(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る制御装置としてのECU60が適用される燃料噴射システム100について、図面を参照しつつ説明する。燃料噴射システム100は、車両ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射システムである。本実施形態において、燃料噴射システム100が「燃料供給システム」に相当する。
図1は、燃料噴射システム100の概要を示す構成図である。図1において、多気筒ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)10には気筒毎に電磁式インジェクタ11が配設され、これらインジェクタ11は各気筒共通のコモンレール(蓄圧配管)12に接続されている。コモンレール12には燃料ポンプとしての高圧ポンプ13が接続されている。高圧ポンプ13は、フィードポンプ15によって燃料タンク16から汲み上げられた低圧燃料を、低圧通路36を通じて吸入するとともに加圧して高圧通路41を通じてコモンレール12に吐出する。これにより、高圧燃料がコモンレール12に蓄圧される。本実施形態において、低圧通路36が「吸入通路」に相当する。
次に、高圧ポンプ13の構造及び動作について図2を用いて説明する。高圧ポンプ13には、ポンプ本体にシリンダ31が設けられており、シリンダ31内においてプランジャ32が往復可能に収容されている。プランジャ32の一端は、カムリング33に当接されている。カムリング33は、クランク軸に接続されたカム軸34に固定されており、エンジン駆動に伴うクランク軸の回転により回転する。このカムリング33の回転に伴いプランジャ32が往復動する。
シリンダ31内には、プランジャ32に隣接して加圧室35が設けられている。加圧室35には、低圧通路36と高圧通路41とが接続されている。プランジャ32の動きに合わせて低圧通路36内の燃料が吸入され、その吸入された燃料が加圧されて加圧室35から圧送される。
低圧通路36には燃圧センサ18が設けられており、この燃圧センサ18により低圧通路36内の燃料圧力(以下、吸入圧力という)PBが検出される。
高圧ポンプ13の低圧通路36側には、調量弁38が設けられている。調量弁38は、例えば電磁式の流量制御弁(PCV)であり、非通電時に開弁状態となるノーマリオープン弁として構成されている。具体的には、調量弁38の周囲には、ソレノイド39が設けられており、ソレノイド39に流れる駆動電流Inにより生じる磁力によって低圧通路36を開閉する(図2(a)参照)。なお、調量弁38は、電磁式の流量制御弁に限らず、圧電式の流量制御弁でもよい。ソレノイド39は、圧送期間Tpにおいて駆動電流Inを供給されることで調量弁38を閉弁する(図2(b)参照)。そして、ソレノイド39は、所定期間だけ駆動電流Inを供給された後、その供給が遮断される。以下、ソレノイド39に駆動電流Inを供給することを、調量弁38への通電という。
高圧ポンプ13の高圧通路41側には、吐出弁42が設けられている。吐出弁42は、周知の逆止弁により構成されており、加圧室35の燃料圧力に応じて加圧室35から燃料が流出することのみを許容し、コモンレール12から加圧室35に燃料が流入することを規制する。
加圧室35内の容積が増加する吸入期間Tbでは、調量弁38への通電が遮断されているため、調量弁38が開弁状態となる。すなわち、加圧室35と低圧通路36とが連通状態になる。このとき、調量弁38が開弁状態でプランジャ32が上死点(TDC)から下死点(BDC)に向かって移動して、加圧室35の容積が大きくなる(図2(c)参照)。そして、フィードポンプ15から汲み上げられた低圧燃料が加圧室35に吸入される。
加圧室35内の容積が減少する圧送期間Tpでは、プランジャ32が下死点から上死点に向かって移動する際、調量弁38に通電せず開弁状態を保つことにより、加圧室35内の燃料が低圧通路36側に逆流する。調量弁38が閉弁される前までの期間がプレストローク期間Tkである。
この逆流により、閉弁開始時期Tf前における低圧通路36内の吸入圧力PBが一時的に上昇する(図2(d)参照)。閉弁開始時期Tfは、調量弁38の閉弁動作を開始する時期であり、具体的には、ソレノイド39に駆動電流Inの供給を開始する時期である。以下、この一時的に上昇した吸入圧力PBをサージ圧力Pcという。本実施形態において、吸入圧力PBが「吸入側の燃料圧力」に相当し、サージ圧力Pcが「調量弁の閉弁動作開始前における燃料圧力,閉弁前圧力」に相当する。
その後、閉弁時期Tcに調量弁38が閉弁状態となると、加圧室35内の燃料の圧力が上昇し、その圧力上昇により高圧化された高圧燃料が吐出弁42を経由してコモンレール12に吐出される。高圧燃料がコモンレール12に吐出される期間が燃料吐出期間Tsである。
