JP2019198942A - タップ - Google Patents

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Abstract

【課題】加工時の負荷トルクを低減できるタップを提供する。【解決手段】食付き部αと完全山部βとを備える切削タップ1であって、食付き部αの加工歯24Aの頂部の山角度である食付き頂部山角度θ2は、完全山部βの加工歯20Bの頂部の山角度である完全頂部山角度θ1より大きい。【選択図】図2

Description

本発明は、ワークに設けられた下孔の内周面にネジ溝を形成するタップに関する。
一般的なタップとしては、下孔の内周面を切削することで雌ネジ形状を形成するハンドタップ、スパイラルタップ、あるいはポイントタップと呼ばれる切削タップ(例えば特許文献1、特許文献2参照)が知られている。また、その他に、下孔の内周面を塑性変形させることで雌ネジ形状を形成する盛上げタップ、あるいはロールタップと呼ばれる転造タップ(例えば特許文献3、特許文献4参照)が知られている。また、切削刃と転造刃とを備えた切削・転造複合タップも知られている(例えば特許文献5参照)。
また、通常のタップには、完全山部より先端側に配置された、いわゆる食付き部が設けられており、当該食付き部は、加工初期において下孔の内縁と食付き部における加工歯とを確実かつ容易に当接させるべく、先端に向かって細径となっていることが一般的である。これと共に、食付き部による加工量を確保すべく、食付き部の加工歯の形状は、完全山部と同じ形状としていることが一般的である。
特開2014−208388号公報 特開2016−55366号公報 特開2004−314231号公報 実開平2−74127号公報 特開2003−136334号公報
しかし、従来のタップにおいては、加工時に発生する負荷トルクが大きく、作業性が劣るという問題があった。
そこで本発明は、負荷トルクが小さいタップを提供することを目的とする。
本発明は、タップ先端部に配置された食付き部と、前記食付き部より基端側に配置された完全山部とを備え、前記食付き部の外径が前記完全山部の外径より径小で、かつ、前記食付き部における加工歯の高さが、前記完全山部における加工歯の高さより低いタップであって、前記食付き部における加工歯の頂部の山角度である食付き頂部山角度が、前記完全山部における加工歯の頂部の山角度である完全頂部山角度より大きいことを特徴とするタップである。
かかる構成にあっては、加工初期における当該加工歯のモーメントを低減しつつ加工量を従来と同等に確保することができる。したがって、加工時に生ずる負荷トルクを抑えつつ十分な加工量を確保してねじ溝を形成していくことができる。さらに詳述すると、本発明は、以下に示す思想を前提としている。すなわち、タップの単位回転数に対する加工量を確保すべく、食付き部における加工歯の山角度を可及的に大きくし、かつ相対的に加工歯の高さを低くして当該加工歯に近い領域でネジ溝を広くかつ浅く加工開始することを意図している。かかる構成とすることにより、加工量を確保しつつ、加工歯先端におけるモーメントが低減されて負荷トルクが小さくなる利点がある。一方、従来は、加工歯の山角度を完全山部における山角度と同一にしてねじ溝を加工初期から狭くかつ深く形成し始めて加工量を可及的に稼ぐことを目的としていた。しかしかかる構成では、加工歯先端におけるモーメントが大きく、負荷トルクが大きいという問題を招いてしまう。上述のように本発明は、かかる問題点を好適に解消することができる。
また、前記食付き部における加工歯は、当該加工歯の根本部側の山角度である食付き根本部側山角度が当該加工歯における食付き頂部山角度より小さい部位を有している構成が好ましい。
かかる構成とすることにより、ネジ溝の形状を無理なく徐々に所望の形状(完全山部の加工歯の形状)とすることができる。
さらに、前記食付き部における加工歯は、当該加工歯の食付き根本部側山角度と、前記完全山部の前記完全頂部山角度とが等しい部位を有していることが好ましい。
かかる構成とすることにより、より一層、ネジ溝の形状を無理なく徐々に所望の形状(完全山部の加工歯の形状)とすることができる。
本発明のタップは、加工時に生ずる負荷トルクを大幅に低減することができる効果がある。
実施例1にかかるタップ先端部の縦断面図である。 実施例1にかかるタップ先端部の部分拡大説明図である。 実施例1にかかるタップの使用状態を示す縦断面図である。 (a)は実施例1と従来のタップとの食付き部の加工歯の形状を比較する説明図であり、(b)は実施例1にかかる食付き部の加工歯の形状変化を模式的に説明する説明図である。 実施例2にかかるタップ先端部の縦断面図である。 実施例2にかかるタップ先端部の部分拡大説明図である。
