以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、この発明の実施の形態に従うX線CT装置の構成例を示す図である。図1を参照して、X線CT装置100は、X線源10と、X線検出器12と、ターンテーブル14と、制御装置20と、表示装置30と、入力装置40とを備える。
このX線CT装置100では、X線源10とX線検出器12との間にターンテーブル14が配置され、ターンテーブル14の載置面に被撮像物Wが載置される。なお、以下では、X線源10からX線検出器12に向かう光軸Lの方向をx方向とし、ターンテーブル14の載置面に含まれる方向であってx方向と直交する方向をy方向とし、そのxy平面(すなわち、ターンテーブル14の載置面)と直交する方向をz方向とする。ターンテーブル14の回転軸Rは、ターンテーブル14の載置面と直交しており、その方向はz方向と同じである。
X線源10は、X線管を含んで構成され、ターンテーブル14を挟んでX線源10と対向配置されるX線検出器12に向けて、xy平面に平行な光軸Lを中心として広がるコーン状のX線を照射する。
X線検出器12は、X線源10から照射されてターンテーブル14上の被撮像物Wを透過したX線を検出する二次元の検出器であり、被撮像物WのX線透過像データを制御装置20へ出力する。X線検出器12には、公知のX線検出器を採用可能であり、たとえば、フラットパネルディテクタ(FPD:Flat Panel Detector)や、イメージシンテンシファイアとCCDカメラとを組み合わせた検出器等をX線検出器12として用いることができる。
ターンテーブル14は、回転軸R周りに回転可能に構成されており、ターンテーブル14上に載置された被撮像物Wを回転軸R周りに回転させることができる。そして、このX線CT装置100では、ターンテーブル14を回転させながら予め定められた微小角度毎にX線源10及びX線検出器12によりターンテーブル14上の被撮像物Wを撮影することにより、被撮像物Wの360度分の撮影方向が異なるX線透過データが収集される。
なお、このX線CT装置100は、X線源10から照射されるコーン状のX線を二次元のX線検出器12によって検出する、所謂コーンビーム型の装置としているが、扇状のX線をX線源10から照射し、一次元のラインディテクタで透過X線を検出する、所謂ファンビーム型の装置で構成してもよい。なお、ファンビーム型を採用する場合には、ファンビームに直交する方向にターンテーブル14(或いはX線源10及びX線検出器12)が移動可能に構成される。
また、特に図示しないが、X線源とX線検出器との間に配置されるテーブル上に被撮像物を載置し、テーブルを中心にX線源及びX線検出器を回転させつつ被撮像物のX線透過像を撮影することにより360度分のX線透過データを収集するタイプのX線撮影装置によってX線CT装置100を構成してもよい。その他、X線源を固定したうえで、X線源を中心としてX線検出器と被撮像物とを連動して回転させ、被撮像物のX線透過像を撮影するような構成でもよい。すなわち、本発明では、断層像又は複数の断層像の集積であるボリュームデータを再構成するためのX線透過データを収集する機構的な方式は限定されず、被撮像物に対してX線の照射方向を相対的に回転させつつ被撮像物を異なる方向から撮影したX線透過データが収集できればよい。
制御装置20は、制御部50と、記憶部70とを含む。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入出力するための入出力バッファとをハードウェアとして含んで構成される(いずれも図示せず)。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、制御部50により実行される各種処理が記されている。
図1では、制御部50の機能の一例がブロック毎に示されている。すなわち、制御部50は、撮影制御部52と、X線透過データ収集部54と、ボリュームデータ生成部56と、表示制御部60と、入力制御部62と、平面設定部64とを含む。
撮影制御部52は、X線源10、X線検出器12、及びターンテーブル14によって構成されるX線撮影装置の動作を制御する。利用者によりX線撮影の開始が指示されると、撮影制御部52は、予め設定された微小回転角毎にターンテーブル14を回転させて被撮像物WのX線透過像を順次撮影するように、X線源10、X線検出器12、及びターンテーブル14の動作を制御する。
X線透過データ収集部54は、ターンテーブル14を回転させつつ順次撮影される被撮像物WのX線透過像のデータ(X線透過データ)をX線検出器12から受け、360度分のX線透過データを記憶部70のX線透過データDB(Database)72に格納する。なお、X線透過データは、「RAWデータ」等と称される場合もある。
