JP2019196433A - 高熱伝導性硬化性樹脂組成物、当該組成物の硬化物、当該組成物により設けられた樹脂層を含む積層体および当該積層体を備えるパワーモジュール - Google Patents

高熱伝導性硬化性樹脂組成物、当該組成物の硬化物、当該組成物により設けられた樹脂層を含む積層体および当該積層体を備えるパワーモジュール Download PDF

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佳樹 西川
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智將 樫野
誠司 大橋
Seiji Ohashi
誠司 大橋
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Shun Hayakawa
瞬 早川
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Abstract

【課題】熱伝導性が良好な硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】トリアリールトリアジン骨格および架橋性基を含む熱硬化性樹脂と、熱伝導性粒子とを含む高熱伝導性硬化性樹脂組成物。ここで、トリアリールトリアジン骨格は、好ましくは2,4,6−トリアリール−1,3,5−トリアジン骨格である。また、架橋性基は、好ましくはエポキシ基およびオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかである。また、熱伝導性粒子は、好ましくは、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムおよび硫酸バリウムから選択される少なくとも1種以上を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、高熱伝導性硬化性樹脂組成物、当該組成物の硬化物、当該組成物により設けられた樹脂層を含む積層体および当該積層体を備えるパワーモジュールに関する。
電気・電子デバイス等を構成する材料(例えば、絶縁材料)には、しばしば、放熱性が要求される。
近年、特に、パワーモジュールの発展に伴い、放熱性の大きな硬化性樹脂組成物などについて様々な開発がなされている。
この種の技術として、たとえば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂などを用いることにより、高い熱伝導率を有する材料を提供できる旨が記載されている。
特許文献2および3にも、同様に、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂を用いた、高い熱伝導率を有する材料が記載されている。
特開2014−139021号公報 特開2013−6893号公報 特開2013−48257号公報
上記の先行技術にもあるように、硬化性樹脂組成物の放熱性を上げる方法の1つとして、組成物中にメソゲン骨格を含む樹脂(または樹脂前駆体など)を含める方法が知られている。組成物が硬化したときに液晶性を示す、つまり、硬化物中で樹脂が規則的に配列されることで、樹脂間の熱伝導がスムーズになるものと考えられる。
本発明者らの知見によれば、先行技術に具体的に開示されているメソゲン骨格を含む樹脂は限られている。つまり、熱伝導性が良好な、新しい構造を有する樹脂を含む硬化性樹脂組成物の開発の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。つまり、熱伝導性が良好な硬化性樹脂組成物を提供すること本発明の目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明をなし、上記課題を達成できることを見出した。
本発明によれば、
トリアリールトリアジン骨格および架橋性基を含む熱硬化性樹脂と、
熱伝導性粒子と
を含む、高熱伝導性硬化性樹脂組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
前記高熱伝導性硬化性樹脂組成物の硬化物
が提供される。
また、本発明によれば、
第一金属層と、
前記第一金属層上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた第二金属層と、を備えており、
前記絶縁層が、前記高熱伝導性硬化性樹脂組成物により設けられた樹脂層で構成されている、積層体
が提供される。
また、本発明によれば、
前記積層体と、
前記積層体上に設けられた電子部品と、を備えるパワーモジュール
が提供される。
本発明によれば、熱伝導性が良好な硬化性樹脂組成物が提供される。
積層体の構成の一例を示す断面図である。 パワーモジュールの構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<高熱伝導性硬化性組成物>
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、トリアリールトリアジン骨格および架橋性基を含む熱硬化性樹脂と、熱伝導性粒子とを含む。