以下、本発明のタップを具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
〔実施例1〕
図1,図2に示すように、切削タップ1の先端部(タップ先端部)には、食付き部αが配置されている。また、切削タップ1において食付き部αより基端側には、完全山部βが配置されている。
そして、食付き部αには、複数の加工歯10A〜14A,20A〜24Aが形成されている。一方、完全山部βには、複数の加工歯10B〜12B,20B〜21Bが形成されている。
ここで、食付き部αと完全山部βとを比較すると、食付き部αの外径は完全山部βの外径より径小となっており、さらに食付き部αは、先端ほど縮径した先細り形状となっている。
また、食付き部αの加工歯10A〜14A,20A〜24Aの高さh2は、完全山部βの加工歯10B〜12B,20B〜21Bの高さh1に比べて低くなっている。また、食付き部αの加工歯10A〜14A,20A〜24Aにあっては、先端ほど高さh2が低く、完全山部βに向かうほど高さh2が徐々に(段階的な徐変も含む)高くなっている。
さらに、食付き部αにおける加工歯10A〜14A,20A〜24Aの頂部の山角度である食付き頂部山角度θ2は、完全山部βの加工歯10B〜12B,20B〜21Bの頂部の山角度である完全頂部山角度θ1よりも大きい角度(θ1<θ2)となっている(図2参照)。
さらに、食付き部αの加工歯10A〜14A,20A〜24Aのうち完全山部βに位置が近い加工歯14A,24Aは特異な形状となっている(図2参照)。例えば、図2に示すように、食付き部αの加工歯24Aにおける根本部の山角度である食付き根本部側山角度θ3と、当該加工歯24Aにおける食付き頂部山角度θ2との大きさが相違しており、食付き根本部側山角度θ3が、食付き頂部山角度θ2より小さくなっている。そして、なおかつ当該加工歯24Aにおける食付き根本部側山角度θ3は、完全山部βにおける完全頂部山角度θ1と等しい角度となっている。
次に、図3に従って加工工程について説明する。
上述の構成からなる切削タップ1は、図3に示すように、加工対象であるワークWに設けられた下孔100に雌ネジを形成することができる。本実施例においては、切削タップ1によって形成されるネジ谷の角度(切削タップ1の完全頂部山角度θ1)は60°としている。また、完全頂部山角度θ1は、切削タップ1の先端側に向かって30°傾斜していると共に、基端側に向かって30°傾斜しており、加工歯10A〜14A,20A〜24A,10B〜12B,20B〜21Bは、切削タップ1の中心軸線に対して直交する対称軸L(図2参照)を基準として対称形状をしている。要は、当該切削タップ1は、メートルねじやインチねじと呼ばれるねじの規格に基づいたネジ溝を形成することができる。
ここで、切削タップ1の利点を図4(a)に従って説明する。
図4(a)に示すように、例えば本実施例の食付き部αにおける加工歯20Aは、食付き頂部山角度θ2が完全頂部山角度θ1よりも大きい。一方、従来技術における食付き部における加工歯Zは、完全頂部山角度θ1に等しい食付き頂部山角度で構成されている。そうすると、仮に、本実施例の加工歯20Aと、従来技術の加工歯Zとで、互いに同じ単位回転量あたりの加工量でネジ溝を加工したとすると、本実施例の加工歯20Aは、高さが低い形状となるためネジ溝を広くかつ浅く加工することとなる。一方、従来技術の加工歯Zは、相対的に高さが高い形状となるためネジ溝を狭くかつ深く加工することとなる。そうすると、タップの回転軸を基準とすると加工歯20A,Zにおける先端のモーメントが、本実施例の切削タップ1の方が小さくなる。すなわち、本実施例の切削タップ1は、従来と同等の加工量を確保しつつ加工時の負荷トルクを小さくすることができる利点がある。
また、図4(b)に示すように、切削タップ1は、食付き部αの最も先端の加工歯20Aの形状が完全山部βに近づくほど徐変する構成であるため、ネジ溝の形状を無理なく徐々に所望の形状(完全山部βの加工歯20Bの形状)とすることができる。
なお、本実施例にあっては、次のような構成としてもよい。すなわち、食付き部αにおける加工歯10A〜14A,20A〜24Aにあっては、当該加工歯10A〜14A,20A〜24Aの全体の高さに対して、食付き根元部側山角度θ3と完全頂部山角度θ1とが等しい部位である特異形状部位X(図2参照)の高さの割合が、完全山部βに近づくにつれて徐々に(段階的な徐変も含む)増加している構成が提案される。かかる構成とすることにより、ネジ溝の形状を無理なく徐々に所望の形状(完全山部の加工歯の形状)とすることができる。
〔実施例2〕
次に、のこぎり刃形状を有したネジ溝を形成する切削タップ2について説明する。
図5,図6に示すように、切削タップ2は、複数の加工歯30A〜33A,40A〜44Aが形成されてなる食付き部αと、複数の加工歯31B〜34B,40B〜43Bが形成されてなる完全山部βとを備えている。
