本発明の液体精製カートリッジは、被処理液の導入口と処理液の排出口が形成され、処理材が充填されているカートリッジ容器と、該カートリッジ容器内の処理材充填領域の上流側に充填されているイオン交換体と、該カートリッジ容器内の処理材充填領域の下流側に充填されている精密濾過膜とを有し、該イオン交換体がモノリス状有機多孔質イオン交換体であることを特徴とする液体精製カートリッジである。
本発明の液体精製カートリッジについて、図5を参照して説明する。図5は、本発明の液体精製カートリッジの形態例の模式的な端面図である。液体精製カートリッジ1aは、カートリッジ容器10と、カートリッジ容器10内の処理材充填領域9(9a、9b)に充填されている処理材、すなわち、モノリス状有機多孔質イオン交換体2及び精密濾過膜3と、からなる。
カートリッジ容器10のうち、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の外側に対向又は接触している部分には、被処理液11を液体精製カートリッジ1内に供給するための被処理液の導入口4が形成されている。言い換えると、カートリッジ容器10のうち、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の上流側に対応する部分には、被処理液の導入口4が形成されている。また、カートリッジ容器10のうち、精密濾過膜3の下流側には、処理液12を液体精製カートリッジ容器1から排出するための処理液排出口5が形成されている。カートリッジ容器10内の処理材充填領域9は、上流側のモノリス状有機多孔質イオン交換体2が充填される領域9aと、下流側の精密濾過膜3が充填される領域9bとに、端部封止部8により区画されている。
モノリス状有機多孔質イオン交換体2は、内側に円柱状のイオン交換処理液の排出空間6が形成されており、円筒状の形状を有する。モノリス状有機多孔質イオン交換体2の上流側は、被処理水の導入口4が形成されているカートリッジ容器10の側面に囲まれ、また、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の下流側には、円筒状であり且つイオン交換処理液の通過口13が形成されている内側補強材7が挿入されており 、また、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の上端は、中空円盤状(ドーナツ状の板状 )の端部封止部8で封止されており、また、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の下端は、カートリッジ容器10の底部により封止されている。モノリス状有機多孔質イオン交換体2はカチオン交換体でもアニオン交換体でもよく、モノリス状有機多孔質イオン交換体2のイオン交換容量は0.2〜5mg当量/mL(湿潤状態)であることが好ましい。
精密濾過膜3は、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の下流の処理材充填領域9に充填されている。
このようにして、処理材充填領域9の上流側にモノリス状有機多孔質イオン交換体2が充填され、下流側に精密濾過膜3が充填されている。
そして、液体精製カートリッジ1を、ユースポイントの直前に付設されている液体精製カートリッジ設置用のハウジング内に設置する。使用時には、被処理液である超純水、水溶液、有機溶剤等、すなわち、被処理液11を、被処理液の導入口4から液体精製カートリッジ1内に供給して、先ず、モノリス状有機多孔質イオン交換体2内に透過させて、モノリス状有機多孔質イオン交換体2に接触させることにより、被処理液11中のイオン性金属不純物を除去し、イオン交換処理液を、イオン交換処理液の排出空間6に排出させる。次いで、イオン交換処理液を、下流の精密濾過膜3に透過させることにより、イオン交換処理液中の微粒子状金属不純物を除去し、処理液12を処理液排出口5より、液体精製カートリッジ1外に排出する。このとき、モノリス状有機多孔質イオン交換体2からは、微量ではあるが微粒子不純物が発生するが、このモノリス状有機多孔質イオン交換体2由来の微粒子不純物も、精密濾過膜3で除去される。このようにして、ユースポイントで使用される超純水、水溶液又は有機溶媒を、ユースポイントに供給する前に、液体精製カートリッジ1で、超純水、水溶液又は有機溶媒中のイオン性金属等の不純物及び微粒子状金属等の不純物を除去して、超純水、水溶液又は有機溶媒の精製を行う。
本発明の液体精製カートリッジの別の形態について、図10を参照して説明する。図10は、本発明の液体精製カートリッジの形態例の模式的な端面図である。液体精製カートリッジ1fは、カートリッジ容器10と、カートリッジ容器10内の処理材充填領域9(9a、9b)に充填されている処理材、すなわち、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21、モノリス状有機多孔質カチオン交換体22及び精密濾過膜3と、からなる。
カートリッジ容器10のうち、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21の外側に対向又は接触している部分には、被処理液11を液体精製カートリッジ1内に供給するための被処理液の導入口4が形成されている。言い換えると、カートリッジ容器10のうち、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21の上流側に対応する部分には、被処理液の導入口4が形成されている。また、カートリッジ容器10のうち、精密濾過膜3の下流側には、処理液12を液体精製カートリッジ容器1から排出するための処理液排出口5が形成されている。カートリッジ容器10内の処理材充填領域9は、上流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21及びモノリス状有機多孔質カチオン交換体22が充填される領域9aと、下流側の精密濾過膜3が充填される領域9bとに、端部封止部8により区画されている。モノリス状有機多孔質アニオン交換体21はモノリス状有機多孔質カチオン交換体22の上流に配置されることが好ましい。
モノリス状有機多孔質カチオン交換体22は、内側に円柱状のイオン交換処理液の排出空間6が形成されており、円筒状の形状を有する。また、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21は円筒状の形状を有する。モノリス状有機多孔質アニオン交換体21の上流側は、被処理水の導入口4が形成されているカートリッジ容器10の側面に囲まれ、また、モノリス状有機多孔質カチオン交換体22の下流側には、円筒状であり且つイオン交換処理液の通過口13が形成されている内側補強材7が挿入されており 、また、モノリス状有機多孔質イオン交換体(モノリス状有機多孔質アニオン交換体21及びモノリス状有機多孔質カチオン交換体22)の上端は、中空円盤状(ドーナツ状の板状 )の端部封止部8で封止されており、また、モノリス状有機多孔質イオン交換体(モノリス状有機多孔質アニオン交換体21及びモノリス状有機多孔質カチオン交換体22)の下端は、カートリッジ容器10の底部により封止されている。モノリス状有機多孔質アニオン交換体21及びのモノリス状有機多孔質カチオン交換体22のイオン交換容量は0.2〜5m当量/mL(湿潤状態)であることが好ましい。
精密濾過膜3は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体22の下流の処理材充填領域9に充填されている。
このようにして、処理材充填領域9の上流側にモノリス状有機多孔質アニオン交換体21及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体22が充填され、下流側に精密濾過膜3が充填されている。
そして、液体精製カートリッジ1を、ユースポイントの直前に付設されている液体精製カートリッジ設置用のハウジング内に設置する。使用時には、被処理液である超純水、水溶液、有機溶剤等、すなわち、被処理液11を、被処理液の導入口4から液体精製カートリッジ1内に供給して、先ず、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21内に透過させて、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21に接触させることにより、被処理液11中のアニオン形態をした金属等の不純物を除去し、次いで、モノリス状有機多孔質カチオン交換体22に接触させることにより、被処理液11中のカチオン形態をした金属等の不純物を除去し、イオン交換処理液の排出空間6に排出させる。また、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21より排出されるカチオン性不純物もモノリス状有機多孔質カチオン交換体22で除去することができる。次いで、イオン交換処理液を、下流の精密濾過膜3に透過させることにより、イオン交換処理液中の微粒子状金属等の不純物を除去し、処理液12を処理液排出口5より、液体精製カートリッジ1外に排出する。このとき、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体22からは、微量ではあるが微粒子不純物が発生するが、このモノリス状有機多孔質アニオン交換体21及びモノリス状有機多孔質アニオン交換体22由来の微粒子不純物も、精密濾過膜3で除去される。このようにして、ユースポイントで使用される超純水、水溶液又は有機溶媒を、ユースポイントに供給する前に、液体精製カートリッジ1で、超純水、水溶液又は有機溶媒中のイオン性金属等の不純物及び微粒子状金属等の不純物を除去して、超純水、水溶液又は有機溶媒の精製を行う。
本発明の液体精製カートリッジは、被処理液の導入口と処理液の排出口が形成され、処理材が充填されているカートリッジ容器と、該カートリッジ容器内の処理材充填領域の上流側に充填されているイオン交換体と、該カートリッジ容器内の処理材充填領域の下流側に充填されている精密濾過膜とを有し、該イオン交換体がモノリス状有機多孔質イオン交換体であること、を特徴とする液体精製カートリッジである。
本発明の液体精製カートリッジは、カートリッジ容器と、イオン交換体と、精密濾過膜と、を有する。カートリッジ容器には、被処理液を液体精製カートリッジ内に供給するための被処理液の導入口と、液体精製カートリッジ内で処理された処理液を液体精製カートリッジから排出するための処理液の排出口と、が形成されている。イオン交換体は、カートリッジ容器内の処理液充填領域の上流側に充填されている。また、精密濾過膜は、カートリッジ容器内の処理液充填領域の下流側に充填されている。つまり、本発明の液体精製カートリッジでは、被処理液が、被処理液の導入口→イオン交換体→精密濾過膜→処理液の排出口の順に通液されるように、イオン交換体及び精密濾過膜が配置され、且つ、被処理液の導入口及び処理液の排出口が形成されている。
本発明の液体精製カートリッジに係るイオン交換体の差圧係数は、好ましくは1〜500kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、特に好ましくは1〜20kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))である。本発明の液体精製カートリッジに係るイオン交換体のイオン交換容量は、好ましくは0.2〜5mg当量/mL(湿潤状態)、特に好ましくは1〜5mg当量/mL(湿潤状態)である。そして、イオン交換体の差圧係数及びイオン交換容量が上記範囲にあることが、液体精製カートリッジのイオン性金属等の不純物の除去性能に優れ、且つ、処理流量が多く、且つ、寿命が長くなる点で、好ましい。
なお、本発明において、差圧係数(kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s)))とは、イオン交換体または被処理液を通過させたときの圧力損失の指標であり、イオン交換体の流通方向の長さあたり(単位m)且つイオン交換体を透過させる被処理液の線速度あたり(単位m・h−1)且つ被処理液の粘度あたり(単位mPa・s)の圧力損失であり、イオン交換体の被処理液の供給側と処理液の排出側の差圧(kPa)を、「イオン交換体の流通方向の長さ(m)×イオン交換体を透過させる被処理液の線速度(m・h−1)×被処理液の粘度(mPa・s)」で除した値である。
本発明の液体精製カートリッジに係るイオン交換体は、モノリス状有機多孔質イオン交換体である。モノリス状有機多孔質イオン交換体は、モノリス状有機多孔質アニオン交換体単独、あるいは、モノリス状有機多孔質カチオン交換体単独、あるいは、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体の組み合わせのいずれであってもよい。また、モノリス状有機多孔質イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体の組み合わせ場合、上流側にモノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流側にモノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されることが、処理液中のカチオン性不純物の含有量が少なくなる点で、好ましい。上流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体から排出されるカチオン性不純物を、下流側のモノリス状有機多孔質カチオン交換体で捕捉するためと考えられる。また、使用するモノリス状有機多孔質イオン交換体として、差圧係数及びイオン交換容量が上記範囲にあるものを用いることがより好ましい。
