JP2019189687A - 可逆熱変色性水性インキ組成物、ボールペンレフィル及び筆記具 - Google Patents

可逆熱変色性水性インキ組成物、ボールペンレフィル及び筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】明度の高い媒体上であっても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成可能なインキ組成物を提供する。【解決手段】可逆熱変色性水性インキ組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、樹脂被覆された薄片状金属顔料である第1光輝性顔料と、水と、増粘剤とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、可逆熱変色性水性インキ組成物、ボールペンレフィル及び筆記具に関する。
可逆熱変色性顔料、透明性金属光沢顔料、水及び水溶性有機溶剤を含む金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物が知られており、筆跡に金属光沢性と変色性とを備え、装飾性の高い筆跡が実現できるとされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−244489号公報
特許文献1に記載のインキ組成物に含まれる透明性金属光沢顔料の光輝性は黒紙上において引き立つものの、白紙のような明度の高い媒体上に形成された筆跡においては、光輝感が不充分になる場合があった。本発明の一態様は、明度の高い媒体上であっても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成可能なインキ組成物を提供することを目的とする。
可逆熱変色性水性インキ組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、第1光輝性顔料と、水と、増粘剤とを含み、第1光輝性顔料は、樹脂被覆された薄片状金属顔料であることを要件とする。
インキ組成物は、第1光輝性顔料の含有率が、0.01質量%以上20質量%以下であることを要件としてもよい。インキ組成物は、透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる第2光輝性顔料を更に含むことを要件としてもよい。インキ組成物は、第1光輝性顔料と第2光輝性顔料の総含有率が0.02質量%以上20質量%以下であることを要件としてもよい。インキ組成物は、第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比が、0.05以上100以下であることを要件としてもよい。インキ組成物は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率が、2質量%以上45質量%以下であることを要件としてもよい。インキ組成物は第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有量に対する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量の比が、0.5以上200以下であることを要件としてもよい。インキ組成物は、20℃において、E型粘度計を用い、せん断速度3.8sec−1で測定される粘度が、200mPa・s以上2000mPa・s以下であることを要件としてもよい。
ボールペンレフィルは、前記インキ組成物を収容するインキ収容管と、前記インキ収容管に直接又は接続部材を介して装着され、ボールを回転自在に抱持するボールペン体とを備えることを要件とする。
筆記具は、前記インキ組成物を収容する軸筒と、前記軸筒内に収容されたインキ組成物を導出するペン体とを備えることを要件とする。また、筆記具は、前記ボールペンレフィルを軸筒内に備えることを要件とする。
筆記具は、摩擦部材を更に備えることを要件としてもよい。筆記具は、摩擦部材が粘弾性体であることを要件としてもよい。筆記具は、粘弾性体がショアA硬度(JIS K 7215に準拠)の押針接触開始直後の値が55以上90以下であることを要件としてもよい。
本発明の一態様によれば、明度の高い媒体であっても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成可能なインキ組成物を提供することができる。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 ボールペンレフィルを収容する出没式のボールペンを示す説明図である。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、インキ組成物等を例示するものであって、本発明は、以下に示すインキ組成物等に限定されない。
可逆熱変色性水性インキ組成物
可逆熱変色性水性インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」ともいう)は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、樹脂被覆された薄片状金属顔料である第1光輝性顔料と、水と、増粘剤とを含む。
インキ組成物が光輝性顔料として、樹脂被覆された薄片状金属顔料を含むことで、黒紙上の筆跡及び白紙等の明度の高い媒体上の筆跡のいずれにおいても、優れた光輝性を奏する熱変色性の筆跡を形成することが可能になる。また、インキ組成物が、樹脂被覆された薄片状金属顔料に加えて水と増粘剤とを含んで構成されることで、経時的に光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することが抑制され、色と光輝性におけるムラが抑制された良好な筆跡を形成することが可能になる。
第1光輝性顔料は、樹脂被覆された薄片状金属顔料であり、金属箔上に樹脂層を設けて形成される。樹脂層は、例えば、金属箔の両面に形成される。また、樹脂層は着色剤を含んでいてもよい。金属としては、例えば、アルミニウムが用いられ、その表面は鏡面加工されていてもよい。第1光輝性顔料の平均厚みは、例えば、0.5μm以上5μm以下であり、好ましくは1μm以上3μm以下である。第1光輝性顔料の平均粒径は、例えば、5μm以上200μm以下であり、好ましくは10μm以上60μm以下である第1光輝性顔料の平均粒径が上記範囲内であると、光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することがより効果的に抑制され、色と光輝性におけるムラがより抑制された良好な筆跡を形成することが可能になる。また、筆跡を擦過した際における光輝性顔料の除去性がより良好になる。
ここで、第1光輝性顔料の平均厚み及び平均粒径は、JIS Z 8827−1:2008に準じて、デジタルマイクロスコープによる観察画像を画像解析して計測されるそれぞれの粒子の最大厚みの算術平均値及び最大粒径の算術平均値である。画像解析には、例えば、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー(Mac−View)」を用いることができる。
第1光輝性顔料の平均厚みに対する平均粒径の比であるアスペクト比は、例えば2以上50以下であり、好ましくは10以上30以下である。アスペクト比が上記範囲内であると、より優れた光輝性を有する筆跡が形成できる。第1光輝性顔料の真比重は、例えば、1.2以上1.3以下程度であり、分散性に優れる。樹脂被覆された薄片状金属顔料は、例えば、ポリエステル等の樹脂フィルムの片面にアルミニウム等を真空蒸着し、所望の着色コーティングした後に細かく切断することで得られる。
第1光輝性顔料はラメ顔料とも呼ばれ、その具体例としては、エルジーneo SILVER #35、エルジーneo R−GOLD #35、エルジーneo B−GOLD #35、エルジーneo S−GOLD #35、エルジーneo SILVER #100、エルジーneo R−GOLD #100、エルジーneo B−GOLD #100、エルジーneo S−GOLD #100、エルジーneo RED #100、エルジーneo BLUE #100、エルジーneo GREEN #100、エルジーneo VIOLET #100、エルジーneo BLACK #100、エルジーneo COPPER #100、エルジーneo PINK #100、エルジーneo YELLOW #100、エルジーneo R−GOLD #150、エルジーneo B−GOLD #150、エルジーneo S−GOLD #150、エルジーneo RED #150、エルジーneo BLUE #150、エルジーneo GREEN #150、エルジーneo VIOLET #150、エルジーneo BLACK #150、エルジーneo COPPER #150、エルジーneo PINK #150、エルジーneo YELLOW #150、エルジーneo SILVER #200、エルジーneo R−GOLD #200、エルジーneo B−GOLD #200、エルジーneo S−GOLD #200、エルジーneo RED #200、エルジーneo BLUE #200、エルジーneo GREEN #200、エルジーneo VIOLET #200、エルジーneo BLACK #200、エルジーneo COPPER #200、エルジーneo PINK #200、エルジーneo YELLOW #200、エルジーneo SILVER #325、エルジーneo R−GOLD #325、エルジーneo B−GOLD #325、エルジーneo S−GOLD #325、エルジーneo RED #325、エルジーneo BLUE #325、エルジーneo GREEN #325、エルジーneo VIOLET #325、エルジーneo BLACK #325、エルジーneo COPPER #325、エルジーneo PINK #325、エルジーneo YELLOW #325、エルジーneo SILVER #500、エルジーneo R−GOLD #500、エルジーneo B−GOLD #500、エルジーneo S−GOLD #500(以上、尾池イメージング株式会社製)、ダイヤモンドピース LG Gold No.55、ダイヤモンドピース DG Gold No.55、ダイヤモンドピース Green No.55、ダイヤモンドピース Blue No.55、ダイヤモンドピース Red No.55、ダイヤモンドピース Maroon No.55、ダイヤモンドピース Ocean Green No.55、ダイヤモンドピース Sky Blue No.55、ダイヤモンドピース Black No.55、ダイヤモンドピース Pink No.55、ダイヤモンドピース Violet No.55、ダイヤモンドピース Emerald No.55、ダイヤモンドピース Copper No.55、ダイヤモンドピース LG Gold H25、ダイヤモンドピース DG Gold H25、ダイヤモンドピース Green H25、ダイヤモンドピース Blue H25、ダイヤモンドピース Red H25、ダイヤモンドピース Maroon H25、ダイヤモンドピース Ocean Green H25、ダイヤモンドピース Sky Blue H25、ダイヤモンドピース Black H25、ダイヤモンドピース Pink H25、ダイヤモンドピース Violet H25、ダイヤモンドピース Emerald H25、ダイヤモンドピース Copper H25、ダイヤモンドピース LG Gold H55、ダイヤモンドピース DG Gold H55、ダイヤモンドピース Green H55、ダイヤモンドピース Blue H55、ダイヤモンドピース Red H55、ダイヤモンドピース Maroon H55、ダイヤモンドピース Ocean Green H55、ダイヤモンドピース Sky Blue H55、ダイヤモンドピース Black H55、ダイヤモンドピース Pink H55、ダイヤモンドピース Violet H55、ダイヤモンドピース Emerald H55、ダイヤモンドピース Copper H55、ダイヤモンドピース LG Gold CO−40UC、ダイヤモンドピース DG Gold CO−40UC、ダイヤモンドピース Green CO−40UC、ダイヤモンドピース Blue CO−40UC、ダイヤモンドピース Red CO−40UC、ダイヤモンドピース Pink CO−40UC、ダイヤモンドピース Lavender CO−40UC(以上、ダイヤ工業株式会社製)等が挙げられる。第1光輝性顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
インキ組成物中の第1光輝性顔料の含有率は、例えば、0.01質量%以上20質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。第1光輝性顔料の含有率が上記範囲内であると、第1光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することがより効果的に抑制され、色と光輝性におけるムラの発生がより抑制されたより良好な筆跡の形成が可能になる。
インキ組成物は、第1光輝性顔料に加えて、透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる第2光輝性顔料を更に含んでいてもよい。第2光輝性顔料を含むことで、黒紙上においてより優れた光輝性を有する筆跡の形成が可能になる。また、筆跡を擦過した際における第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料(以下、両者を併せて、単に「光輝性顔料」ともいう)の除去性がより良好になる。透明性を有する基材としては、例えば、天然雲母、KMg(AlSi10)F等の合成雲母、偏平ガラス、シリカフレーク、薄片状酸化アルミニウム等を挙げることができる。基材を被覆する金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の酸化物を挙げることができ、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物である。第2光輝性顔料は、基材の表面を被覆する金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色又はメタリック色の金属光沢を呈する。第2光輝性顔料は、酸化チタン等の金属酸化物層の上に酸化鉄、非熱変色性染顔料をさらに被覆したものであってもよい。
第2光輝性顔料の形状としては偏平形状、鱗片形状等を挙げることができる。第2光輝性顔料は、平均厚みが、例えば、0.1μm以上5μm以下であり、平均粒径は、例えば、0.2μm以上200μm以下、好ましくは2μm以上100μm以下である。第2光輝性顔料の平均粒径が上記範囲内であると、光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することがより効果的に抑制され、色と光輝性におけるムラがより抑制された良好な筆跡を形成することが可能になる。また、筆跡を擦過した際における光輝性顔料の除去性がより良好になる。
第2光輝性顔料は、パール顔料とも呼ばれ、その具体例としては以下が挙げられる。天然雲母の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した第2光輝性顔料として、メルク社製の商品名「イリオジン」品番:100(粒度分布10μmから60μm:シルバーパール)、103(粒度分布10μmから60μm)、120(粒度分布5μmから25μm:ラスターサテン)、123(粒度分布5μmから25μm)、201(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインゴールド)、205(粒度分布10μmから60μm:ルチルプラチナゴールド)、221(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインブルー)、225(粒度分布10μmから60μm:ルチルブルーパール)、231(粒度分布5μmから25μm:ルチルファインレッド)、235(粒度分布10μmから60μm:ルチルグリーンパール)、エンゲルハード社製の商品名「ルミナカラーズ」品番:ルミナゴールド(粒度分布10μmから48μm:金色)、ルミナレッド(粒度分布10μmから48μm:メタリックレッド)、ルミナレッドブルー(粒度分布10μmから48μm:メタリックブルー)、ルミナアクアブルー(粒度分布10μmから48μm:メタリックブルー)、ルミナグリーン(粒度分布10μmから48μm:メタリックグリーン)、ルミナターコイズ(粒度分布10μmから48μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料として、日本光研工業(株)製の商品名「アルティミカ」品番:SB−100(粒度分布5μmから30μm:銀色)、SD−100(粒度分布10μmから60μm:銀色)、SE−100(粒度分布15μmから100μm:銀色)、SF−100(粒度分布44μmから150μm:銀色)、SH−100(粒度分布150μmから600μm:銀色)、YB−100(粒度分布5μmから30μm:金色)、YD−100(粒度分布10μmから60μm:金色)、YE−100(粒度分布15μmから100μm:金色)、YF−100(粒度分布44μmから150μm:金色)、RB−100(粒度分布5μmから300μm:メタリックレッド)、RD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックレッド)、RE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックレッド)、RF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックレッド)、RBB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックパープル)、RBD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックパープル)、RBE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックパープル)、RBF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックパープル)、VB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックバイオレット)、VD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックバイオレット)、VE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックバイオレット)、VF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックバイオレット)、BB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックブルー)、BD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックブルー)、BE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックブルー)、BF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックブルー)、GB−100(粒度分布5μmから30μm:メタリックグリーン)、GD−100(粒度分布10μmから60μm:メタリックグリーン)、GE−100(粒度分布15μmから100μm:メタリックグリーン)、GF−100(粒度分布44μmから150μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