したがって、高圧ポンプ13は、プランジャ32の往復動により加圧室35における燃料の吸入及び圧送を行う。そして、調量弁38の閉弁時期Tcの調整、つまり、プレストローク期間Tkの調整により燃料吐出量Qを制御することができる。すなわち、調量弁38の閉弁時期Tcを早くすることにより燃料吐出量Qが多くなり、閉弁時期Tcを遅くすることにより燃料吐出量Qが少なくなる。
通電により調量弁38が閉弁し、加圧室35の圧力が上昇すると、調量弁38への通電を遮断しても、加圧室35の燃料圧力により調量弁38は閉弁状態に保持される。したがって、図2に示すように、プランジャ32が上死点に達する前に調量弁38の通電が遮断される。
図1の説明に戻り、コモンレール12にはコモンレール圧センサ17が設けられており、このコモンレール圧センサ17によりコモンレール12内の燃料圧力(以下、吐出圧力という)PSが検出される。図示は省略するが、コモンレール12には電磁駆動式(又は機械式)の減圧弁が設けられており、吐出圧力PSが過剰に上昇した場合にはこの減圧弁が開放されて減圧が行われるようになっている。本実施形態において、吐出圧力が「吐出側の燃料圧力」に相当する。
ECU60は、CPU、ROM、RAM、EEPROM(登録商標)等からなる周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニットである。ECU60には、燃圧センサ18やコモンレール圧センサ17の検出信号の他、エンジン10の回転速度を検出するための回転速度センサ、ドライバによるアクセル操作量を検出するアクセル開度センサ、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ、コモンレール12内の燃料温度を検出する燃料温度センサなどの各種センサから検出信号が逐次入力される。そして、ECU60は、エンジン回転速度やアクセル開度等のエンジン運転情報に基づいて最適な燃料噴射量及び噴射時期を決定し、それに応じた噴射制御信号をインジェクタ11に出力する。これにより、各気筒においてインジェクタ11から燃焼室への燃料噴射が制御される。
また、ECU60は、エンジン運転情報に基づいて吸入圧力PBの目標圧力PBtg(図3参照)を設定するとともに、吐出圧力PSの目標圧力PStg(図3参照)を設定し、吐出圧力PSが目標圧力PStgに一致するように燃料吐出量Q等を制御する。
ところで、高圧ポンプ13が所定の運転条件であると、プランジャ32の往復動サイクル毎に、吐出圧力PSが目標圧力PStgよりも高くなる第1状態St1と、目標圧力PStgよりも低くなる第2状態St2と、を交互に繰り返す圧力脈動(図3(e)のグラフF1参照)が生じることが確認された。この圧力脈動は、本発明者らの実験と解析により初めて確認されたものである。
圧力脈動の原因を、図3を用いて説明する。図3は、プランジャ32の往復動に伴う吸入圧力PBの推移を示す。ここで、図3(a)は、調量弁38の開閉状態の推移を示し、図3(b)は、プランジャ32の往復動の推移を示す。図3(c)は、通常状態における吸入圧力PBの推移を示し、図3(d)は、低圧燃料の供給状態悪化時における吸入圧力PBの推移を示す。図3(e)は、吐出圧力PSの推移を示し、図3(f)は、燃料吐出量Qの推移を示す。なお、図3(a),(e),(f)には、後述する制御処理の実施前における各種値の推移を示すグラフF1(実線)と、制御処理の実施後における各種値の推移を示すグラフF2(破線)と、が示されている。
図3に示すように、圧送期間Tpでは、プレストローク期間Tkに調量弁38が開弁状態に保たれることにより、吸入圧力PBにサージ圧力Pcが生じる。図3(c)に示すように、低圧燃料の供給状態が良好な通常状態では、サージ圧力Pcは所定の閾値Pthに保たれる。
しかし、何らかの原因で低圧燃料の供給状態が悪化すると、加圧室35に吸入される低圧燃料が減少し、燃料吐出量Qが減少する。また、供給状態の悪化によりサージ圧力Pcの発生時期が遅れ、サージ圧力Pcのピーク高さは閾値Pthよりも増加する。燃料吐出量Qが減少した次の往復動サイクルでは、前回の往復動サイクルにおいて加圧室35への吸入が減少しているため、低圧通路36の圧力回復が早く、加圧室35に吸入される低圧燃料が増加し、燃料吐出量Qが増加する。また、サージ圧力Pcの発生時期が早くなり、サージ圧力Pcのピーク高さは閾値Pthよりも減少する。
これ以降、高圧ポンプ13では、プランジャ32の往復動サイクル毎に、燃料吐出量Qの増加と減少とが交互に繰り返される。これに伴い、サージ圧力Pcには、プランジャ32の往復動サイクル毎に、閾値Pthよりも高くなる状態と、閾値Pthよりも低くなる状態とを交互に繰り返す圧力ばらつきが生じる(図3(d)参照)。
サージ圧力Pcに圧力ばらつきが生じると、吐出圧力PSに圧力脈動が生じる(図3(e)のグラフF1参照)。圧力ばらつきに起因して圧力脈動が生じるメカニズムは、未だ完全に解明されていない。そして、吐出圧力PSに圧力脈動が生じると、前回の往復動サイクルにおいて測定された吐出圧力PSに基づいて、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qを制御するフィードバック制御を実施することができない。