本発明の液体精製カートリッジに係るモノリス状有機多孔質カチオン交換体は、モノリス状有機多孔質体にカチオン交換基が導入されている多孔質体である。また、本発明の液体精製カートリッジに係るモノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質体にアニオン交換基が導入されている多孔質体である。モノリス状有機多孔質イオン交換体に係るモノリス状有機多孔質体は、骨格が有機ポリマーにより形成されており、骨格間に反応液の流路となる連通孔を多数有する多孔質体である。そして、モノリス状有機多孔質イオン交換体は、このモノリス状有機多孔質体の骨格中にカチオン交換基またはアニオン交換基が均一に分布するように導入されている多孔質体である。なお、本明細書中、「モノリス状有機多孔質体」を単に「モノリス」と、「モノリス状有機多孔質カチオン交換体」を単に「モノリスカチオン交換体」とも言い、「モノリス状有機多孔質アニオン交換体」を単に「モノリスアニオン交換体」とも言い、また、第2のモノリスの製造における中間体(第2のモノリスの前駆体)である「モノリス状有機多孔質中間体(2)」を単に「モノリス中間体(2)」とも言う。また、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体とを総称して「モノリス状有機多孔質イオン交換体」とも言う。
本発明の液体精製カートリッジに係るモノリスイオン交換体は、モノリスにイオン交換基を導入することで得られるものであり、その構造は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体であって、連続骨格の厚みは1〜100μm、連続空孔の平均直径は1〜1000μm、全細孔容積は0.5〜50mL/gである。
モノリスイオン交換体の乾燥状態での連続骨格の厚みは1〜100μmである。モノリスイオン交換体の連続骨格の厚みが、1μm未満であると、体積当りのイオン交換容量が低下するといった欠点のほか、機械的強度が低下して、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、反応液とモノリスイオン交換体との接触効率が低下し、イオン交換速度が低下するため好ましくない。一方、モノリスイオン交換体の連続骨格の厚みが、100μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、基質の拡散に時間を要するようになってイオン交換速度が低下するため好ましくない。なお、連続骨格の厚みは、SEM観察により決定される。
モノリスイオン交換体の乾燥状態での連続空孔の平均直径は、1〜1000μmである。モノリスイオン交換体の連続空孔の平均直径が、1μm未満であると、差圧係数が高くなり好ましくない。一方、モノリスイオン交換体の連続空孔の平均直径が、1000μmを超えると、被処理液とモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、除去性能が低下するため好ましくない。なお、モノリスイオン交換体の乾燥状態での連続空孔の平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。
モノリスイオン交換体の乾燥状態での全細孔容積は0.5〜50mL/gである。モノリスイオン交換体の全細孔容積が、0.5mL/g未満であると、被処理液の接触効率が低くなるため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過液量が小さくなり、処理量が低下してしまうため好ましくない。一方、モノリスイオン交換体の全細孔容積が、50mL/gを超えると、体積当りのイオン交換容量が低下し、除去性能が低下するため好ましくない。また、機械的強度が低下して、特に高速で通液した際にモノリスイオン交換体が大きく変形し、通液時の圧力損失が急上昇してしまうため好ましくない。なお、全細孔容積は、水銀圧入法で測定される。
このようなモノリスイオン交換体の構造例としては、特開2002−306976号公報や特開2009−62512号公報に開示されている連続気泡構造や、特開2009−67982号公報に開示されている共連続構造や、特開2009−7550号公報に開示されている粒子凝集型構造や、特開2009−108294号公報に開示されている粒子複合型構造等が挙げられる。
モノリスイオン交換体の水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量は、0.2〜5mg当量/mL(水湿潤状態)、好ましくは0.5〜5mg当量/mL(水湿潤状態)である。モノリスイオン交換体の乾燥状態でのイオン交換容量が、上記範囲未満では、寿命が短くなるため好ましくなく、一方、上記範囲を超えると、構造が脆くなり微粒子の発生源となるため好ましくない。なお、イオン交換基が骨格表面のみに導入された多孔質体のイオン交換容量は、多孔質体やイオン交換基の種類により一概には決定できないものの、せいぜい500μg当量/gである。
モノリスイオン交換体において、導入されているイオン交換基は、モノリスの表面のみならず、モノリスの骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「イオン交換基が均一に分布している」とは、イオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。イオン交換基の分布状況は、EPMAを用いることで簡単に確認される。また、イオン交換基が、モノリスの表面のみならず、モノリスの骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
モノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、イミノ二酢酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。またモノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基としては、四級アンモニウム基、三級アミノ基、二級アミノ基、一級アミノ基、ポリエチレンイミン基、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
モノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
モノリスイオン交換体において、連続骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1〜30モル%、好適には0.1〜20モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.1モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、30モル%を越えると、イオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続構造形成の容易さ、カチオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
<モノリス状有機多孔質カチオン交換体の形態例>
モノリスカチオン交換体の形態例としては、以下に示す第1のモノリスカチオン交換体や第2のモノリスカチオン交換体が挙げられる。また、カチオン交換基が導入されるモノリスの形態例としては、以下に示す第1のモノリスや第2のモノリスが挙げられる。
<第1のモノリス及び第1のモノリスカチオン交換体の説明>
第1のモノリスカチオン交換体は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均直径が乾燥状態で1〜1000μmの共通の開口(メソポア)を有する連続気泡構造を有し、乾燥状態での全細孔容積が1〜50mL/gであり、カチオン交換基を有しており、カチオン交換基が均一に分布しており、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量は、0.2〜5mg当量/mL(水湿潤状態)、好ましくは0.5〜5mg当量/mL(水湿潤状態)であるモノリスカチオン交換体である。また、第1のモノリスは、カチオン交換基が導入される前のモノリスであり、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均直径が乾燥状態で1〜1000μmの共通の開口(メソポア)を有する連続気泡構造を有し、乾燥状態での全細孔容積が1〜50mL/gである有機多孔質体である。
第1のモノリスカチオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径1〜1000μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜100μmの共通の開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体であり、その大部分がオープンポア構造のものである。オープンポア構造は、液体を流せば該マクロポアと該メソポアで形成される気泡内が流路となる。マクロポアとマクロポアの重なりは、1個のマクロポアで1〜12個、多くのものは3〜10個である。図1には、第1のモノリスカチオン交換体の形態例の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示すが、図1に示す第1のモノリスカチオン交換体は、多数の気泡状のマクロポアを有しており、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が共通の開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体となっており、その大部分がオープンポア構造である。メソポアの乾燥状態での平均直径が1μm未満であると、モノリスカチオン交換体内部への被処理液の拡散性が低くなるため好ましくなく、メソポアの乾燥状態での平均直径が1000μmを越えると、被処理液とモノリスカチオン交換体との接触が不十分となり、除去性能が低下してしまうため好ましくない。第1のモノリスカチオン交換体の構造が上記のような連続気泡構造となることにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成できると共に、特開平8−252579号公報等に記載されるような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができる。
なお、本発明では、乾燥状態の第1のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第1のモノリスカチオン交換体の開口の平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られる細孔分布曲線の極大値を指す。
第1のモノリスカチオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、1〜50mL/g、好適には2〜30mL/gである。全細孔容積が1mL/g未満であると、被処理液の接触効率が低くなるため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が50mL/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通液した際にモノリスカチオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理液とモノリスカチオン交換体との接触効率が低下するため、除去性能も低下してしまうため好ましくない。全細孔容積は、従来の粒子状多孔質カチオン交換樹脂では、せいぜい0.1〜0.9ml/gであるから、それを越える従来には無い1〜50ml/gの高細孔容積、高比表面積のものが使用できる。
第1のモノリスカチオン交換体において、骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、カチオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。
第1のモノリスカチオン交換体の骨格を構成する有機ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記有機ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続マクロポア構造形成の容易さ、カチオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
第1のモノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。第1のモノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基は、第2のモノリスカチオンにおいても同様である。
第1のモノリスカチオン交換体において(第2のモノリスカチオン交換体においても同じ)、導入されているカチオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「カチオン交換基が均一に分布している」とは、カチオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。カチオン交換基の分布状況は、EPMAを用いることで確認される。また、カチオン交換基が、モノリスの表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