偏平ガラス片の表面を金属酸化物で被覆した顔料として、鱗片状のガラス片を酸化チタンで被覆した日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」MC5090RS(平均粒径90μm:銀色)、MC5090RY(平均粒径90μm:金色)、MC5090RR(平均粒径90μm:赤色)、MC5090RV(平均粒径90μm:紫色)、MC5090RB(平均粒径90μm:青色)、MC5090RG(平均粒径90μm:緑色)、MC1080RS(平均粒径80μm:銀色)、MC1080RY(平均粒径80μm:金色)、MC1080RR(平均粒径80μm:赤色)、MC1080RB(平均粒径80μm:青色)、MC1080RG(平均粒径80μm:緑色)、MC1040RS(平均粒径40μm:銀色)、MC1040RY(平均粒径40μm:金色)、MC1040RR(平均粒径40μm:赤色)、MC1040RB(平均粒径40μm:青色)、MC1040RG(平均粒径40μm:緑色)、MC1020RS(平均粒径20μm:銀色)、MC1020RY(平均粒径20μm:金色)、MC1020RR(平均粒径20μm:赤色)、MC1020RB(平均粒径20μm:青色)、MC1020RG(平均粒径20μm:緑色)、MC1080RSS1(平均粒径80μm:銀色)、MC1080RYS1(平均粒径80μm:金色)等を例示できる。
シリカフレークの表面を金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「カラーストリーム」品番:F20−00WNT AutumnMystery(粒度分布5μmから40μm)、T20−01WNT ViolaFantasy(粒度分布5μmから40μm)等を例示できる。
薄片状酸化アルミニウムの表面を金属酸化物で被覆した顔料として、メルク社製の商品名「シラリック」品番:T50−10(粒度分布10μmから30μm:銀色)、T60−10WNT(粒度分布10μmから30μm:銀色)、T60−20WNT(粒度分布10μmから30μm:金色)、T60−24WNT(粒度分布10μmから30μm:メタリックグリーン)、T60−23WNT(粒度分布10μmから30μm:メタリックブルー)等を例示できる。第2光輝性顔料は、1種単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
インキ組成物中の第2光輝性顔料の含有率は、例えば、0.01質量%以上20質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。第2光輝性顔料の含有率が上記範囲内であると、第2光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することがより効果的に抑制され、色と光輝性におけるムラの発生がより抑制されたより良好な筆跡の形成が可能になる。
インキ組成物中の第1光輝性顔料と第2光輝性顔料の総含有率は、例えば、0.02質量%以上20質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。光輝性顔料の総含有率が上記範囲内であると、筆跡により良好な光輝性を付与することができる。また、光輝性顔料が沈降、凝集して溶媒から分離することがより効果的に抑制され、色と光輝性におけるムラの発生がより抑制されたより良好な筆跡の形成が可能になる。
インキ組成物中における第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比(第2光輝性顔料/第1光輝性顔料)は、例えば、0.05以上100以下であり、好ましくは0.1以上20以下、より好ましくは0.2以上5以下である。含有比が上記範囲内であると、筆跡の光輝性と、筆跡を擦過した際の筆跡の消去性及び光輝性顔料の除去性とのバランスがより良好になる。
インキ組成物は、必要に応じて第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料以外のその他の光輝性顔料をさらに含んでいてもよい。その他の光輝性顔料としては、コレステリック液晶型金属光沢顔料;アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、錫、亜鉛、ブロンズ、ニッケル、銅、金、銀等の金属粉顔料等を挙げることができる。コレステリック液晶型金属光沢顔料として具体的には、ワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)、Scarabeus(SLM90120)、Jade(SLM90220)、Maple(SLM90320)等を例示できる。コレステリック液晶型金属光沢顔料は平均厚みが、例えば、3μm以上15μm以下、好ましくは5μm以上10μm以下の範囲であり、平均粒径が1μm以上100μm以下の範囲のものが好適に用いられる。
アルミニウム粉顔料としては、フレンドカラーF−700シリーズ、F−500シリーズ、F−350シリーズ、F−100シリーズ、アルミペーストWB0230、WXM0630、EMRD5660、WJCU75C(以上、東洋アルミニウム(株)製);スーパーファインNo.22000、同No.18000、ファインNo.900、同800、スーパーファインNo.22000WN、同No.1800WN(以上、大和金属粉工業(株)製)、AA12、AA8、No.900、No.1800(以上、福田金属箔粉工業(株)製)、アルミ粉1000、同2700(以上、中塚金属箔粉工業(株)製)等を例示できる。また、銅及び銅合金粉顔料としては、PaleGold E5、同2L5、RichGold L7、同3L7、ECopper(以上、福田金属箔粉工業(株)製)等を例示できる。
インキ組成物中の金属粉顔料の含有率は、筆跡の消去性の観点から、例えば、5質量%未満であり、好ましくは0.1質量%未満であり、より好ましくは0.01質量%未満である。
インキ組成物は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の少なくとも1種を含有する。可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、単に「マイクロカプセル顔料」ともいう)は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する。
マイクロカプセル顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載されている、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1℃から7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を用いることができる(図1参照)。
また、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている、大きなヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔tからtの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる(図2参照)。
色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2では、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
前記完全消色温度tは、摩擦部材と被筆記面との擦過によって生じる摩擦熱等により消色する温度であり、例えば、50℃以上90℃以下であり、好ましくは55℃以上85℃以下、より好ましくは60℃以上80℃以下の範囲にあり、完全発色温度tは冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度とすることができ、例えば、0℃以下であり、好ましくは−50℃以上−5℃以下、より好ましくは−50℃以上−10℃以下の範囲にある。
