JP2019189933A - スパッタリングカソードおよびスパッタリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】平板状の被成膜体を含む各種の被成膜体に十分に高い成膜速度かつ低衝撃で成膜を行うことができ、しかも成膜中に発生するダスト等のごみのスパッタリングターゲット上への沈着を抑制することができることによりスパッタリングを安定して行うことができるスパッタリングカソードを提供する。【解決手段】スパッタリングカソードは、横断面形状が互いに対向する一対の長辺部18a、18bを有する管状または環状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲット10を有し、スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられている。スパッタリングターゲットのうちの一対の長辺部以外の二つの部分の少なくとも一方が、一対の長辺部を含む平面または曲面に関して一対の長辺部の一方の長辺部側からエロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲して一対の長辺部の他方の長辺部側に延在した形状を有する。【選択図】図22

Description

この発明は、スパッタリングカソード、スパッタリングカソード集合体およびスパッタリング装置に関し、スパッタリング法により薄膜を成膜する各種のデバイスの製造に適用して好適なものである。
従来より、半導体デバイス、太陽電池、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの各種のデバイスにおいて電極を形成する工程においては、電極材料の成膜に真空蒸着装置が多く用いられている。しかしながら、真空蒸着法は膜厚分布の制御が空間的にも時間的にも難点を有するため、スパッタリング法による電極材料の成膜が求められている。
従来、スパッタリング装置としては、平行平板マグネトロン式スパッタリング装置、RF方式スパッタリング装置、対向ターゲット式スパッタリング装置などが知られている。このうち対向ターゲット式スパッタリング装置においては、同じ材料で作られた二つの円形あるいは正方形あるいは矩形の同寸ターゲットを互いに平行に対向させ、それらの間の空間にスパッタリングガスを導入して放電を行わせることによりターゲットをスパッタリングすることにより成膜を行う(例えば、非特許文献1〜3参照。)。この対向ターゲット式スパッタリング装置は、二つのターゲット間に挟まれた空間、すなわちその二つのターゲットと外周に形成された磁力線とで囲まれた空間にプラズマを拘束することでスパッタリング現象を発生させる。本方式のスパッタリングカソードはターゲットが基板に対して垂直を成して配置されているため、被成膜基板表面における中性反射プロセスガス衝撃を防止することができるという利点を有している。
しかしながら、上述の対向ターゲット式スパッタリング装置においては、対向する二つのターゲット間のプラズマ密度が低く、十分に高い成膜速度を得ることができないという欠点がある。
これらの課題を解決するために、本発明者により、横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードが提案されている(特許文献1参照。)。このスパッタリングカソードによれば、平板状の被成膜体に十分に高い成膜速度かつ低衝撃で成膜を行うことができる。
特許第6151401号
J. Vac. Soc. Jpn. Vol.44, No.9, 2001, pp.808-814 東京工芸大学工学部紀要 Vol.30 No.1(2007)pp.51-58 ULVAC TECHNICAL JOURNAL No.64 2006, pp.18-22
しかしながら、特許文献2によるスパッタリングカソードは、スパッタリングターゲットの使用効率の点では必ずしも十分でなく、改善の余地があった。一方、特許文献2によるスパッタリング装置は、例えば大面積の基板を静止させた状態で基板上に薄膜を成膜する場合には、必ずしも対応が容易であるとは言えなかった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、平板状の被成膜体を含む各種の被成膜体に十分に高い成膜速度かつ低衝撃で成膜を行うことができ、しかもスパッタリングターゲットの使用効率が高いスパッタリングカソードおよびこのスパッタリングカソードを用いたスパッタリング装置を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、平板状の被成膜体を含む各種の被成膜体に十分に高い成膜速度かつ低衝撃で成膜を行うことができ、しかも成膜中に発生するダスト等のごみのスパッタリングターゲット上への沈着を抑制することができることによりスパッタリングを安定して行うことができるスパッタリングカソードおよびこのスパッタリングカソードを用いたスパッタリング装置を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、大面積の被成膜体に成膜を行う場合であっても、成膜中に被成膜体を移動させることなく被成膜体に成膜を行うことができるスパッタリングカソード集合体およびこのスパッタリングカソード集合体を用いたスパッタリング装置を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、平板状の被成膜体を含む各種の被成膜体に十分に高い成膜速度かつ低衝撃で成膜を行うことができるスパッタリングカソード集合体およびこのスパッタリングカソード集合体を用いたスパッタリング装置を提供することである。
前記課題および他の課題は、添付図面を参照した本明細書の記述によって明らかとなるであろう。
前記課題を解決するために、この発明は、
横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられているスパッタリングカソードにおいて、
前記一対の長辺部がそれぞれロータリーターゲットにより構成されていることを特徴とするものである。
ここで、ロータリーターゲットは円筒形状を有し、所定の回転機構によりその中心軸の回りに回転可能に設けられる。典型的には、ロータリーターゲットは、内部に磁気回路が設けられ、かつ冷却水が流されるように構成される。磁気回路は、典型的には、ロータリーターゲットの中心軸に平行に設けられ、ロータリーターゲットの半径方向に垂直な長辺を有する長方形の横断面形状を有する。この場合、一方のロータリーターゲットの内部に設けられた磁気回路および他方のロータリーターゲットの内部に設けられた磁気回路は、一方のロータリーターゲットの中心軸および他方のロータリーターゲットの中心軸を含む平面に対する前記の長方形の横断面形状の短辺の傾斜角度が0度以上360度未満であり、傾斜角度をその範囲内の任意の角度に設定することにより、成膜速度の向上と低ダメージ性をバランス良く実現することができる。
この発明においては、典型的には、スパッタリングターゲットの互いに対向する一対の長辺部を構成するロータリーターゲットの間の距離は、スパッタリングカソードをスパッタリング装置に取り付けて使用するときに、スパッタリングターゲットの上方の空間に向かうスパッタ粒子の数を十分に確保するとともに、中性反射プロセスガスが被成膜体に衝突して衝撃を与えるのを防止する観点より、好適には、50mm以上150mm以下であり、より好適には、60mm以上100mm以下、最も好適には70mm以上90mm以下である。また、スパッタリングターゲットの一対の長辺部を構成するロータリーターゲットの間の距離に対する長辺部の長さの比は典型的には2以上、好適には5以上である。この比の上限は特に存在しないが、一般的には40以下である。
