JP2019203106A - 粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】過酷な環境下においても接着耐久性や応力緩和性が良好な、弾性発泡体層と粘着層を有する粘着シートの提供。【解決手段】弾性発泡体層2および上記弾性発泡体層2の少なくとも一方の主面側に配置された粘着層1を有し、上記粘着層1が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む、粘着シート10。前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、ウレタン結合、エポキシ結合、金属キレート結合のいずれかを有する、粘着シート10。【選択図】図1
Description
本開示は、粘着シートに関する。
弾性発泡体層の少なくとも一方の主面に、アクリルポリマーを主成分とする粘着層を有する粘着シートは、瞬間的に接着する特性から利便性が高く、また、弾性発泡体層の柔軟性により外部から負荷を受けた際に応力を緩和できることから、例えば電子部品製造用、構造用、自動車用等、産業界で広く用いられている。
このような粘着シートとして、例えば、特許文献1では、気泡含有基材の片面または両面に、気泡含有粘弾性組成物で形成された感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ(粘着シート)であって、上記気泡含有粘弾性組成物が、アクリルポリマー、気泡、中空微小球状体、着色顔料および界面活性剤を含有するものが開示されている。
また、特許文献2では、粘弾性体層の両方の主面に粘着剤層を有し、上記粘着剤層が、アクリル系粘着剤組成物を活性エネルギー線重合して形成した層であり、上記アクリル系粘着剤組成物が、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするビニル系モノマー混合物またはその部分重合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、特定の官能基を有する多官能(メタ)アクリレートと、ロジン変性(メタ)アクリレートを単量体成分として含む特定の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーと、を含有することが開示されている。
弾性発泡体層の少なくとも一方の主面に、アクリルポリマーを主成分とする粘着層を有する粘着シートは、様々な使用環境条件下においても、接着耐久性や応力緩和性等の物性が良好であることが求められる。しかし、上記粘着シートを温水浸漬等の過酷な環境条件下で使用する場合、粘着層の樹脂が軟化しまたは可塑化する等の要因により接着力や保持力が低下してしまい、接着耐久性に劣るという問題がある。また、粘着層が、アクリル系粘着剤組成物を熱や光で硬化した硬化物層である場合、粘着層の硬度が高いため、過酷な環境条件下において粘着層が弾性発泡体層の柔軟性に追従できず、上記粘着シート全体での応力緩和性に劣るという問題がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、過酷な環境下においても接着耐久性や応力緩和性が良好な粘着シートを提供することを主目的とする。
本開示の一実施形態は、弾性発泡体層および上記弾性発泡体層の少なくとも一方の主面側に配置された粘着層を有し、上記粘着層が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む、粘着シートを提供する。
本開示の一実施形態である接着シートによれば、過酷な環境下においても良好な接着耐久性や応力緩和性を発揮することができるという効果を奏する。
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
以下、本開示の一実施形態である粘着シートおよび粘着剤組成物について説明する。
A.粘着シート
本開示の一実施形態である粘着シート(以下、本開示の粘着シートとする。)は、弾性発泡体層および上記弾性発泡体層の少なくとも一方の主面側に配置された粘着層を有し、上記粘着層が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む。
本開示の一実施形態である粘着シート(以下、本開示の粘着シートとする。)は、弾性発泡体層および上記弾性発泡体層の少なくとも一方の主面側に配置された粘着層を有し、上記粘着層が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む。
図1および図2は、本開示の粘着シートの一例を示す概略断面図である。図1および図2で例示するように、本開示の粘着シート10は、弾性発泡体層2および弾性発泡体層2の少なくとも一方の主面に配置された粘着層1を有し、粘着層1が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む。図1で例示する粘着シート10は、弾性発泡体層2の一方の主面に粘着層1を有する片面粘着シートの例を示しており、図2で例示する粘着シート10は、弾性発泡体層2の両方の主面にそれぞれ粘着層1を有する両面粘着シートの例を示している。
弾性発泡体層の少なくとも一方の主面側に、アクリルポリマーを主成分とする粘着層を有する粘着シートは、様々な使用環境条件下、特に温水浸漬等の過酷な環境条件下において、接着耐久性や応力緩和性等の物性が良好であることが要求される。これらの物性を満たす粘着シートとするためには、粘着シートの粘着層の接着耐久性が良好であり、また、上記粘着層が弾性発泡体層の柔軟性に追従可能であることが必要であると考えられる。
アクリルポリマーを主成分とする粘着層の接着耐久性を向上させる方法として、例えば、アクリルポリマーに極性基を導入することが知られている。中でもカルボキシル基は極性が高いため、被着体に対する密着性が高まり、接着耐久性が向上する傾向にある。しかし、カルボキシル基を導入したアクリルポリマーを主成分とする粘着層であっても、特に過酷な環境条件下において被着体に対する接着耐久性が十分に得られない場合がある。また、粘着層が硬く、弾性発泡体層の柔軟性に十分に追従できない場合がある。
そこで、本発明者等は、過酷な環境条件下においても高い接着耐久性を発揮し且つ弾性発泡体層の柔軟性に十分追従可能となるような粘着層の組成について検討を行った結果、以下の理由から、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を粘着層の主成分として選択するに至った。すなわち、酢酸ビニル−アクリル共重合体は、酢酸ビニル由来の構成単位(酢酸ビニルモノマー単位)を含むことから、粘着層の主成分を酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体とすることで、粘着層の極性が向上し、被着体に対する接着保持性が高まると推量される。
また、本発明者等は、主成分である酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体に加え、スチレン系樹脂を含む粘着層とすることで、過酷な環境条件下における粘着シートの接着耐久性がさらに向上することを見出した。これは、以下の理由によるものと推量される。すなわち、スチレン系樹脂は、粘着付与性を有するため、粘着層の常態での接着力を高めることができると推量される。また、スチレン系樹脂は、分子内にスチレン骨格を含んでおり、高温環境においても分子鎖が伸びにくく、耐熱性が高い。このため、粘着シートが高温環境下で使用される場合であっても、スチレン系樹脂を含むことで粘着層の耐熱性が向上し、熱劣化を抑制することができると推量される。また、粘着層の耐熱性が向上することで、熱に曝されても粘着層の形状が保持され、粘着シートの接着性を維持することができると推量される。さらに、スチレン系樹脂は疎水性を示すため粘着層の疎水性が向上し、粘着シートが浸水環境下で使用される場合であっても、水による粘着層の劣化を抑制することができると推量される。
すなわち、本開示の粘着シートによれば、粘着層の組成を、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む特定の組成とすることで、過酷な環境下においても良好な接着耐久性および応力緩和性を発揮することができる。
以下、本開示の粘着シートの各構成について説明する。
1.粘着層
