JP2019193417A - 領域抽出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
太陽電池モジュールの故障を検出する技術に関して、太陽光パネルが備えるバイパス回路の故障を検出する手間を低減する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、ダイオードと、1つ以上のセルとが並列に接続されたクラスタが直列に複数接続された太陽電池パネルを撮像して、太陽電池パネルの表面の温度分布情報を示す温度画像を生成する撮像部と、太陽電池パネルの特定の箇所である検査対象領域の、太陽電池パネルの電力出力端に電源電圧が印加されることに伴う温度変化を示す複数の画像であって、互いに異なる時刻において撮像部が撮像した第1温度画像と、第2温度画像とを取得する取得部と、取得部が取得した第1温度画像と、第2温度画像とに示される温度分布情報の差に基づいて、太陽電池パネルの検査対象領域のうち、高温領域を抽出する高温領域抽出部とを備える。
本発明は、太陽電池モジュールが備えるバイパス回路の故障を検出できる領域抽出装置を提供することを目的とする。
また、本発明の一態様の領域抽出装置において、前記撮像部は、前記太陽電池モジュールのうち、少なくとも2つのクラスタを撮像し、前記温度画像を生成する。
以下、図を参照して本実施形態の領域抽出装置1の構成について説明する。
本実施形態の領域抽出装置1は、撮像部110を備える。撮像部110は、アレイARの表面の温度分布を撮像し、画像を生成する。アレイARとは、複数のストリングSTを接続した構成の名称である。ストリングSTとは、複数の太陽電池モジュールを接続した構成の名称である。太陽電池モジュールは、日射光等の光の照射に伴い、発電する装置である。領域抽出装置1は、撮像部110が生成した画像に基づいて、アレイARの故障を検出する。
まず、領域抽出装置1の観測対象であるアレイARについて図を参照して説明する。
まず、図を参照して太陽光発電システムSPSの構成について説明する。図1は、本実施形態の領域抽出装置1の観測対象である太陽光発電システムSPSの一例を示す模式図である。
図1に示す通り、太陽光発電システムSPSは、アレイARと、接続箱JBと、パワーコンディショナPCとを備える。アレイARには、複数のストリングSTが含まれる。この一例では、3つのストリングSTが架台Mに設置される場合について説明する。具体的には、ストリングST1、ストリングST2およびストリングST3が架台Mに設置される場合について説明する。
パワーコンディショナPCとは、アレイARが発電した直流電力を交流電力に変換する装置である。例えば、パワーコンディショナPCは、アレイARが発電した電力を家庭等で使用される商用100Vに変換する。つまり、アレイARが発電した電力は、パワーコンディショナPCを介して調整され、家庭等で使用される電力に変換される。
図2に示す通り、パワーコンディショナPCと、接続箱JBと、アレイARとは、配線WRを介して接続される。具体的には、パワーコンディショナPCの正極の端子である端子TPCPと、接続箱JBの正極の端子である端子TJBPとが配線WRPを介して接続される。また、パワーコンディショナPCの負極の端子である端子TPCNと、接続箱JBの負極の端子である端子TJBNとが配線WRNを介して接続される。これにより、接続箱JBにおいて集約された電力は、パワーコンディショナPCへ供給される。
以降の説明において、配線WRPと、配線WRNとを特に区別しない場合には、配線WR2と記載する。また、以降の説明において、接続箱JBの正極の端子である端子TJBPと、負極の端子である端子TJBNとを総称して電力出力端TSPと記載する。
以下、図2、図3、および図4を参照してアレイARの構成について説明する。
図2に示す通り、この一例では、アレイARが、複数のストリングSTを備える。具体的には、アレイARは、ストリングST1と、ストリングST2と、ストリングST3とを備える。以降の説明において、ストリングST1、ストリングST2、およびストリングST3を特に区別しない場合には、総称してストリングSTと記載する。
図2に示す通り、ストリングSTが発電した電力は、接続箱JBを介してパワーコンディショナPCへ供給される。
まず、図3を参照してストリングSTについて説明し、接続箱JBについては後述する。
また、この一例では、図2に示すストリングST1、ストリングST2、およびストリングST3が図3に示すストリングSTと同一の構成を有する。