スパッタリングターゲットの一対の長辺部を構成するロータリーターゲットは、典型的には互いに平行であるが、これに限定されるものではなく、互いに傾斜してもよい。スパッタリングターゲットの横断面形状は、典型的には、一対の長辺部が互いに平行であり、これらの長辺部に垂直な互いに対向する一対の短辺部を有する。この場合、スパッタリングターゲットは、横断面形状が矩形の角管状の形状を有する。スパッタリングターゲットの横断面形状は、例えば、長辺部に平行な方向の両端部が外側に向かって凸の互いに対向する一対の曲面部(例えば、半円形部)からなるものであってもよい。横断面形状が矩形の角管状の形状を有するスパッタリングターゲットは、典型的には、一対の長辺部を構成する一対のロータリーターゲットと、長辺部に垂直な互いに対向する一対の短辺部を構成する二つの平板とからなる。この場合、これらのロータリーターゲットと平板とを別々に作製し、これらを角管状に配置することによりスパッタリングターゲットを組み立てることができる。一対の長辺部を構成するロータリーターゲットは、一般的には、成膜を行う材料と同じ組成の材料により構成されるが、互いに異なる材料により構成されたものであってもよい。例えば、一方のロータリーターゲットを材料Aにより構成し、他方のロータリーターゲットを材料Bにより構成し、一方のロータリーターゲットからのスパッタ粒子束と他方のロータリーターゲットからのスパッタ粒子束とを被成膜体に入射させることにより、AとBとからなる薄膜を成膜することができ、必要に応じて材料A、Bとして二元以上の材料を用いることにより、多元系材料からなる薄膜を成膜することができる。より具体的には、例えば、一方のロータリーターゲットを単一元素からなる金属M1 により構成し、他方のロータリーターゲットを単一元素からなる金属M2 により構成することにより、M1 とM2 とからなる二元合金薄膜を成膜することが可能である。これは、真空蒸着法における二元蒸着法と同様な成膜法をスパッタリング装置で実現することができることを意味する。さらに、例えば、被成膜体とスパッタリングターゲットとの間に出し入れ可能な遮蔽板を挿入することで、例えば他方のロータリーターゲットからのスパッタ粒子束を遮断し、被成膜体を移動させながら、一方のロータリーターゲットからのスパッタ粒子束を被成膜体に入射させることにより被成膜体上にまずAからなる薄膜を成膜し、続いて、一方のロータリーターゲットからのスパッタ粒子束を遮断し、被成膜体を逆方向に移動させながら、他方のロータリーターゲットからのスパッタ粒子束を被成膜体に入射させることにより被成膜体上にBからなる薄膜を成膜することができる。こうすることで、被成膜体上にAからなる薄膜とその上に形成されたBからなる薄膜との二層構造の薄膜を成膜することができる。
一般的には、スパッタリングターゲットの一対の長辺部以外の部分からのスパッタ粒子束は成膜に積極的に使用しないが、意図しない元素の混入を防止するため、典型的には、スパッタリングターゲットの一対の長辺部以外の部分は長辺部と同種の材料により構成される。しかしながら、スパッタリングターゲットの一対の長辺部以外の部分からのスパッタ粒子束を成膜に敢えて使用しない場合には、スパッタリングターゲットの一対の長辺部を構成するロータリーターゲット以外の部分は一対の長辺部を構成するロータリーターゲットと異なる材料により構成されることもある。
スパッタリングターゲットからは、スパッタリングターゲットに囲まれた空間の上方だけでなく、下方にもスパッタ粒子束を取り出すことができるため、必要に応じて、スパッタリングターゲットに囲まれた空間の下方において、別の被成膜体をスパッタリングターゲットに対し、このスパッタリングターゲットの長辺部を横断する方向に一定速度で移動させながら、この被成膜体の成膜領域に成膜を行うようにしてもよい。
また、この発明は、
横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられているスパッタリングカソードにおいて、
前記スパッタリングターゲットのうちの前記一対の長辺部以外の二つの部分の少なくとも一方が、前記一対の長辺部を含む平面または曲面に関して前記一対の長辺部の一方の長辺部側から前記エロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲して前記一対の長辺部の他方の長辺部側に延在した形状を有することを特徴とするものである。
この発明においては、スパッタリングターゲットのうちの一対の長辺部以外の二つの部分の少なくとも一方は、一対の長辺部を含む平面または曲面に関して一対の長辺部の一方の長辺部側からエロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲して一対の長辺部の他方の長辺部側に延在する途中で鉛直方向あるいはその前後の方向に向くことから、成膜中に発生するごみがスパッタリングターゲット上に沈着するのを防止することができる。一対の長辺部は、それぞれ平板により構成してもよいし、それぞれロータリーターゲットにより構成してもよい。その他のことについては、その性質に反しない限り、前記の発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられているスパッタリングカソードが複数、並列配置されていることを特徴とするスパッタリングカソード集合体である。
複数のスパッタリングカソードは、一対の長辺部を含む平面に平行な方向(典型的には水平方向)に並列配置されることもあるし、一対の長辺部を含む平面に対して垂直方向(典型的には鉛直方向)に並列配置されることもあり、必要に応じて選ばれる。
各スパッタリングカソードは、典型的には、一対の長辺部を構成する第1平板および第2平板と、長辺部に垂直な互いに対向する一対の短辺部を構成する第3平板および第4平板とからなる。この場合、これらの第1平板〜第4平板を別々に作製し、これらを角管状に配置することによりスパッタリングターゲットを組み立てることができる。一対の長辺部を構成する第1平板および第2平板は、一般的には、成膜を行う材料と同じ組成の材料により構成されるが、互いに異なる材料により構成されたものであってもよい。例えば、第1平板を材料Aにより構成し、第2平板を材料Bにより構成し、第1平板からのスパッタ粒子束と第2平板からのスパッタ粒子束とを被成膜体に入射させることにより、AとBとからなる薄膜を成膜することができ、必要に応じて材料A、Bとして二元以上の材料を用いることにより、多元系材料からなる薄膜を成膜することができる。より具体的には、例えば、第1平板を単一元素からなる金属M1 により構成し、第2平板を単一元素からなる金属M2 により構成することにより、M1 とM2 とからなる二元合金薄膜を成膜することが可能である。典型的には、互いに隣接する一対のスパッタリングカソードの磁気回路の極性は互いに同一である。すなわち、互いに隣接する一対のスパッタリングターゲット表面のうちの一方の磁気回路がN極であるとすると、他方の隣接する磁気回路の対応する部分もN極となる。
必要に応じて、一対の長辺部をそれぞれロータリーターゲットにより構成してもよい。また、必要に応じて、各スパッタリングカソードは、スパッタリングターゲットのうちの成膜が行われる空間に面する部分の近傍に補助磁極を有する。その他のことについては、その性質に反しない限り、前記の二つの発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は,
横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられ、前記一対の長辺部がそれぞれ円筒形状のロータリーターゲットにより構成されているスパッタリングカソードと、
前記スパッタリングターゲットのエロージョン面が露出するように設けられたアノードとを有することを特徴とするスパッタリング装置である。
また、この発明は,
横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられ、前記スパッタリングターゲットのうちの前記一対の長辺部以外の二つの部分の少なくとも一方が、前記一対の長辺部を含む平面または曲面に関して前記一対の長辺部の一方の長辺部側から前記エロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲して前記一対の長辺部の他方の長辺部側に延在した形状を有するスパッタリングカソードと、
前記スパッタリングターゲットのエロージョン面が露出するように設けられたアノードとを有することを特徴とするスパッタリング装置である。
また、この発明は,
横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられているスパッタリングカソードが複数、並列配置されているスパッタリングカソード集合体と、
