JP2006038745A - ペプチド類の質量分析方法及びフラーレン誘導体、並びにフラーレン−ペプチド類複合体及びその製造方法 - Google Patents

ペプチド類の質量分析方法及びフラーレン誘導体、並びにフラーレン−ペプチド類複合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ネガティブモードで高感度に質量分析を行なうことが可能なペプチド類の質量分析方法を提供する。
【解決手段】 ペプチド類を、下記式(1)で表わされる官能基を有するフラーレン誘導体と反応させて得られた生成物を用いて、質量分析を行なう。
Figure 2006038745

(式(1)中、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する炭素数3以上、10以下の有機基を表わす。
Figure 2006038745

但し、Xは式(a)の窒素原子において、式(1)のカルボキシル基に結合する。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、フラーレン誘導体を用いてペプチド類の分子量、ペプチド類の構成単位であるアミノ酸の配列及びアミノ酸を修飾するリン酸基、硫酸基、糖鎖などの修飾基の位置と数とを特定するための方法と、それに好適に用いられる新規なフラーレン誘導体、並びにフラーレン−ペプチド類複合体及びその製造方法に関する。
1990年にフラーレンC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成され、その多様な機能が明らかにされてきた。それに伴い、フラーレン誘導体を用いた電子伝導材料、半導体、生理活性物質等の各種用途の開発が進められている(非特許文献1〜3)。
一方、ペプチド類は生体内で重要な役割を果たしており、その同定技術は極めて重要である。ペプチド類は基本的にアミノ酸から構成された分子であり、ペプチド類の分子量、アミノ酸の種類及び配列、アミノ酸への修飾基の種類及びその位置を特定することが重要な技術となっている(非特許文献4、特許文献1)。例えば、特許文献1には、質量分析が困難であったペプチド類の分子量を測定する際、分解イオンの発生を容易に行なうために、電荷を有するアミノ酸をペプチド類のN末端に結合させ、これを分離検出して測定することにより、元の分子量を求める方法が報告されている。しかしながら、何れの方法においても、ポジティブモードにより測定を行なっている。
一方、ペプチド類とフラーレン誘導体との複合体はすでに報告されており、主に生理活性の興味から、種々のフラーレン誘導体部位をペプチド類に導入された複合体が報告されている(総説として非特許文献5、非特許文献6参照)。これらは生理活性の他、例えば自己集合体としてイオンチャンネルとしての用途が研究されている(非特許文献7)。しかしながら、ペプチド類の質量分析への適用については殆ど記載がない。
その製造方法として、例えば非特許文献8では、−CO2 tBu基(ここで「tBu」はtert−ブチル基を表わす。)を有するフラーレン誘導体を、一旦カルボン酸とした後に酸クロリドとし、ペプチド類と反応させる方法が開示されている。また、非特許文献9には、ジシクロヘキシルカルボジイミドと1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを脱水縮合剤として用い、カルボン酸部位を有するフラーレン誘導体とペプチド類とを反応させて、フラーレン−ペプチド類複合体を製造する方法が開示されている。
特開平10−90226号公報 現代化学1992年4月号12頁 現代化学2000年6月号46頁 Chemical Reviews 1998, 98, 2527 Rapid Commun. Mass Spectrom. 2003, 17, 1493 Fullerene Sci. Technol. 7, 973 (1999). J. Peptide Sci. 7, 208 (2001). J. Peptide Sci. 9, 784 (2003). J. Org. Chem. 1993, 58, 5578. J. Med. Chem. 1994, 37, 4558.
