JP2019199522A - 発泡体 - Google Patents

発泡体 Download PDF

Info

Publication number
JP2019199522A
JP2019199522A JP2018094352A JP2018094352A JP2019199522A JP 2019199522 A JP2019199522 A JP 2019199522A JP 2018094352 A JP2018094352 A JP 2018094352A JP 2018094352 A JP2018094352 A JP 2018094352A JP 2019199522 A JP2019199522 A JP 2019199522A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foam
water
mass
cellulose fiber
polypropylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018094352A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7087660B2 (ja
Inventor
基久 清水
Motohisa Shimizu
基久 清水
幸周 和田
Yukichika Wada
幸周 和田
萩原 昌彦
Masahiko Hagiwara
昌彦 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2018094352A priority Critical patent/JP7087660B2/ja
Publication of JP2019199522A publication Critical patent/JP2019199522A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7087660B2 publication Critical patent/JP7087660B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

【課題】セルロース繊維とポリプロピレンとを含み、かつ密度が低い発泡体を提供する。【解決手段】水との接触角が30度未満の親水性セルロース繊維と、水との接触角が30度以上の疎水性セルロース繊維と、ポリプロピレンとを含み、前記親水性セルロース繊維の含有量が10質量%以上60質量%以下の範囲内にあって、前記疎水性セルロース繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下の範囲内にあり、前記ポリプロピレンの含有量が38質量%以上88質量%以下の範囲内にある発泡体。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース繊維とポリプロピレンとを含む発泡体に関する。
発泡体は、物理的な衝撃に対する緩衝性と断熱性とに優れるため、緩衝材、包装材、断熱材、防音材などの様々な用途に用いられている。発泡体として、セルロース繊維とポリプロピレンとを含む組成物を、発泡剤として水を用いて発泡させたものが知られている。
例えば、特許文献1には、紙成分と熱可塑性樹脂と水とを押出機に供給し、押出機内で加熱混練し、水の蒸気圧で発泡して得られた発泡体が記載されている。この特許文献1には、古紙を破砕機で破砕した1辺の長さが約3mmから5mmの破砕物を紙成分として用い、熱可塑性樹脂としてパウダー状のポリプロピレンホモポリマーを用いて製造した密度0.085g/cm(85kg/m)の発泡体が記載されている。
特開2000−273800号公報
発泡体の物理的な衝撃に対する緩衝性や断熱性を向上させるためには、発泡体の気孔量を多くすること、すなわち発泡体の密度を低くすることが有効である。しかしながら、セルロース繊維とポリプロピレンとを含む従来の発泡体では、発泡体の密度を低くすることが難しいという問題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、セルロース繊維とポリプロピレンとを含み、かつ密度が低い発泡体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、セルロース繊維の親水性に着目して、鋭意検討を重ねた。その結果、水との接触角が30度未満の親水性セルロース繊維と、水との接触角が30度以上の疎水性セルロース繊維と、ポリプロピレンとを所定の割合で含む組成物を、水を用いて発泡させることによって、密度が低い発泡体を得ることが可能となることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成を採用する。
[1]水との接触角が30度未満の親水性セルロース繊維と、水との接触角が30度以上の疎水性セルロース繊維と、ポリプロピレンとを含み、前記親水性セルロース繊維の含有量が10質量%以上60質量%以下の範囲内にあって、前記疎水性セルロース繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下の範囲内にあり、前記ポリプロピレンの含有量が38質量%以上88質量%以下の範囲内にあることを特徴とする発泡体。
[2]前記疎水性セルロース繊維は、表面が疎水化剤で処理されたセルロース繊維であることを特徴とする上記[1]に記載の発泡体。
[3]前記疎水性セルロース繊維は、酢化度が30%以上63%以下の範囲内にある酢酸セルロース繊維であることを特徴とする上記[1]に記載の発泡体。
[4]前記親水性セルロース繊維は、古紙を解繊したものであることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の発泡体。
[5]密度が50kg/m以下であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の発泡体。
本発明によれば、セルロース繊維とポリプロピレンとを含み、かつ密度が低い発泡体を提供することが可能となる。
以下、本発明の発泡体の実施形態について説明する。
<発泡体>
本実施形態の発泡体は、水との接触角が30度未満である親水性セルロース繊維と、水との接触角が30度以上である疎水性セルロース繊維と、ポリプロピレンとからなる。本実施形態の発泡体は、発泡剤として水を用いて製造されたものである。発泡体は、親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維とポリプロピレンとを含む組成物からなる骨格と、その骨格の間に形成された気孔とを有する多孔質体である。なお、セルロース繊維の水との接触角は、下記の方法により測定した値である。
「セルロース繊維の接触角の測定方法」