それぞれの前記スパッタリングターゲットのエロージョン面が露出するように設けられたアノードとを有することを特徴とするスパッタリング装置である。
ここで、典型的には、並列配置された複数のスパッタリングカソードのうち互いに隣接する二つのスパッタリングカソードの間には、交流電源が接続され、交流電圧が印加される。こうすることで、互いに隣接する二つのスパッタリングカソードが交互に、負極と正極とを繰り返すことができ、それによって交互にスパッタリングを行うことが可能となり、アノードに絶縁膜が堆積することで発生するアノード消失現象を回避でき、長時間安定した反応性スパッタリング成膜を低ダメージで実現できる。
前記の各スパッタリング装置においては、スパッタリングターゲットに囲まれた空間の上方においてスパッタリングターゲットの長辺部よりも幅が狭い成膜領域を有する被成膜体をスパッタリングターゲットに対し、スパッタリングターゲットの長辺部を横断する方向に一定速度で移動させながら、あるいは、スパッタリングターゲットに囲まれた空間の上方に静止させた状態で、スパッタリングターゲットの内面に沿って周回するプラズマが発生するように放電を行ってスパッタリングガスにより発生するプラズマ中のイオンによりスパッタリングターゲットの長辺部の内面をスパッタリングすることにより被成膜体の成膜領域に成膜を行う。前記の各スパッタリング装置の発明においては、前記以外のことについては、その性質に反しない限り、前記のスパッタリングカソードの発明に関連して説明したことが成立する。
また、上述のスパッタリングカソード、スパッタリングカソード集合体およびスパッタリング装置の各発明においては、スパッタリングガスにより生成される正イオンが成膜中に被成膜体を衝撃することにより被成膜体および被成膜体上に成膜される薄膜にダメージが発生するのを防止するために、好適には、スパッタリングカソードとアノードとの間に印加する電圧がパルス波形であり、スパッタリングカソードにおける電圧パルスのハイレベルを0Vもしくは絶対値が概ね50V以下の負の電圧V0 −、ローレベルを絶対値が概ね100V以上の負の電圧VL −とすることで、正の電圧が印加されないようにする。
この発明によれば、スパッタリングカソードのスパッタリングターゲットが横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状、すなわち四方が囲まれた形状を有し、エロージョン面が内側を向いていることにより、スパッタリング装置にこのスパッタリングカソードを取り付けて放電を行ったとき、スパッタリングターゲットのエロージョン面側にスパッタリングターゲットの内面を周回するプラズマを発生させることができる。このため、プラズマ密度を高くすることができることにより、成膜速度を十分に高くすることができる。また、プラズマが多く生成される場所はスパッタリングターゲットの表面近傍に限定されるため、プラズマから発光する光が被成膜体に照射されることにより損傷が生じるおそれを最小限にすることができる。また、特に、一対の長辺部がそれぞれロータリーターゲットにより構成されている場合には、ロータリーターゲットを回転させながらスパッタリングを行うことができるため、スパッタリングターゲットの使用効率が高い。また、特に、スパッタリングターゲットのうちの一対の長辺部以外の二つの部分の少なくとも一方が、一対の長辺部を含む平面または曲面に関して一対の長辺部の一方の長辺部側からエロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲して一対の長辺部の他方の長辺部側に延在した形状を有することにより、成膜中に発生するごみがスパッタリングターゲットのその部分に沈着するのを防止することができ、それによってスパッタリングを安定して行うことができる。また、特に、スパッタリングカソードが複数、並列配置されているスパッタリングカソード集合体では、一対の長辺部を含む平面に平行な方向、典型的には水平方向に並列配置される場合は、これらのスパッタリングカソード集合体を覆うような大面積の被成膜体であっても成膜を行うことができ、一対の長辺部を含む平面に対して垂直方向、典型的には鉛直方向に並列配置される場合は、複数のスパッタリングターゲットからのスパッタ粒子を同時に使って成膜を行うことができるため、成膜速度を大幅に増加させることができる。
この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソード集合体を示す平面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置において各スパッタリングターゲットの表面近傍にプラズマが発生した状態を示す縦断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置において各スパッタリングターゲットの表面近傍にプラズマが発生した状態を示す平面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置により基板上に薄膜を成膜する方法を示す縦断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置により基板上に薄膜を成膜する方法を示す縦断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置により基板上に薄膜を成膜する方法を示す縦断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置により基板上に薄膜を成膜する方法を示す縦断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置により基板上に薄膜を成膜する方法を示す縦断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるスパッタリング装置の実施例としてのスパッタリングカソードおよびアノードの構成を示す平面図である。 この発明の第2の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソード集合体を構成するスパッタリングカソードを示す平面図である。 この発明の第3の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図である。 この発明の第3の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソード集合体を示す平面図である。 この発明の第4の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図である。 この発明の第4の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソードを示す平面図である。 図15のW−W線に沿っての断面図である。 この発明の第4の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソードのロータリーターゲットの内部に設けられた永久磁石の傾斜角度を説明するための横断面図である。 この発明の第5の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソードを示す平面図である。 この発明の第6の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図である。 この発明の第6の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソードを示す平面図である。 この発明の第7の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図である。 この発明の第7の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングカソードのスパッタリングターゲットを示す斜視図である。 この発明の第8の実施の形態によるスパッタリング装置のパルス電源の電圧パルス波形を示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