前回の往復動サイクルにおいて測定された吐出圧力PSに基づいて現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qの制御を行うと、以下のようになる。例えば前回の第1状態St1の往復動サイクルにおいて測定された比較的高い吐出圧力PSに基づいて、現在の第2状態St2の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが減少するように制御される。また、前回の第2状態St2の往復動サイクルにおいて測定された比較的低い吐出圧力PSに基づいて、現在の第1状態St1の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが増加するように制御される。この結果、第1状態St1における燃料吐出量Qと第2状態St2における燃料吐出量Qとの差が増加するように制御され、燃料吐出量Qを適切に制御することができない。
そこで、本実施形態では、圧力脈動が生じていると判定された場合に、現在の往復動サイクルよりも2回前の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qと目標燃料吐出量Qtgとの吐出量差ΔQに基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御する制御処理を実施する。これにより、第1状態St1又は第2状態St2を示す圧力状態が、現在の往復動サイクルと等しい2n回前の往復動サイクルにおける吐出量差ΔQに基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御することで、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qを好適に制御することができる。
次に、ECU60により実施される制御処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。本処理は、ECU60によりプランジャ32の往復動サイクル毎に繰り返し実施される。
まず、ステップS10において、目標燃料吐出量Qtgを算出し、続くステップS12において、ステップS10で算出した目標燃料吐出量Qtgに対応する目標閉弁時期Ttgを算出する。
ステップS14において、前回の往復動サイクルにおける吐出量差(以下、前回吐出量差という)ΔQ1及び前々回の往復動サイクルにおける吐出量差(以下、前々回吐出量差という)ΔQ2を取得する。各往復動サイクルにおける吐出量差ΔQ1,ΔQ2は、制御処理において算出され、往復動サイクルの順番を示す往復動サイクル順に関連付けてECU60のRAMに記憶されている。本実施形態では、吐出量差ΔQは、燃料吐出量Qから目標燃料吐出量Qtgを減算したものである。本実施形態において、ステップS14の処理が「吐出量差取得部」に相当する。
ステップS16において、前回吐出量差ΔQ1と前々回吐出量差ΔQ2とに基づいて、圧力脈動が生じているかを判定する。具体的には、前々回吐出量差ΔQ2から前回吐出量差ΔQ1を減算した差分の絶対値である差分偏差が、所定の閾値ΔQthよりも大きいかを判定する。所定の閾値ΔQthは、通常状態において生じる差分偏差の最大値よりも大きい値に設定されている。また、前々回吐出量差ΔQ2と前回吐出量差ΔQ1とを積算した積算値がゼロよりも小さいかを判定する。本実施形態において、ステップS16の処理が「判定部」に相当する。
差分偏差が閾値ΔQthよりも大きく、かつ、積算値がゼロよりも小さい場合、圧力脈動が生じていると判定する。この場合、ステップS16で肯定判定し、前々回吐出量差ΔQ2に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御する第1閉弁制御(S18,S20)を実施する。本実施形態において、ステップS18,S20の処理が「制御部」に相当する。
具体的には、ステップS18において、前々回吐出量差ΔQ2に基づいて補正期間ΔTr2を算出し、続くステップS20において、ステップS12で算出された目標閉弁時期Ttgに補正期間ΔTr2を加算して、閉弁開始時期Tfを算出する。
補正期間ΔTr2は、前々回吐出量差ΔQ2が大きいほど大きくなるように算出される。そのため、閉弁開始時期Tfは、前々回吐出量差ΔQ2が大きいほど目標閉弁時期Ttgよりも遅くなる。これにより、閉弁時期Tcが遅くなり、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが減少する。また、閉弁開始時期Tfは、前々回吐出量差ΔQ2が小さいほど目標閉弁時期Ttgよりも早くなる。これにより、閉弁時期Tcが早くなり、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが増加する。
