JP2019199840A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポート噴射弁の耐久力の低下を抑制することとPNを抑制することとの好適な両立を図ることができるようにした内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】CPU52は、燃焼室24内に充填される新気量に基づき要求噴射量を算出する。CPU52は、内燃機関10の吸気系の温度が規定温度未満の間は、要求噴射量を、吸気バルブ18の開弁前に燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量と、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量とに分割して噴射するマルチ噴射処理を実行する。CPU52は、吸気系の温度が規定温度以上となる場合、要求噴射量の燃料を1回で噴射するシングル噴射処理を実行する。【選択図】図1
Description
本発明は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用される内燃機関の制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、吸入空気量に基づき要求される燃料量を、吸気行程に燃料を噴射する吸気行程噴射と、燃焼行程に燃料を噴射する燃焼行程噴射とに分割して噴射すべくポート噴射弁を操作するマルチ噴射処理を実行する制御装置が記載されている。詳しくは、この制御装置は、内燃機関のクランク軸の回転速度に応じて、吸気行程噴射と燃焼行程噴射との分割比を設定しており、特に低回転領域では燃焼行程噴射のみからなるシングル噴射処理を行っている。
ところで、上記構成のように回転速度に応じてマルチ噴射処理を実行するかシングル噴射処理を実行するかを決定する場合、内燃機関の運転の仕方によっては、マルチ噴射処理の実行期間が長くなる。マルチ噴射処理の実行期間が長くなると、シングル噴射処理をする場合と比較して、ポート噴射弁の駆動回数が多くなることから、ポート噴射弁の耐久力が低下する懸念がある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、1燃焼サイクル内において要求される噴射量である要求噴射量の燃料を噴射すべく、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理とのいずれかを選択する選択処理と、前記ポート噴射弁を操作して前記選択処理によって選択された処理を実行する操作処理と、を実行し、前記選択処理は、前記内燃機関の吸気系の温度が規定温度以上である場合、前記シングル噴射処理を選択し、前記吸気系の温度が前記規定温度未満である場合、前記マルチ噴射処理を選択する処理である内燃機関の制御装置である。
1.吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、1燃焼サイクル内において要求される噴射量である要求噴射量の燃料を噴射すべく、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理とのいずれかを選択する選択処理と、前記ポート噴射弁を操作して前記選択処理によって選択された処理を実行する操作処理と、を実行し、前記選択処理は、前記内燃機関の吸気系の温度が規定温度以上である場合、前記シングル噴射処理を選択し、前記吸気系の温度が前記規定温度未満である場合、前記マルチ噴射処理を選択する処理である内燃機関の制御装置である。
内燃機関の吸気系の温度が低いときに、要求噴射量の燃料を全て吸気非同期噴射によって噴射する場合、負荷によっては排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)が多くなるおそれがある。これは、吸気系に付着する燃料量が多くなり、付着した燃料のせん断によって、一部が液滴のまま燃焼室に流入することによってPMが発生するためであると推察される。そこで上記構成では、要求噴射量の一部を同期噴射によって噴射することにより、非同期噴射量を低減し、ひいては吸気系に付着する燃料量を低減する。これにより、付着した燃料のせん断によって液滴のまま燃料が燃焼室に流入することを抑制できる。
ただし、吸気同期噴射および吸気非同期噴射からなるマルチ噴射処理を実行する場合、シングル噴射処理を実行する場合と比較すると、ポート噴射弁の駆動回数が多くなることから、ポート噴射弁の耐久力が低下する懸念を招く。そこで上記構成では、吸気系の温度が規定温度未満である場合にマルチ噴射処理を実行する一方、規定温度以上となるとシングル噴射処理を実行する。吸気系の温度が高い場合にはPNが顕著となりにくいため、上記構成では、ポート噴射弁の耐久力の低下を抑制することとPNを抑制することとの好適な両立を図ることができる。
2.上記1において、前記選択処理は、前記内燃機関の吸気系の温度が前記規定温度以上であるか否かを判定する判定処理を含み、前記判定処理は、前記内燃機関の吸入空気量の積算値が判定値以上であることを条件に前記規定温度以上であると判定する処理であり、前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための噴射量として前記要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理を実行する内燃機関の制御装置である。
上記積算値は、燃焼室内における燃焼エネルギと正の相関を有することから、積算値が大きい場合には小さい場合よりも吸気系の温度が高くなる傾向がある。特に吸気系のうちの吸気バルブは、燃焼室内で生じた熱を直接受けるものであることから、積算値を用いることで、吸気バルブの温度を精度良く把握することができる。このため、上記構成のように積算空気量が判定値以上であることを条件に規定温度以上であると判定する判定処理を実行することにより、吸気系の温度を精度良く把握できる。
3.上記2において、前記判定値を、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の冷却水の温度が低い場合に高い場合よりも大きい値に設定する判定値可変処理を実行する内燃機関の制御装置である。
内燃機関の始動時における冷却水の温度が低い場合には高い場合よりも吸気系の温度が規定温度以上となるまでに燃焼室内で生成されるトータルの燃焼エネルギ量が大きくなる。ここで、PNの抑制が必要である場合にはマルチ噴射処理を極力実行する制約の下で上記判定値を冷却水の温度に対して固定する場合、始動時の冷却水の温度が高い場合には吸気系の温度が実際には規定温度に達していてもマルチ噴射処理を継続することとなる。これに対し、上記構成では、始動時の冷却水の温度に応じて判定値を可変設定することにより、判定値を冷却水の温度に対して固定する場合と比較すると、吸気系の温度が規定温度以上となることにより極力早期にシングル噴射処理に移行することができる。
4.上記2または3において、前記判定値を、前記内燃機関の停止から始動までの期間が長い場合に短い場合よりも大きい値に設定する判定値可変処理を実行する内燃機関の制御装置である。
内燃機関の停止時間が、内燃機関とその周囲とが熱的な平衡状態となるのに要する時間よりも短い場合には、吸気バルブ等の吸気系の温度が冷却水の温度と一致しない傾向がある。また、停止時間が上記要する時間よりも短い場合、停止時間が長い場合には短い場合よりも吸気系の温度が低い傾向がある。ここで、PNの抑制が必要である場合にはマルチ噴射処理を極力実行する制約の下で上記判定値を停止時間に対して固定する場合、停止時間が短い場合には吸気系の温度が実際には規定温度に達していてもマルチ噴射処理を継続することとなる。これに対し、上記構成では、停止時間に応じて判定値を可変設定することにより、判定値を停止時間に対して固定する場合と比較すると、吸気系の温度が規定温度以上となることにより極力早期にシングル噴射処理に移行することができる。
