JP2019190883A - 新規肺がんマーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】新規肺がんマーカーの提供。【解決手段】被検対象由来の生体試料におけるCHL1タンパク質を肺がんマーカーとし、該肺がんマーカーの値に基づいて肺がんが診断される。【選択図】図2

Description

本発明は診断技術に関し、より詳細には肺がんの診断技術に関する。
生体試料中、特に血清中の腫瘍マーカーは、がんのスクリーニングといったがんの補助的な診断方法や、手術後の予後判断材料や治療効果の判断材料として使用されている。肺がんマーカーとしては、CYFRA21−1、CEA、SCC、SLX(Sialyl Lewis X)、CA125などが使用されてきたが、感度や特異性が高いとは言えず、より優れた感度及び特異性を有する肺がんマーカーが望まれていた。
細胞接着分子であるCHL1(Close homolog of L1)の遺伝子発現を肺がんを含む種々のがんにおいて調べたことが非特許文献1で報告されている。
しかしながら、該文献の遺伝子発現解析では、肺がんではCHL1が増加する場合と減少する場合の両方が示されており、CHL1と肺がんとの関係が明らかではない。また遺伝子レベルの解析からでは、肺がん組織においてCHL1タンパク質が発現しているかは不明であり、肺がん組織から血清中へのCHL1タンパク質の漏出についても、不明であった。
PLoS ONE, 6, 3, e15612(2011)
本発明は、肺がん診断の新規マーカーを提供することを課題とする。
本発明者らは、マウス肺がんモデルであるEML4(echinoderm microtubule−associated protein−like 4)−ALK(a
naplastic lymphoma kinase)−TG(transgenic)マウスを使用して解析した結果、CHL1がエキソソームだけでなく、その切断型(truncated form)として血清中に存在し、野生型マウス血清より多くのCHL1が検出されることを見出した。
また、マウス肺がんモデル動物EML4−ALK−TGマウスにおける血清中のCHL1レベルを野生型マウスと比べた結果、TGマウスで有意に上昇していること、さらに血清CHL1レベルは各マウスの腫瘍の大きさに比例して高くなることを見出した。
さらに、ヒト肺がん患者の血清についても検討したところ、肺がん患者において血清CHL1レベルが健常人の血清CHL1レベルの平均値よりも高いことを見出した。
上記のような知見に基づき、生体試料中のCHL1タンパク質の量を測定することによる肺がん診断のためのデータ取得方法に関する発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]被検対象由来の生体試料におけるCHL1タンパク質の量を測定する工程を含む、肺がん診断のためのデータ取得方法。
[2]CHL1タンパク質の量が健常者におけるレベルより高い場合に肺がんに罹患している可能性が高いという基準により、肺がんを診断するためのものである、[1]に記載の方法。
[3]前記肺がんが、非小細胞肺がんである、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記肺がんが、EML4−ALK変異肺がんである、[1]〜[3]の何れかに記載の方法。
[5]前記生体試料が、血清、血漿、またはそれらの細胞外小胞画分である、[1]〜[4]の何れかに記載の方法。
[6]前記測定する工程が、免疫測定法による、[1]〜[5]の何れかに記載の方法。[7]前記測定する工程が、ELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)法による、[6]に記載の方法。
[8]前記被検対象が、マウスまたはヒトである、[1]〜[7]の何れかに記載の方法。
[9]CHL1タンパク質の量を測定する試薬を含む、肺がん診断用キット。
[10]CHL1タンパク質の量を測定する試薬が、少なくとも抗CHL1抗体を含む、[9]に記載のキット。
本発明によれば、高精度な肺がん診断のためのマーカーが提供される。血清中のCHL1を測定する場合低侵襲性な検査が可能である。
また、EML4−ALK融合遺伝子による肺がん(EML4−ALK変異肺がん)は、その診断や治療効果査定に時間を要する検査法が必要であるため、CHL1分子がこのEML4−ALK変異肺がんにおける新たな腫瘍マーカーとなれば、検査時間の大幅な縮小を図ることが可能となる。