つまり、ステップS18,S20の処理では、前々回吐出量差ΔQ2が大きいほど、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが減少し、前々回吐出量差ΔQ2が小さいほど、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが増加するように、閉弁時期Tcが制御される。
一方、差分偏差が閾値ΔQthよりも小さいか、または、積算値がゼロよりも大きい場合、圧力脈動が生じていないと判定する。この場合、ステップS16で否定判定し、前回吐出量差ΔQ1に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御する第2閉弁制御(S22,S24)を実施する。
具体的には、ステップS22において、前回吐出量差ΔQ1に基づいて補正期間ΔTr1を算出し、続くステップS24において、ステップS12で算出された目標閉弁時期Ttgに補正期間ΔTr1を加算して、閉弁開始時期Tfを算出する。ステップS22,S24の第2閉弁制御は、参照する吐出量差ΔQが異なるものの、ステップS18,S20の第1閉弁制御と略同一の処理であり、重複した説明を省略する。
第1閉弁制御又は第2閉弁制御(S18〜S24)を終了すると、ステップS26において、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qを算出し、続くステップS28において、現在の往復動サイクルにおける吐出量差ΔQを算出し、制御処理を終了する。吐出量差ΔQは、ステップS10で算出された目標燃料吐出量QtgとステップS26で算出された燃料吐出量Qとを用いて算出され、算出された吐出量差ΔQは、往復動サイクル順に関連付けてECU60のRAMに記憶される。
図3(a),(e),(f)に、制御処理の一例を示す。制御処理では、圧力脈動が生じていると判定されるまでは、第2閉弁制御が実施されており、前回吐出量差ΔQ1に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが制御されている。
本実施形態では、往復動サイクル順が連続する2つの往復動サイクルにおける一対の吐出量差である前々回吐出量差ΔQ2と前回吐出量差ΔQ1とに基づいて、圧力脈動が生じているかが判定される。具体的には、図3(f)のグラフF1に示すように、往復動サイクル順が連続する2つの往復動サイクルにおいて、燃料吐出量Qが目標燃料吐出量Qtgよりも小さい状態と、目標燃料吐出量Qtgよりも大きい状態と、がそれぞれ判定され、かつ、この2つの往復動サイクルにおける燃料吐出量Qの差(差分偏差に相当)Qdが閾値ΔQthよりも大きいかが判定される。
圧力脈動が生じていると判定されると、閉弁制御が第2閉弁制御から第1閉弁制御に切り替えられ、前々回吐出量差ΔQ2に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが制御される。具体的には、図3のタイミングTyに示すように、前々回吐出量差ΔQ2が正の値である場合、前々回の往復動サイクル及び現在の往復動サイクルの圧力状態が第1状態St1となる。この場合、図3(a)のグラフF2に示すように、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが遅くなるように制御され、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが減少する。
また、図3のタイミングTxに示すように、前々回吐出量差ΔQ2が負の値である場合、前々回の往復動サイクル及び現在の往復動サイクルの圧力状態が第2状態St2となる。この場合、図3(a)のグラフF2に示すように、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが早くなるように制御され、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが増加する。
この結果、図3(e)のグラフF2に示すように、圧力脈動が抑制され、これにより、図3(f)のグラフF2に示すように、燃料吐出量Qは、圧力状態によらず目標燃料吐出量Qtgとなるように制御される。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
圧力脈動が生じると、第1状態St1と第2状態St2とが交互に繰り返されるため、第1状態St1又は第2状態St2を示す圧力状態が、現在の往復動サイクルと前々回の往復動サイクルとで等しくなる。そのため、圧力脈動が生じていると判定された場合には、現在の往復動サイクルと圧力状態が等しい前々回の往復動サイクルにおける前々回吐出量差ΔQ2に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御することで、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qを好適に制御することができる。