試料のセルロース繊維50mgと蒸留水50mlとを、ホモジナイザーを用いて撹拌し、得られた懸濁液を直径25mmのメンブレンフィルターでろ過して、セルロース繊維シートを得る。得られたセルロース繊維シートを室温で乾燥した後、真空プレス装置にセットし、150℃、大気圧下で1分間真空脱気を行った後、同温度にて10MPaのプレス圧で4分間真空プレスを行う。次いで、真空プレス後のセルロース繊維シートを更に、室温、大気圧下、10MPaのプレス圧で5分間プレスを行って接触角測定用シートを作成する。得られた接触角測定用シートに純水を滴下して、シート表面の水滴の接触角を測定する。接触角は、一つの接触角測定用シートについて3点測定し、この3点の測定値の平均を試料の接触角とする。なお、接触角測定用シートに滴下した純水が接触角測定用シートに浸透し、シート表面に水滴が存在しない場合は、接触角を0度とする。
(親水性セルロース繊維)
親水性セルロース繊維は発泡体を製造する際に、発泡剤である水を保持する作用がある。本実施形態の発泡体では、親水性セルロース繊維に保持された水が蒸発することによって、発泡して気孔が生成する。親水性セルロース繊維の水との接触角は30度未満であり、好ましくは20度以下、特に好ましくは10度以下である。
発泡体の親水性セルロース繊維の含有量は、10質量%以上60質量%以下の範囲内とされている。親水性セルロース繊維の含有量が少なくなりすぎると、発泡体製造時の水の保持量が少なくなりすぎて発泡量が低減し、発泡体の密度が高くなるおそれある。一方、親水性セルロース繊維の含有量が多くなりすぎると、相対的にその他の成分の含有量が少なくなるため、発泡体製造時に発泡しにくくなり、発泡体の密度が高くなるおそれがある。発泡体の親水性セルロース繊維の含有量は、10質量%以上55質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
親水性セルロース繊維の材料としては、針葉樹、広葉樹等の木本系の繊維、非木本系の繊維、ジン皮繊維、バクテリア由来の繊維などから選ばれる1種または2種以上を原料としたパルプ、例えば、機械パルプ(MP;機械パルプ、GP;砕木パルプ、RGP;リファイナーグランドパルプ、TMP;サーモメカニカルパルプ、CTMP;ケミサーモメカニカルパルプ等)や、化学パルプ(KP;クラフトパルプ、SP;サルファイドパルプ、AP;アルカリパルプ等)、リサイクルパルプ(古紙や端材等のリサイクル紙、段ボール)を用いることができる。パルプの原料となる針葉樹の例としては、アカマツ、クロマツ、エゾマツ、カラマツ、ラーチ、ラジアータパイン、ロングリーフパイン、ショートリーフパイン、スラッシュパイン、ロブロリーパイン、ホワイトスプルース、ブラックスプルース、モミ、ダグラスファー、バルサムファー、スギ、ヒノキ等が挙げられる。広葉樹の例としては、ブナ、ナラ、カシ、ユーカリ、ポプラ等が挙げられる。非木本系繊維の例としては、リンター、綿、稲わら、麦わら、アブラヤシ空果房(EFB)、竹、サトウキビバガス、麻、大麻、マニラ麻、亜麻、葦等が挙げられる。ジン皮繊維の例としては、楮、三椏等が挙げられる。バクテリア由来の繊維の例としては、バクテリアセルロース等が挙げられる。
親水性セルロース繊維は、紙を解繊および/または粉砕したものを用いることが好ましく、古紙を解繊したものを用いることが特に好ましい。紙を解繊する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、石臼式摩砕機、叩解機、シュレッダーなどの粉砕機を用いることができる。粉砕機としては、例えば、増幸産業株式会社製の石臼式摩砕機(商品名:マスコロイダー)、相川鉄工株式会社製の叩解機(商品名:RFシングルリファイナー)、サンワサプライ株式会社製のハンドシュレッダー(商品名:PSD−12)などが挙げられる。
親水性セルロース繊維は、下記の方法により測定した平均粒径が10μm以上5mm以下の範囲内にあることが好ましく、20μm以上3mm以下の範囲内にあることがより好ましい。親水性セルロース繊維の平均粒径が10μm以上であると、破砕に必要なエネルギーが少なくて済むため、環境への負荷が少なく、製造コストも少なくて済み、好ましい。親水性セルロース繊維の平均粒径が5mm以下であると、高倍率発泡が可能となり、低密度の発泡体が得られるため、好ましい。
「セルロース繊維の平均粒径の測定方法」
本実施形態において発泡体の材料として使用するセルロース繊維の平均粒径は、以下に示す方法を用いて測定した値であることを意味する。
分散媒のイオン交換水に、試料のセルロース繊維を分散させて分散液を調製する。前処理として、分散液に30分間超音波を照射する。その後、分散液を下記の粒度分布測定装置のセルに入れ、1分間超音波を照射した後、下記の測定条件で平均粒径を測定する。また、分散媒を粒度分布測定装置のセルに入れ、ブランクとして粒径測定を行う。
平均粒径は、一つの分散液について複数回測定し、得られた測定値の平均を試料の平均粒径とする。
粒度分布測定装置;レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:LA−950V2)
測定条件;測定ユニット:湿式
測定モード:マニュアルフロー式セル測定
粒子径基準:体積基準
屈折率:1.50−0.00i(試料屈折率)/1.33−0.00i(分散媒屈折率)
(疎水性セルロース繊維)
疎水性セルロース繊維は発泡体を製造する際に、発泡剤である水が部分的に溜まらないように水を均一に分散させて、水の蒸発による発泡を均一に進行させることにより、骨格の厚さが一定で、均質な連通孔を有する発泡体を生成させる作用がある。単一の気孔(独立孔)を有する発泡体は、水が完全に蒸発して発泡体の温度が低下すると収縮が起こりやすいが、均質な連通孔を有する発泡体は、水が完全に蒸発して発泡体の温度が低下しても収縮が起こりにくい。このため、本実施形態の発泡体は、密度が低く、また形状安定性が高くなる。疎水性セルロース繊維の水との接触角は30度以上であり、好ましくは50度以上150度以下の範囲内にある。
発泡体の疎水性セルロース繊維の含有量は、2質量%以上50質量%以下の範囲内とされている。疎水性セルロース繊維の含有量が少なくなりすぎると、発泡体製造時の水の蒸発による発泡が不均一となって発泡体の収縮が起こりやすくなり、発泡体の密度が高くなるおそれある。一方、疎水性セルロース繊維の含有量が多くなりすぎると、発泡体製造時の水の保持量が少なくなりすぎて発泡量が低減し、発泡体の密度が高くなるおそれある。発泡体の疎水性セルロース繊維の含有量は、3質量%以上30質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