ウエスタンブロット法によるEML4−ALK−TGマウスの血清試料中のCHL1タンパク質の存在確認の図である(写真)。野生型マウス(WT)及びEML4−ALK−TGマウス(TG)の細胞外小胞画分(上図)及び該画分を除く血清上清(下図)において検出を行った。矢で示す部分がマウスCHL1である。 ELISA法によるEML4−ALK−TGマウスの血清中のCHL1タンパク質の定量の図である。野生型マウス(WT)及びEML4−ALK−TGマウス(TG)の間で血清マウスCHL1レベルの比較を行った。TGマウスはWTマウスよりも著しく高いレベルで検出できた(p=1.801x10−9)。 EML4−ALK−TGマウスのCHL1タンパク質の量と腫瘍重量との相関関係を示す図である。 ウエスタンブロット法によるヒト血清試料中のCHL1タンパク質の存在確認の図である(写真)。健常人及び肺がん患者の血清細胞外小胞画分(上図)及び該画分を除く血清上清(下図)において検出を行った。矢で示す部分がヒトCHL1である。
本発明は、被検対象由来の生体試料におけるCHL1タンパク質の量を測定する工程を含む、肺がん診断のためのデータ取得方法を提供する。
被検対象とは、肺がんを起こす可能性のある動物であれば何でもよいが、好ましくは哺乳類動物であり、さらに好ましくはマウス又はヒトである。
CHL1(Close homolog of L1)タンパク質は、細胞接着分子L1であるCALL(cell adhesion L1−like)としも呼ばれる一回
膜貫通型の細胞接着分子(CAM)であり、神経細胞での機能が示唆されている。
CHL1タンパク質は、被検対象に由来するタンパク質であればよいが、具体的には、下記に示すアミノ酸配列を含むタンパク質が例示される。さらにCHL1タンパク質には、該タンパク質と同様の肺がん関連性を有するタンパク質断片、類似体、及び変異体も包含される。タンパク質断片としては、細胞外領域の断片が例示される。
CHL1タンパク質のアミノ酸配列は、被検対象がマウスである場合、配列番号1のアミノ酸配列が例示される。また、被検対象がヒトである場合は、配列番号2のアミノ酸配列が例示される。また、これらのアミノ酸配列において、1または数個(例えば1〜20個)のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質でもよい。また、被検対象として異なる動物を使用する場合は、該動物由来のホモログタンパク質が測定対象となる。
健常者とは、一般には、特定の慢性疾患を有していない者と定義される。本発明においては、該定義通りでの意味で用いられてもよいが、肺がんを有していないが他の疾患は有している者の意味で用いられてもよい。また、本発明において、健常者と正常人は同義であり、互いに置換可能な用語である。
CHL1タンパク質の発現量に関し、「レベル」とは、上記測定法による実際の測定値すなわち実測値でもよく、陰性対照の測定値等で補正した補正値でもよく、または相対指数で補正したインデックス値等でもよい。これらは単なる例示に過ぎず、これらの値に限定されることはなく、他の値を採用することもできる。
肺がんは、組織型により非小細胞肺がん及び小細胞肺がんに分類される。そして、非小細胞がんは、さらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類される。本発明において肺がんとは、上記いずれの分類でもよい。さらには、肺がんとの文言は、肺における疾患部位、病期等において、特に限定されることはなく、何れの疾患部位、病期等をも包含するものである。
EML4−ALK変異肺がんとは非小細胞肺がんの一種であり、ヒトの場合は、2番染色体短腕内に微少な逆位が生じ、その結果受容体型チロシンキナーゼALKの細胞内領域が微少管結合タンパクEML4と融合した新しい活性型融合キナーゼEML4−ALKが生じることを特徴とする肺がんである(参考:日本内科学会雑誌第99巻第4号p155−159)。ここで、EML4−ALK変異肺がんは、非小細胞肺がんの一種であり、非小細胞肺がん患者の約4−5%に見られる。
生体試料とは、被検対象から採取した、体液、細胞、組織等が含まれる。また、体液には、血液、リンパ液、組織液、体腔液、脳脊髄液等が含まれる。この中では血液試料が好ましく、血液には、血清、血漿等が含まれる。なお、血清や血漿はそのまま使用してもよいし、沈殿画分(細胞外小胞含有画分)と上清画分に分け、そのいずれかを使用してもよい。
CHL1タンパク質の測定法は特に限定されず、公知のタンパク質測定方法が使用できるが、CHL1タンパク質に対する抗体を使用した免疫測定法が好適に使用できる。
免疫測定法は、酵素免疫定量法に従い定量検出する方法や、蛍光免疫測定法、化学発光免疫測定法等で測定する方法等が好ましい。酵素免疫定量法は、標識イムノアッセイ法のうち、酵素を標識物質として用いる検出方法である。また、イムノソルベントを用いる、ELISA法を選択することが、特に好ましい。
ELISA法とは、直接法、間接法、及びサンドイッチ法が例示されるが、何れの方法も使用することができる。
ELISA法における直接法とは、当該分野に周知の手法を指す。すなわち、固相に固定化された生体試料中のCHL1に、標識化された抗体を結合させて、標識物質を検出する手法である。