以下、図4を参照してストリングSTの詳細について説明する。
つまり、クラスタCSとは、複数のセルCLとバイパスダイオードDpとを含む構成の名称である。
また、クラスタCS3は、バイパスダイオードDp3と、複数のセルCLが直列で接続された集合セルCLS3とが並列に接続される。より具体的には、バイパスダイオードDp3のカソード側の端子TD3kと、集合セルCLS3の端子TCLS3Pとが接続される。また、バイパスダイオードDp3のアノード側の端子TD3aと、集合セルCLS3の端子TCLS3Nとが接続される。
すなわち、ストリングSTには、バイパスダイオードDpと、1つ以上のセルCLとが並列に接続されたクラスタCSが直列に複数接続される。
図2に戻り、ストリングST1の端子TST1Pと、接続箱JBの端子TJB1とは、配線WR11を介して接続される。また、ストリングST2の端子TST2Pと、接続箱JBの端子TJB2とは、配線WR12を介して接続される。また、ストリングST3の端子TST3Pと、接続箱JBの端子TJB3とは、配線WR13とを介して接続される。また、ストリングST1の端子TST1Nと、ストリングST2の端子TST2Nと、ストリングST3の端子TST3Nと、接続箱JBの端子TJBCNとは、配線WR14を介して接続される。以降の説明において、配線WR11と、配線WR12と、配線WR13と、配線WR14とを特に区別しない場合には、配線WR2と記載する。
図5は、太陽光発電システムSPSの接続箱JBの一例を示す模式図である。図5に示す通り、この一例では、接続箱JBは、出力開閉器OSWと、逆流防止用ダイオードDbfと、アレイARが備えるストリングSTの数に応じたストリング開閉器SSWとを備える。
出力開閉器OSWとは、ストリングSTが発電した電力をパワーコンディショナPCへ接続するスイッチである。出力開閉器OSWが開閉されることにより、ストリングSTが発電した電力のパワーコンディショナPCへの供給が制御される。例えば、出力開閉器OSWとは、落雷やアレイARの破損に伴い、パワーコンディショナPCが破損することを防ぐブレーカーである。
また、ストリング開閉器SSW1の端子TSSW12と、ストリングST1とは、逆流防止用ダイオードDbf1を介して接続される。具体的には、ストリング開閉器SSW1の端子TSSW12と、逆流防止用ダイオードDbf1のカソード端子である端子TDbf1kとが接続される。また、逆流防止用ダイオードDbf1のアノード端子である端子TDbf1aと、接続箱JBの端子TJB1とが接続される。
以下、図6、および図7を参照してアレイARの具体的な動作について説明する。図6は、太陽光発電システムSPSの晴天時のクラスタCSの動作の一例を示す構成図である。図6に示す通り、この一例では、ストリングSTが正常に動作しており、かつストリングSTが備える各セルCLが日射光等の光の照射に伴い、電力を発電している場合の動作の一例を示す模式図である。
クラスタCSが備える集合セルCLSが発電する発電量は、日射強度により大きく左右される。この一例では、集合セルCLSには、集合セルCLSが発電するために十分な日射光が照射されている。
すなわち、電圧V1は、V1=V11+V12+V13によって示される。ここで、この一例では、クラスタCS1と、クラスタCS2と、クラスタCS3とは、同一の構成を有しており、電圧V11と、電圧V12と、電圧V13とは同じ電圧である。これにより、電圧V1は、V1=V11×3によって示される。
以下、図8、および図9を参照してアレイARの具体的な動作について説明する。図8は、太陽光発電システムSPSの影が生じている時のクラスタCSの動作の一例を示す構成図である。図8に示す通り、この一例では、クラスタCS1、クラスタCS2、およびクラスタCS3が正常に動作している。また、この一例では、クラスタCS2が備える各セルCLのうち、一部が日射光等の光の照射に伴い発電しており、一部が曇天、または遮蔽物等によって影が生じることにより、発電していない場合の動作の一例を示す模式図である。
また、バイパスダイオードDp2がON状態となることにより、クラスタCS2が生成する電圧V12は、バイパスダイオードDpのON電圧とほぼ同じ大きさの電圧である。
つまり、電圧V12は、V12≒1Vである。
上述したように、影が生じている場合、ストリングSTが生成する電圧V1は、V1=V11+V13−V12によって示される。ここで、この一例では、クラスタCS1と、クラスタCS2と、クラスタCS3とは、同一の構成を有しており、電圧V11と、電圧V13とは同じ電圧値である。ここで、電圧V1の大きさをV1とし、電圧V11の大きさをV11とし、電圧V12の大きさをV12とした場合、V1と、V11と、V12との関係は式(1)によって示される。
