JP2019192539A - 超伝導加速空洞の加工装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超伝導加速空洞の加工装置及び方法において、設備コストの増加を抑制すると共に加工精度の向上を図る。【解決手段】研磨液循環装置31と、研磨液循環装置31の研磨液を超伝導加速空洞12の下部から内部に供給する研磨液供給ラインL11と、超伝導加速空洞12の内部に供給された研磨液を超伝導加速空洞12の上部から前記研磨液循環装置31に戻す研磨液戻しラインL12と、超伝導加速空洞12における研磨液の流動方向における一部の温度を調整する温度調整装置32とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、超伝導加速空洞の加工装置及び方法に関するものである。
電子や陽子などの荷電粒子を超伝導加速空洞により加速する超伝導加速器が知られている。この超伝導加速器は、超伝導材料で形成された超伝導加速空洞を冷媒で冷却することで超伝導化する。これにより超伝導加速空洞の電気抵抗がほぼゼロになり、電力損失なく荷電粒子の加速を効率良く行うことができる。
この超伝導加速器で用いられる超伝導加速空洞は、ニオブ金属などの超伝導材料により構成され、内部の空洞の内面に対して化学研磨や高圧水洗浄などの処理がなされて清浄化された後に組み立てられる。この化学研磨処理は、タンクに充填された研磨液をポンプにより超伝導加速空洞の内部に循環させることで、研磨液とニオブ金属の化学反応により超伝導空洞の内面を研磨するものであり、清浄な金属表面を得ることができる。
このような超伝導加速器としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
ところで、超伝導加速器では、加速空洞内にマイクロ波を導入して粒子の加速を行うために、複数の超伝導加速空洞内に同じ周波数のマイクロ波を導入する必要がある。そのため、複数の超伝導加速空洞の共振周波数を、超伝導加速空洞へ投入するマイクロ波の周波数に調整する必要がある。一般的には、超伝導加速空洞の内面を機械的に変形させることにより共振するマイクロ波の周波数の調整を行っている。しかしながら、超伝導加空洞の種類によっては、外力によりつぶすなどの機械的変形では、周波数の調整感度が悪く有効な手段ではない。また、超伝導加空洞によっては、化学研磨により内面の上半分を研磨すると共振周波数が下がり、下半分を研磨すると共振周波数が上がるものがある。このような周波数の調整方法としては、例えば、超伝導加速空洞の下部から内部に所定の高さまで排出ノズルを挿入し、この状態で内部に研磨液を供給する。すると、超伝導加速空洞に供給された研磨液は、排出ノズルの挿入高さで排出されるため、この位置に研磨液の液面が形成される。そのため、超伝導加速空洞は、下部から内部に所定の高さまでの内面だけが研磨されることとなり、共振周波数が調整される。
このように超伝導加速空洞は、内面清浄化のために空洞内部の全面に渡って化学研磨処理を実施した後、超伝導加速空洞の共振周波数を調整するために空洞内部の一部の面に対して化学研磨処理を実施している。そのため、超伝導加速空洞に対して、研磨液を循環するための2つの循環系統が必要となり、設備コストが増加してしまう。また、内面清浄化のための化学研磨処理を実施した面と、共振周波数を調整するための化学研磨処理を実施した面との間に不連続部としての段差が生じてしまう。すると、超伝導加速空洞内にマイクロ波を投入したとき、この段差に電界が集中して異常放電が発生するおそれがある。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、設備コストの増加を抑制すると共に加工精度の向上を図る超伝導加速空洞の加工装置及び方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の超伝導加速空洞の加工装置は、研磨液循環装置と、前記液循環装置の研磨液を超伝導加速空洞の下部から内部に供給する研磨液供給ラインと、前記超伝導加速空洞の内部に供給された研磨液を前記超伝導加速空洞の上部から前記前記研磨液循環装置に戻す研磨液戻しラインと、前記超伝導加速空洞における前記研磨液の流動方向における一部の温度を調整する温度調整装置と、を備えることを特徴とするものである。
従って、研磨液循環装置の研磨液を研磨液供給ラインにより超伝導加速空洞の下部から内部に供給すると、超伝導加速空洞は、内部に供給される研磨液の液面が上昇し、研磨液戻しラインに排出され、研磨液がこの研磨液戻しラインにより研磨液循環装置に戻される。この研磨液が超伝導加速空洞の内部を上方に流動するとき、温度調整装置が超伝導加速空洞における研磨液の流動方向における一部の温度を調整する。すると、超伝導加速空洞は、内面に研磨液が流動しながら接触することで化学反応により研磨処理が施され、内面が凹凸のない平坦面に加工される。また、超伝導加速空洞は、一部の温度が調整されることから、この一部に接触する研磨液の温度が上昇または下降し、一部とその他の部分での研磨厚さが相違することとなり、共振周波数が調整される。その結果、研磨液の循環系統を一系統として設備コストの増加を抑制することができると共に、超伝導加速空洞における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記温度調整装置は、前記超伝導加速空洞の下部側または上部側の温度を調整することを特徴としている。
従って、超伝導加速空洞の下部側と上部側で研磨厚さを相違させることで、共振周波数を容易に調整することができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記温度調整装置は、前記超伝導加速空洞の周方向における一部の温度を調整することを特徴としている。
従って、超伝導加速空洞の内部に欠陥が生じているとき、この欠陥部に温度調整装置を配置することで、欠陥部が積極的に化学研磨され、局所的な欠陥がなだらかな内面となり、異常発熱の原因を取り除き、超伝導状態を維持することができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記温度調整装置は、加熱装置であることを特徴としている。