第1のモノリスカチオン交換体の水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量は、0.2〜5mg当量/mL(水湿潤状態)、好ましくは0.5〜5mg当量/mL(水湿潤状態)である。水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量が、上記範囲にあることにより、除去性能が高く且つ寿命が長くなる。なお、カチオン交換基が表面のみに導入された多孔質体のカチオン交換容量は、多孔質体やカチオン交換基の種類により一概には決定できないものの、せいぜい500μg当量/gである。
<第1のモノリス及び第1のモノリスカチオン交換体の製造方法>
第1のモノリスの製造方法としては、特に制限されないが、特開2002−306976号公報記載の方法に準じた、製造方法の一例を以下示す。すなわち、第1のモノリスは、カチオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを得、これを重合させてモノリスを形成することにより得られる。このような、第1のモノリスの製造方法は、モノリスの多孔構造の制御が容易である点で、好ましい。
第1のモノリスの製造で用いられるカチオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、カルボン酸基、スルホン酸基等のカチオン交換基及び四級アンモニウム基等のアニオン交換基のいずれも含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーを指すものである。これらモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、本発明においては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%とすることが、後の工程でカチオン交換基を定量的に導入し、かつ、実用的に十分な機械的強度を確保できる点で好ましい。
第1のモノリスの製造で用いられる界面活性剤は、カチオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非カチオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰カチオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽カチオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。また、必ずしも必須ではないが、モノリスの気泡形状やサイズを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン、トルエン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルを系内に共存させることもできる。
また、第1のモノリスの製造において、重合によりモノリスを形成する際、必要に応じて用いられる重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
第1のモノリスの製造において、カチオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーや、被処理物を混合容器に入れ、該混合容器を傾斜させた状態で公転軸の周りに公転させながら自転させることで、被処理物を攪拌混合する、所謂遊星式攪拌装置等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。これらの混合装置のうち、遊星式攪拌装置はW/Oエマルジョン中の水滴を均一に生成させることができ、その平均径を幅広い範囲で任意に設定できるため、好ましく用いられる。
第1のモノリスの製造において、このようにして得られた油中水滴型エマルジョンを重合させる重合条件は、モノマーの種類、開始剤系により様々な条件が選択できる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間、加熱重合させればよく、開始剤として過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、0〜30℃で1〜48時間重合させればよい。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出し、未反応モノマーと残留界面活性剤を除去して第1のモノリスを得る。
第1のモノリスカチオン交換体の製造方法としては、特に制限されず、上記第1のモノリスの製造方法において、カチオン交換基を含まないモノマーに代えて、カチオン交換基を含むモノマー、例えば、上記カチオン交換基を含まない油溶性モノマーに、カルボン酸基、スルホン酸基等のカチオン交換基が導入されているモノマーを用いて重合させ、一段階でモノリスカチオン交換体にする方法、カチオン交換基を含まないモノマーを用いて重合させ第1のモノリスを形成し、次いで、カチオン交換基を導入する方法などが挙げられる。これらの方法のうち、カチオン交換基を含まないモノマーを用いて重合させ第1のモノリスを形成し、次いで、カチオン交換基を導入する方法は、モノリスカチオン交換体の多孔構造の制御が容易であり、カチオン交換基の定量的導入も可能であるため好ましい。
第1のモノリスにカチオン交換基を導入する方法としては、特に制限はなく、高分子反応やグラフト重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロ硫酸や濃硫酸、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法;モノリスに均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部に導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムやアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換によりスルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、クロロ硫酸を用いてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸を導入する方法が、カチオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するカチオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基が挙げられる。
<第2のモノリス及び第2のモノリスカチオン交換体の説明>
第2のモノリスカチオン交換体は、全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが乾燥状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜10mL/gであり、カチオン交換基を有しており、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量が、0.2〜5mg当量/mL(水湿潤状態)、好ましくは0.2〜5mg当量/mL(水湿潤状態)であり、カチオン交換基が有機多孔質カチオン交換体中に均一に分布しているモノリスカチオン交換体である。また、第2のモノリスは、カチオン交換基が導入される前のモノリスであり、全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが乾燥状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜10mL/gである有機多孔質体である。
第2のモノリスカチオン交換体は、平均太さが乾燥状態で1〜60μm、好ましくは3〜58μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μm、好ましくは15〜180μm、特に好ましくは20〜150μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体である。図2には、第2のモノリスカチオン交換体の形態例のSEM写真を示し、図3には、第2のモノリスカチオン交換体の共連続構造の模式図を示す。共連続構造は図3の模式図に示すように、連続する骨格相1と連続する空孔相2とが絡み合ってそれぞれが共に3次元的に連続する構造10である。この連続した空孔2は、従来の連続気泡型モノリスや粒子凝集型モノリスに比べて空孔の連続性が高くてその大きさに偏りがない。また、骨格が太いため機械的強度が高い。
三次元的に連続した空孔の平均直径が乾燥状態で10μm未満であると、被処理液が拡散し難くなるため好ましくなく、200μmを超えると、被処理液とモノリスカチオン交換体との接触が不十分となり、その結果、除去性能が不十分となるため好ましくない。また、骨格の平均太さが乾燥状態で1μm未満であると、カチオン交換容量が低くなるため、また、機械的強度が低くなるため好ましくない。更に、反応液とモノリスカチオン交換体との接触効率が低下し、除去性能が低下するため好ましくない。一方、骨格の太さが60μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、被処理液の拡散が不均一になるため好ましくない。
乾燥状態の第2のモノリスの開口の平均直径、乾燥状態の第2のモノリスカチオン交換体の開口の平均直径及び以下に述べる第2のモノリスの製造のI工程で得られる、乾燥状態の第2のモノリス中間体(2)の開口の平均直径は、水銀圧入法により求められ、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。また、第2のモノリスカチオン交換体の骨格の乾燥状態での平均太さは、乾燥状態の第2のモノリスカチオン交換体のSEM観察により求められる。具体的には、乾燥状態の第2のモノリスカチオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、それらの平均値を平均太さとする。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
また、第2のモノリスカチオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、0.5〜10mL/gである。全細孔容積が0.5mL/g未満であると、基質や溶媒の接触効率が低くなるため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過量が小さくなり、処理量が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が10ml/gを超えると、被処理液とモノリスカチオン交換体との接触効率が低下するため、除去性能が低下してしまうため好ましくない。三次元的に連続した空孔の大きさ及び全細孔容積が上記範囲にあれば、被処理液との接触が極めて均一で接触面積も大きくなる。
第2のモノリスカチオン交換体において、骨格を構成する材料は、全構成単位中、0.1〜5モル%、好ましくは0.5〜3.0モル%の架橋構造単位を含んでいる芳香族ビニルポリマーであり疎水性である。架橋構造単位が0.1モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、5モル%を越えると、多孔質体の構造が共連続構造から逸脱しやすくなる。芳香族ビニルポリマーの種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、共連続構造形成の容易さ、カチオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
第2のモノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基は、第1のモノリスカチオン交換体に導入されているカチオン交換基と同様である。
第2のモノリスカチオン交換体において、導入されたカチオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。
第2のモノリスカチオン交換体は、水湿潤状態での体積当り、0.2〜5mg当量/mL(水湿潤状態)、好ましくは0.5〜5mg当量/mL(水湿潤状態)のカチオン交換容量を有する。第2のモノリスカチオン交換体は、三次元的に連続した空孔の連続性や均一性が高いため、基質や溶媒が均一に拡散する。そのため、反応の進行が速い。カチオン交換容量が上記範囲にあることにより、除去性能が高く且つ寿命が長くなる。
<第2のモノリス及び第2のモノリスカチオン交換体の製造方法>
第2のモノリスは、カチオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が16mL/gを超え、30mL/g以下の連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(2)とも記載する。)を得るI工程、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製するII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つI工程で得られたモノリス中間体(2)の存在下に重合を行い、共連続構造体である有機多孔質体である第2のモノリスを得るIII工程、を行うことにより得られる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(2)を得るI工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行えばよい。
