JP2019197617A - 有機el表示パネルの製造方法及び有機el表示パネル形成用インク - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上の列状塗布領域内におけるインクの着弾直後の濡れ性を高めて着弾直後のレベリングを改善し、基板上の塗布領域内において発光層の膜厚の均一化を図る。【解決手段】基板上に複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルの製造方法であって、少なくとも画素電極119の行方向の間に位置する基板上方に列方向に延伸して行方向に複数の列バンク522Yを並設する工程と、行方向に隣接する列バンク522Y間の間隙522zそれぞれに、前記列バンクの列方向端部間にわたり有機機能性材料が有機溶剤に溶解されてなるインクを塗布する工程と、インクを乾燥させて有機機能層123を形成する工程と、有機機能層123上方に透光性の対向電極層125を形成する工程とを含み、インクの最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が、28mN/m以上40mN/m以下である。【選択図】図12

Description

本開示は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示パネルの製造方法、当該製造方法に用いる有機溶剤を含むインクに関する。
近年、デジタルテレビ等の表示装置に用いられる表示パネルとして、基板上に有機EL素子をマトリックス状に複数配列した有機EL表示パネルが実用化されている。この有機EL表示パネルでは、一般に各有機EL素子の発光層と、隣接する有機EL素子とは、絶縁材料からなるバンクで仕切られている。カラー表示用の有機EL表示パネルにおいては、このような有機EL素子が、RGB各色の画素を形成し、隣り合うRGBの画素が合わさってカラー表示における単位画素が形成されている。各有機EL素子は、陽極と陰極の一対の電極の間に有機発光材料を含む発光層等の機能膜が配設された素子構造を有し、駆動時には、一対の電極対間に電圧を印加し、陽極から発光層に注入されるホールと、陰極から発光層に注入される電子との再結合に伴って発光する。
近年、表示デバイスの大型化が進み、効率の良い機能膜の成膜方法として、発光材料やそのほかの有機機能性材料を有機溶剤に溶解してなるインクをスリットコーターやインクジェット法等の印刷手法を用いた湿式成膜プロセスにて塗布形成することが提案されている。この印刷手法を用いた湿式成膜プロセスでは、必要な箇所へ必要な量のみの塗布となり、高価な発光材料等の機能性材料の使用効率が向上することより、パネル製造コストの低減が可能となる方法である。
有機EL表示パネルの製造に用いる湿式成膜プロセスのうち、代表的なインクジェット法によるプロセスでは、塗布装置の作業テーブル上に塗布対象基板を載置し、基板上の塗布領域に対してインクジェットヘッドを一方向に走査して、インクジェットヘッドの複数のノズルから基板表面の所定領域に、発光材料や機能性材料を溶剤に溶解したインクを滴下する。その後インクの溶媒を蒸発乾燥させて機能膜が成膜される。しかしながら、塗布時及び塗布後のインクの流動状況によって膜厚変動が生じ、面内輝度ムラの発生の要因となっていた。
これに対して、例えば、特許文献1では、塗布された有機材料溶液が異色画素へ濡れ広がらない高い隔壁と、塗布された有機材料溶液が濡れ広がりを許容し画素端部でリーク電流が発生しない程度の厚さを備えた低い隔壁と組み合わせて、基板の一方向に延伸した高い隔壁に挟まれた列状塗布領域に同一色の有機材料溶液を滴下してバンク内の容積に応じた溶液量を塗布して成膜することで、混色の発生を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2では、水と界面活性剤と水性高分子材料とを含み、静的表面張力と動的表面張力とを所定の範囲内のものにした有機EL素子用インクジェットインクが提案されている。特許文献2には、当該インクにより吐出される液滴の形状とインクの濡れ広がり性を改善して、高い位置精度でインクを付着させるとともに、均一な厚さの膜が得られることが記載されている。
特開2007−234232号公報 特開2010−170829号公報
しかしながら、パネルの高精細化に伴いインクを塗布すべき領域の面積の縮小に伴いインク塗布量が少なくなるにつれて、従来のインクを用いた製造方法では、発光層の膜厚を均一化する作用が減少し、機能層の膜厚が不均一になり輝度ムラの要因となっていた。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであって、基板上の列状塗布領域内におけるインクの着弾直後の濡れ性を高めて着弾直後のレベリングを改善し、基板上の列状塗布領域内において発光層の膜厚の均一化を図ることにより、面内の輝度ムラを改善する有機EL表示パネルの製造方法及び有機EL表示パネル形成用インクを提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板上に複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルの製造方法であって、前記基板を準備する工程と、前記基板上に行列状に複数の画素電極を形成する工程と、少なくとも前記画素電極の行方向の間に位置する前記基板上方に列方向に延伸して行方向に複数の列バンクを並設する工程と、行方向に隣接する前記列バンク間の間隙それぞれに、前記列バンクの列方向端部間にわたり有機機能性材料が有機溶剤に溶解されてなるインクを塗布する工程と、前記インクを乾燥させて有機機能層を形成する工程と、前記有機機能層上方に透光性の対向電極層を形成する工程とを含み、前記インクの最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が、28mN/m以上40mN/m以下であることを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法では、基板上の列状塗布領域内におけるインクの着弾直後の濡れ性を高めて着弾直後のレベリングを改善し、塗布領域での発光層の膜厚の均一化を図ることにより、有機EL表示パネル面内での輝度ムラを改善することができる。
実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造方法で製造した有機EL表示パネル10の模式平面図である。 図1におけるX0部の拡大平面図である。 図2におけるにおけるY1−Y1で切断した模式断面図である。 図2におけるにおけるX1−X1で切断した模式断面図である。 表示パネル10の製造工程を示す工程図である。 (a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図3におけるにおけるY1−Y1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)(b)は動的表面張力の測定方法の模式図である。 有機EL表示パネル10の製造方法において、基板に対して発光層形成用のインクを塗布する工程を示す図であって、列バンク522Y間の間隙522zに塗布する場合の図である。 実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造方法に用いるインク乾燥装置900の模式断面図である。 (a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造におけるCF基板131製造の各工程での状態を示す模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造におけるCF基板131と背面パネルとの貼り合わせ工程での状態を示す図3におけるにおけるY1−Y1と同じ位置で切断した模式断面図である。 有機EL表示パネル10に用いるインクの実施例1から4及び比較例1〜3の表面張力の測定結果である。 インクの表面張力と駆動する周波数との関係図である。 (a)(b)は、従来のインクを用いた場合の未塗れ現象を、(c)は混色現象を説明するための模式図である。
≪発明を実施するための形態に至った経緯≫
印刷手法を用いた湿式成膜プロセスのうち、代表的なインクジェット法によるプロセスでは、塗布装置の作業テーブル上に塗布対象基板を載置し、基板上の塗布領域に対してインクジェットヘッドを一方向に走査して、インクジェットヘッドの複数のノズルから基板表面の所定領域に、発光材料や機能性材料を溶剤に溶解したインクを滴下してた後、溶媒を蒸発乾燥させて機能膜が成膜する。このとき、塗布時及び塗布後のインクの流動状況によって膜厚変動が生じると、面内輝度ムラの発生の要因となる。
さらに、パネルの高精細化に伴いインクを塗布すべき領域の面積の縮小に伴い、インクジェット法によるインク塗布量が少なくなるにつれて、従来のインクを用いた製造方法では、発光層の膜厚の均一化する作用が減少し、機能層の膜厚が不均一になり輝度ムラが発生し易くなっていた。
