JP2019200402A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】像加熱部の個々の加熱領域に対応する領域の蓄熱量をより精度良く予測し、より一層の省電力効果を得ることができる技術を提供する。【解決手段】記録材Pの搬送方向と直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有し、該複数の発熱体の夫々により複数の加熱領域A1〜A7を個別に加熱することで、記録材Pに形成された画像を加熱する像加熱部200と、記録材Pに形成される画像の情報と像加熱部200における加熱領域A1〜A7の夫々に対応する複数の領域の熱履歴情報とを取得する取得部と、像加熱部200による加熱領域A1〜A7の加熱を制御する制御部と、を備える画像形成装置100において、制御部は、加熱領域A1〜A7の温度制御に用いる制御設定を、加熱領域A1〜A7のそれぞれを長手方向に複数に分割した熱履歴計算領域CA1〜CA14に対応する像加熱部200の領域の熱履歴情報に基づいて補正する。【選択図】図8

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を利用した複写機、プリンタ等の画像形成装置に搭載される定着器や、記録材上の定着済みトナー画像を再度加熱することによりトナー画像の光沢度を向上させる光沢付与装置等の像加熱装置に関する。
像加熱装置において、省電力化の要請から、記録材上に形成された画像部を選択的に加熱する方式が提案されている(特許文献1)。この方式のヒータは、記録材の通紙方向に直交する方向(以下、長手方向という)において、複数に分割された加熱領域を設定し、それぞれの加熱領域を加熱する発熱体が長手方向に複数設けられている。そして、各加熱領域に形成される画像の画像情報に基づき、対応する発熱体により画像部が選択的に加熱される。また、画像情報に応じて加熱条件を調整し、省電力化を図る方法(特許文献2)を組合せて用いれば、更なる省電力化が可能となる。更に、像加熱装置の熱履歴に応じた加熱条件補正を、各加熱領域毎に適用し、より一層の省電力化を図ることも可能である。
特開平6−95540号公報 特開2013−41118号公報
特許文献1や特許文献2に記載の方法を用いて、各加熱領域の画像に最適な加熱条件で各発熱体への通電制御を行えば、画像部に対する選択的加熱を行わない場合に比べて省電力化を図ることができる。しかしながら、各加熱領域において、加熱領域内に形成される画像に応じた加熱を続けていくと、像加熱装置の各加熱領域に相当する部分の暖まり具合(以下、蓄熱量と表記する)に差が生じる。蓄熱量を考慮せずに各加熱領域の加熱条件を設定すると、記録材上の未定着トナー像への適正な熱供給が行われず、これに起因する画像不良が生じることがある。また、省電力性の観点からも好ましくない。これに対応するため、加熱領域を形成するための像加熱装置の構成部材における各加熱領域に対応する領域の夫々の熱履歴からその加熱領域の蓄熱量を予測し、この蓄熱量に応じた各加熱領域における加熱条件補正を行うことも考えられる。
しかしながら、上記構成部材において、一つの加熱領域に対応する領域の蓄熱量は、その加熱領域に対応する領域の熱履歴だけで決まるものではない。すなわち、上記構成部材において、一つの加熱領域に対応する領域の蓄熱量は、隣接する加熱領域に対応する領域から伝播する熱の影響、つまり、隣接する加熱領域に対応する領域の熱履歴の影響も受けることになる。従って、それぞれの加熱領域に対して予測した蓄熱量が、実際の蓄熱量と大きく異なる場合があり、必ずしも十分な予測精度が得られない可能性がある。
また、加熱領域の分割位置と通紙位置が一致しない記録材を通紙した場合、記録材端部が通過する加熱領域には通紙領域とが非通紙領域が存在する。よって、通紙領域の蓄熱量は、その通紙域の熱履歴だけで決まるものではなく、非通紙部領域の熱履歴の影響を受けることになる。
従って、通紙領域に対して予測した蓄熱量が、実際の蓄熱量と大きく異なる場合があり、必ずしも十分な予測精度が得られない可能性がある。
本発明の目的は、像加熱部の加熱領域に対応する領域における蓄熱量をより精度よく予測し、より一層の省電力効果を得ることができる技術を提案することである。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材の搬送方向と直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有し、前記複数の発熱体の夫々により複数の加熱領域を個別に加熱することで、記録材に形成された画像を加熱する像加熱部と、
記録材に形成される画像の情報と、前記複数の加熱領域の夫々に対応する、前記像加熱部の構成部材の複数の領域の熱履歴情報とを取得する取得部と、
前記複数の加熱領域の温度を個別に制御すべく、前記像加熱部による前記複数の加熱領域の加熱を制御する制御部と、
を備える画像形成装置において、
前記取得部は、前記複数の加熱領域のそれぞれを前記長手方向に複数に分割した熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報を取得し、
前記制御部は、前記複数の加熱領域の温度制御に用いる制御設定を、前記熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報に基づいて補正することを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材の搬送方向と直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有し、前記複数の発熱体の夫々により複数の加熱領域を個別に加熱することで、記録材に形成された画像を加熱する像加熱部と、
記録材に形成される画像の情報と、前記複数の加熱領域の夫々に対応する、前記像加熱部の構成部材の複数の領域の熱履歴情報とを取得する取得部と、
前記複数の加熱領域の温度を個別に制御する制御部と、
を備える画像形成装置において、
前記取得部は、前記複数の加熱領域のそれぞれを前記長手方向に複数に分割した熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報と、前記熱履歴計算領域における通紙領域と非通紙領域の割合と、を取得し、
前記制御部は、前記複数の加熱領域の温度制御に用いる制御設定を、前記熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報と、前記熱履歴計算領域における通紙領域と非通紙領域の割合と、に基づいて補正することを特徴とする。
本発明によれば、像加熱部の個々の加熱領域に対応する領域の蓄熱量をより精度良く予測し、より一層の省電力効果を得ることができる。
本発明の実施例に係る画像形成装置の断面図 実施例の定着装置の断面図 実施例のヒータ構成図 実施例のヒータ制御回路図 実施例の加熱領域と蓄熱計算領域の説明図 実施例における予定加熱温度設定決定フロー 実施例における制御温度を決定するパラメータ 実施例における制御目標温度決定フロー 実施例1おける画像パターン例の説明図 実施例1と比較例の比較実験結果を示す図 実施例1における領域蓄熱量推移とフィルム表面温度分布 比較例における制御目標温度決定フロー 実施例2における制御温度を決定するパラメータ 実施例3おける画像パターン例の説明図 実施例3おける画像パターン例の説明図 実施例3と比較例の比較実験結果を示す図 実施例3における領域蓄熱量推移 実施例3における記録材通紙例とフィルム表面温度分布
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
[実施例1]
1.画像形成装置の構成
図1は、本発明の実施例に係る電子写真方式の画像形成装置の構成図である。本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式や静電記録方式を利用した複写機、プリンタなどが挙げられ、ここではレーザプリンタに適用した場合について説明する。
画像形成装置100は、ビデオコントローラ120と制御部113を備える。ビデオコントローラ120は、記録材に形成される画像の情報を取得する取得部として、パーソナルコンピュータ等の外部装置から送信される画像情報及びプリント指示を受信して処理するものである。制御部113は、ビデオコントローラ120と接続されており、ビデオコントローラ120からの指示に応じて画像形成装置100を構成する各部を制御するものである。ビデオコントローラ120が外部装置からプリント指示を受けると、以下の動作で画像形成が実行される。
画像形成装置100は、記録材Pを給送ローラ102で給送して、中間転写体103に向けて搬送する。感光ドラム104は、図示しない駆動モータの動力によって所定の速度で反時計回り方向に回転駆動され、その回転過程で一次帯電器105によって一様に帯電処理される。画像信号に対応して変調されたレーザ光がレーザビームスキャナ106から出力され、感光ドラム104上を選択的に走査露光して静電潜像を形成する。107は現像器であり、静電潜像に現像剤である粉体トナーを付着させてトナー像(現像剤像)として可視像化する。感光ドラム104上に形成されたトナー像は、感光ドラム104と接触して回転する中間転写体103上に一次転写される。
ここで、感光ドラム104、一次帯電器105、レーザビームスキャナ106、現像器107は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色分がそれぞれ配置されている。4色分のトナー像が同じ手順で順次中間転写体103上に重ねて転写される。中間転写体103上に転写されたトナー像は、中間転写体103と転写ローラ108で形成される二次転写部において、転写ローラ108に印加された転写バイアスにより記録材P上に二次転写される。その後、定着部(像加熱部)としての定着装置200が記録材Pを加熱及び加圧することにより、トナー像が記録材Pに定着され、画像形成物として機外へ排出される。
制御部113は、記録材Pの搬送路上の、搬送センサ114、レジストセンサ115、定着前センサ116、定着排紙センサ117によって、記録材Pの搬送状況を管理する。加えて、制御部113は、定着装置200の温度制御プログラムおよび温度制御テーブルを記憶する記憶部を有する。商用の交流電源401に接続されたヒータ駆動手段としての制御回路400は、定着装置200への電力供給を行う。