しかしながら、非特許文献8,9記載の方法でペプチド類にフラーレン部位を導入する場合、反応が複数の段階からなり、かつ複数の試薬を用いる必要があるなど、導入の際の手法が煩雑である。また、反応時間が長く、ペプチド類にフラーレン部位を導入して即座に質量分析に供することは困難である。更に、リン酸化ペプチド類や硫酸化ペプチド類といった反応性基で修飾されたペプチド類を壊さずにフラーレン部位を導入するのは、これらの反応条件では困難であり、かつペプチド類へのフラーレン部位の導入効率は十分とは言えなかった。従って、より操作が簡便で、高活性であり、かつ穏和な条件で用いることができるフラーレン部位導入試薬が求められていた。
一方、生体内に存在するペプチド類の単離及び同定を迅速に正確に行なうことは極めて重要になってきており、その実用的な分析方法が求められている。特に、ペプチド類の質量分析ではポジティブモードでのイオン化が一般的であり、ネガティブモードでのイオン化は行なわれていない。このため、ネガティブモードでのイオン化が可能なペプチド類の質量分析方法が求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたもので、その目的は、ネガティブモードで高感度に質量分析を行なうことが可能なペプチド類の質量分析方法を提供するとともに、ペプチド類に効率的にフラーレン部位を導入することが可能なフラーレン誘導体を提供することに存する。
本発明者らは、ペプチド類の質量分析方法について鋭意検討した結果、C60に代表されるフラーレンの骨格をペプチド類に結合することにより、特に従来困難であったネガティブモードでの質量分析を高感度に行なうことができ、特に分子量の特定に有用であることを見出した。また、この用途に対して実用的に簡便なフラーレン誘導体を探索したところ、カルボキシル基にイミドが結合した構造の官能基を有するフラーレン誘導体を用いることで、ペプチド類の質量分析が簡便な手法で行なえることを見出した。更に、ペプチド類に対し効果的にフラーレン骨格を導入できるフラーレン誘導体を探索した結果、上記官能基がある程度以上の長さを有する連結基を介してフラーレン骨格に結合しているフラーレン誘導体が特に有用であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、下記式(1)で表わされる官能基を有するフラーレン誘導体をペプチド類と反応させて得られた生成物を用いて、ネガティブモードで質量分析を行なうことを特徴とする、ペプチド類の質量分析方法に存する(請求項1)。
Figure 2006038745
(式(1)中、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する炭素数3以上、10以下の有機基を表わす。
Figure 2006038745
但し、Xは、式(a)の窒素原子において、式(1)のカルボキシル基に結合する。)
ここで、フラーレン誘導体が、フラーレン骨格上に下記式(2)で表わされる構造を有することが好ましい(請求項2)。
Figure 2006038745
(式(2)中、2つのCfは、フラーレン骨格上の隣接する2つの炭素原子を表わし、Rは、炭素数1以上20以下の有機基を表わし、Aは、2価の有機基を表わし、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する炭素数3以上、10以下の有機基を表わす。
Figure 2006038745
但し、Xは、式(a)の窒素原子において、式(2)のカルボキシル基に結合する。)
また、本発明の別の要旨は、フラーレン骨格上に、下記式(2)で表わされる構造を有することを特徴とする、フラーレン誘導体に存する(請求項3)。
Figure 2006038745
(式(2)中、2つのCfは、フラーレン骨格上の隣接する2つの炭素原子を表わし、Rは、炭素数1以上20以下の有機基を表わし、Aは、2価の有機基を表わし、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する炭素数3以上、10以下の有機基を表わす。
Figure 2006038745
但し、Xは、式(a)の窒素原子において、式(2)のカルボキシル基に結合する。)
式(2)中、Rは、置換されていてもよい炭素数6以上14以下の芳香族基であることが好ましい(請求項4)。
また、本発明の別の要旨は、上述のフラーレン誘導体と、ペプチド類とを反応させることを特徴とする、フラーレン−ペプチド類複合体の製造方法に存する(請求項5)。
また、本発明の別の要旨は、上述の方法で製造されることを特徴とする、フラーレン−ペプチド類複合体に存する(請求項6)。
また、本発明の別の要旨は、フラーレン骨格上に、下記式(3)で表わされる構造を有することを特徴とする、フラーレン−ペプチド類複合体に存する(請求項7)。
Figure 2006038745
(式(3)中、2つのCfは、フラーレン骨格上の隣接する2つの炭素原子を表わし、Rは、炭素数1以上20以下の有機基を表わし、Aは、2価の有機基を表わし、−NH−[Peptide]は、N末端においてカルボニル基と結合するペプチド類を表わす。)