ボリュームデータ生成部56は、X線透過データDB72に蓄えられた被撮像物WのX線透過データから被撮像物Wのボリュームデータを生成し、生成されたボリュームデータを記憶部70のボリュームデータDB74に格納する。ボリュームデータは、図2に示されるように、各々がたとえばTiff形式のデータを有する多数のボクセル(voxel)によって構成されるデジタル画像データである。なお、図2では、ボリュームデータの一部について10×10×10のボクセルが示されている。ボリュームデータの一つの層を取り出せば、それはその位置の断層像であるので、ボリュームデータは複数の断層像を積み重ねて集積したものと考えることができる。
ボリュームデータは、X線透過データDB72に蓄えられた被撮像物Wの360度分のX線透過データから生成され、各ボクセルには、X線の吸収率によって異なる濃淡を示すデータが格納される。ボリュームデータの生成には、公知の各種手法を採用可能であり、たとえば、Feldkamp法やフィルタ補正逆投影法(FBP(Filtered Back Projection)法)等を用いて、X線透過データからボリュームデータを生成することができる。
表示制御部60は、ボリュームデータDB74に格納されたボリュームデータに基づいて、表示装置30に表示される断層像を生成するための処理を実行する。X線透過データ収集部54によりX線透過データが収集され、ボリュームデータ生成部56によりボリュームデータが生成されると、表示制御部60は、ボリュームデータから、xy平面に沿う断層像(水平断層像)、水平断層像に垂直な断層像(縦断層像)、及び、縦断層像に垂直でかつ縦断層像上で指定された切断位置での断層像(ダブルオブリーク像)を表示装置30に表示するための処理を実行する。水平断層像、縦断層像、及びダブルオブリーク像は、入力装置40から利用者が指定することができる。以下、表示装置30における断層像の表示態様について説明する。
図3は、表示装置30に表示される断層像の一例を示す図である。なお、図3には、ターンテーブル14上に載置された被撮像物Wとして、図4の概観斜視図に示されるコンデンサ素子の断層像が示されている。
図3を参照して、表示装置30は、4つの表示領域32〜38を有する。この例では、表示領域32には、被撮像物Wの水平断層像が表示される。被撮像物Wのどの位置の水平断層像を表示するかは、利用者が指定可能であり、この実施の形態では、入力装置40(図示せず)により指定される位置の水平断層像のデータがボリュームデータDB74から取得されて表示領域32に表示される。
また、この例では、表示領域34,36には、被撮像物Wの縦断層像が表示される。表示領域34には、表示領域32に表示される切断位置L1での縦断層像が表示され、表示領域36には、切断位置L2での縦断層像が表示される。切断位置L1,L2は、表示領域32において利用者が指定可能であり、この実施の形態では、入力装置40により指定される切断位置L1,L2での縦断層像のデータがボリュームデータDB74から取得されてそれぞれ表示領域34,36に表示される。なお、表示領域34における切断位置L3、及び表示領域36における切断位置L4は、表示領域32に表示されている水平断層像の位置を示している。
さらに、この例では、表示領域38には、ダブルオブリーク像が表示される。どの切断位置でのダブルオブリーク像を表示するかは、表示領域34又は36において利用者が指定可能であり、図3では、表示領域36に表示される切断位置L5でのダブルオブリーク像が表示されている。この実施の形態では、入力装置40により指定される切断位置L5での断層像のデータがボリュームデータDB74から取得されて表示領域38に表示される。
図4に示されるように、被撮像物Wは、ターンテーブル14上においてターンテーブル14の回転軸Rに対して傾いて載置されているため、図3に示されるように、表示装置30には、傾いた状態の被撮像物Wに対しての水平断層像、縦断層像、及びダブルオブリーク像が表示されている。
X線CT装置100の利用者としては、傾いていない状態の被撮像物Wに対して任意の断層像を表示したい場合がある。このような場合に、ターンテーブル14上の被撮像物Wを載置し直して再度X線撮影を行なうことも考えられるが、必ずしもターンテーブル14上で被撮像物Wを所望の向きに載置できない場合もある。そのため、被撮像物Wを載置し直すことなく傾きを補正して表示装置30に表示したいとのニーズがある。
表示装置30の表示領域38に表示されているダブルオブリーク像は、表示領域36に表示された断層像に対して指定された切断位置L5での断層像であり、表示領域36に表示された断面に垂直な方向(たとえばx方向)の軸周りに傾きを補正した断層像である。しかしながら、このダブルオブリーク像は、表示領域34に表示された断面に垂直な方向(たとえばy方向)については、傾きが補正されていないものである。