疎水性セルロース繊維としては、セルロース繊維の表面を疎水化剤で処理したものを用いることができる。疎水化剤で処理される前のセルロース繊維としては、親水性セルロース繊維を用いることができる。疎水化剤としては、セルロースと共有結合する疎水性化合物、セルロースに対して親和性を有する化合物を用いることができる。セルロースと共有結合する化合物は、セルロースと共有結合可能な反応性基と疎水性基とを有する化合物であることが好ましい。反応性基の例としては、(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基等を挙げることができる。疎水性基の例としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基を挙げることができる。アルキル基及びアルケニル基の水素は、フッ素などのハロゲン元素で置換されていてもよい。セルロースと共有結合する化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を用いることができる。セルロースに対して親和性を有する化合物としては、各種金属石鹸(ステアリン酸金属石鹸;例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム等、あるいは12−ヒドロキシステアリン石鹸、ベヘン酸石鹸、モンタン酸石鹸、ラウリン酸石鹸、いずれもカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、バリウム、リチウム、ナトリウムカリウム等の金属塩であっても良い。)や各種アルキルアンモニウム塩類、動物由来ワックス(蜜蝋、鯨蝋、セラック蝋等)、植物由来ワックス(カルナバ蝋、木蝋、米糠蝋、キャンデリラワックス)、石油由来ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス)、鉱物由来ワックス(モンタンワックス、オゾケライト)、ロジン、ロジン石鹸を用いることができる。
また、疎水性セルロース繊維として、セルロースを疎水化させたセルロース誘導体からなる繊維を用いることができる。セルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、酢酸セルロースを挙げることができる。酢酸セルロースは、酢化度が30%以上63%以下の範囲内にあることが好ましい。
疎水性セルロース繊維は、表面が疎水化剤、特にアルキル(メタ)アクリレートで処理されたセルロース繊維、あるいは酢化度が30%以上63%以下の範囲内にある酢酸セルロース繊維であることが好ましい。
疎水性セルロース繊維の平均粒径は、前述の親水性セルロース繊維と同様に10μm以上5mm以下の範囲内にあることが好ましく、20μm以上3mm以下の範囲内にあることがより好ましい。
(ポリプロピレン)
ポリプロピレンとしては、例えば、MFR(メルトフローレート、温度:230℃、荷重:2.16kg)が0.1g/10分以上100g/10分以下の範囲内にあるものを用いることが好ましい。ポリプロピレンは1種を単独で使用してもよいし、MFRなどの特性が異なる2種以上のポリプロピレンを併用してもよい。例えば、MFR(温度:230℃、荷重:2.16kg)が0.1g/10分以上20g/10分以下の範囲内にある低MFRのポリプロピレンと、その低MFRのポリプロピレンよりもMFR(温度:230℃、荷重:2.16kg)が高い高MFRのポリプロピレンの2種を併用してもよい。特性の異なる2種以上のポリプロピレンを組合せて用いることによって、発泡体の密度および熱伝導率が所望の範囲となるように調整できる。
発泡体のポリプロピレンの含有量は、38質量%以上88質量%以下の範囲内とされている。ポリプロピレンの含有量が少なくなりすぎると発泡体の力学強度が低下するおそれがある。一方、ポリプロピレンの含有量が多くなりすぎると、発泡体製造時において、発泡体の収縮が起こりやすくなり、発泡体の密度が高くなるおそれがある。発泡体のポリプロピレンの含有量は、40質量%以上80質量%以下の範囲内にあることが好ましい。すなわち、発泡体の親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維の合計含有量は、20質量%以上60質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
材料として用いるポリプロピレンの形状は、ペレット状もしくは粉末状であることが好ましい。ペレット状のポリプロピレンは、例えば、球状、半球状、アーモンド状、円柱状、角柱状、板状、フレーク状などの定形性を有するものである。粉末状のポリプロピレンは、上記のペレット状のポリプロピレンを粉砕して、粉状にしたものである。粉末状のポリプロピレンは、粒子径が2mm以下であることが好ましい。
(発泡体の密度)
発泡体の密度が高くなりすぎると、発泡体の気孔量が相対的に少なくなり、物理的な衝撃に対する緩衝性や断熱性が低下するおそれがある。このため、発泡体の密度は50kg/m以下であることが好ましく、45kg/m以下であることがより好ましい。一方、発泡体の密度が低くなりすぎると、発泡体の強度が低下するおそれがある。このため、発泡体の密度は10kg/m以上であることが好ましく、15kg/m以上であることがより好ましい。
(発泡体の形状)
本実施形態の発泡体の形状は、通常、複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した形状(数珠状)もしくはストランド状である。数珠状の発泡体を構成する粒状発泡体粒子は、球状であることが好ましい。ただし、粒状発泡体粒子は真球である必要はなく、楕円球状であってもよいし、表面に凹凸を有していてもよい。本実施形態の発泡体は種々のサイズに切断、加工して利用することができる。例えば、数珠状の発泡体の場合は、個々の粒状発泡体粒子に分割して利用してもよい。また、ストランド状の発泡体の場合は、切断して粒状の粒状発泡体粒子として利用してもよいし、複数個のストランド状の発泡体を一つに束ねた状態で融着させて一体化させて利用してもよい。
<発泡体の製造方法>
次に、本実施形態の発泡体の製造方法について説明する。
本実施形態の発泡体は、例えば、親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維とポリプロピレンとを混練して、第1混練物を生成させる工程(第1混練物生成工程)と、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させる工程(第2混練物生成工程)と、前記第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる工程(発泡体生成工程)とを含む方法によって製造することができる。第1混練物は、親水性セルロース繊維の含有量が10質量%以上60質量%以下の範囲内にあって、疎水性セルロース繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下の範囲内にあり、ポリプロピレンの含有量が38質量%以上88質量%以下の範囲内にある。
(第1混練物生成工程)
第1混練物生成工程において、親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維とポリプロピレンとを混練する混練装置としては、連続式混練機、バッチ式混練機を用いることができる。連続式混練機の例としては、単軸混練機、二軸混練機が挙げられる。バッチ式混練機の例としては、バンバリーミキサー、加圧式ニーダーが挙げられる。
第1混練物生成工程において混練するセルロース繊維とポリプロピレンとは密度が大きく異なるため、混練装置に投入する前に、予めセルロース繊維とポリプロピレンとを混合して混合物とすることが好ましい。セルロース繊維とポリプロピレンの混合物として混練装置に投入することによって、短時間で均一な組成を有する第1混練物が得られる。
(第2混練物生成工程)
第2混練物生成工程において、第1混練物と水とを混練する混練装置としては、連続式混練機を用いることが好ましい。連続式混練機の例としては、単軸混練機、二軸混練機が挙げられる。連続式混練機は、シリンダーの途中に水を導入するための水導入手段を有することが好ましい。
