が台形であり、中空筒状部を構成するベース部と、第1側壁部、第2側壁部との交差角度(底角)が90度未満であるため、天面部に力が加わった際に、天面部は第1側壁部および第2側壁部に連結された端部は荷重に対する反力が強くなり、中央部分が曲がって変形する。この天面部の変形の反力で、第1側壁部および第2側壁部を外側に変形させる力が加わるが、第1側壁部および第2側壁部は内倒しになっているので変形を抑制できる。このため、第1側壁部および第2側壁部の先端と、ベース部との間に空間を確保でき、緩衝性能を向上できる。また、特許文献1のような中間壁を設ける必要が無いため、コストも低減できる。
本発明によれば、第1側壁部の先端の位置を、幅方向において第1当接面部の範囲内に設定でき、第2側壁部の先端の位置を、幅方向において第2当接面部の範囲内に設定できる。このため、第1側壁部および第2側壁部の各先端と、ベース部との距離を大きくでき、緩衝性能を向上できる。
緩衝材を幅方向の中心で左右対称形状にできるため、天面部に圧力が加わった際に、第1側壁部および第2側壁部に均等に力が加わるように設定でき、緩衝性能を向上できる。
ベース部を半硬質樹脂で構成すれば、軟質樹脂製とした場合に比べて建具への取付強度を大きくできる。ベース部以外を、軟質樹脂で構成すれば、指等を挟んだ際に、小さな力で変形させることができ、緩衝性能を向上できる。
外反りヒレ部が形成されていれば、緩衝材と、枠や他の緩衝材との隙間部分を塞ぐことができ、明かり漏れ防止性能を向上できる。
上吊引戸1は、室内の間仕切りなどに用いられる引違い戸であり、図1〜3に示すように、三方枠(窓枠)10と、4枚の障子20とを備える。なお、図2,3では、上吊引戸1によって区画される一方の空間を室内側(例えばリビングルームや居室)とし、他方の空間を室外側(前記室内側の空間に隣接する廊下や脱衣室等)として説明する。また、各図において、図面を見やすくするために、ハッチングを省略する場合がある。
以下の説明において、上吊引戸1の障子20がスライド移動される方向(左右方向)をX軸方向、上吊引戸1の見込み方向(室内外方向)をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
障子20は、図3にも示すように、上框21と、下框22と、左右の縦框23と、面材24と、吊車装置25とを備える。上框21、下框22、縦框23は、それぞれアルミ製の押出形材で構成されている。下框22には、下面に開口して長手方向に連続する長溝が形成され、この長溝内には、床に固定されたガイドピン27が配置されている。
障子20は、吊車装置25に設けられたローラ26が上枠11に案内され、下框22がガイドピン27に案内されることで開閉される。
縦框23は、図4に示すように、長手方向(上下方向)に連続する第1平面部231と、第2平面部232と、第1平面部231および第2平面部232間に形成される係合溝233Aを区画形成する係合溝部233とを備える。係合溝233Aには、後述する緩衝材50が取り付けられる。
ここで、第1平面部231および第2平面部232のY軸方向の寸法は同じ寸法である。このため、係合溝部233は、縦框23の見込み方向(Y軸方向)において、中央位置に設けられている。
緩衝材50は、縦框23の全長に渡って設けられる長尺部材であり、図4に示すように、ベース部51と、第1側壁部52と、第2側壁部53と、天面部54とを備える中空筒状部55を有する。また、緩衝材50は、中空筒状部55の第2側壁部53に一体に設けられた外反りヒレ部56も有している。
ベース部51は、半硬質樹脂で形成され、第1側壁部52、第2側壁部53、天面部54、外反りヒレ部56は、軟質樹脂で形成されている。ベース部51、第1側壁部52、第2側壁部53、天面部54で囲まれる中空筒形状を有する長尺部材は、2種類の合成樹脂を用いた2色成形で製造されている。
ベース部51を形成する半硬質樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が利用できる。また、第1側壁部52、第2側壁部53、天面部54、外反りヒレ部56を形成する軟質樹脂としては、例えば、エチレン‐プロピレン共重合体(EPM)、エチレン‐プロピレン‐ジエン共重合体(EPDM)、シリコーン系ゴム、軟質PVC、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、各種エラストマー(PVC系、エチレン酢酸ビニル系、塩素化ポリエチレン、スチレンブタジエン、ウレタン系)等が利用できる。