2.定着装置(定着部)の構成
図2は、本実施例の像加熱装置としての定着装置200の模式的断面図である。定着装置200は、エンドレスベルトとしての定着フィルム202と、定着フィルム202の内面に接触するヒータ300と、定着フィルム202の外面に接触する加圧部材としての加圧ローラ208と、を有する。加圧ローラ208は、定着フィルム202を介してヒータ300と共に定着ニップ部Nを形成する。
定着フィルム202は、筒状に形成された可撓性を有する複層耐熱フィルムであり、厚みが50〜100μm程度のポリイミド等の耐熱樹脂、または厚みが20〜50μm程度のステンレス等の金属を基層として用いることができる。また、定着フィルム202の表面にはトナーの付着防止や記録材Pとの分離性を確保するための離型層が設けられている。離型層は、厚みが10〜50μm程度のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等の離型性に優れた耐熱樹脂である。更に、カラー画像を形成する装置に用いる定着フィルムでは、画質向上のため、基層と離型層の間に、弾性層として、厚みが100〜400μm程度、熱伝導率が0.2〜3.0W/m・K程度のシリコーンゴム等の耐熱ゴムを設けても良い。本実施例では、熱応答性や画質、耐久性等の観点から、基層として厚み60μmのポリイミド、弾性層として厚み300μm、熱伝導率1.6W/m・Kのシリコーンゴム、離型層として厚み30μmのPFAを用いている。
加圧ローラ208は、鉄やアルミニウム等の材質の芯金209と、シリコーンゴム等の材質の弾性層210を有する。ヒータ300は、耐熱樹脂製のヒータ保持部材201に保持されており、定着フィルム202を加熱する。ヒータ保持部材201は、定着フィルム202の回転を案内するガイド機能も有している。金属ステー204は、不図示の付勢部材等から加圧力を受けて、ヒータ保持部材201を加圧ローラ208に向けて付勢する。加圧ローラ208は、モータ(不図示)から動力を受けて矢印R1方向に回転する。加圧ローラ208が回転することによって、定着フィルム202が従動して矢印R2方向に回転する。定着ニップ部Nにおいて記録材Pを挟持搬送しつつ定着フィルム202の熱を与えることで、記録材P上の未定着トナー像は定着処理される。
ヒータ300は、セラミック製の基板305上に設けられた発熱体としての発熱抵抗体が通電によって発熱するヒータである。ヒータ300は、定着フィルム202の内面に接触する表面保護層308と、基板305の表面保護層308が設けられた側(以下、摺動面側と称する)とは反対側(以下、裏面側と称する)に設けられた表面保護層307を有する。ヒータ300の裏面側には給電用の電極(ここでは代表として図3における極E4を示してある)が設けられている。Cは、電極Eに接触する電気接点であり、電気接点から電極Eに給電を行っている。ヒータ300の詳細は後述する。また、ヒータ300の異常発熱により作動してヒータ300に供給する電力を遮断するサーモスイッチや温度ヒューズ等の安全素子212が、ヒータ300の裏面側に対向して配置されている。
3.ヒータの構成
図3は、本発明の実施例1のヒータ300の構成を示す模式図である。
図3(a)は、図3(b)に示す搬送基準位置X付近におけるヒータの断面図である。搬送基準位置Xは、記録材Pを搬送する際の基準位置として定義する。本実施例の画像形成装置では、記録材Pの搬送方向に直交する幅方向における中央部が、搬送基準位置Xを通過するように記録材が搬送される。ヒータ300は、概略、基板305の一方の面(裏面)に2つの層(裏面層1、2)、他方の面(摺動面)にも2つの層(摺動面層1、2)がそれぞれ形成された5層構造を有する。
ヒータ300は、基板305の裏面層側の面上にヒータ300の長手方向に沿って設けられている第1の導電体301(301a、301b)を有する。また、ヒータ300は
、基板305上に第1の導電体301とヒータ300の短手方向(長手方向と直交する方向)に異なる位置でヒータ300の長手方向に沿って設けられている第2の導電体303(搬送基準位置X付近では303−4)を有する。第1の導電体301は、記録材Pの搬送方向の上流側に配置された導電体301aと、下流側に配置された導電体301bに分離されている。更に、ヒータ300は、第1の導電体301と第2の導電体303の間に設けられ、第1の導電体301と第2の導電体303を介して供給する電力により発熱する発熱抵抗体302を有する。
発熱抵抗体302は、本実施例では記録材Pの搬送方向の上流側に配置された発熱抵抗体302a(搬送基準位置X付近では302a−4)と、下流側に配置された発熱抵抗体302b(搬送基準位置X付近では302b−4)に分離されている。また、ヒータ300の裏面層2には、発熱抵抗体302、第1の導電体301、及び第2の導電体303を覆う絶縁性(本実施例ではガラス)の表面保護層307が、電極部(搬送基準位置X付近ではE4)を避けて設けられている。
図3(b)には、ヒータ300の各層の平面図を示してある。ヒータ300の裏面層1には、第1の導電体301と第2の導電体303と発熱抵抗体302の組からなる発熱ブロックがヒータ300の長手方向に複数設けられている。本実施例のヒータ300は、ヒータ300の長手方向に、合計7つの発熱ブロックHB1〜HB7を有する。発熱ブロックHB1の図中の左端から、発熱ブロックHB7の図中の右端までが発熱領域であり、その長さは220mmである。本例では各発熱ブロックの長手方向幅は全て同じである(必ずしもすべて同じ長手方向幅でなくても良い)。
発熱ブロックHB1〜HB7は、ヒータ300の短手方向に対称に形成された、発熱抵抗体302a−1〜302a−7及び発熱抵抗体302b−1〜302b−7によって、それぞれ構成されている。第1の導電体301は、発熱抵抗体(302a−1〜302a−7)と接続する導電体301aと、発熱抵抗体(302b−1〜302b−7)と接続する導電体301bによって構成されている。同様に、第2の導電体303は、7つの発熱ブロックHB1〜HB7に対応するため、7つの導電体303−1〜303−7に分割されている。
電極E1〜E7、E8−1、及びE8−2は、電気接点C1〜C7、C8−1、C8−2に接続される。電極E1〜E7はそれぞれ、導電体303−1〜303−7を介して、発熱ブロックHB1〜HB7に電力供給するための電極である。電極E8−1、及びE8−2は、導電体301a、及び導電体301bを介して、7つの発熱ブロックHB1〜HB7に電力給電するための共通の電極である。本実施例では長手方向の両端に電極E8−1、及びE8−2を設けているが、例えば電極E8−1のみを片側に設ける構成(即ち、電極E8−2を設けない構成)でも良いし、電極E8−1と電極8−2を夫々記録材搬送方向において二つに分けても良い。
ヒータ300の裏面層2の表面保護層307は、電極E1〜E7、E8−1、及びE8−2が露出するように形成されている。これにより、ヒータ300の裏面層側から、各電極に電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2を接続可能な構成となっており、ヒータ300は、裏面層側から電力供給可能な構成となっている。また、発熱ブロックのうちの少なくとも一つの発熱ブロックに供給する電力と、他の前記発熱ブロックに供給する電力を独立に制御可能な構成となっている。
ヒータ300の裏面に電極を設けることで、基板305上に導電パターンによる配線を行う必要がないため、基板305の短手方向の幅を短くすることができる。そのため、基板305の材料コストの低減や、基板305の熱容量低減によるヒータ300の温度上昇
にかかる立ち上げ時間を短縮する効果を得ることができる。なお、電極E1〜E7は、基板の長手方向において発熱抵抗体が設けられた領域内に設けられている。
本実施例では、発熱抵抗体302として温度上昇に伴い抵抗値が上昇する特性(以下、PTC特性と呼ぶ)を有した材料を用いている。発熱抵抗体にPTC特性を有する材料を用いることで、小サイズ紙の定着処理時に非通紙部にある発熱抵抗体の抵抗値は通紙部にある発熱抵抗体よりも高くなり電流が流れにくくなる効果が得られる。その結果、非通紙部の昇温を抑える効果を高めることができる。しかし、発熱抵抗体302に用いる材料はPTC特性を有したものに限定されるものではなく、温度上昇に伴い抵抗値が低下する特性(以下、NTC特性と呼ぶ)を有した材料、温度変化に対して抵抗値が変化しない特性を有した材料を用いることも可能である。
ヒータ300の摺動面(定着フィルムと接触する側の面)側の摺動面層1には、ヒータ300の発熱ブロックHB1〜HB7ごとの温度を検知するため、サーミスタT1−1〜T1−4、及びサーミスタT2−5〜T2−7が設置されている。サーミスタT1−1〜T1−4、及びサーミスタT2−5〜T2−7は、PTC特性、若しくはNTC特性(本実施例ではNTC特性)を有した材料を基板上に薄く形成したものである。発熱ブロックHB1〜HB7の全てにサーミスタを有しているため、サーミスタの抵抗値を検出することにより、全ての発熱ブロックの温度を検知できる。
4つのサーミスタT1−1〜T1−4に通電するために、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1−1〜ET1−4と、サーミスタの共通導電体EG1が形成されている。これら導電体とサーミスタT1−1〜T1−4との組によって、サーミスタブロックTB1を形成している。同様に、3つのサーミスタT2−5〜T2−7に通電するために、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET2−5〜ET2−7と、サーミスタの共通導電体EG2が形成されている。これら導電体とサーミスタT2−5〜T2−7との組によって、サーミスタブロックTB2を形成している。
サーミスタブロックTB1を用いる効果について説明する。まずは、サーミスタの共通導電体EG1を形成することによって、サーミスタT1−1〜T1−4にそれぞれ導電体を接続し配線する場合に比べて、導電パターンの配線を形成するコストを低減することができる。また、基板305上で導電パターンによる配線を行う必要がないため、基板305短手方向の幅を短くすることができる。そのため、基板305の材料コストの低減や、基板305の熱容量低減によるヒータ300の温度上昇にかかる立ち上げ時間を短縮する効果を得ることができる。サーミスタブロックTB2を用いる効果は、サーミスタブロックTB1と同様のため説明を省略する。
