JP2019189577A - 同位体標識化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
下記一般式(1)に示される同位体標識化合物を製造する方法であって、
(上記一般式(1)中、Zは水素原子または重水素原子である。上記一般式(1)における10個のZのうち、5個以上10個以下のZが重水素原子である。)
下記一般式(4)に示される化合物を下記一般式(3)に示される化合物に変換する工程と、
(上記一般式(4)中、R1は、独立して、水素原子または重水素原子であり、複数のR1は同じであっても異なってもよい。R5は、独立して、アミノ保護基であり、複数のR5は同じであっても異なってもよい。R6は、独立して、カルボキシ保護基であり、複数のR6は同じであっても異なってもよい。)
(上記一般式(3)中、Zは、前記一般式(1)におけるZと同じであり、R5およびR6は、それぞれ、前記一般式(4)におけるR5およびR6と同じである。)
前記一般式(3)に示した化合物を前記一般式(1)に示した化合物に変換する工程と、
を含む、同位体標識化合物の製造方法。
前述した本発明における同位体標識化合物の製造方法により、前記一般式(1)に示した同位体標識化合物を得る工程と、
前記同位体標識化合物を含む定量分析用標準物質を準備する工程と、
を含む、定量分析用標準物質の製造方法が提供される。
前述した本発明における定量分析用標準物質の製造方法により定量分析用標準物質を得る工程と、
測定対象の試料に、前記定量分析用標準物質を添加する工程と
を含む、デスモシン類の定量方法が提供される。
本明細書において、一般式中の「Z」は、水素原子Hまたは重水素原子Dを示す。
同位体標識化合物の安定性を高める観点から、重水素原子であるZの数は、好ましくは6以上であり、また、好ましくは9以下であり、より好ましくは8以下である。
より好ましくは、一般式(1)において、ピリジン環の4位の側鎖中の4つのZならびにピリジン環の2位および5位の炭素原子に直接結合するZがいずれも重水素原子である。
本実施形態における製造方法は、以下の工程10および工程20を含む。
(工程10)下記一般式(4)に示される化合物を下記一般式(3)に示される化合物に変換する工程
(工程20)下記一般式(3)に示される化合物を一般式(1)に示した化合物に変換する工程
R5およびR6は、好ましくは、工程22において、同一工程で脱保護できる基であり、このようなR5およびR6の具体例として、R5がBoc基であり、R6がtBu基である組み合わせが挙げられる。
(工程11)一般式(4)において1以上のR1が水素原子である化合物を準備する工程
(工程12)1以上のR1が水素原子である上記化合物中の、水素原子である1以上のR1を重水素原子に置換する工程
一般式(3)に示した化合物の安定性を高める観点から、工程12は、好ましくは、一般式(4)において1以上のR1が水素原子である化合物を、下記一般式(4')に示す化合物に変換する工程(工程12a)を含む。
重水素化プロトン性極性溶媒の具体例として、重水(D2O);重水素化メタノール(CD3OD)、重水素化エタノール、重水素化イソプロパノール等の重水素化アルコールが挙げられる。重水素置換を安定的におこなう観点から、重水素化プロトン性極性溶媒は、好ましくは重水素化メタノールを含み、より好ましくは重水素化メタノールである。
接触重水素還元は、たとえば重水素(D2)およびパラジウム炭素(Pd/C)を用いるとともに、重水素化溶媒中でおこなう。
このとき、Pd/Cの仕込み量は、たとえば、一般式(4')に示した化合物に対して1当量以上20当量以下とする。
反応温度は、たとえば室温(25℃)とし、反応時間はたとえば反応温度に応じて設定できるが、一般式(3)に示した化合物の収率を高める観点から、好ましくは0.1時間以上7日以下とする。
また、重水素化溶媒の具体例としては、重水素化メタノール、重水素化エタノール、重水素化イソプロパノール等の重水素化アルコールが挙げられ、一般式(3)に示した化合物の収率を高める観点から、好ましくは重水素化メタノールである。
工程20は、一般式(3)に示した化合物を一般式(1)に示した化合物に変換する工程であり、好ましくは、以下の工程21および工程22を含む。
(工程21)一般式(3)に示した化合物と下記一般式(5)に示す化合物とを反応させて、下記一般式(2)に示した化合物を得る工程
(工程22)下記一般式(2)に示す化合物を一般式(1)に示した化合物に変換する工程
一般式(5)中、R3は、独立して、水素原子またはアミノ保護基であり、アミノ保護基の具体例として、t−ブトキシカルボニル(Boc)基およびベンジルオキシカルボニル基からなる群から選ばれる基が挙げられる。R4は水素原子またはカルボキシ保護基であり、カルボキシ保護基の具体例として、t−ブチル(tBu)基、ベンジル基、メチル基およびエチル基からなる群から選ばれる基が挙げられる。
R3およびR4は、好ましくは、工程22において、同一工程で脱保護できる基であり、このようなR3およびR4の具体例として、R3がBoc基であり、R4がtBu基である組み合わせが挙げられる。
より好ましくは、R3およびR4は、一般式(3)中のR5およびR6と同一工程で脱保護できる基であり、さらにより好ましくはR3、R4、R5およびR6がすべて同一工程で脱保護できる基である。これにより、工程22において、R3〜R6の脱保護を一段階でおこなうことができる。このようなR3〜R6の具体例として、R3がBoc基であり、R4がtBu基であり、R5がBoc基であり、R6がtBu基である組み合わせが挙げられる。