したがって、表示領域36に表示された断面に垂直な方向(たとえばx方向)の軸周りの補正と、表示領域36に表示された断面に垂直な方向(たとえばx方向)の軸周りの補正とを行なうことによって、傾きが補正された被撮像物Wの断層像に対して任意の断層像(ダブルオブリーク像)を生成可能とすることができる。しかしながら、この手法は、上記のように傾き補正の処理を2回行なう必要があり、処理時間が長くなるとともに、切断位置の指定操作が増加する等の手間が多くなる。
そこで、この実施の形態では、被撮像物Wの傾き補正をより短時間で手間を少なく実現可能なX線CT装置100が提供される。具体的には、この実施の形態に従うX線CT装置100では、被撮像物Wの複数の断層像において入力装置40により被撮像物Wの任意の3点を指定可能であり、指定された3点に基づいてボリュームデータ上で平面が設定される。
そして、その設定された平面に平行な断層像を表示装置30の表示領域32に表示可能であり、表示領域32に表示された断層像上で指定される切断位置L1,L2での断層像がそれぞれ表示領域34,36に表示される。さらに、表示領域34又は36において指定される切断位置L5での断層像(ダブルオブリーク像)が表示領域38に表示される。
このX線CT装置100によれば、被撮像物Wの3点を入力装置40から指定することにより任意の方向の平面を設定することができ、その設定された平面に基づいて被撮像物Wの断層像が生成されるので、軸毎に2回傾き補正を行なうことなく、入力装置40により3点を指定する1回の入力操作で傾きを補正することができる。
再び図1を参照して、入力装置40は、X線CT装置100の利用者が操作可能であり、たとえば、マウスやキーボード等によって構成される。なお、表示装置30をタッチパネルディスプレイによって構成し、タッチパネルを入力装置40としてもよい。
利用者は、入力装置40を用いてX線CT装置100に対して各種の指示設定を行なうことができる。具体的には、利用者は、入力装置40を用いて、表示装置30の表示領域32に表示される水平断層像を指定することができる。また、利用者は、入力装置40を用いて、表示領域32において切断位置L1,L2を指定することができる。また、利用者は、入力装置40を用いて、表示領域38に表示されるダブルオブリーク像を生成するための切断位置L5を表示領域34又は36において指定することができる。
そして、この実施の形態に従うX線CT装置100では、表示装置30に表示される断層像において、入力装置40を用いて被撮像物Wの任意の3点を指定することができる。より詳しくは、表示装置30の表示領域32には、入力装置40により指定される任意の水平断層像を表示可能であるところ、複数枚(2枚又は3枚)の水平断層像において、入力装置40を用いて被撮像物Wの任意の3点を指定することができる。
図5及び図6は、入力装置40を用いて被撮像物Wの3点を指定する方法の一例を示した図である。図5を参照して、表示装置30の表示領域32には、入力装置40により指定された第LA1層の水平断層像が表示されている。そして、この例では、表示領域32において、入力装置40を用いて、被撮像物Wの底面の縁に沿って2点P1,P2が指定されている。
図6を参照して、表示領域32には、入力装置40により指定された、第LA1層と異なる第LA2層の水平断層像が表示されている。そして、この例では、表示領域32において、入力装置40を用いて、被撮像物Wの底面の縁に沿って3点目の点P3が指定されている。このような3点の指定により、被撮像物Wの底面に沿う平面が設定される。
再び図1を参照して、制御部50の入力制御部62は、入力装置40からの入力に応じた処理を実行する。具体的には、入力制御部62は、表示装置30の表示領域32に表示させる断層像を指定するための入力が入力装置40から行なわれると、指定された断層像を表示領域32に表示するように表示制御部60へ指示する。また、入力制御部62は、入力装置40により表示領域32において切断位置L1,L2が指定されると、表示領域32に表示されている断層像に基づく切断位置L1,L2での断層像をそれぞれ表示領域34,36に表示するように表示制御部60へ指示する。さらに、入力制御部62は、入力装置40により表示領域34又は36において切断位置L5が指定されると、表示領域34又は36に表示されている断層像に基づく切断位置L5での断層像(ダブルオブリーク像)を表示領域38に表示するように表示制御部60へ指示する。