その理由として、インク塗布量の減少に伴い許容される膜厚変動の絶対値が減少すること、インク塗布量の減少に伴い膜厚変動に対する基板との濡れ性の影響度が相対的に増すこと、インク塗布量の減少により溶媒を蒸発が早まりレべリング可能な時間が減少することなどが考えられる。これらの要因により、高精細化されたパネルでは、インクの着弾直後の基板との濡れ性が不十分であると、従来のパネルに比べてインクのレベリング不足が生じ易く膜厚ばらつきを引き起こすと考えられる。
そこで、発明者はインクの着弾直後の基板との濡れ性について影響を与える因子について検討を行った。例えば、インクジェット法で吐出されたインク液滴は、数百μmの距離を飛翔し、基板表面に着弾する。速度4〜7m/secで飛翔するインク液滴は、ある運動エネルギーを持って基板に着弾するため、着弾と同時に時間にして数百ナノsecの間、大きく上下左右の振幅運動を起こす。着弾後、マイクロsecの間隔で振幅運動が収まり、ミリsec単位の間隔で基板表面に濡れ拡がっていく。またインク液滴の吐出周波数は、一般的には1kHz〜十数kHzとなり、ミリsec以下レベルの時間軸での動作となる。これらの状況を鑑みると遅くともミリsecレベルのインクパラメーターの取得が必要であることが理解できる。
印刷方法による湿式成膜プロセスに使用する有機機能性材料を含有してなるインクにおいては、基板上の塗布領域に塗布するために「濡れ」が重要な現象であり、インクの表面張力の値が濡れに影響する。表面張力値には、静的表面張力と動的表面張力とがあり、インクが撹拌されるようなインクに動作が加えられた状態で測定された表面張力が動的表面張力、インクが静止した状態で測定された表面張力が静的表面張力である。動的表面張力を測定する代表的な方法な方法の1つに最大泡圧法(バブルプレッシャー法)があり、静的表面張力の測定方法には、白金プレート法、ペンダントドロップ法などがあり、一般的には白金プレート法が用いられる。動的表面張力の測定値は静的表面張力の測定値に対し同じ、もしくは動的表面張力値が高くなる。
印刷方法の中で、特にインクジェット法は、動的表面張力の影響を受けやすい。インクジェット法は、圧電素子やヒーターを用いてインクを飛翔させて基板にインクを着弾させる方式であり、駆動素子に圧電素子を用いた例では、圧電素子に電圧を印加すると圧電素子の振動がインクに伝わりノズル部よりインク液滴が吐出させる。このとき、インクは振動により撹拌されておりノズル部より吐出する際にはインクの濡れは動的表面張力値に基づき、インクはそのまま基板への着弾するため着弾直後のインクの濡れも動的表面張力値に基づく。これに対し、時間の経過とともにインクの濡れは静的表面張力値に基づくものとなる。
図13は、有機EL表示パネルの製造工程における湿式成膜プロセスに用いる従来のインクの表面張力と駆動する周波数との関係図である。図13に示すように、従来のインクでは静的表面張力が40mN/m以下に抑えられているが動的表面張力値は40mN/mよりも大きい特性を有していた。
図14(a)(b)は、従来のインクを用いた場合の未塗れ現象を説明するための模式図であり、(a)はノズル列に平行な列状塗布領域と平行な断面の断面図、(b)は列状塗布領域と垂直な断面の断念図である。図14(c)は混色現象を説明するための模式図である。図14(a)(b)に示すように、インクジェットヘッド622の液室に蓄えられたインクINは吐出口624d1から吐出されて、液滴Dが基板100xの表面に着弾する。発明者による検討によると、高精細パネルの製造ではインク塗布量の減少に伴い、動的表面張力が40mN/mを超えて高い場合、吐出安定性が低下する。その理由は、通常、インクジェットヘッド622の吐出口624d1の表面は濡れ性を制限するべく、例えば、フッ素樹脂コーティングやニッケルフッ素の共析めっきなどの撥液処理が施されている。そのため、高精細パネルの製造ではインク塗布量が少なくなるために、動的表面張力が40mN/mを超えて高い場合、吐出口624d1でインクが撥かれ、インクが吐出口624d1を安定して通過できないという現象が生じる。また、液滴Dが基板100xに向けて飛翔した場合でも、インクの動的表面張力が上記のように高いと液滴Dが球形から崩れにくいために基板表面に濡れ拡がりにくく未塗れ(未塗れ現象)という現象が生じる。逆に、インクの動的表面張力を低めた場合には、着弾後は非常に濡れ性が高いためにバンクを乗り越え、図14(c)に示すように列バンクを挟んで隣接するインクとの混色が生じる。
そこで、発明者らは、基板上の列状塗布領域内に有機機能性材料を含むインクを塗布して製造する表示パネルの製造において、吐出安定性および着弾直後の基板への濡れ性を左右するインクの動的表面張力に着目し、吐出安定性とインクの着弾直後の濡れ性を高めて着弾直後に瞬時に列方向に拡散して、着弾直後のレベリングを促進する有機EL表示パネル形成用インク、当該インクを用いた有機ELパネルの製造方法ついて鋭意検討を行い、以下の実施の形態に至ったものである。
≪発明を実施するための形態の概要≫
本実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板上に複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルの製造方法であって、前記基板を準備する工程と、前記基板上に行列状に複数の画素電極を形成する工程と、少なくとも前記画素電極の行方向の間に位置する前記基板上方に列方向に延伸して行方向に複数の列バンクを並設する工程と、行方向に隣接する前記列バンク間の間隙それぞれに、前記列バンクの列方向端部間にわたり有機機能性材料が有機溶剤に溶解されてなるインクを塗布する工程と、前記インクを乾燥させて有機機能層を形成する工程と、前記有機機能層上方に透光性の対向電極層を形成する工程とを含み、前記インクの最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が、28mN/m以上40mN/m以下であることを特徴とする。また、別の態様では、上記何れかの態様において、前記動的表面張力値は、前記インクが前記列バンク間の間隙に着弾した直後の表面張力値である構成としてもよい。また、別の態様では、上記何れかの態様において、前記インクの静的表面張力値が26mN/m以上37mN/m以下である構成としてもよい。
係る構成により、基板上の列状塗布領域内に有機機能性材料を含むインクを塗布して製造する表示パネルの製造において、基板上の列状塗布領域内におけるインクの着弾直後の濡れ性を高めて着弾直後のレベリングを改善することができる。これより、吐出量バラツキに起因する膜厚バラツキを減少して列状塗布領域での発光層の膜厚の均一化を図ることにより、表示パネルの発光層の膜厚の不均一性に起因して生じる輝度ムラを改善することができる。
また、本実施の形態に係る有機EL表示パネル形成用インクであって、有機機能性材料と有機溶剤とを含み、最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が、28mN/m以上40mN/m以下である構成としてもよい。また、別の態様では、上記何れかの態様において、静的表面張力値が26mN/m以上37mN/m以下である構成としてもよい。
係る構成により、基板上の列状塗布領域内に有機機能性材料を含むインクを塗布して製造する表示パネルにおいて、インク吐出直後のレベリングを促進して吐出量バラツキに起因する膜厚バラツキを減少できるインクを実現できる。
≪実施の形態≫
<表示パネル10の全体構成>
[概要]
本実施の形態に係る表示パネル10について、図面を用いて説明する。
図1は、表示パネル10の模式平面図である。
表示パネル10は、有機化合物の電界発光現象を利用した有機EL表示パネルであり、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成された基板100x(TFT基板)に、各々が画素を構成する複数の有機EL表示素子100が行列状に配され、上面より光を発するトップエミッション型の構成を有する。ここで、本明細書では、図1におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ表示パネル10における、行方向、列方向、厚み方向とする。
図1に示すように、表示パネル10は、基板100x上をマトリックス状に区画してRGB各色の発光単位を規制する列バンク522Yと行バンク122Xとが配された区画領域10a(X、Y方向にそれぞれ10Xa、10Ya、区別を要しない場合は10aとする)と、区画領域10aの周囲に非区画領域10b(X、Y方向にそれぞれ10Xb、10Yb、区別を要しない場合は10bとする)とから構成されている。区画領域10aの列方向の外周縁は列バンク522Yの列方向の端部522Yeに相当する。非区画領域10bには、区画領域10aを取り囲む矩形状の封止部材300が形成されている。さらに、区画領域10aは、基板中心を含む表示素子配列領域10eと、表示素子配列領域10eの周囲に非発光領域10neとから構成されている。表示素子配列領域10eは、列バンク522Yと行バンク122Xにより規制される各区画に有機EL表示素子100が形成されている領域であり、非発光領域10neでは、各区画に有機EL表示素子100が形成されていない領域である。また、X、Y方向における非発光領域10neの長さは、隣接する列バンク522Yと隣接する行バンク122Xとに囲まれたサブ画素100se領域のX、Y方向の長さに対し、それぞれ、2倍以上10倍以下であることが好ましい。