すなわち、第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、カチオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、三級アミノ基、四級アンモニウム基等のカチオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーの中で、好適なものとしては、芳香族ビニルモノマーであり、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%とすることが、共連続構造の形成に有利となるため好ましい。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程で用いられる界面活性剤は、カチオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非カチオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰カチオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽カチオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
また、第2のモノリスの製造方法に係るI工程では、油中水滴型エマルジョン形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、カチオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(2)は、架橋構造を有する有機ポリマー材料、好適には芳香族ビニルポリマーである。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。一方、5モル%を超えると、モノリスの構造が共連続構造を逸脱し易くなるため好ましくない。特に、全細孔容積が16〜20ml/gの場合には、共連続構造を形成させるため、架橋構造単位は3モル%未満とすることが好ましい。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程において、モノリス中間体(2)のポリマー材料の種類は、第1のモノリスのポリマー材料と同じものが挙げられる。
第2のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(2)の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、16mL/gを超え、30mL/g以下、好適には16mL/gを超え、25mL/g以下である。すなわち、このモノリス中間体(2)は、基本的には連続マクロポア構造ではあるが、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)が格段に大きいため、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に限りなく近い構造を有している。図4には、モノリス中間体(2)の形態例のSEM写真を示すが、棒状に近い骨格を有している。これを重合系に共存させると、モノリス中間体(2)の構造を型として共連続構造の多孔質体が形成される。全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が共連続構造から連続マクロポア構造に変化してしまうため好ましくなく、一方、全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの機械的強度が低下したり、カチオン交換基を導入する場合は、体積当たりのカチオン交換容量が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(2)の全細孔容積を上記範囲とするには、モノマーと水の比を、概ね1:20〜1:40とすればよい。
また、第2のモノリスの製造方法に係るI工程で得られるモノリス中間体(2)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で5〜100μmである。開口の平均直径が乾燥状態で5μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、流体透過時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、100μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなりすぎ、被処理液とモノリスカチオン交換体との接触が不十分となり、その結果、除去性能が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体(2)は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程は、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性の芳香族ビニルモノマーであれば、特に制限はないが、上記重合系に共存させるモノリス中間体(2)と同種類もしくは類似のポリマー材料を生成するビニルモノマーを選定することが好ましい。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好適に用いられる芳香族ビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等である。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる芳香族ビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体(2)に対して、重量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍である。芳香族ビニルモノマー添加量がモノリス中間体(2)に対して5倍未満であると、棒状骨格を太くできず、また、カチオン交換基を導入する場合、カチオン交換基導入後の体積当りのカチオン交換容量が小さくなってしまうため好ましくない。一方、芳香族ビニルモノマー添加量が50倍を超えると、連続空孔の径が小さくなり、通液時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。架橋剤使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量(全油溶性モノマー)に対して0.3〜5モル%、特に0.3〜3モル%である。架橋剤使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、多過ぎると、カチオン交換基を導入する場合、カチオン交換基の定量的導入が困難になる場合があるため好ましくない。なお、上記架橋剤使用量は、ビニルモノマー/架橋剤重合時に共存させるモノリス中間体(2)の架橋密度とほぼ等しくなるように用いることが好ましい。両者の使用量があまりに大きくかけ離れると、生成したモノリス中で架橋密度分布の偏りが生じ、また、カチオン交換基を導入する場合、カチオン交換基導入反応時にクラックが生じやすくなる。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる有機溶媒は、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。有機溶媒は、芳香族ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、芳香族ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記芳香族ビニルモノマーの濃度が30〜80重量%となるように用いることが好ましい。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱して芳香族ビニルモノマー濃度が30重量%未満となると、重合速度が低下したり、重合後のモノリス構造が第2のモノリスの範囲から逸脱してしまうため好ましくない。一方、芳香族ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が暴走する恐れがあるため好ましくない。
第2のモノリスの製造方法に係るII工程で用いられる重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5%の範囲で使用することができる。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体(2)の存在下に重合を行い、該モノリス中間体(2)の連続マクロポア構造を共連続構造に変化させ、共連続構造モノリスである第2のモノリスを得る工程である。III工程で用いるモノリス中間体(2)は、本発明の構造を有するモノリスを創出する上で、極めて重要な役割を担っている。特表平7−501140号等に開示されているように、モノリス中間体(2)不存在下でビニルモノマーと架橋剤を特定の有機溶媒中で静置重合させると、粒子凝集型のモノリス状有機多孔質体が得られる。それに対して、第2のモノリスのように上記重合系に特定の連続マクロポア構造のモノリス中間体(2)を存在させると、重合後のモノリスの構造は劇的に変化し、粒子凝集構造は消失し、上述の共連続構造を持つ第2のモノリスが得られる。その理由は詳細には解明されていないが、モノリス中間体(2)が存在しない場合は、重合により生じた架橋重合体が粒子状に析出・沈殿することで粒子凝集構造が形成されるのに対し、重合系に全細孔容積が大きな多孔質体(中間体)が存在すると、ビニルモノマー及び架橋剤が液相から多孔質体の骨格部に吸着又は分配され、多孔質体中で重合が進行し、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に変化して共連続構造を有する第2のモノリスが形成されると考えられる。
第2のモノリスの製造方法において、反応容器の内容積は、モノリス中間体(2)を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体(2)を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体(2)が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後の骨太のモノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、モノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体(2)に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(2)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(2)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(2)に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、骨太の骨格を有する第2のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(2)の骨格内で重合が進行する。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程において、反応容器中、モノリス中間体(2)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(2)の配合比は、前述の如く、モノリス中間体(2)に対して、芳香族ビニルモノマーの添加量が重量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な大きさの空孔が三次元的に連続し、且つ骨太の骨格が3次元的に連続する共連続構造の第2のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中の芳香族ビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体(2)の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(2)の骨格内で重合が進行する。
第2のモノリスの製造方法に係るIII工程の重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択される。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体(2)の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が骨格内で重合し、骨格を太らせる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して第2のモノリスを得る。
第2のモノリスカチオン交換体は、III工程で得られた第2のモノリスにカチオン交換基を導入するIV工程を行うことにより得られる。
第2のモノリスにカチオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにカチオン交換基を導入する方法と同様である。
第2のモノリス及び第2のモノリスカチオン交換体は、3次元的に連続する空孔の大きさが格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。また、第2のモノリスカチオン交換体は、骨格が太いため、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量を大きくでき、更に、被処理液を低圧、大流量で長期間通液することが可能である。