第1当接面部512は、縦框23の第1平面部231に当接され、第2当接面部513は、第2平面部232に当接される。第1当接面部512および第2当接面部513のY軸方向の寸法(緩衝材50の幅方向の寸法)は、第1平面部231、第2平面部232のY軸方向の寸法と同じ寸法とされている。
すなわち、基部511、第1当接面部512、第2当接面部513の各幅方向(Y軸方向)の寸法を、幅寸法WB1、WB2、WB3とした場合、幅寸法WB2と幅寸法WB3は同じ寸法である(WB2=WB3)。また、本実施形態では、幅寸法WB1は、幅寸法WB2、WB3よりも大きな寸法とされている(WB1>WB2,WB3)。
第2側壁部53は、第2当接面部513の長手方向に沿った第2端縁513Aに連続して設けられている。第2側壁部53の縦框23側の端部を根元部531とし、縦框23から離れた端部を先端部532とすると、根元部531が第2端縁513Aに連続して成形されている。
第1側壁部52および第2側壁部53は、各先端部522、532が互いに近づく方向に傾斜されている。すなわち、ベース部51に直交する方向(X軸方向)に対して、第1側壁部52は第2側壁部53側である内倒れ方向に傾斜され、第2側壁部53は第1側壁部52側である内倒れ方向に傾斜されている。ベース部51および第1側壁部52の第1交差角度θ1と、ベース部51および第2側壁部53の第2交差角度θ2とは同じ角度であり、かつ、鋭角(90度未満)に設定されている。
本実施形態では、幅寸法WS1は幅寸法WB2以下、幅寸法WS2は幅寸法WB3以下とされている。このため、緩衝材50の幅方向(Y軸方向)における第1側壁部52の先端部522の位置は、前記第1当接面部512の範囲つまり基部511側の端縁から第1端縁512Aの範囲に含まれる。同様に、第2側壁部53の先端部532の位置は、前記第2当接面部513の範囲つまり基部511側の端縁から第2端縁513Aの範囲に含まれる。
図4に示すように、ベース部51、第1側壁部52、第2側壁部53、天面部54で形成される中空筒状部55の断面形状は、天面部54を上底、ベース部51を下底とする台形形状であり、特に底角となるθ1,θ2が等しいため、等脚台形形状となっている。
ここで、天面部54の表面側の幅寸法をWAとし、ベース部51の各幅寸法を加算したベース部51全体の幅寸法をWB=WB1+WB2+WB3とする。そして、WA/WBの寸法比を上下比とすると、図4に示す緩衝材50では、上下比は約0.7である。
図5(A)に示すように、縦枠12と緩衝材50との間に指が配置された状態で、障子20が閉められると、指に緩衝材50が当接する。
すると、図5(B)に示すように、緩衝材50の天面部54は、第1側壁部52、第2側壁部53に連結された端縁部分の方が、荷重に対する反力が強いので、幅方向の中央部が曲がって変形する。このため、第1側壁部52、第2側壁部53、天面部54で、略M字状に変形する。
ここで、緩衝材50が潰れた場合、幅方向において、ベース部51の基部511の範囲は、縦框23の係合溝233Aに配置され、ベース部51と係合溝部233との間に隙間もあるため、指に大きな圧力は加わらない。一方、第1当接面部512、第2当接面部513の範囲は、緩衝材50が潰れた場合に、第1平面部231、第2平面部232がアルミ製の第1平面部231、第2平面部232に当接するため、指に大きな圧力が加わる。
本実施形態では、図5(B)に示すように、略M字状に変形することで、第1側壁部52および第2側壁部53の各先端部522、532と、第1当接面部512、第2当接面部513との間に、空間が確保され、指に大きな圧力が加わることを防止している。
本実施形態の緩衝材50は、中空筒状部55の断面形状が台形となるように形成したので、図5(B)に示すように、天面部54が曲がっても、第1当接面部512、第2当接面部513と、第1側壁部52、第2側壁部53の先端部522、532との間に空間が確保されるため、この空間が緩衝性能に寄与し、指への圧力を低減できる。