従って、温度調整装置としての加熱装置により超伝導加速空洞を加熱する部分での研磨厚さを、他の部分での研磨厚さに比べて大きくすることで、共振周波数を容易に調整することができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記加熱装置は、電気ヒータであることを特徴としている。
従って、加熱装置を電気ヒータとすることで、構造の簡素化を図ることができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記加熱装置は、前記超伝導加速空洞と前記超伝導加速空洞の外側に配置される冷媒槽との隙間空間に熱媒体を供給する熱媒体供給装置であることを特徴としている。
従って、熱媒体供給装置により既存の隙間空間に対して熱媒体を供給して超伝導加速空洞を加熱することで、設備コストの増加を抑制することができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記温度調整装置は、前記超伝導加速空洞の下部側を加熱する前記加熱装置と、前記超伝導加速空洞の上部側の冷却する冷却装置とを有することを特徴としている。
従って、加熱装置により超伝導加速空洞の下部側を加熱し、冷却装置により超伝導加速空洞の上部側を冷却することで、超伝導加速空洞内を上昇する研磨液の温度差を確保し、超伝導加速空洞の下部側と上部側での研磨厚さ偏差を大きくして共振周波数を容易に調整することができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記研磨液循環装置は、研磨液を貯留する貯留槽と、前記研磨液供給ラインに研磨液を供給するポンプと、前記貯留槽に貯留される研磨液を冷却する研磨液冷却装置とを有することを特徴としている。
従って、研磨液冷却装置により貯留槽に貯留される研磨液を冷却することで、超伝導加速空洞に供給する研磨材を常時最適温度に維持することができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記超伝導加速空洞の内面に対する研磨液の流動方向における研磨厚さ偏差を計測する研磨厚さ計測センサと、予め設定された研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップと前記研磨厚さ計測センサの計測結果に基づいて前記温度調整装置を制御する制御装置とが設けられることを特徴としている。
従って、温度調整装置を研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップに基づいて制御されることから、超伝導加速空洞の共振周波数を高精度に調整することができると共に、超伝導加速空洞における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記超伝導加速空洞の内面に対する研磨液の流動方向における研磨厚さ偏差を計測する研磨厚さ計測センサと、予め設定された研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップと前記研磨厚さ計測センサの計測結果に基づいて前記研磨液循環装置により前記超伝導加速空洞に供給する研磨液の供給量を制御する制御装置とが設けられることを特徴としている。
従って、研磨液循環装置を研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップに基づいて制御されることから、超伝導加速空洞の共振周波数を高精度に調整することができると共に、超伝導加速空洞における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記研磨液供給ラインを流動する研磨液の温度を計測する第1温度センサと、前記研磨液戻しラインを流動する研磨液の温度を計測する第2温度センサとが設けられ、前記制御装置は、前記第1温度センサと前記第2温度センサの計測結果に基づいて前記温度調整装置または前記研磨液循環装置を制御することを特徴としている。
従って、研磨液供給ラインを流動する研磨液の温度と研磨液戻しラインを流動する研磨液の温度に応じて温度調整装置または研磨液循環装置を制御することから、超伝導加速空洞の共振周波数を高精度に調整することができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置では、前記研磨液循環装置により前記超伝導加速空洞に供給する研磨液の供給量を計測する流量センサが設けられ、前記制御装置は、前記流量センサの計測結果に基づいて前記研磨液循環装置を制御することを特徴としている。
従って、超伝導加速空洞に供給する研磨液の供給量に基づいて研磨液循環装置を制御することから、超伝導加速空洞の共振周波数を高精度に調整することができる。
また、本発明の超伝導加速空洞の加工方法は、研磨液を超伝導加速空洞の下部から内部に供給すると共に上部から排出する工程と、前記超伝導加速空洞における前記研磨液の流動方向における一部の温度を調整する工程と、を有することを特徴とするものである。
従って、超伝導加速空洞は、一部の温度が調整されることから、この一部に接触する研磨液の温度が上昇または下降し、一部とその他の部分での研磨厚さが相違することとなり、共振周波数が調整される。その結果、研磨液の循環系統を一系統として設備コストの増加を抑制することができると共に、超伝導加速空洞における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
本発明の超伝導加速空洞の加工装置及び方法によれば、設備コストの増加を抑制することができると共に、加工精度の向上を図ることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る超伝導加速空洞の加工装置及び方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