連続式混練機のシリンダー部の温度およびダイ部の温度、スクリュー回転数、連続式混練機への水の供給速度などの混練条件は、セルロース繊維とポリプロピレンの含有量、材質および形状、目的とする発泡体の密度範囲などに応じて適宜決定できる。
具体的には、連続式混練機のシリンダー部の温度およびダイ部の温度は、160℃以上190℃以下の範囲内にあることが好ましい。シリンダー部の温度およびダイ部の温度が上記の範囲内であると、第2混練物の発泡が促進される。スクリュー回転数は、50rpm以上400rpm以下の範囲内にあることが好ましい。連続式混練機への水の供給速度は、第1混練物と水との混練によって生成する第2混練物の含水率が10質量%以上40質量%以下となる速度であることが好ましい。
第1混練物生成工程と第2混練物生成工程は、連続的に行ってもよい。例えば、混練装置として連続式混練機を用い、連続式混練機に親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維とポリプロピレンとを投入して第1混練物を生成させ、次いで、連続式混練機に水を供給して、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させてもよい。このように第1混練物生成工程と第2混練物生成工程とを連続的に行うことによって、比較的短時間で組成の均一な第2混練物が得られる。
(発泡体生成工程)
発泡体生成工程では、連続式混練機のダイ部から押し出された第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる。第2混練物の水分の蒸発は大気下で行うことができる。通常は、連続式混練機のダイ部から押し出されるとともに第2混練物の水分が蒸発し、発泡体が生成する。生成した発泡体は、使用用途に応じた長さに切断してもよい。
以上のような構成とされた本実施形態の発泡体は、親水性セルロース繊維の含有量が10質量%以上60質量%以下の範囲内にあって、疎水性セルロース繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下の範囲内にあり、ポリプロピレンの含有量が38質量%以上88質量%以下の範囲内とされているので、発泡体の製造時において、水の蒸発による発泡が均一に進行しやすく、骨格の厚さが一定で、均質な連通孔が形成されやすい。このため、本実施形態の発泡体は、密度が低く、また形状安定性が高い。
また、本実施形態の発泡体において、疎水性セルロース繊維が、表面が疎水化剤、特にアルキル(メタ)アクリレートで処理されたセルロース繊維、あるいは酢化度が30%以上63%以下の範囲内にある酢酸セルロース繊維である場合は、より確実に均質な連通孔を形成することができ、発泡体の密度をより確実に低くすることができる。
また、本実施形態の発泡体において、親水性セルロース繊維が古紙を解繊したものである場合は、資源の有効利用を図ることができる。
さらに、本実施形態の発泡体において、密度が50kg/m以下と低い場合は、気孔の量が多いので、緩衝材、包装材、断熱材、防音材として有利に使用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、本発明の作用効果を実施例により説明する。なお、本実施例では、セルロース繊維の水との接触角は上述の方法により測定した。また、セルロース繊維の平均粒径は、上述の方法を用いて、一つの分散液について2回測定した測定値の平均である。
本実施例で使用した材料は、以下の通りである。
(ポリプロピレン)
A1(ペレット状ポリプロピレン):日本ポリプロ株式会社製、ウェイマックス(登録商標)MFX6、MFR(メルトフローレート、温度:230℃、荷重:2.16kg)2.5g/10分
A2(粉末状ポリプロピレン):A1を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX−1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
(親水性セルロース繊維)
B1(古紙解繊物):古紙(含水率:12質量%)を粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー(石臼式摩砕機))を用いて解繊したもの。平均粒径:64μm、水との接触角:0度
(セルロース繊維)
C1(アブラヤシ空果房(EFB)ホロセルロース繊維):以下の方法により得られたもの。平均粒径:144μm、水との接触角:0度
100Lのステンレス(SUS)製のタンクに、1〜3cm程度の長さに破砕したアブラヤシ空果房(インドネシア産、含水率12%)4.5kgおよびエタノールとトルエンの混合溶媒(エタノール:トルエン=2:1(体積比))39Lを投入し、湯浴温度80℃の条件下、タービン型撹拌羽根で250rpmの速度で75分間撹拌し、アブラヤシ空果房を脱脂した。脱脂したアブラヤシ空果房をステンレス(SUS)製のヌッチェでろ過して回収した。回収したアブラヤシ空果房に対して、更に2回、同様の脱脂操作を行った。このような脱脂操作を行ったアブラヤシ空果房の脱脂体を、70℃で5時間乾燥し、4.2kgのアブラヤシ空果房脱脂体を得た。
次に、200Lのホーロー製のタンクに、上記のアブラヤシ空果房脱脂体3.5kgとイオン交換水70Lを投入し、タンク内の温度を75℃とし、撹拌羽根で80rpmの速度で撹拌しながら、酢酸534gを添加した。続いて、タンク内に、イオン交換水8.8kgに亜塩素酸ナトリウム2.8kgを溶解した亜塩素酸ナトリウム水溶液を3時間かけて添加し、内温80℃で1時間熟成した。更に、タンク内に、酢酸534gおよびイオン交換水8.8kgに亜塩素酸ナトリウム2.8kgを溶解した亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加撹拌する操作を3回行った。次いで、溶存ガスの追い出しを目的として、タンク内に窒素ガスをバブリングし、一晩静置した後、タンク内の懸濁液の上澄みを抜き取った。次に、タンク内に、イオン交換水30Lを投入し、3分間撹拌して、懸濁液の上澄みを抜き取る操作を3回行った後、タンク内の懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物をイオン交換水34Lで洗浄した後、ろ過する操作を4回行った。次に、ろ過物を、イオン交換水とアセトンの混合溶媒(イオン交換水:アセトン=2:1(体積比))35Lで洗浄した後、ろ過する操作を2回行った。次いで、アセトン35Lで洗浄した後、ろ過を行った。得られたアブラヤシ空果房の脱リグニン体を60℃で16時間乾燥し、EFBホロセルロース2.5kgを得た。最後に、得られたEFBホロセルロースを、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊した。
C2(メタクリル酸メチル処理EFBホロセルロース繊維):以下の方法により得られたもの。平均粒径:218μm、水との接触角:112.7度