5.上記2〜4のいずれか1つにおいて、前記判定処理は、前記積算値が前記判定値以上であることと、前記内燃機関の冷却水の温度が所定温度以上であることとの論理積が真である場合、前記規定温度以上であると判定する処理を含む内燃機関の制御装置である。
上記構成では、積算値に加えて冷却水の温度に基づき吸気系の温度が規定温度以上であるか否かを判定することにより、PNに影響を及ぼす吸気系の温度が規定温度以上となっているか否かを高精度に判定することができる。
以下、内燃機関の制御装置にかかる一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す内燃機関10は、車両の推力を生成する唯一の原動機である。内燃機関10の吸気通路12には、上流側から順に、スロットルバルブ14およびポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供される。そして、燃焼によって生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。
図1に示す内燃機関10は、車両の推力を生成する唯一の原動機である。内燃機関10の吸気通路12には、上流側から順に、スロットルバルブ14およびポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供される。そして、燃焼によって生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。
クランク軸28の回転動力は、タイミングチェーン38を介して、吸気側カム軸40および排気側カム軸42に伝達される。なお、本実施形態では、吸気側カム軸40には、吸気側バルブタイミング調整装置44を介してタイミングチェーン38の動力が伝達される。吸気側バルブタイミング調整装置44は、クランク軸28と吸気側カム軸40との回転位相差を調整することによって、吸気バルブ18の開弁タイミングを調整するアクチュエータである。
制御装置50は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量(トルク、排気成分比率等)を制御するために、上記スロットルバルブ14や、ポート噴射弁16、点火装置26、吸気側バルブタイミング調整装置44等の内燃機関10の操作部を操作する。この際、制御装置50は、クランク角センサ60の出力信号Scrや、エアフローメータ62によって検出される吸入空気量Ga、空燃比センサ64によって検出される空燃比Af、吸気側カム角センサ66の出力信号Sca、水温センサ68によって検出される内燃機関10の冷却水の温度(水温THW)を参照する。なお、図1には、スロットルバルブ14、ポート噴射弁16、点火装置26、スタータモータ36および吸気側バルブタイミング調整装置44のそれぞれを操作するための操作信号MS1〜MS5を記載している。
制御装置50は、CPU52、ROM54、および制御装置50内の各箇所に電力を供給する電源回路56を備えており、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより、上記制御量の制御を実行する。
図2に、制御装置50が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより実現される。
吸気位相差算出処理M10は、クランク角センサ60の出力信号Scrと吸気側カム角センサ66の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する処理である。目標吸気位相差算出処理M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する処理である。なお、本実施形態では、回転速度NEと充填効率ηとによって動作点を定義している。ここで、CPU52は、回転速度NEを、クランク角センサ60の出力信号Scrに基づき算出し、充填効率ηを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。なお、充填効率ηは、燃焼室24内に充填される新気量を定めるパラメータである。
吸気位相差算出処理M10は、クランク角センサ60の出力信号Scrと吸気側カム角センサ66の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する処理である。目標吸気位相差算出処理M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する処理である。なお、本実施形態では、回転速度NEと充填効率ηとによって動作点を定義している。ここで、CPU52は、回転速度NEを、クランク角センサ60の出力信号Scrに基づき算出し、充填効率ηを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。なお、充填効率ηは、燃焼室24内に充填される新気量を定めるパラメータである。
吸気位相差制御処理M14は、吸気位相差DINを目標吸気位相差DIN*に制御するために吸気側バルブタイミング調整装置44を操作すべく、吸気側バルブタイミング調整装置44に操作信号MS4を出力する処理である。
ベース噴射量算出処理M20は、充填効率ηに基づき、燃焼室24内の混合気の空燃比を目標空燃比とするための燃料量のベース値であるベース噴射量Qbを算出する処理である。詳しくは、ベース噴射量算出処理M20は、たとえば充填効率ηが百分率で表現される場合、空燃比を目標空燃比とするための充填効率ηの1%当たりの燃料量QTHに、充填効率ηを乗算することによりベース噴射量Qbを算出する処理とすればよい。ベース噴射量Qbは、燃焼室24内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するために算出された燃料量である。ちなみに、目標空燃比は、たとえば理論空燃比とすればよい。
フィードバック処理M22は、空燃比Afを目標値Af*にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量としてのベース噴射量Qbの補正比率δに「1」を加算したフィードバック補正係数KAFを算出して出力する処理である。詳しくは、フィードバック処理M22は、空燃比Afと目標値Af*との差を入力とする比例要素および微分要素の各出力値と、同差に応じた値の積算値を保持し出力する積分要素の出力値との和を補正比率δとする。
低温補正処理M24は、水温THWが所定温度Tth(たとえば60℃)未満の場合、ベース噴射量Qbを増量すべく、低温増量係数Kwを「1」よりも大きい値に算出する処理である。詳しくは、低温増量係数Kwは、水温THWが低い場合に高い場合よりも大きい値に算出される。なお、水温THWが所定温度Tth以上の場合には、低温増量係数Kwは「1」とされ、低温増量係数Kwによるベース噴射量Qbの補正量をゼロとする。
噴射弁操作処理M30は、ベース噴射量Qb、フィードバック補正係数KAFおよび低温増量係数Kwに基づき、ポート噴射弁16を操作すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力する処理である。詳しくは、ポート噴射弁16から1燃焼サイクル内に1つの気筒に供給することが要求される燃料量である要求噴射量Qdをポート噴射弁16から噴射させる処理である。ここで、要求噴射量Qdは、「KAF・Kw・Qb」である。
本実施形態では、燃料噴射処理として、図3(a)に例示する処理と、図3(b)に例示する処理との2通りの処理を有する。