本開示における粘着層は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む。ここで、主成分とは、上記粘着層の組成の中でも含有量が最も多い成分をいう。
本開示における粘着層は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む。ここで、主成分とは、上記粘着層の組成の中でも含有量が最も多い成分をいう。
上記粘着層は、弾性発泡体層の少なくとも一方の主面側に配置されるが、弾性発泡体層の両方の主面側にそれぞれ配置されていてもよい。
(1)酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体
酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体由来の繰り返し単位を含む化合物である。酢酸ビニル−アクリル共重合体は、分子中にカルボキシル基または水酸基を有する。
酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体由来の繰り返し単位を含む化合物である。酢酸ビニル−アクリル共重合体は、分子中にカルボキシル基または水酸基を有する。
酢酸ビニル−アクリル共重合体は、酢酸ビニルモノマー単位と、アクリル系モノマー単位と、を含む。酢酸ビニルモノマー単位とは、酢酸ビニル由来の構成単位をいい、アクリル系モノマー単位とは、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位をいう。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、n−デシルメタクリレート等が挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルのいずれか一方または双方を指し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート基またはメタクリレートのいずれか一方または双方を指す。
酢酸ビニル−アクリル共重合の共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等、特に限定されない。
酢酸ビニル−アクリル共重合体は、上述したモノマー単位の他に第3のモノマー単位を含んでいてもよい。第3のモノマー単位としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、多官能性モノマー、共重合性モノマー、エチレン性不飽和モノマー等が挙げられる。上記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。上記多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の1分子中に2個以上の重合性二重結合を有するもの等が挙げられる。上記共重合性モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。上記エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位間に酢酸ビニル−アクリル共重合体が有する同一の官能基同士または異なる官能基同士の結合を有する自己架橋構造であってもよく、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位間に硬化剤を介する架橋構造であってもよい。前者は、例えば、光重合開始剤を用いた光硬化反応により形成することができ、後者は、例えば硬化剤を用いた熱硬化反応により形成することができる。中でも酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位間に硬化剤を介する架橋構造であることが好ましい。酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体がこのような構造を有することで、自己架橋構造の場合よりも粘着層中の未反応のモノマー残渣量が少なくなるからである。このように、粘着層中の未反応のモノマー残渣量が少なくなると、未反応モノマーの反応による粘着性能への悪影響の低減、経時的に安定である、低臭気であり揮発成分も少なく環境に良い等の利点を有する。また、光重合系ではないため着色可能であり、粘着層にUVカット等の機能を付与させることも可能である。
酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位間に硬化剤を介する架橋構造であるとは、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位間に以下の結合を有する化合物であるということができる。すなわち、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、ウレタン結合、エポキシ結合および金属キレート結合からなる群から選択される少なくとも1種の結合を有することができ、2種以上の結合を有していてもよい。酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体がウレタン結合を有するとは、酢酸ビニル−アクリル共重合体由来の繰り返し単位の間にウレタン結合が形成されていることをいう。酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体がエポキシ結合を有する場合や金属キレートを有する場合も同様に、酢酸ビニル−アクリル共重合体由来の繰り返し単位の間にエポキシ結合やウレタン結合が形成されていることをいう。
また、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位間に硬化剤を介する架橋構造であるとは、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、酢酸ビニル−アクリル共重合体をイソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤および金属キレート系硬化剤からなる群から選択される少なくとも1種の硬化剤で架橋した硬化物であるということができる。酢酸ビニル−アクリル共重合体と反応するイソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤および金属キレート系硬化剤の詳細については、後述の「B.粘着剤組成物」の項で説明する。
粘着層が後述する塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含む場合、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体由来の繰り返し単位の他に、一部に塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体由来の構成単位を含んでいてもよい。
(2)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂は、スチレン系ポリマーであってもよく、スチレン系モノマーとスチレン系ポリマーとの混合物であってもよい。中でもスチレン系ポリマーが好ましい。
スチレン系樹脂は、スチレン系ポリマーであってもよく、スチレン系モノマーとスチレン系ポリマーとの混合物であってもよい。中でもスチレン系ポリマーが好ましい。
スチレン系ポリマーは、1種以上のスチレン系モノマーの単独重合体または共重合体であってもよく、1種以上のスチレン系モノマーとスチレン系モノマー以外の他のモノマーとの共重合体であってもよい。スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン;2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等のアルキル置換スチレン;α−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン;2−クロロスチレン、4−クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸等の置換スチレン等の置換スチレン等が挙げられる。また、スチレン系モノマー以外の他のモノマーとしては、例えば、脂肪族系モノマー、芳香族系モノマー等が挙げられる。上記脂肪族系モノマーとしては、脂肪族炭化水素が挙げられる。上記芳香族モノマーとしては、スチレン系モノマーで例示したもの以外の芳香族炭化水素が挙げられる。