〈第1の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
図1および図2は第1の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図および平面図であり、スパッタリング装置の真空容器の内部に設けられたスパッタリングカソード集合体付近の構成を示したものである。図1は図2のX−X線に沿っての断面図である。
図1および図2に示すように、このスパッタリング装置においては、複数のスパッタリングカソードが水平面上に並列配置されており、これらのスパッタリングカソードによりスパッタリングカソード集合体が形成されている。スパッタリングカソード集合体を構成するスパッタリングカソードの数は、成膜を行う基板の大きさや成膜の仕方などに応じて適宜選択される。図1および図2においては、一例として、互いに隣接する一対のスパッタリングカソード1、2のみ示されているが、これに限定されるものではない。スパッタリングカソード1、2の間隔は、成膜を行う基板の大きさや成膜の仕方などに応じて適宜選択される。スパッタリングカソード集合体を構成するスパッタリングカソードの数が3以上の場合、スパッタリングカソードの間隔は、一般的には等間隔であるが、必ずしも等間隔でなくてもよく、その場合、間隔は必要に応じて選ばれる。
スパッタリングカソード1は、横断面形状が矩形の角管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲット10と、このスパッタリングターゲット10の外側に設けられた永久磁石20と、この永久磁石20の外側に設けられたヨーク30とを有する。これらのスパッタリングターゲット10、永久磁石20およびヨーク30によりスパッタリングカソード1が形成されている。このスパッタリングカソード1は、一般的には、電気的に絶縁された状態で真空容器に対して固定される。また、永久磁石20およびヨーク30により磁気回路が形成されている。永久磁石20の極性は図1に示す通りであるが、各々が全く逆の極性でも何ら差し支えない。スパッタリングターゲット10と永久磁石20との間には、好適には冷却用のバッキングプレートが設けられ、このバッキングプレートの内部に設けられた流路に例えば冷却水が流される。スパッタリングターゲット10により囲まれた直方体状の空間の下端の近傍に、スパッタリングターゲット10のエロージョン面が露出するようにL字型の断面形状を有するアノード40が設けられている。このアノード40は、一般的には、接地された真空容器に接続される。また、スパッタリングターゲット10により囲まれた直方体状の空間の上端の近傍に、スパッタリングターゲット10のエロージョン面が露出するようにL字型の断面形状を有する光線遮断シールド50が設けられている。光線遮断シールド50は導電体、典型的には金属により形成される。光線遮断シールド50はアノードを兼用し、アノード40と同様に、一般的には、接地された真空容器に接続される。光線遮断シールド50とスパッタリングターゲット10との間には、スパッタリングターゲット10のエロージョン面が露出するようにL字型の断面形状を有する補助磁極55が設けられている。補助磁極55は、永久磁石20およびヨーク30により形成された磁気回路により形成される磁力線が、スパッタリングカソード1の上方の、成膜が行われる空間に漏洩するのを防止するためのものであり、スパッタリングカソード1の上方に漏洩する磁力線を相殺するようにその磁極の配置が選ばれる。
スパッタリングカソード2は、永久磁石20の極性が図1に示す通り、スパッタリングカソード1の永久磁石20の極性と逆であることを除いて、スパッタリングカソード1と同一であり、向きも同じである。他のスパッタリングカソードがある場合も同様であり、互いに隣接する一対のスパッタリングカソードは永久磁石20の極性が互いに逆であることを除いて、互いに同一であり、向きも同じである。このように互いに隣接する一対のスパッタリングカソードの永久磁石20の極性が互いに逆であることにより、永久磁石20およびヨーク30により形成された磁気回路により形成される磁力線により、双方のスパッタリングカソードに一対のACスパッタ電力を印加した際は、図1に示すように、隣極へ移動するプラズマがスパッタリングカソード集合体の下方の空間に閉じ込められ、スパッタリングカソード集合体の上方の成膜が行われる空間へのプラズマ漏洩を効果的に防止することができる。さらに、この下方空間に別途補助磁極を用いて、隣接するスパッタリングカソードへのプラズマ移動をより効果的にしてもかまわない。
図2に示すように、スパッタリングカソード集合体を構成する各スパッタリングカソードのスパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部の間の距離をa、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の短辺部の間の距離をbとすると、b/aは2以上に選ばれ、一般的には40以下に選ばれるが、これに限定されるものではない。aは一般的には50mm以上150mm以下に選ばれるが、これに限定されるものではない。
図1に示すように、このスパッタリング装置においては、スパッタリングカソード集合体の上方の空間において、図示省略した所定の搬送機構に保持された基板S(被成膜体)に対して成膜を行うようになっている。成膜は、基板Sを、各スパッタリングカソードのスパッタリングターゲット10に対し、スパッタリングターゲット10の長辺部を横断する方向、典型的にはスパッタリングターゲット10の上端面に平行かつスパッタリングターゲット10の長辺部に垂直な方向に、典型的には一定速度で移動させながら行う場合と、基板Sをスパッタリングカソード集合体の上方に静止させ、その静止状態で行う場合とがある。スパッタリングターゲット10の長辺部に平行な方向の基板Sの成膜領域の幅は、bより小さく選ばれ、成膜時にはスパッタリングターゲット10の内側の互いに対向する一対の短辺部の間に収まるようになっている。基板Sの成膜領域の幅は基板Sの全面に成膜を行う場合は基板Sの幅と一致する。基板Sは、基本的にはどのようなものであってもよく、特に限定されない。基板Sは、いわゆるロールツーロールプロセスで用いられるようなロールに巻かれた長尺のフィルム状のものであってもよい。
[スパッタリング装置による成膜方法]
基板Sは、成膜前は、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間の上方から十分に離れた位置にある。
真空容器を真空ポンプにより高真空に排気した後、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間にスパッタリングガスとしてArガスを導入し、アノード40とスパッタリングカソード1、2との間に、所定の電源により、プラズマ発生に必要な交流電圧を印加する。典型的には、アノード40が接地され、スパッタリングカソード1とスパッタリングカソード2との間に、高電圧の交流電圧(例えば、−400V)が印加される。こうすることで、スパッタリングカソード1に負の高電圧が印加される間は、図3および図4に示すように、スパッタリングターゲット10の表面近傍にこのスパッタリングターゲット10の内面に沿って周回するプラズマ60が発生する。スパッタリングカソード1に負の高電圧が印加されない間はプラズマ60は発生しない。また、スパッタリングカソード2に負の高電圧が印加される間は、このスパッタリングカソード2のスパッタリングターゲット10の表面近傍にこのスパッタリングターゲット10の内面に沿って周回するプラズマ60が発生する。スパッタリングカソード2に負の高電圧が印加されない間はプラズマ60は発生しない。図3および図4に示すようにスパッタリングターゲット10の内面に沿って周回するプラズマ60中のArイオンによりスパッタリングターゲット10がスパッタリングされる結果、スパッタリングターゲット10を構成する原子がスパッタリングターゲット10により囲まれた空間から上方に飛び出す。このとき、スパッタリングターゲット10のエロージョン面のうちプラズマ60の近傍の部分の至る所から原子が飛び出すが、スパッタリングターゲット10の内側の短辺部のエロージョン面から飛び出す原子は、基本的には成膜に使用しない。