JP2019196284A - 合わせガラス中間膜用の樹脂組成物とフィルム及び合わせガラスとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無機ガラス及び中間膜を有する合わせガラスに関して、高温高湿下での無機ガラスと中間膜との界面及びその近傍における気泡の発生を抑制することができるガラス中間膜用の樹脂組成物とフィルム及び該樹脂組成物を有する合わせガラスとその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の合わせガラスは、対向する第一のガラス板11及び第二のガラス板12と、これらの間に配置された中間膜5と、を備え、中間膜5を形成する樹脂組成物が、(a)炭素数1〜18のアルキルを有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、(c)カルボキシ基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び(d)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するケイ素含有モノマー、をモノマー単位として有するアクリル重合体を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、合わせガラス中間膜用の樹脂組成物とフィルム及び前記樹脂組成物を有する合わせガラスとその製造方法に関する。
自動車のような車輌の窓、サンルーフ、内装パネル等のガラスとして、合わせガラスが広く用いられている。合わせガラスのその他の用途として、電車、航空機、建設機械、建築物等の窓が挙げられる。
合わせガラスの一例として、少なくとも一対のガラス板の間に、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂からなる中間膜を介在させ、それらを一体化したものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
従来の合わせガラスは、例えば温度85℃、相対湿度85%のような高温高湿環境下に放置されたときに、無機ガラス板と中間膜との界面又はその近傍に気泡を発生させることがある。
本発明は、無機ガラス及び中間膜を有する合わせガラスに関して、高温高湿下での無機ガラスと中間膜との界面及びその近傍における気泡の発生を抑制することができる合わせガラス中間膜用の樹脂組成物とフィルム及び該樹脂組成物を有する合わせガラスとその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、中間膜を形成する樹脂層がアクリル重合体を含み、(a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(c)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマー、及び(d)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するケイ素含有モノマー、をモノマー単位として有するアクリル重合体を含む、合わせガラス中間膜用樹脂組成物を提供する。
また、本発明の合わせガラス中間膜用樹脂組成物は、前記カルボキシ基を含有する(メタ)アクリレートモノマーがアクリル酸またはメタクリル酸であってもよい。
また、本発明のガラス中間膜用樹脂組成物は、さらに架橋剤を含んでいてもよい。
本発明は、対向する第一の基材及び第二の基材と、これら基材の間に配置された前記ガラス中間膜用樹脂組成物を含む樹脂層と、を有する、合わせガラス中間膜用フィルムを提供する。
本発明は、対向する第一のガラス板及び第二のガラス板と、これらガラス板の間に配置された前記合わせガラス中間膜用樹脂組成物を含む中間膜、又は前記中間膜用フィルムの樹脂層からなる中間膜と、を備える合わせガラスを提供する。それにより、高温高湿下で無機ガラスと中間膜の界面及びその近傍において起きやすい気泡の発生を抑制することができる。
また、本発明の合わせガラスは、前記第二のガラス板が透明プラスチック板であってもよい。本発明者らの知見によれば、第二のガラス板が透明プラスチック板であると、高温高湿環境下で無機ガラスと中間膜との界面及びその近傍における気泡が多く発生し易い傾向がある。そのため、本発明の合わせガラス及びその製造方法による気泡抑制は、第二のガラス板が透明プラスチック板であるときに特に高い技術的意義を有する。
また、本発明は、前記第一のガラス板と第二のガラス板とを、前記合わせガラス中間膜用樹脂組成物を含む中間膜又は樹脂層を介在させながら貼り合わせて、前記第一のガラス板、前記樹脂層、及び前記第二のガラス板を有する、積層体を得る工程と、前記積層体を加熱及び加圧して、前記樹脂層を中間膜として有する合わせガラスを得る工程と、を備える合わせガラスの製造方法を提供する。それにより、初期だけでなく、高温又は高温高湿下においても気泡及び剥離がみられない合わせガラスを製造することができる。
本発明によれば、無機ガラス及び中間膜を有する合わせガラスに関して、高温高湿下での無機ガラスと中間膜の界面及びその近傍における気泡の発生を抑制することができ、信頼性の向上を図ることができる。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル」等の類似の表現も同様である。
組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<合わせガラス>
図1は、本発明の合わせガラスの一実施形態を示す断面図である。図1に示す合わせガラス1は、対向する第一のガラス板11及び第二のガラス板12と、第一のガラス板11及び第二のガラス板12の間に配置され、これらガラス板に接している中間膜5とを有する。言い換えると、第一のガラス板11、中間膜5、及び第二のガラス板12がこの順で積層されている。