なお、本実施例においては、切削タップ2によって形成されるネジ谷の角度(切削タップ2の完全頂部山角度θ4)は40°であり、θ5=80°である。そして、完全山部βにおける加工歯30B〜34B,40B〜43Bにあっては、切削タップ2の先端側に向かって10°傾斜し、基端側に向かって30°傾斜した形状となっている。
また、本実施例2においても実施例1と同様に、食付き根本部側山角度θ5は、完全頂部山角度θ4よりも大きい。また、食付き部αの加工歯30A〜33A,40A〜44Aのうち完全山部βに位置が近い加工歯33A,44Aは特異形状部位Xを有しており、例えば食付き部αの加工歯44Aにおける食付き根本部側山角度θ6は、当該加工歯44Aにおける食付き頂部山角度θ5より小さくなっている。そして、なおかつ当該加工歯44Aにおける食付き根本部側山角度θ6は、完全頂部山角度θ4と等しい角度となっている。
なお、切削タップ1,2は、従来構成と同様に完全山部βより基端側には円柱形状の本体部を備えており、さらに基端部には工具に軸支される軸支部が形成されている。かかる構成は、公知技術であるため詳細な説明は省略する。
また、実施例1,2においては切削タップを例にして説明したが、本発明は切削タップのみならず、加工対象を塑性変形させることによって雌ネジ形状を形成する転造タップや切削刃と転造刃との両方を備えた切削・転造タップにも適用可能である。
その他、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。例えば食付き部αにおいて、食付き頂部山角度を有する頂部と、完全頂部山角度に等しい食付き根本部側山角度を有する根本部との間に、当該食付き頂部山角度と当該食付き根本部側山角度との間の大きさの山角度を有する中間部を含む構成であってもよい。
1,2 タップ
10A〜14A,20A〜24A,10B〜12B,20B〜21B,30A〜33A,40A〜44A,31B〜34B,40B〜43B 加工歯
θ1,θ4 完全頂部山角度
θ2,θ5 食付き頂部山角度
θ3,θ6 食付き根本部側山角度
α 食付き部
β 完全山部
本発明は、タップ先端部に配置された食付き部と、前記食付き部より基端側に配置された完全山部とを備え、前記食付き部の外径が前記完全山部の外径より径小で先細り形状であり、かつ、前記食付き部における加工歯の高さが、前記完全山部における加工歯の高さより低いタップであって、前記食付き部の加工歯は、先端から完全山部に向かうほど高さが徐々に高くなっており、かつ前記完全山部に向かうに伴い形状が徐変するものであり、前記食付き部の先端部における加工歯の頂部の山角度である食付き頂部山角度が、前記完全山部における加工歯の頂部の山角度である完全頂部山角度より大きいと共に、当該食付き部の先端部における加工歯の根本部側の山角度である食付き根本部側山角度が当該加工歯における前記食付き頂部山角度と等しく、さらに前記食付き部において前記先端部よりも前記完全山部に近い位置の加工歯にあっては、前記食付き部の先端部における加工歯の食付き頂部山角度と等しい頂部と、当該加工歯の食付き根本部側山角度が前記完全山部の前記完全頂部山角度と等しい根本部である特異形状部位とからなる形状になるように前記先端部における加工歯の形状から徐変してなり、またさらに、当該加工歯の高さに対する前記特異形状部位の高さの割合が前記完全山部に向かうほど徐々に高くなるように当該加工歯の形状が徐変してなり、前記食付き部と前記完全山部との境界部で、当該境界部における加工歯の食付き根本部側山角度と当該加工歯の食付き頂部山角度とが前記完全頂部山角度に一致する、形状を有することを特徴とするタップである。

Claims (3)

  1. タップ先端部に配置された食付き部と、前記食付き部より基端側に配置された完全山部とを備え、前記食付き部の外径が前記完全山部の外径より径小で、かつ、前記食付き部における加工歯の高さが、前記完全山部における加工歯の高さより低いタップであって、
    前記食付き部における加工歯の頂部の山角度である食付き頂部山角度が、前記完全山部における加工歯の頂部の山角度である完全頂部山角度より大きい
    ことを特徴とするタップ。
  2. 前記食付き部における加工歯は、
    当該加工歯の根本部側の山角度である食付き根本部側山角度が当該加工歯における食付き頂部山角度より小さい部位を有している
    請求項1に記載のタップ。
  3. 前記食付き部における加工歯は、
    当該加工歯の食付き根本部側山角度と、前記完全山部の前記完全頂部山角度とが等しい部位を有している
    請求項2に記載のタップ。
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