基板305短手方向の幅を短くするには、図3(a)の表面層1で説明した発熱ブロックHB1〜HB7の構成と、図3(a)の摺動面層1で説明したサーミスタブロックTB1〜TB2を組み合わせて用いる方法が有効である。
ヒータ300の摺動面(定着フィルム内面と接触する面)側の摺動面層2には、摺動性のある表面保護層308(本実施例ではガラス)を有する。表面保護層308は、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1−1〜ET1−4、ET2−5〜ET2−7、サーミスタの共通導電体EG1、EG2に対して電気接点を接続するため、ヒータ300の両端部を避けて形成される。表面保護層308は、ヒータ300のフィルム202との対向面において両端部を除いた、少なくともフィルム202と摺動する領域に設けてある。
図3(c)に示すように、ヒータ保持部材201におけるヒータ300との対向面には、電極E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8−1、及びE8−2と、電気接
点C1〜C7、C8−1、及びC8−2を接続するための孔が設けられている。ステー204とヒータ保持部材201の間には、前述した、安全素子212、電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2が設けられている。電極E1〜E7、E8−1及びE8−2に接触する電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2は、バネによる付勢や溶接等の手法によって、それぞれヒータの電極部と電気的に接続されている。各電気接点は、ステー204とヒータ保持部材201の間に設けられたケーブルや薄い金属板等の導電材料を介して、後述するヒータ300の制御回路400と接続している。また、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1−1〜ET1−4、ET2−5〜ET2−7、及びサーミスタの共通導電体EG1、EG2に設けられた電気接点も、後述する制御回路400と接続されている。
4.ヒータ制御回路の構成
図4は、実施例1のヒータ300の制御回路400の回路図である。画像形成装置100には、商用の交流電源401が接続されている。ヒータ300の電力制御は、トライアック411〜トライアック417の通電/遮断により行われる。トライアック411〜417は、それぞれ、CPU420からのFUSER1〜FUSER7信号に従って動作する。トライアック411〜417の駆動回路は省略して示してある。ヒータ300の制御回路400は、7つのトライアック411〜417によって、7つの発熱ブロックHB1〜HB7を個々に独立制御可能な回路構成となっている。ゼロクロス検知部421は、交流電源401のゼロクロスを検知する回路であり、CPU420にZEROX信号を出力している。ZEROX信号は、トライアック411〜417の位相制御や波数制御のタイミングの検出等に用いている。
ヒータ300の温度検知方法について説明する。サーミスタブロックTB1のサ−ミスタT1−1〜T1−4によって検知される温度は、サ−ミスタT1−1〜T1−4と抵抗451〜454との分圧が、Th1−1〜Th1−4信号としてCPU420で検知されている。同様に、サーミスタブロックTB2のサ−ミスタT2−5〜T2−7によって検知される温度は、サ−ミスタT2−5〜T2−7と抵抗465〜467との分圧が、Th2−5〜Th2−7信号としてCPU420で検知されている。CPU420の内部処理では、各発熱ブロックの制御目標温度と、サーミスタの現在の検知温度との差分に基づき、供給するべき電力を算出する。例えばPI制御により供給するべき電力の算出を行う。更に供給する電力に対応した位相角(位相制御)や、波数(波数制御)の制御レベルに換算し、その制御条件によりトライアック411〜417を制御している。CPU420は、本発明における制御部、取得部として、ヒータ300の温調制御にかかわる各種演算や通電制御等を実行する。
リレー430、リレー440は、故障などによりヒータ300が過昇温した場合、ヒータ300への電力遮断手段として用いている。リレー430、リレー440の回路動作を説明する。RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ433がON状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに通電され、リレー430の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ433がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー430の1次側接点はOFF状態になる。同様に、RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ443がON状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに通電され、リレー440の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ443がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー440の1次側接点はOFF状態になる。なお、抵抗434、抵抗444は電流制限抵抗である。
リレー430、リレー440を用いた安全回路の動作について説明する。サーミスタT
h1−1〜Th1−4による検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部431はラッチ部432を動作させ、ラッチ部432はRLOFF1信号をLow状態でラッチする。RLOFF1信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ433がOFF状態で保たれるため、リレー430はOFF状態(安全な状態)で保つことができる。尚、ラッチ部432は非ラッチ状態において、RLOFF1信号をオープン状態の出力にしている。同様に、サーミスタTh2−5〜Th2−7による検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部441はラッチ部442を動作させ、ラッチ部442はRLOFF2信号をLow状態でラッチする。RLOFF2信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ443がOFF状態で保たれるため、リレー440はOFF状態(安全な状態)で保つことができる。同様に、ラッチ部442は非ラッチ状態において、RLOFF2信号をオープン状態の出力にしている。
5.ヒータ制御方法の概要
本実施例の画像形成装置は、ホストコンピュータ等の外部装置(不図示)から送られる画像データ(画像情報)に応じて、ヒータ300の7つの発熱ブロックHB1〜HB7それぞれへの供給電力を最適に制御して、画像部を選択的に加熱する構成である。発熱ブロックHB1〜HB7それぞれへの供給電力を決定するのは、各発熱ブロックHB1〜HB7に対する、加熱制御パラメータとしての制御温度(以下、、制御温度TGTと表記する)である。発熱ブロックHB1〜HB7に対応するサ−ミスタT1−1〜T2−7の検知温度が、それぞれの発熱ブロックHB1〜HB7に対して設定される制御温度TGTと等しくなるように温調制御される。
発熱ブロックHB1〜HB7に対応する位置に形成される画像に対する制御温度TGTは、どのような画像であるかと、像加熱装置の画像位置に対応する部分がどの程度蓄熱しているかにより決められる。本実施例では、まず、画像データ(画像情報)から、トナー量が多い画像に対してより高い温度で加熱が行われるように、制御温度TGTの予定値(以下、予定加熱温度FTと呼ぶ)が決められる。更に、画像位置に対応する部分における像加熱装置の蓄熱量に応じて、上記予定加熱温度FTを補正し、制御温度TGTを決定する。実施例1は、像加熱装置の加熱履歴や放熱履歴により像加熱装置の蓄熱量を予測する構成であり、また、非通紙部の加熱履歴から制御設定としての制御温度を補正する方法が従来技術とは異なる(詳細は後述する)。
図5は、ヒータ300によって加熱可能な、長手方向に分割された7つの加熱領域A〜Aを示す図であり、LETTERサイズ紙の大きさと対比して表示している。加熱領域A〜Aは、発熱ブロックHB1〜HB7が夫々加熱できる領域を示しており、発熱ブロックHB1により加熱領域Aが加熱され、発熱ブロックHB7により加熱領域Aが加熱される構成となっている。7つの発熱ブロックHB1〜HB7は、各ブロックにおける発熱抵抗体へ供給する電力が個別に制御されることで、それぞれの発熱ブロックの発熱量が個別に制御される。加熱領域A〜Aの全長は220mmであり、各領域はこれを均等に7分割したものである(L=31.4mm)。
また、本実施例においては各加熱領域を長手方向に二分割した熱履歴計算領域CA〜CA14を有する。熱履歴計算領域CAはその領域がどの程度加熱されたか、また、どの程度放熱したか、その加熱履歴、放熱履歴を算出する領域である(LC=L/2=15.7mm)。
ここで、14つの熱履歴計算領域のうちの一つの領域CA(n=1〜14)中で、記録材搬送方向の一部のみに画像が形成される場合、画像が存在する領域を画像加熱部PR(n=1〜14)と表記する。この画像加熱部PR(n=1〜14)は、前述した制
御目標温度TGTで加熱が行われる。実施例1では、熱履歴計算領域CA(n=1〜14)に形成される予定の画像が記録材搬送方向において複数存在する場合、記録材搬送方向において複数の画像をすべて含み且つ最小の領域を画像加熱部PR(n=1〜14)とする。また、一つの熱履歴計算領域の中で上記画像加熱部PR以外の部分は、非画像加熱部PPとし、画像加熱部PRよりも低い温度で加熱を行う。上記条件における、画像情報に応じたヒータ制御方法、予測蓄熱量に応じたヒータ制御補正方法の詳細を以降で説明する。
6.画像情報に応じたヒータ制御方法
