JP2019192926A - 環状ボンド磁石を備える複合部材およびその製造方法 - Google Patents

環状ボンド磁石を備える複合部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱衝撃性に優れた環状ボンド磁石を有する複合部材およびその製造方法を提供する。【解決手段】略円柱状または略円環状の金属部材と、前記金属部材の外周に設けられた環状ボンド磁石とを備える複合部材であって、前記環状ボンド磁石は、熱可塑性樹脂、磁性粒子およびゴム粒子を含む複合部材に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、環状ボンド磁石を備える複合部材およびその製造方法に関する。
自動車や自動二輪車などにおける燃料ポンプの駆動源として、例えば特許文献1に示すような環状の永久磁石を備えたローターが知られている。この部品は金属製のベースとなる回転体に磁石を装着することで構成されている。装着の方法としては、接着などの粘着力を利用する方法や、焼き嵌めやカシメなどの機械的な嵌合力を利用する方法がある。比較的小型の部品では、主としてコストダウンの観点から、ボンド磁石を金属部材に一体成形する手法が採用されている。しかしながら、製造工程中の冷却過程や、自動車や自動二輪車の運転時や、寒冷地での保管時において、金属部材とボンド磁石材の線膨張係数の差に起因して、ボンド磁石が割れることがある。そこで、冷熱サイクルに優れた複合部材が求められており、特許文献1では、金属部材と、磁石粉末と熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを射出成形することにより、環状の永久磁石が円環状の金属部材外周部に一体成形された複合部材が提案されている。
特許文献2では、金属製のローターコア外面に複数枚の焼結磁石を接着する際に、磁極と磁極のすき間をあける構成にすることでローターコアと磁石の間での熱応力を低減できる旨の記載がある。
特許文献3では、金属製のローターコアと磁石をハンダにより接合させるとともに、熱応力の緩和のためにローターコア表面に、複数のスリット状凹部を設けている旨の記載がある。
特許文献4では、金属製のシャフトの周囲に異方性のボンド磁石を成形する際に、磁極間部すなわち磁極の切り替わり部とウエルド部が一致しないことを推奨している旨の記載がある。
特許文献5では、ボンド磁石で最も使用されるベースレジンであるポリアミドにビス不飽和脂肪酸アミドを混入させることで柔軟性を改良し、その成形物の耐熱衝撃性を向上できる旨の記載がある。
特許文献6では、同じくベースレジンであるポリアミドに液状ゴムを混入させることで、成形収縮割れが改善する旨の記載がある。
特許文献7では、アスペクト比を適宜選択した素材を組み合わせることで、成形体の割れカケを回避できる旨の記載がある。
特許文献8では、ローター外周にボンド磁石を一体成形する際に、ローターとボンド磁石に中間層を設け、ここに曲げ歪の大きい材料で構成されたボンド磁石を成形することで、成形収縮割れおよび冷熱サイクル割れを回避できる旨の記載がある。
これら従来の方法によると、割れ対策として、新たに樹脂の配合を検討したり、磁石粒子配合を大幅に見直す必要があり、そのために、コスト上昇を伴うばかりか、割れ以外の特性を検証する必要があった。つまり、現行の素材をそのまま使うことにより、磁気特性を代表とする磁石特性は保ったまま、あるいは引張特性や接着強度は保ったまま、割れの挙動だけを改善したいという要望がある。
一方、特許文献9では、軟磁性粉末と、ゴムの表面に有機物を含む外周層とを有するフィラーと、前記軟磁性粉末及び前記フィラーを分散した状態で内包する樹脂部とを備える複合材料が開示されている。ゴムを含むフィラーが分散していることで、マイクロクラックから起こる伸展抑制には効果があるが、樹脂と相溶化するためにフィラー自体に別途表面処理等の処方が必要である。また、本発明のように、金属部材との一体成形からなる環状ボンド磁石においては、冷熱衝撃時において、その線膨張係数の差から樹脂に応力がかかるため、母材樹脂に相溶させた状態でゴムを分散させる方法では、その応力を吸収するという点において十分な効果を得ることは難しい。
特開2016−101062号公報 特開2002−78257号公報 特表2016−533148号公報 特開2008−172965号公報 特開2006−41116号公報 特開平6−287445号公報 特開2005−72240号公報 特開2005−151757号公報 特開2016―143827号公報
本発明は、熱衝撃性に優れた環状ボンド磁石を有する複合部材およびその製造方法を提供する。
本発明の一態様にかかる複合部材は、
