以下に図面を参照して本発明の実施形態を例示する。ただし、実施形態に記載されている構成部品の寸法や材質や形状やそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。
(実施例1)
以下、図を用いて、本実施例に係るヒータ300(加熱体に対応する)および像加熱装置200(定着装置に対応する)について説明する。
<1.画像形成装置100の構成>
図1は、実施例1に係る画像形成装置100の概略図である。ビデオコントローラ120は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から送信される画像情報及びプリント指示を受信して処理するものである。制御部113は、ビデオコントローラ120と接続されており、ビデオコントローラ120からの指示に応じて画像形成装置100を構成する各部
を制御するものである。
ビデオコントローラ120が外部装置からプリント指示を受けると、以下の動作で画像形成が実行される。画像形成装置100では、シート状の記録材P(記録媒体に対応する)が、給送ローラ102によって給送され、中間転写体103に向けて搬送される。感光ドラム104は、図示しない駆動モータの動力によって所定の速度で反時計回り方向(図1を参照)に回転駆動され、その回転過程で一次帯電器105によって一様に帯電処理される。
画像信号に対応して変調されたレーザ光がレーザビームスキャナ106から出力され、感光ドラム104の表面がレーザ光によって選択的に走査露光されることで、感光ドラム104に静電潜像が形成される。現像器107は、感光ドラム104上の静電潜像に粉体トナーを付着させることで、感光ドラム104上の静電潜像をトナー像(現像剤像に対応する)として可視像化する。感光ドラム104上に形成されたトナー像は、感光ドラム104と接触しながら回転する中間転写体103上に一次転写される。
ここで、感光ドラム104、一次帯電器105、レーザビームスキャナ106、現像器107は、シアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)とブラック(K)の4色に対応したものがそれぞれ配置されている。4色分のトナー像が同じ手順で中間転写体103上に順次重ねて転写される。そして、中間転写体103上に転写されたトナー像は、中間転写体103と転写ローラ108とで形成される二次転写部において、転写ローラ108に印加された転写バイアスによって記録材P上(記録媒体上に対応する)に二次転写される。
その後、像加熱装置200が、記録材Pを加熱・加圧することによりトナー像が記録材Pに定着され、記録材Pは画像形成物として機外へ排出される。制御部113は、記録材Pの搬送路上における搬送センサ114とレジストセンサ115と定着前センサ116と定着排紙センサ117とによって検知された情報から記録材Pの搬送状況を管理する。加えて、前記制御部113は、像加熱装置200の温度制御プログラムおよび温度制御テーブルを記憶する記憶部を有する。商用の交流電源401に接続されたヒータ駆動手段としての制御回路400は、像加熱装置200への電力供給を行う。
<2.像加熱装置200の構成>
図2は、実施例1に係る像加熱装置200の概略図である。像加熱装置200は、エンドレスベルトとしての定着フィルム202と、定着フィルム202の内面に接触するヒータ300とを有する。また、像加熱装置200は、定着フィルム202を介してヒータ300と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ208(加圧部材に対応する)と、金属ステー204とを有する。
定着フィルム202は、筒状に形成された複層耐熱フィルムである。また、厚みが50~100μm程度のポリイミド等の耐熱樹脂、または、厚みが20~50μm程度のステンレス等の金属が基層として用いられる。また、定着フィルム202の表面には、トナーの付着防止や記録材Pからの分離性を確保するため、厚みが10~50μm程度のPFA等の離型性に優れた耐熱樹脂が離型層として被覆される。ここで、PFAとは、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体のことである。
更に、カラー画像を形成する画像形成装置100では画質を向上させる必要がある。そのため、定着フィルム202について、上述した基層と離型層との間に、厚みが100~400μm程度で熱伝導率が0.2~3.0W/m・K程度のシリコーンゴム等の耐熱ゴムを弾性層として設けても良い。本実施例では、熱応答性や画質や耐久性等の観点から、
基層として厚み60μmのポリイミドと、弾性層として厚み300μmで熱伝導率1.6W/m・Kのシリコーンゴムと、離型層として厚み30μmのPFAとが用いられている。
加圧ローラ208は、鉄やアルミニウム等を材質とする芯金209と、シリコーンゴム等を材質とする弾性層210とを有する。また、ヒータ300は、耐熱樹脂製のヒータ保持部材201に保持されており、定着フィルム202を加熱する。ヒータ保持部材201は、定着フィルム202の回転を案内するガイド機能も有している。金属ステー204は、不図示の加圧力を受けて、ヒータ保持部材201を加圧ローラ208に向けて付勢する。加圧ローラ208は、モータ30から動力を受けて矢印R1方向に回転する。加圧ローラ208が回転することによって、定着フィルム202が従動して矢印R2方向に回転する。定着ニップ部Nにおいて、記録材Pが挟持・搬送され、定着フィルム202に熱が与えられることで、記録材P上の未定着トナー像が記録材Pに定着される。
ヒータ300は、セラミック製の基板305上に設けられた発熱抵抗体によって加熱される。ヒータ300には、定着ニップ部Nに近い側に設けられた表面保護層308と、定着ニップ部Nから遠い側に設けられた表面保護層307とが設けられている。定着ニップ部Nから遠い側に設けられた電極(ここでは代表して電極E4を示してある)と、電気接点(ここでは代表して電気接点C4を示してある)が複数設けられており、各電気接点から各電極に給電されている。ヒータ300の詳細な説明は図3を用いて行う。また、ヒータ300の異常発熱により作動して、ヒータ300に供給する電力を遮断するサーモスイッチや温度ヒューズ等の安全素子212が、ヒータ300に直接的に、若しくは、ヒータ保持部材201を介して間接的に当接している。
<3.ヒータ300の構成>
図3は、実施例1に係るヒータ300の分解図である。具体的には、図3(A)は、図3(B)に示す搬送基準位置X付近におけるヒータ300の断面図である。ここで、搬送基準位置Xは、記録材Pを搬送する際の基準位置として定義する。また、本実施例では、記録材Pの中央部が、搬送基準位置Xを通過するように記録材Pが搬送される。
ヒータ300は、基板305の裏面側の面上に、ヒータ300の長手方向に沿って設けられている第1の導電体301(301a、301b)を有している。また、ヒータ300は、基板305の裏面側の面上に、第1の導電体301とヒータ300の短手方向において第1の導電体301とヒータ300とは異なる位置に、ヒータ300の長手方向に沿って設けられる第2の導電体303を有する。なお、図3において、搬送基準位置X付近では、第2の導電体303は第2の導電体303-4となっている。
第1の導電体301は、記録材Pの搬送方向の上流側に配置された導電体301aと、下流側に配置された導電体301bとに分離されている。更に、ヒータ300は、第1の導電体301と第2の導電体303との間に設けられており、第1の導電体301と第2の導電体303とを介して供給される電力により発熱する発熱抵抗体302を有する。
