JP2019190189A - 山岳トンネルにおける発破最適化方法 - Google Patents

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【課題】熟練工の技能や経験、判断に頼るのではなく、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状などの三次元形状計測結果に基づいて客観的に行う山岳トンネルにおける発破最適化方法を提供する。【解決手段】発破前に、切羽及びズリの飛散予定範囲について三次元形状計測を行う第1ステップと、発破後に、飛散したズリの堆積状態について三次元形状計測を行うとともに、ズリ出し後に切羽の掘削形状について三次元形状計測を行う第2ステップと、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状に基づいて設定した発破状況の指標値と、発破熟練工の判断に基づく発破の良否との関係を定量化したデータで蓄積する第3ステップと、蓄積したデータを基に、統計処理的手法及び/又は人工知能による手法により分析し、一定量のデータが得られた段階からは、前記発破状況の指標値に基づいて発破の良否判定を行うとともに、必要に応じて発破条件の修正を行う第4ステップとからなる。【選択図】図2

Description

本発明は、発破条件の適切性判断を熟練工の技能や経験、判断に頼るのではなく、三次元形状計測によって得られた飛散ズリのデータ等に基づいて行うようにした山岳トンネルにおける発破最適化方法に関する。
従来より、発破掘削方式による山岳トンネルの施工では、掘削方法の違いにより全断面掘削工法、上部半断面先進工法、ロングベンチカット工法、ショートベンチカット工法、ミニベンチカット工法等のベンチカット工法などが存在するが、いずれにしてもトンネルの施工手順は、穿孔、装薬、発破、ズリ出し、一次吹付け、支保工建込み、二次吹付け、ロックボルト打設の工程を順にかつ段階的に踏むことにより掘削が行われている。なお、支保工建込み、吹付けおよびロックボルト打設は、地山状況、トンネル施工方法および掘削方法等の違いによって省略されたり、順序が入れ替わることがある。
前記発破は、穿孔内にダイナマイト等の爆薬を装填し、これを爆発させて地山を切り崩す方式であるが、これは事前に行った地質調査に基づいて、計画段階で詳細な穿孔数、位置、間隔、穿孔長、装薬量などの発破条件が決定されるが、実施工においては、地質の不均一性、不連続性などによって発破条件が適切では無くなり、図9に示されるように、弱装薬・過装薬となる場合が多々ある。
通常、発破やズリ出し作業は、立入り禁止の危険作業のため、職員は発破後の状況を詳しく見れていないことが多く、その結果、発破の良否の適正判断は発破熟練工の個人的判断が優先されることが多かった。発破熟練工の技能や経験、判断に頼ることが必要な場合が少なくないが、近年乃至将来の熟練工不足の問題等に対処するために、客観的なデータや計測値に基づいて発破条件の適正化を図ることが重要視されるようになってきた。
例えば、下記特許文献1では、岩盤に削岩機で所定の孔を削孔した際に前記削岩機に備えられた削孔データ収集部で前記孔の削孔データを収集し、削孔された各孔の削孔データを前記削岩機に搭載された演算部に入力して各孔の削孔エネルギー値を算出し、これらの削孔エネルギー値と前記演算部の記憶部に格納された岩盤強度あるいは岩盤分類データとを参照対比し、各孔に使用する火薬の事前設定装薬量の適否を確認し、また収集された前記削孔エネルギー値に応じた装薬量に修正して岩盤発破に要する火薬の使用量を前記岩盤強度あるいは岩盤分類データに対応した適正量に設定するようにした削岩機の削孔エネルギー評価値による岩盤発破作業の適正化方法が提案されている。
また、下記特許文献2では、発破パターンとして格子状パターンを使用し、芯抜きとして平行芯抜きを標準とし、削孔の孔底部において、削孔径一杯になるように爆薬を密装薬にし、スムースブラスティングを標準とし、芯抜きにMS電気雷管を使用する発破方式による発破を補助する制御発破のエキスパートシステムにおいて、検索用データに基づき基本データベースを検索して各発破を設計するための設計データを得るトンネル基本データ入力部と、前記設計データに基づき一般孔、外周孔に分けて抵抗線長と孔間隔とを求める抵抗線長・孔間隔設計部と、この抵抗線長・孔間隔設計部によって求められる抵抗線長及び孔間隔に関する情報と前記基本データベースのデータとに基づき、所定の手順で発破パターンを求める発破パターン設計部と、前記発破パターンと前記抵抗線長及び孔間隔に関する情報と前記基本データベースのデータとに基づき、ボトムチャージとコラムチャージとを明確に分けて装薬量を求める装薬量計算部と、前記発破パターンと前記抵抗線長及び孔間隔に関する情報と前記装薬量と前記基本データベースのデータとに基づき、ファジィ推論によって振動と騒音対策とを施すべき最適な発破条件を得る対策工部と、発破で使用した装薬量に関する情報と現場計測に関する情報と今回の発破での不具合や対処法に関する情報とをファイル化して保存する施工・計測データ入力部とが具備される制御発破のエキスパートシステムが提案されている。