略円柱状または略円環状の金属部材と、前記金属部材の外周に設けられた環状ボンド磁石とを備える複合部材であって、前記環状ボンド磁石は、熱可塑性樹脂、磁性粒子およびゴム粒子を含むことを特徴とする。
本発明の他の一態様にかかる前記複合部材の製造方法は、
熱可塑性樹脂と磁性粒子を混練し、コンパウンドを得る工程、および、
前記コンパウンドとゴム粒子を、略円柱状または略円環状の金属部材と一体成形する工程
を含むことを特徴とする。
上記態様によれば、熱衝撃性に優れた環状ボンド磁石を有する複合部材およびその製造方法を提供することができる。
本発明の一態様にかかるボンド磁石の断面写真を示す図である。 本発明の一態様にかかるゴム磁石粒子を含むボンド磁石の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに特定するものではない。なお、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
(複合部材)
本発明の複合部材は、略円柱状または略円環状の金属部材と、前記金属部材の外周に設けられた環状ボンド磁石とを備える複合部材であって、前記環状ボンド磁石は、熱可塑性樹脂、磁性粒子およびゴム粒子を含む。
従来の金属部材の外周に設けられた環状ボンド磁石を備える複合部材は、冷熱衝撃時に、その線膨張係数の差から樹脂に応力がかかるため、ボンド磁石に割れが発生しやすい。一方、本態様では、弾性部材がゴム粒子として存在することにより、ゴム弾性が十分に発揮され、冷熱サイクル時の膨張収縮の応力を十分に緩和することができると考えられる。
金属部材の形状は、略円柱状または略円環状である限り、限定されない。略円柱状または略円環状の金属部材の外径は、5mm以上100mm以下が好ましく、高さは、1mm以上30mm以下が好ましい。金属部材の金属はヨークとなるものであれば、特に限定されない。
環状ボンド磁石を備えた複合部材の形状も、略円柱状または略円環状である限り、限定されない。外径は、6mm以上150mm以下が好ましく、高さは、1mm以上30mm以下が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、特に制限は無く、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、アクリル樹脂などが挙げられる。その中でもポリアミド、特にポリアミド12が好ましい。ポリアミド12は、比較的低融点で、吸水率が低く、結晶性樹脂であるため成形性が良い。また、これらを適宜混合して使用することも可能である。
環状ボンド磁石は、更に熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。熱可塑性エラストマーを含むことにより、流動性を損なうことなく初期強度を向上させることができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系などが挙げられる。また、これらを適宜混合して使用してもよい。これらの中でも、耐薬品性に優れているポリアミド系熱可塑性エラストマーが好ましい。
環状ボンド磁石は、更にリン系酸化防止剤などの酸化防止剤を含んでいても良い。リン系酸化防止剤を含むことにより、複合部材が高温にさらされた場合にも強度の経時変化を小さくすることができる。リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
磁性粒子としては、フェライト系と、希土類系であるNd−Fe−B系、Sm−Co系、Sm−Fe−N系とがある。中でも、Sm−Fe−N系を用いるのが好ましい。Sm−Fe−N系は、一般的にSmFe17で表される。Sm−Fe−N系は、フェライト系に比べると磁力が強く、比較的少ない量でも高磁力を発生することができる。また、Sm−Fe−N系は、Nd−Fe−B系やSm−Co系といった他の希土類系と比べると、粒子径が小さく、母材樹脂へのフィラーとして適していることや、錆び難くいという特長がある。
磁性粒子は、異方性のもの及び等方性のもののいずれか一方又は両方を用いることができる。より強力な磁気特性を得る観点から、異方性のもの(異方性磁性粒子)が好ましい。具体的には、異方性を有するSm−Fe−N系の磁性粒子(異方性Sm−Fe−N系磁性粒子)が好ましい。磁性粒子としてSm−Fe−N系磁性粒子を用いれば、当該磁性粒子は磁力が強いので、より磁気特性に優れたものとすることができる。