本発明のペプチド類の質量分析方法によれば、ペプチド類を特定構造のフラーレン誘導体と反応させて得られた生成物を質量分析に供することにより、ネガティブモードで高感度に質量分析を行なうことが可能となる。
また、本発明の新規なフラーレン誘導体によれば、ペプチド類のN末端に効果的にフラーレン部位を導入することができることから、上述した本発明のペプチド類の質量分析方法に有用である他、フラーレン−ペプチド類複合体の製造にも好適に用いられる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明のペプチド類の質量分析方法(以下、適宜「本発明の質量分析方法」という。)は、特定の官能基を有するフラーレン誘導体をペプチド類と反応させて得られた生成物(フラーレン−ペプチド類複合体)を用いて質量分析を行なうものである。以下の記載では、まず本発明の質量分析方法において用いられるフラーレン誘導体について説明した上で、そのフラーレン誘導体を用いた質量分析の手順について説明する。
〔I.フラーレン誘導体〕
本明細書において「フラーレン」とは、炭素原子が球状又はラグビーボール状に配置して形成される閉殻状の骨格(以下、「フラーレン骨格」という。)を有する炭素クラスターを指す。その炭素数は通常60以上、120以下である。具体例としては、C60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスターが挙げられる。本発明の質量分析方法で用いられるフラーレン誘導体のフラーレン骨格は特に制限されないが、製造時における反応原料の入手の容易さから、C60又はC70が好ましく、特にC60が好ましい。
本発明の質量分析方法で用いられるフラーレン誘導体は、上述のフラーレン骨格に、下記式(1)で表わされる官能基が連結基を介して結合したフラーレン誘導体(以下、適宜「フラーレン誘導体(I)」という。)である。
Figure 2006038745
式(1)中、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する、炭素数が通常3以上、10以下の有機基を表わす。
Figure 2006038745
但し、Xは、(a)の窒素原子において、式(1)のカルボキシル基に結合する。
言い換えると、Xは、環式又は非環式のイミド化合物の有するイミド結合(−CONHCO−)から、その窒素原子に結合する水素原子を外して得られる一価の基である。Xの元となるイミド化合物としては、環式であっても非環式であってもよいが、より安定な環式であることが好ましい。環式イミド化合物の例としては、コハク酸イミド(スクシンイミド)、グルタルイミド、マレイミド、フタルイミド及びこれらの化合物が置換基を有しているもの等が挙げられるが、製造の容易性や構造の安定性の面からは、コハク酸イミドが好ましい。
即ち、式(1)の官能基としては、コハク酸イミドから誘導される基をXとして有する、下記式(b)で表される構造の官能基が特に好ましい。
Figure 2006038745
フラーレン誘導体(I)における、上記式(1)の官能基の数は、フラーレン骨格1個について通常1個以上、また、通常6個以下、好ましくは2個以下の範囲である。特に、式(1)の官能基を1個有することが、質量分析を行なう上で好ましい。官能基の数が多過ぎると、フラーレン部位特有の電子授受能力が小さくなり、ペプチド類と結合を形成してもそのイオン化に効果を示さなくなる傾向にある。
フラーレン骨格と式(1)の官能基とは、任意の連結基(リンカー)を介して互いに結合していればよい。連結基の構造は特に制限されないが、合成の容易さ及び安定性の観点から、フラーレン骨格の(6,6)結合部位においてシクロプロパン環を形成しているものが好ましい。
即ち、フラーレン誘導体(I)としては、フラーレン骨格上に下記式(2)で表わされる構造を有するもの(以下、適宜「フラーレン誘導体(II)」という。)が好ましい。
Figure 2006038745
式(2)中、Xは、上記式(1)と同様の定義を表わす。
2つのCfは、フラーレン骨格上の隣接する2つの炭素原子を表わす。この2つのCfは、通常は、フラーレン骨格上の隣接する2つの6員環の間で(6,6)結合を形成する2つの炭素原子である。
Aは、2価の有機基を表わす。中でも、合成の容易さの観点から、無置換のアルキレン基が好ましい。即ち、Aとしては、−(CH2n−で表わされるものが好ましい。ここでnは、通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下の整数を表わす。後述する好ましい形態の様に、Rが芳香族基である場合においては、反応試薬となるケトエステルの合成原料である酸クロリドClC(=O)−(CH2n−CO2R’(R’は通常、炭素数1〜10の有機基である。)の入手の容易さから、n=1,2,3、6,8のものが特に好ましく、中でもn=3のものがより好ましい。分析対象とするペプチド類が、採用する質量分析条件によって適切にイオン化されるように、nを選択することができる。
