JP2019200265A - 回折光学素子およびそれを用いた光学系 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の回折光学素子は監視カメラなどのナイトモード撮影時の波長帯域である可視から近赤外波長帯域の帯域に対して最適な素子構成とは言えず、設計次数の回折光の高い回折効率と高い内部透過率が両立しないという課題があった。【解決手段】互いに異なる材料により形成された第1の回折格子および第2の回折格子がこれらの格子面を密着した構造を有し、第1の格子形成材料のd線における屈折率、アッベ数、s線とt線の部分分散比を各々nd1、νd1、θst1、第2の回折格子を構成する第2の格子形成材料のd線における屈折率、アッベ数を各々nd2、νd2とするとき、適切なる関係式を満足すること。【選択図】図2

Description

本発明は、回折光学素子およびこれを有する光学系に関し、例えばビデオカメラ、デジタルカメラ、特に車載カメラおよび監視カメラに搭載される光学系に好適なものである。
従来、硝材の組み合わせによりレンズ系の色収差を減じる方法に対して、レンズの表面やレンズ系の一部に回折作用を有する回折光学素子を設けることでレンズ系の色収差を減じる方法が知られている。この回折光学素子を用いる方法は、光学系中の屈折面と回折面とでは、ある基準波長の光線に対する色収差が逆方向に発現するという物理現象を利用したものである。また、回折光学素子は、その周期的構造の周期を適宜変化させることで非球面レンズ的な効果を持たせることができるので、色収差以外の諸収差の低減にも効果がある。一般的に回折光学素子は格子面と格子側面から構成されるブレーズ構造より成っている。
このようなブレーズ構造の回折光学素子は特定の一つの次数(以下、「特定次数」又は「設計次数」とも言う)の回折光と特定の波長に対して高い効率で光を回折することができる。この特定次数の回折効率を使用波長帯域全域で十分高く得るための回折光学素子構成が特許文献1、2、3のように知られている。具体的には、2つの回折格子を密着配置すると共に、各回折格子を構成する材料に低屈折率高分散材料と高屈折率低分散材料を用い、回折格子の高さを適切に設定することで(以下、このような回折光学素子を「密着2層DOE」という)、所望の次数の回折光に対し、広い波長帯域で高い回折効率を実現している。
特に、特許文献2、3のようにITO(Indium-Tin Oxide)を用いることにより、可視波長域全域で極めて高い回折効率を得ることができることが知られている。なお、回折効率は全透過光束の光量に対する各次数の回折光の光量の割合で表される。
また、車載カメラや監視カメラなどに搭載される光学系において、昼夜の撮影に対応させるために赤外カットフィルタの切り替え機構を備えたものが特許文献4に開示されている。これは光量が確保しやすい昼間ではデイモードとして赤外カットフィルタを挿入して可視波長帯域(波長400〜700nm)の波長の光を受光したカラー撮影を行い、光量の確保が困難な夜間などではナイトモードとして赤外カットフィルタを退避させ、可視波長帯域に加え、一般的な固体撮像素子が感度を持つ近赤外帯域(波長700〜1000nm)の波長の光も受光したモノクロ撮影を行うものである。
さらに、監視カメラでは光量の確保が極めて困難な夜間の撮影などにおいて、図7のような近赤外LED光源(波長の異なる代表的な2種類)を外部から照明し、光量を確保して撮影を行うことが知られている。
特開平9−127321号公報 特開2008−241734号公報 特開2012−18252号公報 特開平11−239356号公報
車載カメラや監視カメラなどのナイトモードでは可視波長帯域から近赤外波長帯域に亘って、設計回折次数の回折光の回折効率が高く、且つ内部透過率が高い回折光学素子が好ましい。また、外部近赤外LED光源照明による撮影時においては、回折光学素子は特に近赤外帯域に対して、設計回折次数の回折光の回折効率が高く、且つ内部透過率が高い回折光学素子が好ましい。
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている回折光学素子は可視波長帯域で最適化された素子構成であり、近赤外帯域の回折効率については開示されていない。このため、ナイトモードの波長帯域である可視波長帯域から近赤外波長帯域の帯域に対して最適な素子構成とは言えず、設計次数の回折光の高い回折効率と高い内部透過率が得られないという課題があった。