<表示素子配列領域10eの構成>
図2は、図1におけるX0部の拡大平面図である。
表示パネル10の表示素子配列領域10eには、有機EL表示素子100に対応する単位画素100eが行列状に配されている。各単位画素100eには、有機化合物により光を発する領域である、赤色に発光する100aR、緑色に発光する100aG、青色に発光する100aB(以後、100aR、100aG、100aBを区別しない場合は、「100a」と略称する)の3種類の自己発光領域100aが形成されている。すなわち、図2に示すように行方向に並んだ自己発光領域100aR、100aG、100aBのそれぞれに対応する3つのサブ画素100seが1組となりカラー表示における単位画素100eを構成している。
また、図2に示すように、表示パネル10には、複数の画素電極層119が基板100x上に行及び列方向にそれぞれ所定の距離だけ離れた状態で行列状に配されている。画素電極層119は、平面視において矩形形状である。行列状に配された画素電極層119は、行方向に順に並んだ3つの自己発光領域100aR、G、Bに対応する。
表示パネル10では、バンク122の形状は、いわゆるライン状の絶縁層形式を採用し、行方向に隣接する2つの画素電極層119の行方向外縁及び外縁間に位置する基板100x上の領域上方には、各条が列方向(図2のY方向)に延伸する列バンク522Yが複数行方向に並設されている。
一方、列方向に隣接する2つの画素電極層119の列方向外縁及び外縁間に位置する基板100x上の領域上方には、各条が行方向(図2のX方向)に延伸する行バンク122Xが複数列方向に並設されている。行バンク122Xが形成される領域は、画素電極層119上方の発光層123において有機電界発光が生じないために非自己発光領域100bとなる。そのため、自己発光領域100aの列方向における外縁は、行バンク122Xの列方向外縁により規定される。
隣り合う列バンク522Y間を間隙522zと定義したとき、間隙522zには、自己発光領域100aRに対応する赤色間隙522zR、自己発光領域100aGに対応する緑色間隙522zG、自己発光領域100aBに対応する青色間隙522zB(以後、間隙522zR、間隙522zG、間隙522zBを区別しない場合は、「間隙522z」とする)が存在し、表示パネル10は、列バンク522Yと間隙522zとが交互に多数並んだ構成を採る。
また、図2に示すように、表示パネル10では、複数の自己発光領域100aと非自己発光領域100bとが、間隙522zに沿って列方向に交互に並んで配されている。非自己発光領域100bには、画素電極層119とTFTのソースとを接続する接続凹部119c(コンタクトホール)があり、画素電極層119に対して電気接続するための画素電極層119上のコンタクト領域119b(コンタクトウインドウ)が設けられている。
また、1つのサブ画素100seにおいて、列方向に設けられた列バンク522Yと行方向に設けられた行バンク122Xとは直交し、自己発光領域100aは列方向において行バンク122Xと行バンク122Xの間に位置している。
<表示パネル10の各部構成>
表示パネル10における有機EL表示素子100の構成を図3及び図4の模式断面図を用いて説明する。図3は、図2におけるY1−Y1で切断した模式断面図である。図4は、図2におけるX1−X1で切断した模式断面図である。
本実施の形態に係る表示パネル10は、Z軸方向下方に薄膜トランジスタが形成された基板100x(TFT基板)が構成され、その上に有機EL素子部が構成されている。
[基板100x(TFT基板)]
基板100xは表示パネル10の支持部材であり、基材(不図示)と、基材上に形成された薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)層(不図示)と、基材上及びTFT層上に形成された層間絶縁層(不図示)とを有する。
基材は、表示パネル10の支持部材であり、平板状である。基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料、例えば、ガラス材料、樹脂材料、半導体材料、絶縁層をコーティングした金属材料などを用いることができる。例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
TFT層は、基材上面に形成された複数のTFT及び配線からなる。TFTは、表示パネル10の外部回路からの駆動信号に応じ、自身に対応する画素電極層119と外部電源とを電気的に接続するものであり、電極、半導体層、絶縁層などの多層構造からなる。配線は、TFT、画素電極層119、外部電源、外部回路などを電気的に接続している。
基板100xの上面に位置する層間絶縁層は、TFT層によって凹凸が存在する基板100xの上面の少なくともサブ画素100seを平坦化するものである。また、層間絶縁層は、配線及びTFTの間を埋め、配線及びTFTの間を電気的に絶縁している。
TFT上部の絶縁層は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)や酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO)や酸窒化シリコン(SiON)を用いることもできる。TFTの接続電極層としては、例えば、モリブデン(Mo)と銅(Cu)と銅マンガン(CuMn)との積層体を採用することができる。基板100xの上面に位置する層間絶縁層は、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂などの有機化合物を用い形成されており、層厚は、例えば、2000nm〜8000nmの範囲とすることができる。
[画素電極層119]
基板100xの上面に位置する層間絶縁層上には、サブ画素100se単位で画素電極層119が設けられている。画素電極層119は、発光層123へキャリアを供給するためのものであり、例えば陽極として機能した場合は、発光層123へホールを供給する。画素電極層119の形状は、矩形形状をした平板状であり、画素電極層119は行方向に間隔δXをあけて、間隙522zのそれぞれにおいて列方向に間隔δYをあけて基板100x上に配されている。また、基板100xの上面に開設されたコンタクトホールを通して、画素電極層119の一部を基板100x方向に凹入された画素電極層119の接続凹部119cとTFTのソースとが接続される。
画素電極層119は、金属材料から構成されている。トップエミッション型の場合には、層厚を最適に設定して光共振器構造を採用することにより出射される光の色度を調整し輝度を高めているため、画素電極層119の表面部が高い反射性を有することが必要である。画素電極層119は、金属層、合金層、透明導電膜の中から選択される複数の膜を積層させた構造であってもよい。金属層としては、例えば、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料から構成することができる。合金層としては、例えば、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等を用いることができる。透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
[ホール注入層120、ホール輸送層121]
画素電極層119上には、ホール注入層120、ホール輸送層121が順に積層され、ホール輸送層121はホール注入層120に接触している。ホール注入層120、ホール輸送層121は、画素電極層119から注入されたホールを発光層123へ輸送する機能を有する。
ホール注入層120は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。
ホール輸送層121は、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物などを用いることができる。
[バンク122]
画素電極層119、ホール注入層120及びホール輸送層121の端縁を被覆するように絶縁物からなるバンク122が形成されている。バンク122は、列方向に延伸して行方向に複数並設されている列バンク522Yと、行方向に延伸して列方向に複数並設されている行バンク122Xとがあり、図2に示すように、列バンク522Yはバンク122Xと直交する行方向に沿った状態で設けられており、列バンク522Yと行バンク122Xとで格子状をなしている(以後、行バンク122X、列バンク522Yを区別しない場合は「バンク122」とする)。また、列バンク522Yはバンク122Xの上面122Xbよりも高い位置に上面522Ybを有する。
行バンク122Xの形状は、行方向に延伸する線状であり、列方向に平行に切った断面は上方を先細りとする順テーパー台形状である。行バンク122Xは、各列バンク522Yを貫通するようにして、列方向と直交する行方向に沿った状態で設けられており、各々が列バンク522Yの上面522Ybよりも低い位置に上122Xbを有する。そのため、行バンク122Xと列バンク522Yとにより、自己発光領域100aに対応する開口が形成されている。