図1は、本発明の合わせガラスの一実施形態を示す断面図である。図1に示す合わせガラス1は、対向する第一のガラス板11及び第二のガラス板12と、第一のガラス板11及び第二のガラス板12の間に配置され、これらガラス板に接している中間膜5とを有する。言い換えると、第一のガラス板11、中間膜5、及び第二のガラス板12がこの順で積層されている。
第一のガラス板11は、無機ガラス板であり、第二のガラス板12は、透明プラスチック板又は無機ガラス板であることができる。
第一のガラス板11又は第二のガラス板12としての無機ガラス板は、合わせガラスを構成するガラス板として通常用いられているものから選択することができる。無機ガラス板が設けられることにより、合わせガラスの表面が良好な耐傷性を有することができる。
無機ガラス板は、例えば、フロートガラス、強化ガラス(風冷強化ガラス、化学強化ガラス等)、又は複層ガラスの板であってもよい。
無機ガラス板は、例えば、フロートガラス、強化ガラス(風冷強化ガラス、化学強化ガラス等)、又は複層ガラスの板であってもよい。
第二のガラス板12としての透明プラスチック板は、合わせガラスに適した透明性等の光学特性を有するプラスチック板であることができる。透明プラスチック板の例としては、ポリカーボネート板(PC板)、ポリメチルメタクリレート板(PMMA板)、シクロポリオレフィン板(COP板)、ポリエチレンテレフタレート板(PET板)、ポリエチレン板(PE板)、ポリプロピレン板(PP板)、ポリスチレン板(PS板)、及びトリアセチルセルロース板(TAC板)が挙げられる。
中間膜5の厚さは、使用用途及び方法により適宜調整されるため特に限定されないが、25〜200μmが実用的であり、25〜180μmが好ましく、25〜150μmがより好ましい。これにより、合わせガラスが、特に高い防割性を有することができる。
中間膜5の可視光領域(波長:380〜780nm)の光線に対する光透過率は、透明性の点から80%以上が実用的であり、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
合わせガラスのヘーズは、散乱光の抑制の点から、5%以下が実用的である。ヘーズ(Haze)とは、濁度を表わす値(%)であり、ランプにより照射され、試料中を透過した光の全透過率Ttと、試料中で拡散され散乱した光の透過率Tdより、(Td/Tt)×100として求められる。これらはJIS K 7136により規定されており、市販の濁度計、例えば、日本電色工業株式会社製NDH5000により容易に測定可能である。
合わせガラスは、図1の形態に限られるものではない。例えば、合わせガラスが3枚以上のガラス板を有していてもよいし、反射防止層、防汚層、色素層、及びハードコート層等の機能層を有していてもよく、第二のガラス板がこれらの機能層であってもよい。これらのガラス板又は機能層同士の間に、中間膜5と同様の中間膜を設けることができる。また、中間膜は、2層以上の膜が積層された複層であってもよい。積層する膜としては、中間膜5と同様の膜を設けることができる。
反射防止層としては、5%以下の可視光反射率を示す層が実用的である。反射防止層は、既知の反射防止方法で処理された透明基材(透明プラスチックフィルム等)であってもよい。
防汚層は、表面への汚れを抑制する層である。防汚層は、例えば、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂等で構成される、低い表面張力を有する層であることができる。
色素層は、色純度を高めるために使用されるものである。上記色素層は、合わせガラスで透過する不要な波長の光を低減するために使用される。上記色素層は、不要な波長の光を吸収する色素を樹脂に溶解させ、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層して得ることができる。
ハードコート層は、表面硬度を高くするための層である。ハードコート層は、基材フィルム(ポリエチレンフィルム等)と、基材フィルム上に形成され、アクリル樹脂(ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等)、又はエポキシ樹脂のような樹脂を含む樹脂層とを有する積層体であってもよい。ガラス板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等の透明保護板上に積層されたハードコート層を使用することもできる。
<合わせガラスの製造方法>
合わせガラス1は、例えば、無機ガラス板である第一のガラス板11と第二のガラス板12とを、樹脂層を介在させながら貼り合せて、第一のガラス板11、樹脂層、及び第二のガラス板12を有する積層体を得る工程と、積層体を加熱及び加圧して、樹脂層を中間膜5として有する合わせガラス1を得る工程とを含む方法により、製造することができる。
合わせガラス1は、例えば、無機ガラス板である第一のガラス板11と第二のガラス板12とを、樹脂層を介在させながら貼り合せて、第一のガラス板11、樹脂層、及び第二のガラス板12を有する積層体を得る工程と、積層体を加熱及び加圧して、樹脂層を中間膜5として有する合わせガラス1を得る工程とを含む方法により、製造することができる。
図2は、中間膜5として用いられる樹脂層を有する合わせガラスの中間膜用フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す合わせガラスの中間膜用フィルム2は、第一の基材21、樹脂層5a、及び第二の基材22を有し、これらがこの順で積層されている。樹脂層5aは、2枚のガラス板に挟まれたときに中間膜5となる層であり、膜状の樹脂組成物であることができる。樹脂層5aは、ガラス板同士の容易な貼り合せを可能にする感圧接着性を有していていてもよい。このようなフィルム材によれば、樹脂層5aを、容易に保管及び運搬することができる。