スチレン系ポリマーとして具体的には、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体、スチレン系モノマーと芳香族系モノマーとの共重合体、α−メチルスチレンとα−メチルスチレン以外のスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体、α−メチルスチレンとα−メチルスチレン以外のスチレン系モノマーと芳香族系モノマーとの共重合体等が挙げられる。上記粘着層は、これらを1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて含むことができる。スチレン系ポリマーの共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等、特に限定されるものではない。
中でもスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体であることが好ましい。スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体は、脂肪族系モノマー単位を含むため、酢酸ビニル−アクリル共重合体と相溶しやすいからである。
上記スチレン系樹脂は、重量平均分子量が500以上6000以下であることが好ましく、中でも800以上5000以下であることが好ましく、特に1000以上4000以下であることが好ましい。スチレン系樹脂の重量平均分子量が上記範囲内にあることで、酢酸ビニル−アクリル共重合体に対する相溶性と接着性との両立を図ることができるからである。
重量平均分子量は、粘着層をアセトンに含浸させて3日間攪拌した後、取り出して0.45μmメッシュのフィルタでろ過し、抽出液を窒素ブローにてアセトンを揮発させ、乾固分にTHFを0.5wt%になるよう加え溶解し、0.45μmメッシュのフィルタでろ過したろ液を、下記の条件でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したときのポリスチレン換算値とする。
(GPC測定条件)
・ゲル浸透クロマトグラフィー装置:Waters社製、商品名「Waters2695」
・カラム:GPC LF−804(Shodex製)、3本
・溶離液:THF
・流速:1mL/min、
・サンプル濃度:0.5質量%
・サンプル注入量:50μL
・測定温度:40℃
・検出器:RI
・標準物質:ポリスチレン
(GPC測定条件)
・ゲル浸透クロマトグラフィー装置:Waters社製、商品名「Waters2695」
・カラム:GPC LF−804(Shodex製)、3本
・溶離液:THF
・流速:1mL/min、
・サンプル濃度:0.5質量%
・サンプル注入量:50μL
・測定温度:40℃
・検出器:RI
・標準物質:ポリスチレン
スチレン系樹脂は軟化点が高いことが好ましい。軟化点の高いスチレン系樹脂を含むことで、粘着層全体の熱安定性が向上し、温水浸漬環境下のような過酷な環境条件下においても粘着層がある程度の硬さを有することができるため、外部から接着性を阻害する成分が侵入しにくくなり、接着耐久性が向上すると推量されるからである。スチレン系樹脂は、軟化点が60℃以上200℃以下であることが好ましく、中でも70℃以上180℃以下であることが好ましく、特に80℃以上150℃以下であることが好ましい。スチレン系樹脂の軟化点は、重量平均分子量の測定方法と同様の方法により粘着層からスチレン系樹脂を分離し、熱機械的分析法(TMA)により測定した値とする。
上記スチレン系樹脂は、極性を示すことが好ましく、粘着付与樹脂の中では極性が高いものが好ましい。疎水性と酢酸ビニル−アクリル共重合体に対する相溶性とのバランスが良好となるからである。
上記粘着層中のスチレン系樹脂の含有量は、所望の機能を発揮することが可能な量とすることができるが、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体100質量部に対して3質量部以上60質量部以下であることが好ましく、中でも5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、特に8質量部以上45質量部以下であることが好ましい。スチレン系樹脂の含有量が過剰であると、粘着層からスチレン系樹脂がブリードアウトする場合がある。
(3)塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体
本開示における粘着層は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体およびスチレン系樹脂の他に、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体をさらに含むことができる。以下、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体をさらに含むことによる効果について説明する。
本開示における粘着層は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体およびスチレン系樹脂の他に、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体をさらに含むことができる。以下、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体をさらに含むことによる効果について説明する。
上述したように、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分に含む粘着層は、酢酸ビニル基により粘着層の極性が向上し、被着体に対する接着保持性が高まると推量される。そして、酢酸ビニル−アクリル共重合体中の酢酸ビニルモノマー単位の比率が高いほど、これらの効果が高まると考えられる。これらの効果を高めるために酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体中の酢酸ビニルモノマー単位の比率を増やすためには、上記粘着層を形成するための粘着剤組成物に含まれる酢酸ビニル−アクリル共重合体の酢酸ビニルモノマー単位の比率を増やす必要がある。しかし、酢酸ビニル−アクリル共重合体の酢酸ビニルモノマー単位の比率を増やすと、ガラス転移温度が高くなりタック性が低下し、粘着層としての成立が困難となる。
これに対し、粘着層が塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体をさらに含むことで、粘着層中の酢酸ビニル成分の量を増やすことができ、その結果、上述した酢酸ビニルによる効果を十分に発揮することが可能となると推量される。また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体が粘着主骨格に完全に取り込まれているものではなく、任意の量を添加することが可能であるため、粘着層を形成する際の粘度調整が可能となる。
さらに、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体における塩化ビニルモノマー単位は、耐水性が高いため、水に晒されるような環境条件下においても、粘着層の劣化を抑制することができると推量される。さらにまた、塩化ビニルモノマー単位の比率や含有量に応じて、塩化ビニル等の難接着性の材質の被着体との親和性が高くなり、良好な接着耐久性を示すことが可能であると推量される。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、塩化ビニルモノマー単位と酢酸ビニルモノマー単位とを含む。塩化ビニルモノマー単位とは、塩化ビニルモノマー由来の構成単位をいう。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、上述したモノマー単位の他に第3のモノマー単位を含んでいてもよい。第3のモノマー単位としては、カルボン酸、ジカルボン酸、アクリル酸、ビニルアルコール、ヒドロキシアクリルアクリレート等が挙げられる。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、上述したモノマー単位の他に第3のモノマー単位を含んでいてもよい。第3のモノマー単位としては、カルボン酸、ジカルボン酸、アクリル酸、ビニルアルコール、ヒドロキシアクリルアクリレート等が挙げられる。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等、特に限定されない。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は酢酸ビニルを1質量%以上含むことが好ましく、中でも5質量%以上含むことが好ましく、特に10質量%以上含むことが好ましい。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体中の酢酸ビニルの含有量の上限は、特に限定されないが、50質量%とすることができる。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体中の酢酸ビニルの含有量の上限は、特に限定されないが、50質量%とすることができる。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、数平均分子量(Mn)が3000以上100000以下であることが好ましく、中でも5000以上80000以下であることが好ましく、特に10000以上60000位下であることが好ましい。数平均分子量は、上述した重量平均分子量の測定方法と同様の方法により測定される値である。