Rは、一価の炭素数1以上、20以下の有機基を表わす。中でも、置換されていても良い炭素数6以上、14以下の芳香族基であることが好ましい。
芳香族基の有する芳香環は、炭化水素環であっても複素環であってもよく、また、単環であっても、複数の環が縮環したものであってもよい。芳香族基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などの芳香族炭化水素基、ピリジル基、フリル基、ピロール基、チオフェン基などの芳香族複素環基等があげられる。中でも芳香族炭化水素基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
芳香族基は置換基を有していてもいなくてもよいが、置換基を有する場合には、その種類を変えることによってフラーレン骨格の電子的性質を変化させることができ、分析したいペプチド類の種類に対応してイオン化に与える影響を制御できるので好ましい。置換基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;メトキシ基、フェノキシ基などのアルコキシ基;水酸基、ジメチルアミノ基などのアミノ基;アセチル基などのアシル基;塩素、臭素、フッ素などのハロゲン原子;メチルチオ基などのチオエーテル基などが挙げられる。これらの置換基は一個のみでもよいが、同一又は互いに異なる複数個の置換基を有していてもよい。特に、臭素原子は2種類の同位体がほぼ1:1の比率で存在するので、臭素原子を1個含む化合物では、その骨格を有するフラーレン−ペプチド類誘導体の質量分析の際にほぼ同じ強度の2本ピークが分子量2の差で観測され、特に高分解能での質量分析の際にその同定が容易になることから、Rとしては、臭素原子を1個有する芳香族基が特に好ましい。
上述のフラーレン誘導体(I)の製造方法は特に制限されないが、例としては、カルボン酸部位を有するフラーレン誘導体とN−ヒドロキシイミド化合物とを反応させる方法が挙げられる。具体的に、フラーレン誘導体(II)を製造する場合には、フラーレン骨格上に下記式(i)で表わされる構造を有するフラーレン誘導体(以下、適宜「フラーレン誘導体(II’)」という。)を原料として、そのカルボン酸部位に、下記式(ii)で表わされる化合物を反応させることにより、製造することができる。
Figure 2006038745
式(i)中、Cf、A及びRは、上記式(2)と同様の定義を表わす。この式(i)の構造を有するフラーレン誘導体(II’)としては、目的とするフラーレン誘導体(II)の構造に応じて、適切なものを選択すればよい。
Figure 2006038745
式(ii)中、Xは、式(2)と同様の定義を表わす。即ち、式(ii)の化合物は、式(2)の官能基Xに対応するイミド化合物において、イミド結合部位の窒素原子に結合する水素原子が、水酸基で置き換えられた化合物(即ち、N−ヒドロキシイミド化合物)を意味する。このN−ヒドロキシイミド化合物としては、目的とするフラーレン誘導体(II)の構造に応じて、適切なものを選択すればよい。中でも、N−ヒドロキシコハク酸イミドが好ましい。
フラーレン誘導体(II’)に対して、モル比で1〜10倍のN−ヒドロキシイミド化合物を作用させる。この際、いわゆる脱水縮合剤を同時に使用することで、反応をより迅速に、より低温で進めることができる。具体的な縮合剤としては、無水酢酸、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール、塩酸(1−(3−ジメチルアミノ)プロピル)−3−エチルカルボジイミドなどが挙げられるが、これらは反応において必ずしも用いなくてよい。
反応を行なう際には、通常、フラーレン誘導体(II’)と、N−ヒドロキシイミド化合物と、必要に応じて用いられる脱水縮合剤とを、適当な溶媒中で混合撹拌して行なう。用いられる溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、二硫化炭素などの有機溶媒が挙げられる。反応時の温度・圧力・時間等の条件は特に制限されない。具体的に、反応温度は通常0℃以上、60℃以下であるが、室温が好ましい。反応時間は通常、数時間〜数日の範囲で任意に選択できる。目的物は通常シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離され、その構造はプロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)等で確認される。その収率は通常40〜99%である。
以上説明したフラーレン誘導体(I)は、適当な溶媒中でペプチド類と単に混合するだけで、ペプチド類の有するアミノ部位に選択的にフラーレン部位を結合させることができる。よって、従来の技術(例えば、非特許文献7,8等)と比較して、温和な条件下で、簡便な操作によりペプチド類にフラーレン部位を導入することができ、実用性の観点で有用である。また、反応性が高いため、高分子量のペプチド類や立体的に不利な反応部位を有するペプチド類にも、効率的にフラーレン部位を導入することができる。更に、従来の技術と異なり、リン酸部位や硫酸部位等の修飾部位を有するペプチド類に対しても、これらの修飾部位に影響することなくペプチド類のN末端にフラーレン部位を導入し、ネガティブモードでの質量分析に供することができる。
