JP2019189920A - 推定装置、推定方法及び、推定プログラム - Google Patents

推定装置、推定方法及び、推定プログラム Download PDF

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Kiyoshi Shirato
清 白土
洋仁 衛藤
Hirohito Eto
洋仁 衛藤
眞宏 相田
Masahiro Aida
眞宏 相田
新矢伸昭
Nobuaki Shinya
伸昭 新矢
宮下 幸雄
Yukio Miyashita
幸雄 宮下
洋祐 加藤
Yosuke Kato
洋祐 加藤
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Abstract

【課題】球状黒鉛鋳鉄に含まれる球状黒鉛結晶の寸法を効果的に推定する。【解決手段】本開示の一態様に係る推定装置10は、球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数を取得するように構成された取得手段としての取得部11と、この取得された値に基づいて前記球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の寸法を推定するように構成された寸法推定手段であって、前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、寸法推定手段としての寸法推定部12とを備える。【選択図】図1

Description

本開示は、推定装置、推定方法及び、推定プログラムに関し、特に、鋳鉄の黒鉛寸法の推定技術に関する。
鋳鉄は、エンジン等の自動車部品や産業機械等の材料として広く用いられている。鋳鉄には、大きく分けて片状黒鉛鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とがあり、またその組織と、例えば引張強さや硬さといった機械的性質との間に対応関係があることは知られている。この組織は主に成分と冷却速度とによって変化し、その冷却速度はコンピュータによる鋳造解析により求めることが可能である(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2015−112673号公報 特開2013−082003号公報
ところで、球状黒鉛鋳鉄鋳物(以下、「球状黒鉛鋳鉄」と称し得る。)においては、炭素の結晶である黒鉛結晶が球状になっていて、その黒鉛結晶の寸法つまり大きさが球状黒鉛鋳鉄の疲労限度特性に大きく影響すると考えられている。しかし、上述の鋳造解析などの既知のコンピュータ解析によっては球状黒鉛結晶の寸法を把握することはできず、結果として疲労限度も推定することができないといった課題がある。
本開示の技術は、上記課題に鑑みてなされたものであり、球状黒鉛鋳鉄に含まれる球状黒鉛結晶の寸法を効果的に推定することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示の技術に係る一態様は、球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数又は該数と相関関係がある値を取得するように構成された取得手段と、該取得手段において取得された値に基づいて前記球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の寸法を推定するように構成された寸法推定手段であって、前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、寸法推定手段とを備える、推定装置を提供する。
好ましくは、前記取得手段は、前記球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの球状黒鉛結晶の数を取得し、前記寸法推定手段は、前記単位面積あたりの前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する。更に、推定装置は、前記寸法推定手段において推定された球状黒鉛結晶の寸法が小さくなるほど前記球状黒鉛鋳鉄の疲労限度を高く推定するように構成された疲労限度推定手段を備えてもよい。
本開示の技術の他の態様は、球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の寸法を推定するための推定方法を提供する。この推定方法は、球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数又は該数と相関関係がある値を取得する取得ステップと、該取得ステップにおいて取得した値に基づいて、前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する寸法推定ステップとを含むとよい。好ましくは、前記取得ステップは、前記球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの球状黒鉛結晶の数を取得し、前記寸法推定ステップは、前記取得ステップにおいて取得した値に基づいて、前記単位面積あたりの前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する。推定方法は、前記寸法推定ステップにおいて推定された前記球状黒鉛結晶の寸法が小さくなるほど前記球状黒鉛鋳鉄の疲労限度を高く推定する疲労限度推定ステップをさらに含んでもよい。