まず、超伝導加速器について説明する。図1は、第1実施形態の超伝導加速器を表す概略図である。
まず、超伝導加速器について説明する。図1は、第1実施形態の超伝導加速器を表す概略図である。
図1に示すように、超伝導加速器10は、例えば、同軸1/4波長型超伝導加速器(QWR:Quarter Wave Resonator)である。超伝導加速器10は、冷媒槽11と、超伝導加速空洞(以下、加速空洞)12とを備える。加速空洞12は、内部空間R1を有し、電子や陽子などの荷電粒子からなる荷電粒子ビームBを加速するものである。加速空洞12は、冷媒槽11内に配置される。冷媒槽11は、加速空洞12との間の隙間空間R2を有し、この隙間空間R2に冷媒が充填される。
冷媒槽11は、鉛直方向に沿う中心軸C1を有する中空円柱形状をなす真空容器であり、円筒部11aと、上端部11bと、下端部11cとから構成されている。冷媒槽11は、上端部11bに冷媒供給口20が設けられる。冷媒槽11は、この冷媒供給口20から隙間空間R2に冷媒(例えば、液体ヘリウムなど)が供給され、加速空洞12の外周面に接触する。
加速空洞12は、ニオブなどの超伝導材料により形成され、鉛直方向に連続する中空チャンバ形状をなしている。この加速空洞12は、冷媒槽11の内面との間に隙間空間R2が確保されている。また、加速空洞12は、下部に鉛直方向に沿って中心軸C1に直交する中心軸C2を有するビーム導入管21とビーム導出管22が配置されている。ビーム導入管21とビーム導出管22は、円筒形状をなし、中心軸C2の方向に対向する位置に設けられている。ビーム導入管21とビーム導出管22は、一端部が加速空洞12に連通し、他端部が径方向の外方に向かって延出し、冷媒槽11の円筒部11aを貫通して外方に突出している。
加速空洞12は、中心軸C1に沿って鉛直方向の下方に延出するステム23が設けられている。ステム23は、加速空洞12の上端部から下方に向かって凹み、上方から下方に向けて内径が徐々に小さくなっている。ステム23は、下端部に中心軸C2に沿ってビーム流通管部24が形成されている。ビーム流通管部24は、ビーム導入管21およびビーム導出管22と同軸状に設けられている。ステム23は、下端部にビーム流通管部24が設けられることで、環状流路25が形成される。
加速空洞12は、上端部に冷媒槽11の上端部11bを貫通して接続口26が設けられている。加速空洞12は、この接続口26を通して図示しない真空ポンプなどが接続可能となっており、真空ポンプにより真空引きすることで加速空洞12の内部を真空状態とすることができる。
また、加速空洞12は、下端部に冷媒槽11の下端部11cを貫通して入力結合部27が設けられている。加速空洞12は、入力結合部27から高周波の電力が入力されることで、内部空間R1に荷電粒子ビームBを加速する電界が発生する。
このように構成された超伝導加速器10は、冷媒槽11の隙間空間R2に供給された冷媒によって加速空洞12が冷却され、超伝導状態とされる。荷電粒子ビームBは、加速空洞12のビーム導入管21から加速空洞12内に入り、ステム23のビーム流通管部24を経てビーム導出管22から加速空洞12の外部に送り出される。超伝導加速器10は、荷電粒子ビームBの粒子流路に沿って複数連接される。隣接する超伝導加速器10同士は、一方の超伝導加速器10のビーム導入管21と他方の超伝導加速器10のビーム導出管22が接続管を介し接続される。
次に、第1実施形態の超伝導加速空洞の加工装置及び方法について説明する。図2は、第1実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図、図3は、研磨液温度に対する研磨厚さ偏差を表すグラフである。
図2に示すように、超伝導加速空洞の加工装置30は、研磨液循環装置31と、研磨液供給ラインL11と、研磨液戻しラインL12と、温度調整装置32を備えている。
研磨液循環装置31は、貯留槽41と、ポンプ42と、研磨液冷却装置43とを有している。貯留槽41は、内部に所定量の研磨液を貯留することができる。ここで、研磨液とは、例えば、フッ化水素酸と硝酸とリン酸の混合液である。研磨液供給ラインL11は、一端部が貯留槽41に接続され、他端部が超伝導加速器10における超伝導加速空洞12の下部に設けられる入力結合部27に接続される。研磨液戻しラインL12は、一端部が超伝導加速器10における超伝導加速空洞12の上部に設けられる接続口26に接続され、他端部が貯留槽41に接続される。ポンプ42は、研磨液供給ラインL11に設けられており、貯留槽41の研磨液を研磨液供給ラインL11により超伝導加速空洞12に供給するものである。
研磨液冷却装置43は、熱交換器であり、貯留槽41に貯留される研磨液を冷却するものである。研磨液冷却装置43は、熱交換部44と、冷却水供給ラインL13と、冷却水戻しラインL14と、冷却水迂回ラインL15と、ポンプ45と、三方弁46とを有している。熱交換部44は、貯留槽41の研磨液内に配置されている。冷却水供給ラインL13は、一端部が研磨液冷却装置43に接続され、他端部が熱交換部44に接続されている。冷却水戻しラインL14は、一端部が熱交換部44に接続され、他端部が研磨液冷却装置43に接続されている。冷却水迂回ラインL15は、一端部が冷却水供給ラインL13の中途部に接続され、他端部が冷却水戻しラインL14の中途部に接続されている。ポンプ45は、冷却水供給ラインL13における冷却水迂回ラインL15の接続部より研磨液冷却装置43側に設けられている。三方弁46は、冷却水供給ラインL13と冷却水迂回ラインL15の接続部に設けられている。
温度調整装置32は、超伝導加速空洞12における研磨液の流動方向における一部の温度を調整するものである。温度調整装置32は、超伝導加速器10の下部側における外側に配置される。温度調整装置32は、ジャケット式の電気ヒータ47であって、超伝導加速器10における冷媒槽11の下部の外面全周を被覆するように装着される。温度調整装置32としての電気ヒータ47は、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の下部を加熱して温度を調整する。この場合、冷媒槽11と超伝導加速空洞12との間の隙間空間R2に熱伝導部材を充填しておくことが望ましい。