発熱抵抗体302は、本実施例では、記録材Pの搬送方向の上流側に配置された発熱抵抗体302a(搬送基準位置X付近では302a-4)と、下流側に配置された発熱抵抗体302b(搬送基準位置X付近では302b-4)に分離されている。また、ヒータ300の裏面層2には、発熱抵抗体302、第1の導電体301、及び、第2の導電体303(搬送基準位置X付近では303-4)を覆う絶縁性を有する表面保護層307が電極部(搬送基準位置X付近ではE4)を避けて設けられている。なお、本実施例では、表面保護層307はガラスとなっている。
図3(B)には、ヒータ300の各層の平面図を示してある。ヒータ300の裏面層1には、第1の導電体301と第2の導電体303と発熱抵抗体302とからなる発熱ブロックHB(発熱体に対応する)がヒータ300の長手方向に複数設けられている。本実施例のヒータ300は、ヒータ300の長手方向に、合計7つの発熱ブロックHB1~HB7を有する。図3において、発熱ブロックHB1の左端から発熱ブロックHB7の右端までが発熱領域であり、その発熱領域の長さは220mmである。なお、本実施例では、各発熱ブロックHBの長手方向幅における全て同じである(必ずしもすべて同じ幅でなくても良い)。つまり、本実施例では、記録材Pに形成されたトナー像を加熱領域A1~A7ごとにそれぞれ加熱する複数の発熱ブロックHB1~HB7が設けられている。そして、記録材Pに形成されたトナー像が、発熱ブロックHB1~HB7用いて加熱することで記録材Pに定着される。
発熱ブロックHB1~HB7は、ヒータ300の長手方向から見て対称に形成された発熱抵抗体302a-1~302a-7及び発熱抵抗体302b-1~302b-7を有している。また、第1の導電体301は、発熱抵抗体302a-1~302a-7と接続される導電体301aと、発熱抵抗体302b-1~302b-7と接続される導電体301bとによって構成されている。同様に、第2の導電体303は、7つの発熱ブロックHB1~HB7に対応するため、導電体303-1~303-7の7本に分割されている。
電極E1~E7、E8-1、及びE8-2は、後述するヒータ300を制御する制御回路400から電力が供給されるために用いられる電気接点C1~C7、C8-1、C8-2と接続されるために用いられる。電極E1~E7は、それぞれ、導電体303-1~303-7を介して、発熱ブロックHB1~HB7に電力供給するために用いられる電極である。電極E8-1及びE8-2は、導電体301a及び導電体301bを介して、7つの発熱ブロックHB1~HB7に電力給電するために用いられる共通の電気接点と接続するために用いられる電極である。本実施例では、長手方向の両端に電極E8-1及び電極E8-2を設けているが、例えば、電極E8-1のみを片側に設ける構成でもよいし、記録材Pの搬送方向における上下流で別々の電極を設けてもよい。
また、ヒータ300の裏面層2において、表面保護層307は、電極E1~E7、E8-1、及びE8-2の部分を除いて形成されている。そのため、ヒータ300の裏面層2側から、各電極E1~E7、E8-1、及びE8-2に、電気接点C1~C7、C8-1、及びC8-2を接続することができる。つまり、ヒータ300の裏面層2側から、電極E1~E7、E8-1、及びE8-2に対して電力を供給することができる。また、発熱ブロックHB1~HB7のうち少なくとも一つの発熱ブロックHBに供給される電力と、他の発熱ブロックHBに供給される電力は独立して制御可能となっている。
ヒータ300の裏面に電極E1~E7、E8-1、及びE8-2を設けることで、基板305上で導電パターンによる配線を行う必要がないため、基板305の短手方向における幅を短くすることができる。そのため、基板305の熱容量を低減することで、ヒータ300の温度が上昇するまでにかかる立ち上げ時間を短縮することができる。また、基板305の材料コストを低減することができる。なお、電極E1~E7は、基板305の長手方向において、発熱抵抗体302が設けられた領域内に設けられている。
また、特開2014-59508号公報に開示される技術では、発熱抵抗体302の温度上昇に伴って発熱抵抗体302の抵抗値が上昇する特性(以下、PTC特性と呼ぶ)を有した材料を用いている。ここで、記録材Pが通過する部分(通紙部)では、発熱抵抗体302から記録材Pに熱が逃げるため発熱抵抗体302の温度が低くなる。そして、非通紙部では、発熱抵抗体302から記録材Pに熱が伝わらないため、非通紙部における発熱抵抗体302の温度は、通紙部における発熱抵抗体302の温度よりも高くなる。これに
より、非通紙部における発熱抵抗体302の抵抗値が、通紙部における発熱抵抗体302の抵抗値よりも高くなり、非通紙部における発熱抵抗体302に電流が流れにくくなる。つまり、発熱抵抗体302にPTC特性を有した材料を用いることで、非通紙部において発熱抵抗体302が昇温することを抑えることができる。本実施例では、特開2014-59508号公報に開示される技術と同様に、発熱抵抗体302にPTC特性を有した材料を用いている。しかし、発熱抵抗体302に用いられる材料はPTC特性を有したものに限定されるものではない。発熱抵抗体302の温度上昇に伴い発熱抵抗体302の抵抗値が低下する特性(以下、NTC特性と呼ぶ)を有した材料や、発熱抵抗体302の温度変化に応じて発熱抵抗体302抵抗値が変化しない特性を有した材料を用いることも可能である。
ヒータ300の摺動面(定着フィルム202と接触する側の面)側の摺動面層1には、ヒータ300における発熱ブロックHB1~HB7の温度をそれぞれ検知するために、サーミスタT1-1~T1-4及びサーミスタT2-5~T2-7が設置されている。サーミスタT1-1~T1-4及びサーミスタT2-5~T2-7は、NTC特性を有する材料が基板上に薄く設けられることで形成されている。ここで、サーミスタT1-1~T1-4及びサーミスタT2-5~T2-7は、NTC特性を有する材料ではなく、PTC特性を有した材料を基板上に薄く設けることで形成されていてもよい。ここで、発熱ブロックHB1~HB7のそれぞれに対応してサーミスタT1-1~T1-4及びサーミスタT2-5~T2-7が配置されている。そのため、サーミスタT1-1~T1-4及びサーミスタT2-5~T2-7の抵抗値を検出することにより、全ての発熱ブロックHB1~HB7の温度を検知することができる。
また、本実施例では、4つのサーミスタT1-1~T1-4に電流を流すために、サーミスタT1-1~T1-4の抵抗値を検出するための導電体ET1-1~ET1-4と共通導電体EG1とが設けられている。また、サーミスタT1-1~T1-4によってサーミスタブロックTB1が形成されている。同様に、3つのサーミスタT2-5~T2-7に電流を流すために、サーミスタT2-5~T2-7の抵抗値を検出するための導電体ET2-5~ET2-7と共通導電体EG2とが設けられている。そして、サーミスタT2-5~T2-7によってサーミスタブロックTB2が形成されている。
次に、サーミスタブロックTB1を用いることの効果について説明する。まずは、サーミスタの共通導電体EG1を形成することによって、サーミスタT1-1~T1-4にそれぞれ導電体を接続する場合に比べて、導電パターンの配線を形成するコストを低減することができる。また、基板305上で導電パターンによる配線を行う必要がないため、基板305における短手方向の幅を短くすることができる。そのため、基板305の材料コストを低減させることや、基板305の熱容量が低減することでヒータ300の温度上昇にかかる立ち上げ時間を短縮させることができる。なお、サーミスタブロックTB2の構成は、サーミスタブロックTB1の構成と同様であるため、サーミスタブロックTB2についての説明は省略する。