C1(EFBホロセルロース)10.0gと1Lの蒸留水とを、ホモジナイザー(IKA製、Ultra Turlux)を用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物に2Lの蒸留水を加え、再度、ホモジナイザーを用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物を2Lのナス型フラスコに入れ、400mLの蒸留水を加えて、EFBホロセルロースの懸濁液を得た。次いで、EFBホロセルロースの懸濁液をメカニカル撹拌しながら、この懸濁液に窒素ガスを10分間吹き込んで、懸濁液の脱気を行った。続いて、EFBホロセルロースの懸濁液に、硝酸アンモニウムセリウム(IV)(富士フイルム和光純薬株式会社製、036−01742)1.00g及びメタクリル酸メチル(富士フイルム和光純薬株式会社製、139−02726)10.0gを加え、窒素ガス気流下10時間撹拌した。反応終了後、懸濁液をろ過した。得られたろ過物に400mLの蒸留水を加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、水洗浄を行った。続いて水洗浄したろ過物に400mLのアセトンを加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、アセトン洗浄を行った。アセトン洗浄したろ過物を50℃で真空乾燥して、14.2gのメタクリル酸メチル化EFBホロセルロースを取得した。最後に、得られたメタクリル酸メチル化EFBホロセルロースを、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊した。
C3(メタクリル酸n−ブチル化EFBホロセルロース繊維):以下の方法により得られたもの。平均粒径:198μm、水との接触角:119.7度
C1(EFBホロセルロース)10.0gと1Lの蒸留水とを、ホモジナイザー(IKA製、Ultra Turlux)を用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物に2Lの蒸留水を加え、再度、ホモジナイザーを用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物を2Lのナス型フラスコに入れ、400mLの蒸留水を加えて、EFBホロセルロースの懸濁液を得た。次いで、EFBホロセルロースの懸濁液をメカニカル撹拌しながら、この懸濁液に窒素ガスを10分間吹き込んで、懸濁液の脱気を行った。続いて、EFBホロセルロースの懸濁液に、硝酸アンモニウムセリウム(IV)1.00g及びメタクリル酸n−ブチル(東京化成工業株式会社製、M0081)10.0gを加え、窒素ガス気流下10時間撹拌した。反応終了後、懸濁液をろ過した。得られたろ過物に400mLの蒸留水を加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、水洗浄を行った。続いて水洗浄したろ過物に400mLのアセトンを加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、アセトン洗浄を行った。アセトン洗浄したろ過物を室温下で12時間風乾して、14.0gのメタクリル酸n−ブチル化EFBホロセルロースを取得した。最後に、得られたメタクリル酸n−ブチル化EFBホロセルロースを、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊した。
C4(メタクリル酸ヘキシル化EFBホロセルロース繊維):以下の方法により得られたもの。平均粒径:178μm、水との接触角:118.2度
C1(EFBホロセルロース)10.0gと1Lの蒸留水とを、ホモジナイザー(IKA製、Ultra Turlux)を用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物に2Lの蒸留水を加え、再度、ホモジナイザーを用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物を2Lのナス型フラスコに入れ、400mLの蒸留水を加えて、EFBホロセルロースの懸濁液を得た。次いで、EFBホロセルロースの懸濁液をメカニカル撹拌しながら、この懸濁液に窒素ガスを10分間吹き込んで、懸濁液の脱気を行った。続いて、EFBホロセルロースの懸濁液に、硝酸アンモニウムセリウム(IV)1.00g及びメタクリル酸ヘキシル(東京化成工業株式会社製、M0503)10.0gを加え、窒素ガス気流下10時間撹拌した。反応終了後、懸濁液をろ過した。得られたろ過物に400mLの蒸留水を加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、水洗浄を行った。続いて水洗浄したろ過物に400mLのアセトンを加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、アセトン洗浄を行った。アセトン洗浄したろ過物を室温下で12時間風乾して、15.9gのメタクリル酸ヘキシル化EFBホロセルロースを取得した。最後に、得られたメタクリル酸ヘキシル化EFBホロセルロースを、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊した。
C5(メタクリル酸ドデシル化EFBホロセルロース繊維):以下の方法により得られたもの。平均粒径:411μm、水との接触角:131.2度
C1(EFBホロセルロース)10.0gと1Lの蒸留水とを、ホモジナイザー(IKA製、Ultra Turlux)を用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物に2Lの蒸留水を加え、再度、ホモジナイザーを用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物を2Lのナス型フラスコに入れ、400mLの混合溶媒(メタノール:蒸留水=9:1(体積比))を加えて、EFBホロセルロースの懸濁液を得た。次いで、EFBホロセルロースの懸濁液をメカニカル撹拌しながら、この濁液に窒素ガスを10分間吹き込んで、懸濁液の脱気を行った。続いて、EFBホロセルロースの懸濁液に硝酸アンモニウムセリウム(IV)1.00g及びメタクリル酸ドデシル(東京化成工業株式会社製、M0083)10.0gを加え、窒素ガス気流下10時間撹拌した。反応終了後、懸濁液をろ過した。得られたろ過物に400mLの蒸留水を加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、水洗浄を行った。続いて水洗浄したろ過物に400mLのアセトンを加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、アセトン洗浄を行った。アセトン洗浄したろ過物を50℃で真空乾燥して、16.9gのメタクリル酸ドデシル化EFBホロセルロースを取得した。最後に、得られたメタクリル酸ドデシル化EFBホロセルロースを、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊した。
C6(メタクリル酸ヒドロキシエチル化EFBホロセルロース繊維):以下の方法により得られたもの。平均粒径:184μm、水との接触角:0度