以下に電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び反応媒体について説明する。電子供与性呈色性有機化合物は、色調を決める成分であって、電子受容性化合物に電子を供与して、発色する化合物である。電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物及びフルオラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。また、前記フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−プロピルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジペンチルアミノフルオラン、
2−(ジベンジルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジメチルアミノ)−2−メトキシフェニル〕−3−(1−ブチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−エトキシフェニル〕−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−エトキシフェニル〕−3−(1−ペンチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
3’,6’−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3’,6’−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3’,6’−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6−ビス(2’,4’−ジエチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−メトキシ−キナゾリン、
4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して電子供与性呈色性有機化合物を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類、ポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有する化合物、及びビス型、トリス型フェノール等のフェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。また、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
電子受容性化合物の具体例としては、
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4−イソプロポキシフェニルスルホン、4−ベンジルオキシフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジメチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジメチルオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−へプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4−t−ブチル−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2から5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1,2,3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
電子供与性呈色性有機化合物及び電子受容性化合物による呈色反応の生起温度を決める反応媒体について説明する。反応媒体としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類等の化合物が挙げられる。これらの化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量の化合物では高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効である。具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられる。具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、及び不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステルから選ばれるエステル化合物も有効である。具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
更に、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4−17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10から16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17から23の脂肪酸エステル化合物も有効である。具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効である。具体的には、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
ケトン類として更には、総炭素数が12から24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効である。具体的には、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘニン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等が挙げられる。
また、反応媒体として、下記式(1)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0から2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CH)nOCOR又は−(CH)nCOOR、他方は水素原子を示し、nは0から2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基又はハロゲン原子を示し、r及びpは1から3の整数を示す。
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 2019189687
式(2)中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10から24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12から22のアルキル基である。
式(2)で示される化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、反応媒体として、下記式(3)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(3)中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1から3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基又はハロゲン原子を示す。
式(3)で示される化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(4)中、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基又はハロゲン原子のいずれかを示し、mは1から3の整数を示し、nは1から20の整数を示す。
式(4)で示される化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(5)中、Rは炭素数1から21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1から3の整数を示す。
式(5)で示される化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(6)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(6)中、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを示し、mは1から3の整数を示し、nは1から20の整数を示す。
式(6)で示される化合物としては、こはく酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(7)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(7)中、Rは炭素数4から22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基又は炭素数4から22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。