磁性粒子の平均粒径は、10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。10μm以下であれば、製品の表面に凹凸部や亀裂等が発生し難く、外観的に優れたものとすることができ、さらに、低コスト化を図ることができる。平均粒径が10μmよりも大きいと、製品の表面に凹凸部や亀裂等が発生して外観的に劣るおそれがある。一方で、平均粒径が1μmよりも小さいと、磁性粒子のコストが高くなるので、低コスト化の観点から好ましくない。
ゴム粒子は市販品を使用してもよく、ゴム原料を架橋し、粉砕したものを使用してもよい。ゴム原料としては、特に限定されないが、熱衝撃性の点から、耐熱性が120℃以上、耐寒性が−40℃以下を有するゴムが好ましく、例えばシリコーンゴム(シリコーン生ゴム)、フッ素ゴム、エチレン酢酸ビニルゴムなどが挙げられる。シリコーンゴムが、適度な可撓性と化学的安定性、耐熱性、耐寒性の点から特に好ましい。
ゴム粒子は、磁束密度の点から、少なくとも一部が磁性粒子を含むゴム磁石粒子であることが好ましい(図2参照)。磁性粒子としては、前述の磁性粒子を使用することができる。ゴム磁石粒子中の磁性粒子の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、高い磁気特性を得る点から80質量%以上98質量%以下がより好ましい。
ゴム粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒径分布測定装置を用いて、乾式条件で測定される体積基準の累積粒度分布において、小径側からの累積50%に対応する粒径として求められる。ゴム粒子の平均粒径は、0.7μm超1mm未満が好ましく、熱衝撃性の点から2μm以上900μm以下がより好ましく、成形時の流動性の点から11μm以上500μm以下が特に好ましい。ゴム粒子が磁性粒子を含むゴム磁石粒子の場合、磁束密度の点から、0.7μm超1mm未満が好ましく、50μm以上900μm以下が好ましく、成型時の流動性の点から100μm以上800μm以下が特に好ましい。
環状ボンド磁石中の磁性粒子の含有量は、高い磁気特性を得る点から80質量%以上95質量%以下が好ましく、90質量%以上95質量%未満がより好ましい。環状ボンド磁石中の熱可塑性樹脂の含有量は、流動性を確保する観点から3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。更に熱可塑性エラストマーを含む場合には、環状ボンド磁石中の熱可塑性エラストマーの含有量は、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの質量比率が90:10から50:50の範囲であることが好ましく、耐衝撃性の点から90:10から70:30範囲がより好ましい。更にリン系酸化防止剤を含む場合には、環状ボンド磁石中のリン系酸化防止剤の含有量は、0.1質量%以上2質量%以下が好ましい。環状ボンド磁石中のゴム粒子の含有量は、熱衝撃性の点から0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5.5質量%以下が好ましい。ここで、ゴム粒子が磁性材料を含まない場合、0.3質量%以上1.0質量%以下がさらに好ましく、ゴム粒子が磁性材料を含むゴム磁石粒子の場合、0.3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
(複合部材の製造方法)
本発明に係る複合部材の製造方法は、熱可塑性樹脂と磁性粒子を混練し、コンパウンドを得る工程、および、前記コンパウンドとゴム粒子を、略円柱状または略円環状の金属部材と一体成形する工程を含むことを特徴とする。
本態様では、予め熱可塑性樹脂と磁性粒子とを含むコンパウンドを、ゴム粒子とは別に準備する。熱可塑性樹脂と磁性粒子とともに、ゴム粒子を混練すると、コンパウンド時と一体成形時の双方でゴム粒子に熱がかかるため、ゴム粒子の弾性や強度が低下するおそれがある。また、成形時の計量トルクが上昇するため、成形温度を高くする必要があり、成形温度が高くなって、熱可塑性樹脂の劣化が起こるため、熱衝撃性が低下するおそれがある。しかし、本態様であれば、ゴム粒子に熱がかるのは一体成形する際だけであるため、ゴム粒子の特性も低下しにくく、最終的に得られる複合部材において、ゴム粒子の弾性と強度を維持できる。
(コンパウンドの準備)
熱可塑性樹脂と磁性粒子を混練し、コンパウンドを得る工程では、熱可塑性樹脂と、磁性粒子を十分に混練し、得られた混練物を単軸混練機、二軸混練機等の混練機に投入し、冷却後、適当な大きさに切断することで得ることができる。ここで、熱可塑性樹脂と磁性粒子は、前述した通りである。
熱可塑性樹脂と磁性粒子とともに、熱可塑性エラストマー、リン系酸化防止剤などの酸化防止剤を同時に混練することができる。