第一の基材21及び第二の基材22としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びポリエチレンから選ばれる重合体のフィルムであってもよく、特にポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という場合もある)であってもよい。第一の基材21及び第二の基材22の端部が、樹脂層5aの外縁よりも外側に張り出していてもよい。
第一の基材21及び第二の基材22のうち一方が相対的に大きい剥離強度を発現する基材(重剥離セパレータ)で、他方が相対的に小さい剥離強度を発現する基材(軽剥離セパレータ)であってもよい。ここで、第一の基材21及び第二の基材22のどちらを、重剥離セパレータ又は軽剥離セパレータとするかは任意に選択することができる。軽剥離セパレータと樹脂層5aとの間の剥離強度は、重剥離セパレータと樹脂層5aとの間の剥離強度よりも低い。基材の剥離性は、剥離性を付与する表面処理の条件によって適宜調整することができる。表面処理の方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物による離型処理が挙げられる。
中間膜用フィルム2を用いて合わせガラス1を製造する場合、まず、軽剥離セパレータとしての基材を剥離し、露出した樹脂層5aの表面を第一のガラス板11に貼り付ける。重剥離セパレータとしての基材側からローラー等で押し付けてもよい。続いて、重剥離セパレータとしての基材を樹脂層5aから剥離する。露出した樹脂層5aの表面を、第二のガラス板12に貼り付ける。この方法により、樹脂層5aを介在させながら、2枚のガラス板を容易に貼り合せることができる。
重剥離セパレータとしての基材の厚みは、作業性の観点から、50〜200μmが実用的であり、60〜150μmが好ましく、70〜130μmがより好ましい。軽剥離セパレータとしての基材の厚みは、作業性の観点から、25〜150μmが実用的であり、30〜100μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。
第一のガラス板11、樹脂層5a、及び第二のガラス板12を有する積層体は、例えばオートクレーブを用いて加熱及び加圧される。加熱及び加圧の条件は、積層体の貼り合わせ性の点から、例えば、30〜150℃の温度、及び0.3〜1.5MPaの圧力が実用的である。さらに、巻き込みによる気泡をより除去できる観点から、温度が50〜70℃で、圧力が0.3〜0.5MPaが好ましい。加熱及び加圧の時間は、5〜60分間が実用的であり、10〜30分間が好ましい。
<合わせガラスの中間膜用樹脂組成物>
本発明は、中間膜5(又は樹脂層5a)を形成するための樹脂組成物が、下記のようなモノマーをモノマー単位として有するアクリル重合体を含むことに特徴を有する。
本発明は、中間膜5(又は樹脂層5a)を形成するための樹脂組成物が、下記のようなモノマーをモノマー単位として有するアクリル重合体を含むことに特徴を有する。
アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位から主として構成される共重合体であり、(a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、(c)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び(d)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するケイ素含有モノマーをモノマー単位として含む共重合体である。このアクリル重合体を含む樹脂組成物は、ガラス板表面に対する特に高い密着性を有するとともに、高い強靭性を有する中間膜を形成することができ、それにより合わせガラスの防割性をより高めることができる。
(a)アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、下記式(I):
で表される化合物であることができる。式(I)中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示す。
(a)アルキル(メタ)アクリレートモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、及びステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートモノマーを2種類以上を組み合わせてもよい。アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキルアクリレートであってもよい。
(a)アルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位の含有量は、アクリル重合体を構成するモノマー単位全体の質量を基準として、50〜90質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましい。アルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位の含有量がこのような範囲であると、中間膜5と第一のガラス板11及び第二のガラス板12との密着性がより向上する。
(b)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(b)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来するモノマー単位の含有量は、アクリル重合体を構成するモノマー単位全体の質量を基準として、5〜30質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマーに由来するモノマー単位の含有量がこれら範囲内であると、高温高湿下での信頼性試験において、合わせガラスが特に高い透明性を維持する傾向がある。
(c)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