式(7)で示される化合物としては、4−フェニル安息香酸デシル、4−フェニル安息香酸ラウリル、4−フェニル安息香酸ミリスチル、4−フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4−ビフェニル酢酸オクチル、4−ビフェニル酢酸ノニル、4−ビフェニル酢酸デシル、4−ビフェニル酢酸ラウリル、4−ビフェニル酢酸ミリスチル、4−ビフェニル酢酸トリデシル、4−ビフェニル酢酸ペンタデシル、4−ビフェニル酢酸セチル、4−ビフェニル酢酸シクロペンチル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4−ビフェニル酢酸ヘキシル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(8)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(9)中、Rは炭素数3から18のアルキル基又は炭素数3から18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から3のアルキル基、炭素数1若しくは2のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1若しくは2のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示す。
式(9)で示される化合物としては、4−ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4−テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(9)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(9)中、Rは炭素数4から22のアルキル基、炭素数4から22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、又はシクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。
式(9)で示される化合物としては、p−ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp−メトキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(10)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(10)中、Rは炭素数3から18のアルキル基、炭素数6から11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5から7のシクロアルキル基、又は炭素数3から18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から3のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示す。
式(10)で示される化合物としては、p−ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、p−ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、p−ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(11)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(11)中、Rは炭素数3から8のシクロアルキル基又は炭素数4から9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1から3の整数を示す。
式(11)で示される化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
更に、反応媒体として下記式(12)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2019189687
式(12)中、Rは炭素数3から17のアルキル基、炭素数3から8のシクロアルキル基、又は炭素数5から8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、又はハロゲン原子を示し、nは1から3の整数を示す。
式(12)で示される化合物としては、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4−フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
可逆熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び反応媒体を必須成分とする相溶体である。各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類等に応じて適宜選択すればよい。一般的に所望の特性が得られる成分比は、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して、電子受容性化合物が0.1から100質量部、好ましくは0.1から50質量部、より好ましくは0.5から20質量部であり、反応媒体が5から200質量部、好ましくは5から100質量部、より好ましくは10から100質量部の範囲である。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、必要に応じて各種光安定剤を更に含んでいてもよい。光安定剤は、可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して0.3質量部以上24質量部以下、好ましくは0.3質量部以上16質量部以下の割合で含有される。又、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、電子受容性化合物の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。又、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。光安定剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包することによって可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として用いられる。尚、マイクロカプセル化の方法には、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させたりして実用に供することもできる。
マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1から1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができ、より好適には、内包物/壁膜=6/1から1/1(質量比)である。
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成できる。マイクロカプセルの平均粒径は、例えば、0.01μm以上50μm以下、好ましくは0.1μm以上30μm以下、より好ましくは0.5μm以上20μm以下の範囲が実用性を満たす。
なお、平均粒径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態の他、非円形断面の形態であってもよい。
マイクロカプセル顔料は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。インキ組成物中のマイクロカプセル顔料の含有率は、例えば、1質量%以上50質量%以下であり、好ましくは3質量%以上45質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。マイクロカプセル顔料の含有率が上記範囲であると、筆跡におけるマイクロカプセル顔料の発色性と光輝性顔料の光輝性とのバランスがより良好になる。
インキ組成物中のマイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率は、例えば2質量%以上45質量%以下であり、好ましくは3質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。マイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率が上記範囲であると、より良好な発色性と光輝性とが達成され、また、より良好な消色性と除去性とが達成できる。
インキ組成物中の第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有量に対するマイクロカプセル顔料の含有量の比は、例えば、0.5以上200以下であり、好ましくは1以上150以下、より好ましくは1以上100以下、更に好ましくは1.5以上50以下である。光輝性顔料の総含有量に対するマイクロカプセル顔料の含有量の比が上記範囲であると、筆跡におけるマイクロカプセル顔料の発色性と光輝性顔料の光輝性とのバランスがより良好になる。
インキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の平均比重は、例えば、2.2以下であり、好ましくは2以下である。平均比重の上限が前記範囲であると、顔料の沈降、凝集等がより効果的に抑制される。また、平均比重の下限値は、例えば、1以上であり、好ましくは1.1以上である。平均比重は、マイクロカプセル顔料の含有量とその真比重(例えば、1.2)の積、第1光輝性顔料の含有量とその真比重(例えば、1.3)の積、及び第2光輝性顔料の含有量とその真比重(例えば、3)の積の和を、マイクロカプセル顔料の含有量、第1光輝性顔料の含有量及び第2光輝性顔料の含有量の和で除して算出される。