一般式(5)に示した化合物の仕込み量は、たとえば一般式(3)に示した化合物の仕込み量に対して1当量以上20当量以下とする。
溶媒として、たとえばニトロメタン(MeNO2)、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)等の極性溶媒が挙げられる。
また、反応温度は、たとえば0℃以上100℃以下とする。反応時間は、反応温度等に応じて設定できるが、たとえば0.1時間以上7日以下とする。
たとえば、一般式(2)中、R3がBoc基であり、R4がtBu基であり、R5がBoc基であり、R6がtBu基であるとき、たとえばトリフルオロ酢酸(TFA)水溶液等を用いた酸処理により、Boc基およびtBu基を除去することができる。酸処理の条件は、たとえばTFA/水=95/5、室温(25℃)、2〜3時間とする。
生成物が、Zの異なる複数の化合物の混合物であるとき、本実施形態における製造方法は、混合物を分離して各Z値を有する化合物を得る工程をさらに含んでもよい。また、本実施形態における製造方法は、混合物から、特定のZ値を有する化合物を単離する工程をさらに含んでもよい。
本実施形態において得られる化合物は、たとえばCOPDバイオマーカー分析における内部標準物質として用いることができる。
たとえば、本実施形態において、前述した製造方法により一般式(1)に示した同位体標識化合物を得る工程と、同位体標識化合物を含む定量分析用標準物質を準備する工程と、を含む製造方法により、定量分析用標準物質を得ることができる。
(重水素添加反応)
本例では、一般式(4)に示した化合物から、一般式(4')に示した化合物を経て、一般式(3)に示した化合物を得た。
ここで、一般式(4)に示した化合物として、R5がBoc基であり、R6がtBu基であり、R1が水素原子である化合物4を用いた。化合物4は、特開2015−178957号公報に記載の方法を用いて製造した。そして、Scheme 1に示す反応スキームに従い、化合物3−d7を主生成物とする化合物3−dnを得た。なお、Scheme 1中、生成物の構造は、n=7である場合を例に示した。
重メタノール(1.21mL)溶媒中、得られた化合物4'および10%Pd/C(59.5mg、56.1μmol、2eq.)を室温(25℃)にて12時間攪拌した。反応混合物をカラム(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)により精製し、72%の収率で化合物3−dn(n=5〜9)を得た(17.9mg、20.6μmol)。化合物3−dnは、化合物3−d5、化合物3−d6、化合物3−d7、化合物3−d8および化合物3−d9を含み、主生成物が化合物3−d7であった(Scheme 1)。
主生成物である化合物3−d7の構造を1H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)により決定した:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.25-5.20 (3H, m, NH16/20/20'), 4.19-4.10 (3H, m, H16/20/20'), 2.60-2.47 (3H, m, H18/18'), 2.02-1.74 (6H, m, H15/19/19'), 1.42 (27H, s, Boc), 1.40 (27H, s, tBu)。測定結果を図1に示す。また、化合物3−d7の重水素化率はESI−HRMS(Electrospray Ionization - High Resolution Mass Spectrometry)分析により決定した:ESI-HRMS (m/z) calcd for C45H69D7N4NaO12 + [M+Na]+ 894.5790, found 894.5744(図4)。
本例では、上述の方法で得られた化合物3−dnおよび一般式(5)に示した化合物を一般式(2)に示した化合物に変換した。
ここで、一般式(5)に示した化合物として、2つのR3がそれぞれHおよびBoc基であり、R4がtBu基であり、X1がIである化合物32を用いた。そして、Scheme 2に示す反応スキームに従い、化合物2−d7を主生成物とする化合物2−dnを得た。なお、Scheme 2中、反応物および生成物の構造は、n=7である場合を例に示した。
主生成物である化合物2−d7の構造を1H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)により決定した。測定結果を図2に示す:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.56 (2H, s, NH20/20'), 5.30 (1H, s, NH16), 4.83 (1H, m, H11), 4.64 (4H, m, H11/16/20/20'), 4.18-4.14 (4H, m, H19/19'), 2.93-2.84 (3H, m, H18/18'), 2.17-2.00 (8H, m, H8/9/10/15), 1.51-1.48 (27H, m, Boc), 1.45-1.43 (27H, m, tBu)。また、化合物2−d7の重水素化率はESI−HRMS(Electrospray Ionization - High Resolution Mass Spectrometry)分析により決定した:ESI-HRMS (m/z) calcd for C65H106D7N5O18 [M+H] 1258.8513, found 1258.8365(図5)。