本開示の技術の更なる他の態様は、コンピュータを、球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数又は該数と相関関係がある値を取得するように構成される取得手段と、該取得手段において取得された値に基づいて前記球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の寸法を推定するように構成される寸法推定手段であって、前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、寸法推定手段との各手段として機能させる、推定プログラムを提供する。好ましくは、前記取得手段は、前記球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの球状黒鉛結晶の数を取得し、前記寸法推定手段は、前記単位面積あたりの前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する。更に好ましくは、推定プログラムは、前記コンピュータを、推定された前記球状黒鉛結晶の寸法が小さくなるほど前記球状黒鉛鋳鉄の疲労限度を高く推定するように構成される疲労限度推定手段としてさらに機能させることができるとよい。
本開示の技術によれば、球状黒鉛鋳鉄に含まれる球状黒鉛結晶の寸法を効果的に推定することができる。
本実施形態に係る推定装置を示す模式的な機能ブロック図である。 本実施形態に係る、球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の数と平均直径との関係例を示すグラフである。 本実施形態に係る、球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の平均直径と最大寸法との関係例を示すグラフである。 本実施形態に係る、球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の最大寸法と、疲労限度との関係例を示すグラフである。 本実施形態に係る推定処理の流れを説明するフローチャートである。
以下、添付図面に基づいて、本実施形態に係る推定装置、推定方法及び、推定プログラムについて説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施形態に係る推定装置10を示す模式的な機能ブロック図である。なお、以下に説明するように、推定装置10は、特に、球状黒鉛鋳鉄鋳物つまり球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶(以下、単に「黒鉛」と称し得る。)の寸法を推定する機能部を備える。
推定装置10は、コンピュータ等の情報処理装置であって、バスで接続された演算装置(例えばCPU(Central Processing Unit))や記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)といったメモリ、補助記憶装置)等を備える。なお、以下では、後述する第2推定装置20と区別するべく、推定装置10を第1推定装置と称する。
第1推定装置10は、上記演算装置や上記記憶装置にバスで接続された入力部30及び表示部40を備える。入力部30は、ここでは、第1推定装置10(又は第1推定装置本体)に接続されたキーボードであって、操作者の操作に対応した種々の情報や指示等を推定装置10に入力する。なお、入力手段として、マウス等の装置又は機器が更に用いられてもよい。表示部40は、ここでは推定装置10(又は第1推定装置本体)に接続されたディスプレイであって、推定装置10による出力結果や入力部30から推定装置10への入力内容等を表示する。入力部30は入力手段に対応し、表示部40は表示手段に対応する。
第1推定装置10は、第1推定プログラム及びこの第1推定プログラムで用いられる種々のデータ等を記憶装置に記憶していて、第1推定プログラムを読み込んで実行する。なお、推定装置10は、第1推定プログラムやそれに関連するデータ以外のプログラムやデータ等を記憶してもよい。第1推定装置10は、入力された値やデータ等を取得する取得部11と、算出した値等を出力する出力部14を備えることに加えて、第1推定プログラムの実行によって寸法推定部12及び疲労限度推定部13を備える装置として機能する。なお、この第1推定プログラムの実行によって、第1推定装置10における取得部11は、寸法推定部12や疲労限度推定部13に関連付けられた取得手段として機能し、第1推定装置10における出力部14は、寸法推定部12や疲労限度推定部13に関連付けられた出力手段として機能するようになる。このように取得部11は取得手段に対応し、寸法推定部12は寸法推定手段に対応し、疲労限度推定部13は疲労限度推定手段に対応し、出力部14は出力手段に対応する。第1推定プログラムは、ここでは、第1推定装置10の記憶装置(例えばコンピュータシステムに内蔵されるハードディスク)に記憶されているが、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば、光磁気ディスク、USB、CD−ROM等の可搬媒体であり得る。また、第1推定プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