C1(EFBホロセルロース)10.0gと1Lの蒸留水とを、ホモジナイザー(IKA製、Ultra Turlux)を用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物に2Lの蒸留水を加え、再度、ホモジナイザーを用いて1200rpmの速度で5分間撹拌し、得られた懸濁液をヌッチェでろ過した。得られたろ過物を2Lのナス型フラスコに入れ、400mLの蒸留水を加えて、EFBホロセルロースの懸濁液を得た。次いで、EFBホロセルロースの懸濁液をメカニカル撹拌しながら、この懸濁液に窒素ガスを10分間吹き込んで、懸濁液の脱気を行った。続いて、EFBホロセルロースに、硝酸アンモニウムセリウム(IV)1.00g及びメタクリル酸ヒドロキシエチル(東京化成工業株式会社製、M0085)10.0gを加え、窒素ガス気流下10時間撹拌した。反応終了後、懸濁液をろ過した。得られたろ過物に400mLの蒸留水を加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、水洗浄を行った。続いて水洗浄したろ過物に400mLのアセトンを加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、アセトン洗浄を行った。アセトン洗浄したろ過物を室温下で12時間風乾して、19.1gのメタクリル酸ヒドロキシエチル化EFBホロセルロースを取得した。最後に、得られたメタクリル酸ヒドロキシエチル化EFBホロセルロースを、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊した。
C7(酢酸セルロース繊維):酢酸セルロース繊維(富士フイルム和光純薬株式会社製、039−01695、酢化度55.2%)を、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊して得たもの。平均粒径:234μm、水との接触角:73.9度
C8(三酢酸セルロース繊維):三酢酸セルロース繊維(富士フイルム和光純薬株式会社製、037−16765、酢化度61.4%)を、粉砕機(増幸産業株式会社製、マスコロイダー)を用いて解繊して得たもの。平均粒径:278μm、水との接触角:69.7度
C9(アクリル酸n−ブチル化EFBホロセルロース繊維):以下の方法により得られたもの。水との接触角:101.8度
C1(EFBホロセルロース)2.00gに100mLの蒸留水を加えて、EFBホロセルロースの懸濁液を調製した。次いで、EFBホロセルロースの懸濁液を撹拌子で撹拌しながら、懸濁液に窒素ガスを10分間吹き込んで、懸濁液の脱気を行った。続いて、EFBホロセルロースの懸濁液に、硝酸アンモニウムセリウム(IV)200mg及びアクリル酸n−ブチル(富士フイルム和光純薬株式会社製、022−03306)2.00gを加え、窒素ガス気流下12時間撹拌した。反応終了後、懸濁液をろ過した。得られたろ過物に100mLの蒸留水を加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、水洗浄を行った。続いて水洗浄したろ過物に100mLのアセトンを加えて撹拌した後、ろ過によりろ過物を回収する操作を5回繰り返して、アセトン洗浄を行った。アセトン洗浄したろ過物を50℃で真空乾燥して、3.90gのメタクリル酸n−ブチル化EFBホロセルロースを取得した。
[実施例1]
A2(粉末状ポリプロピレン)101.0gとB1(古紙解繊物、含水率12質量%)51.1gとC2(メタクリル酸メチル化EFBホロセルロース繊維)4.5gを秤量した。秤量したA2とB1とC2とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したA2とB1とC2とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、A2含有量が67質量%、B1含有量が30質量%、C2含有量が3質量%である。
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15−30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:165℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:165℃/165℃/165℃/165℃(X1〜X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
得られた第1混練物を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX−1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15−30MG)に投入し、下記の混練条件1で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3〜X4部の間で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
[実施例2〜6、比較例1〜3]
セルロース繊維の種類と含有量およびB1(古紙解繊物)の含有量を、下記の表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
[評価]
得られた発泡体の密度を、下記の方法により測定した。その結果を、原料混合物の組成と共に表1に示す。
(発泡体の密度の測定方法)
ストランド状の発泡体を押出方向に対して垂直に、剃刀(GEM、62−0167)を用いて切断し、長さ7〜8cmの略円柱状の密度測定用の試験サンプルを、各発泡体毎にそれぞれ3本作製した。3本の試験サンプルの重量及び体積をそれぞれ測定し、下記式(1)によって各試験サンプルの密度ρ(kg/m)を求めた。得られた3本の試験サンプルの密度の平均値を算出し、発泡体の密度とした。試験サンプルの質量M(kg)は大気下で測定し、試験サンプルの体積V(m)は水中置換法によって測定した。
ρ=M/V ・・・(1)
M:試験サンプルの質量(kg)、V:試験サンプルの体積(m
Figure 2019199522
親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維とを本発明の範囲で含む実施例1〜6の発泡体は、比較例1〜3の発泡体と比較して密度が低い、すなわち気孔の量が多くなった。比較例1及び比較例2の発泡体は、疎水性セルロース繊維を含まないため、発泡体の製造時において、水の蒸発による発泡が不均一となって発泡体が収縮して、密度が高くなったと考えられる。比較例3の発泡体は、親水性セルロース繊維を含まないため、発泡体の製造時において、発泡量が低減したため、密度が高くなったと考えられる。以上の結果から、親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維とを組合せて使用することによって、密度の低い発泡体を得ることが可能となることが確認された。
[実施例7〜9、比較例4]