(c)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来するモノマー単位の含有量は、アクリル重合体を構成するモノマー単位全体の質量を基準として、1〜10質量%が好ましく、1〜5%がより好ましい。カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートモノマーに由来するモノマー単位の含有量がこれら範囲内であると、高温高湿下での信頼性試験において、中間膜5と第一のガラス板11及び第二のガラス板12との密着性がより向上する。
本発明で使用する(d)ケイ素含有モノマーは、ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有する。ラジカル重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリル基、スチリル基、ケイ皮酸エステル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれる。
(メタ)アクリル基及びシロキサン鎖を有するケイ素含有モノマーの例としては、下記式(a)又は(b)で表される化合物が挙げられる。
式(a)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は2価の炭化水素基、炭化水素基と酸素原子との組み合わせからなる2価の基、又は単結合を示し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R9は1価の炭化水素基を示し、nは1以上の整数を示す。
式(b)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR9はそれぞれ独立に2価の炭化水素基、炭化水素基と酸素原子との組み合わせからなる2価の基、又は単結合を示
し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。
(メタ)アクリル基及びシロキサン鎖を有するケイ素含有モノマーの重量平均分子量は、100〜20000が好ましい。
(メタ)アクリル基及びアルコキシシリル基を有するケイ素含有モノマーの例としては、下記式(c)で表される化合物が挙げられる。
(d)ケイ素含有モノマーは、上記の式(a)〜(c)で示される化合物を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(d)ケイ素含有モノマーに由来するモノマー単位の含有量は、アクリル重合体を構成するモノマー単位全体の質量を基準として、5〜20質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。ケイ素含有モノマーに由来するモノマー単位の含有量がこれら範囲内であると、より高い防割性を有する合わせガラスが得られ易い。
本発明のアクリル重合体は、上記(a)、(b)、(c)及び(d)のモノマ―以外にも、(メタ)アクリロイル基を有するその他のモノマーに由来するモノマー単位を更に含んでいてもよい。その他のモノマーの例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式の置換基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート;アルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートは、例えば下記式(II):
で表される化合物を使用することができる。式(II)中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、pは2〜4の整数を示し、qは1〜10の整数を示す。
このアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートの例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらから選ばれる2種類以上の化合物を組み合わせてもよい。
その他のモノマーは、モルホリノ基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、カルボニル基、及びニトロ基等の極性基のいずれかを有していてもよい。これら極性基を有するモノマーは、中間膜とガラス板との密着性向上に寄与し得る。
アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基以外のラジカル重合性不飽和基を有するモノマーに由来するモノマー単位を更に含んでいてもよい。そのようなモノマーの例としては、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、及びプロピレンのような単官能モノマー、並びに、ジビニルベンゼン等の二官能モノマーが挙げられる。
アクリル重合体の重量平均分子量は、80000〜1000000が好ましい。重量平均分子量が80000以上であると、中間膜のガラス板に対する密着性が向上する傾向があり、重量平均分子量が1000000以下であると、中間膜又は樹脂層を形成するための樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、中間膜又は樹脂層を容易に形成することができる。以上の観点から、アクリル重合体の重量平均分子量は100000〜900000がより好ましい。ここでの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレンの検量線による換算値を意味する。
アクリル重合体を得る方法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の通常の重合方法によってアクリル重合体を得ることができる。重合反応のための重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。その例としては、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド等のような有機過酸化物;2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のようなアゾ系化合物が挙げられる。