上記粘着層中の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体100質量部に対して0.5質量部以上25質量部以下であることが好ましく、中でも1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、特に2質量部以上15質量部以下であることが好ましい。上記粘着層中の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量が上記の範囲内にあることで、粘着層中の酢酸ビニル含有量を、温水浸漬環境下での接着保持力をもたせ、かつ、粘着層として成立可能な量に調整することができると推量される。
上記粘着層が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む場合、上記粘着層において、上記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、上記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体と相溶して存在することができる。「塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体と相溶」するとは、粘着層を走査型電子顕微鏡で観察したときに、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体に塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体が点在していることをいう。
(4)その他
上記粘着層は、架橋体を形成しない未反応分の酢酸ビニル−アクリル共重合体や酢酸ビニル樹脂等を含んでいてもよい。
上記粘着層は、架橋体を形成しない未反応分の酢酸ビニル−アクリル共重合体や酢酸ビニル樹脂等を含んでいてもよい。
また、上記粘着層は、粘着付与樹脂を含んでいてもよい。上記粘着付与樹脂としては、特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油系樹脂からなる炭化水素からなる群から選択される少なくとも1種とすることができる。
上記粘着層は、レベリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を含有していてもよい。上記粘着層に含まれる添加剤については、一般的な粘着層に含まれる従来公知の材料を常法により使用することができる。
また、上記粘着層は、着色剤を含むことができる。上記粘着層は、着色剤を含むことで所望の色を呈することができ、粘着シートの意匠性を高めることが可能となる。着色剤としては、例えば有機顔料や染料等の有機着色剤、無機顔料等の汎用の材料を用いることができる。中でも有機着色剤が好ましい。
上記粘着層の厚みは、所望の物性を発揮可能な大きさとなるように、適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば3μm以上200μm以下とすることができ、好ましくは5μm以上100μmである。
上記粘着層は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体の架橋構造に応じて、実質的に光重合開始剤を含まないものとすることができる。実質的に光重合開始剤を含まないとは、粘着層をガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)で測定したときに、光重合開始剤が検出不可であることをいう。
光重合開始剤としては、アクリル系粘着剤の光硬化に用いられる汎用の材料を挙げることができる。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。
粘着層中の酢酸ビニル成分とは、酢酸ビニル−アクリル共重合体に含まれる酢酸ビニル部や、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体に含まれる酢酸ビニル部の他、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体に含まれる未反応の酢酸ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体に含まれる未反応の酢酸ビニルも含む。
上記粘着層は、酢酸ビニル−アクリル共重合体、スチレン系樹脂、および硬化剤を少なくとも含む粘着剤組成物の硬化物層である。上記粘着剤組成物については、後述の「B.粘着剤組成物」の項で説明する。
2.弾性発泡体層
本開示の粘着シートにおける弾性発泡体層は、粘着層を支持するとともに、粘着シートの被着体への追従性や衝撃吸収性を高める機能を有する。
本開示の粘着シートにおける弾性発泡体層は、粘着層を支持するとともに、粘着シートの被着体への追従性や衝撃吸収性を高める機能を有する。
上記弾性発泡体層の材料としては、特に限定されないが、例えばアクリル樹脂発泡体(アクリルフォーム);ポリエチレン発泡体;ポリウレタン系樹脂発泡体;アクリルゴムやその他のエラストマー等を含むゴム系発泡体等が挙げられる。
上記弾性発泡体層は、気泡構造(セル構造)を有する。上記気泡構造(セル構造)は、特に限定されず、独立気泡構造であってもよく、連続気泡構造であってもよく、独立気泡構造と連続気泡構造とが混在した半連続半独立気泡構造であってもよい。中でも被着体の被着面の形状への追従性や応力緩和性が良好であることから、独立気泡構造の弾性発泡体層であることが好ましい。上記弾性発泡体層の平均気泡径や密度は、本開示の粘着シートの強度や柔軟性、使用目的等に応じて適宜設定することができる。
上記弾性発泡体層は、着色剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、界面活性剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。また、上記弾性発泡体層は、片方または両方の主面にプライマー層が形成されていてもよく、表面処理がされていてもよい。弾性発泡体層の主面にプライマー層が形成されている場合は、プライマー層を介して粘着層が設けられる。
上記弾性発泡体層は、単一の層で構成されていてもよく、同一または異なる弾性発泡体からなる複層により構成されていてもよい。
上記弾性発泡体層の厚さは特に限定されず、本開示の粘着シートの強度や柔軟性、使用目的等に応じて適宜設定することができる。上記弾性発泡体層の厚さとしては、例えば200μm以上5000μmとすることができる。
上記弾性発泡体層は、公知の方法で製造することができる。例えば、樹脂材料もしくは樹脂発泡体の成形工程、架橋工程および発泡工程を含み、必要に応じて延伸工程を含む方法により製造することができる。上記弾性発泡体層を架橋させる方法としては、例えば、有機過酸化物などを用いる化学架橋法、または紫外線や電子線等を照射する放射線架橋法等が挙げられ、これらの方法は一種単独でまたは二種以上を併用して用いることができる。
3.剥離層