本発明者らの知見によれば、トリアリールトリアジン骨格は、液晶性(ディスコティック液晶性)を示すと考えられる。そのため、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物を硬化させた際には、トリアリールトリアジン骨格部分が自己集積化して規則的な構造を形成すると考えられる。これにより、高い熱伝導率を示すと推測される。
以下、組成物が含む成分について説明する。
なお、以下では、トリアリールトリアジン骨格および架橋性基を含む熱硬化性樹脂を、「特定熱硬化性樹脂」とも表記する。
・特定熱硬化性樹脂
特定熱硬化性樹脂が含む「トリアリールトリアジン骨格」として具体的には、2,4,6−トリアリール−1,3,5−トリアジン骨格が例示される。
ここで、3つのアリール構造としては、例えばベンゼン環やナフタレン環であり、好ましくはベンゼン環である。
特定熱硬化性樹脂が含む「架橋性基」は、熱硬化性樹脂組成物の分野で公知の架橋性基であれば、特に限定されない。例えば、アルコキシメチル基および/またはメチロール基(−CHOH)、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基(−NCO)、シアネート基(−O−CN)、マレイミド基、エチレン性炭素−炭素二重結合を含む基、ベンゾオキサジン骨格を含む基などを挙げることができる。
これらの中でも、合成の容易性、コスト、適度な硬化性能、硬化後の機械物性などの点から、架橋性基は、好ましくは、エポキシ基およびオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかである。
特定熱硬化性樹脂は、好ましくは、以下一般式(1)で表されるものである。
Figure 2019196433
一般式(1)中、
3つのArは、それぞれ独立に、アリーレン基を表し、
3つのRは、それぞれ独立に、架橋性基を含む基を表す。
Arのアリーレン基は、好ましくは、フェニレン基またはナフチレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
Arは、無置換でもよいし、置換基を有していてもよい。つまり、Arは、その水素原子のうちの1つ以上が、任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、炭素数1〜10の有機基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基など)、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基などが挙げられる。
3つのArは同一構造であっても異なってもよい。ただし、液晶性の発現およびそれによる熱伝導性の向上の観点からは、好ましくは3つのArは同一である。例えば、3つのArは、好ましくは全てフェニレン基である。
Arにおいては、トリアジン骨格との結合手と、Rとの結合手とが、互いにパラ位の関係にあることが好ましい。
は、架橋性基として、具体的には前述の架橋性基のいずれかを含む。Rは、好ましくは、架橋性基としてエポキシ基またはオキセタニル基を含む。
3つのRは同一構造であっても異なってもよい。ただし、均一な硬化の観点などからは、好ましくは3つのRに含まれる架橋性基は全て同一である。例えば、3つのRは、好ましくは全てエポキシ基を含む。また、別の例として、3つのRは、好ましくは全てオキセタニル基を含む。
は、例えば、以下一般式(1−1)または一般式(1−2)で表される。
Figure 2019196433
一般式(1−1)において、
Aは、単結合、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)カルボキシル基(−COO−または−OCO−)のいずれかを表す。これらの中でも、合成の容易性などの観点からエーテル基が好ましい。
Xは、アルキレン基を表し、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。
*は、Arとの結合手を表す。
一般式(1−2)において、
AおよびXは、それぞれ、一般式(1−1)のAおよびXと同義であり、好ましい態様も同様である。
Yは、水素原子または有機基を表し、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
特定熱硬化性樹脂の架橋性基の好ましい構造を挙げると、グリシジル構造、エチレンオキシド構造などが挙げられる。
特定熱硬化性樹脂の製造方法は、例えば以下の通りである。
4−ヒドロキシアリーレンニトリルを出発原料とし、強酸を触媒とすることで、2,4,6−トリアリーレン−1,3,5−トリアジンを合成する。得られたトリアジン化合物に対し、エピクロルヒドリンおよび水酸化ナトリウムを加え還流させることで、目的の特定熱硬化性樹脂を得る。
本実施形態の高熱伝導性硬化性樹脂組成物は、特定熱硬化性樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種以上の異なる構造の特定熱硬化性樹脂を含んでもよい。
特定熱硬化性樹脂の量は、特に限定されないが、本実施形態の高熱伝導性硬化性樹脂組成物の固形分全体を100質量部としたとき、例えば2.5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
・熱伝導性粒子
本実施形態の高熱伝導性硬化性樹脂組成物は、熱伝導性粒子を含む。これにより、熱伝導性がさらに高められる。