A2(粉末状ポリプロピレン)とB1(古紙解繊物)とC4(メタクリル酸ヘキシル化EFBホロセルロース繊維)との含有量を、下記の表2に示すように変えたこと以外は、実施例3と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。得られた発泡体の密度を上記の方法により測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2019199522
B1(親水性セルロース繊維)と、疎水性セルロース繊維であるC4と、A2(粉末状ポリプロピレン)の含有量が本発明の範囲にある実施例7〜9の発泡体は、C4の含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例4の発泡体と比較して、密度が低くなった。この結果から、親水性セルロース繊維と疎水性セルロース繊維とポリプロピレンとを本発明の範囲で含有させることによって、密度の低い発泡体を得ることが可能となることが確認された。
[実施例10]
A1(ペレット状ポリプロピレン)67.0gとB1(古紙解繊物、含水率12質量%)34.1gとC9(アクリル酸n−ブチル化EFBホロセルロース繊維)3.00gを秤量した。秤量したA1とB1とC9とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したA1とB1とC9とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、A1含有量が67質量%、B1含有量が30質量%、C9含有量が3質量%である。
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15−30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数60rpmの条件で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部〜X2部の間で生成した第1混練物を、シリンダーのX3〜X4部の間で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。得られた発泡体の密度を上記の方法により測定した。その結果を表3に示す。
[実施例11]
疎水性セルロース繊維であるC9の代わりに、C2(メタクリル酸メチル処理EFBホロセルロース繊維)を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。得られた発泡体の密度を上記の方法により測定した。その結果を表3に示す。
[比較例5]
疎水性セルロース繊維であるC9を使用せずに、A1(ペレット状ポリプロピレン)の量を70.0gとし、B1(古紙解繊物、含水率12質量%)の量を34.1gとしたこと以外は、実施例10と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。得られた発泡体の密度を上記の方法により測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2019199522
第1混練物生成工程と第2混練物生成工程を連続的に行った場合でも、疎水性セルロース繊維を含む実施例10〜11の発泡体は、疎水性セルロース繊維を含まない比較例5の発泡体と比較して密度が低くなった。

Claims (5)

  1. 水との接触角が30度未満の親水性セルロース繊維と、水との接触角が30度以上の疎水性セルロース繊維と、ポリプロピレンとを含み、
    前記親水性セルロース繊維の含有量が10質量%以上60質量%以下の範囲内にあって、前記疎水性セルロース繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下の範囲内にあり、前記ポリプロピレンの含有量が38質量%以上88質量%以下の範囲内にあることを特徴とする発泡体。
  2. 前記疎水性セルロース繊維は、表面が疎水化剤で処理されたセルロース繊維であることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
  3. 前記疎水性セルロース繊維は、酢化度が30%以上63%以下の範囲内にある酢酸セルロース繊維であることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
  4. 前記親水性セルロース繊維は、古紙を解繊したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡体。
  5. 密度が50kg/m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡体。
JP2018094352A 2018-05-16 2018-05-16 発泡体 Active JP7087660B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018094352A JP7087660B2 (ja) 2018-05-16 2018-05-16 発泡体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018094352A JP7087660B2 (ja) 2018-05-16 2018-05-16 発泡体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019199522A true JP2019199522A (ja) 2019-11-21
JP7087660B2 JP7087660B2 (ja) 2022-06-21

Family

ID=68612927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018094352A Active JP7087660B2 (ja) 2018-05-16 2018-05-16 発泡体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7087660B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230149996A (ko) * 2022-04-21 2023-10-30 경북대학교 산학협력단 생분해성 적층 바이오 필름 및 이의 제조 방법
JP7535764B2 (ja) 2019-02-08 2024-08-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 発泡成形体

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000273800A (ja) * 1999-03-24 2000-10-03 Tsp:Kk 紙を用いた発泡体およびその製造方法
JP2002302578A (ja) * 2001-04-04 2002-10-18 Chisso Corp 有機繊維フィラー含有ポリプロピレン樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP2019014865A (ja) * 2016-12-28 2019-01-31 旭化成株式会社 セルロース含有樹脂組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000273800A (ja) * 1999-03-24 2000-10-03 Tsp:Kk 紙を用いた発泡体およびその製造方法