本発明は、近赤外帯域に対して、高い回折効率と高い内部透過率を両立させ、ナイトモードに適した回折光学素子を用いた光学系の提供を目的とする。
本発明の回折光学素子は
互いに異なる材料により形成された第1の回折格子および第2の回折格子がこれらの格子面を密着した構造を有し、
該第1の格子形成材料のd線における屈折率、アッベ数、s線とt線の部分分散比を各々nd1、νd1、θst1、第2の回折格子を構成する第2の格子形成材料のd線における屈折率、アッベ数を各々nd2、νd2とするとき
以下の関係式を満足することを特徴とする回折光学素子である。
nd1<nd2
νd1<νd2
0.20 < θst1 < 0.35
ただし、θst1は該第1の格子形成材料のF線(486.13nm)とs線(851.11nm)間の主分散に対する、s線とt線(1013.98nm)の部分分散比として以下の式で定義する。
θst =(ns−nt)/(nF−ns)
本発明によれば、近赤外帯域に対して、高い回折効率と高い内部透過率を両立させ、ナイトモードに適した回折光学素子を用いた光学系の提供を目的とする。
本発明の回折光学素子の要部概略図 本発明の回折光学素子の素子構造の模式図 ITO、ITO微粒子分散材料、樹脂材料の屈折率のグラフ 実施例1〜2および比較例の回折光学素子の回折効率のグラフ 実施例1〜2および比較例の回折光学素子の内部透過率のグラフ 実施例3の撮影光学系 近赤外LED光源の発光スペクトルのグラフ
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の光学系に用いている回折光学素子10の正面図及び側面図である。回折光学素子10は平板又はレンズより成る基板20、30の光学面の間に回折格子素子部1を設けて形成されている。そして、本実施例では、回折格子部1が形成されている基板20、30の面は、曲面となっている。回折格子部1は光軸0を中心とした同心円状の回折格子形状からなり、レンズ作用を有している。図2は図1の回折光学素子を図中A−A′断面で切断した断面形状の一部である。図2は、格子形状を分かりやすくするために、格子高さ(深さ)方向にかなりデフォルメされた図となっている。
図2において、回折格子部1は、第1の回折格子2と第2の回折格子3とが密着した構成となっている。2aは第1の回折格子2を形成する格子ベース部、3aは第2の回折格子3を形成する格子ベース部、2bは第1の回折格子2を形成する格子部、3bは第2の回折格子3を形成する格子部である。格子部2b,3bは所定の格子ピッチで配置されている。第1、第2の回折格子2,3は同心円状のブレーズ構造の格子形状からなり、格子部2b,3bの格子ピッチを中心(光軸)から周辺へ向かって徐々に変化させることでレンズ作用(収斂作用又は発散作用)を得ている。
そして、各回折格子2,3は、全層を通して一つの回折格子として作用している。また、ブレーズ構造にすることで、回折光学素子に入射した入射光は、回折格子部1で回折せずに透過する0次回折方向に対し、特定の回折次数(図では+1次)方向に集中して回折する。
本発明の回折光学素子の使用波長領域は可視および近赤外帯域(波長430〜1000nm)である。このため、可視および近赤外帯域全域で設計次数の回折光の回折効率が高くなるように、第1の回折格子2及び第2の回折格子3を構成する材料及び格子高さを選択している。すなわち、複数の回折格子(回折格子2,3)を通過する光の最大光路長差(格子部2b、3bの山と谷の光学光路長差の最大値)が使用波長域内で、その波長の整数倍又はその付近となるよう、各回折格子の材料及び格子高さが定められている。
このように回折格子の材料、格子形状を適切に設定することによって、使用波長全域で高い回折効率を得ている。なお、一般的に、回折格子の格子部の格子高さは、格子周期方向に垂直な方向(面法線方向)の格子先端と格子溝の高さで定義される。また、格子壁面が面法線方向からシフトしているときや格子先端が変形しているとき等の場合は、格子面の延長線と面法線との交点との距離で定義される。
次に、回折光学素子1の回折効率について説明する。2つの回折格子を密着した密着2層DOEにおいて、波長λで、ある次数の回折光の回折効率が最大となる条件は、次のとおりである。即ち格子部の山と谷の光学光路長差(つまり山の頂点と谷底のそれぞれを通過する光線間の光路長の差)を全回折格子に亘って加え合わせたものが波長の整数倍になるように決定することである。従って、図1、図2に示した本実施例の回折光学素子1において、回折格子2、3のベース面(格子ベース部2a、3a)に対する垂直入射、波長λで、回折次数mの回折光の回折効率が最大となる条件式は