熱伝導性粒子は、本技術分野で公知のものを適宜用いることができる。例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素、酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウム、硫酸バリウムから選択される少なくとも1種を用いることができる。
この中でも、熱伝導性の観点から、熱伝導性粒子は、窒化ホウ素または窒化アルミニウムを含むことが好ましい。
窒化ホウ素は、鱗片状窒化ホウ素の、単分散粒子、凝集粒子またはこれらの混合物を含むことができる。
また、熱伝導性と絶縁性のバランスの観点から、酸化マグネシウムまたはアルミナの少なくとも1種以上を用いてもよい。
熱伝導性粒子の形状は、特に限定されないが、通常は球状とすることができる。
熱伝導性粒子の粒径は、特に限定されないが、例えば、メジアン径(D50)の値として、好ましくは1〜200μm、より好ましくは2〜100μmである。なお、メジアン径は、例えば、レーザー回折法を用いて測定される重量累積粒度分布に基づき算出することができる。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、熱伝導性粒子を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
2種以上の熱伝導性粒子を含む場合として具体的には、元素組成が互いに異なる2種以上の熱伝導性粒子を含む場合や、元素組成は同じだが粒径が互いに異なる2種以上の熱伝導性粒子を含む場合などがある。後者の場合、熱伝導性粒子は、その粒子径分布曲線が少なくとも2つのピークを有してもよく、少なくとも3つのピークを有してもよい。
熱伝導性粒子の量は、組成物の固形分全体の体積に対して、50〜90体積%であり、好ましくは60〜90体積%であり、より好ましくは60〜85体積%である。また、別観点として、熱伝導性粒子の合計含有量は、組成物の固形分全体の質量に対して、例えば、1〜90質量%、5〜85質量%であり、好ましくは10〜85質量%である。上記下限値以上とすることにより、熱伝導性を向上させることができる。上記上限値以下とすることにより、プロセス性の低下を抑制することができる。
・硬化剤
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、好ましくは、上述の特定熱硬化性樹脂の硬化剤(以下、単に「硬化剤」とも表記する)を含む。
硬化剤は、特定熱硬化性樹脂の架橋性基(好ましくはエポキシ基やオキセタニル基)と反応して組成物を硬化させるものであれば、特に制限なく用いることができる。
硬化剤としては、例えば、ポリアミン化合物、酸無水物、フェノール化合物などを挙げることができる。
ポリアミン化合物として具体的には、1分子中に複数個の−NH基を含む化合物が挙げられる。例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドラジドなどを挙げることができる。
酸無水物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを挙げることができる。
フェノール化合物としては、公知のフェノール樹脂または多官能フェノールを挙げることができる。ノボラック型フェノール樹脂、フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル(すなわちビフェニルアラルキル)樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAなどを挙げることができる。
その他、硬化剤としては、ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物、イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)などの3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物、BF錯体などのルイス酸、メチロール基含有尿素樹脂のような尿素樹脂、メチロール基含有メラミン樹脂のようなメラミン樹脂、などを挙げることができる。
本実施形態においては、硬化剤はポリアミン化合物を含むことが好ましい。ポリアミン化合物は、特に、特定熱硬化性樹脂が架橋性基としてエポキシ基またはオキセタニル基を含む場合、硬化性能などの点で好ましい。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、硬化剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上の硬化剤を併用してもよい。
組成物中の硬化剤の量は、特に限定されないが、固形分全体の質量に対し、例えば1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%である。
なお、硬化剤の量を適切に調整することにより、架橋が適切に制御されやすくなると考えられ、その結果、熱伝導性をより高められると考えられる(硬化物中で、トリアリールトリアジン骨格が液晶性を示しやすくなると考えられる)。また、硬化物の機械物性や耐久性などもより高めうる。
具体的には、組成物中の、特定熱硬化性樹脂が有する架橋性基のモル数をm、硬化剤の反応性基(アミノ基等)のモル数をmとしたとき、m/mは好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.9〜1.1である。