一方、図1に示すように、第1推定装置10に電気通信回線Lを介して第2推定装置20が接続されている。第2推定装置20は、第1推定装置10と同様に、コンピュータ等の情報処理装置であって、バスで接続された演算装置や記憶装置等を備える。第2推定装置20は、第2推定プログラム及びこの第2推定プログラムで用いられる種々のデータ等を記憶装置に記憶していて、第2推定プログラムを読み込んで実行する。なお、第2推定装置20は、第2推定プログラムやそれらデータ以外のプログラムやデータ等を記憶してもよい。推定装置20は、入力された値やデータ等を取得する取得部21と、算出した値等を出力する出力部23を備えることに加えて、第2推定プログラムの実行によって黒鉛数推定部22を備える装置として機能する。なお、この第2推定プログラムの実行によって、第2推定装置20における取得部21は、黒鉛数推定部22に関連付けられた取得手段として機能し、第2推定装置20における出力部23は、黒鉛数推定部22に関連付けられた出力手段として機能するようになる。取得部21は取得手段に対応し、黒鉛数推定部22は黒鉛数推定部に対応し、出力部23は出力手段に対応する。第2推定プログラムは、ここでは、第2推定装置20の記憶装置に記憶されているが、コンピュータ読み取り可能な上記記録媒体に記録されてもよい。また、第2推定プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。なお、第2推定装置20は、第1推定装置10と同じく、入力部(入力手段)や、表示部(表示手段)を備えるが、ここではそれら入力部や表示部の図示及び説明を省略する。
なお、ここでは、第1推定装置10と第2推定装置20とは独立した情報処理装置として構成されているが、一体に構成されてもよい。例えば、第1推定装置10に第2推定プログラムやこの第2推定プログラムで用いられる種々のデータ等が記憶されてもよい。この場合、その第2推定プログラムを読み込むことで、第1推定装置10は、黒鉛数推定部22も備える装置として機能する。また、この場合、第1推定プログラムと第2推定プログラムとは統合されてもよい。
上記構成を備える第1推定装置10及び第2推定装置20における演算処理で、供試材である球状黒鉛鋳鉄鋳物つまり球状黒鉛鋳鉄の球状黒鉛結晶つまり黒鉛の寸法を推定し、更にはその供試材の疲労限度を推定する。まず、それらの値の推定のために第2推定装置20の演算処理から説明する。
第2推定装置20の取得部21は、第2推定装置20の(例えばキーボードである)入力部が入力した供試材の鋳造時の冷却速度を取得し、黒鉛数推定部22に出力する。また、取得部21は、第2推定装置20の入力部が入力した供試材の成分、より正確には化学成分を取得し、黒鉛数推定部22に出力する。黒鉛数推定部22は、球状黒鉛鋳鉄である供試材の冷却速度及び化学成分を取得し、それら取得した値に基づいて以下に説明するデータ等に基づいて所定の演算をすることで、供試材の所定領域における黒鉛の数を推定するように機能する。なお、本開示の技術は、取得部21が黒鉛数推定部22と実質的に一体化することを排除するものではない。これは、出力部23においても同様である。
なお、供試材の冷却速度は、既知の方法又は手段により推定可能である。例えば、既知の鋳造解析ソフト(例えば有限要素法の計算ソフトJSCAST(商品名;クオリカ社製))に、供試材の鋳造条件、例えば鋳型形状、鋳物形状、注湯速度、注湯量、注湯温度、鋳型材料の熱特性(例えば熱伝導率)、鋳造雰囲気(成分、温度)など、つまり所謂方案データを入力することで、供試材の鋳造時の冷却速度が推定される。なお、このような既知の鋳造解析ソフトつまり鋳造解析プログラムが読み込まれた情報処理装置を第3推定装置として、第2推定装置20に電気通信回線を介して接続してもよい。あるいは、第2推定装置20に、鋳造解析プログラムを読み込ませてもよい。また、供試材の化学成分は、供試材の原料の化学成分から推定されてもよく、あるいは、供試材を分析することで求められてもよい。なお、化学成分としては、母材である鉄(Fe)の他に、例えば、炭素(C)、けい素(Si)、マンガン(Mn)、りん(P)、硫黄(S)がある。
第2推定装置20には、予め実験により求められた種々のデータが記憶されていて、黒鉛数推定部22における演算に用いられる。凝固時における球状黒鉛鋳鉄の黒鉛結晶の晶出は、その冷却速度、特に凝固速度や、その化学成分と相関関係があることが知られている。そこで、ここでは、種々の球状黒鉛鋳鉄の観察面(例えば断面)での顕微鏡写真又は画像等を手作業で又は自動解析装置で分析することで、球状黒鉛鋳鉄のその観察面での単位面積当たりの黒鉛の数が求められ、上記の如く求められる冷却速度と、化学成分との相関関係を示すデータ(不図示)が構築され、第2推定装置20に記憶されている。