特に、新規な構造を有する上述のフラーレン誘導体(II)(本発明のフラーレン誘導体)は、上記式(1)の官能基がフラーレン骨格から適度な距離を持って存在するために、ペプチド類との反応性が高いと考えられ、特に立体障害が大きいペプチド類や反応性の低いペプチド類へのフラーレン部位の導入に極めて有用である。また、その合成時において例えばRの芳香族基等に容易に置換基を導入、変換することができるため、質量分析を行なう際にイオン化の状態を最適にするように置換基を制御することも可能である。更に、ペプチド類と反応するだけではなく、一般的な1級又は2級のアミン化合物とも効果的に反応して、新たなフラーレン誘導体へと誘導することが可能であり、フラーレン骨格を有する様々な誘導体を合成する試薬としても好適な物質群である。
よって、上述したフラーレン誘導体(I)(II)は、以下に説明するペプチド類の質量分析方法において好適に用いられる他、ペプチド類のN末端にフラーレン部位を導入してフラーレン−ペプチド類複合体を製造するための試薬等としても用いることができる。
〔II.ペプチド類の質量分析方法〕
本発明のペプチド類の質量分析方法は、分析対象となるペプチド類を、上述のフラーレン誘導体(I)と反応させて得られた生成物を用いて、質量分析を行なうことを特徴としている。
本明細書において「ペプチド類」とは、同種又は異種の2以上のα−アミノ酸がペプチド結合によって連結された狭義のペプチドの他、そのアミノ酸残基やペプチド鎖が各種の修飾を受けて得られる修飾ペプチドや、ペプチドから誘導される各種のペプチド誘導体等をも含む概念である。本発明において分析可能なペプチド類の種類に特に制限は無い。通常の鎖状ペプチドでも、2次構造(α−へリックス構造、β−シート構造、S−S結合等)や3次構造を形成したものでも良い。また、フラーレン部位は通常、ペプチド類のN末端に導入されるので、N末端が残存しているものであれば、環状ペプチドや修飾ペプチド、ペプチド誘導体についても分析の対象とすることができる。分析可能なペプチド類の具体例として、グルタチオン(glutathione)、ロイシンエンケファリン、ブラディキニン(Bradykinin)等を挙げることができる。
特に、本発明の質量分析方法では、上述のフラーレン誘導体(I)、特に、フラーレン誘導体(I’)(本発明のフラーレン誘導体)を用いることにより、N末端の反応性が低いペプチド類であっても、フラーレン部位を導入することが可能となる。また、リン酸部位や硫酸部位等の修飾部位を有するペプチド類についても、これらの修飾部位を損なうことなくフラーレン部位をペプチド類のN末端に導入し、質量分析に供することができる。よって、本発明の質量分析方法は、これらのN末端の反応性が低いペプチド類や、修飾ペプチド類の分析に特に有用である。
分析対象のペプチド類を上述のフラーレン誘導体(I)と反応させる手法は特に制限されないが、通常はペプチド類とフラーレン誘導体(I)とを、ともに適切な溶媒に溶解又は分散させることにより、互いに接触させればよい。溶媒としては、ペプチド類とフラーレン誘導体(I)とをともに溶解又は分散させることができるものであれば、その種類は特に制限されないが、好適な例としては、水や、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒が挙げられる。ペプチド類とフラーレン誘導体との比率は、ペプチド類に対するフラーレン誘導体のモル比の値で、通常1倍以上、好ましくは2倍以上、また、通常100倍以下、好ましくは20倍以下の範囲である。反応時の温度・圧力等は特に制限されないが、通常は室温、常圧下で反応を行なえばよい。反応時間は、通常5分以上、好ましくは15分以上、また、通常1日以下、好ましくは1時間以下の範囲である。また、反応系に撹拌を加えることが好ましい。
こうしてペプチド類とフラーレン誘導体(I)とを反応させることにより、ペプチド類とフラーレン誘導体(I)とが複合体を形成する。この複合体(これを以下適宜「フラーレン−ペプチド類複合体」という。)の構造は明らかではないが、例えばフラーレン誘導体(II)をペプチド類と反応させた場合、フラーレン骨格上に下記式(3)で表わされる構造を有するフラーレン−ペプチド類複合体が形成されるものと推測される。
Figure 2006038745
上記式(3)中、各符号は上記式(1)と同じ定義を表わす。
続いて、上述の反応により得られた生成物(フラーレン−ペプチド類複合体)について質量分析を行なう。質量分析の手法としては、これに限定されないが、ペプチド類の質量分析に一般的に用いられている、MALDI−TOF−MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Ionization Time-of-Flight Mass Spectrometry;マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)法などを採用することができる。