・硬化促進剤
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含むことができる。
硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、有機リン化合物、有機金属塩、3級アミン類、フェノール化合物、有機酸等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、耐熱性の観点から、有機リン化合物、有機リン化合物と有機ボロン化合物との錯体、有機リン化合物にπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1つを用いることができる。π結合をもつ化合物として、例えば、無水マレイン酸、キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等が挙げられる。また、4級ホスホニウム塩系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、脂肪酸塩系化合物、金属キレート系化合物、金属塩系化合物などを使用してもよい。また、ジシアンジミド、アジピン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物、グアナミン酸、メラミン酸、エポキシ化合物とイミダゾール化合物との付加化合物、エポキシ化合物とジアルキルアミン類との付加化合物、アミンとチオ尿素との付加化合物、アミンとイソシアネートとの付加化合物等の潜在性硬化促進剤を使用してもよい。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられる。
有機リン化合物としては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン等が挙げられる。
有機ホスフィン化合物と有機ボロン化合物との錯体としては、具体的には、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ−p−トリルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・n−ブチルトリフェニルボレート、ブチルトリフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウム・テトラフェニルボレート等が挙げられる。
有機金属塩としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物が硬化促進剤を含む場合、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
硬化促進剤を添加する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂と硬化剤との合計100質量%に対して、例えば0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜1.5質量%である。
・シリカ粒子
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、好ましくは、シリカ粒子を含む。
シリカ粒子を組成物中に含ませることで、熱伝導性粒子の組成物中での沈降、偏在等を抑制することができ、組成物を硬化させた際の熱伝導性粒子の分布の均一性を高めることができる(詳細は不明だが、シリカ粒子が持つ電荷による効果と推定される)。これにより、熱伝導性等の性能も良化しうる。
シリカ粒子はどのようなものであってもよく、フュームドシリカやコロイダルシリカを用いることができる。コストや性能などの点はフュームドシリカが好ましい。
シリカ粒子の粒子径は、例えば1〜100nm、好ましくは2〜50nmである。この径とすることで、上述の熱伝導性粒子の分布の均一性を更に高められると考えられる。
なお、ここでの粒子径は、レーザー回折法による1次粒子平均径のことを意味する。
また、シリカ粒子の見かけ比重は、例えば10〜200g/L、好ましくは20〜100g/Lである。この値とすることで、上述の熱伝導性粒子の分布の均一性を更に高められると考えられる。
なお、ここでの見かけ比重は、ISO 787/XIに基づき測定することができる。
シリカ粒子としては、例えば日本アエロジル株式会社のフュームドシリカAEROSIL(登録商標)などを用いることができる。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、シリカ粒子を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
組成物中のシリカ粒子の量は、特に限定されないが、例えば組成物中の固形分全体の0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%である。
・その他成分
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、上記以外の各種成分を含んでもよい。例えば、特定熱硬化性樹脂以外の樹脂、離型添加剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、表面調整剤(レベリング剤や界面活性剤)などを含んでもよい。これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