本開示の粘着シートは、上記粘着層の弾性発泡体層に接する面と反対側の主面に剥離層を有することができる。上記剥離層としては、粘着シートの分野において汎用の材料を適宜選択して用いることができ、例えば、各種の樹脂フィルム類、紙類、布類、ゴムシート類、発泡体シート類、金属箔、これらの複合体(例えば、紙の両面にオレフィン系樹脂がラミネートされた積層構造のシート)等を適宜選択して用いることができる。上記剥離層は、表面にシリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤等の剥離処理剤を含む剥離処理膜を有していてもよい。
本開示の粘着シートは、上記粘着層の弾性発泡体層に接する面と反対側の主面に剥離層を有することができる。上記剥離層としては、粘着シートの分野において汎用の材料を適宜選択して用いることができ、例えば、各種の樹脂フィルム類、紙類、布類、ゴムシート類、発泡体シート類、金属箔、これらの複合体(例えば、紙の両面にオレフィン系樹脂がラミネートされた積層構造のシート)等を適宜選択して用いることができる。上記剥離層は、表面にシリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤等の剥離処理剤を含む剥離処理膜を有していてもよい。
4.その他
本開示の粘着シートは、引張弾性率が、0.10MPa以上3.00MPa以下であることが好ましく、中でも0.15MPa以上2.00MPa以下であることが好ましく、特に0.20MPa以上1.00MPa以下であることが好ましい。
上記粘着シートの引張弾性率が上記の範囲内にあることで、被着体に対する追従性が良好となり、応力緩和性を発揮して接着保持状態を長時間維持することできると推量されるからである。
引張弾性率は、JIS Z0237に準拠した測定方法(試験片寸法:10mm×50mm、チャック間距離:25mm、引張速度:500mm/分)により測定される値とする。なお、粘着シートの引張弾性率とは、剥離層を除いた粘着シートの引張弾性率とする。
本開示の粘着シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、剥離層または弾性発泡体層の表面に、酢酸ビニル−アクリル共重合体、スチレン系樹脂、および硬化剤を少なくとも含む粘着剤組成物の溶液を塗布し、塗膜を加熱硬化して粘着層を形成する方法により得ることができる。本開示の粘着シートの製造に用いられる粘着剤組成物については、後述の「B.粘着剤組成物」の項で説明する。
本開示の粘着シートは、引張弾性率が、0.10MPa以上3.00MPa以下であることが好ましく、中でも0.15MPa以上2.00MPa以下であることが好ましく、特に0.20MPa以上1.00MPa以下であることが好ましい。
上記粘着シートの引張弾性率が上記の範囲内にあることで、被着体に対する追従性が良好となり、応力緩和性を発揮して接着保持状態を長時間維持することできると推量されるからである。
引張弾性率は、JIS Z0237に準拠した測定方法(試験片寸法:10mm×50mm、チャック間距離:25mm、引張速度:500mm/分)により測定される値とする。なお、粘着シートの引張弾性率とは、剥離層を除いた粘着シートの引張弾性率とする。
本開示の粘着シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、剥離層または弾性発泡体層の表面に、酢酸ビニル−アクリル共重合体、スチレン系樹脂、および硬化剤を少なくとも含む粘着剤組成物の溶液を塗布し、塗膜を加熱硬化して粘着層を形成する方法により得ることができる。本開示の粘着シートの製造に用いられる粘着剤組成物については、後述の「B.粘着剤組成物」の項で説明する。
本開示の粘着シートは、過酷な環境においても接着耐久性および応力緩和性に優れるため、例えば、自動車、航空機、船舶、電子機器類、電子機器筐体、家電製品、インフラ系構造物、ライフライン建材、一般建材等の分野で利用することができる。中でも自動車外装用粘着シート、自動車内装用粘着シート等の自動車車両用粘着シート、塩ビ用粘着シートとして好適に用いることができる。
B.粘着剤組成物
本開示の一実施形態である粘着剤組成物(以下、本開示の粘着剤組成物とする。)は、酢酸ビニル−アクリル共重合体、スチレン系樹脂、および硬化剤を少なくとも含む。
本開示の一実施形態である粘着剤組成物(以下、本開示の粘着剤組成物とする。)は、酢酸ビニル−アクリル共重合体、スチレン系樹脂、および硬化剤を少なくとも含む。
本開示の粘着剤組成物によれば、酢酸ビニル−アクリル共重合体、スチレン系樹脂、および硬化剤を少なくとも含むことで、過酷な環境条件下においても高い接着耐久性を発揮し且つ弾性発泡体層の柔軟性に十分追従可能となる粘着層を形成することができる。
以下、本開示の粘着剤組成物の組成について説明する。
1.酢酸ビニル−アクリル共重合体
本開示の粘着剤組成物は、酢酸ビニル−アクリル共重合体を主剤として含む。酢酸ビニル−アクリル共重合体の詳細については、上記「A.粘着シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示の粘着剤組成物は、酢酸ビニル−アクリル共重合体を主剤として含む。酢酸ビニル−アクリル共重合体の詳細については、上記「A.粘着シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
2.スチレン系樹脂
本開示の粘着剤組成物は、スチレン系樹脂を含む。スチレン系樹脂の詳細、およびスチレン系樹脂を含むことによる効果については、上記「A.粘着シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示の粘着剤組成物は、スチレン系樹脂を含む。スチレン系樹脂の詳細、およびスチレン系樹脂を含むことによる効果については、上記「A.粘着シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
上記粘着剤組成物中のスチレン系樹脂の含有量としては、スチレン系樹脂による機能を発揮することが可能な量とすることができ、例えば酢酸ビニル−アクリル共重合体の固形分100質量部に対して3質量部以上60質量部以下であることが好ましく、中でも5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、特に8質量部以上45質量部以下であることが好ましい。
3.硬化剤
本開示の粘着剤組成物は、硬化剤を含む。上記粘着剤組成物は、加熱することで、酢酸ビニル−アクリル共重合体が有する官能基と硬化剤との熱硬化反応が生じ、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位の間に所望の架橋結合を有する酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が形成される。硬化剤は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を得ることが可能な材料であれば特に限定されず、酢酸ビニル−アクリル共重合体を主剤とする粘着剤に用いられる公知の硬化剤から適宜選択することができる。このような硬化剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤および金属キレート系硬化剤からなる群から選択される少なくとも1種を挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、硬化剤を含む。上記粘着剤組成物は、加熱することで、酢酸ビニル−アクリル共重合体が有する官能基と硬化剤との熱硬化反応が生じ、酢酸ビニル−アクリル共重合体の繰り返し単位の間に所望の架橋結合を有する酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が形成される。硬化剤は、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を得ることが可能な材料であれば特に限定されず、酢酸ビニル−アクリル共重合体を主剤とする粘着剤に用いられる公知の硬化剤から適宜選択することができる。このような硬化剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤および金属キレート系硬化剤からなる群から選択される少なくとも1種を挙げられる。
上記イソシアネート系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、具体的には2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。イソシアネート系硬化剤は、単独で使用してもよく、また、2種以上を併用して用いてもよい。