行バンク122Xは、発光層123の材料となる有機化合物を含んだインクの列方向への流動を阻害してはいけない。そのため、行バンク122Xはインクに対する親液性が所定の値以上であることが必要である。係る構成により、発光層123の材料となる有機化合物を含んだインクの列方向への流動性を高めサブ画素間のインク塗布量の変動を抑制する。行バンク122Xにより画素電極層119は露出することはなく、行バンク122Xが存在する領域では発光せず輝度には寄与しない。
行バンク122Xの厚みの上限膜厚は、2000nmより厚い場合は列バンクに沿った間隙内のインクの濡れ広がりが阻害されてしまう。それに対して2000nm以下では列バンクの間隙内のインクの濡れ拡がりは良好である。1200nm以下の場合には、インクの濡れ広がりが更に良化する。また、下限膜厚は、100nm以上あれば、画素電極層119端部がバンク122で被覆され画素電極層119と対向電極層125がショートする事なく一定の歩留りで製造可能となる。200nm以上あれば、バンク膜厚バラつきにともなう上記のショート不良が軽減され安定的に製造可能となる。行バンク122Xに接続溝部を設ける場合における、溝部の底における膜厚も同様である。
したがって、行バンク122Xの厚み、例えば、100nm以上2000nm以下、より好ましくは200nm以上1200nm以下であることが好ましい。本実施の形態では、約500nmとした。
表示パネル10において、列バンク522Yは、行方向における各サブ画素100seの発光領域100aの外縁を規定するものである。また、製造課程において、列バンク522Yは、発光層123の材料となる有機化合物を含んだインクの列方向への流動を堰き止めて形成される発光層123の行方向外縁を規定する。そのため、列バンク522Yはインクに対する撥液性が所定の値以上であることが必要である。列バンク522Yの形状は、行方向に延伸する線状であり、列方向に平行に切った断面は上方を縮幅する台形形状である。
列バンク522Yの厚み、例えば、200nm以上5000nm以下、より好ましくは200nm以上3000nm以下であることが好ましい。列バンク522Yの高さは、行バンク122Xの高さより高くする必要がある。行バンク122Xの高さに対して、列バンク522Yの高さは100nm以上高ければよい。本実施の形態では、約2000nmとした。
バンク122は、画素電極層119の外縁と、対向電極層125との間における厚み方向(Z方向)の電流リークを防止するために、バンク122は、体積抵抗率が1×106Ωcm以上の絶縁性を備えていることが必要である。そのために、バンク122は、は後述するように所定の絶縁材料からなる構成を採る。
バンク122は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク122の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク122は、インクに使用する有機溶剤に対して耐性を有することが必要である。また屈折率が低くリフレクターとして好適であれば尚良い。
または、バンク122は、無機材料を用いる場合には、屈折率の観点から、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることが好ましい。あるいは、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料を用い形成される。
上述のとおり、バンク122Xは、約500nmの層である。ただし、層厚は、これに限定されるものではなく、例えば、100nm〜2000nmの範囲とすることができる。また、列バンク522Yは、約2000nmの層である。ただし、層厚は、これに限定されるものではなく、例えば、100nm〜5000nmの範囲とすることができる。
さらに、バンク122は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理など施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形、変質などをしないような耐性の高い材料で形成されることが好ましい。
また、表面に撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。また、列バンク522Yの形成にフッ素を含有した材料を用いてもよい。また、列バンク522Yの表面に撥水性を低くするために、列バンク522Yに紫外線照射を行う、低温でベーク処理を行ってもよい。
[発光層123]
発光層123は、有機化合物からなる層であり、内部でホールと電子が再結合することで光を発する機能を有する。表示パネル10は、列バンク522Yと間隙522zとが交互に多数並んだ構成を有する。列バンク522Yにより規定された間隙522zには、発光層123が列方向に延伸して形成されている。自己発光領域100aRに対応する赤色間隙522zR、自己発光領域100aGに対応する緑色間隙522zG、自己発光領域100aBに対応する青色間隙522zBには、それぞれ各色に発光する発光層123が形成されている。
発光層123は、画素電極層119からキャリアが供給される部分のみが発光するので、層間に絶縁物である行バンク122Xが存在する範囲では、有機化合物の電界発光現象が生じない。そのため、発光層123は、行バンク122Xがない部分のみが発光して、この部分が自己発光領域100aとなり、自己発光領域100aの列方向における外縁は、行バンク122Xの列方向外縁により規定される。発光層123は、自己発光領域100aにおいてはホール輸送層121の上面に位置し、非自己発光領域100bにおいては行バンク122Xの上面及び側面上に位置する。発光層123のうち行バンク122Xの側面及び上面122Xb上方にある部分119bは発光せず、この部分は非自己発光領域100bとなる。
なお、図3に示すように、発光層123は、自己発光領域100aだけでなく、隣接する非自己発光領域100bまで連続して延伸されている。このようにすると、発光層123の形成時に、自己発光領域100aに塗布されたインクが、非自己発光領域100bに塗布されたインクを通じて列方向に流動でき、列方向の画素間でその膜厚を平準化することができる。但し、非自己発光領域100bでは、行バンク122Xによって、インクの流動が程良く抑制される。よって、列方向に大きな膜厚むらが発生しにくく画素毎の輝度むらが改善される。
発光層123の形成に用いる材料は、湿式成膜プロセスを用い製膜できる発光性の有機機能性材料(有機発光材料)を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
発光層123は、有機発光材料を含むインクを構成して、列バンク522Y間の間隙522zに列方向端部間にわたり列方向に連続して塗布した後、減圧雰囲気下で乾燥することにより形成される。インクは、有機発光材料などの機能層材料を含む溶質と有機溶剤からなる溶媒とから構成されている。有機溶剤は、上記した有機機能性材料を含む溶質が溶解可能な有機溶媒であることが必要である。用いることができる有機溶媒の例は:CH2Cl2、CHCl3、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、などの塩素系溶媒、アニソール、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、テトラリン、ジメチルナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族類、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、などのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、などの含窒素類、ジメチルスルホキシド、などの含硫黄類、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族有機溶剤および/またはそれらの混合物である。また界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの添加剤を適宜含有させてもかまわない。
[電子輸送層124]
バンク122上及びバンク122により規定された開口内には、発光層123の上に電子輸送層124が形成されている。また、本例では、発光層123から露出する各列バンク522Yの上面522Yb上にも配されていている。電子輸送層124は、対向電極層125から注入された電子を発光層123へ輸送する機能を有する。電子輸送層124は、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
[対向電極層125]
電子輸送層124を被覆するように、対向電極層125が積層形成されている。対向電極層125については、表示パネル10全体に連続した状態で形成され、単位画素毎あるいは数個の単位画素毎にバスバー配線に接続されていてもよい(図示を省略)。対向電極層125は、画素電極層119と対になって発光層123を挟むことで通電経路を作り、発光層123へキャリアを供給するものであり、例えば陰極として機能した場合は、発光層123へ電子を供給する。対向電極層125は、電子輸送層124の表面に沿って形成され、各発光層123に共通の電極となっている。対向電極層125は、光透過性を有する導電材料が用いられる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。また、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)などを薄膜化した電極を用いてもよい。