そして、この実施の形態に従うX線CT装置100では、入力制御部62は、表示領域32に表示される複数枚(2枚又は3枚)の水平断層像において入力装置40により被撮像物Wの3点が指定されると、指定された3点の各々についての位置情報を平面設定部64へ出力する。各点の位置情報は、たとえば、点が指定された断層像を特定可能な情報と、その断層像における点の位置(座標)を示す情報とを含む。
平面設定部64は、入力装置40により指定された3点についての位置情報を入力制御部62から受けると、ボリュームデータ上でその3点の位置を特定し、特定された3点の座標からその3点により定まる平面を算出する。
図7は、ボリュームデータ上において特定された3点の一例を示す図である。図7を参照して、ボクセルV1,V2は、図5に示した第LA1層の水平断層像が表示装置30の表示領域32に表示されているときに指定された点P1,P2に対応し、ボクセルV3は、図6に示した第LA2層の水平断層像が表示領域32に表示されているときに指定された点P3に対応する。
再び図1を参照して、平面設定部64は、特定されたボクセルV1〜V3の座標に基づいて、ボクセルV1〜V3を含む平面を設定する。一例として、平面設定部64は、ボクセルV1,V2をそれぞれ始点及び終点とするベクトルと、ボクセルV1,V3をそれぞれ始点及び終点とするベクトルとの外積を算出することによって、ボクセルV1〜V3を含む平面の法線ベクトルを算出し、その算出された法線ベクトルをもって上記平面を設定する。
入力装置40により指定された3点に基づく平面が平面設定部64により設定されると、表示制御部60は、ボリュームデータDB74に格納されたボリュームデータに基づいて、平面設定部64により設定された平面に平行な断層像を表示装置30の表示領域32に表示するための処理を実行する。設定された平面に平行などの断層像を表示させるかは、入力装置40から利用者が指定することができる。
そして、表示制御部60は、表示領域32に表示された断面に垂直で、かつ、表示領域32において指定された切断位置L1,L2での断層像をそれぞれ表示装置30の表示領域34,36に表示するための処理を実行する。切断位置L1,L2は、入力装置40から利用者が指定することができる。
さらに、表示制御部60は、表示領域34又は36に表示された断面に垂直で、かつ、表示領域34又は36において指定された切断位置L5での断層像(ダブルオブリーク像)を表示装置30の表示領域38に表示するための処理を実行する。
図8は、制御部50による傾き補正後に表示装置30に表示される断層像の一例を示す図である。なお、この図8でも、図3と同様に、ターンテーブル14上に載置された被撮像物Wとして、図4の概観斜視図に示されるコンデンサ素子の断層像が示されている。
図8を参照して、表示装置30の表示領域32には、平面設定部64により設定された平面に平行な断層像が表示される。どの位置の断層像を表示するかは、利用者が指定可能であり、この実施の形態では、入力装置40により指定される位置の断層像のデータがボリュームデータDB74から取得されて表示領域32に表示される。
表示領域34,36には、表示領域32に表示される断面に垂直で、かつ、表示領域32に表示される切断位置L1,L2での断層像がそれぞれ表示される。切断位置L1,L2は、表示領域32において利用者が指定可能であり、この実施の形態では、入力装置40により指定される切断位置L1,L2での断層像のデータがボリュームデータDB74から取得されてそれぞれ表示領域34,36に表示される。
表示領域38には、この例では、表示領域36に表示される切断位置L5での断層像(ダブルオブリーク像)が表示されている。切断位置L5は、表示領域34又は36において利用者が指定可能であり、この実施の形態では、入力装置40により指定される切断位置L5での断層像のデータがボリュームデータDB74から取得されて表示領域38に表示される。
このように、表示領域32,34,36に表示される断層像は、被撮像物Wの傾きが補正されたものである。そして、傾きが補正された状態の被撮像物Wの断層像において、表示領域34又は36において任意の切断位置L5を指定して表示領域38に所望の断層像(ダブルオブリーク像)を表示させることができる。
以下、図9から図11を用いて、制御部50により実行される処理の手順を説明する。図9は、制御部50により実行される第1の処理の手順を示すフローチャートである。この第1の処理は、被撮像物Wの傾きを補正するための入力装置40からの3点入力が行なわれる前に実行される。
図9を参照して、制御部50は、X線源10、X線検出器12、及びターンテーブル14によって構成されるX線撮影装置を制御し、ターンテーブル14上に載置された被撮像物WのX線透過データを収集する(ステップS10)。被撮像物Wの撮影は、微小回転角毎にターンテーブル14を回転させながら行なわれ、360度分のX線透過データが収集される。そして、制御部50は、その収集された被撮像物WのX線透過データを記憶部70のX線透過データDB72に格納する(ステップS15)。