質量分析の際のイオン化法は、ポジティブモードでもネガティブモードでもよい。上述のフラーレン−ペプチド類誘導体は、分子内にフラーレン骨格を有する効果によって、一般のペプチド類とは異なり、ネガティブモードでの測定が可能であることが特徴である。ネガティブモードで測定することによって、従来ポジティブモードで課題となっていた、ナトリウムイオンやカリウムイオン等がペプチド類に結合した形のイオンピークの出現を無くすことができ、分析結果の解析が容易になる。よって、ネガティブモードで測定を行なうことが好ましい。
質量分析の際のマトリックスは、MALDI−TOF−MSで一般に用いられるニコチン酸、2,5−ジヒドロ安息香酸、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、コハク酸などの有機酸や、5−(トリフルオロメチル)ウラシル、グリセリン等の中から、適宜選択して使用することができる。
質量分析の具体的な手順は特に制限されないが、例を挙げると以下の通りである。
まず、質量分析用のサンプルとして、分析対象のペプチド類とフラーレン誘導体(I)とが反応した生成物(フラーレン−ペプチド類複合体)を用意する。通常は反応の際にN−ヒドロキシイミド化合物が副生するが、このN−ヒドロキシイミド化合物は通常、目的とするフラーレン−ペプチド類誘導体の分子量よりも十分に小さい分子量を有する(N−ヒドロキシコハク酸イミドの場合、その分子量は115.09である)ので、特に除去する必要はなく、上述の反応により得られた反応液をそのまま分析用サンプルとして用いることができる。
続いて、分析用サンプルとして用意した上述の反応液を、サンプルプレート上でマトリックスと混ぜ、MALDI−TOF−MSにより分析を行なう。分析用サンプルとマトリックスとの比率は、分析用サンプル:マトリックスの重量比で通常10:1〜1:100の範囲である。
以上の手順によって、分析対象のペプチド類とフラーレン誘導体(I)とから得られるフラーレン−ペプチド類複合体について、質量分析のデータを得ることができる。ここで、反応に使用したフラーレン誘導体(I)の構造等のデータと、反応によって得られたフラーレン−ペプチド類複合体のデータをそれぞれ参酌することにより、ペプチド類の質量分析のデータを得ることができる。
本発明の質量分析方法により分析可能なペプチド類のアミノ酸残基数は、特に制限されないが、通常2以上、好ましくは3以上、また、通常20以下、好ましくは10以下の範囲である。また、分析可能なペプチド類の分子量も特に制限されないが、通常150以上、好ましくは180以上、また、通常3000以下、好ましくは2000以下の範囲である。ペプチド類のアミノ酸数や分子量が大き過ぎると、質量測定機器の可能な測定範囲を超えてしまうため、測定が困難になる傾向にある。
なお、ペプチド類とフラーレン誘導体(I)とを反応させる工程(反応工程)と、反応により得られた生成物について質量分析を行なう工程(質量分析工程)とは、連続的に行なってもよく、間隔をおいて行なっても良い。また、各工程の前後や最中に、各種の前処理や後処理、中間処理等を加えても良い。更には、ペプチド類とフラーレン誘導体(I)とを反応させて得られた生成物を予め用意しておいて、それを用いて質量分析工程のみを行なっても良い。
また、本発明の質量分析方法を、その他の分析手法と組み合わせて実施するのも好ましい。他の分析手法の例としては、液体クロマトグラフィー(LC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)等が挙げられる。これらを組み合わせた具体的な分析の態様としては種々のものが考え得るが、例えば本発明の質量分析方法をHPLCと組み合わせて実施する場合には、ペプチド類を含むサンプルをHPLCで分離した後、得られたペプチド類含有画分を用いてフラーレン誘導体(I)との反応工程及び質量分析工程を行なう態様や、ペプチド類を含むサンプルをフラーレン誘導体(I)と反応させた後、得られた反応液をHPLCによって分離し、得られたフラーレン−ペプチド類複合体含有画分を用いて質量分析工程を行なう態様などが挙げられる。勿論これらはあくまでも例示であり、本発明の質量分析方法を他の分析方法と組み合わせて実施する態様は、これらの例に限定されるものではない。
以上説明した本発明のペプチド類の質量分析方法によれば、ペプチド類を特定構造のフラーレン誘導体(上記フラーレン誘導体(I))と反応させてペプチド類にフラーレン部位を導入し、得られた生成物(フラーレン−ペプチド類複合体)を質量分析に供することにより、ネガティブモードで高感度に質量分析を行なうことができる。従って、元のペプチド類の分子量が正確に測定できるとともに、従来難しかったペプチド類の構造に関する情報も得ることができる。