以下、図10を参照してアレイARの具体的な動作について説明する。図10は、太陽光発電システムSPSのバイパスダイオードDpが開放故障しており、かつクラスタCSの影が生じている時の動作の一例を示す構成図である。
図10に示す通り、この一例では、クラスタCS2が備える各セルのうち、一部が日射光等の光の照射に伴い電力を発電しており、一部が影の影響により電力を発電していない場合の動作の一例を示す模式図である。また、この一例では、クラスタCS2が備えるバイパスダイオードDp2が開放故障している。つまり、バイパスダイオードDp2の端子TD2kと、端子TD2aとが接続されておらず、開放状態である。
この一例の場合、上述したように、端子TD2kと、端子TD2aとが接続されておらず、開放状態であるため、クラスタCS3からクラスタCS2へ流入する電流I33は、集合セルCLS2へ流れる。すなわち、電流I33が抵抗である集合セルCLS2に流れることで、集合セルCLS2に含まれる各セルCLが高温になる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、アレイARが備えるストリングSTのうち、バイパスダイオードDpが開放故障しているクラスタCSを検出する。
以下、図11から図22までを参照して領域抽出装置1の構成について説明する。
図11は、本実施形態における領域抽出装置1の一例を示す模式図である。
図11に示す通り、図1と比較して、アレイARと各接続箱JBとの接続が解除されている。ファンクションジェネレータ250と、電源装置200とが、配線WR3によって接続される。また、電源装置200と、アレイARに含まれるストリングST1の端子TST1PとストリングST2の端子TST2PとストリングST3の端子TST3Pとの各々と、WR4によって接続される。また、電源装置200と、アレイARに含まれるストリングST1の端子TST1NとストリングST2の端子TST2NとストリングST3の端子TST3Nとの各々とが、WR5によって接続される。また、図11に示す通り、領域抽出装置1は、撮像部110を備える。撮像部110は、アレイARを撮像し、複数の温度画像を生成する。複数の温度画像には、第1温度画像P1と第2温度画像P2とが含まれる。第1温度画像P1は、アレイARに含まれるストリングST1とストリングST2とストリングST3との各々に電源装置200から、ファンクションジェネレータ250が生成した正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVが印加される前のアレイARの表面の温度分布を示す情報が撮像された画像である。また、第2温度画像P2は、アレイARに含まれるストリングST1とストリングST2とストリングST3との各々に電源装置200から、ファンクションジェネレータ250が生成した正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVが印加された後のアレイARの表面の温度分布を示す情報が撮像された画像である。
まず、図12を参照して直流電源PSと、接続箱JBとの接続について説明する。図12は、本実施形態における直流電源PSと、接続箱JBとの構成の一例を示す構成図である。
図12に示す通り、接続箱JBと、直流電源PSとは、配線WR2を介して接続される。具体的には、直流電源PSの負極の端子である端子TPSNと、接続箱JBの正極の端子である端子TJBPとが配線WRPを介して接続される。また、直流電源PSの正極の端子である端子TPSPと、アレイARの負極の端子である端子TJBNとが配線WRNを介して接続される。
次に、図13を参照して、電源装置200が、ファンクションジェネレータ250が生成した正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVをアレイARに印加した場合のストリングSTの動作について説明する。図13は、本実施形態における電源装置200がアレイARに含まれるストリングSTに電圧を印加した場合のストリングSTの構成の詳細な一例を示す構成図である。