±(n1−n2)d=mλ (1)
となる。
(1)式で、n1は第1の回折格子2を形成する第1の格子形成材料の波長λでの屈折率、n2は第2の回折格子3を形成する第2の格子形成材料の波長λでの屈折率である。dは第1の回折格子2および第2の回折格子3の格子部2b、3bの格子高さ(格子厚)、mは回折次数である。
ここで、図2中の0次回折光から下向きに回折する光線を正の回折次数、図2中の0次回折光から上向きの方向に回折する光線を負の回折次数とする。(1)式での格子高さの加減の符号は、第1、第2の回折格子2、3を形成する第1、第2の格子形成材料の屈折率n1、n2の大小関係がn1<n2である。このとき、図中下から上に回折格子2の格子高さが増加する(回折格子3の格子高さが減少する)格子形状の場合、負となる。逆にn1>n2であって、図中下から上に回折格子2の格子高さが減少する(回折格子3の格子高さが増加する)格子形状の場合が正となる。つまり図2の構成であって屈折率n1、n2の大小関係がn1<n2の場合、(1)式は、
(n2−n1)d=mλ (2)
と書き換えられる。
図2の構成において、波長λでの回折効率η(λ)は、
η(λ) =sinc2〔π{m−(n2−n1)d/λ}〕 (3)
で表わすことができる。
ここでΔΦを以下の式のように定義する。
ΔΦ=|1−(n2−n1)d/mλ| (4)
この(4)式のΔΦが0となる場合に(3)式の回折効率ηが100%となる。このときのλが設計波長と定義する。
密着2層DOEにおいて広い波長帯域で高い回折効率を得るためには第1の回折格子2を形成する第1の格子形成材料に低屈折率高分散、第2の回折格子3を形成する第2の格子形成材料に高屈折率低分散材料を用いることで実現することができる。さらに、可視域全域で回折効率を得るためには低屈折率高分散材料に部分分散比θgFが通常の材料より小さいリニア分散特性を有する材料を用いることが知られている。このリニア分散特性を得るために、ITO微粒子を微粒子分散させてベース樹脂材料に混合する方法が知られている。
一方、ITOは透明電極に使用されるなど、透過率が高い材料として知られているが、高い透過率を要求される光学系に適用する場合には問題となる。このITOの透過率の低下は錫のドープが影響しており、強いリニア分散特性を有した材料でかつ透明な材料を得ることは難しい。
回折光学素子1の内部透過率は図2に示すように光が減衰(吸収)を受ける距離は鋸形状のブレーズ形状のために平均で格子厚dの1/2の厚さと、鋸形状と格子基板2a間の距離である格子ベース部2aの厚さh2の和となる。このため、回折格子部の内部透過率Tは(5)式となる。
T=exp(−k×4π/λ×(d/2+h2)) (5)
ただし、kは第1の回折格子2の材料の消衰係数である。また、第2の回折格子3の材料には内部吸収がほとんどないため無視できる。
ITOは他の無機酸化物と異なり、電子遷移による屈折率の変化に加え、錫によるドーピングや酸素の空孔によりフリーキャリアが発生し屈折率が変化する。この電子遷移とフリーキャリアの影響により非常に強いリニア分散特性を有する。ITOの屈折率は図3に示すように波長1500〜1700nm付近に極小値を持つため、可視波長帯域に対してリニア分散特性を有するが、可視波長より長波長側では屈折率が長波長側ほど小さくなる。
このため、本発明の使用波長帯域である近赤外帯域(波長800〜1000nm)に対しては、特許文献2のようにITO微粒子の混合比率が高い場合、ITOの屈折率に強く影響されて、屈折率が小さくなるため、結果として回折効率が低下してしまう(後で示す比較例1)。また、特許文献3のように、ITO微粒子の混合比率が低い弱リニア分散特性を有し、且つ格子高さを低くした構成の場合、近赤外帯域の回折効率を高くすることは困難である(後に示す比較例3)。
本発明の回折光学素子はITO微粒子を混合させた樹脂材料で構成された低屈折率高分散材料と高屈折率低分散材料の回折格子を構成された密着2層構成であって、低屈折率高分散材料の近赤外帯域であるs線(851.11nm)とt線(1013.98nm)の関係の部分分散比を以下の関係を満足することにより、本発明の使用波長帯域である近赤外帯域(波長800〜1000nm)に対して、高い回折効率と高い内部透過率を両立することができる。
0.15 < θst1 < 0.35 (6)
ただし、θst1は低屈折率高分散材料のF線(486.13nm)とs線(851.11nm)間の主分散に対する、s線とt線(1013.98nm)の部分分散比として以下の式で定義する。