次いで、制御部50は、X線透過データDB72に蓄えられたX線透過データからボリュームデータを生成する(ステップS20)。ボリュームデータは、Feldkamp法やフィルタ補正逆投影法(FBP(Filtered Back Projection)法)等の公知の手法を用いて生成される。そして、制御部50は、生成されたボリュームデータを記憶部70のボリュームデータDB74に格納する(ステップS25)。
ボリュームデータが生成されると、制御部50は、被撮像物Wの水平断層像を表示装置30の表示領域32に表示するための処理を実行する(ステップS30)。被撮像物Wのどの位置の水平断層像を表示するかは、入力装置40から指定可能であり、制御部50は、入力装置40により指定される位置の水平断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
次いで、制御部50は、表示装置30の表示領域32において指定される切断位置L1,L2での縦断層像をそれぞれ表示領域34,36に表示するための処理を実行する(ステップS35)。切断位置L1,L2は、入力装置40から指定可能であり、制御部50は、入力装置40により指定される切断位置L1,L2での縦断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
続いて、制御部50は、縦断層像が表示された表示領域34,36のいずれかにおいて、入力装置40により切断位置L5が指定されたか否かを判定する(ステップS40)。そして、切断位置L5が指定されたと判定されると(ステップS40においてYES)、制御部50は、指定された切断位置L5での断層像(ダブルオブリーク像)を表示装置30の表示領域38に表示するための処理を実行する(ステップS45)。具体的には、制御部50は、切断位置L5が指定された表示領域に表示された断面に垂直で、かつ、切断位置L5での断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
図10は、制御部50により実行される第2の処理の手順を示すフローチャートである。この第2の処理は、図9に示した第1の処理の実行後において、被撮像物Wの傾きを補正するために、入力装置40から3点を指定して所望の向きの平面を設定するための処理である。このフローチャートに示される一連の処理は、入力装置40から傾き補正処理の実行が要求されると開始される。
図10を参照して、制御部50は、被撮像物Wの第1の水平断層像を表示装置30の表示領域32に表示するための処理を実行する(ステップS110)。第1の水平断層像は、入力装置40から利用者が指定可能であり、制御部50は、入力装置40により指定される第1の水平断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
次いで、制御部50は、第1の水平断層像が表示された表示領域32において、入力装置40により点が指定されたか否かを判定する(ステップS115)。ここでは、入力装置40により2点まで指定することができるが、1点のみの指定でもよい。
ステップS115において入力装置40により点が指定されたと判定されると(ステップS115においてYES)、制御部50は、第1の水平断層像と異なる第2の水平断層像を表示領域32に表示するための処理を実行する(ステップS120)。この第2の水平断層像も、入力装置40から指定可能であり、制御部50は、入力装置40により指定される第2の水平断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
次いで、制御部50は、第2の水平断層像が表示された表示領域32において、入力装置40により点が指定されたか否かを判定する(ステップS125)。第1の水平断層像に対して2点指定された場合には、残りの1点を指定することができる。第1の水平断層像に対して1点だけ指定された場合には、2点まで指定することができるが、1点のみの指定でもよい。
ステップS125において入力装置40により点が指定されたと判定されると(ステップS125においてYES)、制御部50は、合計3点指定済みであるか否かを判定する(ステップS130においてYES)。3点指定済みであると判定されると(ステップS130においてYES)、制御部50は、ステップS145へ処理を移行する。ステップS145については後述する。