ビデオコントローラ120がホストコンピュータから画像情報を受け取ると、熱履歴計算領域にどのような画像が形成されるかを判別する。そして、トナー量が多い画像に対してより高い温度で加熱が行われるように、制御目標温度TGTの予定値である予定加熱温度FTが決められる。具体的には、CMYK画像データから得られる各色の画像濃度をトナー量に変換したトナー量換算値に応じて、トナー量換算値が高い画像に対してはより高い温度で加熱を行うように、予定加熱温度FTが決められる。
(予定加熱温度の決定方法)
まず、トナー量換算値Dの取得方法について述べる。ホストコンピュータ等の外部装置からの画像データは、画像形成装置のビデオコントローラ120で受信され、ビットマップデータへの変換が行われる。なお、本実施例の画像形成装置の画素数は600dpiであり、ビデオコントローラ120はそれに応じたビットマップデータ(CMYK各色の画像濃度データ)を作成する。本実施例の画像形成装置は、ビットマップデータから各ドットについてCMYK各色の画像濃度を取得し、これをトナー量換算値Dに変換する。
図6は、実施例1で、各ページにおいて各熱履歴計算領域(例えばCA)の予定加熱温度を決定するフローを示した図である。上記のようにビットマップデータへの変換が完了すると、S601からフローがスタートする。S602で熱履歴計算領域CA内が記録材の通紙領域か確認し、通紙域で無ければ、S612に進み非通紙部NPに対する予定加熱温度NTを設定し終了となる。一方、通紙領域であれば、S603で熱履歴計算領域CA内に画像加熱部PRが存在するか確認し、画像加熱部PRが無ければ、S611に進み非画像加熱部PPに対する予定加熱温度PTを設定し終了となる。画像加熱部PRがある場合は、S604で画像加熱部PR内にある各ドットの画像濃度検知が開始される。CMYK画像データに変換された画像データから、ドット毎のC,M,Y,K各色の画像濃度であるd(C)、d(M)、d(Y)、d(K)が得られる。S605でその合算値であるd(CMYK)を算出する。これを画像加熱部PR内にある全ドットについて行い、S606で全てのドットに対するd(CMYK)の取得が確認されると、S607でこれらをトナー量換算値Dに変換する。
ここで、ビデオコントローラ120内での画像情報は、8ビット信号であり、トナー単色当たりの画像濃度d(C)、d(M)、d(Y)、d(K)は、最小濃度00h〜最大濃度FFhの範囲で表わされる。また、これらの合算値であるd(CMYK)は、2バイトの8ビット信号である。前述のように、S607でこのd(CMYK)値をトナー量換算値D(%)に変換する。具体的には、トナー単色当たりの最小画像濃度00hを0%、最大画像濃度FFhを100%として変換する。このトナー量換算値D(%)は、実際の記録材P上の単位面積当たりのトナー量に対応するものであり、本実施例では記録材上トナー量0.50mg/cm=100%としている。
そして、S608で画像加熱部PR内にある全ドットのトナー量換算値D(%)の中から、最大値であるトナー量換算最大値DMAX(n)(%)が抽出される。d(CMYK)は複数のトナー色の合計値であり、トナー量換算最大値DMAX(n)の値は100
%を超える場合もある。本実施例の画像形成装置では記録材P上のトナー量を全ベタ画像で1.15mg/cm(トナー量換算値Dの値で230%相当)が上限となるように調整されている。S608でトナー量換算最大値DMAX(n)が得られると、S609でこのトナー量換算最大値DMAX(n)に対応する加熱温度であるFT値(詳細は後述)が画像加熱部PRに対する予定加熱温度として設定される。次に、S610で熱履歴計算領域CA内に非画像加熱部PPが存在するか確認し、非画像加熱部PPが無ければ、そのままフローが終了する。非画像加熱部PPが存在する場合、S611に進み非画像加熱部PPに対する予定加熱温度PTを設定し終了となる。
以上のフローを、熱履歴計算領域CA〜CA14について行う。すなわち、それぞれの領域に対し、画像加熱部PRについてはそれぞれのトナー量換算最大値DMAX(n)に対応する予定加熱温度FTが設定され、非画像加熱部PPに対しては予定加熱温度PT、非通紙部NPに対しては予定加熱温度NTが設定される。
図7(a)に、本実施例におけるトナー量換算最大値DMAX(n)と予定加熱温度FTの関係を示す。本実施例では、トナー量換算最大値DMAX(n)に応じて予定加熱温度FTが5段階に可変となっている。トナー量換算最大値DMAX(n)の値が大きく、トナー量が多い画像に対しては、十分にトナーが溶けるように、予定加熱温度FTとして高い温度が設定される。なお、画像が形成されない非画像加熱部PPに対しては、画像加熱部PRより低温の予定加熱温度PT(例えば120℃)が設定される。予定加熱温度PTは固定値である。記録材が通紙されない非通紙部NPに対しては、画像加熱部PRより低温の予定加熱温度NT(例えば110℃)が設定される。予定加熱温度NTは固定値である。
7.予測蓄熱量に応じたヒータ制御補正方法
実施例1の構成は、このようにして決定された予定加熱温度を、各熱履歴計算領域の予測蓄熱量に応じて補正し、実際に記録材Pを加熱する際の加熱条件(制御設定)の一つである制御目標温度TGT(詳細は後述)を決定する。
(予測蓄熱量の決定方法)
まず、本実施例では、加熱領域A〜A対して図5に示したような熱履歴計算領域CAを設定し、熱履歴を表す蓄熱カウンタを設ける。図5に示すように熱履歴計算領域CAは加熱領域Aを2分割したものである(LC=15.7mm)。蓄熱カウンタのカウント値をCTとすると、蓄熱カウント値CTは、それぞれの熱履歴計算領域CAがどの程度加熱されたか、また、どの程度放熱したか、その加熱履歴、放熱履歴を示すものである(詳細は後述)。そして、上記蓄熱カウント値CTを用いて、熱履歴計算領域CAT〜CAT14に対する予測蓄熱量としての領域蓄熱量HRVを決定する。
ある一つの熱履歴計算領域CAに対する領域蓄熱量HRVを決定する際には、熱履歴計算領域CAとこれに隣接する熱履歴計算領域CAn−1、CAn+1に対する蓄熱カウンタの値CT、CTn−1、CTn+1が用いられる(詳細は後述)。
実施例1では、1ページ毎(そのページのプリントが実行された直後)に、上記予測蓄熱量としての領域蓄熱量HRVを求める。そして、次のページでは、求めた領域蓄熱量HRVの値に応じて、実際に記録材Pの画像加熱部PRを加熱する際の温度である制御目標温度TGT(PR)を決定する。以下に、蓄熱カウント値CT、領域蓄熱量HRVについて詳細に説明する。
7−1.蓄熱カウント値のカウント方法
各熱履歴計算領域の加熱履歴、放熱履歴を示す蓄熱カウント値CTの決定方法を説明する。各熱履歴計算領域に対する蓄熱カウンタは、その熱履歴計算領域に対する加熱動作や
、記録材の通紙状況に応じて、規定の方法に従い熱履歴をカウントしていくものである。
すなわち、像加熱部の構成部材において各加熱領域(各熱履歴計算領域)に対応する夫々の領域における加熱動作の履歴や記録材の通紙状況などが、熱履歴として取得される。具体的には、上記構成部材としての定着フィルム202と加圧ローラ208とが圧接する定着ニップ部Nにおける各加熱領域(各熱履歴計算領域)に対応する夫々の領域における加熱動作の履歴や記録材の通紙状況などが、熱履歴として取得される。
蓄熱カウンタのカウント値CTは、下記の(式1)で表わされる。
CT=(TC×HLC)+(WUC+INC+PC)−(RMC×PLC+DC)…(式1)
図7を参照して、(式1)中の加熱履歴としての(TC×HLC)、(WUC+INC+PC)、放熱履歴としての(RMC×PLC+DC)について説明する。なお、本実施例における蓄熱カウント値CTは1ページ毎(そのページのプリントが実行された直後)に更新されるものとする。
TCは、図7(b)に示すように、記録材の画像加熱部PRを加熱する際の制御目標温度TGT(PR)に応じて決定される値であり、制御目標温度TGT(PR)が高温であるほど値が大きくなっている。
HLCは、図7(c)に示すように、画像加熱部PRを加熱する際に加熱を行った距離HL(mm)に応じて決定される値であり、HLが長くなるほど値が大きくなっている。
画像が形成される加熱領域では、画像加熱部PRとそれ以外の非画像加熱部PPに対する(TC×HLC)が加算されて1ページ分になる。
その他のWUC、INC、PCは、図7(d)に示すように、プリント開始時の立上げ、紙間、プリント終了時の後回転に対してカウントされる固定値である。これらWUC、INC、PCは、例えば、立上げ時間、紙間、後回転時間が動作条件により、変化した場合は、これに応じて変化させることもできる。なお、加熱履歴を表すパラメータとしては上記のものに限定されるものではなく、像加熱部の構成部材としてのヒータの温度履歴や発熱体への供給電力の履歴を示す他のパラメータを用いてもよい。
また、RMC、DCは、図7(d)に示すように、記録材Pが通紙されることにより像加熱装置から奪われる熱、外気への放熱に対してカウントされる固定値である。
PLCは、図7(e)に示すように、記録材Pが通紙された距離PL(mm)に応じて決定される値であり、PLが長くなるほど値が大きくなっている。
これらRMC、DCは、記録材の種類や環境条件により、それらに応じた値に変化させることもできる。なお、放熱カウントDCについては、プリント時以外にもカウントされ、規定時間が経過すると、規定の値がカウントされる(例えば、1分間で3つカウントアップ)。また、放熱履歴を表すパラメータとしては上記のものに限定されるものではなく、その加熱領域における記録材の通過履歴や発熱体への電力供給を行わない期間を示す他のパラメータを用いてもよい。
以上の様に、本実施例における蓄熱カウンタのカウント値CTは、各領域において、それぞれの領域に対する熱履歴情報のみから1ページ毎(そのページのプリントが実行された直後)にカウントされるものである。
7−2.領域蓄熱量の決定方法
実施例1では、上記の蓄熱カウント値CTから、1ページ毎(そのページのプリントが実行された直後)に、予測蓄熱量としての領域蓄熱量HRVを求める。そして、次のペー
ジでは、この値に応じて、実際に記録材Pの画像加熱部PRを加熱する際の温度である制御目標温度TGT(PR)を決定する。まず、熱履歴計算領域CAに対する蓄熱カウンタのカウント値をCTで表わすと、熱履歴計算領域CAに対する領域蓄熱量HRVは、蓄熱カウント値CTn−1、CT、CTn+1から下記の(式2)により算出される。
HRV={CT+α(CTn−1+CTn+1)}/(1+2α)…(式2)
ここで、αは定数である。