<モノリス状有機多孔質アニオン交換体の形態例>
モノリスアニオン交換体の形態例としては、以下に示す第1のモノリスアニオン交換体や第2のモノリスアニオン交換体が挙げられる。
また、モノリスアニオン交換体は、モノリスカチオン交換体とは、モノリスに導入されているイオン交換基が、カチオン交換基ではなく、アニオン交換基である点が異なるものの、他は同様である。そのため、モノリスアニオン交換体は、上記モノリスカチオン交換体の説明において、カチオンをアニオンと読み替えればよい。以下では、モノリスカチオン交換体について、モノリスアニオン交換体とは異なる点を説明する。
モノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。第1のモノリスアニオン交換体に導入されているアニオン交換基は、第2のモノリスアニオンにおいても同様である。
また、モノリスに、アニオン交換基を導入する方法としては、例えば、高分子反応やグラフト重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、四級アンモニウム基を導入する方法としては、モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させる方法; モノリスをクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合により製造し、三級アミンと反応させる方法; モノリスに、均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部導入し、N , N , N − トリメチルアンモニウムエチルアクリレートやN , N , N− トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドをグラフト重合する方法; 同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換により四級アンモニウム基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、四級アンモニウム基を導入する方法としては、スチレン− ジビニルベンゼン共重合体にクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させる方法やクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合によりモノリスを製造し、三級アミンと反応させる方法が、イオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するイオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
本発明の液体精製カートリッジに係る精密濾過膜としては、多孔質中空糸、プリーツ膜等が挙げられる。精密濾過膜の孔径は、特に制限されないが、好ましくは5〜1000nm、特に好ましくは5〜100nmである。精密濾過膜としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製のEX270等が挙げられる。
本発明の液体精製カートリッジに係る精密濾過膜では、被処理液中の微粒子状の金属等の不純物と、イオン交換体から発生する微量の微粒子状の不純物が除去される。
本発明の液体精製カートリッジに係るカートリッジ容器の材質は、被処理液を汚染しないものであれば、特に制限されず、適宜選択され、例えば、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。カートリッジ容器の形状としては、特に制限されないが、通常、円筒形状が多く用いられている。
本発明の液体精製カートリッジでは、カートリッジ容器内の処理液充填領域の上流側にイオン交換体が充填されており、且つ、カートリッジ容器内の処理液充填領域の下流側に、精密濾過膜が充填されている。そして、本発明の液体精製カートリッジでは、被処理液が、被処理液の導入口→イオン交換体→精密濾過膜→処理液の排出口の順に通液されるのであれば、イオン交換体及び精密濾過膜の配置方法、並びに被処理液の導入口及び処理液の排出口が形成方法は、特に制限されない。
本発明の液体精製カートリッジとしては、図5に示す形態例のように、円筒状の容器であり、円筒状に充填されているイオン交換体の外側から被処理液を供給するために、イオン交換体の外側に対向する部分に被処理液の導入口が形成されており、且つ、精密濾過膜の下流に処理液の排出口が形成されているカートリッジ容器と、カートリッジ容器内の上流側に、内側に円柱状のイオン交換処理液の排出空間が形成されるように、円筒状に充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体と、モノリス状有機多孔質イオン交換体の内側に接して挿通されており、イオン交換処理液の排出口が形成されている円筒状の補強部材と、モノリス状有機多孔質イオン交換体の一端側を封止する中空円盤状(ドーナツ形の板状)の封止部と、カートリッジ容器内の下流側に充填されている精密濾過膜と、を有し、イオン交換体の一端側は、中空円盤状(ドーナツ形の板状)の封止部で封止され、イオン交換体の他端は、カートリッジ容器の壁面で封止されている液体精製カートリッジが挙げられる。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の側面から、カートリッジ内に供給され、先ず、円筒状のイオン交換体を外側から内側に向けて透過し、イオン交換体の内側の円柱状のイオン交換処理液の排出空間に排出され、イオン交換処理液の排出空間を出た後、次いで、精密濾過膜を透過し、カートリッジ外に排出される。
また、本発明の液体精製カートリッジとしては、図6に示す形態例のように、円筒状の容器であり、円筒状に充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体2の外側から被処理液11を供給するために、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の外側に対向する部分に被処理液の導入口4が形成されており、且つ、精密濾過膜3の下流に処理液の排出口5が形成されているカートリッジ容器10と、カートリッジ容器10内の上流側に、内側に円柱状のイオン交換処理液の排出空間6が形成されるように、円筒状に充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体2と、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の内側に接して挿通されており、イオン交換処理液の排出口13が形成されている円筒状の補強部材7と、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の一端側を封止する円盤状の封止部8と、円筒状の補強部材7の内側の、モノリス状有機多孔質イオン交換体2のイオン処理液の排出空間6内に充填されている精密濾過膜3と、を有し、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の一端側は、円盤状の封止部8で封止されている液体精製カートリッジ1bが挙げられる。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の側面から、カートリッジ内に供給され、先ず、円筒状のモノリス状有機多孔質イオン交換体を外側から内側に向けて透過し、モノリス状有機多孔質イオン交換体の内側の円柱状のイオン交換処理液の排出空間に排出され、続いて、イオン交換処理液の排出空間に充填されている精密濾過膜を透過し、カートリッジ外に排出される。
また、本発明の液体精製カートリッジとしては、図7に示す形態例のように、円筒状の容器であり、円筒の一端側に被処理水の導入口4が形成されており、且つ、円筒の他端側に処理水の排出口5が形成されているカートリッジ容器10と、カートリッジ容器10内の上流側に、所定の厚みで円柱状に充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体2と、カートリッジ容器10内の下流側に充填されている精密濾過膜3と、を有し、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の上流側に接して、被処理液の導入口14が形成されている円盤状の補強部材8aが付設され、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の下流側に接して、イオン交換処理液の排出口13が形成されている円盤状の補強部材8bが付設されている液体精製カートリッジ1cが挙げられる。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の円筒の一端側から、カートリッジ内に供給され、先ず、円柱状のイオン交換体を、上流側から下流側内側に向けて透過し、イオン交換体の下流側に排出され、続いて、カートリッジ容器の下流側に充填されている精密濾過膜を透過し、カートリッジ容器の円筒の他端側より、カートリッジ外に排出される。
また、本発明の液体精製カートリッジとしては、図8に示す形態例のように、円筒状の容器であり、円筒状に充填されているイオン交換体2の外側から被処理液11を供給するために、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の外側に対向する部分に被処理液の導入口4が形成されており、且つ、精密濾過膜3の下流に処理液の排出口5が形成されているカートリッジ容器10と、カートリッジ容器10内の上流側に、内側に円柱状の処理液の排出空間15が形成されるように、円筒状に充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体2と、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の内側に接して挿通されており、イオン交換処理液の排出口13が形成されている円筒状の補強部材7と、円筒状のプリーツ形状に成形され、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の処理液の排出空間15内且つ円筒状の補強部材7の内側に充填されている精密濾過膜3と、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の一端側及び精密濾過膜3の一端側を封止する中空円盤状(ドーナツ形の板状)の封止部8と、を有し、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の一端側及び精密濾過膜3の一端側は、中空円盤状(ドーナツ形の板状)の封止部8で封止され、イオン交換体2の他端側及び精密濾過膜3の他端側は、カートリッジ容器10の壁面で封止されている液体精製カートリッジ1dが挙げられる。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の側面から、カートリッジ内に供給され、先ず、円筒状のイオン交換体を外側から内側に向けて透過し、イオン交換体の内側より排出され、続いて、処理液の排出空間に充填されている精密濾過膜を透過し、処理液の排出空間に排出されて、カートリッジ外に排出される。
また、本発明の液体精製カートリッジとしては、図9に示す形態例のように、円筒状の容器であり、円筒状に充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体2の内側から被処理液を供給するために、円筒の一端側のモノリス状有機多孔質イオン交換体2の内側に供給する位置に被処理液の導入口4が形成されており、且つ、精密濾過膜3の下流に処理液の排出口5が形成されているカートリッジ容器10と、内側に円柱状の被処理液の導入空間16が形成されている円筒状の形状を有し、カートリッジ容器10内の上流側に、カートリッジ容器10の内側とは処理液の排出空間15を空けて充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体2と、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の一端側を封止する円盤状の封止部8と、円筒状のプリーツ形状に成形され、処理液の排出空間15内且つ円筒状のモノリス状有機多孔質イオン交換体2の外側に充填されている精密濾過膜3と、を有し、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の一端側及び精密濾過膜3の一端側は、円盤状の封止部8で封止され、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の他端側及び精密濾過膜3の他端側は、カートリッジ容器10の壁面で封止されている液体精製カートリッジ1eが挙げられる。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の円筒の一端側の中央部から、カートリッジ内に供給され、先ず、円筒状のカチオン交換樹脂を内側から外側に向けて透過し、イオン交換体の外側より排出され、続いて、処理液の排出空間に充填されている精密濾過膜を透過し、処理液の排出空間に排出されて、カートリッジ外に排出される。
図5〜図9に示す液体精製カートリッジに充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体は、モノリス状有機多孔質アニオン交換体、あるいは、モノリス状有機多孔質カチオン交換体、あるいは、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体の組み合わせのいずれであってもよい。