JP2002302578A (ja) * 2001-04-04 2002-10-18 Chisso Corp 有機繊維フィラー含有ポリプロピレン樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP2019014865A (ja) * 2016-12-28 2019-01-31 旭化成株式会社 セルロース含有樹脂組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7535764B2 (ja) 2019-02-08 2024-08-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 発泡成形体
KR20230149996A (ko) * 2022-04-21 2023-10-30 경북대학교 산학협력단 생분해성 적층 바이오 필름 및 이의 제조 방법
KR102702454B1 (ko) * 2022-04-21 2024-09-05 경북대학교 산학협력단 생분해성 적층 바이오 필름 및 이의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP7087660B2 (ja) 2022-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. Thermally stable, enhanced water barrier, high strength starch bio-composite reinforced with lignin containing cellulose nanofibrils
Ho et al. Nanofibrillation of pulp fibers by twin-screw extrusion
JP6787137B2 (ja) 微細セルロース繊維含有樹脂組成物及びその製造方法
JP5848330B2 (ja) セルロースナノフィラメント及びセルロースナノフィラメントを製造する方法
JP5757765B2 (ja) 変性ミクロフィブリル化植物繊維を含む樹脂組成物
CA3067521A1 (en) Fine cellulose fiber, production method thereof, slurry, and composite
JP6806985B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
Li et al. Structure and performance control of plant fiber based foam material by fibrillation via refining treatment
JP6787136B2 (ja) 微細セルロース繊維含有樹脂組成物及びその製造方法
WO2017159778A1 (ja) アシル化修飾ミクロフィブリル化植物繊維を含有するマスターバッチ
Oliaei et al. Eco-friendly high-strength composites based on hot-pressed lignocellulose microfibrils or fibers
WO2011115154A1 (ja) 成形材料及びその製造方法
JP2008169497A (ja) ナノファイバーの製造方法およびナノファイバー
Rani et al. Bionanocomposites reinforced with cellulose nanofibers derived from sugarcane bagasse
JP2018009134A (ja) セルロースナノファイバー含有乾燥体及びその製造方法並びにセルロースナノファイバー含有乾燥体分散液の製造方法
JP2011236398A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
Lal et al. Old corrugated box (OCB)-based cellulose nanofiber-reinforced and citric acid-cross-linked TSP–guar gum composite film
Imani et al. Coupled effects of fibril width, residual and mechanically liberated lignin on the flow, viscoelasticity, and dewatering of cellulosic nanomaterials
Petroudy et al. Comparative study of cellulose and lignocellulose nanopapers prepared from hard wood pulps: Morphological, structural and barrier properties
JP7087660B2 (ja) 発泡体
EP1585861A1 (en) Fibre suspension of enzyme treated sulphate pulp and carboxymethylcellulose as raw material for packages.
JP2012046848A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
Najahi et al. High-lignin-containing cellulose nanofibrils from date palm waste produced by hydrothermal treatment in the presence of maleic acid
JP2019001938A (ja) 解繊セルロース繊維の製造方法、及び樹脂組成物の製造方法
Najahi et al. Harvesting value from agricultural waste: Dimensionally stable fiberboards and particleboards with enhanced mechanical performance and fire retardancy through the use of lignocellulosic nanofibers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220301

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220420

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7087660

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150