このためには、スパッタリングターゲット10の長辺方向の両端部を遮蔽するようにスパッタリングターゲット10の上方に水平遮蔽板を設けることにより、スパッタリングターゲット10の短辺部のエロージョン面から飛び出す原子が成膜時に基板Sに到達しないようにすればよい。あるいは、スパッタリングターゲット10の長手方向の幅bを基板Sの幅より十分に大きくすることにより、スパッタリングターゲット10の短辺部のエロージョン面から飛び出す原子が成膜時に基板Sに到達しないようにしてもよい。スパッタリングターゲット10から飛び出る原子の一部は光線遮断シールド50により遮られる結果、スパッタリングターゲット10の長辺部のエロージョン面から、図5に示すようなスパッタ粒子束70、80が得られる。スパッタ粒子束70、80は、スパッタリングターゲット10の長手方向にほぼ均一な強度分布を有する。一方、スパッタリングカソード2に負の高電圧が印加される間は、図3および図4に示すと同様に、スパッタリングターゲット10の表面近傍にこのスパッタリングターゲット10の内面に沿って周回するプラズマ60が発生し、その結果、スパッタ粒子束70、80によるスパッタリングが行われる。スパッタリングカソード1に負の高電圧が印加されない間はプラズマ60は発生せず、スパッタリングは起きない。すなわち、以上の説明から分かるように、スパッタリングカソード1とスパッタリングカソード2とは交互に使用される。
まず、基板Sを移動させながら成膜を行う場合について説明する。
スパッタリングカソード1、2のスパッタリングターゲット10により安定なスパッタ粒子束70、80が得られるようになった時点で、基板Sを、スパッタリングカソード1のスパッタリングターゲット10に対し、スパッタリングターゲット10の長辺部を横断する方向に一定速度で移動させながら、スパッタ粒子束70、80により成膜を行う。基板Sが、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間の上方に向かって移動すると、まずスパッタ粒子束70が基板Sに入射して成膜が開始する。基板Sの先端がスパッタリングターゲット10により囲まれた空間の中央付近の上方に差しかかった時点の様子を図6に示す。この時点では、スパッタ粒子束80は成膜に寄与していない。基板Sがさらに移動し、スパッタ粒子束80が入射するようになると、スパッタ粒子束70に加えてスパッタ粒子束80も成膜に寄与するようになる。基板Sがさらに移動し、スパッタリングカソード2に至ると、スパッタリングカソード2のスパッタリングターゲット10により得られるスパッタ粒子束70、80により同様に成膜が行われる。基板Sがさらに移動してスパッタリングカソード集合体の真上に移動した時の様子を図7に示す。図7に示すように、基板Sにスパッタリングカソード1、2のスパッタリングターゲット10により得られるスパッタ粒子束70、80が入射して成膜が行われる。こうして成膜を行いながら基板Sを移動させる。そして、図8に示すように、基板Sが、スパッタリングカソード集合体の上方から十分に離れ、基板Sに対してスパッタ粒子束70、80が入射しなくなる位置まで移動させる。こうして、基板S上に薄膜Fが成膜される。
次に、基板Sを移動させないで成膜を行う場合、すなわち静止成膜を行う場合について説明する。
この場合、図9に示すように、基板Sが複数のスパッタリングカソードにまたがる大きさを有するとする。基板Sと各スパッタリングカソードとの間の空間には、スパッタ粒子束70、80が基板Sに入射するのを防止するためのシャッター(図示せず)を挿入することができるようになっている。そして、シャッターを基板Sと各スパッタリングカソードとの間の空間に挿入した状態で、各スパッタリングカソードにより安定なスパッタ粒子束70、80が得られるようになった時点でシャッターを基板Sと各スパッタリングカソードとの間の空間の外部に移動させる。この時点で基板Sに対してスパッタ粒子束70、80が入射し、成膜が開始する。こうして必要な時間、スパッタリングを行うことにより基板S上に薄膜Fが静止成膜により成膜される。但し、向かい合うターゲット表面間の距離、ターゲット端部と基板間の距離、隣接するカソードの間隔は最適な値に設定されている。
[スパッタリング装置のスパッタリングカソードおよびアノードの実施例]
図10に示すように、スパッタリングターゲット10を四つの板状のスパッタリングターゲット10a、10b、10c、10dにより形成し、永久磁石20を四つの板状あるいは棒状の永久磁石20a、20b、20c、20dにより形成し、ヨーク30を四つの板状のヨーク30a、30b、30c、30dにより形成する。また、スパッタリングターゲット10a、10b、10c、10dと永久磁石20a、20b、20c、20dとの間にそれぞれバッキングプレート90a、90b、90c、90dを挿入する。スパッタリングターゲット10aとスパッタリングターゲット10cとの間の距離は80mm、スパッタリングターゲット10bとスパッタリングターゲット10dとの間の距離は200mm、スパッタリングターゲット10a、10b、10c、10dの高さは80mmとする。
ヨーク30a、30b、30c、30dの外側には四つの板状のアノード100a、100b、100c、100dを設ける。これらのアノード100a、100b、100c、100dはアノード40とともに、接地された真空容器に接続される。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、横断面形状が矩形の角管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲット10を有するスパッタリングカソードが水平面上に複数、並列配置され、しかも互いに隣接する二つのスパッタリングカソードの永久磁石20の極性が互いに逆であることにより、次のような種々の利点を得ることができる。すなわち、並列配置された複数のスパッタリングカソード1を用いてスパッタリングを行うことができるため、大面積の基板S上に高速で薄膜Fの成膜を行うことができる。また、スパッタリングターゲット10のエロージョン面側にこのスパッタリングターゲット10の内面を周回するプラズマ60を発生させることができる。このため、プラズマ60の密度を高くすることができることにより、成膜速度を十分に高くすることができる。また、プラズマ60が多く生成される場所はスパッタリングターゲット10の表面近傍に限定されるため、光線遮断シールド50が設けられていることと相まって、プラズマ60から発光する光が基板Sに照射されることにより損傷が生じるおそれを最小限に抑えることができる。また、永久磁石20およびヨーク30により形成される磁気回路により発生する磁力線は、基本的にスパッタリングカソードに拘束され、しかも互いに隣接する二つのスパッタリングカソードの永久磁石20の極性が互いに逆であり、さらに補助磁極55が設けられていることにより、磁気回路により発生する磁力線のうち下方に向かう磁力線は図1に示すようにスパッタリングカソード集合体の下方の空間に閉じ込められ、基板Sに向かわないため、プラズマ60や電子線により基板Sに損傷が生じるおそれがない。また、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部から得られるスパッタ粒子束70、80を用いて成膜を行うので、反射スパッタ中性ガスのエネルギーの高い粒子により基板Sが衝撃され、損傷が生じるのを最小限に抑えることができる。さらに、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部から得られるスパッタ粒子束70、80はこの長辺部に平行な方向に均一な強度分布を有するため、基板Sをこの長辺部を横断する方向、例えばこの長辺部に垂直な方向に一定速度で移動させながら成膜を行うことと相まって、基板S上に成膜される薄膜Fの膜厚のばらつきを小さくすることができ、例えば膜厚分布を±5%以下にすることができる。このスパッタリング装置は、例えば、半導体デバイス、有機太陽電池、無機太陽電池、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィルムなどの各種のデバイスの製造において電極材料などの成膜に適用して好適なものである。