図13に示す通り、この一例では、クラスタCS1、クラスタCS2、およびクラスタCS3が備える各バイパスダイオードDpが正常に動作している。また、ストリングSTの端子TSTPと接続されるクラスタCS1の端子TCS1PからストリングSTの端子TSTNと接続されるクラスタCS3の端子TCS3Nへ電源装置200から正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVが印加される。具体的には、クラスタCS1の端子TCS1Pと、クラスタCS3の端子TCS3Nとでは、端子TCS3Nの方が、電位が高い。
また、この一例では、クラスタCSが備える集合セルCLSには、集合セルCLSが発電するために必要最低限の日射光が照射されている。
以下、図14を参照して、電源装置200が、ファンクションジェネレータ250が生成した正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVをアレイARに印加した場合のストリングSTの動作について説明する。図14は、本実施形態における電源装置200がアレイARに電圧を印加した場合のストリングSTの構成の詳細な一例を示す構成図である。
図14に示す通り、この一例では、クラスタCS2が備えるバイパスダイオードDp2が開放故障している。つまり、バイパスダイオードDp2の端子TD2kと、端子TD2aとが接続されておらず、開放状態である。
また、この一例では、クラスタCSが備える集合セルCLSには、集合セルCLSが発電するために必要最低限の日射光が照射されている。
ここで、以降の説明において、集合セルCLS2が消費する電力を電力PW2と記載する。この場合、集合セルCLS2に含まれる各セルCLに電圧V12が印加されるため、電力PW2の大きさをPW2とし、集合セルCLS2に印加される電圧V12の大きさをV12とした場合、PW2と、V12と、I22との関係は、式(12)によって示される。
以下、図15を参照して、領域抽出装置1の構成について説明する。図15は、本実施形態における領域抽出装置1の構成の一例を示す構成図である。
図15に示す通り、領域抽出装置1は、情報処理部100と、撮像部110と、記憶部120とを備える。
撮像部110は、電源装置200がストリングSTに正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVを印加する前のアレイARを撮像し、撮像したアレイARの表面の温度分布情報を示す第1温度画像P1を生成する。また、撮像部110は、電源装置200がストリングSTに正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVを印加した後のアレイARを撮像し、撮像したアレイARの表面の温度分布情報を示す第2温度画像P2を生成する。撮像部110とは、例えば、赤外線カメラなどの熱画像を造り出す装置である。熱画像を造り出す装置は、あらゆる物体から放射される赤外線エネルギーを、レンズによって赤外線検出素子に結像し、電気変換された値をデジタル演算処理をすることで温度に変換する。撮像部110は、生成した第1温度画像P1と、第2温度画像P2とを情報処理部100へ供給する。以降の説明において、第1温度画像P1と、第2温度画像P2とを特に区別しない場合には、総称して温度画像Pと記載する。
図16を参照して、アレイARに含まれるストリングSTに印加される変調された電源電圧ApVについて説明する。前述したように変調された電源電圧ApVは、周期的に変化する。図16は、本実施形態における変調された電源電圧ApVの一例を示す図である。図16において、横軸は時間(Timet)であり、縦軸は電圧(VoltageV)であり、Tは周期であり、V0は印加電圧であり、T0はパルス幅である。印加電圧V0の一例は、60Vである。
図16の上図に示す通り、変調された電源電圧ApVの一例は、正弦波である。正弦波で表される変調された電源電圧ApVの一例は、周波数F(=1/T)が0.01Hz、0.005Hz、0.003Hzなどである。図16の下図に示す通り、変調された電源電圧ApVの一例は、方形波である。方形波で表される変調された電源電圧ApVの一例は、周波数F(=1/T)が0.01Hz、0.005Hz、0.003Hzなどであり、デューティ比(T0/T)が0.3、0.5などである。
図17は、本実施形態における第1温度画像P1の一例を示す模式図である。図17に示す通り、温度画像Pには、アレイARの全体が撮像される。具体的には、撮像部110は、クラスタCS1、クラスタCS2、およびクラスタCS3を含むストリングSTの全体を撮像する。すなわち、この一例では、アレイARには、ストリングSTが含まれ、ストリングSTには、クラスタCS1、クラスタCS2、およびクラスタCS3が含まれる。