図3(a)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置(吸気ポートの下流端、換言すれば燃焼室24への入り口部分)に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間に収まるように燃料を噴射するものである。ここで、「到達する期間」の始点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も早いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングであり、終点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も遅いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18が開弁する前に吸気バルブ18に到達するように燃料を噴射するものである。換言すれば、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が、吸気バルブ18が開弁するまでは吸気通路12内で滞留し、開弁した後に燃焼室24内に流入する噴射である。なお、本実施形態において吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとする。
図3(a)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置(吸気ポートの下流端、換言すれば燃焼室24への入り口部分)に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間に収まるように燃料を噴射するものである。ここで、「到達する期間」の始点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も早いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングであり、終点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も遅いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18が開弁する前に吸気バルブ18に到達するように燃料を噴射するものである。換言すれば、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が、吸気バルブ18が開弁するまでは吸気通路12内で滞留し、開弁した後に燃焼室24内に流入する噴射である。なお、本実施形態において吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとする。
図3(b)は、吸気非同期噴射のみを実行するシングル噴射処理である。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)を低減することを狙って実行される。すなわち、吸気通路12や吸気バルブ18等の内燃機関10の吸気系の温度がある程度低い場合、充填効率ηがある程度大きい領域においてシングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、充填効率ηが大きい場合には小さい場合よりも要求噴射量Qdが大きい値となり、結果、吸気系に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気系に付着した燃料量がある程度多くなる場合、付着した燃料のせん断によって、付着した燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、要求噴射量Qdの一部を吸気同期噴射によって噴射することにより、要求噴射量Qdが多い場合であっても、吸気系に付着する燃料量を要求噴射量Qdが多い割に少なくし、ひいてはPNの低減を図る。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)を低減することを狙って実行される。すなわち、吸気通路12や吸気バルブ18等の内燃機関10の吸気系の温度がある程度低い場合、充填効率ηがある程度大きい領域においてシングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、充填効率ηが大きい場合には小さい場合よりも要求噴射量Qdが大きい値となり、結果、吸気系に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気系に付着した燃料量がある程度多くなる場合、付着した燃料のせん断によって、付着した燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、要求噴射量Qdの一部を吸気同期噴射によって噴射することにより、要求噴射量Qdが多い場合であっても、吸気系に付着する燃料量を要求噴射量Qdが多い割に少なくし、ひいてはPNの低減を図る。
図4に、噴射弁操作処理M30の処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図4に示す一連の処理において、CPU52は、まず、スタータモータ36が起動されてから所定期間内であるか否かを判定する(S10)。ここで所定期間とは、燃焼室24内に充填される空気量を精度よく把握することができず、ベース噴射量Qbを精度よく算出することができない期間とする。CPU52は、所定期間内であると判定する場合(S10:YES)、マルチ噴射処理の要求があるか否かを判定する(S12)。そしてCPU52は、マルチ噴射処理の要求があると判定する場合(S12:YES)、水温THW、スタータON後の噴射回数、および内燃機関10が前回停止してから今回の始動までの経過時間である内燃機関10の停止時間Tstpに基づき、吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量Qnsを算出する(S14)。ここでCPU52は、水温THWが低い場合に高い場合よりも非同期噴射量Qnsを大きい値に算出する。またCPU52は、停止時間Tstpが長い場合に短い場合よりも非同期噴射量Qnsを大きい値に算出する。
次にCPU52は、水温THWに基づき、吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量Qsを算出する(S16)。ここでCPU52は、水温THWが低い場合に高い場合よりも同期噴射量Qsを大きい値に算出する。
上記非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの和は、1燃焼サイクルに要求される噴射量である要求噴射量Qdである。すなわち、S14,S16の処理は、要求噴射量Qdの燃料を、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとに分割する処理とみなせる。
次にCPU52は、水温THW、回転速度NEおよび吸気位相差DINに基づき、吸気同期噴射の噴射開始時期Isを算出する(S18)。これは、水温THW、回転速度NEおよび吸気位相差DINを入力変数とし、噴射開始時期Isを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態で、CPU52により噴射開始時期Isをマップ演算する処理となる。ここで、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とするのに対し、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