圧力脈動が生じると、吐出圧力PSの変動に連動して燃料吐出量Qが変動し、この結果、燃料吐出量Qが目標燃料吐出量Qtgよりも大きくなる状態と、燃料吐出量Qが目標燃料吐出量Qtgよりも小さくなる状態と、が交互に繰り返される。そのため、往復動サイクル順が連続する2つの往復動サイクルにおける一対の吐出量差ΔQ1,ΔQ2に基づいて、圧力脈動が生じていることを好適に判定することができる。
本実施形態では、圧力脈動が生じていると判定されるまでは、第2閉弁制御が実施され、第2閉弁制御の実施時に圧力脈動が生じていると判定された場合に、閉弁制御が第2閉弁制御から第1閉弁制御に切り替えられる。圧力脈動が生じると、プランジャ32の往復動サイクル毎に、第1状態St1と第2状態St2とが交互に繰り返される。そのため、圧力脈動が生じた場合に第2閉弁制御が実施されると、現在の往復動サイクルと圧力状態が異なる前回の往復動サイクルにおける前回吐出量差ΔQ1に基づいて現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが制御され、閉弁時期Tcを適切に制御できない。本実施形態では、第2閉弁制御の実施時に圧力脈動が生じていると判定された場合に、閉弁制御が第2閉弁制御から第1閉弁制御に切り替えられるため、現在の往復動サイクルと圧力状態が等しい前々回の往復動サイクルにおける前々回吐出量差ΔQ2に基づいて現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが制御されるので、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを適切に制御することができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態に係る燃料噴射システム100について図5,6を用いて説明する。第2実施形態に係る燃料噴射システム100は、第1実施形態に係る燃料噴射システム100と比べて、制御処理における圧力脈動の判定方法が異なる。具体的には、第2実施形態の制御処理では、閉弁時期Tcと目標閉弁時期Ttgとの閉弁時期差ΔTcに基づいて圧力脈動が生じているかを判定する。以下では、閉弁時期Tcの変動と第2実施形態の制御処理について説明する。
図5は、圧力脈動の発生時における閉弁時期Tcの推移を示す。ここで、図5(a)は、吸入圧力PBの推移を示し、図5(b)は、吐出圧力PSの推移を示し、図5(c)は、制御処理の実施前における閉弁時期Tcの推移を示し、図5(d)は、制御処理の実施後における閉弁時期Tcの推移を示し、図5(e)は、燃料吐出量Qの推移を示す。なお、図5(b),(e)には、制御処理の実施前における各種値の推移を示すグラフF1(実線)と、制御処理の実施後における各種値の推移を示すグラフF2(破線)と、が示されている。
図5に示すように、圧力脈動が生じている場合には、低圧通路36のサージ圧Pcが変動しており、加圧室35の圧力は閉弁時期Tcまでは低圧通路36と同等と考えられることから、第1状態St1では、低圧通路36の閉弁時期Tcにおける加圧室35内の圧力が高くなり、第2状態St2では、低圧通路36の閉弁時期Tcにおける加圧室35内の圧力が低くなる。そのため、第1状態St1では、加圧室35内の比較的高い圧力により調量弁38の移動速度が増加する。この結果、図5(c)に示すように、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgと一致するように駆動電流Inを供給しても、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも早くなる。
一方、第2状態St2では、加圧室35内の比較的低い圧力により調量弁38の移動速度が低下する。この結果、図5(c)に示すように、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgと一致するように駆動電流Inを供給しても、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも遅くなる。
つまり、吐出圧力PSに圧力脈動が生じると、目標閉弁時期Ttgに対して閉弁時期Tcが前後するように変動する。そのため、閉弁時期Tcと目標閉弁時期Ttgとの閉弁時期差ΔTcに基づいて、圧力脈動が生じていることを判定することができる。
なお、閉弁時期Tcは、駆動電流Inから取得することができる。図5(c)に示すように、駆動電流Inは、閉弁時期Tcにおいて、調量弁38の移動停止に伴う磁気抵抗の減少により一時的に減少する。そのため、駆動電流Inの一時的な減少を検出することで閉弁時期Tcを取得することができる。
次に、本実施形態における制御処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6において、先の図4で説明した内容と同一の内容については、説明を省略する。