θst =(ns−nt)/(nF−ns) (7)
(5)式の下限値を満たさないと、通常樹脂材料に近づき、回折効率が低下するため好ましくない。また、(5)式の下限値を満たさないと、特許文献3の材料に近づき、回折効率と内部透過率を両立することが困難となるため、好ましくない。
また、(6)式はさらに以下の関係を満足するほうがより好ましい。
0.25 < θst1 < 0.35
また、本発明の回折光学素子が上記の関係に加え、以下の関係式を満足することにより、本発明の使用波長帯域である可視および近赤外帯域(波長430〜1000nm)に対して高い回折効率と高い内部透過率を両立することができる。
0.0010 < Δnd/Δνd < 0.0018 (8)
ただし、Δnd、Δνdは低屈折率高分散材料のd線における屈折率、アッべ数をそれぞれnd1、νd1、高屈折率低分散材料のd線における屈折率、アッべ数をそれぞれnd2、νd2として、以下の式で定義する。
Δnd=nd2−nd1
Δνd=νd2−νd1
(8)式の下限値を満たさないと、樹脂や微粒子を混合させた樹脂で材料を選択した場合、2つの材料の屈折率差が小さくなり、(4)式を満足するために、格子高さが極端に高くなってしまうため、好ましくない。(8)式の上限式を満たさないと、特許文献3の素子構成に近づき、回折効率と内部透過率を両立することが困難となるため、好ましくない。
また、本発明の回折光学素子は上記の関係に加え、(4)式のΔΦが0.1以下であることにより高い回折効率を得ることができる。これを満たさないと可視および近赤外帯域内の任意の波長λにおける回折効率が97%より低下するため、好ましくない。
また、本発明の回折光学素子は(5)式のTの波長800nm以上、1000nm以下の平均が0.75以上、1.0以下であることにより高い内部透過率を得ることができる。これを満たさないと近赤外帯域の平均内部透過率が75%より低下するため、好ましくない。
また、本発明の回折光学素子は上記の関係に加え、格子高さが15μm以上、30μm以下であることにより、高い回折効率と高い内部透過率を両立することができる。また、本発明の回折光学素子は上記の関係に加え、低屈折率高分散材料のベース膜厚は2μm以上、6μm以下であることにより高い内部透過率を得ることができる。
また、本発明の回折光学素子は上記の関係に加え、(4)式のΔΦが0となる設計波長を使用波長帯域内に2つまたは3つ有し、いずれかの設計波長が650nm以上、700nm以下にあることにより、可視および近赤外帯域内全域で回折効率を得ることができる。
また、本発明の回折光学素子を構成する低屈折率高分散材料はITO微粒子を混合させた樹脂材料であり、ITO微粒子の体積%が1%以上、5%以下であることにより、可視および近赤外帯域に対して高い回折効率と高い内部透過率を両立することができる。
なお、ITOと同様にフリーキャリアの影響があるSnO2及びATO(アンチモンをドーピングしたSnO2)等も使用する事ができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
[実施例1、2]
本発明の特徴を説明するため、本発明の光学系に用いられる回折光学素子の実施例を比較例と合わせて詳細に説明する。本実施例および比較例は図3に示す格子面が密着された密着2層DOE構成である。
実施例1は、第1の回折格子2の材料は紫外線硬化樹脂にITO微粒子を4.0vol%分散させた微粒子分散材料、第2の回折格子3の材料は紫外線硬化樹脂にZrO2微粒子を分散させた微粒子分散材料である。格子厚は第1の回折格子、第2の回折格子ともに21.1μmで、設計次数は+1次で、回折格子2のベース膜厚は5μmである。
実施例2は、第1の回折格子2の材料は紫外線硬化樹脂にITO微粒子を3.0vol%分散させた微粒子分散材料、第2の回折格子3の材料は紫外線硬化樹脂にZrO2微粒子を分散させた微粒子分散材料である。格子厚は第1の回折格子、第2の回折格子ともに23.4μmで、設計次数は+1次で、回折格子2のベース膜厚は5μmである。
比較例1は、特許文献2の構成に相当する比較例で、第1の回折格子2の材料は紫外線硬化樹脂にITO微粒子を16.0vol%分散させた微粒子分散材料、第2の回折格子3の材料は紫外線硬化樹脂にZrO2微粒子を分散させた微粒子分散材料である。格子厚は第1の回折格子、第2の回折格子ともに10.8μmで、設計次数は+1次で、回折格子2のベース膜厚は5μmである。