次にCPU52は、吸気非同期噴射の噴射開始時期Insを算出する(S20)。ここでCPU52は、吸気非同期噴射の噴射終了時期と吸気同期噴射の噴射開始時期Isとの時間間隔が所定時間以上となるように、吸気非同期噴射の噴射開始時期Insを算出する。ここで所定時間は、ポート噴射弁16の構造によって定まるものであり、時系列的に隣り合う燃料噴射のうちの進角側の噴射の終了前に遅角側の噴射が始まることを回避するための時間である。そしてCPU52は、噴射開始時期Insに非同期噴射量Qnsの燃料を噴射すべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作し、次に噴射開始時期Isに同期噴射量Qsの燃料を噴射すべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S22)。
これに対し、CPU52は、マルチ噴射処理の実行要求がないと判定する場合(S12:NO)、水温THW、スタータON後の噴射回数、および停止時間Tstpに基づき、1燃焼サイクルに要求される噴射量である要求噴射量Qdを算出する(S24)。次にCPU52は、噴射開始時期Isinを設定する(S26)。そしてCPU52は、噴射開始時期Isinに要求噴射量Qdの燃料を噴射させるべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S22)。
なお、CPU52は、S22の処理が完了する場合や、S10の処理において否定判定する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
図5に、噴射弁操作処理M30の処理の手順を示す。図5に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
図5に、噴射弁操作処理M30の処理の手順を示す。図5に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
図5に示す一連の処理において、CPU52は、まずスタータモータ36がON状態とされてから所定期間が経過したか否かを判定する(S30)。そしてCPU52は、所定期間が経過したと判定する場合(S30:YES)、マルチ噴射要求があるか否かを判定する(S32)。そしてCPU52は、マルチ噴射要求があると判定する場合(S32:YES)、ベース噴射量Qbに占める同期噴射量Qsの割合である同期噴射割合Ksを算出する(S34)。ここで、CPU52は、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに応じて、同期噴射割合Ksを算出する。詳しくは、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINを入力変数とし、同期噴射割合Ksを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態で、CPU52により同期噴射割合Ksがマップ演算される。
次にCPU52は、要求噴射量Qdに対する非同期噴射量Qnsの割合として非同期噴射割合Knsを算出する(S36)。詳しくは、CPU52は、「1」から「Ks/(KAF・Kw)」を減算することによって、非同期噴射割合Knsを算出する。次に、CPU52は、ベース噴射量Qbに同期噴射割合Ksを乗算した値を、同期噴射量Qsに代入する(S38)。次にCPU52は、要求噴射量Qdに非同期噴射割合Knsを乗算した値を、非同期噴射量Qnsに代入する(S40)。
これにより、非同期噴射量Qnsは、以下の値となる。
Ksn・KAF・Kw・Qb=KAF・Kw・Qb−Ks・Qb
このため、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの和は、「KAF・Kw・Qb」となり、これは要求噴射量Qdに等しい。すなわち、S34〜S40の処理によって、要求噴射量Qdの燃料が、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとに分割される。ちなみに、同期噴射量Qsは、フィードバック補正係数KAFおよび低温増量係数Kwの値に影響されることなく、「Ks・Qb」となる。これは、ベース噴射量Qbを、同期噴射量Qsと、「(1−Ks)・Qb」とに分割した後、「(1−Ks)・Qb」が補正された値が非同期噴射量Qnsとなることを意味する。このように、同期噴射量Qsを固定する理由は、同期噴射量Qsを変化させる場合の排気成分比率の変化が、非同期噴射量Qnsを変化させる場合の排気成分比率の変化よりも顕著となるためである。
Ksn・KAF・Kw・Qb=KAF・Kw・Qb−Ks・Qb
このため、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの和は、「KAF・Kw・Qb」となり、これは要求噴射量Qdに等しい。すなわち、S34〜S40の処理によって、要求噴射量Qdの燃料が、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとに分割される。ちなみに、同期噴射量Qsは、フィードバック補正係数KAFおよび低温増量係数Kwの値に影響されることなく、「Ks・Qb」となる。これは、ベース噴射量Qbを、同期噴射量Qsと、「(1−Ks)・Qb」とに分割した後、「(1−Ks)・Qb」が補正された値が非同期噴射量Qnsとなることを意味する。このように、同期噴射量Qsを固定する理由は、同期噴射量Qsを変化させる場合の排気成分比率の変化が、非同期噴射量Qnsを変化させる場合の排気成分比率の変化よりも顕著となるためである。
次に、CPU52は、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうち最も遅いタイミングで噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁期間における位置に到達するタイミングの目標値である図3(a)に示す到達終了時期AEsを算出する(S42)。そしてCPU52は、到達終了時期AEsと同期噴射量Qsと回転速度NEとに基づき、吸気同期噴射の噴射開始時期Isを算出する(S44)。ここで、CPU52は、同期噴射量Qsが大きい場合に小さい場合よりも噴射開始時期Isをより進角側の値に算出する。また、CPU52は、回転速度NEが大きい場合に小さい場合よりも噴射開始時期Isをより進角側の値とする。詳しくはCPU52は、同期噴射量Qsから定まるポート噴射弁16による噴射期間と、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁時の位置に到達するまでの飛行時間等を加算した値だけ、到達終了時期AEsに対して進角したタイミングを噴射開始時期Isとする。
次にCPU52は、噴射開始時期Isに基づき、非同期噴射の噴射開始時期Insを算出する(S46)。ここでは、吸気非同期噴射の噴射終了時期と噴射開始時期Isとの時間間隔が上記所定時間以上となるようにする。
上記処理により、吸気同期噴射の噴射開始時期Isが、吸気非同期噴射の噴射開始時期Insとは独立に設定される。これは、吸気同期噴射の上記到達終了時期AEsが排気中のPNやHCに特に影響しやすいためである。
そして、CPU52は、噴射開始時期Insにおいて非同期噴射量Qnsの燃料を噴射し、次に噴射開始時期Isにおいて同期噴射量Qsの燃料を噴射すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S48)。