コンパウンド中の磁性粒子の含有量は、80質量%以上95質量%以下が好ましく、高い磁気特性を得る点から、90質量%以上95質量以下がより好ましい。一方、コンパウンド中の熱可塑性樹脂の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましく、流動性を確保する観点から5質量%以上15質量%以下がより好ましい。更に熱可塑性エラストマーを含む場合には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの質量比率が90:10から50:50の範囲が好ましく、耐衝撃性の点から90:10から70:30の範囲がより好ましい。更にリン系酸化防止剤を含む場合には、コンパウンド中のリン系酸化防止剤の含有量は、0.1質量%以上2質量%以下が好ましい。
(ゴム粒子の準備)
ゴム粒子は、市販品を用いても良い。ゴム粒子を作製する場合は、ゴム原料とゴム原料に併せて適宜加硫剤と架橋剤とをミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を用いて混練し、かかる混練物を押出成形機に投入し紐状の成形品を得る。続いてそれら成形品を必要に応じて加熱硬化し、冷却したのち、目的の大きさに粉砕することでゴム粒子を得ることができる。
磁束密度の点から、ゴム粒子のうち少なくとも一部が磁性粒子を含むゴム磁石粒子であることが好ましい。ゴム磁石粒子の作製方法は磁性粒子とゴム原料とゴム原料に併せて適宜加硫剤と架橋剤とをミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を用いて混練し、かかる混練物を押出成形機に投入し紐状の成形品を得る。続いてそれら成形品を必要に応じて加熱硬化し、冷却したのち目的の大きさに粉砕することでゴム磁石粒子を得ることができる。なお、磁性粒子とゴム原料については前述にて説明した通りである。ゴム粒子のうち少なくとも一部が磁性粒子を含むゴム磁石粒子とは、ゴム粒子がゴム磁石粒子と、磁性材料を含まないゴム粒子とを混合して使用してもよいことを意味する。
(成形工程)
前記コンパウンドとゴム粒子を、略円柱状または略円環状の金属部材と一体成形する工程では、射出成形機の金型中に略円柱状又は略円環状の金属部材を配置し、コンパウンドとゴム粒子を射出成形機に投入し、射出一体成形することにより得られる。
コンパウンドに対するゴム粒子の質量比率は、特に限定されないが、前記コンパウンド100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下が好ましく、0.5質量部以上5.5質量部以下がより好ましい。0.3質量部より低いと熱衝撃性が不十分となり、10質量部より高いと磁束密度が小さくなる傾向がある。ここで、ゴム粒子が磁性粒子を含まない場合、コンパウンド100質量部に対してゴム粒子は、0.3質量部以上1.0質量部以下がさらに好ましく、ゴム粒子が磁性粒子を含むゴム磁石粒子の場合、0.3質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
本発明の複合部材は、自動車や自動二輪車などにおける燃料ポンプの駆動源として、環状の永久磁石を備えたローターなどに使用することができる。
以下、本発明に係る実施例を具体的に説明する。なお、平均粒径については、レーザー回折式粒径分布測定装置(日本レーザー製HELOS&RODOS)を用いて、体積基準の累積粒度分布を測定し、小径側からの累積50%に対応する粒径として求めた。
実施例では、以下の材料を使用した。
磁性粒子:異方性のSm−Fe−N系(平均粒子径3μm)
熱可塑性樹脂:ポリアミド12
ゴム粒子A:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製のシリコーンゴム微粒子トスパール120(平均粒子径2μm)
ゴム粒子B:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製のシリコーンゴム微粒子トスパール145(平均粒子径4.5μm)
ゴム粒子C:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製のシリコーンゴム微粒子トスパール1110(平均粒子径11μm)
ゴム粒子D:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製のシリコーンゴム微粒子トスパールXC99−A8808(平均粒子径0.7μm)
(実施例1)
Sm−Fe−N系磁性材料をエチルシリケートおよびシランカップリング剤で表面処理した。表面処理したSm−Fe−N系磁性材料91質量%と、ポリアミド12を9質量%とをミキサーで混合する。得られた混合粉を、2軸混練機を用いて220℃で混練し、冷却後、適当な大きさに切断しペレット状のコンパウンドを得た。