[封止層126]
対向電極層125を被覆するように、封止層126が積層形成されている。封止層126は、発光層123が水分や空気などに触れて劣化することを抑制するためのものである。封止層126は、対向電極層125の上面を覆うように表示パネル10全面に渡って設けられている。封止層126は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
[接合層127]
封止層126のZ軸方向上方には、上部基板130のZ軸方向下側の主面にカラーフィルタ層128が形成されたCF基板131が配されており、接合層127により接合されている。接合層127は、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルとCF基板131とを貼り合わせるとともに、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。接合層127の材料は、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの透光性材料樹脂材料を採用することができる。
[上部基板130]
接合層127の上に、上部基板130にカラーフィルタ層128が形成されたCF基板131が設置・接合されている。上部基板130には、表示パネル10がトップエミッション型であるため、例えば、カバーガラス、透明樹脂フィルムなどの光透過性材料が用いられる。また、上部基板130により、表示パネル10、剛性向上、水分や空気などの侵入防止などを図ることができる。透光性材料としては、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等を採用することができる。
[カラーフィルタ層128]
上部基板130には画素の各色自己発光領域100aに対応する位置にカラーフィルタ層128が形成されている。カラーフィルタ層128は、R、G、Bに対応する波長の可視光を透過させるために設けられる透明層であり、各色画素から出射された光を透過させて、その色度を矯正する機能を有する。例えば、本例では、赤色間隙522zR内の自己発光領域100aR、緑色間隙522zG内の自己発光領域100aG、青色間隙522zB内の自己発光領域100aBの上方に、赤色、緑色、青色のフィルタ層128R、G、Bが各々形成されている。カラーフィルタ層128は、具体的には、例えば、複数の開口部を画素単位に行列状に形成されたカラーフィルタ形成用のカバーガラスからなる上部基板130に対し、カラーフィルタ材料および溶媒を含有したインクを塗布する工程により形成される。
<表示パネル10の製造方法>
次に、表示パネル10の製造方法について説明する。図5は、表示パネル10の製造工程を示す工程図である。図6(a)〜(d)、図10(a)〜(d)、図11(a)(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるにおけるY1−Y1と同じ位置で切断した模式断面図である。
[画素電極層119の形成]
先ず、図6(a)に示すように、層間絶縁層までが形成されたTFT基板100x0を準備する。層間絶縁層にコンタクト孔を開設し、画素電極層119を形成する。
画素電極層119の形成は、スパッタリング法あるいは真空蒸着法などを用い金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いパターニングすることでなされる。なお、画素電極層119は、TFTの電極と電気的に接続された状態となる。
[ホール注入層120、ホール輸送層121の形成]
次に、図6(b)に示すように、画素電極層119上に対して、ホール注入層120、ホール輸送層121を形成する。ホール注入層120、ホール輸送層121は、スパッタリング法を用い酸化金属(例えば、酸化タングステン)からなる膜を形成、あるいは、スパッタリング法を用い金属(例えば、タングステン)からなる膜を堆積し、減圧雰囲気下又は大気圧下にて焼成によって酸化して形成される。
あるいは、ホール注入層120は、インクジェット法を用い、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を含むインクを、後述する列バンク522Yを形成した後、列バンク522Yにより規定される間隙522z内に塗布した後、減圧雰囲気下にて溶媒を揮発除去させて、あるいは、その後に大気圧下にて焼成することにより形成してもよい。大気圧下での焼成は、減圧雰囲気下にてインクに含まれる溶媒をある程度揮発除去させた後、基板100xをチャンバ500外に取り出して行う構成を採ることができる。大気圧下にて焼成することにより、金属酸化物を含むホール注入層を湿式成膜プロセスを用いて好適に製造することができる。
また、ホール輸送層121は、インクジェット法やグラビア印刷法による湿式成膜プロセスを用い、構成材料を含むインクを後述する列バンク522Yを形成した後、列バンク522Yにより規定される間隙522z内に塗布した後、減圧雰囲気下にて溶媒を揮発除去させる。あるいは、その後に減圧雰囲気下にて焼成することにより形成してもよい。
その後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い各画素単位にパターニングしてもよい。
[バンク122の形成]
図6(b)に示すように、ホール輸送層121の縁部を覆うようにバンク122を形成する。バンク122の形成では、先ず行バンク122Xを形成し、その後、各画素を規定する間隙522zを形成するように列バンク522Yを形成し、間隙522z内の行バンク122Xと行バンク122Xとの間にホール輸送層121の表面が露出するように設けられる。
バンク122の形成は、先ず、ホール輸送層121上に、バンク122の構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜をパターニングして行バンク122X、列バンク522Yを順に形成する。行バンク122X、列バンク522Yのパターニングは、樹脂膜の上方にフォトマスクを利用し露光を行い、現像工程、焼成工程をすることによりなされる。
バンク122Xの形成工程では、先ず、スピンコート法などを用い、有機系の感光性樹脂材料、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等からなる感光性樹脂膜を形成した後、乾燥し、溶媒をある程度揮発させてから、所定の開口部が施されたフォトマスクを重ね、その上から紫外線照射を行い感光性樹脂等からなるフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写する。次に、感光性樹脂を現像によってバンク122Xをパターニングした絶縁層を形成する。一般にはポジ型と呼ばれるフォトレジストが使用される。ポジ型は露光された部分が現像によって除去される。露光されないマスクパターンの部分は、現像されずバンク122が約500nm程度の厚みで残存する。
列バンク522Yの形成は、先ず、スピンコート法などを用い、列バンク522Yの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜をパターニングして間隙522zを開設して列バンク522Yを形成する。間隙522zの形成は、樹脂膜の上方にマスクを配して露光し、その後で現像することによりなされる。列バンク522Yは、列方向に延設され、行方向に間隙522zを介して並設される。
また、列バンク522Yは、発光層123の材料となる有機化合物を含んだインクの列方向への流動を堰き止めて、形成される発光層123の行方向外縁を規定するため、列バンク522Yはインクに対する撥液性が所定の値以上であることが必要である。他方、行バンク122Xは、発光層123のインクの列方向への流動を制御するために、行バンク122Xはインクに対する親液性が所定の値以上であることが必要である。
列バンク522Yの表面に撥水性をもたせるために、列バンク522Yの表面をCF4プラズマ処理することもできる。また、列バンク522Yの形成にフッ素を含有した材料、もしくはフッ素を含有した材料を混合した組成物を用いてもよい。
[発光層123の形成]
図6(c)に示すように、列バンク522Yで規定された各間隙522z内に、ホール輸送層121側から順に、発光層123を積層形成する。
発光層123の形成は、インクジェット法を用い、有機発光材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される間隙522z内に塗布した後、インクを乾燥することによりなされる。
具体的には、この工程では、副画素形成領域となる間隙522zに、液滴吐出装置を用いてインクジェット法によりR、G、Bいずれかの有機発光層の材料を含むインク123RI、123GI、123BIをそれぞれ充填し、充填したインクを減圧下で乾燥させ、ベーク処理することによって、発光層123R、123G、123Bを形成する(図6(c))。