中間膜5(又は樹脂層5a)を形成するためのアクリル樹脂を含む樹脂組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。樹脂組成物が架橋剤を含む場合、中間膜5及び樹脂層5aにおいて、通常、アクリル重合体の少なくとも一部が架橋剤によって架橋されている。架橋剤によって、樹脂組成物の凝集力が高められる。
架橋剤は、光反応及び/又は熱反応によって、アクリル重合体を架橋する化合物である。光反応によってアクリル重合体を架橋する架橋剤は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であってもよく、その例としては、下記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される化合物が挙げられる。式(1)、(2)及び(3)中のsは1〜20の整数を示し、式(4)及び(5)中のm及びnはそれぞれ独立に、1から10の整数を示す。
また、ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレートを架橋剤として使用してもよい。ウレタンジ(メタ)アクリレートは、他の成分との相溶性が良好である観点から、ポリアルキレングリコール鎖を有していてもよい。透明性を確保する観点から、ウレタンジ(メタ)アクリレートは脂環基を有していてもよい。架橋剤と、アクリル重合体との相溶性が高いと、中間膜が白濁せずに高い透明性を有し易い。
熱反応によってアクリル重合体を架橋する架橋剤は、イソシアネート基、又はエポキシ基を2個以上有する化合物であってもよく、メラミン化合物であってもよい。この架橋剤は、中間膜中に緩やかに広がった網目状構造を形成するために、3官能又は4官能のような多官能架橋剤であってもよい。
架橋剤としてイソシアネート基を有する化合物を使用する場合、その例としては、多官能性ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体が挙げられる。多官能性ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、及び、トチメチロールプロパン等のトリオール、単官能アルコール又はジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物が挙げられる。
前記架橋剤の重量平均分子量は、高温又は高温高湿下における気泡及び剥離の発生をより抑制できる観点から、100000以下が実用的であり、300〜100000が好ましく、500〜80000がより好ましい。
架橋剤の含有量は、樹脂組成物の全質量に対して、15質量%以下が実用的であり、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましい。含有量がこれら範囲であると、より一層高い密着性を有する中間膜が形成され易い。架橋剤の含有量の下限は、特に制限されないが、フィルム形成性の観点から、0.1質量%以上が実用的であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。しかし、架橋剤の含有量が多過ぎると架橋点が増え、弾性率が高くなることから、ピール強度は低下する。
中間膜5又は樹脂層5aを形成するためのアクリル重合体を含む樹脂組成物は、アクリル重合体と架橋剤との反応を進行させるための光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応を促進させるものである。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
光重合開始剤は特に限定されるものではなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料を使用することが可能である。その例としては、ベンゾフェノン、N,N,N´,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4,4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸等のエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が挙げられる。これらの化合物は複数種を組み合わせてもよい。
中間膜の着色抑制の観点から、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;又はオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)を使用してもよい。特にこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてもよい。
特に厚い中間膜又は樹脂層を形成するためには、光重合開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含むことが好ましい。
光重合開始剤の含有量は、アクリル樹脂を含む樹脂組成物の全質量を基準として、0.05〜5質量%が実用的であり、0.1〜3質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。光重合開始剤の含有量が5質量%以下であると、透過率が高く、黄味を帯び難く、透明性に優れる中間膜を容易に形成することができる。