ELISA法における間接法とは、当該分野に周知の手法を指す。すなわち、固相に固定化された生体試料中のCHL1に、一次抗体を結合させて免疫複合体を固相表面上に形成させた後、さらに、一次抗体を認識する標識化二次抗体を用いて標識物質を検出する手法である。
ELISA法におけるサンドイッチ法とは、当該分野に周知の手法を指す。すなわち、固相に固定化された固定化抗体(一次抗体)に、被検対象由来である生体試料中のCHL1を捕捉させ、さらに捕捉されたCHL1に標識化された二次抗体を結合させて、前記二種類の抗体が結合した免疫複合体を固相表面上に形成させた後、標識物質を検出する手法である。なお、標識化されていない二次抗体を用い、さらに二次抗体を認識する標識化三次抗体を用いて、検出感度を上げてもよい。
サンドイッチ法において、免疫複合体を形成させる順序は特に限定されない。固定化抗体に対して、CHL1を含む生体試料、二次抗体の順で添加して結合させてもよいし、まずCHL1を含む生体試料と二次抗体とを混合して複合体を形成させたものを固定化抗体に対して添加して結合させてもよい。
ELISA法において、各抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれでもよいが、安定した品質の抗体を安定して供給するためには、モノクローナル抗体であることが好ましい。
また、各抗体は一般的に用いられているマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、トリ由来のもの等が使用できるがこれらに限定されず、CHL1に特異的に結合する抗体であれば何れも使用できる。
血清等の試料中のCHL1を測定するためには、CHL1の細胞外ドメインを認識する抗体が好ましい。具体的には、マウスCHL1においては配列番号1の1〜1081番目のアミノ酸で表される細胞外ドメインの一部を認識する抗体、ヒトCHL1においては配列番号2の1〜1096番目のアミノ酸で表される細胞外ドメインの一部を認識する抗体が好ましい。
抗CHL1抗体は、市販されているものを使用することもできるし、当業者に周知慣用のモノクローナル抗体作製方法により入手したものを使用してもよい。
標識化二次抗体は、一次抗体を認識するものであれば特に限定されず使用できる。例えば、一次抗体がラビット抗体である場合は標識化抗ラビットIgG抗体を、一次抗体がマウス抗体である場合は標識化抗マウスIgG抗体を、二次抗体として用いることができる。
標識物質は、酵素、放射線同位元素、蛍光物質、発光物質、金コロイド等が挙げられる。
これらのうち、感度及び操作の簡便さの観点から酵素が好ましく、西洋わさび過酸化酵素(HRP)、アルカリフォスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ(GOD)等がより好ましい。標識物質としてHRPを用いる場合はTMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)等を、APを用いる場合はAMPPD(3−(2’−スピロア
ダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’’−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・2ナトリウム塩)、9−(4−クロロフェニルチオホスホリルオキシメチリデン)−10−メチルアクリダン二ナトリウム塩等を基質として使用することができる。また、標識物質としては、他にFITC(fluorescein isothiocy
anate)、ローダミン等の蛍光色素等も使用することができる。
測定対象物質の検出・定量方法は、標識の方法によって異なり、当業者に周知慣用の方法で行うことができ、特に限定されない。例えば、標識物質としてHRP、AP、GOD等を用いた場合は、発色基質や発光基質を添加することで、吸光度や発光強度の変化を測定して測定対象物質を定量することができる。また、標識物質として蛍光物質を用いた場合は、その蛍光強度を測定することで測定対象物質を定量することができる。また、標識物質として放射性同位元素を用いた場合は、放射能を測定することで測定対象物質を定量することができる。また、標識物質として金コロイドを用いた場合は、吸光度を測定することで測定対象物質を定量することができる。
定量の際は、例えば、予め既知の濃度の試料で検量線(標準曲線)を作成しておき、測定値を検量線に照合して試料中のCHL1濃度を算出することができる。
固定化抗体を固定化する固相は、通常ELISAに用いられるものであれば特に限定されず、その形態はマルチウェルプレート、シャーレ、微粒子等が挙げられ、またその素材はポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、磁性素材等が挙げられる。