また、液体精製カートリッジとしては、図10〜図15に示す形態例のように、モノリス状有機多孔質イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体の組み合わせである形態例が挙げられる。なお、図10〜図15では、上流側にモノリス状有機多孔質アニオン交換体が充填され、下流側にモノリス状有機多孔質カチオン交換体が充填されている旨を示しているが、モノリス状有機多孔質イオン交換体は、上流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体と下流側のモノリス状有機多孔質カチオン交換体との組み合わせであってもよいし、上流側のモノリス状有機多孔質カチオン交換体と下流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体との組み合わせであってもよい。
図10に示す液体精製カートリッジ1fは、図5に示す液体精製カートリッジ1a中のイオン交換体2に代えて、上流側の円筒状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21と下流側の円筒状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体22との組み合わせとすること以外は、図5に示す液体精製カートリッジ1aと同様である。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の側面から、カートリッジ内に供給され、先ず、外側の円筒状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体を外側から内側に向けて透過し、更に、内側の円筒状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体を外側から内側に向けて透過し、モノリス状有機多孔質イオン交換体の内側の円柱状のイオン交換処理液の排出空間に排出され、イオン交換処理液の排出空間を出た後、次いで、精密濾過膜を透過し、カートリッジ外に排出される。なお、図10では、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されている旨を示したが、本発明はこれに限定されず、モノリス状有機多孔質イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体との組み合わせの場合、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されていてもよいし、あるいは、上流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置されていてもよい。
図11に示す液体精製カートリッジ1gは、図6に示す液体精製カートリッジ1b中のイオン交換体2に代えて、上流側の円筒状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21と下流側の円筒状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体22との組み合わせとすること以外は、図6に示す液体精製カートリッジ1bと同様である。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の側面から、カートリッジ内に供給され、先ず、外側の円筒状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体を外側から内側に向けて透過し、更に、内側の円筒状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体を外側から内側に向けて透過し、モノリス状有機多孔質イオン交換体の内側の円柱状のイオン交換処理液の排出空間に排出され、続いて、イオン交換処理液の排出空間に充填されている精密濾過膜を透過し、カートリッジ外に排出される。なお、図11では、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されている旨を示したが、本発明はこれに限定されず、モノリス状有機多孔質イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体との組み合わせの場合、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されていてもよいし、あるいは、上流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置されていてもよい。
図12に示す液体精製カートリッジ1hは、円筒状の容器であり、円筒の一端側に被処理水の導入口4が形成されており、且つ、円筒の他端側に処理水の排出口5が形成されているカートリッジ容器10と、カートリッジ容器10内の上流側に、所定の厚みで円柱状に充填されている上流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21と、所定の厚みで円柱状に充填されている下流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体22と、カートリッジ容器10内の下流側に充填されている精密濾過膜3と、を有し、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21の上流側に接して、被処理液の導入口142が形成されている円盤状の補強部材82aが付設され、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21の下流側に接して、イオン交換処理液の排出口132が形成されている円盤状の補強部材82bが付設され、モノリス状有機多孔質カチオン交換体22の上流側に接して、被処理液の導入口141が形成されている円盤状の補強部材81aが付設され、モノリス状有機多孔質アニオン交換体22の下流側に接して、イオン交換処理液の排出口131が形成されている円盤状の補強部材81bが付設されている。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の円筒の一端側から、カートリッジ内に供給され、先ず、円柱状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、上流側から下流側内側に向けて透過し、モノリス状有機多孔質アニオン交換体の下流側に排出され、続いて、円柱状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体を、上流側から下流側に向けて透過し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の下流側に排出され、続いて、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の下流側に充填されている精密濾過膜を透過し、カートリッジ容器の円筒の他端側より、カートリッジ外に排出される。なお、図12では、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されている旨を示したが、本発明はこれに限定されず、モノリス状有機多孔質イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体との組み合わせの場合、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されていてもよいし、あるいは、上流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置されていてもよい。
図13に示す液体精製カートリッジ1iは、図7に示す液体精製カートリッジ1c中のモノリス状有機多孔質イオン交換体2に代えて、上流側の円柱状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21と下流側の円柱状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体22との組み合わせとすること以外は、図7に示す液体精製カートリッジ1cと同様である。この形態例では、被処理水は、円筒状のカートリッジ容器の円筒の一端側から、カートリッジ内に供給され、先ず、円柱状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、上流側から下流側内側に向けて透過し、更に、円柱状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体を、上流側から下流側に向けて透過し、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の下流側に排出され、続いて、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の下流側に充填されている精密濾過膜を透過し、カートリッジ容器の円筒の他端側より、カートリッジ外に排出される。なお、図13では、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されている旨を示したが、本発明はこれに限定されず、モノリス状有機多孔質イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体との組み合わせの場合、上流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置されていてもよいし、あるいは、上流に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が配置され、下流に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が配置されていてもよい。
図14に示すイオン交換体充填カートリッジ1jは、図15に示す第一カートリッジ分割体101と第二カートリッジ分割体102とを連結させたものである。
第一カートリッジ分割体101は、円筒状の充填容器61と、充填容器61内に充填されている精密濾過膜3と、を有する。第一カートリッジ分割体101の下流側には、処理液12を液体精製カートリッジ1jから排出するための処理液排出口5が形成されている。また、第一カートリッジ分割体101の上流側には、第二カートリッジ分割体102の連結部281が挿入される挿入部271が設けられている。
第二カートリッジ分割体102は、円筒状の充填容器62と、充填容器62内に充填されている円柱状のモノリス状有機多孔質イオン交換体2と、を有する。第二カートリッジ分割体102のモノリス状有機多孔質イオン交換体2の上流側に接して、被処理液の導入口141が形成されている円盤状の補強部材81aが付設され、モノリス状有機多孔質イオン交換体2の下流側に接して、イオン交換処理液の排出口131が形成されている円盤状の補強部材81bが付設されている。第二カートリッジ分割体102の下流側には、処理水排出口51が形成され、処理水排出口51には、第一カートリッジ分割体101の挿入部271への連結部分となる連結部281が付設され、連結部281の外側には、シール部材291が取り付けられている。また、第二カートリッジ分割体102の充填容器62の上流側には、被処理液の導入口4が形成されている。
そして、第一カートリッジ分割体101の挿入部271に、第二カートリッジ分割体102の連結部281が挿入されて、第一カートリッジ分割体101と第二カートリッジ分割体102が連結されることにより、イオン交換体充填カートリッジ1jが組み立てられている。
すなわち、本発明の液体精製カートリッジの形態としては、本発明の液体精製カートリッジにおいて、カートリッジ容器が、第一分割体と、第一分割体に連結する第二分割体と、からなり、第一分割体には、精密濾過膜が充填されており、第二分割体には、モノリス状有機多孔質イオン交換体が充填されている形態(本発明の液体精製カートリッジのカートリッジ容器分割形態(1)とも記載する。)が挙げられる。
本発明の液体精製カートリッジのカートリッジ容器分割形態(1)では、第二分割体に充填されているモノリス状有機多孔質イオン交換体は、モノリス状有機多孔質アニオン交換体であってもよいし、あるいは、モノリス状有機多孔質カチオン交換体であってもよいし、あるいは、上流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体と下流側のモノリス状有機多孔質カチオン交換体との組み合わせであってもよいし、あるいは、上流側のモノリス状有機多孔質カチオン交換体と下流側のモノリス状有機多孔質アニオン交換体との組み合わせであってもよい。
図16に示すイオン交換体充填カートリッジ1kは、図17に示す第一カートリッジ分割体111と第二カートリッジ分割体112と第三カートリッジ分割体113とを連結させたものである。
第一カートリッジ分割体111は、円筒状の充填容器61と、充填容器61内に充填されている精密濾過膜3と、を有する。第一カートリッジ分割体111の下流側には、処理液12を液体精製カートリッジ1kから排出するための処理液排出口5が形成されている。また、第一カートリッジ分割体111の上流側には、第二カートリッジ分割体112の連結部281が挿入される挿入部271が設けられている。