上記エポキシ系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ系化合物が挙げられる。エポキシ系硬化剤は、単独で使用してもよく、また、2種以上を併用して用いてもよい。
上記金属キレート系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルとの配位化合物が挙げられる。
上記粘着剤組成物中の硬化剤の含有量は、硬化剤の種類により適宜設定することができる。例えば硬化剤がイソシアネート系硬化剤であれば、酢酸ビニル−アクリル共重合体の固形分100質量部に対して0.01質量部以上6.0質量部以下であることが好ましく、中でも0.05質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、特に0.10質量部以上4.0質量部以下であることが好ましい。
また、例えば硬化剤がエポキシ系硬化剤であれば、酢酸ビニル−アクリル共重合体の固形分100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、中でも0.05質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、特に0.10質量部以上3.00質量部以下であることが好ましい。
例えば硬化剤が金属キレート系硬化剤であれば、酢酸ビニル−アクリル共重合体の固形分100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、中でも0.05質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、特に0.10質量部以上3.00質量部以下であることが好ましい。
また、例えば硬化剤がエポキシ系硬化剤であれば、酢酸ビニル−アクリル共重合体の固形分100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、中でも0.05質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、特に0.10質量部以上3.00質量部以下であることが好ましい。
例えば硬化剤が金属キレート系硬化剤であれば、酢酸ビニル−アクリル共重合体の固形分100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、中でも0.05質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、特に0.10質量部以上3.00質量部以下であることが好ましい。
4.塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体
本開示の粘着剤組成物は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含むことができる。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の詳細、およびそれを含むことによる効果については、上記「A.粘着シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示の粘着剤組成物は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含むことができる。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の詳細、およびそれを含むことによる効果については、上記「A.粘着シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
上記粘着剤組成物中の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体による機能を発揮することが可能な量とすることができ、例えば酢酸ビニル−アクリル共重合体の固形分100質量部に対して0.5質量部以上25質量部以下であることが好ましく、中でも1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、特に2質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
5.その他
本開示の粘着剤組成物は、レベリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を含むことができる。これらの添加剤の配合量は、本開示の粘着剤組成物の特性を損なわない範囲で適宜設定することができる。
本開示の粘着剤組成物は、酢酸ビニル成分の含有量が、粘着剤組成物の全固形分100質量%中1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、中でも5.0質量%以上45.0質量%以下であることが好ましく、特に10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
粘着剤組成物中の酢酸ビニル成分とは、酢酸ビニル−アクリル共重合体に含まれる酢酸ビニルモノマー単位や、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体に含まれる酢酸ビニルモノマー単位、共重合体を形成していない未反応分の酢酸ビニル等をいう。粘着剤組成物中の酢酸ビニル成分の含有量は、上記「A.粘着シート」の項で説明した粘着層中の酢酸ビニル成分の含有量の算出方法により特定することができる。
本開示の粘着剤組成物は、レベリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を含むことができる。これらの添加剤の配合量は、本開示の粘着剤組成物の特性を損なわない範囲で適宜設定することができる。
本開示の粘着剤組成物は、酢酸ビニル成分の含有量が、粘着剤組成物の全固形分100質量%中1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、中でも5.0質量%以上45.0質量%以下であることが好ましく、特に10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
粘着剤組成物中の酢酸ビニル成分とは、酢酸ビニル−アクリル共重合体に含まれる酢酸ビニルモノマー単位や、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体に含まれる酢酸ビニルモノマー単位、共重合体を形成していない未反応分の酢酸ビニル等をいう。粘着剤組成物中の酢酸ビニル成分の含有量は、上記「A.粘着シート」の項で説明した粘着層中の酢酸ビニル成分の含有量の算出方法により特定することができる。
本開示の粘着剤組成物を用いて粘着層を形成する場合、通常、上記粘着剤組成物は溶剤を添加して用いられる。上記溶剤は、粘着剤組成物の各成分を溶解することが可能な溶剤が好ましく、一般的な接着剤または粘着剤に用いられる溶剤から適宜選択して用いることができる。好ましい溶剤としては、例えばメチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、トルエン、n−ヘキサン等が挙げられる。上記溶剤は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1〜9、比較例1〜2]
下記材料を表1に示す配合比で混合して、粘着剤組成物の塗工液を調製し、その塗工液を剥離処理がされた樹脂フィルム(剥離層)に塗工し、オーブンで乾燥して溶媒を除去して粘着層(乾燥後厚み:40μm)を得た。この粘着層を、厚み1.2mmの両面粘着アクリルフォームテープ(スリーエム社製「Y−4180−12」)の一方の面に貼り合せて常温で一週間養生し、粘着層/アクリル系弾性発泡体層の積層構成を有する粘着シートを得た。なお、上記積層構成中「/」は積層界面を意味する。
下記材料を表1に示す配合比で混合して、粘着剤組成物の塗工液を調製し、その塗工液を剥離処理がされた樹脂フィルム(剥離層)に塗工し、オーブンで乾燥して溶媒を除去して粘着層(乾燥後厚み:40μm)を得た。この粘着層を、厚み1.2mmの両面粘着アクリルフォームテープ(スリーエム社製「Y−4180−12」)の一方の面に貼り合せて常温で一週間養生し、粘着層/アクリル系弾性発泡体層の積層構成を有する粘着シートを得た。なお、上記積層構成中「/」は積層界面を意味する。
<粘着剤>