特定熱硬化性樹脂以外の樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、アクリル樹脂などを挙げることができる。
離型添加剤としては、酸化型及び非酸化型のポリオレフィン、カルナバワックス、モンタン酸エステル、モンタン酸並びにステアリン酸などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、カチオニック系シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル型カップリング剤などを挙げることができる。
・組成物の製造方法
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物の製造方法として、例えば、次のような方法がある。
熱伝導性粒子以外の各成分を、溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより樹脂ワニス(ワニス状の熱硬化性樹脂組成物)を調整することができる。この混合は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、自転公転式分散方式などの各種混合機を用いることができる。
上記で用いる溶剤は特に限定されないが、典型的には有機溶剤である。例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートや酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、などが挙げられる。
また、上記のようにして得た樹脂ワニスに、熱伝導性粒子を添加し、三本ロール等を用いて混練することにより、Bステージ状態(半硬化状態)の高熱伝導性硬化性組成物を得ることができる。混練時に熱伝導性粒子を添加することにより、組成物中に熱伝導性粒子をより均一に分散させうる。
もちろん、熱伝導性粒子は、混練時に添加してもよいし、樹脂ワニスの混合時に添加してもよい。
なお、分散性の観点から、熱伝導性粒子は、例えば、所定の溶剤に分散させもの(ナノ粒子分散液)を樹脂ワニス中に添加することが好ましい。
さらに、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、各成分を固形(粉体など)の形で均一に混合することで得ることもできる。
<硬化物、積層体およびパワーモジュール>
上述の高熱伝導性硬化性組成物を硬化させることで、その硬化物を得ることができる。
例えば、金属層を表面に備える基材のその金属層表面に、高熱伝導性硬化性組成物の硬化物による樹脂層を設けることができる。つまり、金属層と、その金属層の少なくとも片面に設けられた高熱伝導性硬化性組成物の硬化物とを備える積層体を得ることができる。この積層体は、放熱部材などとして好ましく用いることができる。
なお、高熱伝導性硬化性組成物の硬化物は、典型的には、絶縁性を有する。つまり、特別に導電性の金属粒子などを含めない限り、高熱伝導性硬化性組成物の硬化物は、電気を通しにくい性質を有する。
なお、積層体は、金属層と高熱伝導性硬化性組成物の硬化物(樹脂層)を備えていれば、これら2層以外の層を備えていてもよい。また、積層体は、例えば、高熱伝導性硬化性組成物の硬化膜が、同種また異種の金属層により上下から挟まれている態様であってもよい(この態様については後述する)。
硬化条件などについて補足しておく。
高熱伝導性硬化性組成物の性状がワニス状である場合には、例えば、適当な基材(例えば、金属層を表面に備える基材)の表面に組成物を塗布し、溶剤を乾燥させ、そして熱硬化させることで、硬化物(樹脂膜)を設けることができる。
組成物の塗布方法は特に限定されず、スピナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、バーコーティング、浸漬、印刷、ロールコーティング、インクジェット法などにより行うことができる。
乾燥は、ホットプレート、熱風、オーブン等の任意の方法で加熱処理することで行うことができる。加熱温度は、通常80〜150℃、好ましくは90〜140℃である。また、加熱の時間は、通常30〜600秒、好ましくは30〜450秒程度である。
熱硬化も、任意の方法で加熱することで行うことができる。なお、加熱と同時にプレスするなどして、他の部材(基材)を含む積層体を成すようにしてもよい。プレスをする場合、その条件は、1〜100MPa、100〜260℃、10〜300分とすることができる。なお、加熱は2段階以上の異なる条件を組み合わせることができ、上記条件はそれぞれの段階に適用されうる。
また、高熱伝導性硬化性組成物の性状がBステージ状態(半硬化状態)である場合には、公知の熱硬化性樹脂の成形技術を用いて硬化膜ないし硬化物を得ることができる。例えば、コンプレッション成形、トランスファー成形、射出成形などにより硬化膜ないし硬化物を得ることができる。
別の方法として、硬化物は、高熱伝導性硬化性組成物を適当な基材に含浸させて、それを熱硬化させることで得ることもできる。
高熱伝導性硬化性組成物の硬化物が、同種また異種の金属層により上下から挟まれている態様について説明する。
図1は、積層体100の構成の一例を示す断面図である。