インキ組成物は、増粘剤の少なくとも1種を含む。増粘剤を含むことで、光輝性顔料の沈降、凝集等を抑制することができる。増粘剤は剪断減粘性付与剤として機能するものであってもよい。増粘剤としては、多糖類、特にヘテロ多糖体が挙げられる。具体的には、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万から800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ダイユータンガム等を挙げることができる。前記多糖類としてはキサンタンガムが好適である。増粘剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
インキ組成物中の増粘剤の含有率は、例えば、0.1質量%以上0.6質量%以下であり、好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下である。増粘剤の含有率が0.1質量%以上であると、充分なインキ粘度が得られ、マイクロカプセル顔料及び光輝性顔料の凝集、沈降を充分に抑制することができる。一方、増粘剤の含有率が0.6質量%以下であると、インキ粘度が高くなりすぎず、良好な筆跡が形成できる。
インキ組成物は、8糖以上の澱粉糖化物及びその還元物(以下、糖類という)の少なくとも一方を30質量%以上含む糖混合物を含むことが好ましい。これにより、耐乾燥性を更に向上させることができると共に、垂れ下がり防止性能を付与することができる。
糖混合物としては、好ましくは8糖以上の糖類を50質量%以上含むものであり、より好ましくは8糖以上の糖類を70質量%以上含むものである。耐乾燥性を付与するためには、ある程度の乾燥皮膜の形成が必要であるが、単糖又は二糖では乾燥皮膜の形成が充分でないので耐乾燥性に対する効果が小さく、吸水性が高いためにボールペンに適用した場合、チップを下向き(倒立)で放置することによる垂れ下がりが発生しやすい。また、3糖から7糖程度では、単糖又は二糖に比べて吸水性は低くなるが、十分な耐乾燥性を得るには至らない。更に、十分な耐乾燥性を得るために多量の添加を試みると、吸水性が高くなり垂れ下がりの原因になったり、添加した糖が溶解しきれずにインキ組成物中の固形分が増加し、耐乾燥性が低下したりすることがある。糖類は分子量が大きくなるに従い吸湿性が低くなり、乾燥皮膜を形成し易くなる特徴を有することから、8糖以上の糖類を用いることで高湿度下での垂れ下がりを防止できると共に、耐乾燥性も向上する。更に、耐熱性、耐酸性、耐微生物性等の性能も向上し、インキ中で安定した状態を維持できる。
8糖以上の糖類としては、澱粉の酵素分解等によって得られる澱粉糖化物や、該澱粉糖化物の末端基を還元した還元澱粉糖化物を用いることができる。また、澱粉を分解していくと、様々な重合度の糖類が生成するため、8糖以上の糖類のみを完全に単離することは技術的に困難であり、製造コストもかかってしまう。そこで、7糖以下の糖類が存在する糖混合物において、前記8糖以上の糖類を30質量%以上含むものを使用することができ、それにより、インキ中で前記性能を十分に得ることができ、耐乾燥性及び垂れ下がり防止性能を付与できる。糖混合物としては、澱粉を分解(例えば、酵素分解)して得られる生成物等が挙げられる。
インキ組成物中の糖混合物の含有率は、例えば、0.5質量%以上10質量%以下とすることができる。0.5質量%以上であれば、耐乾燥性の向上が効果的に得られ、10質量%以下であれば、配合によりインキ組成物の粘度が上昇して泣き出しやボテの原因になったり、追従性を妨げたりするといった問題を容易に回避することができ、更には良好な耐乾燥性に悪影響を与えることもない。糖混合物の含有率は、好ましくは1質量%以上8質量%以下である。
インキ組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の成分を含んでいてもよい。例えば、必要により、紙面への固着性や粘性付与のために、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等を含むことができる。
更に、必要により、各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜リン酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)、チオ亜リン酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜リン酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、あるいはそれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤が挙げられる。
また、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤又は防黴剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、天然又は合成ポリフェノール類、N−ビニルピロリドンオリゴマー、コウジ酸、ヒドロキシルアミン類、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素、ホルムアミジンスルフィン酸、グルタチオン、n−ブチルアルデヒドとアニリンの反応物等の酸素吸収剤、消泡剤、分散剤等を含んでいてもよい。
インキ組成物は、沸点が150℃以上の有機溶剤を含んでいてもよい。これにより、筆跡の乾燥性を向上させることができ、筆跡を形成した直後に摩擦部材の適用により筆跡を変色又は消色させることを可能とし、利便性を向上させることができる。沸点が150℃以上の有機溶剤の含有率は、例えば、5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下である。あるいは有機溶剤を添加しなくてもよい。
前記沸点が150℃以上の有機溶剤としては、エチレングリコール(沸点197℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、トリエチレングリコール(沸点287℃)、プロピレングリコール(沸点187℃)、1,3−ブチレングリコール(沸点207℃)、グリセリン(沸点290℃)、フルフリルアルコール(沸点171℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点271℃)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点304℃)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点179℃)等を挙げることができる。
インキ組成物は、水を含むが、水に加えて水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。水溶性有機溶剤を含む場合は、インキ粘度の上昇によるインキ追従性不良や、筆跡の乾燥不良、筆跡の滲み等種々の不具合を発生することがない範囲で含むことが好ましく、あるいは、水溶性有機溶剤を含まなくてもよい。水溶性有機溶剤としては、グリコール系水溶性有機溶剤が挙げられ、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセリン等を挙げることができる。
インキ組成物は、20℃において、E型粘度計を用い、せん断速度3.8sec−1で測定される粘度が、例えば、200mPa・s以上2000mPa・s以下であり、好ましくは、400mPa・s以上1500mPa・s以下である。インキ組成物の粘度が前記範囲であると、光輝性顔料の沈降、凝集等がより効果的に抑制され、また、良好な流動性が維持できる。インキ組成物の粘度は、マイクロカプセル顔料、光輝性顔料の含有量、増粘剤の含有量等のインキ組成を適宜選択することで、所望の範囲に調整することができる。
インキ組成物は、水と水溶性有機溶剤を含む水性媒体中に、第1光輝性顔料及びマイクロカプセル顔料、必要により第2光輝性顔料、各種添加剤等を投入、攪拌し、更に、これとは別に調製した溶媒中に増粘剤を分散した分散液又は増粘剤を直接投入し、攪拌することにより調製される。
インキ組成物は、マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具用インキとして利用できる。
インキ組成物は、インキ組成物を収容する軸筒と、前記軸筒内に収容されたインキ組成物を導出するペン体とを備える筆記具に適用することができる。インキ組成物は、例えば、繊維集束体からなるインキ吸蔵体に内蔵させて、又はインキ収容管に直接収容して軸筒内に収容することができる。また、ペン体は、例えば、マーキングペン体、筆ペン体、ボールペン体とすることができる。上記構成のインキ組成物を用いて構成される筆記具では、良好な光輝性を有し、熱変色可能な筆跡を形成することが可能であり、また、インキ組成物における光輝性顔料の凝集体形成が抑制されるため、筆記先端からのインキ吐出性が良好で、筆跡形成性に優れる。