特開平7−208060号公報 特許第2840002号公報
上記特許文献1に係る方法は、削孔される岩盤の強度に応じてその削孔に要するエネルギーが比例して大きくなることを利用して、削孔データに基づいて岩盤強度特性を評価し、その岩盤強度特性に応じた適正な火薬量とすることで、弱装薬や過装薬を無くし掘削精度が向上するようになるというものである。しかしながら、削孔中に部分的に脆弱部の存在が検知できたとしても、その脆弱部が発破にどのように影響するかまでの予測が難しいとともに、節理などが存在している場合の影響評価が困難であるなどの問題があった。
上記特許文献2に係る方法では、施工・計測データ入力部において、発破で使用した装薬量に関する情報と現場計測に関する情報と今回の発破での不具合や対処法に関する情報とをファイル化して保存することにより、発破仕様を次回以降にフィードバックできるようにしているが、前記「今回の発破での不具合」が具体的に示されておらず、何に基づいてどのようなフィードバックを行うのかが判然としない。
そこで本発明の主たる課題は、発破条件の適切性判断を熟練工の技能や経験、判断に頼るのではなく、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状などの三次元形状計測結果に基づいて客観的に行うようにした山岳トンネルにおける発破最適化方法を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、発破条件の適切性判断を発破前後の三次元形状計測によって行うようにした山岳トンネルにおける発破最適化方法であって、
発破前に、切羽及びズリの飛散予定範囲について三次元形状計測を行う第1ステップと、
発破後に、飛散したズリの堆積状態について三次元形状計測を行うとともに、ズリ出し後に切羽の掘削形状について三次元形状計測を行う第2ステップと、
ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状に基づいて設定した発破状況の指標値と、発破熟練工の判断に基づく発破の良否との関係を定量化したデータで蓄積する第3ステップと、
蓄積したデータを基に、統計処理的手法及び/又は人工知能による手法により分析し、一定量のデータが得られた段階からは、前記発破状況の指標値に基づいて発破の良否判定を行うとともに、必要に応じて発破条件の修正を行う第4ステップとからなることを特徴とする山岳トンネルにおける発破最適化方法が提供される。
上記請求項1記載の発明では、発破前に切羽及びズリの飛散予定範囲について三次元形状計測を行い(第1ステップ)、発破後に飛散したズリの堆積状態について三次元形状計測を行うとともに、ズリ出し後に切羽の掘削形状について三次元形状計測を行う(第2ステップ)。
次に、第1ステップで得た三次元形状データと第2ステップで得た三次元形状データとの画像減算処理を行うことによって、飛散したズリの堆積状態と切羽の掘削形状の三次元形状を得るようにする。そして、これらに基づいて発破状況の指標値を任意に設定するとともに、発破熟練工の判断に基づく発破の良否との関係を定量化したデータで蓄積する(第3ステップ)。
次いで、前述の蓄積したデータを基に、統計処理的手法及び/又は人工知能による学習により分析し、一定量のデータが得られた段階からは、前記発破状況の指標値に基づいて発破の良否判定を行うとともに、必要に応じて発破条件の修正を行うようにする(第4ステップ)。
以上の工程により、従来は熟練工の技能や経験、判断に頼っていた発破条件の適切性判断をズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状などの三次元形状計測結果に基づいて客観的に行い得るようになる。
請求項2に係る本発明として、前記三次元形状計測は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、三次元スキャナ又はステレオカメラによって行う請求項1記載の山岳トンネルにおける発破最適化方法が提供される。