固定化抗体の固相への固定化量は、抗体−抗原反応及び標識物質の検出を妨げない限り、また検体中のCHL1量に対して過度に少なくない限り、特に限定されない。
固定化抗体の固相への固定化後は非特異吸着を防ぐため、スキムミルク、アルブミン、カゼイン等で適宜ブロッキングしてもよい。
二次抗体溶液の濃度は、抗原−抗体反応を妨げない限り、また検体中のCHL1量に対して過度に少なくない限り、特に限定されない。
本発明において、抗原−抗体反応を行う時間、本発明の方法を行う温度、試料や試薬の希釈液及び洗浄液の組成やpH等は特に限定されず、一般的に行われるELISA法に適用する条件でよい。
肺がんに罹患している可能性が高いと評価する「基準」としては、CHL1タンパク質の量が健常者におけるレベルより高い場合に肺がんに罹患している可能性が高いと評価する基準、又は一定の測定値以上を示すときに肺がんに罹患している可能性が高いと評価する基準等が挙げられる。
他の肺がんマーカーと組み合わせてもよい。
本発明の測定結果をもとに肺がんを診断することができ、その結果をもとに、肺がん治療薬の投与や肺がん手術の施術等、治療方針を策定することができる。
本発明の他の態様は、CHL1タンパク質の量を測定する試薬を含む、肺がんの診断を支援するキットを提供する。
キットには、被検対象から生体試料を単離するための手段を含んでもよい。この手段は、被検対象から血液試料を単離するための方法でもよく、また、血液試料から血清を分離する方法を含んでもよい。
標準物質を含んでもよい。
さらに、標識化二次抗体、標識が酵素である場合その基質、BSA等のブロッキング剤
等の試薬を含めることもできる。
さらに、手順や診断基準を記載した添付文書を含んでもよい。
以下実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は下記実施例には限定されない。
<実施例1>EML4−ALK−TGマウスからの生体試料の回収
まず、数週齢の、マウス肺がんモデルであるEML4−ALK−TGマウスに、イソフルランによって深麻酔をかけ、頸椎脱臼の後、心腔採血を行った。その後、前記マウスから腫瘍組織の切除及び質量測定を行った。
血液試料を遠心分離することにより、血清を回収した。
さらに、血清25μLあたり、6.3μLのExoQuick exosome precipitation solution(システムバイオサイエンス社、カリフォルニア州)と混和し、4℃で15分間インキュベートした。1500gで15分間の遠心分離を行い、細胞外小胞を含む沈殿物と血清上清とを分離した。細胞外小胞を含む沈殿物をPBS(Phosphate buffered saline)50μLで再懸濁した。
<実施例2>ウエスタンブロット法によるEML4−ALK−TGマウスの血液試料中のCHL1タンパク質の存在確認
実施例1によって得られた血清細胞外小胞画分及び該画分を除いた血清上清を用いてウエスタンブロットを行った(図1)。血清及び細胞外小胞画分をそれぞれ2μLずつ6%SDS−PAGEゲルに注入して電気泳動した。レーン1〜7がWTマウスであり、レーン8〜14はTGマウスの試料である。その後、Immobilon(商標登録)PVDF膜(Merck Millipore、ドイツ)に転写した。タンパク質を転写したPVDF膜を5%スキムミルクにてブロッキングした後、このPVDF膜は、HRP結合抗マウスCHL1抗体(AF2147;R&Dシステムズ、ミネソタ州;1μg/mL)によって室温で1時間反応させた。その後、そのPVDF膜をImmobilon Western Chemiluminescent HRP基質(Merck Millipore、ドイツ)によって基質反応を行った。そのPVDF膜を露光し、ChemiDoc MP image analyzer(BIO−RAD、カリフォルニア州)によって分析した。
ウエスタンブロット法の結果、血清細胞外小胞画分及び該画分を除いた血清上清においてCHL1が検出でき、その発現量はEML4−ALK−TGマウスで増加している傾向が見られた。
<実施例3>ELISA法(直接法)によるEML4−ALK−TGマウスの血清中のCHL1タンパク質の定量
実施例1にて得られたマウス血清をPBSで50倍に希釈し、96ウェルELISAプレート(CORNING、ニューヨーク州;No.3369)に注入し、37℃で1時間インキュベートした。0.05%Tween含有PBS溶液で洗浄した後、各ウェルを5%スキムミルクによって37℃で1時間ブロッキングした。HRP結合抗マウスCHL1抗体を5%スキムミルク溶液で3000倍に希釈し、各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。洗浄後、HRP基質溶液(SureBlue Reserve;SeraCare、マサチューセッツ州)は室温で10〜20分間反応させた。1N HCl溶液を各ウェルに添加したのち、吸光度を測定した(450nm)。ELISAプレート間の測定誤差を補正するために、相対値が「相対指数」の結果に基づき求めた。