筆記具は、マーキングペンであってよい。マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではない。マーキングペンとしては、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるマーキングペン体を直接又は中継部材を介して軸筒に装着してインキ吸蔵体とマーキングペン体とが連結されてなり、インキ吸蔵体にインキ組成物を含浸させた構造、マーキングペン体の押圧により開放する弁体を介してマーキングペン体とインキ収容管とを配置し、該インキ収容管内にインキを直接収容させた構造等を例示できる。
マーキングペン体は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来から汎用される気孔率が概ね30%から70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材、または軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成型体であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40%から90%の範囲に調整して構成される。また、弁体は、従来から汎用されるポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
筆記具は、ボールペンであってよい。ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではない。ボールペンとしては、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、インキ収容管はボールを先端部に装着したボールペン体に連通しており、さらにインキ収容管に収容されるインキ組成物の端面には逆流防止用の液栓が密接している構造を例示できる。上記構成のインキ組成物を用いて構成されるボールペンでは、筆記先端からのインキ吐出性が良好で、筆跡形成性に優れる。
ボールペン体としては、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるボールペン体、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるボールペン体、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたボールペン体、ボールペン体に抱持されるボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等からなり、径が例えば、0.3mm以上2.0mm以下、好ましくは0.3mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.3mm以上1.0mm以下程度のものが適用できる。
インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体、金属製管状体が用いられる。インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
ボールペンは、インキ収容管をボールペンレフィルの形態として、ボールペンレフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にボールペン体を装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填したものでもよい。
インキ収容管をボールペンレフィルの形態とする場合、ボールペンレフィルはインキ組成物を収容するインキ収容管と、インキ収容管に直接又は接続部材を介して装着され、ボールを回転自在に抱持するボールペン体とを備えて構成される。
また、インキ組成物を出没式ボールペンに適用する場合、出没式ボールペンの構造、形状は特に限定されるものではなく、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、ノック部の押圧により、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。回転式は、軸筒後部に回転部を有し、回転部を回すことにより筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、スライドを操作することにより筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
図3は、出没式ボールペン7の一例を示す概略部分断面図である。出没式ボールペン7は、軸筒8内にボールペンレフィル1が出没可能に収容されてなる。軸筒8の後端部には摩擦部材9が配置される。ボールペンレフィル1は、インク組成物を収容するインク収容管と、インキ収容管に装着され、ボールを回転自在に抱持するボールペン体とを備える。
インキ収容管に収容されるインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体が充填される。インキ逆流防止体は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を併用することもできる。不揮発性液体及び難揮発性液体の少なくとも一方は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイト、モンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。更に、液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
ボールペン、マーキングペン等の筆記具の形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン体を装着させたり、相異なる色のインキ組成物を導出させるペン体を装着させたりした両頭式筆記具であってもよい。
可逆熱変色性水性インキ組成物を収容した筆記具を用いて被筆記面に筆記して得られる筆跡は、加熱具又は冷却具により変色させることができる。加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。すなわち、筆記具は、摩擦部材を更に備えるものであってもよい。
摩擦部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体、粘弾性体が好適である。なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない前述の摩擦部材が好適に用いられる。摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、αオレフィン系共重合体等が用いられる。
摩擦部材は、筆跡の消去性及び除去性の観点から、粘弾性体を含んで構成されることが好ましい。粘弾性体は、ショアA硬度(JIS K 7215に準拠)の押針接触開始直後の値が、例えば、55以上90以下であり、好ましくは70以上、より好ましくは80以上である。また、粘弾性体は、JIS K 7215に準拠したショアA硬度において、ΔHS=(押針接触開始直後のショアA硬度値−押針接触開始から15秒後のショアA硬度値)で定義される値(ΔHS)が、例えば5以上40以下であり、好ましくは10以上30以下、より好ましくは15以上25以下である。前記上限値以下であると、紙面上の筆跡を擦過した際に、摩擦熱をより効率的に発生させることができる。また前記下限値以上であると、光輝性顔料をより容易に吸着剥離できるものとなる。
上述したショアA硬度を有する粘弾性体は、例えば、αオレフィン系コポリマーを含む樹脂組成物で構成される。なお、αオレフィン系コポリマーを含む樹脂組成物の詳細については例えば、国際公開第2011/055803号の記載を参照して、所望のショアA硬度、ΔHSを有する樹脂組成物を構成することができる。
摩擦部材は筆記具とは別体の任意形状の部材(摩擦体)とし、これと筆記具とを組み合わせて筆記具セットとして構成することもできるが、筆記具に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れる。
キャップを備える筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)又は軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けたりすることができる。
出没式の筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではない。例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)又はノック部に摩擦部材を設けたりすることができる。
冷却具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填
した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
マイクロカプセル顔料1の調製