コンパウンド100質量部に対してゴム粒子A0.5質量部を射出成形機に投入した。金型内に円環状の金属部材(外径φ14mm×高さ20mm)を挿入し、金属部材の外周を囲繞する型キャビティにコンパウンドとゴム粒子を金属部材と一体になるように射出成形し、環状ボンド磁石を金属部材の外周に形成した。なお、複合部材の寸法を外径φ21mmとし、また射出成形時には、成形後の環状ボンド磁石へラジアル方向に磁場配向をかけながら成形した。
(実施例2)
ゴム粒子Aの代わりに、ゴム粒子Bを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、複合部材を得た。
(実施例3)
ゴム粒子Aの代わりに、ゴム粒子Cを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、複合部材を得た。
(実施例4)
ゴム粒子Aの代わりに、ゴム粒子Dを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、複合部材を得た。
(比較例1)
ゴム粒子を用いないこと以外は実施例1と同様に行い、複合部材を得た。
<評価1:熱衝撃試験>
複合部材各10個について、「−40℃(15分)、160℃(2時間)、ダンバ切り替えによる160℃または−40℃への到達時間:1分」を1サイクルとした32サイクルの熱衝撃試験を行った。
今回の試験では、加速劣化試験を行った。実使用環境−40℃から120℃に対し、その際500サイクルで割れが確認されるかを想定した。10℃倍速の法則から、本試験では2の4乗の速度で加速劣化を行ったことになる。500サイクル÷2の4乗=31.25より、本試験では32サイクル後にローターの外観確認を行い、割れが確認されなかった個数を数えた。得られた結果を表1に示す。
<評価2:磁束密度Br>
各実施例および各比較例で用いたコンパウンドとゴム粒子を用いてΦ10mm−高さ7mmの円柱状のボンド磁石を作製した。磁束密度BrはBHカーブトレーサー(理研電子製)により測定した。比較例1にて測定した磁束密度Brを100として相対比較を行った結果を表1に示す。
Figure 2019192926
表1より、比較例1と比べて、実施例1〜4はゴム粒子を含むことにより、磁束密度Brの低下を抑制しつつ、熱衝撃性が向上することを確認した。
(実施例5)
実施例1と同様にしてコンパウンドを作製した。シリコーン生ゴム(耐寒‐120℃、耐熱280℃)22質量%に対して、付加型加硫剤0.1質量%、架橋剤0.4質量%、表面処理を行ったSm−Fe−N系磁性材料77.5質量%を配合し、押出成形機を使用して均一に混合した。次いで、押出成形機にて直径2mm以上4mm以下程度の紐状に成形し、150℃で2時間熱処理してシリコーンゴム磁石を得た。次いで、液体窒素中にてゴム磁石を粉砕し、平均粒径が150μmのゴム磁石粒子を得た。コンパウンド100質量部に対するゴム磁石粒子の質量比率が5.0質量部になるようにコンパウンドとゴム粒子を射出成形機に投入したこと以外は実施例1と同様に行い、複合部材を得た。
(実施例6)
平均粒径が300μmのゴム磁石粒子を得ること以外は実施例5と同様に行い、複合部材を得た。
(実施例7)
平均粒径が500μmのゴム磁石粒子を得ること以外は実施例5と同様に行い、複合部材を得た。
(実施例8)
平均粒径が1mmのゴム磁石粒子を得ること以外は実施例5と同様に行い、複合部材を得た。
(比較例2)
実施例5と同様にしてゴム磁石粒子を得た。実施例1と同様に表面処理を行ったSm−Fe−N系磁性材料91質量%、ポリアミド12を9質量%と得られた平均粒径150μmのゴム磁石粒子を実施例5で加えた量と同等量をミキサーで混合し、得られた混合粉を、2軸混練機を用いて240℃で混練したこと以外は、実施例1と同様にしてコンパウンドを得た。得られたコンパウンドを用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
実施例5〜8、比較例2について、前述と同様にして熱衝撃性および磁束密度Brを測定した結果を表2に示す。
Figure 2019192926
表2より、表1の比較例1と比べて、実施例5〜8はゴム磁石粒子を含むことにより、磁束密度Brを維持しつつ、熱衝撃性が向上することを確認した。また、同じゴム磁石を用いた実施例5と比較例2を比べた場合に、実施例5は熱衝撃性が向上することを確認した。比較例2においては、ゴム磁石粒子を予め加えると、射出成形時の計量トルクが上昇するため、成形温度を高くする必要があった。これにより、熱可塑性樹脂が高温により劣化してしまったため、熱衝撃性の低下を引き起こしたと考えられる。また、射出成形時の圧力が20%ほど高くなった原因は、コンパウンドとゴム磁石粒子を混練する際に、シリコーンゴムの二次加硫が起こり、ゴムの硬度があがったためと考えられる。