(式2)からわかるように、ある一つの熱履歴計算領域CAに対する領域蓄熱量HRVは、当該熱履歴計算領域CAと、その両隣の隣接熱履歴計算領域CAn−1、CAn+1の熱履歴から決定される値である。この値が熱履歴計算領域CAの予測蓄熱量を示す値である。両端の熱履歴計算領域であるCAとCA14の領域蓄熱量HRVは、当該熱履歴計算領域と隣にある一つの熱履歴計算領域の熱履歴から決定されることになる。
(式2)中の定数αは、隣接する熱履歴計算領域の熱履歴の当該熱履歴計算領域の予測蓄熱量に対する影響度合いを示す値であり、実施例1の構成ではα=0.2である。このように、本実施例に係る画像形成装置においては、各熱履歴計算領域の予測蓄熱量を、当該領域に隣接する熱履歴計算領域の熱履歴も考慮して決定することで、予測蓄熱量の予測精度を向上させている。本実施例では、このようにして決定される領域蓄熱量HRVを用い、画像加熱部PRに対する予定加熱温度FTを補正することで、より適正な制御目標温度TGT(PR)が得られる。
図7(f)に、領域蓄熱量HRVと、予定加熱温度FTに対する補正値VAの関係を示した。この領域蓄熱量HRVと、予定加熱温度FTに対する補正値VAの関係は、予め実施例1の定着装置で、蓄熱状態と定着後の画像特性を確認し、その結果から決定されている。
なお、本実施例において、非画像加熱部PP及び非通紙部NPに対しては、領域蓄熱量HRVによる補正は行わない(領域蓄熱量HRVの値に関係なく制御目標温度TGT(PP)=120℃)、TGT(NP)=110℃)こととする。
7−3.制御目標温度の決定方法
図8に、本実施例における、熱履歴計算領域CAの画像加熱部PR、非画像加熱部PP、非通紙部NPに対する制御目標温度TGTの決定フローを示す。ここで、現在のページ番号をPNで表わすこととする。フローがスタートすると、まずS1001で前ページまでの領域蓄熱量HRV[PN−1]が取得される。S1002で熱履歴計算領域CA内が記録材の通紙領域か確認し、通紙域で無ければ、S1009、S1010に進み非通紙部NPに対する予定加熱温度NT、制御目標温度TGT(NP)に設定して(TGT(NP)=NT)終了となる。通紙領域であれば、S1003で熱履歴計算領域CAに画像加熱部PRが存在するか否かを確認する。画像加熱部PRが存在する場合は、S1004でその画像加熱部PRに対し、前述した図6の制御フローにより決定される予定加熱温度FTを取得する。画像加熱部PRが存在しない場合は、非画像加熱部PPに対する制御目標温度を決定するためS1007へ進む。
S1005では、S1004で得られた画像加熱部PRに対する予定加熱温度FTに対して予測蓄熱量に応じた補正を行う。まず、前述の図7に従い、S1001で得られた前ページまでの領域蓄熱量HRV[PN−1]に応じ、予定加熱温度FTに対する補正値VA(HRV[PN−1])が選択される。次に、この補正値VA(HRV[PN−1])を用いて予定加熱温度FTに対し、下記(式3)を用いて補正を行い、画
像加熱部PRに対する制御目標温度TGT(PR)が決定される。
TGT(PR)=FT+VA(HRV[PN−1])…(式3)
以上の様に、S1005で画像加熱部PRに対する制御目標温度TGT(PR)が決定されると、S1006で熱履歴計算領域CAに非画像加熱部PPが存在するか否かを確認する。非画像加熱部PPが存在するときは、S1007、S1008において、非画像加熱部PPに対する予定加熱温度PT、制御目標温度TGT(PP)が決定され(TGT(PP)=PT)、S1011へ進む。非画像加熱部PPが存在しない場合は、S1006から直接S1011へ進む。
S1011で加熱領域Aの全域が記録材の通紙領域か確認し、全域通紙域であれば、S1012に進み、加熱領域Aiを構成する複数の熱履歴計算領域CAの制御目標温度TGT(PR)から加熱領域Anの制御目標温度TGT(A)が決定される。この場合、加熱領域Aを構成する複数の熱履歴計算領域CAの制御目標温度TGT(PR)のうち、より高い制御目標温度TGTに設定される。
また、S1011で加熱領域Aの全域が通紙域ではないと確認されたら、S1013に進む。S1013では、加熱領域A全域が記録材の非通紙領域か確認し、全域非通紙域であればS1014に進み、加熱領域Aを制御目標温度TGT(NP)が設定される。
また、S1013で、加熱領域Aの全域が記録材の非通紙領域ではないと確認されると制御目標温度を決定するためS1015に進む。この状態における加熱領域Aiは通紙領域と非通紙領域が存在する状態であり、記録材の長手端部が通過する状態である。この場合、加熱領域Aiを構成する複数の熱履歴計算領域CAのうち通紙領域部であり、熱制御目標温度TGT(PR)がより高い制御目標温度TGTに設定される。この場合、通紙領域が非通紙領域の熱的影響をうけるが、非通紙領域の領域蓄熱量HRVを算出し、(式2)により通紙域の領域蓄熱量HRVに影響を反映させている。よって、通紙領域の制御目標温度は精度を向上させることができている。
S1016で現ページ(ページ番号=PN)のプリントが、ここまでのフローで決定された制御目標温度TGTを用いて実行される。次にS1017において、現ページまでの領域蓄熱量HRV[PN]が算出され、S1018でページ番号が次ページのものに更新される。S1019でプリント終了するかを確認し、現ページでプリント終了の場合はここでフローが終了し、プリントが継続される場合は、S1001からのフローを繰り返す。
次に通紙領域が最大加熱領域幅より狭く、加熱領域幅と幅が一致しない記録材をプリントしたときの制御の一例にについて説明する。
図9にEXECTIVE(幅184mm、長さ267mm)をプリントしたときの、記録材通紙位置と加熱領域及び熱履歴計算領域を示した図である。AからAの領域の制御に関しては前述のLETTERサイズと同様に通紙域となる。AとAおいては加熱領域分割幅と記録材幅が一致しないため、通紙領域と非通紙領域が存在する。加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CAは非通紙領域、熱履歴計算領域CAは通紙領域であり、また加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CA14は非通紙領域、熱履歴計算領域CA13は通紙領域となる。
8.比較例との比較
ここからは、本発明の実施例の構成と比較例の構成と比較しつつ説明する。以下に示す図9の画像パターンを用いてプリントを行った場合を例にとり、説明を行う。
8−1.画像パターンの説明
図9の画像パターンについて説明する。図9にはEXECTIVEサイズ紙(幅184mm、長さ267mm)に形成される画像を示している。画像Pは、EXECTVE紙の紙端部の熱履歴計算領域CAから熱履歴計算領域CAに形成される。画像Pは、トナー量換算値D(%)が40%のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3次色が均一に形成(トナー量換算最大値DMAX(i)(%)=40%)されたものである。画像加熱部PRの開始部をPRS、終了部をPREで示している。
本実施例では、画像加熱部PRの開始部PRSは、画像先端から5mmだけ記録材搬送方向の上流側に設定した。また、本実施例における画像加熱部PRの終了部PREは、画像後端部から5mmだけ記録材搬送方向の下流側に設定した。
ここで、前述したように、実際に記録材を加熱する際の温度は制御温度TGTと表記される。本実施例では、画像加熱部PRの開始部PRSまでに、非画像加熱部PPに対する制御温度TGT(PP)(例えば予定加熱温度PT=120℃)から、画像加熱部PRの加熱に用いる制御温度TGT(PR)までヒータ温度を昇温させる。すなわち、画像加熱部PRの開始部PRSまでに、定着フィルム202の表面温度が画像を定着するために必要な温度に到達するように昇温が開始される。
実施例1では、図7(c)に示される、前述の、加熱を行った距離HL(mm)は、画像加熱部PRの記録材搬送方向長さと、上述の昇温に要する距離を足し合わせた距離とした。この、加熱を行った距離HL(mm)に応じて、前述の(式1)におけるLCの値が決まり、蓄熱カウント値CTの算出に用いられる。図9の画像パターンでは、画像加熱部PRに対して加熱を行った距離HL(mm)は、EXECTIVEサイズ紙の搬送方向長さと等しい267mmであり、上述の昇温動作が記録材先端から開始されるものとする。また、これ以降の説明で用いる画像に対する加熱距離HL(mm)も、上記と同様に、画像加熱部PRの記録材搬送方向長さと、昇温動作に要する距離を足し合わせた距離とする。
8−2.比較条件の説明
上記で説明した、図9の画像パターンを用いてEXECTIVEサイズ紙を70枚連続してプリントする。このとき、各加熱領域に対する制御温度TGTにどのような温度が設定されるかを、以降で説明する本発明の実施例1と比較例で比較する。
8−3.実施例1の説明
前述の(式1)、(式2)から得られる領域蓄熱量HRVを用い、図8に従って、画像加熱部PRに対する予定加熱温度FTを補正し、制御温度TGT(A)を決定する本実施例の構成である。前述のように、図7(f)には領域蓄熱量HRVと、予定加熱温度FTに対する補正値VAの関係を示されている。
まず、図9の画像パターンでEXECTIVEサイズ紙を連続プリントしたときの、各熱履歴計算領域CA〜CA14における実施例1の領域蓄熱量HRVを確認する。EXECTIVEサイズ紙の通紙幅は184mmであり、本実施例の最大加熱領域幅(加熱領域A〜Aの全長は220mm)より通紙領域が狭く、その内側の加熱体A〜Aの加熱領域幅(157mm)より広い。よって、加熱領域分割位置と記録材幅が一致しないため、加熱領域A1とA7おいては通紙領域と非通紙領域が存在する。加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CAは非通紙領域、熱履歴計算領域CAは通紙領域であり、また加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CA14は非通紙領域、熱履歴計算領域CA13は通紙領域となる。
図10(a)に、本実施例の構成による70枚プリント時の各熱履歴計算領域CA〜CA14におけるトナー量換算最大値DMAX、予定加熱温度FT、予定加熱温度PT、予定加熱温度NT、領域蓄熱量HRV及び領域制御目標温度を示している。さらに、図10(a)には、上述のフローで算出された各加熱領域A〜Aにおける制御目標温度(A)を示している。