一方、CPU52は、マルチ噴射処理の要求がないと判定する場合(S32:NO)、要求噴射量Qdに、「KAF・Kw・Qb」を代入する(S50)。次にCPU52は、シングル噴射の噴射開始時期Isinを算出する(S52)。詳しくは、CPU52は、図3(b)に示すように、吸気バルブ18の開弁時期に対して所定量Δ1だけ進角したタイミングを到達終了時期AEnsとする。次にCPU52は、要求噴射量から定まるポート噴射弁16による噴射期間と、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁時の位置に到達するまでの飛行時間等を加算した値だけ、到達終了時期AEsに対して進角したタイミングを噴射開始時期Isinとする。図5に戻り、CPU52は、噴射開始時期Isinにおいて要求噴射量Qdの燃料を噴射すべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S48)。
なお、CPU52は、S48の処理が完了する場合や、S30において否定判定する場合には、図5に示す一連の処理を一旦終了する。
図6に、噴射弁操作処理M30のうち、特にマルチ噴射処理の実行要求の判定に関する処理の手順を示す。図6に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
図6に、噴射弁操作処理M30のうち、特にマルチ噴射処理の実行要求の判定に関する処理の手順を示す。図6に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
図6に示す一連の処理において、イグニッションスイッチのオンオフに対応するIG信号が、オフ状態からオン状態に切り替わったかときであるか否かを判定する(S50)。CPU52は、切り替わったときであると判定する場合(S50:YES)、初期水温THW0に、現時点での水温THWを代入する(S52)。CPU52は、S52の処理が完了する場合や、S50の処理において否定判定する場合には、クランキング後、吸入空気量Gaの算出が可能となったか否かを判定する(S54)。この処理は、スタータモータ36を起動してから上記所定期間が経過したか否かの判定となる。
CPU52は、吸入空気量Gaの算出が可能となったと判定する場合(S54:YES)、内燃機関10の再始動時であるか否かを判定する(S56)。ここで、再始動時とは、IG信号がオン状態であるときに内燃機関10の自動停止処理(アイドリングストップ制御)がなされて内燃機関10が停止した後、内燃機関10の自動始動処理がなされたときであることを意味する。CPU52は、再始動時であると判定する場合(S56:YES)、再始動時水温THW1に、現時点での水温THWを代入する(S58)。
次にCPU52は、内燃機関10の自動停止時から現在までの経過時間として停止時間Tstpを取得する(S60)。
CPU52は、S60の処理が完了する場合や、S56の処理において否定判定する場合には、スタータモータ36が起動されてからの吸入空気量の積算値である総積算空気量InG0を更新する(S62)。ここでは、前回のS62の処理における総積算空気量InG0の値に、吸入空気量Gaを加算した値によって、総積算空気量InG0を更新すればよい。なお、総積算空気量InG0の初期値は、「0」とする。またCPU52は、再始動後である場合には、再始動時からの吸入空気量Gaの積算値である再始動後積算空気量InG1を更新する。なお、再始動後積算空気量InG1の初期値は、「0」であり、再始動後積算空気量InG1は、再始動時となる都度初期化される。
CPU52は、S60の処理が完了する場合や、S56の処理において否定判定する場合には、スタータモータ36が起動されてからの吸入空気量の積算値である総積算空気量InG0を更新する(S62)。ここでは、前回のS62の処理における総積算空気量InG0の値に、吸入空気量Gaを加算した値によって、総積算空気量InG0を更新すればよい。なお、総積算空気量InG0の初期値は、「0」とする。またCPU52は、再始動後である場合には、再始動時からの吸入空気量Gaの積算値である再始動後積算空気量InG1を更新する。なお、再始動後積算空気量InG1の初期値は、「0」であり、再始動後積算空気量InG1は、再始動時となる都度初期化される。
CPU52は、S62の処理が完了する場合やS54の処理において否定判定する場合には、S64の処理に移行する。CPU52は、S64の処理において、総積算空気量InG0が判定値Inth0以上である旨の条件(ア)と、再始動後積算空気量InG1が判定値Inth1以上である旨の条件(イ)と、現時点での水温THWが所定温度Tth以上である旨の条件(ウ)との論理積が真であるか否かを判定する。この処理は、吸気通路12や吸気バルブ18等からなる内燃機関10の吸気系の温度が規定温度以上であるか否かを判定する処理である。ここで、規定温度は、シングル噴射処理を実行してもPNが許容範囲内に収まる値に設定されている。なお、所定温度Tthは、規定温度以上に設定されることが望ましい。
ここで、CPU52は、初期水温THW0が低い場合に高い場合よりも判定値Inth0を大きい値に算出する。これは、たとえば、初期水温THW0を入力変数とし、判定値Inth0を出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態で、CPU52により判定値Inth0をマップ演算することによって実現すればよい。また、CPU52は、再始動時水温THW1が高い場合に低い場合よりも判定値Inth1を大きい値に算出する。またCPU52は、停止時間Tstpが長い場合に短い場合よりも判定値Inth1を大きい値に算出する。これは、たとえば、再始動時水温THW1および停止時間Tstpを入力変数とし、判定値Inth1を出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態で、CPU52により判定値Inth1をマップ演算することによって実現すればよい。なお、CPU52は、再始動後ではない場合、判定値Inth1をゼロとする。このため、再始動時ではない場合、上記条件(イ)は自動的に成立することとなる。
CPU52は、論理積が真であると判定する場合(S64:YES)、シングル噴射処理を選択する(S66)。これに対しCPU52は、論理積が偽であると判定する場合(S64:NO)、水温THWが、上記所定温度Tthよりも低い低閾値TL以上であるか否かを判定する(S68)。ここで、低閾値TLは、水温THWが低いために、要求噴射量Qdが過度に大きくなり、吸気非同期噴射の噴射終了時期と吸気同期噴射の噴射開始時期Isとの時間間隔を上記所定時間以上とすることができないか否かを判定するものである。CPU52は、S68の処理において否定判定する場合には、マルチ噴射処理を実行することが困難であるとして、S66の処理に移行する。これに対しCPU52は、水温THWが低閾値TL以上であると判定する場合(S68:YES)、マルチ噴射処理を選択する(S70)。この場合、マルチ噴射要求があることとなる。
なお、CPU52は、S66,S70の処理が完了する場合、図6に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU52は、IG信号がオフ状態からオン状態に切り替わると、その時の水温THWを、初期水温THW0として記憶する。また、CPU52は、自動停止処理後の自動始動処理の実行要求が生じる場合、その時の水温THWを再始動時水温THW1として記憶する。CPU52は、スタータモータ36を起動した後、燃料噴射を開始する。ここで、スタータモータ36の起動後所定期間内は、水温THWに応じて要求噴射量Qdを定める。ここで、判定値Inth0は、初期水温THW0が所定温度Tthよりも高い高閾値以上となる場合には、ゼロとなるように設定されている。また、判定値Inth1は、再始動時水温THW1が高閾値以上となる場合には、ゼロとなるように設定されている。このため、スタータモータ36の起動時の水温THWが高閾値以上である場合には、CPU52は、シングル噴射処理を実行し、高閾値未満の場合にはマルチ噴射処理を実行する。