インク123は、上述した使用可能な有機溶剤から複数の有機溶剤を選択し所定の比率で混合したものに対し、上述した使用可能な有機発光材料を所定の比率で混合して、最大泡圧法による100Hz時の動的表面張力、及び白金プレート法による静的表面張力の測定を行うことにより作成した。図7は、最大泡圧法による動的表面張力計の模式図であり、(a)は先端が水平型、(b)は先端が垂直型の動的表面張力計である。最大泡圧法では、図7(a)(b)に示すように、液体中に挿した細管(プローブ)に気体を流して、気泡BUを発生させたときの最大圧力(最大泡圧)を計測し、Young-Laplace式に基づいて表面張力を算出する方法である。静的表面張力の測定方法には、白金プレート法を用いることができる。
インクの動的表面張力と静的表面張力の値は、インクを構成するために上述した使用可能な材料から選択される有機溶剤、有機発光材料の組成及び組成比により変動する。これらのパラメータを異なられたインクを複数合成して動的表面張力及び静的表面張力を測定して、動的表面張力及び静的表面張力の目標値に対してパラメータを最適化することにより所望の動的表面張力及び静的表面張力を有するインクの合成することができる。
インクに用いる溶媒として、上記した有機機能性材料を含む溶質が溶解可能な有機溶媒を用いた場合には、動的表面張力及び静的表面張力を40mN/m以下に調整しやすく、吐出安定性とインクの着弾直後の濡れ性を高め易いという効果が得られる。
これに対し、仮にインクに用いる溶媒として水を含む溶媒を用いた場合には上記した有機機能性材料を含む溶質を溶解させることができずインクジェット法を用いて塗布可能なインクを構成することが困難となる。また、水は表面張力が約73mN/mと非常に濡れ性が低いために吐出安定性とインクの着弾直後の濡れ性を高めることが難しい。
インクジェット技術による塗布プロセスと表面張力との関係について以下に詳説する。インクの表面張力とは分子間引力であり、そのため表面張力値が高い場合(概ね50mN/m以上)には液滴のまとまりが良くなり、リガメントに相当するインク尾引きの長さは抑制される。しかしながら、インク尾引き以外に関してもインクジェット技術を用いたインク塗布のプロセスは、プロセスの各所において「濡れ」に関連する毛細管現象を利用した塗布プロセスであり濡れ性の制御が必要となる。
先ず、吐出の際には、インクジェットヘッドにおいて、流路と呼ばれる細い管の中にインクが充填されており、例えば、ピエゾの伸び縮みを利用してインクをノズル(微細孔)から吐出させ、インクがノズルより吐出されたのち、毛細管力によるインクが流路に再充填される。
また、着弾の際には、基板上へ着弾したインク液滴は毛細管現象により列バンクを伝って列バンクの間隙に沿って濡れ拡がる。
吐出において、インクの表面張力が高い場合には、濡れ性が悪くなるために、インクジェットヘッド内では、流路壁面との濡れ性が悪くなるので、インクの充填性が悪化する。充填性の悪化は、吐出周波数が1kHz程度では問題にならないが、吐出周波数が1kHzよりも高い場合にはインクの充填の時間が不足しインクが充填されていない状態での不吐出動作(空打ち)が生じ不吐出が発生する。
また、着弾において、ライン状の列バンクにおいては、インクの濡れ拡がりが悪くなり、列バンク間の間隙内のインクのレベリングが不十分となり、スジ状のムラとなる。
そのため、インクジェット技術による塗布プロセスでは、ヘッド流路内のインクの充填性とバンク内へのレベリング性を考慮すると、動的表面張力値は40mN/mを下回る必要がある。しかしながら、動的表面張力値が25mN/mより低い場合には、インクジェットヘッドの表面にインクが垂れてきたり、列バンクの壁面を乗り越えて濡れ広がり隣接間隙間でインクが混色するなどの問題が発生する。
(インク塗布工程について)
インクジェット法を用いて、発光層123のインクを間隙522z内に塗布する方法の一例を提示する。図8は、基板に対して発光層形成用のインクを塗布する工程を示す図であって、列バンク522Y間の間隙522zに一様に塗布する場合の模式図である。
本塗布方法では、図8に示すように、基板100xは、列バンク522YがY方向に沿った状態で液滴吐出装置の作業テーブル上に載置され、Y方向に沿って複数の吐出口624d1がライン状に配置されたインクジェットヘッド622をX方向に走査しながら、各吐出口624d1から列バンク522Y同士の間隙522z内に設定された着弾目標を狙ってインクを着弾させることによって、1色の間隙中にインク(例えば、赤色間隙用のインク)を塗布する。
表示パネル10では、発光層123は発光領域100aだけでなく、隣接する非自己発光領域100bまで連続して延伸されている。これにより、発光層123の形成時に、発光領域100aに塗布されたインクが、非自己発光領域100bに塗布されたインクを通じて列方向に流動できる。このとき、塗布されるインクの表面張力値が所定の範囲、具体的には、塗布されるインクの最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が28mN/m以上40mN/m以下、より好ましくは、静的表面張力値が26mN/m以上40mN/m以下、あるいは、静的表面張力値が26mN/m以上37mN/m以下に調整されているので、着弾直後における未塗れ部が発生を防止し、列バンク間の間隙内への濡れ拡がりが不十分となることを防止することができる。そして、後述するインク乾燥工程を実施することにより列方向の画素間でその発光層123の膜厚を平準化することができる。
RGB各色のインクの塗布については、発光層123の形成時には、発光層123を形成するための溶液であるインクを用いて、赤色副画素用の間隙522zR内に発光層123R、緑色副画素用の間隙522zG内に発光層123G、及び青色副画素用の間隙522zB内に発光層123Bを、複数のラインバンク間の各領域に形成する。発光層123Rと、発光層123G又は発光層123Bとは厚みが異なる。そのため、同一の塗布量にて発光層123のインクを塗布する領域は、X方向に隣接して並ぶ3つの領域の中の1つである。例えば、間隙522zR内に塗布するインクの量を、間隙522zB及び間隙522zG内に塗布するインクの量よりも多くすることにより、発光層123Rの厚みを、発光層123B及び発光層123Gの厚みよりも大きく形成することができる。
RGB各色のインクを塗布する順序については、ノズルから吐出するインクの量を第1の条件に設定して基板上の複数の第1色目の間隙にインクを塗布し、次に、ノズルから吐出するインクの量を第2の条件に設定してその基板上の複数の第2色目の間隙にインクを塗布し、次にノズルから吐出するインクの量を第3の条件に設定してその基板上の複数の第3色目の間隙にインクを塗布する方法で、3色全部の間隙にインクを順次塗布する。このとき、基板100xに対して第1色目の間隙へのインクの塗布が終わると、次に、その基板の第2色目の間隙にインクを塗布し、さらに、その基板の第3色目の間隙にインクを塗布する工程が繰り返し行われ、3色の間隙用のインクを順次塗布する。あるいは、複数の基板単位で第1色目のインク塗布、第2色目のインク塗布、第3色目のインク塗布を順次繰り返してもよい。
他方、ノズルから吐出するインクの量を第1の条件に設定して1枚の基板上の第1色目の間隙にインクを塗布した後、インクの量を第2の条件に変更して隣接する第2色目の間隙にインクを塗布し、さらに、インクの量を第3の条件に変更して隣接する第3色目の間隙にインクを塗布し、インクの量を第1の条件に戻して隣接する第1色目の間隙にインクを塗布し、この動作を繰り返して1枚の基板上の3色の間隙全部にインクを連続して塗布してもよい。
発光層123の形成方法はこれに限定されず、インクジェット法やグラビア印刷法以外の方法、例えばディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布してもよい。
(インク乾燥方法について)
塗布したインクを乾燥するインク乾燥工程について説明する。
インク乾燥工程は、基板100x上の列バンク522Y間の間隙内に充填された有機発光材料を含むインクを減圧下で乾燥させベーク処理をするインク乾燥装置900を用いて行う。図9は、インク乾燥装置900の模式断面図である。図9に示すように、インク乾燥装置900は、列バンク522Y間の間隙522z内に有機発光材料を含むインクが塗布された基板100xを収容するチャンバ500と、チャンバ500内において基板100xが載置される支持台700、チャンバ500に接続されチャンバ500から気体を吸引してチャンバ500外へ排気する真空ポンプ600、真空ポンプ600を駆動する制御部820、チャンバ500内の圧力をモニタリングする圧力センサ810、支持台700上の基板100xを加熱するヒータ(不図示)とを備える。
インク乾燥工程では、先ず列バンク522Y間の間隙内に有機発光材料を含むインク123が塗布された基板100xを支持台700に載置し、基板100xをチャンバ500内に収容する。この状態において、真空ポンプ600を駆動してチャンバ500内の圧力を大気圧から真空まで減圧する。このとき、図9に示すように、支持台700が位置するチャンバ500内から外への気流Fl1が発生する。同時に基板100xに塗布されたインク123から蒸発した溶媒蒸気Fz1は所定の時間において、基板100x上方からチャンバ500外へ放出される。