ここで、基板305における短手方向の幅を短くするためには、図3(A)の裏面層1で説明した発熱ブロックHB1~HB7の構成と、図3(A)の摺動面層1で説明したサーミスタブロックTB1~TB2の構成とを組み合わせる方法が有効である。ここで、本実施例では、ヒータ300の摺動面(定着フィルム202と接触する面)側の摺動面層2には、摺動性のある表面保護層308(本実施例ではガラス)が設けられている。表面保護層308は、ヒータ300の両端部を除いて、少なくとも定着フィルム202と摺動する領域に設けてある。これは、サーミスタT1-1~T1-4及びサーミスタT2-5~T2-7の抵抗値を検出するための導電体ET1-1~ET1-4及び導電体ET2-5~ET2-7及び共通導電体EG1、EG2に電気接点を設けるためである。
また、図3(C)に示すように、ヒータ300におけるヒータ保持部材201には、電極E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8-1及びE8-2と、電気接点C1~C7、C8-1、びC8-2とを接続するための穴が設けられている。金属ステー204とヒータ保持部材201の間には、前述したように、安全素子212、電気接点C1~C7、C8-1、及びC8-2が設けられている。電極E1~E7、E8-1及びE8-2に接触する電気接点C1~C7、C8-1及びC8-2は、バネによる付勢や溶接等の手法によって、ヒータ300における電極部とそれぞれ電気的に接続されている。各電気接点は、金属ステー204とヒータ保持部材201との間に設けられたケーブルや薄い金属板等の導電材料などを介して、後述するヒータ300を制御する制御回路400と接続されている。また、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1-1~ET1-4、ET2-5~ET2-7及びサーミスタの共通導電体EG1、EG2に設けられた電気接点も、後述する制御回路400と接続されている。
<4.ヒータ300を制御する制御回路400の構成>
図4は、実施例1に係るヒータ300を制御するための制御回路400の回路図を示す。交流電源401は画像形成装置100に接続される商用の交流電源である。ヒータ300に供給される電力の制御は、トライアック411~トライアック417の通電/遮断により行われる。トライアック411~417は、それぞれ、CPU420からのFUSER1~FUSER7信号に従って動作される。なお、トライアック411~417の駆動回路は省略して示してある。
ヒータ300を制御するための制御回路400において、7つのトライアック411~417によって、7つの発熱ブロックHB1~HB7は独立して制御されている。ゼロクロス検知部421は、交流電源401のゼロクロスを検知する回路であり、CPU420にZEROX信号を出力している。ZEROX信号は、トライアック411~417の位相制御や波数制御のタイミングの検出等に用いられている。
次に、ヒータ300の温度を検知する方法について説明する。サーミスタブロックTB1におけるサ-ミスタT1-1~T1-4によって検知される温度は、サ-ミスタT1-1~T1-4と抵抗451~454との分圧がTh1-1~Th1-4信号としてCPU420で検知されることで測定される。同様に、サーミスタブロックTB2のサ-ミスタT2-5~T2-7によって検知される温度は、サ-ミスタT2-5~T2-7と抵抗465~467との分圧がTh2-5~Th2-7信号としてCPU420で検知されることで測定される。
CPU420の内部処理では、各発熱ブロックHB1~HB7の設定温度と、サーミスタT1-1~T1-4及びサーミスタT2-5~T2-7の検知温度とに基づき、例えば、PI制御により、ヒータ300に供給されるべき電力が算出される。更に、ヒータ300に供給される電力に対応して位相角(位相制御)や波数(波数制御)の制御レベルが換算され、その制御条件によりトライアック411~417が制御される。
リレー430及びリレー440は、故障などによりヒータ300が過昇温した場合にヒータ300への電力を遮断する手段として用いられる。リレー430及びリレー440の回路動作について説明する。RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ433がON状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに通電されることで、リレー430の1次側接点はON状態になる。
また、RLON信号がLow状態になると、トランジスタ433がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに流れる電流が遮断されることで、リレ
ー430の1次側接点はOFF状態になる。同様に、RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ443がON状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに通電されることで、リレー440の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ443がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに流れる電流が遮断されることで、リレー440の1次側接点はOFF状態になる。
次に、リレー430及びリレー440を用いた安全回路の動作について説明する。サーミスタTh1-1~Th1-4に検知された検知温度の何れか1つがそれぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部431はラッチ部432を動作させ、ラッチ部432はRLOFF1信号をLow状態でラッチする。RLOFF1信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ433がOFF状態で保たれるため、リレー430はOFF状態(安全な状態)を保つことができる。尚、ラッチ部432は非ラッチ状態において、RLOFF1信号をオープン状態の出力にしている。
同様に、サーミスタTh2-5~Th2-7で検知された検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部441はラッチ部442を動作させ、ラッチ部442はRLOFF2信号をLow状態でラッチする。RLOFF2信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ443がOFF状態で保たれるため、リレー440はOFF状態(安全な状態)で保つことができる。同様に、ラッチ部442は、非ラッチ状態において、RLOFF2信号をオープン状態の出力にしている。
<5.画像情報に応じてヒータ300を制御する方法>
本実施例に係る画像形成装置100では、ホストコンピュータ等の外部装置(不図示)から送られる画像データ(画像情報)に応じて、ヒータ300における7つの発熱ブロックHB1~HB7への電力供給が制御される。ここで、図5は、本実施例に係る記録材Pについて、記録材Pの長手方向に分割された7つの加熱領域A1~A7を示す図である。なお、本実施例では、記録材Pは、LETTERサイズの用紙となっている。
加熱領域A1~A7は、発熱ブロックHB1~HB7に対応しており、発熱ブロックHB1により加熱領域A1が加熱され、発熱ブロックHB7により加熱領域A7が加熱される構成となっている。加熱領域A1~A7の全長は220mmであり、各加熱領域A1~A7は、記録材Pが均等に7分割されることで形成される(L=31.4mm)。ビデオコントローラ120がホストコンピュータから画像情報を受け取ると、各加熱領域A1~A7にどのような画像が形成されるかが判別され、この判別結果に応じて各発熱ブロックHBへの電力供給が制御される。