そして、第2推定装置20の黒鉛数推定部22は、取得した球状黒鉛鋳鉄である供試材の冷却速度及び化学成分に基づいて、そのようなデータを検索することで、球状黒鉛鋳鉄である供試材の所定領域における黒鉛の数を推定する。特に、ここでは、黒鉛数推定部22は、球状黒鉛鋳鉄である供試材の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数を取得する。ここで、所定領域とは所定寸法の仮想領域を指し、所定平面とは所定寸法の仮想領域における仮想平面を指す。そして、第2推定装置20の黒鉛数推定部22は推定した値つまり球状黒鉛鋳鉄である供試材の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数を第2推定装置20の出力部23に出力する。出力部23は、第2推定装置20の表示部にその値を出力するとともに、第1推定装置10に出力する。なお、ここでは、その黒鉛の数と共に、供試材の化学成分も関連付けられて第1推定装置10に出力される。しかし、第1推定装置10において、入力部30を操作者が操作することで、入力部30が第1推定装置10に供試材の化学成分のみならず、推定した黒鉛の数を入力してもよい。なお、第1推定装置10において、入力部30が第1推定装置10に入力する供試材の黒鉛の数は、そのような推定値でなく、上記の如く供試材の観察面での実測値であってもよく、この場合、所定領域又は所定平面とは観察面を指す。
第1推定装置10においては、第2推定装置20から出力された上記値が取得部11で取得される。取得部11は、取得した値を第1推定装置10の表示部40に出力するとともに、寸法推定部12に出力する。なお、取得部11は、取得した値を第1推定装置10の記憶装置に記憶してもよい。なお、本開示の技術は、取得部11が寸法推定部12と実質的に一体化することを排除するものではない。これは、出力部14においても同様である。
第1推定装置10の寸法推定部12は、取得した値、つまり球状黒鉛鋳鉄である供試材の所定平面における単位面積当たりの球状黒鉛結晶つまり黒鉛の数と、供試材の化学成分に基づいて、供試材における黒鉛の寸法を推定する。黒鉛の数と、黒鉛の大きさとに相関関係があることは既に知られている。また、その関係は、供試材の化学成分によって変化する。そこで、第1推定装置10は、予め実験により定めたデータ又は演算式を記憶していて、それらに基づいて供試材の化学成分に応じた補正値を算出する。
一方で、黒鉛の数と、黒鉛の大きさつまり寸法とに関するデータとして、第1推定装置10は、図2に示すグラフのデータ及び図3に示すグラフのデータを記憶する。図2に示すグラフは、横軸に黒鉛の数つまり球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数(球状黒鉛粒数)をとり、縦軸に球状黒鉛鋳鉄における黒鉛の平均直径をとり、それらの関係例を示す。なお、図2において、横軸は図2中右側ほど数が多くなるように定められ、縦軸は図2中上側ほど平均直径が大きくなるように定められている。図2に示すように、図2のグラフの関係曲線は、実験値であるプロットを結ぶように定められる線であり、下に凸の曲線であり、黒鉛の数が少ないほど、黒鉛の平均直径が大きくなる関係を表す。これに対して、図3に示すグラフは、横軸に球状黒鉛鋳鉄における黒鉛の平均直径をとり、縦軸に球状黒鉛鋳鉄における黒鉛の最大直径つまり最大寸法をとり、それらの関係を示す。なお、図3において、横軸は図3中右側ほど平均直径が大きくなるように定められ、縦軸は図3中上側ほど最大寸法が大きくなるように定められている。図3に示すように、図3のグラフの関係曲線は、実験値であるプロットを結ぶように定められる線であり、下に凸の曲線であり、黒鉛の平均直径が小さくなるほど、黒鉛の最大寸法が小さくなる関係を表す。この説明から理解できるように、図2の縦軸は図3の横軸と同じである。したがって、これを共通の軸として、図2及び図3のグラフを三次元グラフとしてもよい。
なお、図2及び図3における、球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数や、平均直径や、最大寸法に関するデータには、種々の球状黒鉛鋳鉄の試験片の観察面(例えば断面)におけるデータが利用される。球状黒鉛鋳鉄の観察面の顕微鏡写真又は画像等を手作業で又は自動解析装置で分析することで、それらのデータを集計可能である。そして、その集計したデータに基づいて、図2及び図3のデータのみならず、化学成分に応じた上記補正値を算出するための演算式等が構築される。なお、平均直径は、種々の材料の観察面での単位面積あたりの黒色の黒鉛部分の割合と、単位面積あたりの黒鉛の数とに基づいて、例えば演算式「単位面積あたりの黒色の黒鉛部分の割合/単位面積当たりの黒鉛の数」に基づいて求めることも、その観察面における黒鉛の各々の直交する2方向での幅の平均として求めることも可能であり、種々の演算方法で求めることができる。また、最大直径つまり最大寸法は、複数の観察面における黒色の黒鉛部分の平均直径のうちの最大のものなど、種々定義され得る。ただし、最大寸法は平均直径以上である。