本発明の樹脂組成物は、架橋剤の他に各種添加剤を含んでいてもよい。その具体例としては、樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するパラメトキシフェノール等の重合禁止剤、樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、フィルム材の基材との剥離性を制御するために、さらに、ポリジメチルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤を含有していてもよい。
合わせガラスの中間膜用フィルム2は、例えば、樹脂層5aを形成するための樹脂組成物を基材21上に成膜することにより得ることができる。成膜は、通常の方法により行うことができる。例えば、樹脂組成物を溶剤で希釈して調製した塗工液を基材21上に塗布することと、塗膜から溶剤を乾燥して樹脂層5aを形成することとを含む方法により、中間膜用フィルムを得ることができる。塗工法としては、例えばフローコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ワイヤバーコート法、及びリップダイコート法が挙げられる。
上記塗工液を調製するための溶剤としては、例えば2−ブタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等の溶媒を用いることができる。塗工性の観点からは、塗工液の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工液の全質量を基準として、下限値について30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、また、上限値について70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。塗工液の粘度は、塗工温度で下限値について1Pa・s以上が好ましく、5Pa・s以上がより好ましく、また、上限値について30Pa・s以下が好ましく、15Pa・s以下がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.合わせガラスの中間膜用フィルム材の準備
<実施例1>
[アクリル重合体の合成]
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート69.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、アクリロイルモルホリン10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)10.0g、アクリル酸1.0g、及び酢酸エチル143.0gを入れ、500mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
<実施例1>
[アクリル重合体の合成]
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート69.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、アクリロイルモルホリン10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)10.0g、アクリル酸1.0g、及び酢酸エチル143.0gを入れ、500mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
[合わせガラスの中間膜用樹脂組成物の調製]
前記アクリル重合体の溶液と、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート誘導体であるポリイソシアネート化合物(東ソー株式会社製、「コロネートHL」、製品名(「コロネート」は登録商標))とを混合し、撹拌して、合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を得た。コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.125質量%とした。
前記アクリル重合体の溶液と、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート誘導体であるポリイソシアネート化合物(東ソー株式会社製、「コロネートHL」、製品名(「コロネート」は登録商標))とを混合し、撹拌して、合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を得た。コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.125質量%とした。
[合わせガラスの中間膜用フィルムの調整]
合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(重剥離セパレータ)の離型処理された表面にバーコーターを用いて塗布した。塗膜を100℃で15分間の加熱により乾燥して、厚み100μmの樹脂層を形成させた。樹脂層にポリエチレンテレフタレートフィルム(軽剥離セパレータ)を、離型処理された表面が樹脂層に接する向きで被せ、1.0kgf(98.1N)のハンドローラーで貼り付け、合わせガラスの中間膜用フィルムを得た。
合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(重剥離セパレータ)の離型処理された表面にバーコーターを用いて塗布した。塗膜を100℃で15分間の加熱により乾燥して、厚み100μmの樹脂層を形成させた。樹脂層にポリエチレンテレフタレートフィルム(軽剥離セパレータ)を、離型処理された表面が樹脂層に接する向きで被せ、1.0kgf(98.1N)のハンドローラーで貼り付け、合わせガラスの中間膜用フィルムを得た。
[合わせガラスの作製]