この一例では、領域抽出装置1が、温度が上昇しているか否かを判定するために抽出する検出対象の領域である検査対象領域CARが温度画像Pに撮像されるアレイAR全体である。
取得部101は、撮像部110から第1温度画像P1と、第2温度画像P2とを取得する。取得部101は、取得した第1温度画像P1と、第2温度画像P2とを導出部102へ供給する。
この一例では、アレイARに含まれるストリングSTのうち、クラスタCS2のバイパスダイオードDp2が開放故障している。すなわち、バイパスダイオードDp2が開放故障していることに伴い、第1温度画像P1と、第2温度画像P2とでは、第2温度画像P2に示されるアレイARの表面の温度分布情報の方が高い。導出部102は、図18に示す通り、導出部102は、第1温度画像P1、および第2温度画像P2に撮像されるアレイARの全体を差分領域DARとして抽出する。
導出部102は、差分領域DARにおいて、第1温度画像P1に撮像されるアレイARの全体の表面温度の温度分布と、第2温度画像P2に撮像されるアレイARの全体の表面温度の温度分布との差を表した差分画像を導出する。具体的には、導出部102は、第1温度画像P1から、画素毎の温度情報(以下「基準画像」という)を読み出す。また、導出部102は、第2の温度画像のうち、k番目(kは、k>1の整数)の温度画像(以下「第k温度画像」という)から、画素毎の温度画像(以下「k画像」という)を読み出す。導出部102は、導出した基準画像とk画像とに基づいて、k画像の画素毎の温度情報と基準画像の画素毎の温度情報との差分などの統計量を導出する。以下、統計量の一例として、k画像の画素毎の温度情報と基準画像の画素毎の温度情報との差分を導出する場合について説明を続ける。
導出部102は、第k温度画像の画素毎の温度情報Tk1,1〜温度情報Tkm,nを導出し、導出した第k温度画像の画素毎の温度情報Tk1,1〜温度情報Tkm,nに基づいて、k画像を生成する。導出部102は、第1温度画像P1の画素毎の温度情報T01,1〜温度情報T0m,n(m,nは、m>0,n>0の整数)を導出し、導出した第1温度画像P1の画素毎の温度情報T01,1〜温度情報T0m,nに基づいて、基準画像を生成する。
導出部102は、k画像の画素毎の温度情報Tk1,1〜温度情報Tkm,nの各々と基準画像の画素毎の温度情報T01,1〜温度情報T0m,nの各々とに基づいて、k画像の画素毎の温度情報Tk1,1〜温度情報Tkm,nの各々と基準画像の画素毎の温度情報T01,1〜温度情報T0m,nの各々との差分情報ΔTk1,1〜差分情報ΔTkm,nを導出する。導出部102は、k画像の各画素又は基準画像の各画素のうち、対応する画素に、導出した差分情報ΔTk1,1〜差分情報ΔTkm,nを表した差分画像を導出する。
図20の左図は、日射強度600W/m2〜700W/m2において、太陽電池モジュールに、変調された電源電圧ApVとして、正弦波が印加された場合における、故障していないストリングSTに含まれる正常クラスタ(Normal cluster)の表面温度の変化と、開放故障しているストリングSTに含まれる異常クラスタ(Abnormal cluster)の表面温度の変化とを、印加電圧が50Vと60Vとについて示す。図20の左図によれば、印加電圧を大きくするほど、温度変化が大きくなっている。画素における、経過時間と差分情報との関係についても、図20の左図と同様の傾向である。
図20の右図は、日射強度500W/m2〜600W/m2において、太陽電池モジュールに、変調された電源電圧ApVとして、方形波が印加された場合における、故障していないストリングSTに含まれる正常クラスタ(Normal cluster)の表面温度の変化と、開放故障しているストリングSTに含まれる異常クラスタ(Abnormal cluster)の表面温度の変化とを、印加電圧が50Vと60Vとについて示す。図20の右図によれば、印加電圧による温度上昇傾向に大きな差が見られない。画素における、経過時間と差分情報との関係についても、図20の右図と同様の傾向である。
また、図20の左図と右図とともに、印加電圧にかかわらず、故障していない正常クラスタ(Normal cluster)と、開放故障している異常クラスタ(Abnormal cluster)との間では、表面温度の変化が大きく異なる。また、開放故障している異常クラスタ(Abnormal cluster)の表面温度の変化には、印加電圧の周波数の変動が温度変化として現れている。このため、印加電圧が50V以下である場合でも、開放故障している異常クラスタ(Abnormal cluster)を判別することができる。導出部102について説明を続ける。