上記請求項2記載の発明では、三次元形状計測の具体的方法として、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、三次元スキャナ又はステレオカメラによって行うようにしたものである。前記デジタルカメラやビデオカメラなどの二次元撮影機器であっても、複数の地点で撮影した画像データ(二次元画像)をソフト的加工処理を行うことによって三次元化することができる。同時に座標データを持たせることによってズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状を数量的に把握することが可能となる。前記三次元スキャナは取得した三次元点群データに画像処理を加えることにより、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状を把握することが可能となる。前記ステレオカメラは光軸が平行乃至その交角が既知である複数台のCCDカメラ等の撮像装置を配置し、三角測量の原理により対象点の座標を特定することによりズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状を把握することが可能となる。近年は、高速、高精度の三次元スキャナやステレオカメラなどの三次元計測機器であっても、光学機器メーカーから比較的安価な値段で市販されており、容易に入手が可能である。
請求項3に係る本発明として、前記三次元形状計測は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、三次元スキャナ又はステレオカメラを搭載した小型無人航空機によって行う請求項1記載の山岳トンネルにおける発破最適化方法が提供される。
上記請求項3記載の発明では、三次元形状計測は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、三次元スキャナ又はステレオカメラを搭載した小型無人航空機によって行うものである。発破やズリ出し作業は危険作業となるため、小型無人航空機を使って三次元形状計測を行うことによりより安全かつ迅速に計測を行い得るようになる。
以上詳説のとおり本発明によれば、発破条件の適切性判断を熟練工の技能や経験、判断に頼るのではなく、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状などの三次元形状計測結果に基づいて客観的に行い得るようになる。
山岳トンネルの施工要領を示すトンネル縦断面図である。 本発明に係る発破最適化方法のフロー図である。 第1ステップにおける三次元形状計測要領を示すトンネル縦断面図である。 第2ステップにおける三次元形状計測要領を示すトンネル縦断面図である。 発破状況の指標値の例を示した、(A)はトンネル横断面図、(B)はトンネル縦断面図である。 人工知能による手法のニューラルネットワークの概念図である。 ニューラルネットワークの中間層ユニットでの計算処理概念を示す図である。 三次元計測機器4を搭載した小型無人航空機(ドローン)の斜視図である。 発破状況を示す、(A)は弱装薬、(B)は適正、(C)は過装薬の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1に示されるように、発破工法による山岳トンネルの掘削は、切羽Sの近傍に、ドリルジャンボ1、吹付け機2、ホイールローダ3などのトンネル施工用重機が配置され、例えば補助ベンチ付全断面工法や上部半断面工法などにより、上半及び下半のそれぞれにおいてロックボルト削孔・装薬を行った後、上半及び下半を爆薬により一気に切り崩し、その後ズリ出し→こそく/当り取り→一次吹付けコンクリート→鋼製支保工→二次吹付けコンクリート→ロックボルト打設の手順にて、掘削が所定区間長毎(1サイクル毎)に進められる。掘削速度は、概ね一日当り4〜5サイクルある。
前記一連の掘削工程の中で、ロックボルト穿孔・装薬作業では、発破条件(穿孔数、穿孔位置・間隔、穿孔角度、装薬量、斉発薬量、雷管段数、爆薬種別など)を地山の不連続性により地質の硬軟、層理、節理などを考慮しながら逐次修正を行うことが効率的な掘削を実現する上で重要となる。
本発明では、発破条件の適切性判断を熟練工の技能や経験、判断に頼るのではなく、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状などの三次元形状計測結果に基づいて行うようにするものである。なお、この判定は1サイクル毎に行っても良いが、掘削の進行速度とのバランスを考慮して複数サイクルに1回程度の頻度(例えば、1回/1日〜複数日)で行うようにしてもよい。