比較例2は、ITO微粒子を混合させない場合の比較例で、第1、第2の回折格子の材料がともに紫外線効果樹脂である。格子厚は第1の回折格子、第2の回折格子ともに22.0μmで、設計次数は+1次である。
比較例3は、特許文献3の実施例1の構成に相当する比較例で、第1の回折格子2の材料は紫外線硬化樹脂にITO微粒子を6.0vol%分散させた微粒子分散材料、第2の回折格子3の材料は紫外線硬化樹脂にZrO2微粒子を分散させた微粒子分散材料である。格子厚は第1の回折格子、第2の回折格子ともに12.7μmで、設計次数は+1次で、回折格子2のベース膜厚は5μmである。
図4に実施例および比較例の回折光学素子の設計次数(+1次)での回折効率の特性を示す。図4(a)に対して縦軸を拡大して表示したものが図4(b)である。また、図5に内部透過率を示す。
比較例1はITOの混合比率が高いため、可視帯域の回折効率はほぼ100%に近く極めて高いが、近赤外帯域では急激に低下し、特に外部近赤外LED光源照明による撮影時には好ましくない。また、ITOの混合比率が高いため、内部透過率も低い。
比較例2はITOを混合していないため、内部透過率はほぼ100%と高いが、可視および近赤外全域で回折効率を高くすることが困難であるため、好ましくない。
比較例3はITOの混合比率が比較例1より低いため、近赤外の回折効率も比較例1より高く、内部透過率も高いが、格子高さが低く、可視域の回折効率を高くする構成のため、特に外部近赤外LED光源照明による撮影時には好ましくない。
実施例1および2は比較例1〜3と比較して、特に近赤外域において高い回折効率と高い内部透過率を両立しており、特に外部近赤外LED光源照明による撮影時に好ましいことがわかる。また、可視域においても高い回折効率を確保しているため、デイモードやナイトモードの撮影時においても好ましい構成であることがわかる。
実施例1および2は比較例1〜3と比較して、ITOの混合比率を下げ、低屈折率高分散材料の近赤外帯域の部分分散比を特定関係式を満たし、低屈折率高分散材料と高屈折率低分散材料のΔnd−Δνdの傾きを緩くし、格子高さを上げることにより、可視および赤外帯域に対して高い回折効率と高い内部透過率を両立することができる。
実施例および比較例について、各数値について表1に示す。
表1より、本実施例が比較例と比較して(6)式、(8)式の関係および上述した関係を満足していることが確認できる。
また、本発明に係る回折格子部は本実施例の格子形成材料には限定されない。樹脂材料としてフッ素系、アクリル系、チオ芳香族系、フルオレン系、ビニル系、エポキシ系、等の有機樹脂が挙げられ、これらの樹脂材料に限定されない。また、各実施例では主に構成されている材料を示しており、複数の材料を混合した材料を用いても良く、これに限定されない。特に樹脂に関しては主に屈折率に影響を及ぼす樹脂成分を示している。開始材等の樹脂成分が屈折率に影響する場合はそれらを考慮して材料混合比率を設定することができる。
また、各実施例では設計次数を+1次にしているが、設計次数を+1次以外であっても同様の効果が得られるため、設計次数に限定されない。また、回折格子部の製造方法は特に限定されないが金型を用いて成形するとブレーズ形状を精度高く製造できるために好ましい。
具体的には第1の回折格子を金型を用いて成形し、第2の回折格子を構成する材料で格子部を埋めて接着することで製造することができる。逆に、第2の回折格子を成形し、第1の回折格子を格子部を埋めて接着してもよい。また、第1の回折格子と第2の回折格子をそれぞれ製造し、精度良く密着させる方法を用いても良い。各実施例はこれらの製造方法に限定されない。
また、第1の回折格子2の第1の格子形成材料と第2の回折格子3の第2の格子形成材料の界面に薄膜層を設けても構わなく、これに限定されない。第1の回折格子2の第1の格子形成材料と第2の回折格子3の第2の格子形成材料の界面密着性が良好でない場合は、第1の回折格子2と第2の回折格子3の界面に接着層を設けることにより、密着性を向上させることができる。
また、第1の回折格子2の第1の格子形成材料と第2の回折格子3の第2の格子形成材料の屈折率差が大きい場合は、第1の回折格子2と第2の回折格子3の界面に反射防止層を設けることにより、界面反射率を低減させることができる。また、回折格子部1とその反対の面は平面に限らず球面や非球面であっても良い。この場合、回折格子と同時に球面や非球面形状も同時に成形できるため、製造が容易になる。
[実施例3]