そのため、研磨液循環装置31にて、ポンプ42を駆動して貯留槽41の研磨液を研磨液供給ラインL11から入力結合部27を介して超伝導加速空洞12の下部に供給する。すると、超伝導加速空洞12は、下部から研磨液が充填されて液面が上昇し、研磨液が上部の接続口26を介して研磨液戻しラインL12に排出され、研磨液戻しラインL12により貯留槽41に戻される。このとき、温度調整装置32としての電気ヒータ47が作動することで、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の下部を加熱する。
超伝導加速空洞12は、ニオブ金属などの超伝導材料により構成され、内面に研磨液が流動しながら接触することで化学反応により研磨処理が施され、内面が凹凸のない平坦面に加工される。また、超伝導加速空洞12は、下部が電気ヒータ47により加熱されることから、下部の内面に接触する研磨液も加熱されて温度が上昇する。図3に示すように、研磨液温度に対する単位時間当たりの研磨厚さは、研磨液温度の上昇に伴って増加する傾向にある。すると、超伝導加速空洞12は、下部の内面における研磨厚さが上部の内面における研磨厚さより大きくなる。そのため、超伝導加速空洞12は、上部と下部で内径が相違することとなり、共振周波数が調整される。
このとき、図2に示すように、電気ヒータ47により超伝導加速空洞12の下部を加熱することで研磨液の温度が上昇するが、研磨液は、超伝導加速空洞12の内部を上昇することから、超伝導加速空洞12の下部と上部の温度偏差は小さい。そのため、超伝導加速空洞12は、下部の内面と上部の内面との研磨厚さ偏差は小さく、大きな段差が形成されることはない。また、研磨液冷却装置43は、ポンプ35を駆動し、冷却水を冷却水供給ラインL13から熱交換部44に供給することで、貯留槽41に貯留される研磨液を冷却する。このとき、三方弁36により熱交換部44に供給する冷却水量を調整することで、貯留槽41に貯留される研磨液の温度を適正温度に維持することができ、常時、所定温度の研磨液を超伝導加速空洞12に供給することができる。
このように第1実施形態の超伝導加速空洞の加工装置にあっては、研磨液循環装置31と、研磨液循環装置31の研磨液を超伝導加速空洞12の下部から内部に供給する研磨液供給ラインL11と、超伝導加速空洞12の内部に供給された研磨液を超伝導加速空洞12の上部から前記研磨液循環装置31に戻す研磨液戻しラインL12と、超伝導加速空洞12における研磨液の流動方向における一部の温度を調整する温度調整装置32とを備える。
従って、超伝導加速空洞12は、温度調整装置32により一部の温度が調整されることから、この一部に接触する研磨液の温度が上昇または下降し、一部とその他の部分での研磨厚さが相違することとなり、共振周波数が調整される。その結果、研磨液の循環系統を一系統として設備コストの増加を抑制することができると共に、超伝導加速空洞12における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
第1実施形態の超伝導加速空洞の加工装置では、温度調整装置32は、超伝導加速空洞12の下部側の温度を調整する。従って、超伝導加速空洞12の下部側と上部側で研磨厚さを相違させることで、共振周波数を容易に調整することができる。
第1実施形態の超伝導加速空洞の加工装置では、温度調整装置32を加熱装置としての電気ヒータ47としている。従って、超伝導加速空洞12を加熱する部分での研磨厚さ促進させることで、共振周波数を容易に調整することができる。また、構造の簡素化を図ることができる。
第1実施形態の超伝導加速空洞の加工装置では、研磨液循環装置31として、研磨液を貯留する貯留槽41と、研磨液供給ラインL11に研磨液を供給するポンプ42と、貯留槽41に貯留される研磨液を冷却する研磨液冷却装置43とを有する。従って、研磨液冷却装置43により貯留槽41に貯留される研磨液を冷却することで、超伝導加速空洞12に供給する研磨材を常時最適温度に維持することができる。
また、第1実施形態の超伝導加速空洞の加工方法にあっては、研磨液を超伝導加速空洞12の下部から内部に供給すると共に上部から排出する工程と、超伝導加速空洞12における研磨液の流動方向における一部の温度を調整する工程とを有する。
従って、超伝導加速空洞12は、一部の温度が調整されることから、この一部に接触する研磨液の温度が上昇または下降し、一部とその他の部分での研磨厚さが相違することとなり、共振周波数が調整される。その結果、研磨液の循環系統を一系統として設備コストの増加を抑制することができると共に、超伝導加速空洞12における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図4は、第2実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図4に示すように、超伝導加速空洞の加工装置30Aは、研磨液循環装置31と、研磨液供給ラインL11と、研磨液戻しラインL12と、温度調整装置32を備えている。ここで、研磨液循環装置31と研磨液供給ラインL11と研磨液戻しラインL12は、第1実施形態とほぼ同様の構成であることから、説明は省略する。
温度調整装置32は、超伝導加速空洞12における研磨液の流動方向における一部の温度を調整するものである。温度調整装置32は、超伝導加速器10の上部側における外側に配置される。温度調整装置32としての電気ヒータ47は、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の上部を加熱して温度を調整する。
そのため、研磨液循環装置31により研磨液を研磨液供給ラインL11から超伝導加速空洞12の下部に供給し、上部から研磨液戻しラインL12により貯留槽41に戻す。このとき、温度調整装置32としての電気ヒータ47が作動することで、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の上部を加熱する。