第1推定装置10の寸法推定部12は、図2及び図3のデータを、取得した値である、供試材の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数に基づいて検索するとともに、供試材の化学成分に応じた上記補正値を用いて所定の演算を行うことで、供試材の黒鉛の寸法として、その黒鉛の最大寸法を推定する。そして、寸法推定部12は、この最大寸法を疲労限度推定部13に出力する。ここでは、寸法推定部12が出力した供試材の黒鉛の最大寸法は、疲労限度推定部13及び出力部14を介して、表示部40に出力されるが、寸法推定部12から出力部14に直接出力されてもよい。また、寸法推定部12で推定される供試材の寸法は、最大寸法であることに限定されず、供試材の黒鉛の平均直径であってもよい。
なお、取得部11が、出力部23から、上記補正値を反映した値として、供試材の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数を取得する場合には、つまり、黒鉛数推定部22において既にそのような補正値が反映される場合には、寸法推定部12における上記補正値の適用は省かれ得る。
疲労限度推定部13は、寸法推定部12により推定される黒鉛の最大寸法で、図4の疲労限度グラフのデータを検索することに基づいて、球状黒鉛鋳鉄である供試材の疲労限度を推定する。具体的には、図4のデータは、予め実験に基づいて定められて第1推定装置10に記憶されていて、横軸に黒鉛の最大寸法をとり、縦軸に疲労限度をとり、それらの関係を示す。なお、図4において、横軸は図4中右側ほど最大寸法が大きくなるように定められ、縦軸は図4中上側ほど疲労限度が高くなるように定められている。図4に表す疲労限度は、種々の球状黒鉛鋳鉄の試験片における試験機(例えば、回転曲げ疲労試験機や引張圧縮疲労試験機等)での試験結果に基づく。また、ここでいう疲労限度とは、種々の球状黒鉛鋳鉄の試験片に振幅一定の繰返し応力を加え、所定回数負荷を繰り返しても疲労破壊に至らない(またはそのようにみなされる)応力値のことである。図4に示すように、図4のグラフの関係曲線は、実験値であるプロットに基づく線であり、下に凸の曲線であり、黒鉛の最大寸法が大きくなるほど、球状黒鉛鋳鉄の疲労限度が低下する関係を表す。換言すると、それらは、推定された黒鉛の最大寸法が小さくなるほど球状黒鉛鋳鉄の疲労限度が高くなる関係を有する。つまり、疲労限度推定部13は、推定された黒鉛の寸法が小さくなるほど前記球状黒鉛鋳鉄の疲労限度を高く推定する。そして、疲労限度推定部13は、推定した疲労限度を出力部14に出力する。なお、ここでは、その疲労限度と共に、寸法推定部12により推定される黒鉛の最大寸法も供試材の黒鉛の寸法として第1推定装置10の出力部14に出力される。これにより、出力部14は、黒鉛の最大寸法とともに、疲労限度を、表示部40に表示させるように出力する。
この第1推定装置10での処理の流れを図5のフローチャートに基づいて更に説明する。まず、ステップS501では、取得部11が、上記の如く推定された供試材の単位面積当たりの黒鉛の数を取得する。そして、それに基づいて、ステップS503では、寸法推定部12が、供試材の黒鉛の寸法として、ここでは平均直径及び最大寸法のうち最大寸法を推定する。そして、その最大寸法に基づいて、ステップS505では、疲労限度推定部13が、供試材の疲労限度を推定する。このように、第1推定装置10では、球状黒鉛鋳鉄である供試材の黒鉛の寸法が推定されて、その疲労限度が推定される。
以上述べたように、予め実験に基づいて種々の値の関係を定めておき、上記演算処理を行うことで、球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶つまり黒鉛の寸法を推定することができる。具体的には、球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数を取得し、この数つまり値に基づいてデータ検索等の演算を行うことで、球状黒鉛鋳鉄の黒鉛の寸法として、単位面積あたり黒鉛の数が少ないほど大きな値を推定することが可能になる。
また、上記実施形態によれば、この推定された黒鉛の寸法に基づいて、供試材の疲労限度を推定することが可能になる。したがって、供試材又は相当する材料がエンジン等の自動車部品や産業機械等における材料として用いられるとき、その交換時期又は寿命をより的確に予測することができる。なお、上で述べたように、本実施形態では、球状黒鉛鋳鉄の黒鉛の寸法として最大寸法が推定される。したがって、より安全面を重視して、供試材の疲労限度を推定することができる。
以上、本開示の技術に係る一実施形態を説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、第1推定装置10は、第1推定プログラムを読み込むことで、取得部11、寸法推定部12、疲労限度推定部13及び出力部14の各々として、つまりそれらの各々に対応する手段として、特に寸法推定手段及疲労限度推定手段の各手段として機能した。しかし、第1推定プログラムの読み込みにより、第1推定装置10は、取得部11及び出力部14以外に、寸法推定部12としてのみ機能してもよい。また、この場合、第1推定装置10を寸法推定部12そのものとみなしてもよい。