(実施例9)
Sm−Fe−N系磁性材料をエチルシリケートおよびシランカップリング剤で表面処理を行った。表面処理を行ったSm−Fe−N系磁性材料91質量%、ポリアミド12を7質量%、ポリアミドエラストマー2質量%をミキサーで混合する。得られた混合粉を、2軸混練機を用いて220℃で混練し、冷却後、適当な大きさに切断しペレット状のコンパウンドを得た。得られたコンパウンドと実施例1と同じゴム粒子を用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
(実施例10)
実施例9で得られたコンパウンドと実施例2と同じゴム粒子を用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
(実施例11)
実施例9で得られたコンパウンドと実施例3と同じゴム粒子を用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
(比較例3)
実施例9で用いたコンパウンドを用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
実施例9〜11および比較例3について、前述と同様にして熱衝撃性および磁束密度を測定した結果を表3に示す。
Figure 2019192926
表3より、比較例3と比べて、実施例9〜11はゴム粒子を含むことにより、磁束密度の低下を抑制しつつ、熱衝撃性が向上することを確認した。
(実施例12)
実施例9で用いたコンパウンドと実施例5と同じゴム磁石粒子を用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
(実施例13)
実施例9で用いたコンパウンドと実施例6と同じゴム磁石粒子を用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
(実施例14)
実施例9で用いたコンパウンドと実施例7と同じゴム磁石粒子を用いて、実施例1と同様に射出成形を行い、複合部材を得た。
実施例12〜14について前述と同様にして熱衝撃性および磁束密度を測定した結果を表4に示す。
Figure 2019192926
表4より実施例12〜14はゴム磁石粒子を含むことにより、磁束密度を維持しつつ、より熱衝撃性が向上することを確認した。
実施例7で作製したボンド磁石の光学顕微鏡による断面写真を図1に示す。図1より磁性粉末と熱可塑性樹脂とゴム磁石粒子を含むボンド磁石の中に、ゴム磁石6が粒子として存在することを確認した。
これらの結果より、ボンド磁石内にゴム粒子が存在することにより、熱衝撃性に優れた環状ボンド磁石を有する複合部材およびその製造方法を提供できることを確認した。
本発明の態様によって得られる環状ボンド磁石を有する複合部材を用いると、熱衝撃性に優れたモーター等の回転機器を得ることが可能となる。そのため、得られる回転機器は、自動車や自動二輪車などにおける燃料ポンプの駆動源として好適に利用可能である。
1:金属部材
2:ボンド磁石
3:磁性粒子
4:熱可塑性樹脂
5:ゴム
6:ゴム磁石粒子

Claims (6)

  1. 略円柱状または略円環状の金属部材と、前記金属部材の外周に設けられた環状ボンド磁石とを備える複合部材であって、
    前記環状ボンド磁石は、熱可塑性樹脂、磁性粒子およびゴム粒子を含む複合部材。
  2. 前記ゴム粒子のうち少なくとも一部が磁性粒子を含むゴム磁石粒子である請求項1に記載の複合部材。
  3. 前記ゴム粒子が、シリコーンゴムを含む請求項1または2に記載の複合部材。
  4. 前記ゴム粒子の平均粒径が0.7μm超1mm未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合部材。
  5. 熱可塑性樹脂と磁性粒子を混練し、コンパウンドを得る工程、および、
    前記コンパウンドとゴム粒子を、略円柱状または略円環状の金属部材と一体成形する工程
    を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合部材の製造方法。
  6. 前記ゴム粒子の添加量が、前記コンパウンド100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下である請求項5に記載の製造方法。
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