・粘着剤A:酢酸ビニル−アクリル共重合体含有溶剤型粘着剤(サイデン化学社製「サイビノールAT−262」、固形分43質量%、酢酸ビニル−アクリル共重合体43質量%および酢酸ビニル2.1質量%含有)
・粘着剤B:アクリル酸共重合体含有溶剤型粘着剤(サイデン化学社製「サイビノールAT−287K」、固形分45質量%、酢酸ビニル−アクリル共重合体および酢酸ビニル非含有)
<塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体含有溶液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体含有溶液A:塩化ビニル−酢酸ビニル−ジカルボン酸共重合物(日信化学工業社製「ソルバインM5」、数平均分子量32000、塩化ビニル:酢酸ビニル:ジカルボン酸=85:14:1(質量%))をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した25質量%濃度溶液
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体含有溶液B:塩化ビニル−酢酸ビニルーカルボン酸共重合物(カネカ社製「カネビニールT5DA」、酢ビ含有量18%)をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した25質量%濃度溶液
<スチレン系樹脂含有溶液>
・スチレン系樹脂含有溶液A:スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体(三井化学社製「FTR6110」、軟化点110℃、重量平均分子量1600、数平均分子量1100)をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した50質量%濃度溶液
・スチレン系樹脂含有溶液B:スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体(三井化学社製「FTR6100」、軟化点95℃、重量平均分子量1200、数平均分子量900)をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した50質量%濃度溶液
<硬化剤>
・イソシアネート系硬化剤A(サイデン化学社製「サイビノール硬化剤AL」、固形分:45質量%)
・粘着剤A:酢酸ビニル−アクリル共重合体含有溶剤型粘着剤(サイデン化学社製「サイビノールAT−262」、固形分43質量%、酢酸ビニル−アクリル共重合体43質量%および酢酸ビニル2.1質量%含有)
・粘着剤B:アクリル酸共重合体含有溶剤型粘着剤(サイデン化学社製「サイビノールAT−287K」、固形分45質量%、酢酸ビニル−アクリル共重合体および酢酸ビニル非含有)
<塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体含有溶液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体含有溶液A:塩化ビニル−酢酸ビニル−ジカルボン酸共重合物(日信化学工業社製「ソルバインM5」、数平均分子量32000、塩化ビニル:酢酸ビニル:ジカルボン酸=85:14:1(質量%))をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した25質量%濃度溶液
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体含有溶液B:塩化ビニル−酢酸ビニルーカルボン酸共重合物(カネカ社製「カネビニールT5DA」、酢ビ含有量18%)をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した25質量%濃度溶液
<スチレン系樹脂含有溶液>
・スチレン系樹脂含有溶液A:スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体(三井化学社製「FTR6110」、軟化点110℃、重量平均分子量1600、数平均分子量1100)をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した50質量%濃度溶液
・スチレン系樹脂含有溶液B:スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体(三井化学社製「FTR6100」、軟化点95℃、重量平均分子量1200、数平均分子量900)をメチルエチルケトン(MEK)で溶解した50質量%濃度溶液
<硬化剤>
・イソシアネート系硬化剤A(サイデン化学社製「サイビノール硬化剤AL」、固形分:45質量%)
また、得られた粘着シートの粘着層中の組成について、下記表2に示す。なお、下記表2中の各材料の含有量は、粘着層の全固形分中の含有量(%)の理論値である。
[評価]
実施例1〜9および比較例1〜2の粘着シートについて、下記の評価を行った。
実施例1〜9および比較例1〜2の粘着シートについて、下記の評価を行った。
1.常態接着力
粘着シートを、長さ100mm×幅10mmに切断し、粘着層側とは反対側の面を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)に貼り合わせた。次に、該粘着シートの粘着層側の面をSUS430J1L(ブライトアニール処理品)に2kgローラーで片道圧着し、試験片とした。常温で24時間放置後、引張速度50mm/分で180度剥離強度を測定した。測定は、引張試験機(エー・アンド・デイ社製、製品名「RTG−1250」)を用い、測定雰囲気を温度23℃、湿度50%RHとした。結果を下記表3に示す。
粘着シートを、長さ100mm×幅10mmに切断し、粘着層側とは反対側の面を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)に貼り合わせた。次に、該粘着シートの粘着層側の面をSUS430J1L(ブライトアニール処理品)に2kgローラーで片道圧着し、試験片とした。常温で24時間放置後、引張速度50mm/分で180度剥離強度を測定した。測定は、引張試験機(エー・アンド・デイ社製、製品名「RTG−1250」)を用い、測定雰囲気を温度23℃、湿度50%RHとした。結果を下記表3に示す。
2.温水浸漬耐久性
(1)温水浸漬耐久性評価1
ジュラルミン板(ジェラルミンA2017、15mm×75mm)に、粘着シート(10mm×50mm)の粘着層側とは反対側の面を2kgローラーで片道圧着し、室温で24時間放置後、粘着シートの粘着層側の面を、被着体Aに2kgローラーで片道圧着して試験片とした。得られた試験片を室温で24時間放置後、図3(a)、(b)で示すように、試験片の端を強制的に2.0mm押し開き、温度40℃の恒温水槽中に100時間放置して、はがれの有無を確認した。はがれなかったものを「○」、はがれたものを「×」とした。被着体Aには、金属板(SUS板、SUS430J1L、ブライトアニール処理品)を用いた。なお、図3(a)、(b)は、温水浸漬耐久性試験の試験方法を説明する模式図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は断面図である。また、図3(a)、(b)中の符号10は粘着シート、符号51はジェラルミン板、符号52は被着体、符号53はスペーサー、符号54はネジを示す。スペーサー53の厚さは粘着シート10の厚さと同じとした。結果を下記表3に示す。
(1)温水浸漬耐久性評価1
ジュラルミン板(ジェラルミンA2017、15mm×75mm)に、粘着シート(10mm×50mm)の粘着層側とは反対側の面を2kgローラーで片道圧着し、室温で24時間放置後、粘着シートの粘着層側の面を、被着体Aに2kgローラーで片道圧着して試験片とした。得られた試験片を室温で24時間放置後、図3(a)、(b)で示すように、試験片の端を強制的に2.0mm押し開き、温度40℃の恒温水槽中に100時間放置して、はがれの有無を確認した。はがれなかったものを「○」、はがれたものを「×」とした。被着体Aには、金属板(SUS板、SUS430J1L、ブライトアニール処理品)を用いた。なお、図3(a)、(b)は、温水浸漬耐久性試験の試験方法を説明する模式図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は断面図である。また、図3(a)、(b)中の符号10は粘着シート、符号51はジェラルミン板、符号52は被着体、符号53はスペーサー、符号54はネジを示す。スペーサー53の厚さは粘着シート10の厚さと同じとした。結果を下記表3に示す。