図21は、本実施形態における太陽電池モジュールの表面の温度変化の周波数スペクトルの一例を示す図である。図21において、横軸は周波数を示し、縦軸は周波数スペクトルを示す。
図21の上図は、印加電圧波形が正弦波での異常クラスタ、正常クラスタ、正常モジュールにおいて各点(画素)での温度変化の周波数スペクトルを示す。図21の下図は、各印加電圧の波形(正弦波、方形波、一定)による周波数スペクトルの比較を示す。
図21の上図によれば、異常クラスタの温度上昇は印加電圧の波形の周波数に追従し、その周波数成分が強く出ることがわかる。図21の上図では、印加電圧波形が正弦波である場合の周波数スペクトルを示したが、印加電圧波形が方形波である場合でも、同様の傾向が得られる。
図21の下図によれば、正弦波と方形波とを比較すると正弦波の方が、周波数成分がより強く出ている。これは、方形波の方が正弦波より高調波成分を多く含んでいるためである。なお、一定電圧では異常クラスタでの周波数スペクトルは正常クラスタ、正常モジュールと差異がない。
図22は、本実施形態における高温領域HARの一例を示す模式図である。
領域抽出部103は、周波数領域の信号の振幅が、閾値情報TH以上である画素や、印加電圧と同じ周波数を有する画素を一又は複数抽出する。領域抽出部103は、抽出した一又は複数の画素の各々に対応する差分画像における領域を求めることによって、高温領域HARを抽出する。
上述したように、この一例では、ストリングSTに含まれるクラスタCS2のバイパスダイオードDp2が開放故障している。これにより、クラスタCS1、およびクラスタCS3と比較してクラスタCS2の温度が高くなる。
撮像部110は、電源装置200がアレイARに正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVを印加する前のアレイARを撮像し、第1温度画像P1を生成する(ステップS100)。撮像部110は、第1温度画像P1を取得部101へ供給する(ステップS110)。
また、撮像部110は、電源装置200がアレイARに正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVを印加した後のアレイARを撮像し、第2温度画像P2を生成する(ステップS120)。撮像部110は、生成した第2温度画像P2を取得部101へ供給する(ステップS130)。
導出部102は、取得した第1温度画像P1と、第2温度画像P2とに基づいて、第1温度画像P1に示されるアレイARの表面温度の温度分布と、第2温度画像P2に示されるアレイARの表面温度の温度分布との差分情報を表した差分画像を導出する(ステップS180)。具体的には、導出部102は、第1温度画像P1と、第k温度画像との各々から、画素毎の温度情報を読み出す。導出部102は、第1温度画像P1の画素毎の温度を示した基準画像と第k温度画像の画素毎の温度を示したk画像とを導出する。導出部102は、導出した基準画像とk画像とに基づいて、k画像の画素毎の温度情報と基準画像の画素毎の温度情報との差分情報を導出し、導出した差分情報を表した差分画像を導出する。
導出部102は、導出した複数の差分画像に基づいて、画素毎にk個の差分情報をフーリエ変換することによって、周波数領域の信号を導出し、導出した周波数領域の信号を、領域抽出部103へ供給する(ステップS190)。
撮像部110は、バイパスダイオードDpと、1つ以上のセルCLとが並列に接続されたクラスタCSが直列に複数接続されたアレイARを撮像して、アレイARの表面の温度分布情報を示す温度画像Pを生成する。撮像部110は、生成した温度画像Pを情報処理部100へ供給する。
情報処理部100は、取得部101と、導出部102と、領域抽出部103とをその機能部として備える。取得部101は、アレイARに正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVが印加されることに伴う温度変化を示す複数の画像であって、互いに異なる時刻において撮像部110が撮像した第1温度画像P1と、第2温度画像P2とを取得する。取得部101は、取得した第1温度画像P1と、第2温度画像P2とを導出部102へ供給する。