フロートガラスの片面に、軽剥離セパレータを剥離して露出した合わせガラスの中間膜用フィルムの樹脂層を貼り付け、フィルム材をローラーでフロートガラスに押し付けた。重剥離セパレータを樹脂層から剥離して樹脂層の表面を露出させ、そこに幅25mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、Nitto31B、製品名(「Nitto」は登録商標))を貼りつけ、ローラーで押し付けた。フロートガラス、中間膜用フィルムの樹脂層及びポリエステル粘着テープが積層された積層体を、温度50℃、圧力0.5MPa、30分間保持の条件のオートクレーブで加熱及び加圧し、合わせガラスのサンプルを得た。
フロートガラスの片面に、軽剥離セパレータを剥離して露出した合わせガラスの中間膜用フィルムの樹脂層を貼り付け、フィルム材をローラーでフロートガラスに押し付けた。重剥離セパレータを樹脂層から剥離して樹脂層の表面を露出させ、そこに幅25mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、Nitto31B、製品名(「Nitto」は登録商標))を貼りつけ、ローラーで押し付けた。フロートガラス、中間膜用フィルムの樹脂層及びポリエステル粘着テープが積層された積層体を、温度50℃、圧力0.5MPa、30分間保持の条件のオートクレーブで加熱及び加圧し、合わせガラスのサンプルを得た。
<実施例2>
コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
<実施例3>
実施例1のアクリル重合体の合成において、2−エチルヘキシルアクリレートの配合量を67.0g、及びアクリル酸の配合量を3.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
実施例1のアクリル重合体の合成において、2−エチルヘキシルアクリレートの配合量を67.0g、及びアクリル酸の配合量を3.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
<実施例4>
コロネートHLの配合量を、アクリル重合体の全質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
コロネートHLの配合量を、アクリル重合体の全質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
<比較例1>
[アクリル重合体の合成]
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート70.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、アクリロイルモルホリン10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)10.0g、及び酢酸エチル143.0gを入れ、500mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
[アクリル重合体の合成]
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート70.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、アクリロイルモルホリン10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)10.0g、及び酢酸エチル143.0gを入れ、500mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
合わせガラスの中間膜用樹脂組成物の調製、合わせガラスの中間膜用フィルム、及び合わせガラスに関しては実施例1と同様にして合わせガラスのサンプルを得た。
<比較例2>
コロネートHLの配合量を、アクリル重合体の全質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は比較例1と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
コロネートHLの配合量を、アクリル重合体の全質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は比較例1と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
<比較例3>
[アクリル重合体の合成]
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート65.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート15.0g、アクリロイルモルホリン10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)10.0g、及び酢酸エチル143.0gを入れ、500mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
[アクリル重合体の合成]
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート65.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート15.0g、アクリロイルモルホリン10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)10.0g、及び酢酸エチル143.0gを入れ、500mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
合わせガラスの中間膜用樹脂組成物の調製、合わせガラスの中間膜用フィルム、及び合わせガラスに関しては実施例1と同様にして合わせガラスのサンプルを得た。
<比較例4>
コロネートHLの配合量を、アクリル重合体の全質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は比較例3と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