その後所定期間が経過すると、CPU52は、水温THWが所定温度Tth以上であることに加えて、総積算空気量InG0や再始動後積算空気量InG1がそれぞれ判定値Inth0,Inth1以上である場合に、PN低減の観点からマルチ噴射処理を実行する必要がないとしてシングル噴射処理を実行する。ここで、水温THWが所定温度Tth以上であっても、総積算空気量InG0が判定値Inth0未満であったり再始動後積算空気量InG1が判定値Inth1未満であったりすることがある。そしてその場合、吸気バルブ18の温度が、規定温度未満であるおそれがある。これは、吸気バルブ18が燃焼室24内の熱を直接受けるために吸気バルブ18の温度が燃焼室24内で生じた熱量に大きく依存することから、水温THWによって吸気バルブ18の温度が一義的に定まらないためである。したがって、総積算空気量InG0が判定値Inth0未満であったり再始動後積算空気量InG1が判定値Inth1未満であったりする場合には、水温THWが高い割に、吸気バルブ18の温度が未だ十分高くはないという事態となりうる。ここで、水温THWの判定値である所定温度Tthを、吸気バルブ18等の温度が規定温度以上となる値に設定するなら上記条件(ア)および条件(イ)を設けないことも可能である。しかしその場合には、所定温度Tthを過度に大きい値に設定せざるを得ず、シングル噴射処理に移行してもPNを許容範囲内とすることができるときであっても、マルチ噴射処理が実行されるケースが生じる。
これに対し本実施形態では、上記条件(ア)および条件(イ)を設けることにより、上記条件(ウ)のみからマルチ噴射処理の実行要求があるか否かを判定する場合と比較すると、所定温度Tthを小さい値に設定することができる。このため、PNを許容範囲内とすることができるときには極力シングル噴射処理を実行することができる。このため、ポート噴射弁16の駆動回数の増加を抑制することができ、ポート噴射弁16の耐久力の低下を抑制できる。また、シングル噴射処理によれば、マルチ噴射処理と比較して燃料の霧化を促進することができ、またHCの発生を抑制することができる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]マルチ噴射処理は、図3(a)に示す処理に対応し、シングル噴射処理は、図3(b)に示す処理に対応する。選択処理は、図6の処理に対応し、操作処理は、S22,S48の処理に対応する。[2]判定処理は、S64の処理に対応し、要求噴射量算出処理は、ベース噴射量算出処理M20、フィードバック処理M22、および低温補正処理M24に対応する。すなわち、要求噴射量Qdは、「Qb・KAF・Kw」であるため、上記各処理のそれぞれによって、ベース噴射量Qb、フィードバック補正係数KAF、低温増量係数Kwが算出されることによって、要求噴射量Qdが算出されたとみなせる。[3]判定値可変処理は、S64の処理において、判定値Inth0や判定値Inth1が水温に応じて設定されていることに対応する。[4]判定値可変処理は、S64の処理において、判定値Inth1が停止時間Tstpに応じて設定されていることに対応する。[5]判定処理は、S64の処理に対応する。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]マルチ噴射処理は、図3(a)に示す処理に対応し、シングル噴射処理は、図3(b)に示す処理に対応する。選択処理は、図6の処理に対応し、操作処理は、S22,S48の処理に対応する。[2]判定処理は、S64の処理に対応し、要求噴射量算出処理は、ベース噴射量算出処理M20、フィードバック処理M22、および低温補正処理M24に対応する。すなわち、要求噴射量Qdは、「Qb・KAF・Kw」であるため、上記各処理のそれぞれによって、ベース噴射量Qb、フィードバック補正係数KAF、低温増量係数Kwが算出されることによって、要求噴射量Qdが算出されたとみなせる。[3]判定値可変処理は、S64の処理において、判定値Inth0や判定値Inth1が水温に応じて設定されていることに対応する。[4]判定値可変処理は、S64の処理において、判定値Inth1が停止時間Tstpに応じて設定されていることに対応する。[5]判定処理は、S64の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「要求噴射量について」
(a)スタータON後所定期間内
上記実施形態では、水温THW、噴射回数および停止時間Tstpに基づき、要求噴射量Qdを算出したが、これに限らない。たとえば、要求噴射量Qdを、上記3つのパラメータについては、水温THWのみに基づき算出したり、水温THWおよび噴射回数のみに基づき算出したり、水温THWおよび停止時間Tstpのみに基づき算出したりしてもよい。
(a)スタータON後所定期間内
上記実施形態では、水温THW、噴射回数および停止時間Tstpに基づき、要求噴射量Qdを算出したが、これに限らない。たとえば、要求噴射量Qdを、上記3つのパラメータについては、水温THWのみに基づき算出したり、水温THWおよび噴射回数のみに基づき算出したり、水温THWおよび停止時間Tstpのみに基づき算出したりしてもよい。
(b)スタータON後所定期間経過後
要求噴射量Qdを、低温増量係数Kwや、フィードバック補正係数KAFに加えて、学習値LAFによってベース噴射量Qbが補正されたものとしてもよい。ちなみに、学習値LAFの算出処理は、フィードバック補正係数KAFを入力とし、フィードバック補正係数KAFによるベース噴射量Qbの補正比率が小さくなるように学習値LAFを更新する処理である。なお、学習値LAFは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。
要求噴射量Qdを、低温増量係数Kwや、フィードバック補正係数KAFに加えて、学習値LAFによってベース噴射量Qbが補正されたものとしてもよい。ちなみに、学習値LAFの算出処理は、フィードバック補正係数KAFを入力とし、フィードバック補正係数KAFによるベース噴射量Qbの補正比率が小さくなるように学習値LAFを更新する処理である。なお、学習値LAFは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。
また、たとえば1燃焼サイクル内に燃焼室24内に流入する燃料量に対する1燃焼サイクルにおいてポート噴射弁16から噴射される燃料以外の燃料(外乱燃料)の割合に基づくフィードフォワード制御によって、外乱燃料の割合が大きい場合に小さい場合よりも要求噴射量Qdが小さくなるようにして要求噴射量Qdを算出してもよい。ここで、外乱燃料としては、たとえばポート噴射弁16から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンクからの燃料蒸気を捕集するキャニスタと、キャニスタ内の流体の吸気通路12への流入量を調整する調整装置とを内燃機関が備える場合、キャニスタから吸気通路12に流入する燃料蒸気がある。またたとえば、クランクケース内の燃料蒸気を吸気通路12に戻すシステムを備える場合には、クランクケースから吸気通路12に流入する燃料蒸気がある。
・「マルチ噴射処理における吸気非同期噴射について」
上記実施形態では、吸気非同期噴射を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたが、これに限らない。たとえば回転速度NEが高くて且つ非同期噴射量Qnsが過度に多い場合、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複してもよい。