第二カートリッジ分割体112は、円筒状の充填容器62と、充填容器62内に充填されている円柱状のモノリス状有機多孔質カチオン交換体22と、を有する。第二カートリッジ分割体112のモノリス状有機多孔質カチオン交換体22の上流側に接して、被処理液の導入口141が形成されている円盤状の補強部材81aが付設され、モノリス状有機多孔質カチオン交換体22の下流側に接して、イオン交換処理液の排出口131が形成されている円盤状の補強部材81bが付設されている。第二カートリッジ分割体112の下流側には、処理水排出口51が形成され、処理水排出口51には、第一カートリッジ分割体111の挿入部271への連結部分となる連結部281が付設され、連結部281の外側には、シール部材291が取り付けられている。また、第二カートリッジ分割体112の上流側には、第三カートリッジ分割体113の連結部282が挿入される挿入部272が設けられている。
第三カートリッジ分割体113は、円筒状の充填容器63と、充填容器63内に充填されている円柱状のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21と、を有する。第三カートリッジ分割体113のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21の上流側に接して、被処理液の導入口142が形成されている円盤状の補強部材82aが付設され、モノリス状有機多孔質アニオン交換体21の下流側に接して、イオン交換処理液の排出口132が形成されている円盤状の補強部材82bが付設されている。第三カートリッジ分割体113の下流側には、処理水排出口52が形成され、処理水排出口52には、第二カートリッジ分割体112の挿入部272への連結部分となる連結部282が付設され、連結部282の外側には、シール部材292が取り付けられている。また、第三カートリッジ分割体113の充填容器63上流側には、被処理液の導入口4が形成されている。
そして、第一カートリッジ分割体111の挿入部271に、第二カートリッジ分割体112の連結部281が挿入され、第二カートリッジ分割体112の挿入部272に、第三カートリッジ分割体113の連結部282が挿入されて、第一カートリッジ分割体111と第二カートリッジ分割体112と第三カートリッジ分割体113が連結されることにより、イオン交換体充填カートリッジ1kが組み立てられている。
すなわち、本発明の液体精製カートリッジの形態としては、本発明の液体精製カートリッジにおいて、カートリッジ容器が、第一分割体と、第一分割体に連結する第二分割体と、第二分割体に連結する第三分割体と、からなり、第一分割体には、精密濾過膜が充填されており、第二分割体には、モノリス状有機多孔質アニオン交換体及びモノリス状有機多孔質カチオン交換体のうちのいずれか一方が充填されており、第三分割体には、モノリス状有機多孔質アニオン交換体及びモノリス状有機多孔質カチオン交換体のうちの他方が充填されている形態(本発明の液体精製カートリッジのカートリッジ容器分割形態(2)とも記載する。)が挙げられる。本発明の液体精製カートリッジのカートリッジ容器分割形態(2)では、第二分割体にモノリス状有機多孔質カチオン交換体が充填され、且つ、第三分割体にモノリス状有機多孔質アニオン交換体が充填されているか、あるいは、第二分割体にモノリス状有機多孔質アニオン交換体が充填され、且つ、第三分割体にモノリス状有機多孔質カチオン交換体が充填されている。
1つの充填容器に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体の両方が充填されている場合、同一の方法でしか、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体を洗浄することができない。それに対し、本発明の液体精製カートリッジのうち、本発明の液体精製カートリッジのカートリッジ容器分割形態(2)では、洗浄の際には、モノリス状有機多孔質カチオン交換体が充填されている分割体と、モノリス状有機多孔質アニオン交換体が充填されている分割体を分割して、モノリス状有機多孔質カチオン交換体とモノリス状有機多孔質アニオン交換体を、それぞれ別々の洗浄方法で洗浄することができる。
また、1つの充填容器に、精密濾過膜と、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び/又はモノリス状有機多孔質アニオン交換体とが充填されている場合、同一の方法でしか、精密濾過膜と、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び/又はモノリス状有機多孔質アニオン交換体を洗浄することができない。それに対して、本発明の液体精製カートリッジのうち、本発明の液体精製カートリッジのカートリッジ容器分割形態(1)及び(2)では、精密濾過膜を、モノリス状有機多孔質カチオン交換体及び/又はモノリス状有機多孔質アニオン交換体とは別に洗浄することができる。
本発明の液体精製カートリッジにより処理される被処理液は、半導体製造プロセス、液晶パネル製造プロセス、医療溶液製造プロセス、精密洗浄用溶液製造プロセスなどで用いられる純水、超純水等の水、フッ酸、硫酸、炭酸、アンモニア等の水溶液、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、グリコールエーテル等の有機溶媒である。
本発明の液体の精製方法は、本発明の液体精製カートリッジを用いて被処理液を精製することを特徴とする液体の精製方法である。
本発明の液体の精製方法に係る被処理液としては、半導体製造プロセス、液晶パネル製造プロセス、医療溶液製造プロセス、精密洗浄用溶液製造プロセスなどで用いられる純水、超純水等の水、フッ酸、硫酸、炭酸、アンモニア等の水溶液、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、グリコールエーテル等の有機溶媒が挙げられる。
本発明の液体の精製方法において、被処理液が、ヒ素又はホウ素を含有する被処理液である場合、液体精製カートリッジとして、モノリス状有機多孔質イオン交換体が、モノリス状有機多孔質アニオン交換体とモノリス状有機多孔質カチオン交換体との組み合わせが充填されている形態の本発明の液体精製カートリッジを用いることが、ヒ素又はホウ素の除去効果が高くなる点で、好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
特開平2010−234357号公報に係る明細書の実施例の参考例17と同様の方法で、第2のモノリスカチオン交換体を製造した。
(参考例1)
<第2のモノリスカチオン交換体の製造>
(I工程;モノリス中間体の製造)
スチレン5.4g、ジビニルベンゼン0.17g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.4gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリス中間体を製造した。このようにして得られたモノリス中間体(乾燥体)の内部構造をSEM画像により観察したところ、隣接する2つのマクロポアを区画する壁部は極めて細く棒状であるものの、連続気泡構造を有しており、水銀圧入法により測定したマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は70μm、全細孔容積は21.0ml/gであった。
(共連続構造モノリスの製造)
次いで、スチレン76.0g、ジビニルベンゼン4.0g、1-デカノール120g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.8gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。次に上記モノリス中間体を直径70mm、厚さ約40mmの円盤状に切断して4.1gを分取した。分取したモノリス中間体を内径110mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約60mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥した(III工程)。
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を3.2モル%含有したモノリスA(乾燥体)の内部構造をSEMにより観察したところ、当該モノリスは骨格及び空孔はそれぞれ3次元的に連続し、両相が絡み合った共連続構造であった。また、SEM画像から測定した骨格の太さは17μmであった。また、水銀圧入法により測定した当該モノリスの三次元的に連続した空孔の大きさは41μm、全細孔容積は2.9ml/gであった。
(共連続構造モノリス状カチオン交換体の製造)
上記の方法で製造したモノリスAを、直径75mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。モノリスの重量は18gであった。これにジクロロメタン1500mlを加え、35℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、クロロ硫酸99gを徐々に加え、昇温して35℃で24時間反応させた。その後、メタノールを加え、残存するクロロ硫酸をクエンチした後、メタノールで洗浄してジクロロメタンを除き、更に純水で洗浄して共連続構造を有するモノリスカチオン交換体Aを得た。
得られたモノリスカチオン交換体Aを一部切り出し、乾燥させた後、その内部構造をSEMにより観察したところ、当該モノリスカチオン体は共連続構造を維持していることを確認した。また、該モノリスカチオン交換体Aの反応前後の膨潤率は1.4倍であり、体積当りのカチオン交換容量は水湿潤状態で0.72mg当量/mlであった。水湿潤状態でのモノリスの連続空孔の大きさを、モノリスの値と水湿潤状態のカチオン交換体の膨潤率から見積もったところ70μmであり、骨格の直径は23μm、全細孔容積は2.9ml/gであった。
また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.005MPa/m・LVであった。更に、該モノリスカチオン交換体Aのナトリウムイオンに関するイオン交換帯長さを測定したところ、LV=20m/hにおけるイオン交換帯長さは16mmであり、市販の強酸性カチオン交換樹脂であるアンバーライトIR120B(ロームアンドハース社製)の値(320mm)に比べて圧倒的に短いばかりでなく、従来の連続気泡構造を有するモノリス状多孔質カチオン交換体の値に比べても短かった。
次に、モノリスカチオン交換体A中のスルホン酸基の分布状態を確認するため、EPMAにより硫黄原子の分布状態を観察した。その結果、スルホン酸基はカチオン交換体の骨格表面及び骨格内部(断面方向)にそれぞれ均一に導入されていることが観察された。
(参考例2)
<第2のモノリスアニオン交換体の製造>
(共連続構造モノリス状アニオン交換体の製造)
上記の方法で製造したモノリスAを、直径70mm、厚み約50mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン4700ml、四塩化スズ67mlを加え、氷冷下クロロ硫酸1870mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリス状有機多孔質体にTHF3400mlとトリメチルアミン30%水溶液2000mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して単離し、共連続構造を有するモノリスアニオン交換体Bを得た。
(モノリスアニオン交換体Bの分析)
得られたモノリスアニオン交換体Bを一部切り出し、乾燥させた後、その内部構造をSEMにより観察したところ、当該モノリスアニオン交換体は共連続構造を維持していることを確認した。また、該モノリスアニオン交換体Bの反応前後の膨潤率は1.4倍であり、体積当りのアニオン交換容量は水湿潤状態で0.72mg当量/mlであった。水湿潤状態でのモノリスの連続空孔の大きさを、モノリスの値と水湿潤状態のカチオン交換体の膨潤率から見積もったところ70μmであり、骨格の直径は23μm、全細孔容積は2.9ml/gであった。
また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.005MPa/m・LVであった。更に、該モノリスアニオン交換体Bの塩化物イオンに関するイオン交換帯長さを測定したところ、LV=20m/hにおけるイオン交換帯長さは16mmであった。
次に、モノリスアニオン交換体B中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、モノリスアニオン交換体Bを塩酸水溶液で処理して塩化物型とした後、EPMAにより塩素原子の分布状態を観察した。その結果、四級アンモニウム基はアニオン交換体の骨格表面及び骨格内部(断面方向)にそれぞれ均一に導入されていることが観察された。
(実施例1)
<液体精製カートリッジの作製>
参考例1と同様の方法で製造した第2のモノリスカチオン交換体Aの一部を、湿潤状態で切削して、直径5cm、高さ5cmの円柱状に成形し、次いで、1mol/L硝酸で再生後、超純水で洗浄して、再生形のモノリスカチオン交換体Aを得た。
次いで、図7中のカートリッジ容器として、内径が5cmのフッ素樹脂製のカートリッジ容器を用い、図7中のモノリス状有機多孔質イオン交換体として、上記で得られた再生型のモノリスカチオン交換体Aをカートリッジ容器の上流側に、精密濾過膜として、オルガノ社製商品名HEフィルタをカートリッジ容器の下流側に、それぞれ充填して、図7に示す液体精製カートリッジAを作製した。再生型のモノリスカチオン交換体Aの差圧係数は5kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、カチオン交換容量は0.8mg当量/mL水湿潤状態であった。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジAに、ナトリウム濃度1.0μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。