〈第2の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
第2の実施の形態によるスパッタリング装置は、スパッタリングターゲット10として図11に示すようなものを用いる点が、第1の実施の形態によるスパッタリング装置と異なる。すなわち、図11に示すように、スパッタリングターゲット10は、互いに平行に対向する一対の長辺部とこれらの長辺部に連結した半円形部とからなる。スパッタリングターゲット10の外側に設けられた永久磁石20も、この永久磁石20の外側に設けられたヨーク30も、スパッタリングターゲット10と同様な形状を有する。このスパッタリング装置のその他の構成は第1の実施の形態によるスパッタリング装置と同様である。
[スパッタリング装置による成膜方法]
このスパッタリング装置による成膜方法は第1の実施の形態と同様である。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第3の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
図12および図13は第3の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図および平面図であり、スパッタリング装置の真空容器の内部に設けられたスパッタリングカソード集合体付近の構成を示したものである。図13は図12のY−Y線に沿っての断面図である。
図12および図13に示すように、このスパッタリング装置においては、複数のスパッタリングカソードが鉛直面上に並列配置されており、これらのスパッタリングカソードによりスパッタリングカソード集合体が形成されている。スパッタリングカソード集合体を構成するスパッタリングカソードの数は、必要な成膜速度などに応じて適宜選択される。図12および図13においては、一例として、互いに隣接する一対のスパッタリングカソード1、2のみ示されているが、これに限定されるものではない。スパッタリングカソード1、2の間隔は、スパッタリングカソード集合体の上方の空間において、スパッタリングカソード1だけでなく、スパッタリングカソード2によってもスパッタリングにより成膜を行うことができるように適宜選択される。スパッタリングカソード集合体を構成するスパッタリングカソードの数が3以上の場合、スパッタリングカソードの間隔は、一般的には等間隔であるが、必ずしも等間隔でなくてもよく、その場合、間隔は必要に応じて選ばれる。このスパッタリング装置のその他のことは第1の実施の形態と同様である。
[スパッタリング装置による成膜方法]
真空容器を真空ポンプにより高真空に排気した後、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間にスパッタリングガスとしてArガスを導入し、アノード40とスパッタリングカソードとの間に、所定の電源によりプラズマ発生に必要な、一般的には直流の高電圧を印加する。一般的には、アノード40が接地され、スパッタリングカソードに負の高電圧(例えば、−400V)が印加される。これによって、図3および図4に示すと同様に、スパッタリングターゲット10の表面近傍にこのスパッタリングターゲット10の内面に沿って周回するプラズマ60が発生する。
基板Sは、成膜前は、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間の上方から十分に離れた位置にある。
各スパッタリングカソードのスパッタリングターゲット10の内面に沿って周回するプラズマ60中のArイオンによりスパッタリングターゲット10がスパッタリングされる結果、スパッタリングターゲット10を構成する原子がスパッタリングターゲット10により囲まれた空間から上方に飛び出す。このとき、スパッタリングターゲット10のエロージョン面のうちプラズマ60の近傍の部分の至る所から原子が飛び出すが、スパッタリングターゲット10の内側の短辺部のエロージョン面から飛び出す原子は、基本的には成膜に使用しない。このためには、スパッタリングターゲット10の長辺方向の両端部を遮蔽するようにスパッタリングターゲット10の上方に水平遮蔽板を設けることにより、スパッタリングターゲット10の短辺部のエロージョン面から飛び出す原子が成膜時に基板Sに到達しないようにすればよい。あるいは、スパッタリングターゲット10の長手方向の幅bを基板Sの幅より十分に大きくすることにより、スパッタリングターゲット10の短辺部のエロージョン面から飛び出す原子が成膜時に基板Sに到達しないようにしてもよい。スパッタリングターゲット10から飛び出る原子の一部は光線遮断シールド50により遮られる結果、スパッタリングターゲット10の長辺部のエロージョン面から、図5に示すと同様なスパッタ粒子束70、80が得られる。スパッタ粒子束70、80は、スパッタリングターゲット10の長手方向にほぼ均一な強度分布を有する。
各スパッタリングカソードから安定なスパッタ粒子束70、80が得られるようになった時点で、基板Sを、スパッタリングターゲット10に対し、スパッタリングターゲット10の長辺部を横断する方向に一定速度で移動させながら、スパッタ粒子束70、80により成膜を行う。基板Sが、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間の上方に向かって移動すると、まずスパッタ粒子束70が基板Sに入射して成膜が開始する。基板Sの先端がスパッタリングターゲット10により囲まれた空間の中央付近の上方に差しかかった時点では、スパッタ粒子束80は成膜に寄与していない。基板Sがさらに移動し、スパッタ粒子束80が入射するようになると、スパッタ粒子束70に加えてスパッタ粒子束80も成膜に寄与するようになる。基板Sがスパッタリングターゲット10により囲まれた空間の真上に移動した時には基板Sにスパッタ粒子束70、80が入射して成膜が行われる。こうして成膜を行いながら基板Sをさらに移動させる。そして、基板Sが、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間の上方から十分に離れ、基板Sに対してスパッタ粒子束70、80が入射しなくなる位置まで移動させる。こうして、基板S上に薄膜Fが成膜される。
この第3の実施の形態によれば、横断面形状が矩形の角管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲット10を有するスパッタリングカソードが鉛直面上に複数、並列配置され、しかも互いに隣接する二つのスパッタリングカソードの永久磁石20の極性が互いに逆であることにより、次のような種々の利点を得ることができる。すなわち、鉛直面上に並列配置された複数のスパッタリングカソードを用いてスパッタリングを行うことができるため、基板S上に高速で薄膜Fの成膜を行うことができる。また、スパッタリングターゲット10のエロージョン面側にこのスパッタリングターゲット10の内面を周回するプラズマ60を発生させることができる。このため、プラズマ60の密度を高くすることができることにより、成膜速度を十分に高くすることができる。また、プラズマ60が多く生成される場所はスパッタリングターゲット10の表面近傍に限定されるため、光線遮断シールド50が設けられていることと相まって、プラズマ60から発光する光が基板Sに照射されることにより損傷が生じるおそれを最小限に抑えることができる。また、永久磁石20およびヨーク30により形成される磁気回路により発生する磁力線は、基本的にスパッタリングカソードに拘束され、しかも互いに隣接する二つのスパッタリングカソードの永久磁石20の極性が互いに逆であり、さらに補助磁極55が設けられていることにより、磁気回路により発生する磁力線のうち下方に向かう磁力線は図12に示すようにスパッタリングカソード集合体の近傍の空間に閉じ込められ、基板Sに向かわないため、プラズマ60や電子線により基板Sに損傷が生じるおそれがない。また、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部から得られるスパッタ粒子束70、80を用いて成膜を行うので、反射スパッタ中性ガスのエネルギーの高い粒子により基板Sが衝撃され、損傷が生じるのを最小限に抑えることができる。さらに、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部から得られるスパッタ粒子束70、80はこの長辺部に平行な方向に均一な強度分布を有するため、基板Sをこの長辺部を横断する方向、例えばこの長辺部に垂直な方向に一定速度で移動させながら成膜を行うことと相まって、基板S上に成膜される薄膜Fの膜厚のばらつきを小さくすることができ、例えば膜厚分布を±5%以下にすることができる。このスパッタリング装置は、例えば、半導体デバイス、有機太陽電池、無機太陽電池、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィルムなどの各種のデバイスの製造において電極材料などの成膜に適用して好適なものである。