領域抽出部103は、導出部102から周波数領域の信号を取得し、取得した周波数領域の信号と、閾値情報THとに基づいて、周波数領域の信号の振幅が、閾値情報THより高い画素に該当する高温領域HARを抽出する。
従来の技術では、クラスタCSが備えるバイパスダイオードDpが開放故障することに伴い、接続箱JBが備える逆流防止用ダイオードDbfの電流値の上昇、または逆流防止用ダイオードDbf自体の温度の上昇を検出することにより、アレイARの故障をストリングST毎に検出していた。
また、従来の技術では、太陽電池モジュールの温度上昇が、バイパス回路の開放故障を要因とするのか、バイパス回路の開放故障以外を要因とするのか区別ができない場合があった。また、屋外においては、太陽電池モジュールの温度の正確な検出が難しい場合があった。
このように構成することによって、太陽電池モジュールの温度上昇が、バイパス回路の開放故障を要因とするのか、バイパス回路の開放故障以外を要因とするのか区別できる。つまり、周波数領域の信号の振幅が閾値情報THより高い画素に該当するアレイARの領域は、周期的に温度が変化している領域である。アレイARには、正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVが印加されるため、周期的に温度が変化する領域は、バイパス回路の開放故障を要因とすると判断できる。このため、太陽電池モジュールの温度上昇が、バイパス回路の開放故障を要因とする判定精度を向上できる。
また、このように構成することによって、領域抽出装置1は、検査対象領域CARを面的に検出することができる。
検査対象領域CARを面的に検出することにより、アレイARの故障領域を、ストリングST等の回路毎ではなく、検査対象領域CARに含まれる高温領域HARとして面的に抽出することができる。
つまり、本実施形態の領域抽出装置1によれば、温度画像Pに基づいて高温領域HARを面的に抽出することにより、バイパスダイオードDpの開放故障を検出するに際して、従来の技術で必要であった、逆流防止用ダイオードDbfの電流値、または温度を検出するセンサを設置する手間を低減することができる。
つまり、本実施形態の領域抽出装置1は、温度画像Pに基づいて高温領域HARを抽出することにより、バイパスダイオードDpの開放故障を検出するに際して、電源装置200と、アレイARの位置の対応を示す情報を用いる手間を低減することができる。
すなわち、本実施形態の領域抽出装置1によれば、バイパスダイオードDpの開放故障を検出する手間を低減することができる。
すなわち、第1温度画像P1が、変調された電源電圧ApVが印加されることに伴う、アレイARの温度の上昇が少ないアレイARが撮像された温度画像Pであれば、アレイARの電力出力端TSPに変調された電源電圧ApVが印加される回数が複数回であってもよい。
本実施形態の領域抽出装置1は、クラスタCSが備える各セルに対して日射光等の光の照射の強弱にかかわらず、バイパスダイオードDpが故障していることに伴い、アレイARの表面が温度上昇している領域を検出することができる。つまり、領域抽出装置1は、領域抽出装置1が備えるクラスタCSの一部が影の影響により、わずかな電力を発電している場合でも、バイパスダイオードDpが開放故障してアレイARの表面が温度上昇している領域を検出することができる。
以下、図24を参照して、電源装置200がアレイARに、ファンクションジェネレータ250が生成した正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVを印加した場合のストリングSTの動作について説明する。図24は、本実施形態におけるアレイARに電源装置200が正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVを印加した場合の影が生じている時のストリングSTの構成の詳細な一例を示す構成図である。
図24に示す通り、この一例では、クラスタCS2が備える各セルのうち、一部が日射光等の光の照射に伴い電力を発電しており、一部が影の影響により、電力を発電していない場合の動作の一例を示す模式図である。また、この一例ではクラスタCS2が備えるバイパスダイオードDp2が開放故障している。つまり、バイパスダイオードDp2の端子TD2kと、端子TD2aとが接続されておらず、開放状態である。
この一例の場合、上述したように、端子TD2kと、端子TD2aとが接続されておらず、開放状態であるため、クラスタCS3からクラスタCS2へ流入する電流I33は、集合セルCLS2へ流れる。すなわち、電流I33が抵抗である集合セルCLS2に流れることで、集合セルCLS2に含まれる各セルCLが周期的に高温になる。