図11(a)に、図9の画像パターンを連続してプリントしたときの、実施例1における熱履歴計算領域CAおよびCAの領域蓄熱量HRVの推移を示す。履歴計算領域CAは非通紙領域であり、記録材Pが通紙されることにより像加熱装置から奪われる熱がないため、通紙域である履歴計算領域CAより蓄熱量が増大する。よって、70枚プリント直後の領域蓄熱量の値は、HRVは241、HRVは165である。
以上のように本実施例においては、加熱領域を分割した熱履歴計算領域を設定し、非通紙領域の領域蓄熱量HRVを算出し、通紙域の領域蓄熱量HRVに影響を反映させている。よって、図10(a)に示すように記録材端部が通過する加熱領域Aは、TGT(A)=178℃となり、記録材中央部の加熱領域A〜Aに比べ制御目標温度を低く設定される。
8−4.比較例の説明
本実施例では、加熱領域A〜A対して複数の熱履歴計算領域CAを設定して熱履歴を算出したが、比較例の構成においては加熱領域毎に蓄熱カウンタを設けている。比較例では、各加熱領域毎に予測蓄熱量を算出し、この予測蓄熱量から画像加熱部PRに対する予定加熱温度FTを補正し、制御温度TGT(PR)を決定する構成である。
図12に、比較例における、画像加熱部PR、非画像加熱部PP、非通紙部NPに対する制御目標温度TGTの決定フローを示す。フローがスタートすると、まずS2001で前ページまでの領域蓄熱量HRV[PN−1]が取得される。S2002で加熱領域A内が記録材の通紙領域か確認し、通紙域で無ければ、S2009、S2010に進み非通紙部NPに対する予定加熱温度NT、制御目標温度TGT(NP)に設定して(TGT(NP)=NT)終了となる。通紙領域であれば、S2003で加熱領域Aに画像加熱部PRが存在するか否かを確認する。画像加熱部PRiが存在する場合は、S2004でその画像加熱部PRiに対し、予定加熱温度FTを取得する。画像加熱部PRiが存在しない場合は、非画像加熱部PPに対する制御目標温度を決定するためS2007へ進む。
S2005では、S2004で得られた画像加熱部PRiに対する予定加熱温度FTに対して予測蓄熱量に応じた補正を行う。まず、S2001で得られた前ページまでの領域蓄熱量HRV[PN−1]に応じ、予定加熱温度FTに対する補正値VA(HRV[PN−1])が選択される。次に、この補正値VA(HRV[PN−1])を用いて予定加熱温度FTに対し、(式3)を用いて補正を行い、画像加熱部PRに対する制御目標温度TGT(PR)が決定される。
以上の様に、S2005で画像加熱部PRに対する制御目標温度TGT(PR)が決定されると、S2006で加熱領域Aに非画像加熱部PPが存在するか否かを確認する。非画像加熱部PPが存在するときは、S2007、S2008において、非画像加熱部PPに対する予定加熱温度PT、制御目標温度TGT(PP)が決定され(TGT(PP)=PT)、S2011へ進む。非画像加熱部PPが存在しない場合は、S2006から直接S2011へ進む。
S2011で現ページ(ページ番号=PN)のプリントが、ここまでのフローで決定された制御目標温度TGTを用いて実行される。次にS2012において、現ページまでの領域蓄熱量HRV[PN]が算出され、S2013でページ番号が次ページのものに更新される。S2014でプリント終了するかを確認し、現ページでプリント終了の場合はここでフローが終了し、プリントが継続される場合は、S2001からのフローを繰り返す。
8−5.実施例と比較例の比較
図10を用いて、図9の画像パターンでEXECTIVEサイズ紙を70枚プリントした時の制御温度TGTについて説明する。前述したように本実施例においては、加熱領域を分割した熱履歴計算領域を設定し、非通紙領域の領域蓄熱量HRVを算出し、通紙域の領域蓄熱量HRVに影響を反映させている。よって、図10(a)に示すように記録材端部が通過する加熱領域Aは、TGT(A)=178℃となり、記録材中央部の加熱領域A〜Aに比べ制御目標温度を低く設定される。比較例においては、記録材端部が通過する加熱領域Aを1つの通紙領域として蓄熱状態を算出しているため、非通紙部の温度状態を反映できない。よって、図10(b)に示すようにTGT(A)=183℃となり、記録材中央部の加熱領域A〜Aと同じ制御目標温度に設定される。
図11(b)に、実施例1と比較例においてEXECTIVEサイズ紙を連続プリントしたときの加熱領域A近傍の定着フィルム表面温度分布を示す。図のようにEXECTIVEサイズ紙の非通紙領域は、記録材に熱が奪われないため温度上昇する(以下、非通紙昇温)。比較例においては、非通紙部昇温が増大するために、非通紙領域から通紙領域への熱の流入し、EXECTIVE紙端部領域のフィルム表面温度がフィルムの制御目標温度TGT(film)から大きく上昇する。それに対し実施例1の構成においては、非通紙部昇温している領域の蓄熱量を算出し、通紙部の制御温度設定に反映しているため、非通紙部昇温が低減されてEXECTIVE紙端部領域のフィルム温度上昇を抑制できている。
比較例では、記録材端部において本来必要な熱量より多く、画像加熱領域に対して過剰な熱供給が行われることになる。その結果、制御温度TGTが実施例1に対して高温に設定される。したがって、過加熱により画像Pトナーが定着フィルム202の表面に付着し、回転1周後にこれが記録材へ付着する、所謂ホットオフセットが発生してしまった。その高温設定の分だけ、本来不要な電力が消費されることになり、省電力性が低下する。
実施例1では、一つの発熱体が加熱する領域を複数に分割し、各加熱領域にそれぞれ対応する像加熱部の構成部材の領域における熱履歴を算出し、隣接する加熱領域に対応する像加熱部の構成部材の領域の熱履歴の影響を考慮した蓄熱量予測を行っている。これにより、比較例より精度良く実際の蓄熱量に近い値を予測できる。このため、ホットオフセット等の画像不良の発生を抑制し、より省電力化を図ることができる。
以上のように、画像情報に応じて長手方向に複数設けられた発熱ブロックの加熱条件を調整する画像形成装置において、実施例1では比較例より精度良く各加熱領域に対応する像加熱部の構成部材における各領域の蓄熱量を予測することができる。これにより比較例より省電力性を向上させつつ、良好な出力画像を得ることが可能となった。また、非通紙部昇温低減により、記録材端部による定着フィルムや加圧ローラの摩耗が抑制され、定着装置の長寿命化を図ることができる。
上記実施例では、EXECTVE紙を例にとって説明したが、もちろんその他の記録材サイズにおいても効果を得ることができる。
[実施例2]
続いて、本発明の実施例2について説明する。本発明の実施例2では、非通紙部に該当する熱履歴計算領域の蓄熱量から通紙部の制御目標温度TGT(PR)に補正をかける構成である。なお、実施例2における、画像形成装置、像加熱装置、ヒータ、ヒータ制御回路の構成は、実施例1と同様のため、説明を省略する。実施例2においてここで特に説明しない事項は実施例1と同様である。
記録材端部における制御目標温度の決定方法を以下に示す。
本構成においては、前述した図8の制御フローのS1015において、画像加熱部PRに対する制御目標温度TGT(PR)に対して、隣接する非通紙部である熱履歴計算領域の蓄熱カウンタ値に応じた補正を行う。この状態における加熱領域Aiは、通紙領域と非通紙領域が存在する状態であり、記録材の長手端部が通過する状態である。
まず、図13に従い、隣接する非通紙部である熱履歴計算領域の領域蓄熱量HRV[PN−1]に応じ、予定加熱温度FTに対する補正値VN(HRV[NP])が選択される。次に、この補正値VN(HRV[PN−1])を用いて制御目標温度TGT(PR)に対し、下記(式4)を用いて補正を行い、加熱領域Aの制御目標温度TGT(A)が決定される。
TGT(A)=TGT(PR)+VN(HRV[NP])…(式4)
(式4)からわかるように、VN(HRV[NP])は、隣接する非通紙領域である熱履歴計算領域の昇温による影響度合いを示す値である。
実施例2では、一つの発熱体が加熱する領域を複数に分割して熱履歴を算出し、隣接する加熱領域の熱履歴の影響を考慮した蓄熱量予測を行っているため、比較例より精度良く実際の蓄熱量に近い値を予測できる。このため、ホットオフセット等の画像不良の発生を抑制し、より省電力化を図ることができる。
以上のように、画像情報に応じて長手方向に複数設けられた発熱ブロックの加熱条件を調整する画像形成装置において、実施例2では比較例より精度良く各加熱領域の蓄熱量を予測することができる。これにより比較例より省電力性を向上させつつ、良好な出力画像を得ることが可能となった。
[実施例3]
続いて、本発明の実施例3について説明する。本発明の実施例3では、通紙部と非通紙部の通紙幅の比率に応じて熱履歴計算領域の蓄熱カウンタ値の補正を行う構成である。なお、実施例3における、画像形成装置、像加熱装置、ヒータ、ヒータ制御回路の構成は、実施例1と同様のため、説明を省略する。実施例3においてここで特に説明しない事項は実施例1と同様である。
記録材端部における制御目標温度の決定方法を以下に示す。
9.予測蓄熱量に応じたヒータ制御補正方法
実施例3の構成は、予定加熱温度を、各熱履歴計算領域の予測蓄熱量に応じて補正し、実際に記録材Pを加熱する際の加熱条件の一つである制御目標温度TGT(詳細は後述)を決定する。
(予測蓄熱量の決定方法)
まず、本実施例では、加熱領域A〜A対して図14A、14Bに示したような熱履歴計算領域CAを設定し、熱履歴を表す蓄熱カウンタを設ける。図14A、14Bに示すように熱履歴計算領域CAは加熱領域Aを2分割したものである(LC=15.7
mm)。上記蓄熱カウンタの値CTを用いて、熱履歴計算領域CAT〜CAT14に対する予測蓄熱量としての領域蓄熱量HRVを決定する。
実施例3では、1ページ毎(そのページのプリントが実行された直後)に、上記予測蓄熱量としての領域蓄熱量HRVを求める。そして、次のページでは、求めた領域蓄熱量HRVの値に応じて、実際に記録材Pの画像加熱部PRを加熱する際の温度である制御目標温度TGT(PR)を決定する。以下に、蓄熱カウンタ値CT、領域蓄熱量HRVについて詳細に説明する。
9−1.蓄熱カウンタのカウント方法
各熱履歴計算領域の加熱履歴、放熱履歴を示す蓄熱カウンタ値CTの決定方法を説明する。各熱履歴計算領域に対する蓄熱カウンタは、その熱履歴計算領域に対する加熱動作や、記録材の通紙状況に応じて、規定の方法に従い熱履歴をカウントしていくものである。蓄熱カウンタのカウント値CTは、実施例1と同様に下記の(式1)で表わされる。