超伝導加速空洞12は、内面に研磨液が流動しながら接触することで化学反応により研磨処理が施され、内面が凹凸のない平坦面に加工される。また、超伝導加速空洞12は、上部が電気ヒータ47により加熱されることから、上部の内面に接触する研磨液も加熱されて温度が上昇する。すると、超伝導加速空洞12は、上部の内面における研磨厚さが下部の内面における研磨厚さより大きくなる。そのため、超伝導加速空洞12は、上部と下部で内径が相違することとなり、共振周波数が調整される。
このとき、電気ヒータ47により超伝導加速空洞12の上部を加熱することで研磨液の温度が上昇するが、研磨液は、超伝導加速空洞12の内部を上昇することから、超伝導加速空洞12の下部と上部の温度偏差は大きい。そのため、超伝導加速空洞12は、下部の内面と上部の内面との研磨厚さ偏差は大きく、大きな段差が形成することができる。但し、研磨液は、下部を流動する領域と上部を流動する領域で局所的に大きく温度変化するものではないことから、超伝導加速空洞12の内面に不連続な段差が発生することはない。
このように第2実施形態の超伝導加速空洞の加工装置にあっては、温度調整装置32は、超伝導加速空洞12の上部側の温度を調整する加熱装置としての電気ヒータ47である。従って、超伝導加速空洞12の下部側と上部側で研磨厚さを相違させることで、共振周波数を容易に調整することができる。また、研磨液は、超伝導加速空洞12の内部を上昇し、温度調整装置32が超伝導加速空洞12の上部側、つまり、下流側の温度を調整することから、超伝導加速空洞12の下部と上部での温度偏差が大きくなり、研磨厚さ偏差を大きくすることができる。
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図5は、第3実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態において、図5に示すように、超伝導加速空洞の加工装置30Bは、研磨液循環装置31と、研磨液供給ラインL11と、研磨液戻しラインL12と、温度調整装置32を備えている。ここで、研磨液循環装置31と研磨液供給ラインL11と研磨液戻しラインL12は、第1実施形態とほぼ同様の構成であることから、説明は省略する。
温度調整装置32は、超伝導加速空洞12における研磨液の流動方向における一部の温度を調整するものである。温度調整装置32は、超伝導加速器10の軸方向及び周方向における一部の温度を調整するものである。温度調整装置32は、超伝導加速器10の軸方向の中間部で周方向における一部における外側に配置される。温度調整装置32としての電気ヒータ47は、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の一部を加熱して温度を調整する。
超伝導加速空洞12は、素材であるニオブ材料の内部に欠陥が生じていることがあり、この欠陥が化学研磨によって表面に露出し、表面に局所的なくぼみが形成される。超伝導加速空洞12は、局所的なくぼみがあると、マイクロ波を導入したときに局所的な発熱の原因となり、超伝導状態を維持することができずに性能が低下してしまう。そのため、本実施形態では、この局所的なくぼみに対応する領域に温度調整装置32(電気ヒータ47)を配置する。すると、超伝導加速空洞12の局所的なくぼみが温度調整装置32により加熱されることで、この領域が積極的に化学研磨され、局所的なくぼみがなだらかな内面となり、異常発熱の原因を取り除き、超伝導状態を維持することができるようになる。なお、度調整装置32の作用効果は、第1実施形態とほぼ同様の構成であることから、説明は省略する。
このように第3実施形態の超伝導加速空洞の加工装置にあっては、温度調整装置32は、超伝導加速空洞12の周方向における一部の温度を調整する加熱装置としての電気ヒータ47である。従って、超伝導加速空洞12の内部に欠陥が生じているとき、この欠陥部に電気ヒータ47を配置することで、欠陥部が積極的に化学研磨され、局所的な欠陥がなだらかな内面となり、異常発熱の原因を取り除き、超伝導状態を維持することができる。
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図6は、第4実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第4実施形態において、図6に示すように、超伝導加速空洞の加工装置30Cは、研磨液循環装置31と、研磨液供給ラインL11と、研磨液戻しラインL12と、温度調整装置50を備えている。ここで、研磨液循環装置31と研磨液供給ラインL11と研磨液戻しラインL12は、第1実施形態とほぼ同様の構成であることから、説明は省略する。
温度調整装置50は、超伝導加速空洞12における研磨液の流動方向における一部の温度を調整するものである。超伝導加速器10は、冷媒槽11と、超伝導加速空洞12とを備え、加速空洞12は、冷媒槽11内に配置され、両者の間に隙間空間R2が確保される。温度調整装置50は、加熱装置であって、超伝導加速空洞12と超伝導加速空洞12の外側に配置される冷媒槽11との隙間空間R2に熱媒体を供給する熱媒体供給装置51である。熱媒体供給装置51は、隙間空間R2に熱媒体を供給する熱媒体供給ラインL16を有している。このとき、熱媒体供給装置51は、熱媒体供給ラインL16により隙間空間R2の下部側だけに熱媒体を供給することで、超伝導加速空洞12の下部を加熱して温度を調整する。
そのため、研磨液循環装置31により研磨液を研磨液供給ラインL11から超伝導加速空洞12の下部に供給し、上部から研磨液戻しラインL12により貯留槽41に戻す。このとき、温度調整装置50としての熱媒体供給装置51は、熱媒体供給ラインL16により隙間空間R2の下部側だけに熱媒体を供給することで、超伝導加速空洞12の下部を加熱する。
超伝導加速空洞12は、内面に研磨液が流動しながら接触することで化学反応により研磨処理が施され、内面が凹凸のない平坦面に加工される。また、超伝導加速空洞12は、下部が熱媒体により加熱されることから、下部の内面に接触する研磨液も加熱されて温度が上昇する。すると、超伝導加速空洞12は、下部の内面における研磨厚さが上部の内面における研磨厚さより大きくなる。そのため、超伝導加速空洞12は、上部と下部で内径が相違することとなり、共振周波数が調整される。