ステップS130においてまだ3点指定されていないと判定されると(ステップS130においてNO)、制御部50は、第1及び第2の水平断層像と異なる第3の水平断層像を表示領域32に表示するための処理を実行する(ステップS135)。この第3の水平断層像も、入力装置40から指定可能であり、制御部50は、入力装置40により指定される第3の水平断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
次いで、制御部50は、第3の水平断層像が表示された表示領域32において、入力装置40により点が指定されたか否かを判定する(ステップS140)。そして、点が指定されたと判定されると(ステップS140においてYES)、或いはステップS130において3点指定済みであると判定されると(ステップS130においてYES)、制御部50は、指定された3点により定まる平面を設定する(ステップS145)。
具体的には、制御部50は、指定された3点についての位置情報に基づいてボリュームデータ上でその3点の位置を特定し、特定された3点に対応するボクセルの座標を用いて、特定された3点を含む平面の法線ベクトルを算出する。この算出された法線ベクトルは、設定された平面の方向を特定するための情報(平面情報)であり、制御部50は、その平面情報を記憶部70に記憶する(ステップS150)。
図11は、制御部50により実行される第3の処理の手順を示すフローチャートである。この第3の処理は、図10に示した第2の処理の実行後に実行される。
図11を参照して、制御部50は、第2の処理において設定された平面の平面情報を記憶部70から取得し、その平面情報に基づく断層像を表示装置30の表示領域32に表示するための処理を実行する(ステップS210)。具体的には、制御部50は、平面情報に示される平面に平行な断層像を表示領域32に表示するための処理を実行する。平面情報に示される平面に平行な断層像のうちのどの位置の断層像を表示するかは、入力装置40から指定可能であり、制御部50は、入力装置40により指定される位置の断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
次いで、制御部50は、平面情報に示される平面に平行な断層像が表示された表示領域32において指定される切断位置L1,L2での断層像をそれぞれ表示領域34,36に表示するための処理を実行する(ステップS220)。切断位置L1,L2は、入力装置40から指定可能であり、制御部50は、入力装置40により指定される切断位置L1,L2での縦断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
続いて、制御部50は、断層像が表示された表示領域34,36のいずれかにおいて、入力装置40により切断位置L5が指定されたか否かを判定する(ステップS230)。そして、切断位置L5が指定されたと判定されると(ステップS230においてYES)、制御部50は、その指定された切断位置L5での断層像(ダブルオブリーク像)を表示装置30の表示領域38に表示するための処理を実行する(ステップS240)。具体的には、制御部50は、切断位置L5が指定された表示領域に表示された断面に垂直で、かつ、切断位置L5での断層像のデータをボリュームデータDB74から取得して表示装置30へ出力する。
以上のように、この実施の形態においては、複数(2又は3)の断層像において入力装置40により任意の3点を指定することによって所望の方向の平面を設定し、設定された平面に基づいて被撮像物Wの断層像が生成され、表示装置30に表示される。このように、この実施の形態に従うX線CT装置100では、1軸毎に2回傾き補正を行なうことなく、入力装置40により3点を指定する1回の入力操作で傾きを補正することができる。したがって、この実施の形態によれば、ターンテーブル14上に配置された被撮像物Wの傾き補正をより短時間で手間を少なく実現することができる。
また、この実施の形態によれば、入力装置40により1つの断層像において2点まで指定できるので、入力装置40から3点を指定する手間をより少なくすることができる。また、この実施の形態によれば、互いに異なる3つの断層像において入力装置40により1点ずつ指定することもできるので、より柔軟に平面を設定して傾きを補正することができる。
なお、上記の実施の形態では、表示装置30の表示領域32において入力装置40により3点を指定するものとしたが、表示装置30の他の表示領域において入力装置40により点を指定可能としてもよい。
また、上記の実施の形態では、X線透過データから直接ボリュームデータを生成するものとしたが、X線透過データから水平断層像のデータ(スライスデータ)を生成し、スライスデータをz方向に重ね合わせて補間処理を行なうことによりボリュームデータを生成してもよい。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。