CT=(TC×HLC)+(WUC+INC+PC)−(RMC×PLC+DC)…(式1)
以上の様に、本実施例における蓄熱カウンタのカウント値CTは、各領域において、それぞれの領域に対する熱履歴情報のみから1ページ毎(そのページのプリントが実行された直後)にカウントされるものである。
9−2.記録材端部における蓄熱カウンタのカウント方法
実施例3の構成においては記録材の端部が通過する熱履歴計算領域の蓄熱カウントを通紙領域と非通紙領域の比率で補正する。
図17(a)は、A5紙およびA6紙をプリントした時の記録材端部の通紙位置を示した図である。A5紙プリントにおいて熱履歴計算領域CAは非通紙領域と通紙領域を有し、A6紙において熱履歴計算領域CAは非通紙領域と通紙領域を有する。このときの通紙領域の幅をHPP、非通紙領域の幅をHNPとする。
また、記録材の端部が通過する熱履歴計算領域においては、通紙状態における通紙蓄熱カウントCT(PP)と、非通紙状態における非通紙蓄熱カウントCT(NP)を算出する。熱履歴計算領域全体CAの蓄熱カウンタのカウント値CTは、(式5)で算出される。
CT=CT(PP)×{HPP/(HPP+HNP)}
+CT(NP)×{HNP/(HPP+HNP)}…(式5)
{HPP/(HPP+HNP}は通紙領域の比率であり、通紙蓄熱カウントCT(PP)と乗算することで通紙領域の蓄熱量を算出する。また、HNP/(HPP+HNP)は非通紙領域の比率であり、非通紙蓄熱カウントCT(NP)と乗算することで非通紙領域の蓄熱量を算出する。
以上のように、記録材通紙幅が熱履歴計算領域と一致しない状態においても、通紙領域と非通紙領域の比率に応じて補正して、精度よく蓄熱量を算出することができる。
9−3.領域蓄熱量の決定方法
実施例3では、上記の蓄熱カウント値CTから、1ページ毎(そのページのプリントが実行された直後)に、予測蓄熱量としての領域蓄熱量HRVを求める。そして、次のページでは、この値に応じて、実際に記録材Pの画像加熱部PRを加熱する際の温度である制御目標温度TGT(PR)を決定する。まず、熱履歴計算領域CAに対する蓄熱カウンタのカウント値をCTで表わすと、熱履歴計算領域CAに対する領域蓄熱量HR
は、蓄熱カウント値CTn−1、CT、CTn+1から実施例1と同様にして(式2)により算出される。
HRV={CT+α(CTn−1+CTn+1)}/(1+2α)…(式2)
ここで、αは定数である。
(式2)からわかるように、ある一つの熱履歴計算領域CAに対する領域蓄熱量HRVは、当該熱履歴計算領域CAと、その両隣の隣接熱履歴計算領域CAn−1、CAn+1の熱履歴から決定される値である。この値が熱履歴計算領域CAの予測蓄熱量を示す値である。両端の熱履歴計算領域であるCAとCA14の領域蓄熱量HRVは、当該熱履歴計算領域と隣にある一つの熱履歴計算領域の熱履歴から決定されることになる。
(式2)中の定数αは、隣接する熱履歴計算領域の熱履歴の当該熱履歴計算領域の予測蓄熱量に対する影響度合いを示す値であり、実施例1の構成ではα=0.2である。このように、本実施例に係る画像形成装置においては、各熱履歴計算領域の予測蓄熱量を、当該領域に隣接する熱履歴計算領域の熱履歴も考慮して決定することで、予測蓄熱量の予測精度を向上させている。本実施例では、このようにして決定される領域蓄熱量HRVを用い、画像加熱部PRに対する予定加熱温度FTを補正することで、より適正な制御目標温度TGT(PR)が得られる。
図7(f)に、領域蓄熱量HRVと、予定加熱温度FTに対する補正値VAの関係を示した。この領域蓄熱量HRVと、予定加熱温度FTに対する補正値VAの関係は、あらかじめ実施例3の定着装置で、蓄熱状態と定着後の画像特性を確認し、その結果から決定されている。
なお、本実施例において、非画像加熱部PP及び非通紙部NPに対しては、領域蓄熱量HRVによる補正は行わない(領域蓄熱量HRVの値に関係なく制御目標温度TGT(PP)=120℃)、TGT(NP)=110℃)こととする。
9−4.制御目標温度の決定方法
実施例3における目標温度設定フローは実施例1と同様であり図8のフローにより、熱履歴計算領域CAの画像加熱部PR、非画像加熱部PP、非通紙部NPに対する制御目標温度TGTが決定される。
次に通紙領域が最大加熱領域幅より狭く、加熱領域幅と幅が一致しない記録材をプリントしたときの制御の一例にについて説明する。
図14AはA5紙(幅148mm、長さ210mm)、図14BはA6紙(幅105mm、長さ148mm)をプリントしたときの、記録材通紙位置と加熱領域及び熱履歴計算領域を示した図である。AからAの領域の制御に関しては前述のLETTERサイズと同様に通紙域となる。AとAおいては加熱領域分割幅と記録材幅が一致しないため、通紙領域と非通紙領域が存在する。
10.比較例との比較
ここからは、本発明の実施例3の構成と比較例の構成と比較しつつ説明する。以下に示す図14A、14Bの画像パターンを用いてプリントを行った場合を例にとり、説明を行う。
10−1.画像パターンの説明
画像Pは、A5紙の紙端部の熱履歴計算領域CAから熱履歴計算領域CA12の紙幅全面に形成される。また、A5紙の紙端部の熱履歴計算領域CAから熱履歴計算領域C
11の紙幅全面に形成される。画像Pは、トナー量換算値D(%)が40%のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3次色が均一に形成(トナー量換算最大値DMAX(i)(%)=40%)されたものである。画像加熱部PRの開始部をPRS、終了部をPREで示している。
本実施例では、画像加熱部PRの開始部PRSは、画像先端から5mmだけ記録材搬送方向の上流側に設定した。また、本実施例における画像加熱部PRの終了部PREは、画像後端部から5mmだけ記録材搬送方向の下流側に設定した。
本実施例では、画像加熱部PRの開始部PRSまでに、非画像加熱部PPに対する制御温度TGT(PP)(例えば予定加熱温度PT=120℃)から、画像加熱部PRの加熱に用いる制御温度TGT(PR)までヒータ温度を昇温させる。
実施例3では、図14A、14Bに示される、前述の、加熱を行った距離HL(mm)は、画像加熱部PRの記録材搬送方向長さと、上述の昇温に要する距離を足し合わせた距離とした。図14A、14Bの画像パターンでは、画像加熱部PRに対して加熱を行った距離HLは、紙サイズの搬送方向長さと等しく、上述の昇温動作が記録材先端から開始されるものとする。
10−2.比較条件の説明
上記で説明した、図14A、14Bの画像パターンを用いて連続してプリントする。このとき、各加熱領域に対する制御温度TGTにどのような温度が設定されるかを、以降で説明する本発明の実施例3と比較例とを比較する。
10−3.実施例3の説明
前述の(式1)、(式2)から得られる領域蓄熱量HRVを用い、図7に従って、画像加熱部PRに対する予定加熱温度FTを補正し、制御温度TGT(A)を決定する。前述のように、図7には領域蓄熱量HRVと、予定加熱温度FTに対する補正値VAの関係を示す。
まず、図14A、14Bの画像パターンでA5サイズ紙を連続プリントしたときの、各熱履歴計算領域CA〜CA14における通紙位置を示す。図14Aに示すように、A5サイズ紙の通紙幅は148mmであり、加熱領域A〜Aの加熱領域幅(157.2mm)より通紙領域が狭く、その内側の加熱体A〜Aの加熱領域幅(94.4mm)より広い。よって、加熱領域分割位置と記録材幅が一致しないため、加熱領域AとAおいては通紙領域と非通紙領域が存在する。
図17(a)に示すように、加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CAは非通紙領域と通紙領域が存在し、熱履歴計算領域CAは通紙領域である。同様に、加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CA12は非通紙領域と通紙領域が存在し、熱履歴計算領域CA11は通紙領域となる。
また、図14Bに示すように、A6サイズ紙の通紙幅は105mmであり、加熱領域A〜Aの加熱領域幅(157.2mm)より通紙領域が狭く、その内側の加熱体A〜Aの加熱領域幅(94.4mm)より広い。よって、加熱領域分割位置と記録材幅が一致しないため、加熱領域AとAおいては通紙領域と非通紙領域が存在する。
図17(a)に示すように、加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CAは非通紙領域であり、熱履歴計算領域CAは通紙領域と非通紙領域が存在する。同様に、加熱領域Aにおける熱履歴計算領域CA12は非通紙領域であり、熱履歴計算領域CA11は通紙
領域と非通紙領域が存在する。
図15は、本実施例の構成における連続プリント時における各熱履歴計算領域CA〜CA14における領域蓄熱量HRV及び上述のフローで算出された各加熱領域A〜Aにおける制御目標温度(A)を示している。図15(a)は、A5紙を53枚連続し、中央の加熱領域Aの領域蓄熱量が100に達した時点の状態である。図15(b)は、A6紙を74枚連続し、中央の加熱領域Aの領域蓄熱量が100に達した時点の状態である。
図16に、図14A、14Bの画像パターンを連続してプリントしたときの、実施例3における熱履歴計算領域の領域蓄熱量HRVの推移を示す。A5紙においては履歴計算領域CAの一部が非通紙領域であり非通紙部昇温が発生するが、通紙領域幅に対する非通紙領域幅の比率(割合)が低いため、温度上昇はそれほど大きくない。
本実施例3の構成で算出される熱履歴計算領域CAの蓄熱量も若干の増加になり、図15(a)に示すように、53枚プリント直後の領域蓄熱量の値は、HRVは120、HRVは105である。すなわち、中央領域CA等の領域蓄熱量HRVより若干の増加にとどまる。また、A6紙において通紙領域幅に対する非通紙領域幅の比率が高いため、図15(b)に示すように温度上昇は大きくなる。本実施例3の構成で算出される履歴計算領域CAは、中央部の通紙域である履歴計算領域CA等より蓄熱量が増大する。また、履歴計算領域CAは全域が非通紙領域であり、履歴計算領域CAよりさらに蓄熱量が大きく増大する。
以上のように、履歴計算領域CAと履歴計算領域CAは中央部の通紙域である履歴計算領域CA等より大きく蓄熱量が増大し、74枚プリント直後の領域蓄熱量の値は、HRVは170、CTは155となる。