中空筒状部55Aの断面形状が長方形の緩衝材50Aの場合、図6の(A)に示すように、天面部54Aに対して指が当たると、第1側壁部52A、第2側壁部53Aに近い部分のほうが荷重に対する反力が強いので、(B)に示すように、天面部54Aは中央部分が曲がって変形する。すると、(C)に示すように、変形した天面部54Aからの反力で第1側壁部52A、第2側壁部53Aは外側に押され、中間部分が曲がって変形する。すると、(D)に示すように、第1側壁部52A、第2側壁部53Aが外側に倒れて、断面六角形のような形になるため、変形への耐力は低くなり、天面部54Aとベース部51Aとの間に空間を確保し難くなる。このため、緩衝材50Aの緩衝性能が低下し、指に加わる圧力も大きくなる。
そして、(H)に示すように、天面部54からの反力は第1側壁部52、第2側壁部53を外側に倒そうとするが、内倒しになっている第1側壁部52、第2側壁部53自体は内側に倒れようとするため、緩衝材50の潰れが発生し難くなり、天面部54と−ベース部51との間に空間を確保し易くなり、緩衝材50は荷重方向への耐力が大きくなる。
したがって、緩衝材50の中空筒状部55の断面形状を台形とすることで、緩衝材50の緩衝性能を向上でき、指に加わる圧力を減少できる。
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、天面部54の幅寸法WAと、ベース部51の幅寸法WBとの上下比(WA/WB)を約0.7としていたが、この比率に限定されず、縦框23の見込寸法(戸厚)や、緩衝材50のサイズなどに応じて設定すればよい。例えば、0.4〜0.9の範囲で設定してもよい。
同様に、第2側壁部53の幅寸法WS2も、第2当接面部513の幅寸法WB3よりも大きくしてもよいが、第2当接面部513の幅寸法WB3以下としたほうが緩衝性能を維持できる点で好ましい。
また、緩衝材50の天面部54や外反りヒレ部56等の表面には、コーティングなどで摺動処理を施してもよい。
さらに、緩衝材50において変形される部分にノッチを設けることで、変形し易い構成としてもよい。
また、緩衝材50が取り付けられる建具としては、引戸に限定されず、ドアや折れ戸などの戸が面外方向に動く建具にも取り付けることができる。
Claims (5)
- 長手方向に連続して形成されて建具に取り付けられる緩衝材であって、
前記建具の取付面に配置されるベース部と、
前記ベース部の前記長手方向に沿った第1端縁および第2端縁にそれぞれ連続して設けられた第1側壁部および第2側壁部と、
前記第1側壁部および前記第2側壁部の先端間を連結する天面部と、を備える中空筒状部を有し、
前記中空筒状部の前記長手方向に直交する断面の形状は、台形とされ、
前記第1側壁部および前記第2側壁部と前記ベース部との交差角度は、鋭角である
ことを特徴とする緩衝材。 - 請求項1に記載の緩衝材において、
前記ベース部は、
前記建具に係合される係合爪部が突設される基部と、
前記基部から前記第1端縁まで設けられる第1当接面部と、
前記基部から前記第2端縁まで設けられる第2当接面部と、を備え、
前記長手方向に直交する断面において、前記ベース部の前記第1端縁および前記第2端縁を結ぶ方向を緩衝材の幅方向とした場合、
前記第1側壁部における前記幅方向の寸法は、前記第1当接面部における前記幅方向の寸法以下とされ、
前記第2側壁部における前記幅方向の寸法は、前記第2当接面部における前記幅方向の寸法以下とされる
ことを特徴とする緩衝材。 - 請求項2に記載の緩衝材において、
前記第1当接面部および前記第2当接面部の前記幅方向の寸法は同一であり、
前記第1側壁部と前記ベース部との交差角度である第1交差角度と、前記第2側壁部と前記ベース部との交差角度である第2交差角度とは同一である
ことを特徴とする緩衝材。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の緩衝材において、
前記ベース部は、半硬質樹脂で構成され、
前記第1側壁部と、前記第2側壁部と、前記天面部とは、軟質樹脂で構成される
ことを特徴とする緩衝材。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の緩衝材において、
前記第1側壁部または前記第2側壁部の一方には外反りヒレ部が一体に形成され、
前記外反りヒレ部の先端は、前記第1側壁部または前記第2側壁部の先端よりも、前記ベース部から離れた位置に配置されている
ことを特徴とする緩衝材。
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