つまり、アレイARに電源装置200から正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVを印加することにより、アレイARに照射される光の有無にかかわらず、バイパスダイオードDp故障により生じるアレイARの表面が周期的に温度上昇している領域を検出することができる。
この一例の場合、上述したように、端子TD2kと、端子TD2aとが接続されておらず、開放状態であるため、クラスタCS3からクラスタCS2へ流入する電流I33は、集合セルCLS2へ流れる。すなわち、電流I33が抵抗である集合セルCLS2に流れることで、集合セルCLS2に含まれる各セルCLが周期的に高温になる。
すなわち、第2温度画像P2は、正弦波、方形波などの周期的に変化する変調された電源電圧ApVが印加されることに伴うアレイARの温度の上昇の経過があるアレイARが撮像された温度画像Pであれば、アレイARの電力出力端TSPに変調された電源電圧ApVが印加される回数が複数回であってもよい。
これにより、本実施形態の領域抽出装置1は、2つのクラスタCSの温度画像Pを撮像する。領域抽出装置1は、撮像した2つのクラスタCSの温度画像Pのうち、第1温度画像P1に示されるアレイARの表面温度の温度分布と、第2温度画像P2に示されるアレイARの表面温度の温度分布との差分情報を表した差分画像を導出する。領域抽出装置1は、導出した複数の差分画像に基づいて、画素毎にk個の差分情報をフーリエ変換することによって、周波数領域の信号を導出する。領域抽出装置1は、周波数領域の信号と、閾値情報THとに基づいて、周波数領域の信号の振幅が、閾値情報THより高い画素に該当する高温領域HARを抽出する。このように構成することによって、本実施形態の領域抽出装置1は、アレイARの電力出力端TSPに変調された電源電圧ApVが印加されることに伴う2つのクラスタCSの温度の変化を比較することができる。つまり、本実施形態の領域抽出装置1は、少なくとも2つのクラスタCSが撮像されていれば、高温領域を抽出することにより、バイパスダイオードDpの開放故障の有無を検出することができる。すなわち、本実施形態の領域抽出装置1は、多数のアレイARが撮像された画像であっても、少なくとも2つのクラスタCSが検出できる温度画像Pであれば、バイパスダイオードDpの開放故障の有無を検出することができる。
つまり、本実施形態の領域抽出装置1によれば、バイパスダイオードDpの開放故障を検出する手間を低減することができる。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
Claims (4)
- ダイオードと、1つ以上のセルとが並列に接続されたクラスタが直列に複数接続された太陽電池モジュールを撮像して、前記太陽電池モジュールの表面の温度分布情報を示す温度画像を生成する撮像部と、
前記太陽電池モジュールの電力出力端に周期的に変化する電圧が印加されることに伴う温度変化を示す複数の画像であって、互いに異なる時刻において前記撮像部が撮像した複数の温度画像を取得する取得部と、
前記取得部が取得した複数の前記温度画像の各々に示される温度分布情報の差に基づいて、周期的に温度が変化する領域を抽出する領域抽出部と
を備える、領域抽出装置。 - 前記取得部が取得した複数の前記温度画像の各々に示される温度分布情報の差に基づいて、周波数特性を導出する導出部
をさらに備え、
前記領域抽出部は、前記導出部が導出した前記周波数特性に基づいて、周期的に温度が変化する領域を抽出する、請求項1に記載の領域抽出装置。 - 複数の前記温度画像は、
前記太陽電池モジュールの前記電力出力端に周期的に変化する前記電圧が印加される前、または印加された直後の第1温度画像と、
前記太陽電池モジュールの前記電力出力端に周期的に変化する前記電圧が印加中、または所定の時間印加された後の第2温度画像とを含み、
前記取得部は、
前記第2温度画像が撮像された時刻より以前に前記第1温度画像を取得する、
請求項1又は請求項2に記載の領域抽出装置。 - 前記撮像部は、
前記太陽電池モジュールのうち、少なくとも2つのクラスタを撮像し、前記温度画像を生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の領域抽出装置。
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