以上のように本実施例3においては、加熱領域を分割した熱履歴計算領域を設定し、式5を用いて通紙領域と非通紙領域の幅に応じて領域蓄熱量CTを算出し、通紙域の領域蓄熱量HRVに影響を反映させる。こうすることにより、図15(b)に示すようにA6サイズ紙は記録材端部が通過する加熱領域A及びAの制御温度は、TGT=178℃となり、記録材中央部の加熱領域A〜Aに比べ制御目標温度が低く設定される。
また、図15(a)に示すようにA5サイズ紙は加熱領域Aにおける非通紙部領域比率がA6サイズ紙より狭いため非通紙部昇温が低い。通紙域の領域蓄熱量HRVに影響を反映させることにより、記録材端部が通過する加熱領域A及びAの制御温度は、TGT=183℃となり、記録材中央部の加熱領域A〜Aと同じ制御目標温度に設定される。
よって、本実施例3においては通紙領域と非通紙領域の幅に応じて領域蓄熱量を算出し、通紙域の領域蓄熱量HRVに影響を反映させているため、非通紙部昇温に応じた補正を行うことができる。
10−4.比較例の説明
比較例においては、実施例1との比較で説明したように各加熱領域毎に予測蓄熱量を算出し、この予測蓄熱量から画像加熱部PRに対する予定加熱温度FTを補正し、制御温度TGT(PR)を決定する構成である。
10−5.実施例と比較例の比較
比較例において図14BのA6紙の画像パターンを連続プリントしたときの制御温度TGTについて説明する。比較例においては記録材端部が通過する加熱領域Aを1つの通紙領域として蓄熱状態を算出しているため、非通紙部の温度状態を反映できない。よって
、TGT(A)=183℃となり、記録材中央部の加熱領域A〜Aと同じ制御目標温度に設定される。前述したように本実施例3においては、加熱領域を分割した熱履歴計算領域を設定し、非通紙領域の領域蓄熱量を算出し、通紙域の領域蓄熱量HRVに影響を反映させている。よって、図15(b)に示すように記録材端部が通過する加熱領域Aは、TGT(A)=178℃となり、記録材中央部の加熱領域A〜Aに比べ制御目標温度を低く設定される。
図17(b)に実施例3と比較例においてA6サイズ紙を連続プリントした時の加熱領域A近傍の定着フィルム表面温度分布を示す。図に示すようにA6サイズ紙の非通紙領域は記録材に熱が奪われないため温度上昇する。よって、非通紙領域から通紙領域へ熱が流入し、A6紙端部領域のフィルム表面温度がフィルムの制御目標温度TGT(film)から大きく上昇する。それに対し実施例3構成においては、非通紙部昇温しているCA及びCAの領域の蓄熱量を算出し、通紙部の制御温度設定に反映しているため、非通紙部昇温が低減されてA6紙端部領域のフィルム温度上昇を抑制できている。
比較例では、記録材端部において本来必要な熱量より多く、画像加熱領域に対して過剰な熱供給が行われることになる。したがって、過加熱により画像Pトナーが定着フィルム202の表面に付着し、回転1周後にこれが記録材へ付着する、所謂ホットオフセットが発生してしまった。その高温設定の分だけ、本来不要な電力が消費されることになり、省電力性が低下する。
実施例3では、一つの発熱体が加熱する領域を複数に分割して熱履歴を算出し、隣接する加熱領域の熱履歴の影響を考慮した蓄熱量予測を行っているため、また、通紙領域と非通紙領域の幅に応じて領域蓄熱量HRVを算出し、補正を行うことができる。よって、比較例より精度良く実際の蓄熱量に近い値を予測できる。
上記実施例3では、A5及びA6紙を例にとって説明したが、もちろんその他の記録材サイズにおいても効果を得ることができる。また、実施例3においては、通紙部と非通紙部の通紙幅の比率に応じて補正をかけるため、蓄熱量を算出する熱履歴計算領域の分割位置に係らず多様な記録材のサイズに対応して、効果を得ることができる。
また、実施例1から3においては画像加熱領域に対する制御目標温度を各領域の予測蓄熱量に応じて調整したが、記録材Pの加熱量を調整する別の手段を用いても良い。例えば、ヒータへ供給する供給電力の量を各加熱領域の予測蓄熱量に応じて調整しても良い。すなわち、サーミスタが検知する温度が所定の制御目標温度となるように供給電力量を調整するのではなく、供給すべき電力量を、上記予測蓄熱量を含む制御条件パラメータごとに予め設定しておき、そのパラメータの変化に応じて電力量を調整する構成である。また、また、本実施例の説明では、蓄熱量を予想する際に参照する熱履歴として、制御温度を用いたが、ヒータへ供給した供給電力を参照し、この電力量に応じて蓄熱量を予測することもできる。また、本実施例では、予測蓄熱量としての領域蓄熱量HRVの取得(更新)を1ページ毎、すなわち1つの記録材が像加熱部を通過するごとに行ったが、更新の頻度は所定ページ毎としてもよい。
なお、説明を分かりやすくするため、実施例1では、非画像加熱部PP、非通紙部NPに対して、領域蓄熱量HRVによる補正は行わない構成を用いて説明を行った。しかしながら、領域蓄熱量HRVによる補正を実施し、更なる省電力化を図ることもできる。
上記各実施例は、それぞれの構成を可能な限り互いに組み合わせることができる。
300…ヒータ、305…基板、301(301a、301b)…導電体、303(303−1〜303−7)…導電体、302(302a−1〜302a−7、302b−1〜302b−7)…発熱抵抗体、400…制御回路、200…像加熱装置、202…定着フィルム

Claims (7)

  1. 記録材の搬送方向と直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有し、前記複数の発熱体の夫々により複数の加熱領域を個別に加熱することで、記録材に形成された画像を加熱する像加熱部と、
    記録材に形成される画像の情報と、前記複数の加熱領域の夫々に対応する、前記像加熱部の構成部材の複数の領域の熱履歴情報と、を取得する取得部と、
    前記複数の加熱領域の温度を個別に制御すべく、前記像加熱部による前記複数の加熱領域の加熱を制御する制御部と、
    を備える画像形成装置において、
    前記取得部は、前記複数の加熱領域のそれぞれを前記長手方向に複数に分割した熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報を取得し、
    前記制御部は、前記複数の加熱領域の温度制御に用いる制御設定を、前記熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報に基づいて補正することを特徴とする画像形成装置。
  2. 記録材の搬送方向と直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有し、前記複数の発熱体の夫々により複数の加熱領域を個別に加熱することで、記録材に形成された画像を加熱する像加熱部と、
    記録材に形成される画像の情報と、前記複数の加熱領域の夫々に対応する、前記像加熱部の構成部材の複数の領域の熱履歴情報とを取得する取得部と、
    前記複数の加熱領域の温度を個別に制御する制御部と、
    を備える画像形成装置において、
    前記取得部は、前記複数の加熱領域のそれぞれを前記長手方向に複数に分割した熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報と、前記熱履歴計算領域における通紙領域と非通紙領域の割合と、を取得し、
    前記制御部は、前記複数の加熱領域の温度制御に用いる制御設定を、前記熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の熱履歴情報と、前記熱履歴計算領域における通紙領域と非通紙領域の割合と、に基づいて補正することを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記制御部は、一の熱履歴計算領域の両隣に他の熱履歴計算領域が隣接する場合には、両隣の熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域のそれぞれの前記熱履歴情報と、前記一の熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域の前記熱履歴情報と、に基づいて、前記制御設定を補正することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記熱履歴情報は、少なくとも、その熱履歴計算領域に対応する前記構成部材の領域における加熱履歴と放熱履歴とに基づいて取得されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御設定は、前記加熱領域の制御目標温度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記像加熱部は、前記複数の発熱体と、前記複数の発熱体が設けられた基板と、を有するヒータを有し、前記ヒータの熱を利用して記録材に形成された画像を加熱するものであり、
    前記制御部は、前記複数の発熱体へ供給する電力を個別に制御するものであり、
    前記構成部材には、少なくとも、前記ヒータ、が含まれ、
    前記加熱領域に対応する前記構成部材の領域は、前記ヒータにおいて前記複数の発熱体の夫々に対応する領域であり、
    前記熱履歴情報には、
    前記加熱履歴として、前記ヒータの温度履歴、前記発熱体へ供給した電力の履歴、の少なくともひとつが含まれ、
    前記放熱履歴として、少なくとも、前記発熱体へ電力を供給しない期間、が含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記像加熱部はさらに、内面に前記ヒータが接触する筒状のフィルムと、前記フィルムの外面に接触して前記外面との間に前記記録材を搬送するニップ部を形成する加圧部材と、
    前記構成部材には、さらに、前記フィルム、前記加圧部材、が含まれ、
    前記加熱領域に対応する前記構成部材の領域は、前記ニップ部において前記複数の発熱体の夫々に対応する領域であり、
    前記熱履歴情報には、
    前記加熱履歴として、前記ニップ部を通過する前記記録材の前記画像に対して前記像加熱部が加熱を行った距離、の少なくともひとつが含まれ、
    前記放熱履歴として、前記ニップ部を前記記録材が通過した距離、前記ニップ部を前記記録材が通過しなかった距離、の少なくともひとつが含まれることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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