〈第4の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
図14および図15は第4の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図および平面図であり、スパッタリング装置の真空容器の内部に設けられたスパッタリングカソード付近の構成を示したものである。図14は図15のZ−Z線に沿っての断面図である。また、図16は図15のW−W線に沿っての断面図である。
図14、図15および図16に示すように、このスパッタリング装置は、横断面形状が矩形の角管状(あるいは角環状)の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲット10を有する。スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部はそれぞれ円筒形状のロータリーターゲット11、12により構成され、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の短辺部13、14はそれぞれ長方形の横断面形状を有する。ロータリーターゲット11、12は、図示省略した回転機構により、その中心軸の回りに回転可能に設けられている。具体的には、ロータリーターゲット11、12の両端に回転軸11a、12aが設けられており、これらの回転軸11a、12aが回転機構により回転されることによりロータリーターゲット11、12が回転されるようになっている。ロータリーターゲット11、12の回転方向は互いに同一であっても逆であってもよく、必要に応じて選ばれる。ロータリーカソード11、12の内部には冷却水を流すことができるようになっており、使用時にロータリーカソード11、12を冷却することができるようになっている。短辺部13、14は、例えば、ロータリーターゲット11、12の直径と同程度の高さを有する。短辺部13、14は、ロータリーターゲット11、12に面する両端部がロータリーターゲット11、12の円筒形状に対応して丸く凹んでおり、ロータリーターゲット11、12の回転に支障が生じない程度に近接している。ロータリーターゲット11、12の内部には、その中心軸に平行にかつ中心軸から半径方向に偏った位置に永久磁石111、112が設けられている。永久磁石111、112は長方形の横断面形状を有し、その長辺はロータリーターゲット11、12の半径方向に対して垂直である。図17に示すように、ロータリーターゲット11、12の中心軸を含む平面に対する永久磁石111、112の横断面形状の短辺の傾斜角度をθとすると、θは0度以上360度未満であり、成膜速度の向上と低ダメージ性をバランス良く実現することができるようにその範囲内の任意の角度に設定することができる。図14においては、一例として、θ=0度である場合が示されている。永久磁石111、112はロータリーターゲット11、12から独立した部材に固定されており、ロータリーターゲット11、12が回転しても一緒に回転しないようになっている。永久磁石111、112の極性は図14に示す通りであるが、逆であってもよい。スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の短辺部13、14の外側には永久磁石20が設けられ、さらにこの永久磁石20の外側にヨーク30が設けられている。永久磁石20の極性は図14に示す通りであるが、各々が全く逆の極性でも何ら差し支えない。これらのスパッタリングターゲット10、永久磁石20、111、112およびヨーク30によりスパッタリングカソードが形成されている。このスパッタリングカソードは、一般的には、電気的に絶縁された状態で真空容器に対して固定される。また、ロータリーターゲット11、12の内部に設けられた永久磁石111、112、永久磁石20およびヨーク30により磁気回路が形成されている。短辺部13、14と永久磁石20との間には、好適には冷却用のバッキングプレートが設けられ、このバッキングプレートの内部に設けられた流路に例えば冷却水が流される。スパッタリングターゲット10により囲まれた空間の下端の近傍に、スパッタリングターゲット10のエロージョン面が露出するようにアノード40が設けられている。このアノード40は、一般的には、接地された真空容器に接続される。また、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間の上端の近傍に、スパッタリングターゲット10のエロージョン面が露出するようにL字型の断面形状を有する光線遮断シールド50が設けられている。光線遮断シールド50は導電体、典型的には金属により形成される。光線遮断シールド50はアノードを兼用し、アノード40と同様に、一般的には、接地された真空容器に接続される。その他のことは第1の実施の形態と同様である。
[スパッタリング装置による成膜方法]
このスパッタリング装置による成膜方法は、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部を構成するロータリーターゲット11、12を回転させながらスパッタリングを行うことを除いて第1の実施の形態と同様である。
この第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部がロータリーターゲット11、12により構成されているので、スパッタリングターゲット10の使用効率が高く、ひいては成膜コストの低減を図ることができるという利点を得ることができる。
〈第5の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
図18に示すように、第5の実施の形態によるスパッタリング装置においては、ロータリーターゲット11、12の両端部が面取りされており(面取り角度はロータリーターゲット11、12の中心軸に対して例えば45度)、これに対応して短辺部13、14の両端部も同じく角度に面取りされていることが、第4の実施の形態と異なる。その他のことは第4の実施の形態と同様である。
[スパッタリング装置による成膜方法]
このスパッタリング装置による成膜方法は、第4の実施の形態と同様である。
この第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第6の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
図19および図20は第6の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図および平面図であり、スパッタリング装置の真空容器の内部に設けられたスパッタリングカソード付近の構成を示したものである。図19は図20のV−V線に沿っての断面図である。
図19および図20に示すように、このスパッタリング装置においては、第4の実施の形態によるスパッタリング装置のスパッタリングターゲット10が二つ、一つのロータリーターゲットを共有して一体になり、三つのロータリーターゲット15、16、17を有するものによりスパッタリングターゲットが構成されている。これらのロータリーターゲット15、16、17の回転方向は互いに同じであっても逆であってもよく、必要に応じて選ばれる。その他のことは第4の実施の形態と同様である。なお、四つのロータリーターゲットを一体化しても良く、更には五つ以上のロータリーターゲットを一体化しても良い。