電子供与性呈色性有機化合物としてスピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ[2,3−d]ピリミジン−5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕−3’−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル1.0部、電子受容性化合物として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン3.0部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、反応媒体としてとしてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物から成る色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物aをマイクロカプセルに内包してマイクロカプセル顔料1を調製した。
マイクロカプセル顔料1の平均粒径は2.0μm、完全消色温度(t)は53℃であり、完全発色温度(t)は−20℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変色した。
マイクロカプセル顔料2の調製
電子供与性呈色性有機化合物と成分として3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン1.0部、電子受容性化合物として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン3.0部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、反応媒体としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物bをマイクロカプセルに内包してマイクロカプセル顔料2を調製した。
マイクロカプセル顔料2の平均粒径は1.8μm、完全消色温度(t)は55℃であり、完全発色温度(t)は−20℃であり、温度変化により青色から無色に変色した。
インキ組成物の調製
以下の表に示す組成を有するボールペン用水性インキ組成物No.1から35を調製した。表中の組成の数値は質量部を表し、「−」は未添加であることを示す。なお、No.1からNo.33は実施例に該当し、No.34及びNo.35は比較例に該当する。
Figure 2019189687
Figure 2019189687
以下に表中の各成分の詳細を説明する。
(C)第1光輝性顔料1:エルジーneo SILVER#325;尾池イメージング株式会社製;蒸着金属としてアルミニウムを含む;平均粒径44μm,平均厚み2μm
(D)第1光輝性顔料2:エルジーneo SILVER#500;尾池イメージング株式会社製;蒸着金属としてアルミニウムを含む;平均粒径:28μm,平均厚み:2μm
(E)第2光輝性顔料1:イリオジン103;メルク社製;粒度分布10μmから60μm
(F)第2光輝性顔料2:イリオジン123;メルク社製;粒度分布5μmから25μm
(G)増粘剤:キサンタンガム;商品名「ケルザン」;三晶株式会社製
(H)水溶性有機溶剤:グリセリン
(I)糖類:デキストリン;商品名「サンデック30」;三和澱粉工業株式会社製
(J)界面活性剤:リン酸エステル系活性剤;商品名「プライサーフAL」;第一工業製薬工業株式会社製
(K)pH調整剤:トリエタノールアミン
(L)防腐剤:(1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン;商品名「プロキセルXL−2」;ロンザジャパン社製
表中の粘度は、20℃において、E型粘度計を用い、せん断速度3.8sec−1で測定した。また、顔料の平均比重は、下式1によって算出した。
式1 [{(A配合量+B配合量)×A,B真比重(1.2)}+{(C配合量+D配合量)×C,D真比重(1.3)}+{(E配合量+F配合量)×E,F真比重(3.0)]/(A,B配合量+C、D配合量+E、F配合量)
ボールペンレフィルの作製
得られた各インキ組成物をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)を介して金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させて形成したボール抱持部に直径0.5mmのステンレス鋼ボール3を抱持したボールペンチップと連結させた。次いで、インキ収容管の後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させてボールペンレフィルをそれぞれ得た。
ボールペンの作製
得られたボールペンレフィルを用いて、図3に示すボールペンを作製した。なお、摩擦部材にはαオレフィン系共重合体を含み、ショアA硬度(JIS K 7215に準拠)の押針接触開始直後の値が55以上90以下であり、ΔHSが5以上40以下である粘弾性体を用いた。得られたボールペンを用いて以下の試験を行なった。結果を下表に示す。
(筆跡光輝性の評価)
得られたボールペンにより、直線筆記を行った。その際の筆跡における光輝性を目視観察し、以下の評価基準で評価した。なお、筆記試験用の媒体として、白紙(JIS P3210に準拠した筆記用紙A)及び黒紙(株式会社長門屋商店製、商品名:カラーペーパーB5中厚口黒、厚さ0.09mm、密度80g/m)を用いた。
評価基準
A:筆跡全体に金属光沢調の強い輝きが確認された。
B:穏やかな金属光沢調の輝きが確認された。
C:金属光沢調の輝きが弱く、実用上問題があった。
(筆跡発消色性の評価)
上記評価で得られた筆跡の発色性及び筆跡を摩擦部材で擦過した際の消色性を目視観察し、以下の評価基準で評価した。
評価基準
A:発色、消色共に明瞭であった。
B:発色が若干不明瞭であったが、十分視認可能であった。また、消色も十分に視認できるレベルであった。
C:発色が不明瞭であり、発色及び消色の視認が困難であり、実用上問題があった。
(経時安定性の評価)
ボールペンを先端上向きで60日間放置した後、筆記試験用の媒体に直線筆記を行い、筆跡の光輝性を目視観察し、以下の評価基準で評価した。なお、経時安定性の評価は、顔料分散安定性の評価に対応する。
評価基準
A:光輝性は良好であった。
B:若干初筆の光輝性が弱かったが、筆記を継続するに従い、直ちに光輝性が良好な筆跡が形成された。実用上問題がなかった。
C:初筆の光輝性が弱く、筆記を継続しても光輝性が良好な筆跡を形成可能になるまで時間がかかった。実用上懸念があった。
Figure 2019189687
Figure 2019189687
インク組成物が、第1光輝性顔料を含むことで、黒紙上でも、明度の高い白紙上でも充分な光輝性を有する筆跡を形成することができた。第1光輝性顔料に加えて第2光輝性顔料を含むことで、明度の高い白紙上での筆跡の光輝性がより向上した。一方、第2光輝性顔料のみを含むインキ組成物(No.34,35)では、充分な光輝性を有する筆跡が形成できなかった。
1 ボールペンレフィル
7 出没式ボールペン
8 軸筒
9 摩擦部材

Claims (14)

  1. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、第1光輝性顔料と、水と、増粘剤とを含み、
    前記第1光輝性顔料は、樹脂被覆された薄片状金属顔料である可逆熱変色性水性インキ組成物。
  2. 前記第1光輝性顔料の含有率が、0.01質量%以上20質量%以下である請求項1に記載のインキ組成物。
  3. 透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる第2光輝性顔料を更に含む請求項1又は請求項2に記載のインキ組成物。
  4. 前記第1光輝性顔料と第2光輝性顔料の総含有率が0.02質量%以上20質量%以下である請求項3に記載のインキ組成物。
  5. 前記第1光輝性顔料に対する第2光輝性顔料の含有比が、0.05以上100以下である請求項3又は請求項4に記載のインキ組成物。
  6. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有率が、2質量%以上45質量%以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  7. 前記第1光輝性顔料及び第2光輝性顔料の総含有量に対する前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量の比が、0.5以上200以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  8. 20℃において、E型粘度計を用い、せん断速度3.8sec−1で測定される粘度が、200mPa・s以上2000mPa・s以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容するインキ収容管と、前記インキ収容管に直接又は接続部材を介して装着され、ボールを回転自在に抱持するボールペン体とを備えるボールペンレフィル。
  10. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容する軸筒と、前記軸筒内に収容されたインキ組成物を導出するペン体とを備える筆記具。
  11. 請求項9に記載のボールペンレフィルを軸筒内に備える筆記具。
  12. 摩擦部材を更に備える請求項10又は請求項11に記載の筆記具。
  13. 前記摩擦部材は、粘弾性体である請求項12に記載の筆記具。
  14. 前記粘弾性体は、ショアA硬度(JIS K 7215に準拠)の押針接触開始直後の値が55以上90以下である請求項13に記載の筆記具。
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