(2)温水浸漬耐久性評価2
被着体Aの代わりに被着体Bを用いたこと以外は、上記「(1)温水浸漬耐久性評価1」と同様にして試験片を作製し、温水浸漬耐久性評価を行った。被着体Bには、鋼板表面に樹脂塗膜(関西ペイント社製 溶剤着色ベース塗料組成物「レタンPGエコクリヤーHX(Q)」)が形成された塗装板を用い、塗膜側表面を被着面とした。結果を下記表3に示す。
被着体Aの代わりに被着体Bを用いたこと以外は、上記「(1)温水浸漬耐久性評価1」と同様にして試験片を作製し、温水浸漬耐久性評価を行った。被着体Bには、鋼板表面に樹脂塗膜(関西ペイント社製 溶剤着色ベース塗料組成物「レタンPGエコクリヤーHX(Q)」)が形成された塗装板を用い、塗膜側表面を被着面とした。結果を下記表3に示す。
[考察1]
上記表3より、実施例1〜9の粘着シートは、比較例1〜2の粘着シートと比較して、被着面の材質が金属である被着体Aに対しても、被着面の材質が樹脂である被着体Bに対しても温水浸漬耐久性および応力緩和性が良好であった。実施例1〜9の粘着シートにおける粘着層の組成と比較例1〜2の粘着シートの粘着層の組成との対比から、この結果は、接着層が酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体とスチレン系樹脂との両方を含むことによるものであると示唆された。
上記表3より、実施例1〜9の粘着シートは、比較例1〜2の粘着シートと比較して、被着面の材質が金属である被着体Aに対しても、被着面の材質が樹脂である被着体Bに対しても温水浸漬耐久性および応力緩和性が良好であった。実施例1〜9の粘着シートにおける粘着層の組成と比較例1〜2の粘着シートの粘着層の組成との対比から、この結果は、接着層が酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体とスチレン系樹脂との両方を含むことによるものであると示唆された。
(3)温水浸漬耐久性評価3
被着体Aの代わりに被着体Cを用いたこと以外は、上記「(1)温水浸漬耐久性評価1」と同様にして試験片を作製し、温水浸漬耐久性評価を行った。被着体Cとして、ポリ塩化ビニル材質の着色樹脂フィルム層を表層に有する塗装代替フィルム(スリーエム社製「ラップフィルムシリーズ1080」)を用い、着色樹脂フィルム層側表面を被着面とした。結果を下記表4に示す。
被着体Aの代わりに被着体Cを用いたこと以外は、上記「(1)温水浸漬耐久性評価1」と同様にして試験片を作製し、温水浸漬耐久性評価を行った。被着体Cとして、ポリ塩化ビニル材質の着色樹脂フィルム層を表層に有する塗装代替フィルム(スリーエム社製「ラップフィルムシリーズ1080」)を用い、着色樹脂フィルム層側表面を被着面とした。結果を下記表4に示す。
[考察2]
上記表4の結果から、実施例3〜9の粘着シートは、実施例1〜2の粘着シートと比較して、被着面の材質が難接着性樹脂(塩化ビニル)である被着体Cに対する温水浸漬耐久性および応力緩和性も良好であった。この結果は、実施例3〜9の粘着シートの粘着層が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体およびスチレン系樹脂の他にさらに塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含むことによるものであると示唆された。
上記表4の結果から、実施例3〜9の粘着シートは、実施例1〜2の粘着シートと比較して、被着面の材質が難接着性樹脂(塩化ビニル)である被着体Cに対する温水浸漬耐久性および応力緩和性も良好であった。この結果は、実施例3〜9の粘着シートの粘着層が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体およびスチレン系樹脂の他にさらに塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含むことによるものであると示唆された。
1 … 粘着層
2 … 弾性発泡体層
10 … 粘着シート
2 … 弾性発泡体層
10 … 粘着シート
Claims (14)
- 弾性発泡体層および前記弾性発泡体層の少なくとも一方の主面側に配置された粘着層を有し、
前記粘着層が、酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体を主成分として含み、さらにスチレン系樹脂を含む、粘着シート。 - 前記粘着層が前記弾性発泡体層の両方の主面側にそれぞれ配置されている、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、ウレタン結合を有する、請求項1または請求項2に記載の粘着シート。
- 前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、エポキシ結合を有する、請求項1または請求項2に記載の粘着シート。
- 前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体が、金属キレート結合を有する、請求項1または請求項2に記載の粘着シート。
- 前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体を硬化剤により架橋した硬化物であり、
前記硬化剤が、イソシアネート系硬化剤である、請求項1または請求項2に記載の粘着シート。 - 前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体を硬化剤により架橋した硬化物であり、
前記硬化剤が、エポキシ系硬化剤である、請求項1または請求項2に記載の粘着シート。 - 前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体は、酢酸ビニル−アクリル共重合体を硬化剤により架橋した硬化物であり、
前記硬化剤が、金属キレート系硬化剤である、請求項1または請求項2に記載の粘着シート。 - 前記スチレン系樹脂が、スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体である、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の粘着シート。
- 前記スチレン系樹脂は、重量平均分子量が500以上6000以下である、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の粘着シート。
- 前記スチレン系樹脂は、軟化点が60℃以上200℃以下である、請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の粘着シート。
- 前記粘着層中の前記スチレン系樹脂の含有量が、前記酢酸ビニル−アクリル共重合体の架橋体100質量部に対して3質量部以上60質量部以下である、請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の粘着シート。
- 前記粘着層が実質的に光重合開始剤を含まない、請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の粘着シート。
- 前記粘着層の厚みが3μm以上200μm以下、請求項1から請求項13までのいずれかの請求項に記載の粘着シート。
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JP2005263959A (ja) * | 2004-03-18 | 2005-09-29 | Dainippon Ink & Chem Inc | 粘着シート |
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JP2016183211A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-20 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 研磨パッド固定用粘着剤、および研磨パッド固定用粘着シート |
-
2018
- 2018-05-25 JP JP2018100634A patent/JP2019203106A/ja active Pending
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