このように第4実施形態の超伝導加速空洞の加工装置にあっては、温度調整装置50は、超伝導加速空洞12と冷媒槽11との隙間空間R2に熱媒体を供給する熱媒体供給装置51である。従って、熱媒体供給装置51により既存の隙間空間R2に対して熱媒体を供給して超伝導加速空洞12を加熱することで、設備コストの増加を抑制することができる。
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図7は、第5実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第5実施形態において、図7に示すように、超伝導加速空洞の加工装置30Dは、研磨液循環装置31と、研磨液供給ラインL11と、研磨液戻しラインL12と、温度調整装置60を備えている。ここで、研磨液循環装置31と研磨液供給ラインL11と研磨液戻しラインL12は、第1実施形態とほぼ同様の構成であることから、説明は省略する。
温度調整装置60は、超伝導加速空洞12の下部側を加熱する加熱装置としての電気ヒータ47と、超伝導加速空洞12の上部側の冷却する冷却装置61とを有する。電気ヒータ47は、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の下部を加熱して温度を調整する。冷却装置61は、超伝導加速器10の上部側における外側に配置される。冷却装置61は、冷却ジャケット62と、冷媒循環装置63と、冷媒供給ラインL17と、冷媒戻しラインL18とを有し、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の上部を冷却して温度を調整する。
そのため、研磨液循環装置31により研磨液を研磨液供給ラインL11から超伝導加速空洞12の下部に供給し、上部から研磨液戻しラインL12により貯留槽41に戻す。このとき、電気ヒータ47が作動することで、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の下部を加熱する。また、冷媒循環装置63が作動し、冷却水を冷媒供給ラインL17から冷却ジャケット62内に供給し、冷媒戻しラインL18により戻すことで、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12の上部を加熱する。
超伝導加速空洞12は、内面に研磨液が流動しながら接触することで化学反応により研磨処理が施され、内面が凹凸のない平坦面に加工される。また、超伝導加速空洞12は、下部が電気ヒータ47により加熱され、上部が冷却装置61により冷却されることから、下部の内面に接触する研磨液が加熱されて温度が上昇し、上部の内面に接触する研磨液が冷却されて温度が下降する。すると、超伝導加速空洞12は、下部の内面における研磨厚さが上部の内面における研磨厚さより大きくなる。そのため、超伝導加速空洞12は、上部と下部で内径が相違することとなり、共振周波数が調整される。
このとき、研磨液は、超伝導加速空洞12の内部を上昇するとき、下部で電気ヒータ47により加熱されて温度上昇し、上部で冷却装置61により冷却されて温度低下することから、超伝導加速空洞12の下部と上部の温度偏差は大きい。そのため、超伝導加速空洞12は、下部の内面と上部の内面との研磨厚さ偏差は大きく、大きな段差が形成することができる。但し、研磨液は、下部を流動する領域と上部を流動する領域で局所的に大きく温度変化するものではないことから、超伝導加速空洞12の内面に不連続な段差が発生することはない。
このように第5実施形態の超伝導加速空洞の加工装置にあっては、温度調整装置60として、超伝導加速空洞12の下部側を加熱する加熱装置としての電気ヒータ47と、超伝導加速空洞12の上部側の冷却する冷却装置61とを有する。従って、電気ヒータ47により超伝導加速空洞12の下部側を加熱し、冷却装置61により超伝導加速空洞12の上部側の冷却することで、超伝導加速空洞12内を上昇する研磨液の温度差を確保し、超伝導加速空洞12の下部側と上部側での研磨厚さ偏差を大きくして共振周波数を容易に調整することができる。
[第6実施形態]
図8は、第6実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図、図9は、研磨時間に対する研磨厚さ偏差を表すグラフである。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図8は、第6実施形態の超伝導加速空洞の加工装置を表す概略図、図9は、研磨時間に対する研磨厚さ偏差を表すグラフである。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第6実施形態において、図8に示すように、超伝導加速空洞の加工装置30Eは、研磨液循環装置31と、研磨液供給ラインL11と、研磨液戻しラインL12と、温度調整装置32と、制御装置80を備えている。ここで、研磨液循環装置31と研磨液供給ラインL11と研磨液戻しラインL12と温度調整装置32は、第1実施形態とほぼ同様の構成であることから、説明は省略する。なお、本実施形態では、超伝導加速器10の製造途中で、冷媒槽11のない超伝導加速空洞12単体に対して加工を行うものである。
研磨液供給ラインL11を流動する研磨液の温度を計測する第1温度センサ81が設けられると共に、研磨液戻しラインL12を流動する研磨液の温度を計測する第2温度センサ82が設けられている。また、研磨液循環装置31により研磨液供給ラインL11を流動して超伝導加速空洞12に供給される研磨液の供給量を計測する流量センサ83が設けられている。この場合、流量センサ83は、流速センサであってもよい。更に、超伝導加速空洞12の内面における研磨液による研磨厚さを計測する超音波センサ(研磨厚さ計測センサ)84,85が設けられている。第1超音波センサ84は、超伝導加速空洞12の下部の内面における研磨厚さを計測し、第2超音波センサ85は、超伝導加速空洞12の上部の内面における研磨厚さを計測する。