具体的には、CMYK画像データから得られる各色の画像濃度がトナー量に変換されることでトナー量換算値が取得される。そして、このトナー量換算値に応じて、トナー量換算値が高い画像に対してはより高い温度で記録材Pが加熱されるように、加熱領域A1~A7を加熱するための予定加熱温度が決められる。ここで、本実施例では、加熱領域A1~A7についての説明を分かりやすくするため、加熱領域Ai(i=1~7)に形成される予定の画像が加熱される部分を画像加熱部PRi(i=1~7)としている。なお、記録材Pにおいて、画像加熱部PRi以外の部分を非画像加熱部PPとし、非画像加熱部PPが加熱される温度は画像加熱部PRiよりも低い温度に設定される。
まず、トナー量換算値Dを取得する方法について述べる。ホストコンピュータ等の外部装置から送信された画像データは、画像形成装置100におけるビデオコントローラ120で受信され、ビットマップデータに変換される。なお、本実施例に係る画像形成装置1
00において、記録材Pに形成される画像の画素数は600dpiであり、ビデオコントローラ120は、その画素数に応じたビットマップデータ(CMYK各色の画像濃度データ)を作成する。
本実施例に係る画像形成装置100では、ビットマップデータから各ドットについてのCMYK各色の画像濃度が取得され、この画像濃度がトナー量換算値Dに変換される。ここで、図6は、ヒータ300の加熱温度を決定する流れを示したフローチャートである。また、具体的には、図6は、1枚の記録材Pについて、各加熱領域Ai内の画像加熱部PRiにおけるトナー量換算値Dの最大値DMAX(i)を取得し、この最大値DMAX(i)に応じたヒータ300の加熱温度を決定する流れを示すフローチャートである。本実施例では、加熱領域Aiにおけるトナー像の単位面積当たりのトナー量に基づいて、トナー像を加熱するための発熱ブロックHBの目標温度が設定される。そして、発熱ブロックHBの温度がその目標温度に制御される。
上述したように、画像データからビットマップデータへの変換が完了すると、S601からフローがスタートする。S602で、加熱領域Ai内に画像加熱部PRiが存在するかどうかが確認され、画像加熱部PRiが無ければ、S610に進み、非画像加熱部PPに対する予定加熱温度PTが設定されて終了となる。加熱領域Ai内に画像加熱部PRiがある場合は、S603で、画像加熱部PRi内にある各ドットの画像濃度が検知され始める。CMYK画像データに変換された画像データから、ドット毎のC、M、Y、K各色の画像濃度d(C)、d(M)、d(Y)、d(K)が得られる。S604で、画像濃度d(C)、d(M)、d(Y)、d(K)の合算値d(CMYK)が算出される。この合算値d(CMYK)の算出が画像加熱部PRi内にある全ドットについて行われ、S605で、全てのドットに対する合算値d(CMYK)が取得されると、S606で、合算値d(CMYK)がトナー量換算値Dに変換される。
ここで、ビデオコントローラ120内での画像情報は8ビット信号であり、トナー単色当たりの画像濃度d(C)、d(M)、d(Y)、d(K)は、最小画像濃度00h~最大画像濃度FFhの範囲で表わされる。また、画像濃度d(C)、d(M)、d(Y)、d(K)の合算値d(CMYK)は2バイトの8ビット信号である。前述したように、S606で、合算値d(CMYK)がトナー量換算値D(%)に変換される。具体的には、トナー単色当たりの最小画像濃度00hを0%、最大画像濃度FFhを100%として、合算値d(CMYK)がトナー量換算値D(%)に変換される。このトナー量換算値D(%)は、実際の記録材P上の単位面積当たりのトナー量に対応するものであり、本実施例では、記録材P上トナー量0.50mg/cm2=100%となっている。
そして、S607で、画像加熱部PRi内にある全ドットのトナー量換算値D(%)の中から、最大値であるトナー量換算最大値DMAX(i)(%)が抽出される。合算値d(CMYK)は複数のトナー色の合計値であり、トナー量換算最大値DMAX(i)の値は100%を超える場合もある。本実施例に係る画像形成装置100では、記録材P上に全ベタ画像を形成した場合にトナー量1.15mg/cm2(トナー量換算値Dの値で230%相当)が上限となるように調整されている。
S607でトナー量換算最大値DMAX(i)が得られると、S608で、このトナー量換算最大値DMAX(i)に対応する予定加熱温度FTi(第1目標温度に対応する)(詳細は後述する)が、画像加熱部PRiに対する予定加熱温度として設定される。次に、S609で、加熱領域Ai内に非画像加熱部PPが存在するかが確認され、非画像加熱部PPが無ければS611でそのままフローが終了する。
非画像加熱部PPが存在する場合、S610に進み、非画像加熱部PPに対する予定加
熱温度PTを設定して終了となる。以上のフローが加熱領域A1~A7について行われ、それぞれの加熱領域A1~A7に対して、画像加熱部PRiについてはそれぞれのトナー量換算最大値DMAX(i)に対応する予定加熱温度FTiが設定される。また、非画像加熱部PPについては予定加熱温度PTが設定される。
ここで、図7は、本実施例に係るトナー量換算最大値DMAX(i)と予定加熱温度FTi(i=1~7)との関係を示す図である。本実施例では、トナー量換算最大値DMAX(i)に応じて予定加熱温度FTiが5段階に可変となっている。トナー量換算最大値DMAX(i)の値が大きく、トナー量が多い画像に対しては、十分にトナーが溶けるように予定加熱温度FTiが高く設定される。なお、画像が形成されない非画像加熱部PPについては、画像加熱部PRiより低い予定加熱温度PT(例えば120℃)が設定される。
以下、記録材Pに形成される画像P1~P5について図8を用いてより詳細に説明する。図8は、LETTERサイズの用紙に形成される画像P1~P5を示す図である。説明を分かりやすくするため、これらの画像P1~P5は、それぞれ、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)のトナーを用いた画像となっている。また、画像P1~P5の画像濃度はそれぞれ均一であり、画像P1、P2、P3、P4、P5の画像濃度をトナー量換算値D(%)に変換した値は、それぞれ、120%、70%、50%、90%、210%である。
ここで、加熱領域A7には画像が形成されないものとする。加熱領域A7以外の加熱領域A1~A6における画像加熱部PRiを画像加熱部PR1~PR6とする。また、画像加熱部PR1~PR6の開始部をPRSとし、画像加熱部PR1~PR6の終了部をPREとする。つまり、本実施例では、各加熱領域A1~A7において、1枚の記録材Pに形成される画像の先端部をPRSとし、画像の終了部をPREとしている。本実施例では、画像加熱部PRiの開始部PRSは、記録材Pの搬送方向において画像の先端から5mmだけ上流側に設定されている。また、本実施例に係る画像加熱部PRiの終了部PREは、記録材Pの搬送方向において画像の後端部から5mmだけ下流側に設定されている。
ここで、以降では、記録材Pを加熱する際の実際の温度を制御温度TGTと表記する。本実施例では、画像加熱部PRiの開始部PRSが加熱されるまでに、非画像加熱部PPに対する制御温度TGT(例えば予定加熱温度PT=120℃)から、画像加熱部PRiの加熱に用いられる制御温度TGTまでヒータ300の温度を昇温させる。そして、定着フィルム202の表面温度が、記録材Pに画像が定着するために必要な温度に到達するように、ヒータ300の昇温が開始される。