コロネートHLの配合量を、アクリル重合体の全質量に対して0.25質量%に変更したこと以外は比較例3と同様にして、合わせガラスの中間膜用フィルムサンプルを得た。
2.評価
作製した各合わせガラスのサンプルを、卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製、ASG−X)の下側の治具に取り付けた。幅25mmポリエステル粘着テープが貼り付けられている長さ60mm程度の部分の中間膜樹脂層を、フロートガラスから剥離し、剥離した部分を、卓上形精密万能試験機の上側の治具に取り付けた。続いて、引張速度10mm/分、引張角度180°で中間膜樹脂層をフロートガラスから引き剥がし、そのときの応力を測定した。得られた応力を試験片幅の25mmで除して、初期のピール強度(単位:N/25mm)を求めた。
初期のピール強度測定用のサンプルとは別に準備した各サンプルを、温度85℃、湿度85%RHの条件下で24時間放置する高温高湿試験に供した。高温高湿試験後のピール強度を上記と同様に測定した。また、高温高湿試験後の各サンプルを観察し、フロートガラスの内側に発生した気泡の数を、2cm×2cmのフロートガラスの区画内でカウントし、1cm2当たりの気泡の数を求めた。表1に、アクリル重合体の組成及び評価結果を示す。
作製した各合わせガラスのサンプルを、卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製、ASG−X)の下側の治具に取り付けた。幅25mmポリエステル粘着テープが貼り付けられている長さ60mm程度の部分の中間膜樹脂層を、フロートガラスから剥離し、剥離した部分を、卓上形精密万能試験機の上側の治具に取り付けた。続いて、引張速度10mm/分、引張角度180°で中間膜樹脂層をフロートガラスから引き剥がし、そのときの応力を測定した。得られた応力を試験片幅の25mmで除して、初期のピール強度(単位:N/25mm)を求めた。
初期のピール強度測定用のサンプルとは別に準備した各サンプルを、温度85℃、湿度85%RHの条件下で24時間放置する高温高湿試験に供した。高温高湿試験後のピール強度を上記と同様に測定した。また、高温高湿試験後の各サンプルを観察し、フロートガラスの内側に発生した気泡の数を、2cm×2cmのフロートガラスの区画内でカウントし、1cm2当たりの気泡の数を求めた。表1に、アクリル重合体の組成及び評価結果を示す。
表1に示すように、アクリル重合体にアクリル酸が含有された中間膜を使用した実施例1、2、3、及び4の合わせガラスのサンプルは、アクリル重合体にアクリル酸を含有しない中間膜を使用した比較例1、2、3、及び4の合わせガラスのサンプルと比較して、高温高湿試験後の気泡の発生が少なかった。
以上のように、本発明のガラス中間膜用樹脂組成物又は中間膜用フィルムの樹脂層を合わせガラスの中間膜として適用することにより、高温高湿下での無機ガラスと中間膜の界面及びその近傍における気泡の発生を抑制することができ、信頼性の向上を図ることができる。
1…合わせガラス、2…合わせガラスの中間膜用フィルム材、5…中間膜、5a…樹脂層、11…第一のガラス板、12…第二のガラス板、21,22…基材
Claims (7)
- (a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、
(b)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、
(c)カルボキシ基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び
(d)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するケイ素含有モノマー、
をモノマー単位として有するアクリル重合体を含む、合わせガラス中間膜用樹脂組成物。 - 前記カルボキシ基を含有する(メタ)アクリレートモノマーがアクリル酸またはメタクリル酸である、請求項1に記載の合わせガラス中間膜用樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のガラス中間膜用樹脂組成物が、さらに架橋剤を含む、合わせガラス中間膜用樹脂組成物。
- 対向する第1の基材及び第2の基材と、これら基材の間に配置された請求項1〜3のいずれか一項に記載の合わせガラス中間膜用樹脂組成物を含む樹脂層と、を有する、合わせガラス中間膜用フィルム。
- 対向する第一のガラス板及び第二のガラス板と、これらガラス板の間に配置された請求項1〜3のいずれか一項に記載の合わせガラス中間膜用樹脂組成物を含む中間膜、又は請求項4に記載の中間膜用フィルムの樹脂層からなる中間膜と、を備える合わせガラス。
- 前記第二のガラス板が透明プラスチック板である、請求項5に記載の合わせガラス。
- 前記第一のガラス板と第二のガラス板とを、前記合わせガラス中間膜用樹脂組成物を含む中間膜又は樹脂層を介在させながら貼り合わせて、前記第一のガラス板、前記樹脂層、及び前記第二のガラス板を有する、積層体を得る工程と、
前記積層体を加熱及び加圧して、前記樹脂層を中間膜として有する合わせガラスを得る工程と、
を備える、請求項5又は6に記載の合わせガラスの製造方法。
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---|---|---|---|---|
US10590072B2 (en) * | 2016-09-09 | 2020-03-17 | 3M Innovative Properties Company | Partially fluorinated aromatic esters |
-
2018
- 2018-05-10 JP JP2018091361A patent/JP2019196284A/ja active Pending
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