本発明に係る発破最適化方法について具体的に詳述する。本発明に係る発破最適化方法は、後述の第1ステップ〜第4ステップの手順によって行われるものである。以下、ステップ順に詳述する。
<第1ステップ>
先ず、発破を行う前に、切羽及びズリの飛散予定範囲について三次元形状計測を行う。
具体的には、図3(A)に示されるように、切羽の手前に三次元スキャナやステレオカメラなどの三次元計測機器4を設置して切羽Sの三次元形状計測を行うとともに、図3(B)に示されるように、坑内の天端寄り位置などに前記三次元計測機器4を設置してズリの飛散予定範囲(発破によってズリが飛散すると予定される範囲)を含む範囲について三次元形状計測を行うことが可能である。
前記三次元形状計測は、前記三次元スキャナやステレオカメラなどの三次元計測機器4以外に、デジタルカメラ、ビデオカメラなどの二次元撮影機器を用いて行うことも可能である。ここで、切羽形状の三次元形状計測を行うのは発破後の切羽の三次元形状計測との対比(画像の減算処理)によって切羽の掘削形状を数量的に把握するためであり、ズリの飛散予定範囲を三次元形状計測するのは、発破後に同じ範囲を三次元形状計測したデータとの対比(画像の減算処理)によって発破によるズリの飛散・堆積状態を数量的に把握するためである。
近年は、デジタルカメラやビデオカメラなどの二次元撮影機器であっても、複数の地点で撮影した画像データ(二次元画像)に対してソフト的加工処理を行うことによって容易に三次元化することができるようになっている。同時に座標データを持たせることによってズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状を数量的に把握することが可能となる。座標データの付与は、座標が既知とされる2点の基準点を撮影画像内に入れた状態で撮影したり、撮影機器の設置点の座標を既知とすることによって付与することが可能である。
前記三次元スキャナー(レーザレーダ装置)は、対象物が内側に含まれるように水平レンジ角及び垂直レンジ角を設定するとともに、これによって特定された矩形範囲内に任意数の実測点を均等に配置し、三次元スキャナーから各実測点までの距離を計測することによって距離データ及び角度データから対象物の三次元データ(三次元点群データ)を取得するものであり、取得した三次元点群データから形状を特定する各種の処理を行い、三次元モデルが生成される。
前記ステレオカメラは、光軸が平行乃至その交角が既知である複数台のCCDカメラ等の撮像装置を配置し、三角測量の原理により対象点の座標を特定するものである。これらは、三次元空間における形状特定或いは座標特定のための計測機器として使用されている。
前記二次元撮影機器や三次元計測機器4は、天井面から吊持された設置台に対してセットしても良いし、坑内の床面に対して三脚によって設置するようにしてもよいし、手に持って撮影するようにしてもよい。前記二次元撮影機器や三次元計測機器4によって計測されたデータはパソコン5に入力されるようになっている。
<第2ステップ>
前記三次元形状計測を終えたならば発破を行う。そして、発破完了後に、飛散したズリの堆積状態について三次元形状計測を行う。
具体的には、図4(A)に示されるように、坑内の天端寄り位置に三次元計測機器4を設置して飛散したズリの堆積状態について三次元形状計測を行い、その後に、ホイールローダ3やダンプトラックによってズリ搬出を行った後、図4(B)に示されるように、切羽の手前に三次元計測機器4を設置して切羽Sの三次元形状計測を行う。
<第3ステップ>
第3ステップでは、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状に基づいて設定した発破状況の指標値と、発破熟練工の判断に基づく発破の良否との関係を定量化したデータで蓄積する。
具体的には、先ず前記第1ステップと第2ステップとで計測した三次元形状計測データからズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状を得たならば、これらのデータに基づいて発破状況の指標値を設定する。すなわち、発破前に行ったズリの飛散予定範囲の三次元形状計測データと、発破後に行った飛散したズリの堆積状態についての三次元形状計測データとについて画像減算処理を行うことによって、飛散したズリの堆積状態のみについて三次元形状データを得るようにする。また、切羽についても同様に、発破前に行った切羽の三次元形状計測データと、発破後に行った切羽の三次元形状計測データとについて画像減算処理を行うことによって、切羽の掘削形状についての三次元形状データを得るようにする。