図9は、画像加熱部PRiにおけるトナー量換算最大値DMAXおよび予定加熱温度FTと、非画像加熱部PPにおける予定加熱温度PTとを示した図である。ここで、トナー量換算最大値DMAXと予定加熱温度FTと予定加熱温度PTは、図6と図7で説明した方法に従って決定される。従来では、上述したように得られた画像加熱部PRiに対する予定加熱温度FTiを、そのまま、各加熱領域A1~A6における画像加熱部PRiを加熱する際の制御温度TGTとしていた。または、最も高温な予定加熱温度FTiの値を、全ての画像加熱部PRiで用いられる制御温度TGTとしていた。しかしながら、従来の方法では、上述したように、記録材Pに形成された画像の均一性と省電力性のどちらかが大きく損なわれる可能性があった。
次に、本実施例に係る構成を用いることでどのように従来例の課題を改善するかについて、従来例と比較しつつ説明する。具体的には、図8の画像をプリントする場合について、以下に述べる3つの構成を比較する。各加熱領域Aiの画像加熱部PRiにおける補正
加熱量を制御温度TGT(PRi)とし、非画像加熱部PPにおける補正加熱量を制御温度TGT(PP)とする。なお、全ての例において、全ての非画像加熱部PPに対する制御温度TGT(PP)は120℃(=前述の予定加熱温度PT)であるものとする。
また、以下3つの例に係る画像形成装置では、記録材Pに形成された色と濃度とが略等しい画像を定着する際の温度が5℃異なると、光沢度に10%の差異が生じ、目視でその差が判別できるものとする。
・従来例1-1 : 図9に示した予定加熱温度FTiを、そのまま、各加熱領域A1~A7の画像加熱部PRiにおける制御温度TGT(PRi)とする構成。
・従来例1-2 : 図9に示した予定加熱温度FTiの中で最も高温な値を最高予定加熱温度FTmaxとし、全ての加熱領域A1~A7の画像加熱部PRiにおける制御温度TGT(PRi)を最高予定加熱温度FTmaxとする構成。
・実施例1 : 図9に示した予定加熱温度FTiにおいて、隣り合う2つの画像加熱部PRiおよび画像加熱部PRi+1に対する予定加熱温度FTiと予定加熱温度FTi+1とを比較する。予定加熱温度FTiと予定加熱温度FTi+1との差が規定値以内となるように、低い値の方の予定加熱温度FTを、高い方の予定加熱温度FT値に近づけるように補正し、各画像加熱部PRiの加熱に用いられる制御温度TGT(PRi)を決定する構成。
上記3例について、予定加熱温度FTから、実際に、記録材Pの加熱に使用される制御温度TGTを決定する具体的な方法を説明する。従来例1-1では、前述したように、画像加熱部PRiに対する予定加熱温度FTiがそのまま制御温度TGT(PRi)として用いられる。
また、従来例1-2についてはフローチャートを用いて説明する。図10は、従来例1-2において、画像加熱部PRiに対する制御温度TGT(PRi)を決定する際の流れを示すフローチャートである。S1001で制御フローがスタートすると、S1002で、1枚の記録材Pにおける画像加熱部PRiが認識される。図8の画像をプリントする場合には、画像加熱部PR1、PR2、PR3、PR4、PR5、PR6が認識される。
次に、S1003で、認識された画像加熱部PRiに対する予定加熱温度FTi(i=1~6)が取得される。また、S1004で、予定加熱温度FTiの開始番号isと終了番号ieとがセットされる。図8の画像では、is=1、ie=6となる。S1005で、予定加熱温度FTi(i=1~6)の中の最大値である最高予定加熱温度FTmaxが得られる。そして、S1006以降で、それぞれの画像加熱部PRiに対する制御温度TGT(PRi)が設定される。
S1006で、i=is(=1)にセットされ、画像加熱部PR1から、順に、実際にヒータ300を加熱する時に使用される制御温度TGT(PRi)が決定される。まず、S1007で、制御温度TGT(PR1)として最高予定加熱温度FTmaxが設定される。次に、S1008で、制御温度TGTが、最後の画像加熱部PR6(i=ie)に対する制御温度TGT(PR6)でないかどうかが確認される。制御温度TGTが制御温度TGT(PR6)でなければ、次の画像加熱部PRiの温度を制御する決定作業に移るため、S1009でi=i+1としてS1007からのフローを繰り返す。S1008で、最後の画像加熱部PR6(i=ie)に対する制御温度TGT(PR6)までの設定が終了したことが確認されると、S1010へ進み、制御フローが終了となる。
最後に、実施例1についてフローチャートを用いて説明する。図11は、実施例1に係る画像加熱部PRiに対する制御温度TGT(PRi)を決定する流れを示すフローチャートである。S1101で制御フローがスタートすると、S1102で、1枚の記録材P
における画像加熱部PRiが認識される。図8の画像がプリントされる場合には、画像加熱部PR1、PR2、PR3、PR4、PR5、PR6が認識される。
次に、S1103で、認識された画像加熱部PRiに対する予定加熱温度FTi(i=1~6)が取得される。S1104で、これら6つの予定加熱温度FTについて、隣り合う画像加熱部PRiに対する予定加熱温度FTiの差分である5つの隣接差分値Δi(Δ1~Δ5)が取得される。また、S1105で、隣接差分値Δiの開始番号isと終了番号ieとがセットされる。図8に示した画像では、is=1となり、ie=5となる。
S1106で、これらのΔ1~Δ5の値が全て-5℃≦Δ≦5℃を満たしていれば、S1114で、画像加熱部PRiに対する予定加熱温度FTiの値が制御温度TGT(PRi)として採用され、S1115で終了となる。一方、S1106で、5つのΔ1~Δ5の値のうち1つでも-5℃≦Δ≦5℃を満たしていない場合、S1107に進み、加熱領域A1~A7のうち隣り合う加熱領域A間の隣接差分値Δiを全て-5℃≦Δ≦5℃とする処理が開始される。
S1107で、i=is(=1)にセットされる。次に、S1108で、現在選択されている2つの予定加熱温度FTにおける隣接差分値Δiが-5℃≦Δ≦5℃である場合はS1111に進む。一方、S1108で、隣接差分値Δiが-5℃≦Δ≦5℃でない場合はS1109に進む。そして、S1109で、Δ>5℃である場合にはS1112に進み、Δ>5℃でない場合にはS1110に進む。
S1110で、隣り合う画像加熱部PRiの予定加熱温度FTの関係をFTi+1=FTi-5℃とする(補正後の予定加熱温度FTが第2目標温度に対応する)。また、S1111で、隣接差分値Δiが-5℃≦Δ≦5℃であれば、1つずらした2つの画像加熱部PRiの予定加熱温度FTの差分を確認する作業に移るため、1番最後の隣接差分値であるΔ5(i=ie)の処理まで終了しているかどうかが確認される。Δ5(i=ie)の処理まで終了している場合にはS1106に進み、Δ5(i=ie)の処理まで終了していない場合にはS1111に進む。S1112で、隣り合う画像加熱部PRiの予定加熱温度FTの関係がFTi=FTi+1-5℃となる。また、S1113で、i=i+1とすることで、1つずらした2つの画像加熱部PRiの差分を確認する作業に移り、S1003からのフローが繰り返される。
つまり、簡単に説明すると、予定加熱温度FT1と予定加熱温度FT2との隣接差分値Δ1から、順に、隣り合う予定加熱温度FTの差分が確認される。そして、隣り合う予定加熱温度FTが-5℃≦Δ≦5℃となるように予定加熱温度FTiの補正が実行され、これにより、実際に使用される制御温度TGT(PRi)が決定される。そして、一番最後の隣接差分値であるΔ5(i=ie)の処理が終了するまで、S1108からS1111のフローが実行される。
本実施例では、隣り合う2つの加熱領域Aに亘って同一のトナー像が形成される場合について説明している。隣り合う2つの加熱領域Aに対する加熱温度の差が所定の範囲外である場合には、隣り合う2つの加熱領域Aに対する加熱温度の差が所定の範囲内となるように補正される。具体的には、隣り合う2つの加熱領域Aに対する加熱温度の差が所定の範囲内となるように、隣り合う2つの加熱領域Aのうち一方の加熱領域Aに対する加熱温度が、加熱温度よりも高い温度に補正される。また、隣り合う2つの加熱領域Aに対する2つの加熱温度のうち温度が低い加熱温度が補正される。