積層体100は、第一金属層101と、第一金属層101上に設けられた絶縁層102と、絶縁層102上に設けられた第二金属層103と、を備えることができる。この絶縁層102は、上記の高熱伝導性硬化性樹脂組成物により設けられた樹脂層(高熱伝導性硬化性組成物の硬化物)である。
第二金属層103は、絶縁層102上に設けられている。そして、典型的には回路加工される。
第二金属層103を構成する金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、錫などから選択される1種または2種以上が挙げられる。これらの中でも、第二金属層103は、好ましくは銅層またはアルミニウム層であり、特に好ましくは銅層である。銅またはアルミニウムを用いることで、第二金属層103の回路加工性を良好にすることができる。第二金属層103としては、板状で入手できる金属箔を用いてもよいし、ロール状で入手できる金属箔を用いてもよい。
第二金属層103の厚みの下限値は、例えば0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.25mm以上である。このような数値以上であれば、高電流を要する用途であっても、回路パターンの発熱を抑えることができる。
第二金属層103の厚みの上限値は、例えば2mm以下、好ましくは1.5mm以下で、さらに好ましくは1mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
第一金属層101は、積層体100に蓄積された熱を放熱する役割を有する。第一金属層101は、放熱性の金属層であれば特に限定されないが、例えば、銅層、銅合金層、アルミニウム層、アルミニウム合金層であり、銅層またはアルミニウム層が好ましく、銅層がより好ましい。銅層またはアルミニウム層を用いることで、第一金属層101の放熱性を良好なものとすることができる。
第一金属層101の厚さは、本発明の目的が損なわれない限り、適宜設定できる。
第一金属層101の厚さの上限値は、例えば、20mm以下であり、好ましくは5mm以下である。この数値以下の厚さの第一金属層101を用いることで、積層体100全体としての薄型化を行うことができる。また、積層体100の外形加工や切り出し加工等における加工性を向上させることができる。
また、第一金属層101の厚さの下限値は、例えば0.1mm以上、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上である。この数値以上の第一金属層101を用いることで、積層体100全体としての放熱性を向上させることができる。
積層体100は、各種の基板用途に用いることが可能である。熱伝導性及び耐熱性に優れることから、一例として、パワーモジュールの部材に適用することが好ましい。
積層体100は、パターンにエッチング等することによって回路加工された第二金属層103を有することができる。この積層体100において、最外層に不図示のソルダーレジストを形成し、露光・現像により電子部品が実装できるよう接続用電極部が露出されていてもよい。
上記の積層体100を備えるパワーモジュールの実施形態について、図2に基づき説明する。
図2は、パワーモジュール11の構成を示す断面図である。
パワーモジュール11は、積層体100と、積層体100上に設けられた電子部品と、を備えることができる。
電子部品としては、パワー半導体素子などを用いることができる。パワー半導体素子は、典型的には、SiC、GaN、Ga、ダイヤモンドのようなワイドバンドギャップ材料を使用したものであり、高電圧・大電流で使用されるように設計されているものである。もちろん、パワー半導体素子以外にも、他の電子部品が積層体100上に搭載されていてもよい。
動作により発熱する電子部品(各種の発熱素子)からの熱に対して、積層体100はヒートスプレッターとして機能することができる。
パワーモジュール11の一例は、図2に示されるように、パワーモジュール用回路基板(積層体100)の第二金属層103a(第二金属層103がパターニングされたもの)の上に、接着層3を介してパワー半導体素子2が搭載されている。パワー半導体素子2はボンディングワイヤー7を介して第二金属層103bに導通されている。また、パワー半導体素子2、ボンディングワイヤー7、第二金属層103a、103bは封止材6により封止されている。
また、パワーモジュール11は、積層体100の第二金属層103上に搭載されたチップコンデンサ8やチップ抵抗9等の他の電子部品を備えてもよい。また、パワーモジュール11は、第一金属層101が、公知の熱伝導グリス4を介して、放熱フィン5に接続された構造を有していてもよい。また、パワーモジュール11は、ソルダーレジスト10を備えていてもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<特定熱硬化性樹脂の合成>
まず、4−ヒドロキシベンゾニトリルを出発原料とし、トリフルオロメタンスルホン酸を加えることで2,4,6−トリフェノール−1,3,5−トリアジンを合成した。
次に、得られたトリアジン化合物に対し、エピクロルヒドリンと水酸化ナトリウムを加え還流させることで、目的の特定熱硬化性樹脂を得た。
参考までに、反応スキームを以下に示す。
Figure 2019196433
<実施例1:組成物の調製>
まず、表1に記載された各成分を、記載された量準備した。