次に、チャンバ500内の圧力が所定の基準値以下になるまで減圧し、基準値以下を維持し充填したインクに含まれる溶媒を蒸発してインクを乾燥させる。その後、基板100xにベーク処理を施すことによって、発光層123を形成する。ベーク処理は、所定条件の焼成工程(例えば、加熱温度約150℃、加熱時間約60分の条件で真空焼成する工程)により行う。
焼成工程が終了すると、チャンバ500内に気体を導入し、支持台700を駆動手段(不図示)により、チャンバ500の外に移動させて、発光層123が形成された基板100xをチャンバ500外に搬出し、インク乾燥工程を終了する。
[電子輸送層124、対向電極層125および封止層126の形成]
図8(d)に示すように、間隙522z内、及び列バンク522Y上にベタ膜として真空蒸着法などを用い電子輸送層124を形成する。間隙522z内、及び列バンク522Y上にベタ膜として電子輸送層124を被覆するように、対向電極層125および封止層126を順に積層形成する。対向電極層125および封止層126は、CVD法、スパッタリング法などを用い形成できる。
[CF基板131の形成]
次に、CF基板131を形成する。図10(a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造におけるCF基板131製造の各工程での状態を示す模式断面図である。
CF基板131の形成では、先ず、透明な上部基板130を準備する(図10(a))。次に、上部基板130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層128(例えば、G)の材料を溶媒に分散させ、ペースト128Xを塗布し(図10(b))、溶媒を一定除去した後、所定のパターンマスクPM2を載置し、紫外線照射を行う(図10(c))。その後はキュアを行い、パターンマスクPM2及び未硬化のペースト128Xを除去して現像すると、カラーフィルタ層128(G)が形成される(図10(d))。この図10(b)、(d)の工程を各色のカラーフィルタ材料について同様に繰り返すことで、カラーフィルタ層128(R)、128(B)を形成する。
[CF基板131と背面パネルとの貼り合わせ]
次に、CF基板131と背面パネルとの貼り合わせる。
工程では、先ず、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルに、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの紫外線硬化型樹脂を主成分とする接合層127の材料を塗布する(図11(a))。
続いて、塗布した材料に紫外線照射を行い、背面パネルとCF基板131との相対的位置関係を合せた状態で両基板を貼り合わせる。このとき、両者の間にガスが入らないように注意する。その後、両基板を焼成して封止工程を完了すると、表示パネル10が完成する(図11(b))。
<効 果>
実施の形態に係るインクを用いた効果について説明する。
[評価試験]
実施の形態に係るインクを用いて、表示パネル10を作製し形成された発光層123の膜厚の状態を観察し評価を行った。
試験用インクとして、上述した使用可能な有機溶剤から複数の有機溶剤を選択し所定の比率で混合したものに対し、上述した使用可能な有機発光材料を所定の比率で混合して、最大泡圧法による100Hz時の動的表面張力、及び白金プレート法による静的表面張力の測定を行い、表1に記載する物性値を示すインクを作成した。本実験では、図11(b)に示す垂直型(KRUSS社製)の動的表面張力計を用いて計測を行った。また、静的表面張力の測定には白金プレート法を用いた。表1は、実施例1から4及び比較例1から3係るインクにおける動的表面張力及び静的表面張力の測定結果である。また、図12は、インクの実施例1から4及び比較例1〜3の表面張力の測定結果である。
Figure 2019197617
次に、これらのインクを用いて、表示パネル10を作製し形成された発光層123の膜厚の状態を観察し評価を行った。表2は、実施例1から4及び比較例1から3係るインクにおけるバンク内の膜形状(インクの充填性)に関する観察及び評価結果である。
Figure 2019197617
表1及び2に示すように、実施例1〜4に係るインクはいずれも着弾後速やかにインクがレベリングして列バンク間の間隙内に問題なくインクが充填され均一な膜が形成された。
これに対して比較例1では、動的及び静的表面張力値が50mN/mと高く、着弾直後の基板上へ濡れ性が悪く、未塗れ部が発生し列バンク間の間隙内へのインクの濡れ拡がりが不十分である。
比較例2では、動的表面張力値が45mN/mと高く、着弾直後の基板上への濡れ性が悪く、列バンク間の間隙内へのインクの濡れ拡がりが不十分である。また比較例1、2共に、着弾後に撥かれた状態になり弾みで着弾位置のズレが引き起こる。これらの影響により膜厚のバラつきが発生している。
比較例3では、動的及び静的表面張力値が25mN/mと小さく、吐出の安定性が低く、着弾後は非常に濡れ性が高いためにバンクを乗り越え、列バンクを挟んで隣接するインクとの混色が生じパネルを作製することができなかった。
以上の結果から、未塗れ部が発生し列バンク間の間隙内への濡れ拡がりが不十分となることを防止するためには、インクの最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が28mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。さらに、インクの静的表面張力値が26mN/m以上40mN/m以下であることがより一層好ましい。また、上述のとおり、動的表面張力の測定値は静的表面張力の測定値に対し同じ、もしくは動的表面張力値が高くなるため、インクの静的表面張力値は26mN/m以上37mN/m以下であってもよい。
これまで、表面張力というと静的表面張力を指し、動的表面張力は含まないのが通例であった。しかしながら、実施例3と比較例2との実験結果を比較すると、両者は静的表面張力は同じ値であるが、列バンクへのインクのレベリング性が相違する。具体的には、実施例3ではレベリングに問題はないが、比較例2においてはレベリングが不十分であり発光時にスジムラが観察された。これは、動的表面張力の違いによるものである。この結果は、列バンクに対するインクのレベリング性の評価における動的表面張力評価の重要性を示すものであり、静的表面張力の測定では列バンクに対するインクレベリング性を十分に評価することができないと考えられる。
<総 括>
本実施の形態に係る表示パネルの製造方法では、インクジェット方式により、基板100xは、列バンク522YがY方向に沿った状態で液滴吐出装置の作業テーブル上に載置され、Y方向に沿って複数の吐出口624d1がライン状に配置されたインクジェットヘッド622をX方向に走査しながら、各吐出口624d1から列バンク522Y同士の間隙522z内に設定された着弾目標を狙ってインクを着弾させることによって行われる。このとき、列バンク522Y間の間隙内に塗布されたインクは、非自己発光領域100bに塗布されたインクを通じて列方向に流動し、バンク間隙522z内のインクが列方向に移動することによりレベリングされて膜厚均一性を高めるように構成されている。
しかしながら、上述のとおり、高精細パネルではインクを塗布すべき領域の面積の縮小に伴い、インクジェット法によるインク塗布量が少なくなるにつれて、従来のインクを用いた製造方法では、発光層の膜厚の均一化する作用が減少し、機能層の膜厚が不均一になり輝度ムラが発生し易くなっていた。
これに対し、実施の形態に係る表示パネルの製造方法は、基板上に行列状に複数の画素電極を形成する工程と、少なくとも画素電極の行方向の間に位置する基板上方に列方向に延伸して行方向に複数の列バンクを並設する工程と、行方向に隣接する列バンク間の間隙それぞれに、列バンクの列方向端部間にわたり有機機能性材料が有機溶剤に溶解されてなるインクを塗布する工程と、インクを乾燥させて有機機能層を形成する工程と、有機機能層上方に透光性の対向電極層を形成する工程とを含み、インクの最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が、28mN/m以上40mN/m以下、さらに好ましくはインクの静的表面張力値が26mN/m以上37mN/m以下である構成を採る。
係る構成により、塗布されるインクの静的表面張力値が所定の範囲内に調整されているので、インクの着弾直後の基板への濡れ性を高めて着弾直後に瞬時に列方向に拡散して、着弾直後のレベリング効果を改善することができる。これより、着弾直後における未塗れ部が発生を防止し、列バンク間の間隙内への濡れ拡がりが不十分となることを防止することができる。そして、インク乾燥工程を経ることにより列方向の画素間でその発光層123の膜厚を平準化することができる。