ここで、図12は、従来例1-1と従来例1-2と実施例1に係る制御温度TGT(PRi)が比較された表である。従来例1-1では、画像加熱部PR4における制御温度T
GTと、画像加熱部PR5における制御温度TGTとの差が12℃となっている。また、画像加熱部PR5における制御温度TGTと、画像加熱部PR6における制御温度TGTとの差が-12℃となっている。つまり、従来例1-1では、隣り合う画像加熱部PRiおける制御温度TGTの差が±5℃の範囲から大きく外れている。この結果、上記2か所の画像加熱部PRの境界(画像加熱部PR4と画像加熱部PR5との境界と、画像加熱部PR5と画像加熱部PR6との境界)では、図8の画像P4の光沢度に顕著な段差が生じてしまう。
次に、従来例1-2では、従来例1-1のように制御温度TGT(PRi)の差が±5℃の範囲から外れる部分は無いものの、従来例1-1に比べて制御温度TGT(PRi)が高い画像加熱部PRiが多い。そのため、ヒータ300で使用される電力量が多くなり、省電力性が大きく損なわれている。一方、実施例1では、制御温度TGT(PRi)の差が±5℃の範囲から外れる部分が無い。また、実施例1では、従来例1-2と比較して、画像加熱部PR1~PR4及びPR6での制御温度が低く抑えられており、省電力性の低下は最小限に抑えられている。
以上のように、本実施例では、ヒータ300の長手方向に複数設けられた発熱ブロックHBの加熱条件を画像情報に応じて調整する画像形成装置100において、従来例と比較して、出力画像特性(画像の光沢等)の均一性を向上させることができる。また、本実施例では、ヒータ300で消費される電力を抑制することができる。具体的には、上述したように、画像加熱部PRi内にある各ドットのトナー量換算値D(%)が算出され、このトナー量換算値D(%)の最大値であるトナー量換算最大値DMAX(i)(%)に応じて予定加熱量である予定加熱温度FTiが決定される。そして、隣り合う画像加熱部PRi間での予定加熱温度FTの差が規定量以下となるように補正され、補正後の予定加熱量である制御温度TGT(PRi)が決定される。
なお、本実施例では、各色トナーの画像濃度情報に応じてトナー量換算値D(%)が算出される方法について説明したが、画像の種類に応じてトナー量換算値D(%)を補正することもできる。電子写真方式の画像形成装置100において、特に、横線の画像が形成される際、横線の線の幅が細くなるほど(例えば線幅が20ドット以下の場合)、記録材P上において単位面積当たりのトナー量が増加する現象が起きる。これは、上記したような線の画像を形成する際に、現像部(感光ドラム104上の静電潜像が現像される部分)での電界の回り込みにより集中的にトナーが現像してしまうことで起きる。この現象は、一般的に知られている現象である。
この現象を考慮して、例えば、線幅20ドット以下の横線画像の部分における各ドットのトナー量換算値D(%)を、線幅が20ドットより大きいドットのトナー量換算値D(%)より増やすこともできる。例えば、線幅が10ドットであればトナー量換算値D(%)を1.5倍することができる。このような画像幅情報に対応する補正により、記録材P上における実際のトナー量がより精度良く予測されるため、予定加熱温度FTiと制御温度TGT(PRi)とをより適正な値にすることができる。
また、上述した本実施例は本発明の構成の一例であり、必ずしも、全てのドットのトナー量換算値D(%)が検知される必要はない。例えば、特開2013-41118号公報に記載されているように、記録材P上の画像が形成される領域を予め設定された大きさ(例えば20×20ドット)に仮想的に分割してもよい。分割された1つの領域に対応する画像データから、少なくとも1~数ポイントの画像濃度情報が代表値としてピックアップされ、この代表値がトナー量換算値D(%)に変換される。そして、このトナー量換算値D(%)に基づき予定加熱量である予定加熱温度FTが決定されてもよい。
または、予め設定された大きさ(例えば20×20ドット)の領域において、画像が形成されるドットと、画像が形成されないドットの比率に基づき、予定加熱量である予定加熱温度FTiを決めてもよい。つまり、加熱領域Aが分割されることで形成される分割領域であって、加熱領域Aの一部分である分割領域における、画像が形成される画像形成部の面積と、画像が形成されない非画像形成部の面積との比に基づき、予定加熱温度FTiを決めてもよい。また、予定加熱量及び補正加熱量を温度で決めるのではなく、例えば、ヒータ300に供給される電力でから決めることもできる。
更に、隣り合う画像加熱部PRi間の加熱量差の許容値を、記録材Pの種類や、画像形成装置100を使用する環境に応じて変えることもできる。例えば、より高い画像の光沢が得られるグロスペーパーを記録材Pとして使用する場合、普通紙を用いる時より、隣り合う画像加熱部PRi間での加熱量差の許容値を小さく設定する。これにより、記録材Pの種類に応じて、画像の光沢の均一性と省電力性のバランスとを最適化することができる。
加えて、本実施例で述べた加熱温度の補正する制御の実行を、規定の条件を満たす場合にのみ限定してもよい。例えば、隣り合う画像加熱部PRiに、トナー量換算値D(%)の差が所定の範囲内(例えば±10%以内)である画像が形成される場合にのみ実行することも可能である。このようにすることで、更に、画像形成装置100において省電力性を向上させることが可能である。または、画像の種類によって、ヒータ300の温度を補正する制御の実行/非実行を選択することもできる。例えば、テキスト画像のみが記録材Pに形成される場合は、上記補正制御を実行しないこともできる。テキスト画像では、画像に光沢の差が生じても、写真の画像等に比べて光沢の差がそれほど目立つことがないため、上記補正制御を実行せずに省電力性を向上させることが可能である。
以上のように、本実施例では、隣り合う2つの加熱領域Aに亘って同一のトナー像が形成される場合であって、隣り合う2つの加熱領域Aに対する加熱温度の差が所定の範囲外である場合について、加熱領域Aに対する加熱温度が補正される。具体的には、隣り合う2つの加熱領域Aに対する加熱温度の差が所定の範囲内となるように、隣り合う2つの加熱領域Aのうち一方の加熱領域Aに対する加熱温度が高く補正される。これにより、像加熱装置200で消費される電力を低減させ、記録材Pに形成される画像の質を良好にすることができる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。ここで、実施例2に係る画像形成装置100と、像加熱装置200と、ヒータ300と、ヒータ300を制御する回路の構成についての説明は、実施例1の構成と同様であるため省略する。また、実施例1では、加熱領域A毎に、ヒータ300を加熱する制御方法が異なっている。従って、実施例1では、プリント動作を続けていくと、加熱領域A毎に像加熱装置200の暖まり具合に差が生じてくる(例えば、加熱領域A毎に加圧ローラ208の温度が変わってくる)。
例えば、同じ画像が形成される隣り合う2つの加熱領域Aでこのような暖まり具合の差が生じると、両方の加熱領域Aが同じ温度で加熱されたとしても、画像の光沢に、目視で容易に判別できる程度の差が生じてしまうことがある。このような問題を改善するため、実施例2では、実施例1の構成に加え、各加熱領域Aの熱履歴に応じて、それぞれの加熱領域Aにおける加熱条件に補正がかけられる。実施例2では、加熱領域Aに対する加熱温度は、発熱ブロックHBから加圧ローラ208に伝わる熱量から、加圧ローラ208から放たれる熱量を引いた値が大きいほど低くなるように補正される。