制御装置80は、第1温度センサ81、第2温度センサ82、流量センサ83、第1超音波センサ84、第2超音波センサ85の計測結果が入力される。制御装置80は、この計測結果と予め設定された研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップに基づいて研磨液循環装置31と温度調整装置32を制御する。ここで、制御装置80は、第1超音波センサ84が検出した超伝導加速空洞12の下部の内面における研磨厚さと、第2超音波センサ85が検出した超伝導加速空洞12の上部の内面における研磨厚さとを比較することで、研磨厚さ偏差を算出する。
研磨材の温度と研磨材の単位時間当たりの流量(研磨材の流速)と単位時間当たりの研磨厚さとは比例関係にある。即ち、研磨材の温度が上昇すると、単位時間当たりの研磨厚さが増加する。また、研磨材の単位時間当たりの流量が増加すると、単位時間当たりの研磨厚さが減少する。そのため、研磨材により超伝導加速空洞12の内面に対して研磨処理が施すことで共振周波数の調整を実施するとき、図9に示すように、研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップが設定されている。ここで、研磨厚さ偏差とは、超伝導加速空洞12の下部の研磨厚さと、超伝導加速空洞12の上部の研磨厚さとの差であり、この研磨厚さ偏差を所定値とすることで、超伝導加速空洞12の共振周波数を所定の共振周波数に調整することができる。
制御装置80は、研磨時間に対して研磨厚さ偏差が低下すると、研磨液循環装置31により加熱温度を上昇させ、研磨時間に対して研磨厚さ偏差が増加すると、研磨液循環装置31により加熱温度を低下させる。また、制御装置80は、研磨時間に対して研磨厚さ偏差が低下すると、温度調整装置32により研磨材の供給量(供給速度)を低下させ、研磨時間に対して研磨厚さ偏差が増加すると、温度調整装置32により研磨材の供給量(供給速度)を上昇させる。
このとき、制御装置80は、研磨液供給ラインL11を流動する研磨液の温度と、研磨液戻しラインL12を流動する研磨液の温度と、研磨液供給ラインL11を流動する研磨液の供給量(供給速度)を監視している。そして、制御装置80は、研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップの拘わらず、研磨液の温度上限値や下限値を超えないように、または、研磨液の流量上限値や下限値を超えないようにて研磨液循環装置31と温度調整装置32を制御する。
第6実施形態の超伝導加速空洞の加工装置にあっては、超伝導加速空洞12の内面に対する研磨液の流動方向における研磨厚さ偏差を計測する超音波センサ84,85と、予め設定された研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップと超音波センサ84,85の計測結果に基づいて温度調整装置32を制御する制御装置80とを設けている。
従って、超伝導加速空洞12の共振周波数を高精度に調整することができると共に、超伝導加速空洞12における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
第6実施形態の超伝導加速空洞の加工装置では、制御装置80は、予め設定された研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップと超音波センサ84,85の計測結果に基づいて研磨液循環装置31により超伝導加速空洞12に供給する研磨液の供給量を制御する。従って、超伝導加速空洞12の共振周波数を高精度に調整することができると共に、超伝導加速空洞12における不連続な段差の発生を抑制して加工精度の向上を図ることができる。
第6実施形態の超伝導加速空洞の加工装置では、研磨液供給ラインL11を流動する研磨液の温度を計測する第1温度センサ81と、研磨液戻しラインL12を流動する研磨液の温度を計測する第2温度センサ82とを設け、制御装置80は、第1温度センサ81と第2温度センサ82の計測結果に基づいて温度調整装置32または研磨液循環装置31を制御する。従って、超伝導加速空洞12の共振周波数を高精度に調整することができる。
第6実施形態の超伝導加速空洞の加工装置では、研磨液循環装置31により超伝導加速空洞12に供給する研磨液の供給量を計測する流量センサ83を設け、制御装置80は、流量センサ83の計測結果に基づいて研磨液循環装置31を制御する。従って、超伝導加速空洞12の共振周波数を高精度に調整することができる。
なお、上述した第1実施形態から第5実施形態では、温度調整装置を超伝導加速器10における冷媒槽11の外側に配置し、冷媒槽11を介して超伝導加速空洞12を加熱または冷却するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、第6実施形態のように、超伝導加速器10の製造途中で、超伝導加速空洞12の外側に温度調整装置を配置し、超伝導加速空洞12を直接加熱または冷却しながら研磨処理を実施するように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、温度調整装置を加熱装置だけで構成したり、加熱装置と冷却装置により構成したりしたが、温度調整装置を冷却装置だけで構成したりしてもよい。更に、加熱装置と冷却装置は、上述したものに限定されるものではない。
10 超伝導加速器
11 冷媒槽
12 超伝導加速空洞
20 冷媒供給口
21 ビーム導入管
22 ビーム導出管
23 ステム
24 ビーム流通管部
25 環状流路
26 接続口
27 入力結合部
30,30A,30B,30C,30D,30E 超伝導加速空洞の加工装置
32,50,60 温度調整装置
41 貯留槽
42 ポンプ
43 研磨液冷却装置
44 熱交換部
45 ポンプ
46 三方弁
47 電気ヒータ
51 熱媒体供給装置
61 冷却装置
62 冷却ジャケット
63 冷媒循環装置
80 制御装置
81 第1温度センサ
82 第2温度センサ
83 流量センサ