また、一般的に表面張力というと静的表面張力を指しており、動的表面張力は含まないのが通例であった。静的表面張力は同じ値であっても、列バンクへのインクのレベリング性が異なりレベリングが不十分な場合がり発光時にスジムラとして認識される場合があった。これに対し、実施の形態に係る表示パネルの製造方法では、動的表面張力を用いて列バンクに対するインクのレベリング性の評価することにより、静的表面張力の測定だけでは評価でできなかった列バンクに対するインクのレベリング性不足に起因する発光時のスジムラを抑止することができる。
その結果、形成される発光層123の膜形状は、基板上の列状塗布領域内において発光層の膜厚の均一化を図れ、表示パネル10の発光層123の膜厚の不均一性に起因して生じる輝度ムラを改善することができる。
≪変形例≫
(1)実施の形態では、表示パネル10の製造方法において1枚の基板から表示パネル10を同時に形成する表示パネル10個数については特定していない。しかしながら、表示パネル10の量産工程において、1枚の基板から複数の表示パネル10を同時に形成するいわゆる多面取り工法を行う場合にも本開示に係る製造方法を適用することができることは言うまでもない。多面取り工法では、各表示パネル10に対するそれぞれの区画領域10aが1つの成膜エリアとなる。
(2)上記実施の形態では、図1に示すように、表示パネル10では、基板100x上の区画領域10aの外縁から所定の区画数だけ、各区画に有機EL表示素子100が形成されていない非発光領域10neが形成された構成とした。しかしながら、列バンク522Yの端部522Yeまで、基板100x上の各区画に画素電極層119を配設して表示素子配列領域10eとしてもよい。基板上の成膜エリアを有効に活用することができ表示素子配列領域10eを拡大することができコスト削減に資する。
(3)表示パネル10では、行方向に隣接する列バンク522Y間の間隙522zに配されたサブ画素100seの発光層123が発する光の色は互いに異なる構成とし、列方向に隣接する行バンク122X間の間隙に配されたサブ画素100seの発光層123が発する光の色は同じである構成とした。しかしながら、上記構成において、行方向に隣接するサブ画素100seの発光層123が発する光の色は同じであり、列方向に隣接するサブ画素100seの発光層123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。また、行列方向の両方において隣接するサブ画素100seの発光層123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。
(4)その他
実施の形態に係る表示パネル10では、画素100eには、赤色画素、緑色画素、青色画素の3種類があったが、本発明はこれに限られない。例えば、発光層が1種類であってもよいし、発光層が赤、緑、青、黄色に発光する4種類であってもよい。
また、上記実施の形態では、画素100eが、マトリクス状に並んだ構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、画素領域の間隔を1ピッチとするとき、隣り合う間隙同士で画素領域が列方向に半ピッチずれている構成に対しても効果を有する。高精細化が進む表示パネルにおいて、多少の列方向のずれは視認上判別が難しく、ある程度の幅を持った直線上(あるいは千鳥状)に膜厚むらが並んでも、視認上は帯状となる。したがって、このような場合も輝度むらが上記千鳥状に並ぶことを抑制することで、表示パネルの表示品質を向上できる。
また、表示パネル10では、すべての間隙522zに画素電極層119が配されていたが、本発明はこの構成に限られない。例えば、バスバーなどを形成するために、画素電極層119が形成されない間隙522zが存在してもよい。
また、上記実施の形態では、画素電極層119と対向電極層125の間に、ホール注入層120、ホール輸送層121、発光層123及び電子輸送層124が存在する構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、ホール注入層120、ホール輸送層121及び電子輸送層124を用いずに、画素電極層119と対向電極層125との間に発光層123のみが存在する構成としてもよい。また、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層などを備える構成や、これらの複数又は全部を同時に備える構成であってもよい。また、これらの層はすべて有機化合物からなる必要はなく、無機物などで構成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、発光層123、ホール注入層120B、ホール輸送層121の形成方法としては、印刷法、スピンコート法、インクジェット法などの湿式成膜プロセスを用いる構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、発光層123、ホール注入層120B、ホール輸送層121を含む機能層の一部にさらに、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法等の乾式成膜プロセスを用いることもできる。さらに、各構成部位の材料には、公知の材料を適宜採用することができる。
上記の形態では、EL素子部の下部にアノードである画素電極層119が配され、TFTのソースに画素電極層119を接続する構成を採用したが、EL素子部の下部に対向電極層、上部にアノードが配された構成を採用することもできる。この場合には、TFTにおけるドレインに対して、下部に配されたカソードを接続することになる。
さらに、上記実施の形態では、トップエミッション型のEL表示パネルを一例としたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、ボトムエミッション型の表示パネルなどに適用することもできる。その場合には、各構成について、適宜の変更が可能である。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、上記の工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
本発明に係る有機EL表示パネルの製造法、及びそれに用いるインクは、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの装置、表示パネルを有する様々な電子機器における表示パネル等の製造に広く利用することができる。また、インク塗布工程を用いて機能層を形成する工程を含む電子デバイスの製造等に広く活用することができる。
10 有機EL表示パネル
100 有機EL素子
100e 単位画素
100se サブ画素
100a 自己発光領域
100b 非自己発光領域
100x 基板(TFT基板)
119 画素電極層
119b コンタクト領域(コンタクトウインドウ)
119c 接続凹部
120 ホール注入層
121 ホール輸送層
122 絶縁層
122X 行バンク
522Y 列バンク
123 発光層
124 電子輸送層
125 対向電極層
126 封止層
127 接合層
128 カラーフィルタ層
130 上部基板
131 CF基板
500 チャンバ
500a 開口
600 真空ポンプ
700 支持台
810 圧力センサ
820 制御部
900 インク乾燥装置

Claims (5)

  1. 基板上に複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルの製造方法であって、
    前記基板を準備する工程と、
    前記基板上に行列状に複数の画素電極を形成する工程と、
    少なくとも前記画素電極の行方向の間に位置する前記基板上方に列方向に延伸して行方向に複数の列バンクを並設する工程と、
    行方向に隣接する前記列バンク間の間隙それぞれに、前記列バンクの列方向端部間にわたり有機機能性材料が有機溶剤に溶解されてなるインクを塗布する工程と、
    前記インクを乾燥させて有機機能層を形成する工程と、
    前記有機機能層上方に透光性の対向電極層を形成する工程とを含み、
    前記インクの最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が、28mN/m以上40mN/m以下である
    有機EL表示パネルの製造方法。
  2. 前記インクの静的表面張力値が26mN/m以上37mN/m以下である
    請求項1記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  3. 前記動的表面張力値は、前記インクが前記列バンク間の間隙に着弾した直後の表面張力値である
    請求項1記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  4. 有機EL表示パネル形成用インクであって、
    有機機能性材料と有機溶剤とを含み、
    最大泡圧法により測定された100Hz時の動的表面張力値が、
    28mN/m以上40mN/m以下である
    有機EL表示パネル形成用インク。
  5. 静的表面張力値が26mN/m以上37mN/m以下である
    請求項4に記載の有機EL表示パネル形成用インク。
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