実施例2では、画像形成装置100に、各加熱領域Aの暖まり具合を表す指標となる蓄
熱カウンタが設けられている。各加熱領域Aに対する蓄熱カウンタは、その加熱領域Aに対する加熱動作や記録材Pの通紙状況に応じて、規定の方法に従い各加熱領域Aの蓄熱量をカウントする。ここで、蓄熱カウンタのカウント値をCTとすると、実施例2ではCTは下記の(式1)で表わされる。
CT=(TC×LC)+(WUC+INC+PC)-(RMC+DC)・・・(式1)
ここで、(式1)中のTC、LC、WUC、INC、PC、RMC、DCについて図13を用いて説明する。なお、蓄熱カウント値CTは、1ページ毎(記録材P毎)に更新されるものとする。TCは、図13(a)に示すように、記録材Pを加熱する際の制御温度TGT(PRi)に応じて決定される値であり、制御温度TGT(PRi)が高温であるほどTCの値が大きくなる。LCは、図13(b)に示すように、画像加熱部PRiを加熱する際に加熱された距離HL(mm)(記録材Pの搬送方向における距離)に応じて決定され、距離HLが長くなるほど大きくなる。
画像が形成される加熱領域Aでは、画像加熱部PRiとそれ以外の非画像加熱部PPに対する(TC×LC)が加算されて1ページ分のTC×LCとなる。その他、WUC、INC、PCは、図13(c)に示すように、それぞれ、プリント動作開始時の立上げ、紙間、プリント終了時の後回転に対してカウントされる固定値である。また、RMC、DCは、図13(c)に示すように、それぞれ、記録材Pが通紙されることにより像加熱装置200から奪われる熱と、外気への放熱に対してカウントされる固定値である。なお、図13(c)には、LETTERサイズ紙を1枚通紙した時の値が表示されている。
なお、放熱カウントDCは、プリント時以外にもカウントされ、規定時間が経過すると規定の値がカウントされる(例えば、1分間で3だけカウントアップされる)。このようにして決定される蓄熱カウント値CTは、その値が大きいほど像加熱装置200の蓄熱量が大きいことを表す。従って、同じ制御温度TGT(PRi)でヒータ300を加熱しても、実際には、紙(記録材P)を加熱する加熱量は、蓄熱カウント値CTが大きい方が大きくなる。
図14は、蓄熱カウント値CTと、制御温度TGT(PRi)の補正値との関係を示した図である。上述した蓄熱カウントに関するパラメータの設定は、あらかじめ、実施例2に係る像加熱装置200における蓄熱状態と定着後の画像特性とを確認し、その確認結果から決定されている。以下で、蓄熱カウント値CTを用いてヒータ300の加熱温度を補正する方法について説明する。実施例2では、各加熱領域Aに対する直前のページまでの蓄熱カウント値CTを参照し、その蓄熱カウント値CTに応じて、画像加熱部PRiに対して、実施例1と同じ制御方法で決定された制御温度TGT(PRi)を更に補正する。なお、非画像加熱部PPに対しては、蓄熱カウント値CTによる補正は行われない(蓄熱カウント値CTの値に関係なく制御温度TGT(PP)=120℃とする)。
ここで、画像パターンが異なる隣り合う2つの加熱領域Aを例として用いる。LETTERサイズ紙上における2つの加熱領域Aiと、Ai+1を想定する。加熱領域Aiには、紙先後端の余白5mmずつを除いて、トナー量換算値D(%)が210%のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3次色が均一に形成される(トナー量換算最大値DMAX(i)(%)=210%)(画像パターンJ1とする)。
また、加熱領域Ai+1には画像が形成されない(画像パターンJ2とする)ものとする。説明を簡略化するために、加熱領域Aiと加熱領域Ai+1以外の領域には画像は形成されないものとする。図15は、画像パターンJ1、J2を連続してプリントした時の
蓄熱カウント値CTの推移を示す図である。図15において、LM1~LM5は、図14に示した蓄熱カウント値CTと、制御温度TGT(PRi)に対する補正値との関係についての補正値の区切りを示している。
ここで、上記画像パターンでLETTERサイズ紙を30枚プリントした直後に、トナー量換算値D(%)が150%のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3次色の画像が記録材Pに均一にプリントされると仮定する。また、画像は、加熱領域Aiと加熱領域Ai+1の紙先後端の余白5mmずつを除く全域にプリントされるとし、その画像におけるトナー量換算最大値DMAX(i)(%)=150%とする。実施例1に従うと、この時の加熱領域Aiと加熱領域Ai+1における画像が制御温度199℃で加熱される。
一方、実施例2では、30枚の記録材Pが直前にプリントされたことによる蓄熱を考慮した補正が実施された上で実際にヒータ300が加熱される。具体的には、30枚のプリントが終了した時点での蓄熱カウント値CTは、加熱領域Aiで198.2となり、加熱領域Ai+1で74.5となる。そして、この蓄熱カウント値CTから、図14の関係に従い、制御温度TGT(PRi)に対する補正が行われる。従って、図14に示すように、加熱領域Aiの制御温度TGT(PRi)は6℃低く補正され、加熱領域Ai+1の制御温度TGT(PRi+1)は2℃低く補正される。つまり、加熱領域Aiの制御温度TGT(PRi)と加熱領域Ai+1の制御温度TGT(PRi+1)は、それぞれ、193℃と197℃になり、この温度でヒータ300が加熱される。
よって、実施例2では、トナー量換算最大値DMAX(i)(%)の値が同じ150%でありながら、蓄熱カウント値CTに応じて、加熱領域Aiにおける画像加熱部PRiと、加熱領域Ai+1における画像加熱部PRi+1とが異なる温度で加熱される。これは、蓄熱カウント値CTを考慮した補正の結果であり、実際には、加熱領域Aiと加熱領域Ai+1において、画像加熱部PRで記録材Pが加熱される加熱量はほぼ等しくなっている。従って、実施例2では、実施例1よりも画像の均一性を更に向上させることが可能である。
以上のように、本実施例では、像加熱装置は、複数の発熱ブロックHBを有し、トナー像が形成された記録材Pを加熱するヒータ300と、ヒータ300に向かって記録材Pを押圧する加圧ローラ208とを有している。また、ヒータ300と加圧ローラ208とのニップ部において記録材P上のトナー像が加熱される。そして、発熱ブロックHBの加熱温度は、発熱ブロックHBから加圧ローラ208に伝わる熱量から、加圧ローラ208から放たれる熱量を引いた値が大きいほど低くなるように補正される。言い換えれば、本実施例では、各加熱領域Aiの蓄熱状態に応じて発熱ブロックHBの制御温度を補正することにより、画像加熱部間で、記録材Pを加熱する際の加熱量に大きな差が生じないようにしている。これにより、画像形成装置100における省電力性を維持しつつ、実施例1に比べて高い出力画像特性の均一化を得ることができる。なお、上記説明では、各加熱領域Aiの暖まり具合を表す指標となる蓄熱カウンタが画像形成装置100に設けられ、蓄熱カウンタの値に応じて発熱ブロックHBの制御温度が補正された。しかし、例えば、像加熱装置における各加熱領域Aiの温度が測定され、その測定された温度に応じて発熱ブロックHBの制御温度が補正されてもよい。また、例えば、各加熱領域Aiにおいて加圧ローラ208の表面の温度を検知する温度検知手段が個々に設けられ、それぞれの検知温度に応じて、対応する加熱領域Aiの画像加熱部に対する制御温度が補正されてもよい。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。ここで、実施例3において、画像形成装置100と、像加熱装置200と、ヒータ300と、ヒータ300を制御する回路の構成についての