・特定熱硬化性樹脂は、上記合成で得られたものである。
・シリカ粒子としては、日本アエロジル株式会社製、品番:RX−200(一次粒子径:約12nm)を用いた。
・熱伝導性粒子としては、以下のようにして準備した凝集窒化ホウ素を用いた。
ホウ酸メラミンと鱗片状窒化ホウ素粉末を混合して得られた混合物を、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液へ添加し、2時間混合して噴霧用スラリーを調製した。次いで、このスラリーを噴霧造粒機に供給し、アトマイザーの回転数15000rpm、温度200℃、スラリー供給量5ml/minの条件で噴霧することにより、複合粒子を作製した。次いで、得られた複合粒子を、窒素雰囲気下、2000℃の条件で焼成することにより、凝集窒化ホウ素を得た。
Figure 2019196433
(熱伝導性粒子を含有しない組成物の調製)
表1に示される特定熱硬化性樹脂と硬化剤と、表1に示される量比で乳鉢で混合して組成物を得た。
(熱伝導性粒子を含有する組成物(ワニス状)の調製)
表1に示す量比に従い、特定熱硬化性樹脂と、硬化剤とを、溶媒(シクロヘキサノン)に添加し、これを撹拌して溶液を得た。次いで、この溶液にシリカ粒子および熱伝導性粒子を加えて予備混合し、さらにその後、プラネタリーミキサーまたはディスパーザーにて混合し、各成分を均一に分散させたワニス状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
<比較用の組成物の調製>
一方、比較用の組成物として、エポキシ化合物等を含む組成物を調製した。
具体的には、まず、表2の樹脂成分(エポキシ化合物、硬化剤、硬化促進剤)のみを熱板上にて溶融混合し、冷却後粉砕して、熱伝導性粒子を含有しない組成物を得た。
また、表2の樹脂成分を、溶媒(シクロヘキサノン)に添加し、これを撹拌して溶液を得た。次いで、この溶液にシリカ粒子および熱伝導性粒子を入れて予備混合した。その後、プラネタリーミキサー(遊星型ミキサー)にて均一に混合し、熱伝導性粒子を含むワニス状の組成物を得た。
Figure 2019196433
エポキシ化合物1、硬化剤1および硬化促進剤1はそれぞれ以下である。
エポキシ化合物1:下記の化学式で表されるビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA、東京化成工業社製)
Figure 2019196433
硬化剤1:ジアミノジフェニルメタン(DDM、東京化成工業社製)
硬化促進剤1:2−メチルイミダゾール(2MZ、東京化成工業社製)
<硬化物(熱伝導性粒子を含まない)の作製>
表1に示される特定熱硬化性樹脂および硬化剤、または、表2に示される樹脂成分を乳鉢で混合し、プレス圧10MPaで、120℃で5分間プレスし、その後、180℃で2時間オーブンにて加熱し、直径1cm、厚さ1mmの円盤状の硬化物(樹脂成分のみによる評価用試料)を得た。
<硬化物(熱伝導性粒子を含む)の作製>
(1)銅箔上への組成物の塗布
まず、片面が粗化された、膜厚18μmの銅箔(福田金属箔粉工業社製、表面処理電解銅箔CF−T8G−UN−18)、を準備した。これの粗化面に、ハンドアプリケータを用いて、上記で調製したワニス状の組成物を、厚み500μmで塗布した。これを、120℃に設定したホットプレートで5分加熱し、溶媒を乾燥させた。
これにより、組成物の塗膜が形成された銅箔を得た。
(2)プレス、積層体の形成
下から順に、当て板、クッション材、SUS(ステンレス)板、上記(1)の塗膜が形成された銅箔(塗膜面が上面)および銅箔(上記(1)で用いたものと同様)を重ね、これらを一括してプレスした。プレスには、株式会社東洋精機製作所の装置「ラボプレス」を用いた。プレスの条件は、圧力10MPa、温度120℃、1時間の後、続けて同じ圧力で、温度180℃、2時間とした。
これにより、組成物の硬化物が、上と下から銅箔で挟まれた積層体を得た。
<評価>
(液晶性)
上述の(熱伝導性粒子を含有しない組成物の調製)で得られた組成物を、スライドガラスで挟み、加熱ステージ上に配置した。その後、偏光顕微鏡を用いて複屈折が視認できたものについて液晶性有りと判断した。
表3に、複屈折が視認できた場合を○(良い)、複屈折が視認できなかった場合を×(悪い)と記載した。
(熱伝導性(樹脂成分のみの硬化物))
上述の(熱伝導性粒子を含有しない組成物の調製)で得られた組成物を、離型剤を塗布した金型にセットした。そして、コンプレッション成形を120℃、5分の条件で行い、直径10mm×厚み1mmの樹脂成形物を得た。その後、オーブンにて120℃で60分加熱し、その後、180℃で120分の硬化を行い、熱伝導率測定用サンプルを得た。
(熱伝導性(熱伝導性粒子を含む硬化物))
上述の(熱伝導性粒子を含有する組成物(ワニス状)の調製)で得られた組成物を、厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥させ樹脂層付き銅箔を作製した。この銅箔の樹脂層を別の銅箔で挟むようにして重ね合わせてセットした。そして、コンプレッション成形を、120℃60分の後180℃120分の条件で行った。
これにより、縦15cm×横22cm×厚み0.2mmの複合成形体(熱伝導率測定用サンプル)を得た。
このとき、銅箔としては、福田金属箔粉工業社製、表面処理電解銅箔CF−T8G−UN−18を用いた。