上記実施形態では、吸気非同期噴射を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたが、これに限らない。たとえば回転速度NEが高くて且つ非同期噴射量Qnsが過度に多い場合、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複してもよい。
・「吸気同期噴射について」
(a)スタータON後所定期間内
上記実施形態では、水温THW,回転速度NEおよび吸気位相差DINに基づき、噴射開始時期Isを設定したが、これに限らない。たとえば上記3つのパラメータについては、そのうちの1つのみに基づき設定したり、2つのみに基づき設定したりしてもよい。
(a)スタータON後所定期間内
上記実施形態では、水温THW,回転速度NEおよび吸気位相差DINに基づき、噴射開始時期Isを設定したが、これに限らない。たとえば上記3つのパラメータについては、そのうちの1つのみに基づき設定したり、2つのみに基づき設定したりしてもよい。
(b)スタータON後所定期間経過後
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、到達終了時期AEsを設定したが、これに限らない。たとえば、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき噴射開始時期Isを直接設定してもよい。また、燃焼室24内に充填される新気量を示すパラメータである負荷を示すパラメータとして、充填効率ηに代えて、たとえばベース噴射量Qbを用いてもよい。また、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、そのうちの3つのパラメータのみに基づき、到達終了時期AEsや噴射開始時期Isを可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、到達終了時期AEsを設定したが、これに限らない。たとえば、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき噴射開始時期Isを直接設定してもよい。また、燃焼室24内に充填される新気量を示すパラメータである負荷を示すパラメータとして、充填効率ηに代えて、たとえばベース噴射量Qbを用いてもよい。また、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、そのうちの3つのパラメータのみに基づき、到達終了時期AEsや噴射開始時期Isを可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。
・「シングル噴射処理について」
上記実施形態では、シングル噴射処理を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射する処理としたがこれに限らない。たとえば、要求噴射量Qdが大きい場合には、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の閉弁期間と重複することがあってもよい。
上記実施形態では、シングル噴射処理を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射する処理としたがこれに限らない。たとえば、要求噴射量Qdが大きい場合には、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の閉弁期間と重複することがあってもよい。
・「判定処理について」
上記実施形態では、上記条件(ア)、条件(イ)および条件(ウ)の論理積が真である場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定したが、これに限らない。たとえば、次の条件(エ)と、条件(ウ)との論理積が真である場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定してもよい。ここで、条件(エ)は、上記条件(イ)における再始動後積算空気量InG1を、再始動であるか否かを問わず直前の始動からの吸入空気量Gaの積算値とし、判定値Inth1を、直前の始動時の水温THWと直前の停止から直前の始動までの経過時間とに基づき可変設定することとした条件である。またたとえば、条件(エ)が成立する場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定してもよい。
上記実施形態では、上記条件(ア)、条件(イ)および条件(ウ)の論理積が真である場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定したが、これに限らない。たとえば、次の条件(エ)と、条件(ウ)との論理積が真である場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定してもよい。ここで、条件(エ)は、上記条件(イ)における再始動後積算空気量InG1を、再始動であるか否かを問わず直前の始動からの吸入空気量Gaの積算値とし、判定値Inth1を、直前の始動時の水温THWと直前の停止から直前の始動までの経過時間とに基づき可変設定することとした条件である。またたとえば、条件(エ)が成立する場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定してもよい。
上記実施形態では、車両の推力を生成する原動機として内燃機関のみを備えた車両においてアイドリングストップ制御を実行することを前提としたが、これに限らない。たとえば車両の推力を生成する原動機として内燃機関に加えて回転電機を備えるいわゆるハイブリッド車両であってもよい。この場合、条件(エ)および条件(ウ)の論理積が真である場合に吸気系の温度が規定温度以上と判定してもよい。もっとも、上記条件(ア)、条件(イ)および条件(ウ)の論理積が真となる場合に吸気系の温度が規定温度以上と判定してもよい。ただし、ここで条件(ア)は、車両を走行可能とする信号がオフからオンに切り替わった後の吸入空気量Gaの積算値を総積算空気量InG0とするものである。また、条件(イ)は、走行可能とする信号がオフからオンに切り替わった後の2回目以降の始動時からの吸入空気量Gaの積算値を再始動後積算空気量InG1とした条件である。
またたとえば、アイドリングストップ制御を実行しないものであるなら、上記条件(ア)および条件(ウ)の論理積が真である場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定してもよい。さらに、条件(ア)が成立する場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定してもよく、またたとえば条件(ウ)が成立する場合に吸気系の温度が規定温度以上であると判定してもよい。
たとえば、燃料中のアルコール濃度を検出するアルコール濃度センサの検出値等、アルコール濃度を取得可能である場合、判定値Inth0や判定値Inth1を、アルコール濃度に応じて可変設定してもよい。この場合、アルコール濃度が高い場合に低い場合よりも判定値Inth0や判定値Inth1を大きい値に設定する。
・「選択処理について」
マルチ噴射処理を選択する条件としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば下記の条件(オ)や条件(カ)を設けてもよい。
マルチ噴射処理を選択する条件としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば下記の条件(オ)や条件(カ)を設けてもよい。