また、上記実施形態では、取得部11、21は、それぞれ、他の装置から入力された値を取得したり、入力部30が入力した値を取得したりしたが、例えば予め第1又は第2推定装置10、20に記憶している値等を読み込むことで取得してもよい。
また、上記実施形態では、寸法推定部12での黒鉛の寸法算出は、球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの黒鉛の数に基づいて実行された。しかし、球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数と相関関係がある値として種々の値を取得して、その取得した値に基づいて、黒鉛の寸法算出が行われてもよい。例えば、種々の球状黒鉛鋳鉄において、画像解析、腐食実験等により、所定領域として所定立体空間での黒鉛の数を定め、その数に基づいて黒鉛の寸法算出が行われてもよい。また、球状黒鉛鋳鉄では、その観察面(例えば断面)において黒鉛以外の生地の組織つまり結晶粒と黒鉛の数とは実質的に対応関係にある。そこで、このような生地の結晶粒の数が黒鉛の数に代わって用いられてもよい。
10 第1推定装置(推定装置)
11 取得部(取得手段)
12 寸法推定部(寸法推定手段)
13 疲労限度推定部(疲労限度推定手段)
14 出力部(出力手段)
20 第2推定装置
21 取得部(取得手段)
22 黒鉛数推定部(黒鉛数推定部)
23 出力部(出力手段)

Claims (9)

  1. 球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数又は該数と相関関係がある値を取得するように構成された取得手段と、
    該取得手段において取得された値に基づいて前記球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の寸法を推定するように構成された寸法推定手段であって、前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、寸法推定手段と
    を備える、
    推定装置。
  2. 前記取得手段は、前記球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの球状黒鉛結晶の数を取得し、
    前記寸法推定手段は、前記単位面積あたりの前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、
    請求項1に記載の推定装置。
  3. 前記寸法推定手段において推定された球状黒鉛結晶の寸法が小さくなるほど前記球状黒鉛鋳鉄の疲労限度を高く推定するように構成された疲労限度推定手段をさらに備える、
    請求項1又は2に記載の推定装置。
  4. 球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数又は該数と相関関係がある値を取得する取得ステップと、
    該取得ステップにおいて取得した値に基づいて、前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する寸法推定ステップと
    を含む、
    球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の寸法を推定するための推定方法。
  5. 前記取得ステップは、前記球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの球状黒鉛結晶の数を取得し、
    前記寸法推定ステップは、前記取得ステップにおいて取得した値に基づいて、前記単位面積あたりの前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、
    請求項4に記載の推定方法。
  6. 前記寸法推定ステップにおいて推定された前記球状黒鉛結晶の寸法が小さくなるほど前記球状黒鉛鋳鉄の疲労限度を高く推定する疲労限度推定ステップをさらに含む、請求項4又は5に記載の推定方法。
  7. コンピュータを、
    球状黒鉛鋳鉄の所定領域における球状黒鉛結晶の数又は該数と相関関係がある値を取得するように構成される取得手段と、
    該取得手段において取得された値に基づいて前記球状黒鉛鋳鉄における球状黒鉛結晶の寸法を推定するように構成される寸法推定手段であって、前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、寸法推定手段と
    の各手段として機能させる、
    推定プログラム。
  8. 前記取得手段は、前記球状黒鉛鋳鉄の所定平面における単位面積当たりの球状黒鉛結晶の数を取得し、
    前記寸法推定手段は、前記単位面積あたりの前記球状黒鉛結晶の数が少ないほど前記球状黒鉛結晶の寸法を大きく推定する、
    請求項7に記載の推定プログラム。
  9. 前記コンピュータを、
    推定された前記球状黒鉛結晶の寸法が小さくなるほど前記球状黒鉛鋳鉄の疲労限度を高く推定するように構成される疲労限度推定手段としてさらに機能させる、
    請求項7又は8に記載の推定プログラム。
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