次いで、得られた処理水のナトリウム濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のナトリウム濃度は、0.01μg/L以下であった。
(比較例1)
<液体精製カートリッジの作製>
図7中のモノリス状有機多孔質イオン交換体に代えて、粒状の強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製・平均径0.6〜0.8mm)を充填したこと以外は、実施例1と同じ要領で液体精製カートリッジaを作成した。当該強酸性陽イオン交換樹脂の差圧係数は0.5kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、カチオン交換容量は2.0mg当量/mL水湿潤状態であった。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジaに、ナトリウム濃度1.0μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。
次いで、得られた処理水のナトリウム濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のナトリウム濃度は、0.5μg/Lであった。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジaに、ナトリウム濃度1.0μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度0.2L/分で通水させ、処理水を得た。
次いで、得られた処理水のナトリウム濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のナトリウム濃度は、0.2μg/Lであった。
(実施例2)
<液体精製カートリッジの作製>
参考例2と同様の方法で製造したモノリスアニオン交換体Bの一部を、湿潤状態で切削して、直径5cm、高さ5cmの円柱状に成形し、次いで、1mol/L硝酸で再生後、超純水で洗浄して、再生形のモノリスアニオン交換体Bを得た。
次いで、図7中のカートリッジ容器として、内径が5cmのフッ素樹脂製のカートリッジ容器を用い、図7中のモノリス状有機多孔質イオン交換体として、上記で得られた再生型のモノリスアニオン交換体Bをカートリッジ容器の上流側に、精密濾過膜として、オルガノ社製商品名HEフィルタをカートリッジ容器の下流側に、それぞれ充填して、図7に示す液体精製カートリッジBを作製した。再生型のモノリスアニオン交換体Bの差圧係数は4kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、カチオン交換容量は0.7mg当量/mL水湿潤状態であった。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジBに、ヒ素濃度1μg/L、ホウ素濃度1μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。次いで、得られた処理水のヒ素及びホウ素濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のヒ素及びホウ素濃度はいずれも0.01μg/L以下であった。
(実施例3)
<液体精製カートリッジの作製>
参考例1と同様の方法で製造した第2のモノリスカチオン交換体Aの一部を、湿潤状態で切削して、直径5cm、高さ2.5cmの円柱状に成形し、次いで、1mol/L硝酸で再生後、超純水で洗浄して、再生形のモノリスカチオン交換体Aを得た。また、参考例2と同様の方法で製造したモノリスアニオン交換体Bの一部を、湿潤状態で切削して、直径5cm、高さ2.5cmの円柱状に成形し、次いで、1mol/L硝酸で再生後、超純水で洗浄して、再生形のモノリスアニオン交換体Bを得た。
次いで、図13中のカートリッジ容器として、内径が5cmのフッ素樹脂製のカートリッジ容器を用い、図13中のモノリス状有機多孔質アニオン交換体21として、上記で得られた再生型のモノリスアニオン交換体Bを、図13中のモノリス状有機多孔質カチオン交換体22として、上記で得られた再生型のモノリスカチオン交換体Aを、精密濾過膜として、オルガノ社製商品名HEフィルタを、それぞれ充填して、図13に示す液体精製カートリッジCを作製した。再生型のモノリスカチオン交換体Aの差圧係数は5kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、カチオン交換容量は0.8mg当量/mL水湿潤状態、モノリスアニオン交換体Bの差圧係数は4kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、アニオン交換容量は0.7mg当量/mL水湿潤状態、であった。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジCに、ナトリウム濃度1μg/L、ヒ素濃度1μg/L、ホウ素濃度1μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。次いで、得られた処理水のナトリウム、ヒ素、及びホウ素濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のナトリウム、ヒ素及びホウ素濃度はいずれも0.01μg/L以下であった。
(実施例4)
実施例1で用いた液体精製カートリッジAに、ナトリウム濃度1μg/L、ヒ素濃度1μg/L、ホウ素濃度1μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。次いで、得られた処理水のナトリウム、ヒ素及びホウ素濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のナトリウム濃度は0.01μg/L以下、ヒ素濃度は0.9μg/L、ホウ素濃度は0.6μg/Lであった。
(実施例5)
再生型のモノリスアニオン交換体Bをカートリッジ容器の下流側に、再生型のモノリスカチオン交換体Aを上流側に配置したこと以外は、実施例3と同様にして、液体精製カートリッジDを製作した。この液体精製カートリッジDに、ナトリウム濃度1μg/L、ヒ素濃度1μg/L、ホウ素濃度1μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。次いで、得られた処理水のナトリウムおよびヒ素濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のヒ素及びホウ素濃度は共に0.01μg/L以下、ナトリウム濃度は0.02μg/Lであった。
(実施例6)
実施例1と同様にして、液体精製カートリッジAを作製した。
次いで、作製した液体精製カートリッジAに、ナトリウム濃度1.0μg/Lの模擬汚染イソプロピルアルコールを、通液速度1L/分で通液させ、処理液を得た。
次いで、得られた処理液のナトリウム濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理液中のナトリウム濃度は、0.01μg/L以下であった。
(実施例7)
<液体精製カートリッジの作製>
参考例1と同様の方法で製造した第2のモノリスカチオン交換体Aの一部を、湿潤状態で切削して、外径8cm、内径2cm、高さ15cmの円筒状に成形し、次いで、1mol/L硝酸で再生後、超純水で洗浄して、再生形のモノリスカチオン交換体Aを得た。
次いで、図5中のカートリッジ容器として、内径が8cmのフッ素樹脂製のカートリッジ容器を用い、図5中のカチオン交換体として、得られた再生型のカチオン交換体Aをカートリッジ容器の上流側に、精密濾過膜として、オルガノ社製HEフィルタをカートリッジ容器の下流側に、それぞれ充填して、図5に示す液体精製カートリッジEを作製した。再生型のカチオン交換体Aの差圧係数は5kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、カチオン交換容量は0.7mg当量/mL水湿潤状態であった。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジEに、ナトリウム濃度1.0μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度30L/分で通水させ、処理水を得た。
次いで、得られた処理水のナトリウム濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のナトリウム濃度は、0.01μg/L以下であった。
(実施例8)
実施例1と同様にして、液体精製カートリッジAを作製した。
次いで、作製した液体精製カートリッジAに、鉄濃度1μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。
次いで、得られた処理水の鉄濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中の鉄濃度は、0.01μg/L以下であった。また通水後の精密濾過膜を観察したところ、鉄を主成分とする微粒子が捕捉されているのが確認された。模擬汚染純水中に溶存していた鉄が、酸化等により凝集し微粒子を形成していたものと推察される。
(比較例2)
<液体精製カートリッジの作製>
精密濾過膜をカートリッジ容器に充填しないこと以外は、実施例1と同様にして、液体精製カートリッジbを作製した。つまり、液体精製カートリッジbには、カートリッジ容器内に、再生型のモノリスカチオン交換体Aのみが充填されている。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジbに、鉄濃度1μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。
次いで、得られた処理水の鉄濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中の鉄濃度は、0.05μg/Lであった。微粒子状となった鉄がモノリスカチオン交換体Aのみでは捕捉されなかったと推察される。
(参考例3)
<第1のモノリスカチオン交換体の製造>
(第1のモノリスの製造)
スチレン19.24g、ジビニルベンゼン1.01g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)2.25g及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.05gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリスBを製造した。このようにして得られた第1のモノリスBの内部構造をSEMにより観察した。その結果、連続気泡構造を有しており、水銀圧入法により測定したマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は13.2μm、全細孔容積は8.4mL/gであった。
(第1のモノリスカチオン交換体の製造)
上記の方法で製造した第1のモノリスBをカラム状反応器に入れ、クロロスルホン酸500gとジクロロメタン4Lからなる溶液を通液して、20℃、3時間反応させた。反応終了後、系内にメタノールを添加し、未反応のクロロスルホン酸を失活させ、更にメタノールで洗浄して生成物を取り出した。最後に純水で洗浄して、第1のモノリスカチオン交換体Cを得た。
得られた第1のモノリスカチオン交換体Cのカチオン交換容量は、水湿潤状態で4mg当量/mLであり、スルホン酸基が定量的に導入されていることを確認した。また、水銀圧入法による測定から求めた、当該モノリスカチオン交換体Cの三次元的に連続した空孔の乾燥状態での平均直径は13.4μm、乾燥状態での全細孔容積は8.5mL/gであった。
次いで、第1のモノリスカチオン交換体C中のスルホン酸基の分布状態を確認するため、EPMAにより硫黄の分布状態を観察した。骨格断面における硫黄の分布状態は、硫黄はモノリスカチオン交換体の骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、スルホン酸基がモノリスカチオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
(実施例9)
<液体精製カートリッジの作製>
上記で製造した第1のモノリスカチオン交換体Cの一部を、湿潤状態で切削して、直径5cm、高さ5cmの円柱状に成形し、次いで、1mol/L硝酸で再生後、超純水で洗浄して、再生形のモノリスカチオン交換体Cを得た。
次いで、図7中のカートリッジ容器として、内径が5cmのフッ素樹脂製のカートリッジ容器を用い、図7中のモノリスイオン交換体として、上記で得られた再生型のモノリスカチオン交換体Cをカートリッジ容器の上流側に、精密濾過膜として、オルガノ社製商品名HEフィルタをカートリッジ容器の下流側に、それぞれ充填して、図7に示す液体精製カートリッジFを作製した。再生型のモノリスカチオン交換体Cの差圧係数は2kPa/(m・(m・h−1)・(mPa・s))、カチオン交換容量は4mg当量/mL水湿潤状態であった。
<精製試験>
上記で作製した液体精製カートリッジFに、ナトリウム濃度1.0μg/Lの模擬汚染純水を、通水速度1L/分で通水させ、処理水を得た。
次いで、得られた処理水のナトリウム濃度を、誘導結合プラズマー質量分析法(ICP−MS)により測定したところ、処理水中のナトリウム濃度は、0.01μg/L以下であった。