条件(オ):充填効率ηが所定値以上である旨の条件である。この条件は、シングル噴射処理をしたのでは吸気通路12に付着する燃料量が過度に大きくなり、PNが顕著となるおそれがある旨の条件である。ただし、この条件は、スタータON後所定期間経過後の条件である。
条件(カ):回転速度NEが所定速度NEth以下である旨の条件である。この条件は、吸気非同期噴射の終了タイミングと噴射開始時期Isとの時間間隔を上記所定時間以上に確保できる旨の条件である。また、この条件は、マルチ噴射処理がシングル噴射処理よりも演算負荷が大きいことから、制御装置50の演算負荷の増大によって発熱量が過大となることを抑制する旨の条件である。
・「要求噴射量の分割手法について」
(a)スタータON後所定期間内
上記実施形態では、S14の処理によって算出された非同期噴射量Qnsと、S16の処理によって算出された同期噴射量Qsとの和が要求噴射量Qdとなることから、S14,S16の処理によって要求噴射量Qdを同期噴射量Qsと非同期噴射量Qnsとに分割する処理が実行されるとみなせる。ここで、たとえばS16の処理に代えて、水温THWに加えて噴射回数と停止時間Tstpとに応じて同期噴射量Qsを算出してもよい。
(a)スタータON後所定期間内
上記実施形態では、S14の処理によって算出された非同期噴射量Qnsと、S16の処理によって算出された同期噴射量Qsとの和が要求噴射量Qdとなることから、S14,S16の処理によって要求噴射量Qdを同期噴射量Qsと非同期噴射量Qnsとに分割する処理が実行されるとみなせる。ここで、たとえばS16の処理に代えて、水温THWに加えて噴射回数と停止時間Tstpとに応じて同期噴射量Qsを算出してもよい。
(b)スタータON後所定期間経過後
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、ベース噴射量Qbのうちの同期噴射量Qsの占める割合を示す同期噴射割合Ksを可変設定したが、これに限らない。たとえば、燃焼室24内に充填される新気量を示すパラメータである負荷パラメータとして、充填効率ηに代えて、要求噴射量Qdを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWと吸気位相差DINとの4つのパラメータについては、それらのうちの3つパラメータのみに基づき可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。なお、この際、負荷パラメータおよび水温THWのうちの少なくとも1つを極力用いて可変設定することが望ましい。また、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、ベース噴射量Qbのうちの同期噴射量Qsの占める割合を示す同期噴射割合Ksを可変設定したが、これに限らない。たとえば、燃焼室24内に充填される新気量を示すパラメータである負荷パラメータとして、充填効率ηに代えて、要求噴射量Qdを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWと吸気位相差DINとの4つのパラメータについては、それらのうちの3つパラメータのみに基づき可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。なお、この際、負荷パラメータおよび水温THWのうちの少なくとも1つを極力用いて可変設定することが望ましい。また、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
また、同期噴射割合Ksを定めること自体、必須ではない。たとえば上記実施形態やその変更例において同期噴射割合Ksを定めたパラメータに基づき、同期噴射量Qsを算出してもよい。この場合、非同期噴射量Qnsを、「Qb・KAF・Kw−Qs」とすればよい。
たとえばベース噴射量Qbがフィードバック補正係数KAFによって補正された値「KAF・Qb」を、同期噴射割合Ksによって分割したものを同期噴射量Qsとしてもよい。この場合、同期噴射量Qsは、「Ks・KAF・Qb」となる。
・「吸気バルブの特性可変装置について」
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となることから、上記実施形態やその変更例において吸気位相差DINに代えてリフト量等を用いればよい。
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となることから、上記実施形態やその変更例において吸気位相差DINに代えてリフト量等を用いればよい。
・「制御装置について」
制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「そのほか」
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
10…内燃機関、12…吸気通路、14…スロットルバルブ、16…ポート噴射弁、18…吸気バルブ、20…シリンダ、22…ピストン、24…燃焼室、26…点火装置、28…クランク軸、30…排気バルブ、32…排気通路、34…触媒、36…スタータモータ、38…タイミングチェーン、40…吸気側カム軸、42…排気側カム軸、44…吸気側バルブタイミング調整装置、50…制御装置、52…CPU、54…ROM、56…電源回路、60…クランク角センサ、62…エアフローメータ、64…空燃比センサ、66…吸気側カム角センサ、68…水温センサ。
Claims (5)
- 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
1燃焼サイクル内において要求される噴射量である要求噴射量の燃料を噴射すべく、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理とのいずれかを選択する選択処理と、
前記ポート噴射弁を操作して前記選択処理によって選択された処理を実行する操作処理と、を実行し、
前記選択処理は、前記内燃機関の吸気系の温度が規定温度以上である場合、前記シングル噴射処理を選択し、前記吸気系の温度が前記規定温度未満である場合、前記マルチ噴射処理を選択する処理である内燃機関の制御装置。 - 前記選択処理は、前記内燃機関の吸気系の温度が前記規定温度以上であるか否かを判定する判定処理を含み、
前記判定処理は、前記内燃機関の吸入空気量の積算値が判定値以上であることを条件に前記規定温度以上であると判定する処理であり、
前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための噴射量として前記要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理を実行する請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記判定値を、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の冷却水の温度が低い場合に高い場合よりも大きい値に設定する判定値可変処理を実行する請求項2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記判定値を、前記内燃機関の停止から始動までの期間が長い場合に短い場合よりも大きい値に設定する判定値可変処理を実行する請求項2または3記載の内燃機関の制御装置。
- 前記判定処理は、前記積算値が前記判定値以上であることと、前記内燃機関の冷却水の温度が所定温度以上であることとの論理積が真である場合、前記規定温度以上であると判定する処理を含む請求項2〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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