そして、ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状を得たならば、これらに基づいて発破状況の指標値を任意に設定する。
前記発破状況の指標値としては、種々の要素が考えられるが、図5及び下表1にその一例を示す。発破前後の三次元形状計測データから得られた計測値やこれらの計測値を四則演算した演算値などを指標値とする。
Figure 2019190189
一方で、今回の発破掘削に関して発破熟練工の判断に基づく発破の良否との関係を定量化したデータで蓄積する。発破熟練工の判断に基づく発破の良否は、発破後に発破熟練工に対して聞き取りやアンケートなどを行い、例えば下表2に示すように良否判定を行う。
Figure 2019190189
<第4ステップ>
第4ステップでは、前述の蓄積したデータを基に、統計処理的手法及び/又は人工知能による学習により分析し、一定量のデータが得られた段階からは、前記発破状況の指標値に基づいて発破の良否判定を行うとともに、必要に応じて発破条件の修正を行うようにする(次発破の修正要領については表1右欄参照)。
前述のようにして、発破状況の指標値と、今回の発破掘削に関して発破熟練工の判断に基づく発破の良否との関係を定量化したデータの蓄積数は判定精度を高めるためには50個以上、好ましくは100個以上とするのが良い。
両者の関係については、統計処理的手法や人工知能による手法により分析することができる。
前者の統計処理的手法は、前記指標値が説明変数となり、発破熟練工の判断に基づく発破の良否判定が目的変数となり、両者のデータを座標上にプロットし、単回帰分析や重回帰分析を行い、相関式を導き出すとともに、その相関係数を求める。その相関性が高いと思われる指標値については採用することとし、相関性が低いと認められる指標値については不採用とする。さらに相関性の高い指標値を見付けるために、逐次指標値の見直しや試行を行うことも必要となる。
後者の人工知能による手法の場合は、人間の脳を模したニューラルネットワークによる方法によって行われる。このニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路(ニューロン)の働きとその結合をモデル化したもので、多数のユニットが結合し合ったネットワークによって形成されているものである。その特徴としては、従来のコンピューターが逐次直列型の情報処理を行い論理的な推論をしているのに対しニューラルネットワークでは並列分散型の情報処理より直感的な推論を行っている点と、教師データを与えることにより正しい答えが出るように学習していくこと、すなわち学習による自己組織化を行っている点等を挙げることができる。
具体的には、図6に示されるように、ニューラルネットワークにおいて、入力層における入力因子としてL:ズリ飛石距離(m)、H:ズリ飛石高さ(m)、h:ズリ飛石高低差(m)、T:周方向余掘り厚(m)、D:トンネル軸方向余掘長(m)、V:ズリ量(ふけ体積)(m3)、α=H/L(ズリ扁平率)、β=T*D*100(余掘係数)の8項目とし、出力層として発破良否判定の優良普劣悪の5段階評価(1:優、2:良、3:普、4:劣、5:悪)とする。
各ニューロン素子(図6の○印を指す。以下、ユニットともいう。)を繋ぐシナプス(ニューロン素子同士を繋ぐ線であり神経伝達網に相当する。)は、シナプス毎に独自の重み係数(結合の重み)を有し、図7に示されるように、中間層の各ニューロン素子では入力層での入力値yに結合の重みωjiを掛けたものの総和から自己が保有する閾値θを減算し、これをある応答関数f、たとえば出力を0または1とする階段関数または0〜1の間で出力値を連続的に変化させたシグモイド関数によって自己の出力値Zjiが計算される。中間層は本例のように入力層を8個とした場合には、たとえば9〜16個のニューロン数とされる。一般的に中間層のニューロン数は一義的に決定することはできないが、ニューロン数が少ない場合には後述の学習が終了しなかったり、多過ぎる場合には学習回数を多く必要とし出力が不安定になるなどの問題が生ずることになる。
学習方法は、バックプロパゲーション法(誤差逆伝播法)によって行う。このバックプロパゲーション法は、入力層に入力信号を与え、この信号が中間層を経て出力層から出力信号として出てくると、この出力信号と教師信号とを比較し、この差が小さくなるように出力層の各素子の学習信号を求め、この学習信号に基づいて出力層に入るシナプス荷重を修正するものであり、これをいろいろな入力信号と対応する出力信号のセットに対して繰り返し行うと出力信号が教師信号に近くなって行き学習したことになるというものである。学習は、過剰学習を防止して汎用性を持たせるために、未学習データの平均二乗誤差が増加傾向に転じる前に学習を終わらせるようにする。