ステップS12で目標閉弁時期Ttgを設定すると、ステップS30において、前回の往復動サイクルにおける閉弁時期差(以下、前回閉弁時期差という)ΔTc1及び前々回の往復動サイクルにおける閉弁時期差(以下、前々回閉弁時期差という)ΔTc2を取得する。各往復動サイクルにおける閉弁時期差ΔTc1,ΔTc2は、制御処理において算出され、往復動サイクル順に関連付けてECU60のRAMに記憶されている。本実施形態では、閉弁時期差ΔTcは、目標閉弁時期Ttgから閉弁時期Tcを減算したものであり、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも早ければ正の値となり、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも遅ければ負の値となる。本実施形態において、ステップS30の処理が「時期差取得部」に相当する。
続くステップS32において、前回閉弁時期差ΔTc1と前々回閉弁時期差ΔTc2とに基づいて、圧力脈動が生じているかを判定する。具体的には、前々回閉弁時期差ΔTc2から前回閉弁時期差ΔTc1を減算した差分の絶対値である差分偏差が、所定の閾値ΔTthよりも大きいかを判定する。所定の閾値ΔTthは、通常状態において吸入圧力PBのばらつきにより生じる閉弁時期Tcの変動の最大幅よりも大きい値に設定されている。また、前々回閉弁時期差ΔTc2と前回閉弁時期差ΔTc1とを積算した積算値がゼロよりも小さいかを判定する。本実施形態において、ステップS32の処理が「判定部」に相当する。
差分偏差が閾値ΔTthよりも大きく、かつ、積算値がゼロよりも小さい場合、圧力脈動が生じていると判定する。この場合、ステップS32で肯定判定し、前々回閉弁時期差ΔTc2に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御する第1閉弁制御(S18,S20)を実施する。
第1閉弁制御において、補正期間ΔTr2は、前々回閉弁時期差ΔTc2が大きいほど大きくなるように算出される。そのため、閉弁開始時期Tfは、前々回閉弁時期差ΔTc2が大きいほど目標閉弁時期Ttgよりも遅くなる。これにより、閉弁時期Tcが遅くなり、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが減少する。また、閉弁開始時期Tfは、前々回閉弁時期差ΔTc2が小さいほど目標閉弁時期Ttgよりも早くなる。これにより、閉弁時期Tcが早くなり、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが増加する。
つまり、ステップS18,S20の処理では、前々回閉弁時期差ΔTc2が大きいほど、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが減少し、前々回閉弁時期差ΔTc2が小さいほど、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが増加するように、閉弁時期Tcが制御される。
なお、本実施形態では、閉弁時期差ΔTcに基づいて、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが制御される。上述したように、閉弁時期Tcの調整により燃料吐出量Qが制御されるため、閉弁時期差ΔTcに基づいて、吐出量差ΔQが決定される。そのため、閉弁時期差ΔTcに基づいて、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qを制御することは、吐出量差ΔQに基づいて、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qを制御することに等しい。
一方、差分偏差が閾値ΔTthよりも小さいか、または、積算値がゼロよりも大きい場合、圧力脈動が生じていないと判定する。この場合、ステップS32で否定判定し、前回閉弁時期差ΔTc1に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御する第2閉弁制御(S22,S24)を実施する。
第1閉弁制御又は第2閉弁制御(S18〜S24)を終了すると、ステップS34において、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを取得し、続くステップS36において、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期差ΔTcを算出し、制御処理を終了する。閉弁時期差ΔTcは、ステップS12で算出された目標閉弁時期TtgとステップS34で取得された閉弁時期Tcとを用いて算出され、算出された閉弁時期差ΔTcは、往復動サイクル順に関連付けてECU60のRAMに記憶される。