84 第1超音波センサ
85 第2超音波センサ
B 荷電粒子ビーム
C1,C2 中心軸
R1 内部空間
R2 隙間空間
L11 研磨液供給ライン
L12 研磨液戻しライン
L13 冷却水供給ライン
L14 冷却水戻しライン
L15 冷却水迂回ライン
L16 熱媒体供給ライン
L17 冷媒供給ライン
L18 冷媒戻しライン
11 冷媒槽
12 超伝導加速空洞
20 冷媒供給口
21 ビーム導入管
22 ビーム導出管
23 ステム
24 ビーム流通管部
25 環状流路
26 接続口
27 入力結合部
30,30A,30B,30C,30D,30E 超伝導加速空洞の加工装置
32,50,60 温度調整装置
41 貯留槽
42 ポンプ
43 研磨液冷却装置
44 熱交換部
45 ポンプ
46 三方弁
47 電気ヒータ
51 熱媒体供給装置
61 冷却装置
62 冷却ジャケット
63 冷媒循環装置
80 制御装置
81 第1温度センサ
82 第2温度センサ
83 流量センサ
84 第1超音波センサ
85 第2超音波センサ
B 荷電粒子ビーム
C1,C2 中心軸
R1 内部空間
R2 隙間空間
L11 研磨液供給ライン
L12 研磨液戻しライン
L13 冷却水供給ライン
L14 冷却水戻しライン
L15 冷却水迂回ライン
L16 熱媒体供給ライン
L17 冷媒供給ライン
L18 冷媒戻しライン
Claims (13)
- 研磨液循環装置と、
前記研磨液循環装置の研磨液を超伝導加速空洞の下部から内部に供給する研磨液供給ラインと、
前記超伝導加速空洞の内部に供給された研磨液を前記超伝導加速空洞の上部から前記研磨液循環装置に戻す研磨液戻しラインと、
前記超伝導加速空洞における前記研磨液の流動方向における一部の温度を調整する温度調整装置と、
を備えることを特徴とする超伝導加速空洞の加工装置。 - 前記温度調整装置は、前記超伝導加速空洞の下部側または上部側の温度を調整することを特徴とする請求項1に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記温度調整装置は、前記超伝導加速空洞の周方向における一部の温度を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記温度調整装置は、加熱装置であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記加熱装置は、電気ヒータであることを特徴とする請求項4に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記加熱装置は、前記超伝導加速空洞と前記超伝導加速空洞の外側に配置される冷媒槽との隙間空間に熱媒体を供給する熱媒体供給装置であることを特徴とする請求項4に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記温度調整装置は、前記超伝導加速空洞の下部側を加熱する前記加熱装置と、前記超伝導加速空洞の上部側の冷却する冷却装置とを有することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記研磨液循環装置は、研磨液を貯留する貯留槽と、前記研磨液供給ラインに研磨液を供給するポンプと、前記貯留槽に貯留される研磨液を冷却する研磨液冷却装置とを有することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記超伝導加速空洞の内面に対する研磨液の流動方向における研磨厚さ偏差を計測する研磨厚さ計測センサと、予め設定された研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップと前記研磨厚さ計測センサの計測結果に基づいて前記温度調整装置を制御する制御装置とが設けられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記超伝導加速空洞の内面に対する研磨液の流動方向における研磨厚さ偏差を計測する研磨厚さ計測センサと、予め設定された研磨時間に対する研磨厚さ偏差のマップと前記研磨厚さ計測センサの計測結果に基づいて前記研磨液循環装置により前記超伝導加速空洞に供給する研磨液の供給量を制御する制御装置とが設けられることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記研磨液供給ラインを流動する研磨液の温度を計測する第1温度センサと、前記研磨液戻しラインを流動する研磨液の温度を計測する第2温度センサとが設けられ、前記制御装置は、前記第1温度センサと前記第2温度センサの計測結果に基づいて前記温度調整装置または前記研磨液循環装置を制御することを特徴とする請求項9または請求項10のいずれか一項に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 前記研磨液循環装置により前記超伝導加速空洞に供給する研磨液の供給量を計測する流量センサが設けられ、前記制御装置は、前記流量センサの計測結果に基づいて前記研磨液循環装置を制御することを特徴とする請求項10に記載の超伝導加速空洞の加工装置。
- 研磨液を超伝導加速空洞の下部から内部に供給すると共に上部から排出する工程と、
前記超伝導加速空洞における研磨液の流動方向における一部の温度を調整する工程と、
を有することを特徴とする超伝導加速空洞の加工方法。
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- 2018-04-26 JP JP2018085264A patent/JP7071866B2/ja active Active
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- 2019-04-24 WO PCT/JP2019/017523 patent/WO2019208664A1/ja active Application Filing
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