上記で得られたそれぞれのサンプル(樹脂成分のみのもの/熱伝導性粒子を含むもの)から、厚み方向測定用として、直径10mm×厚み0.2mmに切り出したものを試験片とした。
次に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD−1RTVを用いて、レーザーフラッシュ法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、25℃の条件下で行った。得られた熱拡散係数(α)、比熱(Cp)、比重(SP)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。
熱伝導率[W/m・K]=α[mm/s]×Cp[J/kg・K]×Sp[g/cm
表3中、熱伝導性粒子を含有しない組成物の硬化物の熱伝導率を「熱伝導率(樹脂)」と記載し、熱伝導性粒子を含有する組成物の硬化物の熱伝導率を「熱伝導率(複合材)」と記載している。
上記<硬化物(熱伝導性粒子を含まない)の作製>で得られた硬化物について、軟化点(℃)を測定した。粒子は、軟化点の定量的な測定を妨げるため、熱伝導性粒子を含有しない組成物で測定した。
具体的には、TMA(Thermal Mechanical Analyzer)試験装置(セイコーインスツメルツ社製TMA/SS6100)を用いて、昇温速度10℃/分、荷重0.05N、圧縮モード、測定温度範囲30〜330℃の条件で、硬化物(熱伝導性粒子を含まない)の熱膨張特性を測定し、横軸に温度、縦軸に変位をプロットした熱膨張曲線の屈折点の温度を外挿法により求め、軟化点とした。
以下の表3に、評価結果をまとめて示す。
Figure 2019196433
表3に示されるとおり、本実施形態の高熱伝導性硬化性樹脂組成物により形成した硬化膜の熱伝導性は良好であった。この理由の1つとして、トリアリールトリアジン骨格による液晶性の発現が関係していると考えられる。
また、本実施形態の高熱伝導性硬化性樹脂組成物により形成した硬化膜は、軟化点が高いこと(つまり耐熱性が高いこと)という特徴も有する。
2 パワー半導体素子
3 接着層
4 熱伝導グリス
5 放熱フィン
6 封止材
7 ボンディングワイヤー
8 チップコンデンサ
9 チップ抵抗
10 ソルダーレジスト
11 パワーモジュール
100 積層体
101 第一金属層
102 絶縁層
103、103a、103b 第二金属層

Claims (10)

  1. トリアリールトリアジン骨格および架橋性基を含む熱硬化性樹脂と、
    熱伝導性粒子と
    を含む、高熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の高熱伝導性硬化性樹脂組成物であって、
    前記トリアリールトリアジン骨格が2,4,6−トリアリール−1,3,5−トリアジン骨格である、高熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の高熱伝導性硬化性樹脂組成物であって、
    前記架橋性基がエポキシ基およびオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかである、高熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高熱伝導性硬化性樹脂組成物であって、
    前記熱硬化性樹脂が以下一般式(1)で表される、高熱伝導性硬化性樹脂組成物。
    Figure 2019196433
    一般式(1)中、
    3つのArは、それぞれ独立に、アリーレン基を表し、
    3つのRは、それぞれ独立に、架橋性基を含む基を表す。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高熱伝導性硬化性樹脂組成物であって、
    さらに、前記熱硬化性樹脂の硬化剤を含む、高熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高熱伝導性硬化性樹脂組成物であって、
    前記熱伝導性粒子が、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムおよび硫酸バリウムから選択される少なくとも1種以上を含む、高熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高熱伝導性硬化性樹脂組成物の硬化物。
  8. 第一金属層と、
    前記第一金属層上に設けられた絶縁層と、
    前記絶縁層上に設けられた第二金属層と、を備えており、
    前記絶縁層が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の高熱伝導性硬化性樹脂組成物により設けられた樹脂層で構成されている、積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体であって、
    前記第一金属層および前記第二金属層が、銅層およびアルミニウム層からなる群より選ばれるいずれかの層である、積層体。
  10. 請求項8または9に記載の積層体と、
    前記積層体上に設けられた電子部品と、を備えるパワーモジュール。
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