本例では、上述の方法で得られた化合物2−dnを脱保護し、一般式(1)に示した化合物として、化合物1−d7を主生成物とする化合物1−dnを得た。反応スキームをScheme 3に示す。なお、Scheme 3中、反応物および生成物の構造は、n=7である場合を例に示した。
主生成物である化合物1−d7の構造を1H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)により決定した。測定結果を図3に示す:1H NMR (500 MHz, D2O) δ 4.52-4.49 (2H, t, J = 7.02, H7), 3.98-3.86 (4H, m, H11/16/20/20'), 3.04-2.88 (3H, m, H18/18'), 2.20-2.17 (4H, m, H19/19'), 2.08-2.01 (6H, m, H8/10/15), 1.48-1.37 (2H, m, H9)。また、化合物1−d7の重水素化率はESI−HRMS(Electrospray Ionization - High Resolution Mass Spectrometry)分析により決定した:ESI-HRMS (m/z) calcd for C24H33D7N5O8 [M]+ 533.3309, found 533.3308(図6)。
Claims (9)
- 下記一般式(1)に示される同位体標識化合物を製造する方法であって、
下記一般式(4)に示される化合物を下記一般式(3)に示される化合物に変換する工程と、
前記一般式(3)に示した化合物を前記一般式(1)に示した化合物に変換する工程と、
を含む、同位体標識化合物の製造方法。 - 一般式(4)に示した化合物を一般式(3)に示される化合物に変換する前記工程が、
前記一般式(4)において1以上のR1が水素原子である化合物を準備する工程と、
1以上のR1が水素原子である前記化合物中の、水素原子である1以上のR1を重水素原子に置換する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。 - 一般式(4)に示した化合物を一般式(3)に示される化合物に変換する前記工程が、
一般式(4')に示した前記化合物に変換する前記工程の後、前記一般式(4')に示した化合物の接触重水素還元により、前記一般式(3)に示した化合物を得る工程をさらに含む、請求項3に記載の製造方法。 - 水素原子である1以上のR1を重水素原子に置換する前記工程が、前記一般式(4)に示した化合物と重水素化プロトン性極性溶媒とを混合した後、溶媒を除去する工程を含む、請求項2ないし4いずれか1項に記載の製造方法。
- 一般式(3)に示した化合物を一般式(1)に示した化合物に変換する前記工程が、前記一般式(3)に示した化合物と下記一般式(5)に示す化合物とを反応させて、下記一般式(2)に示した化合物を得る工程と、
前記一般式(2)に示した化合物を前記一般式(1)に示した化合物に変換する工程と、
を含む、請求項1ないし5いずれか1項に記載の製造方法。 - 請求項1ないし7いずれか一項に記載の製造方法により、前記一般式(1)に示した同位体標識化合物を得る工程と、
前記同位体標識化合物を含む定量分析用標準物質を準備する工程と、
を含む、定量分析用標準物質の製造方法。 - 請求項8に記載の定量分析用標準物質の製造方法により定量分析用標準物質を得る工程と、
測定対象の試料に、前記定量分析用標準物質を添加する工程と
を含む、デスモシン類の定量方法。
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SUZUKI, RINA ET.AL.: "Syntheses of natural and deuterated desmosines via palladium-catalyzed cross-coupling reactions", TETRAHEDRON, vol. Vol.71(12), JPN6021044529, 2015, pages 1851 - 1862, ISSN: 0004634622 * |
WATANABE, DAISUKE; SUZUKI, RINA; USUKI, TOYONOBU: "Synthesis of desmosine-d4: Improvement of isotopic purity by D-H exchange of amino groups", TETRAHEDRON LETTERS, vol. Vol.58(12), JPN6021044528, 2017, pages 1194 - 1197, ISSN: 0004634623 * |
鈴木里奈 ET.AL.: "COPDバイオマーカー定量分析を目指した重水素化desmosineの創製", 日本化学会講演予稿集, vol. Vol.95(4), JPN6021044527, 2015, pages 1418, ISSN: 0004634624 * |
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