説明は、実施例1及び実施例2と同様であるため省略する。本実施例では、記録材Pの短手方向(記録材Pの搬送方向と直交する方向)に加熱領域Aが複数設けられており、画像情報に応じて、それぞれの加熱領域Aにおける画像加熱部PRが加熱される。実施例1及び実施例2において扱った画像パターンは、記録材Pの搬送方向において、複数の画像がひと固まりになっており(図8における画像P1とP3、P2とP3、及びP4とP5)、各加熱領域Aにおける画像加熱部PRは1つであった。一方、実施例3では、記録材Pの搬送方向において、複数の画像がひと固まりになっていない画像パターンの加熱方法について述べる。
本実施例では、各加熱領域Aに形成された複数のトナー像の間隔が所定の間隔よりも大きい場合には、各加熱領域Aにおいて、複数のトナー像の間の非画像形成領域と複数のトナー像とを加熱する際の制御温度が、画像情報に基づいてそれぞれ個別に設定される。一方、各加熱領域Aに形成された複数のトナー像の間隔が所定の間隔以下である場合には、各加熱領域Aにおいて、非画像形成領域と複数のトナー像とを加熱する際の制御温度が、画像情報を基に共通の制御温度に設定される。
次に、図16に示した画像パターンを用いて説明する。図16は、記録材Pの搬送方向において、1つの加熱領域Aに複数の画像が形成される記録材Pを示す図である。また、具体的には、図6は、P6とP7とP8から成るパターンであって、記録材Pの搬送方向において2か所に画像が形成されるパターンである(P6を画像1とし、P7とP8から成る画像を画像2とする)。加熱領域A4と加熱領域A5に着目すると、画像1と画像2は、記録材Pの搬送方向において離れて配置されている。従来では、画像1と画像2に対して、両者の距離に関わらず、それぞれの画像情報に応じた温度で別々に加熱動作が行われていた(画像1と画像2の間の領域は、実施例1、2で述べた非画像加熱部PPとして扱われる)。画像1と画像2との距離が十分離れていれば、従来の方法で高い省電力効果を得ることができる。
しかし、画像1と画像2との距離が短い(例えば距離が20mm)場合、非画像加熱部PPに対する温度を低くすることで節約できる電力を、非画像加熱部PPで一旦下がった加熱温度を画像2を加熱する温度まで昇温させる電力が上回ってしまうことがある。具体的には、画像1と画像2との間の非画像加熱部PPに対するヒータ300の加熱温度を低温に設定することで節約できる電力が、非画像加熱部PPで一旦下がった温度を画像2を加熱する温度まで昇温させる電力が上回ってしまうことがある。このような問題を回避するため、実施例3では、記録材Pの搬送方向において離れて配置された2つの画像を加熱する際、記録材Pの搬送方向における画像間の距離に応じて、複数の画像加熱部PRを別々として扱うかどうかを切り替えることができる。つまり、複数の画像加熱部PRを1つの画像加熱部PRとして扱うこともできる。
図16において、画像加熱部PR2~PR6はそれぞれ加熱領域A2~A6に対応する画像加熱部PRを示している。画像加熱部PR4-1、PR4-2、及びPR5-1、PR5-2は、画像1と画像2に別々の画像加熱部PRが設定される場合の画像加熱部PRが示されている。一方、画像加熱部PR4、PR5は、画像1と画像2に対して1つの画像加熱部PRを設ける場合の画像加熱部PRを示している。また、画像加熱部間距離LBは、画像1と画像2との間の距離である。
前述したように、画像加熱部間距離LBが長ければ、加熱領域A4、A5の画像加熱部PRは、従来通り、画像加熱部PR4-1、PR4-2、及びPR5-1、PR5-2と別々にするのが良い。しかしながら、画像加熱部間距離LBが規定の距離より短い場合、加熱領域A4、A5の画像加熱部は、画像加熱部PR4、PR5とするのが良い。本実施例では、上述した省電力性の観点から、画像加熱部間距離LBが100mm未満の場合に
、画像1と画像2とを1つの画像加熱部PRに含めることにしている。
従って、画像加熱部間距離LBが100mm未満の時は、画像1と画像2とを一括りの画像として、実施例1と同様に、各画像加熱部PRiに対する制御温度TGT(PRi)が決定される。一方、画像加熱部間距離LBが100mm以上の時は、画像1と画像2に対して別々に実施例1と同様の制御が行われ、各画像加熱部PRiに対する制御温度TGT(PRi)が決定される。
図17は、実施例3において、図16に示した画像をプリントする場合の加熱領域A2~A6における制御温度TGTの値を示した図である。具体的には、図17(a)は、画像加熱部間距離LB=50mmの場合における制御温度TGTを示した図である。また、図17(b)は、画像加熱部間距離LB=120mmの場合における制御温度TGTを示した図である。図17(a)と図17(b)とを比較すると、加熱領域A4と加熱領域A5とで画像加熱部PRの設定が異なるため、加熱領域A4と加熱領域A5との制御温度TGTに差が生じている。より具体的には、加熱領域A4、A5、A6については、画像1部を加熱するための制御温度TGTがそれぞれ異なる。また、加熱領域A4、A5については、画像加熱部間距離LBに対する制御温度TGTが異なっている。
画像加熱部間距離LB=50mm(図17(a))の場合は、画像加熱部PR4、PR5におけるトナー量換算最大値DMAX(i)(%)は、画像2におけるP7のトナー量換算値D(%)値(210%)となる。このため、画像加熱部間距離LB=50mm(図17(a))の場合は、画像加熱部PR4、PR5に含まれる画像1部及び画像加熱部間距離LBの部分も含め、制御温度TGT(PR4)及びTGT(PR5)は205℃となる。また、隣接する加熱領域A3と加熱領域A6における制御温度TGT(PR3)及びTGT(PR6)は200℃となる。
一方、画像加熱部間距離LB=120mm(図17(b))の場合では、画像1、LB部、画像2に対して別々に制御温度TGTが決定される。そのため、画像加熱部間距離LB=120mm(図17(b))の場合では、画像加熱部間距離LB=50mm(図17(a))の場合より、制御温度TGTが低温に抑えられる。ここで、図17(a)と図17(b)とを比べると、制御温度TGTの設定値としては、図17(b)の方が省電力性が高いと判断できる。
但し、これは、前述したように、画像加熱部間距離LBが長い(実施例3では100mm以上)場合に限られる。画像加熱部間距離LBが短い(100mm未満)場合には、図17(a)のように、制御温度TGTが一定で画像1と画像2とを一続きで加熱する方が、図17(b)のように、制御温度TGTを場所ごとに変更しながら加熱するより省電力性が高くなる。
以上のように、実施例3では、加熱領域Aiは、記録材Pが搬送される方向と直交する方向に記録材Pの面が分割されることで形成される加熱領域Aiであり、複数の発熱ブロックHBは、記録材Pが搬送される方向と直交する方向に並んで配置されている。また、加熱領域Aiに形成された複数のトナー像同士の間隔が所定の間隔よりも大きい場合には、加熱領域Aiにおいて、複数のトナー像同士の間の領域とその複数のトナー像が発熱ブロックHBによって加熱される。そして、加熱領域Aiに形成された複数のトナー像同士の間隔が所定の間隔以下である場合には、加熱領域Aiにおいて、複数のトナー像同士の間の領域が発熱ブロックHBによって加熱されない。一方、複数のトナー像は発熱ブロックHBによって加熱される。簡単に言い換えると、本実施例では、記録材Pの搬送方向において離れて配置された2つの画像を加熱する際に、記録材Pの搬送方向における画像間の距離に応じて、画像加熱部PRを別々にするか、または、1つの画像加熱部PRとして
扱うかが切り替わる。これにより、従来に比べて画像形成装置において高い省電力効果を得ることが可能となった。