学習初期においては、前記発破熟練工の判断に基づく発破の良否判定を教師データとして与えることにより正しい答えが出るように学習させていき、一定量のデータが入力された段階からは、前記発破状況の指標値を入力項目として発破の良否判定を行うようにする。そして、出力が1〜3の優〜普である場合は、現状の発破条件を継続し、出力が4の劣である場合は現状の発破条件を一部改善し、出力が5の悪である場合は現状の発破条件を大幅に改善するというように必要に応じて発破条件の修正を行うようにする。
なお、この人工知能による場合も、出力に精度が得られないような場合には、逐次指標値の見直しや試行を行ったり、中間層を増やしたり(深層学習)、無関係な結合を捨て去る(畳み込み)を行うなどによって精度の向上を図ることが重要となる。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの二次元撮影機器や三次元スキャナやステレオカメラなどの三次元計測機器4によって三次元形状計測を行うようにしたが、図8に示されるように、小型無人航空機(ドローン)に、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの二次元撮影機器や三次元スキャナ又はステレオカメラなどの三次元計測機器4を搭載して三次元形状計測を行うようにしてもよい。
トンネル坑内での飛行は非GPS環境下となるが、近年はドローン技術の進歩により、非GPS環境下で安定的な飛行が可能となっている。この技術は、IMUセンサ(加速度センサ、ジャイロセンサを含む慣性計測装置)と超広角ステレオカメラとの融合によりGPSに頼らないで安定した飛行を可能とするものであり、現在、橋梁橋桁の点検調査、工場内の点検、下水管などの地下管路の点検などに利用されている。
本発明の発破最適化手法にも応用が可能である。ただし、この場合は飛行をしながらの映像取得となるため、第1ステップと第2ステップとの映像を適合させるために、トンネル坑内であってカメラ視野内に2つの基準点を設置しておき、これらの基準点を第1ステップの映像と、第2ステップの映像とで整合させることにより画像合わせを行うようにするのがよい。
小型無人航空機(ドローン)としては、図8に示されるように、マルチロータ型ヘリコプターを好適に用いることができる。これは機体中央の本体部7aからほぼ水平方向に3本以上、図示例では4本の放射状に延びるアーム7b、7b…の先端にそれぞれ、モータ7c及びロータ7dが備えられた構造のものである。
1…ドリルジャンボ、2…吹付け機、3…ホイールローダ、4…三次元計測機器、5…パソコン、6…ズリ、7…小型無人航空機(ドローン)

Claims (3)

  1. 発破条件の適切性判断を発破前後の三次元形状計測によって行うようにした山岳トンネルにおける発破最適化方法であって、
    発破前に、切羽及びズリの飛散予定範囲について三次元形状計測を行う第1ステップと、
    発破後に、飛散したズリの堆積状態について三次元形状計測を行うとともに、ズリ出し後に切羽の掘削形状について三次元形状計測を行う第2ステップと、
    ズリの飛散・堆積状態や切羽の掘削形状に基づいて設定した発破状況の指標値と、発破熟練工の判断に基づく発破の良否との関係を定量化したデータで蓄積する第3ステップと、
    蓄積したデータを基に、統計処理的手法及び/又は人工知能による手法により分析し、一定量のデータが得られた段階からは、前記発破状況の指標値に基づいて発破の良否判定を行うとともに、必要に応じて発破条件の修正を行う第4ステップとからなることを特徴とする山岳トンネルにおける発破最適化方法。
  2. 前記三次元形状計測は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、三次元スキャナ又はステレオカメラによって行う請求項1記載の山岳トンネルにおける発破最適化方法。
  3. 前記三次元形状計測は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、三次元スキャナ又はステレオカメラを搭載した小型無人航空機によって行う請求項1記載の山岳トンネルにおける発破最適化方法。
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