図5(b),(d),(e)に、制御処理の一例を示す。本実施形態では、往復動サイクル順が連続する2つの往復動サイクルにおける一対の閉弁時期差である前々回閉弁時期差ΔTc2と前回閉弁時期差ΔTc1とに基づいて、圧力脈動が生じているかが判定される。具体的には、図5(c)に示すように、往復動サイクル順が連続する2つの往復動サイクルにおいて、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも早い状態と、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも遅い状態と、がそれぞれ判定され、かつ、この2つの往復動サイクルにおける閉弁時期差ΔTcの差の絶対値(差分偏差に相当)が閾値ΔTthよりも大きいかが判定される。
圧力脈動が生じていると判定されると、前々回閉弁時期差ΔTc2に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが制御される。具体的には、前々回閉弁時期差ΔTc2が正の値である場合、前々回の往復動サイクル及び現在の往復動サイクルの圧力状態が第1状態St1となる。この場合、図5(d)に示すように、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが遅くなるように制御される。この結果、閉弁時期Tcと目標閉弁時期Ttgとが一致するとともに、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが減少する。
また、前々回吐出量差ΔQ2が負の値である場合、前々回の往復動サイクル及び現在の往復動サイクルの圧力状態が第2状態St2となる。この場合、図5(d)に示すように、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcが早くなるように制御される。この結果、閉弁時期Tcと目標閉弁時期Ttgとが一致するとともに、現在の往復動サイクルにおける燃料吐出量Qが増加する。
この結果、図3(e)のグラフF2に示すように、圧力脈動が抑制され、これにより、図5(e)のグラフF2に示すように、燃料吐出量Qは、圧力状態によらず目標燃料吐出量Qtgとなるように制御される。
以上説明したように、圧力脈動が生じると、吐出圧力PSの変動に連動して加圧室35の圧力内の圧力が変動し、この結果、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも早くなる状態と、閉弁時期Tcが目標閉弁時期Ttgよりも遅くなる状態と、が交互に繰り返される。そのため、往復動サイクル順が連続する2つの往復動サイクルにおける一対の閉弁時期差ΔTc1,ΔTc2に基づいて、圧力脈動が生じていることを好適に判定することができる。
(第3実施形態)
次に第3実施形態に係る燃料噴射システム100について図7を用いて説明する。第3実施形態に係る燃料噴射システム100は、第1実施形態に係る燃料噴射システム100と比べて、制御処理における圧力脈動の判定方法が異なる。具体的には、第3実施形態の制御処理では、サージ圧力Pcと吐出量差ΔQとに基づいて圧力脈動が生じているかを判定する。以下では、サージ圧力Pcの変動と第3実施形態の制御処理について説明する。
図3(d)に示すように、圧力脈動が生じていると、第1状態St1では、サージ圧力Pcが閾値Pthよりも高くなり、第2状態St2では、サージ圧力Pcが閾値Pthよりも低くなる。つまり、吐出圧力PSに圧力脈動が生じると、閾値Pthに対してサージ圧力Pcが上下するように変動する。そのため、サージ圧力Pcに基づいて、圧力脈動が生じていることを判定することができる。
次に、本実施形態における制御処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図7において、先の図4で説明した内容と同一の内容については、説明を省略する。
ステップS12で目標閉弁時期Ttgを設定すると、ステップS40において、前回の往復動サイクルにおけるサージ圧力(以下、前回サージ圧力という)Pc1及び前々回の往復動サイクルにおけるサージ圧力(以下、前々回サージ圧力という)Pc2を取得する。各往復動サイクルにおけるサージ圧力Pc1,Pc2は、制御処理において算出され、往復動サイクル順に関連付けてECU60のRAMに記憶されている。本実施形態において、ステップS40の処理が「圧力取得部」に相当する。
ステップS14で前回吐出量差ΔQ1と前々回吐出量差ΔQ2とを取得すると、ステップS42において、前回サージ圧力Pc1と前々回サージ圧力Pc2、及び前回吐出量差ΔQ1と前々回吐出量差ΔQ2に基づいて、圧力脈動が生じているかを判定する。具体的には、前々回サージ圧力Pc2から前回サージ圧力Pc1を減算した差分の絶対値であるサージ圧力差が、所定の閾値ΔCthよりも大きいかを判定する。所定の閾値ΔCthは、通常状態における吸入圧力PBのばらつきの最大幅よりも大きい値に設定されている。また、前々回吐出量差ΔQ2から前回吐出量差ΔQ1を減算した差分の絶対値である吐出量偏差が、閾値ΔQthよりも大きいかを判定する。本実施形態において、ステップS42の処理が「判定部」に相当し、閾値ΔCthが「第1閾値」に相当し、閾値ΔQthが「第2閾値」に相当する。