野生型マウスの相対指数の平均値は0.01865(標準偏差0.01051)であり、EML4−ALK−TGマウスの相対指数の平均値は0.06325(標準偏差0.05861)であった(図2)。p値は小さいので(1.801x10−9)、野生型マウスとEML4−ALK−TGマウスの間で血清マウスCHL1のレベルに有意差があることが分かった。
<実施例4>EML4−ALK−TGマウスのCHL1タンパク質の量と腫瘍重量との相関関係の比較
スピアマンの順位相関係数によって解析した結果、図3に示すように、血清マウスCHL1レベルと腫瘍重量の間で著しく相関していることが分かった。スピアマンの順位相関係数は0.692であった(p=7.97x10−6)。
<実施例5>ヒトからの生体試料の回収
健常人および肺がん患者の血液試料を遠心分離することにより、血清を回収した。
さらに、血清10μLあたり、2.5μLのExoQuick exosome precipitation solutionと混和し、4℃で30分間インキュベートした。1500gで10分間の遠心分離により、細胞外小胞を含む沈殿物と血清上清とを分離することができた。細胞外小胞を含む沈殿物をPBS10μLで再懸濁した。
<実施例6>ウエスタンブロット法によるヒト血液試料中のCHL1タンパク質の存在確認
実施例5によって得られた血清細胞外小胞画分及び該画分を除いた血清上清を用いてウエスタンブロットを行った(図4)。血清及び細胞外小胞画分をそれぞれ2μLずつ6%SDS−PAGEゲルに注入して電気泳動した。レーン1〜7が健常人であり、レーン8〜14は肺がん患者の試料である。その後、Immobilon(商標登録)PVDF膜(Merck Millipore、ドイツ)に転写した。タンパク質を転写したPVDF膜を5%スキムミルクにてブロッキングした後、このPVDF膜は、HRP結合抗ヒトCHL1抗体によって室温で1時間反応させた。その後、そのPVDF膜をImmobilon Western Chemiluminescent HRP基質(Merck
Millipore、ドイツ)によって基質反応を行った。そのPVDF膜を露光し、ChemiDoc MP image analyzer(BIO−RAD、カリフォルニア州)によって分析した。
ウエスタンブロット法の結果、血清細胞外小胞画分及び該画分を除いた血清上清のいずれにおいても、肺がん患者でCHL1タンパク質が増加している傾向が見られた。
本発明は、一般的な肺がんの腫瘍マーカー診断への使用、ヒトEML4−ALK変異肺がんの確定診断への使用、及びヒトEML4−ALK変異肺がんの治療効果のアッセイへの使用などへの応用が考えられる。また、リキッドバイオプシーやプレシジョンメディシン分野への応用も可能性として挙げられる。

Claims (10)

  1. 被検対象由来の生体試料におけるCHL1タンパク質の量を測定する工程を含む、肺がん診断のためのデータ取得方法。
  2. CHL1タンパク質の量が健常者におけるレベルより高い場合に肺がんに罹患している可能性が高いという基準により、肺がんを診断するためのものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記肺がんが、EML4−ALK変異肺がんである、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記生体試料が、血清、血漿、またはそれらの細胞外小胞画分である、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記測定する工程が、免疫測定法による、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記測定する工程が、ELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)法による、請求項6に記載の方法。
  8. 前記被検対象が、マウスまたはヒトである、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. CHL1タンパク質の量を測定する試薬を含む、肺がん診断用キット。
  10. CHL1タンパク質の量を測定する試薬が、少なくとも抗CHL1抗体を含む、請求項9に記載のキット。
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JP7514509B2 (ja) 2020-05-27 2024-07-11 学校法人 埼玉医科大学 細胞外小胞におけるタンパク質複合体解析に基づく肺がんの検査法

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