[スパッタリング装置による成膜方法]
このスパッタリング装置による成膜方法は、第4の実施の形態と同様である。
この第6の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様な利点に加えて、大面積の基板Sに対して効率良く成膜を行うことができ、静止成膜も容易に行うことができるという利点を得ることができる。この第6の実施の形態は、特に、例えば、ヘテロジャンクション型シリコン太陽電池や有機ELディスプレイなどのデバイスの製造においてシリコン発電層や有機発電層に隣接した電極膜の成膜に用いて好適なものである。
〈第7の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
図21は第7の実施の形態によるスパッタリング装置を示す縦断面図であり、スパッタリング装置の真空容器の内部に設けられたスパッタリングカソード付近の構成を示したものである。また、図22はスパッタリングターゲット10を示す斜視図である。
図21および図22に示すように、このスパッタリング装置は、横断面形状が矩形の角管状(あるいは角環状)の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲット10を有する。図示は省略するが、このスパッタリングターゲット10の外側には永久磁石が設けられ、この永久磁石の外側にヨークが設けられる。これらのスパッタリングターゲット10、永久磁石およびヨークによりスパッタリングカソードが形成されている。スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部18a、18bは互いに平行な平板状に形成されている。これに対し、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の短辺部18c、18dは、一対の長辺部18a、18bを含む平面または曲面に関して長辺部18a、18bの一方の側からエロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲し、短辺部18c、18dの中央部C1 、C2 では長辺部18a、18bに垂直、言い換えると水平面内に寝た形状となり、さらにエロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら長辺部18a、18bの他方の側に延在した形状を有する。その他のことは第1の実施の形態におけるスパッタリングカソードと同様である。
[スパッタリング装置による成膜方法]
このスパッタリング装置による成膜方法は、第1の実施の形態と同様である。
この第7の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、スパッタリングターゲット10が上記のような形状に形成されていることにより、短辺部18c、18dを上下方向に配置して成膜した際、成膜時に発生するごみが短辺部18c、18dに沈着するのを防止することができるという利点を得ることができる。
〈第8の実施の形態〉
[スパッタリング装置]
第8の実施の形態においては、第1〜第7の実施の形態によるスパッタリング装置においてスパッタリングカソードとアノードとの間にスパッタリングに必要な電圧を印加する電源としてパルス電源が用いられる。このパルス電源の電圧パルス波形を図23AおよびBに示す。図23AおよびBに示すように、このパルス電源においては、電圧パルスのハイレベルは0Vもしくは絶対値が概ね50V以下の負の電圧V0 −、ローレベルは絶対値が概ね100V以上の負の電圧VL −が印加されるようになっており、正の電圧が印加されないようになっている。なお、スパッタリングカソードに印加する電圧をパルス波形にすることで、スパッタリング時のグロー放電の一部あるいは全部がアーク放電に移行することを抑制できる。
この第8の実施の形態によれば、上記のような波形の電圧パルスを発生するパルス電源を用いていることにより、次のような利点を得ることができる。すなわち、本発明者の知見によれば、電圧パルスのハイレベルが正の電圧であると、スパッタリングガスとして用いられるArガスにより生成されるAr+ が成膜中に基板Sを衝撃することにより基板Sおよび基板S上に成膜される薄膜Fにダメージが発生しやすいのに対し、電圧パルスのハイレベルが0Vもしくは絶対値が概ね50V以下の負の電圧V0 −、ローレベルは絶対値が概ね100V以上の負の電圧VL −となっていて正の電圧が印加されないようにすることにより、そのような問題を解消することができ、ダメージのない高品質の薄膜Fの成膜が可能となる。この第8の実施の形態は、特に、例えば、有機太陽電池や有機ELディスプレイなどの有機デバイスの製造において有機膜に隣接した電極膜の成膜に用いて好適なものである。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、材料、構造、形状などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状などを用いてもよい。
10、10a、10b、10c、10d…スパッタリングターゲット、11、12、15〜17…ロータリーターゲット、20、20a、20b、20c、20d…永久磁石、30、30a、30b、30c、30d…ヨーク、40…アノード、50…光線遮断シールド、55…補助磁極、60…プラズマ、70、80…スパッタ粒子束、S…基板

Claims (5)

  1. 横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状または環状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられているスパッタリングカソードにおいて、
    前記スパッタリングターゲットのうちの前記一対の長辺部以外の二つの部分の少なくとも一方が、前記一対の長辺部を含む平面または曲面に関して前記一対の長辺部の一方の長辺部側から前記エロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲して前記一対の長辺部の他方の長辺部側に延在した形状を有することを特徴とするスパッタリングカソード。
  2. 前記一対の長辺部がそれぞれロータリーターゲットにより構成されていることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングカソード。
  3. 横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状または環状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有し、前記スパッタリングターゲットに沿って磁気回路が設けられ、前記スパッタリングターゲットのうちの前記一対の長辺部以外の二つの部分の少なくとも一方が、前記一対の長辺部を含む平面または曲面に関して前記一対の長辺部の一方の長辺部側から前記エロージョン面が捩じれた曲面を形成しながら湾曲して前記一対の長辺部の他方の長辺部側に延在した形状を有するスパッタリングカソードと、
    前記スパッタリングターゲットのエロージョン面が露出するように設けられたアノードとを有することを特徴とするスパッタリング装置。
  4. 前記スパッタリングカソードとアノードとの間に印加する電圧がパルス波形であり、前記スパッタリングカソードにおける電圧パルスのハイレベルを0Vもしくは絶対値が概ね50V以下の負の電圧V0 −、ローレベルを絶対値が概ね100V以上の負の電圧VL −とすることで、正の電圧が印加されないことを特徴とする請求項1または2記載のスパッタリングカソード。
  5. 前記スパッタリングカソードと前記アノードとの間に印加する電圧がパルス波形であり、前記スパッタリングカソードにおける電圧パルスのハイレベルを0Vもしくは絶対値が概ね50V以下の負の電圧V0 −、ローレベルを絶対値が概ね100V以上の負の電圧VL −とすることで、正の電圧が印加されないことを特徴とする請求項3記載のスパッタリング装置。
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