サージ圧力差が閾値ΔCthよりも大きく、かつ、吐出量偏差が閾値ΔQthよりも大きい場合、圧力脈動が生じていると判定する。この場合、ステップS42で肯定判定し、前々回吐出量差ΔQ2に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御する第1閉弁制御(S18,S20)を実施する。
一方、サージ圧力差が閾値ΔCthよりも小さいか、または、吐出量偏差が閾値ΔQthよりも小さい場合、圧力脈動が生じていないと判定する。この場合、ステップS42で否定判定し、前回吐出量差ΔQ1に基づいて、現在の往復動サイクルにおける閉弁時期Tcを制御する第2閉弁制御(S22,S24)を実施する。
第1閉弁制御又は第2閉弁制御(S18〜S24)を終了すると、ステップS44において、現在の往復動サイクルにおけるサージ圧力Pcを取得する。取得されたサージ圧力Pcは、往復動サイクル順に関連付けてECU60のRAMに記憶される。
以上説明したように、圧力脈動が生じている場合には、サージ圧力Pcが閾値Pthよりも大きくなる状態と、閾値Pthよりも小さくなる状態と、が交互に繰り返される。そのため、往復動サイクル順が連続する2つの往復動サイクルにおける一対のサージ圧力Pcに基づいて、圧力脈動が生じていることを好適に判定することができる。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、次のように実施されてもよい。
上記実施形態では、補正期間ΔTr2を算出する際に、例えば前々回吐出量差ΔQ2に基づいて補正期間ΔTr2を算出する形態を例示したが、これに限られず、前々回吐出量差ΔQ2と前回吐出量差ΔQ1とに基づいて、補正期間ΔTr2を算出してもよい。
特に、圧力脈動が生じていると判定されるまでは第2閉弁制御が実施されている場合、前々回吐出量差ΔQ2に基づいて前回吐出量差ΔQ1が決定される。そのため、例えば前々回吐出量差ΔQ2が大きいほど前回吐出量差ΔQ1が小さくなるなど、前々回吐出量差ΔQ2と前回吐出量差ΔQ1とが連動して変化する。したがって、前々回吐出量差ΔQ2と前回吐出量差ΔQ1とに基づいて補正期間ΔTr2を算出することで、閉弁時期Tcを適切に制御することができる。前々回閉弁時期差ΔTc2についても同様である。
また、第2閉弁制御では、3回前の往復動サイクルにおける吐出量差ΔQ3に基づいて前々回吐出量差ΔQ2が決定される。そのため、3回前の往復動サイクルにおける吐出量差ΔQ3を取得し、この吐出量差ΔQ3と前々回吐出量差ΔQ2とに基づいて、補正期間ΔTr2を算出してもよい。
上記実施形態では、第1閉弁制御において、前々回の往復動サイクルにおける吐出量差ΔQ等に基づいて補正期間ΔTr2を算出する例を示したが、これに限られず、現在の往復動サイクルから2n回前の往復動サイクル(nは2以上の自然数)における吐出量差ΔQ等に基づいて補正期間ΔTr2を算出してもよい。閉弁時期差ΔTcについても同様である。
上記実施形態では、吐出量差ΔQ等を取得する連続する2つの往復動サイクルが、前回の往復動サイクルと前々回の往復動サイクルとである例を示したが、これに限られず、現在の往復動サイクルから2n回前の往復動サイクルと(2n−1)回前の往復動サイクル(nは2以上の自然数)、又は、現在の往復動サイクルから(2n+1)回前の往復動サイクルと2n回前の往復動サイクル(nは自然数)であってもよい。
上記実施形態では、吐出量差ΔQ等を取得する往復動サイクルが、連続する2つの往復動サイクルである例を示したが、これに限られず、連続する3つ以上の往復動サイクルであってもよい。例えば、連続する3つの往復動サイクルにおける吐出量差ΔQを取得し、前々回吐出量差ΔQ2と3回前の往復動サイクルにおける吐出量差ΔQ3との組み合わせ、及び前回吐出量差ΔQ1と前々回吐出量差ΔQ2との組み合わせに基づいて、圧力脈動が生じているかを判定してもよい。
上記第1,第3実施形態では、吐出量差ΔQが、燃料吐出量Qから目標燃料吐出量Qtgを減算したものである例を示したが、これに限られず、目標燃料吐出量Qtgから燃料吐出量Qを減算したものであってもよい。また、上記第2実施形態では、閉弁時期差ΔTcが、目標閉弁時期Ttgから閉弁時期Tcを減算したものである例を示したが、これに限られず、閉弁時期Tcから目標閉弁時期Ttgを減算したものであってもよい。
上記実施形態では、プランジャ32の往復動サイクル毎に、第1状態St1と第2状態St2とが交互に繰り返される圧力脈動を前提に、2n回前の往復動サイクル(nは自然数)における吐出量差ΔQ等に基づいて補正期間ΔTr2を算出する例を示した。仮に、プランジャ32の往復動サイクル毎に、第1状態St1から第m状態Stmまでのm個の状態(mは3以上の自然数)が、この順に繰り返される圧力脈動が生じる場合には、m×n回前の往復動サイクル(nは自然数)における吐出量差ΔQ等に基づいて補正期間ΔTr2を算出してもよい。閉弁時期差ΔTcについても同様である。