本発明の実施例3の概略図を図6に示す。図6は可視波長帯域から近赤外波長帯域まで使用する車載カメラや監視カメラなどの撮影光学系の断面を示したものである。同図中、1は回折光学素子、40は絞り、50は赤外カットフィルタや位相プレート等を含むガラスブロック、60は像面であり、CCDやCMOS等の固体撮像素子(光電変換素子)である。回折光学素子1は、レンズ機能を有する素子であり、撮影レンズの色収差を補正している。本発明の回折光学素子を適用すれば、高い回折効率と高い内部透過率を可能しているので、フレアが少なく透過率も高い高性能な撮影レンズが得られる。
図6では前玉のレンズの貼り合せ面に回折光学素子1を設けたが、これに限定するものではなく、レンズ表面に設けても良いし、撮影レンズ内に複数、回折光学素子を使用しても良い。また、本実施例では、カメラの撮影レンズの場合を示したが、これに限定するものではなく、ビデオカメラの撮影レンズ、事務機のイメージスキャナーや、デジタル複写機のリーダーレンズなど広波長域で使用される結像光学系に使用しても同様の効果が得られる。
1:回折光学素子
2:第1の回折格子
3:第2の回折格子
10:回折格子部
40:絞り
50:ガラスブロック
60:結像面

Claims (9)

  1. 互いに異なる材料により形成された第1の回折格子および第2の回折格子がこれらの格子面を密着した構造を有し、
    該第1の格子形成材料のd線における屈折率、アッベ数、s線とt線の部分分散比を各々nd1、νd1、θst1、第2の回折格子を構成する第2の格子形成材料のd線における屈折率、アッベ数を各々nd2、νd2とするとき
    以下の関係式を満足することを特徴とする回折光学素子。
    nd1<nd2
    νd1<νd2
    0.15 < θst1 < 0.35
    ただし、θst1は該第1の格子形成材料のF線(486.13nm)とs線(851.11nm)間の主分散に対する、s線とt線(1013.98nm)の部分分散比として以下の式で定義する。
    θst =(ns−nt)/(nF−ns)
  2. 前記回折光学素子が以下の関係式を満足することを特徴とする請求項1に記載の回折光学素子。
    0.0010 < Δnd/Δνd < 0.0018
    ただし、Δnd、Δνdは以下の式で定義する。
    Δnd=nd2−nd1
    Δνd=νd2−νd1
  3. 前記第1、第2の格子形成材料の波長430nm以上、1000nm以下の任意の波長λにおける屈折率をn1、n2、回折次数をmとするとき、
    以下の関係式を満足するΔΦが0.1以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の回折光学素子。
    ΔΦ=|1−(n2−n1)d/mλ|
  4. 前記第1の格子形成材料の波長800nm以上、1000nm以下の任意の波長λにおける消衰係数k(λ)、tを前記第1の回折格子のベース膜厚とするとき、
    以下の関係式を満足するTの波長平均が0.75以上、1.0以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回折光学素子。
    T=exp{−k×4π/λ×(d/2+h2)}
  5. 前記回折光学素子の格子高さが15μm以上、30μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回折光学素子。
  6. 前記第1の格子形成材料のベース膜厚は2μm以上、6μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回折光学素子。
  7. 前記回折光学素子のΔΦが0となる設計波長を使用波長帯域内に2つまたは3つ有し、
    いずれかの設計波長が650nm以上、700nm以下にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回折光学素子。
  8. 前記第1の回折格子を構成する材料はITO微粒子を混合させた樹脂材料であり、
    ITO微粒子の体積%が1%以上、5%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回折光学素子。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の回折光学素子を用いることを特徴とする光学系。
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