また、従来の方法と異なり、リン酸部位や硫酸部位等の修飾部位を有するペプチド類についても、上述のフラーレン誘導体(I)を用いることによって、これらの修飾部位に影響することなくペプチド類のN末端に選択的にフラーレン部位を導入し、質量分析に供することができる。よって、本発明の質量分析方法は、修飾ペプチド類の分析に特に有用である。
〔III.その他〕
上述のフラーレン誘導体(II)(本発明のフラーレン誘導体)は、先に説明した本発明のペプチド類の質量分析方法に好適に用いられる他、フラーレン骨格をペプチド類のN末端に選択的に導入し、フラーレン−ペプチド類複合体を製造するための試薬としても、好適に用いることが可能である。
フラーレン誘導体(II)を用いてフラーレン−ペプチド類複合体を製造するためには、フラーレン誘導体(II)をペプチド類と反応させればよい(本発明のフラーレン−ペプチド類複合体の製造方法)。その手順は特に制限されないが、通常は適当な溶媒の存在下、フラーレン誘導体(II)と対象となるペプチド類とを単に接触させればよい。使用可能な溶媒や反応条件の詳細は、〔II.ペプチド類の質量分析方法〕の欄で説明した通りである。この反応によって、上述したように、フラーレン骨格上に下記式(3)で表わされる構造を有するフラーレン−ペプチド類複合体フラーレン−ペプチド類複合体(本発明のフラーレン−ペプチド類複合体)が形成される。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、本明細書において「部」とは、特に断り書きの無い場合「重量部」を表わすものとする。また、「Ph」はフェニル基を、「Me」はメチル基を、「t−Bu」はtert−ブチル基を、「Ac」はアセチル基を、「Ts」はトルエンスルホン酸をそれぞれ表わす。また、大括弧[]内の数字は、反応式中の対応する化学式の番号を示している。
〔実施例1:C60CH−CO2−succinimide(1)の合成〕
Figure 2006038745
・[1−2]の合成:
ジメチルスルフィド(3.48g、0.06mol)とブロモ酢酸t−ブチル[1−1](9.77g、0.05mol)の混合物を室温で18時間撹拌した。得られた生成物にヘキサンを加え、沈殿した白色固体を濾別し、減圧乾燥することで、8.68gの[1−2]を白色固体として得た(収率68%)。得られた固体をプロトンNMR(1H−NMR)及び高速原子衝突イオン化質量分析法(FAB−MS)で分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) 5.09 (2H, s, -CH2-), 3.48 (6H, s, CH3×2), 1.51 (9H, s, CH3×3)
FAB-MS m/z: 177 (M+-Br-)
・[1−3]の合成:
60(512.9mg、0.71mmol)の乾燥トルエン(500mL)溶液に、スルホニウム塩[1−2](497.7mg、1.9mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB、121.7mg、0.38mmol)及び無水炭酸カリウム(1056.0mg、7.6mmol)を加え、アルゴン下で16時間室温で撹拌した。得られた反応液を濾過して固体を除去し、得られた濾液を減圧で濃縮した。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン)により精製を行ない、317.6mgの[1−3](Rf=0.6、トルエン/ヘキサン=1/1)を暗茶色の固体として得た(収率54%)。得られた固体を1H−NMR及びMALDI−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) 4.71 (1H, s), 1.71 (9H, s, CH3×3)
MALDI-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 834.0 (M-, 100%), 720.0 (C60 -, 13%)
・[1−4]の合成:
[1−3](312.3mg、0.37mmol)とp−トルエンスルホン酸・1水和物(p−Ts・H2O)(150.9mg)のトルエン(400mL)溶液を8時間加熱還流した。冷却後400mLの水を加え、30分撹拌した後、濾別により茶色の固体を取得した。得られた固体を水とエタノールで洗浄し、減圧乾燥することで、156.3mgの[1−4]を暗茶色の固体として得た(収率54%)。得られた固体をMALDI−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
MALDI-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 778.0 (M-, 100%), 720.0 (C60 -, 25%)
・[1]の合成:
[1−4](175.5mg、0.23mmol)のテトラヒドロフラン(300mL)溶液に、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS、48.0mg、0.42mmol)と、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCl、94.7mg、0.5mmol)を加え、アルゴン下室温で3日間撹拌した。得られた溶液を減圧濃縮したあと、200mLのトルエンを加え、再度およそ50mLまで減圧濃縮した。得られたトルエン溶液を水(50mL×2)、飽和食塩水(50mL×2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=19/1)で精製を行ない、113.4mgの[1]を暗茶色固体として得た(収率56%)。これをフラーレン誘導体[1]とする。得られた固体を1H−NMR及びMALDI−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) 4.99 (1H, s), 2.99 (4H, s, CH3×3)
MALDI-TOF-MS (reflectron positive) m/z: 874.9 (M+, 49%), 733.0 (C60CH+, 30%)
〔実施例2:C60CPh−(CH23CO2−succinimide(2)の合成〕
Figure 2006038745
・[2−2]の合成:
4−ベンゾイル酪酸([2−1]、1923.4mg、9.6mmol)のメタノール(50mL)溶液に濃硫酸(1mL)を加え、この溶液を12時間加熱還流した。得られた溶液を減圧濃縮して黄色のオイルを得、これを40mLの酢酸エチルに再溶解した。この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL×3)及び飽和食塩水(20mL×3)で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮することで、1788.8mgの[2−2]を黄色のオイルとして得た(収率90%、Rf=0.2、酢酸エチル/トルエン=1/9)。得られたオイルを1H−NMR及び電子衝撃イオン化法−質量分析法(EI−MS)で分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) 7.96 (2H, m), 7.56 (1H, m), 7.46 (2H, m), 3.68 (3H, s), 3.06 (2H, t, J = 7.1 Hz), 2.45 (2H, t, J = 7.1 Hz), 2.08 (2H, m)
EI-MS m/z: 206 (M+)
・[2−3]の合成:
[2−2](1484.7mg、7.2mmol)とp−トルエンスルホニルヒドラジド(1576.1mg、8.0mmol)のメタノール(30mL)溶液を14時間加熱還流した。反応液をゆっくり冷却した後室温で4時間、0℃で1時間撹拌した。生成した白色固体を濾別し、メタノールで洗浄後減圧乾燥して、2257.1mgの[2−3]を白色固体として得た(収率84%)。得られた固体を1H−NMR及びEI−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) 9.18 (1H, s, NH), 7.92 (2H, d, J = 8.3 Hz, ortho-H ArSO2-), 7.65 (2H, m, ortho-H Ph), 7.34 (3H, m), 7.30 (2H, d, J = 8.3 Hz, meta-H ArSO2-), 3.81 (3H, s, OCH3), 2.63 (2H, m), 2.41 (3H, s, ArCH3), 2.33 (2H, m), 1.69 (2H, m, CH2)
EI-MS m/z: 374 (M+)
・[2−4]の合成:
[2−3](151.0mg、0.40mmol)の乾燥ピリジン(5mL)溶液にナトリウムメトキシド(27.7mg、0.49mmol)を加え、アルゴン下室温で15時間撹拌した。C60(148.0mg、0.21mmol)のトルエン(120mL)溶液を加え、70℃で11時間撹拌後、13時間加熱還流した。反応液をゆっくり室温まで冷却後、濾過により固体を除去した。濾液を希塩酸(2mol/L、30mL×3)次いで飽和食塩水(30mL)で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後30mLまで濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/1〜トルエンのみ)により精製し、48.8mgの[2−4](異性体混合物、Rf=0.3、トルエン/ヘキサン=1/1)を茶色固体として得た(収率26%)。得られた固体を1H−NMR及びレーザー脱離型飛行時間質量分析法(LD−TOF−MS)で分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) major isomer (about 86 %): 7.97 (2H, m, o-H arom), 7.57 (2H, m, m-H, arom), 7.44 (1H, m, m-H, arom), 3.62 (3H, s, OCH3), 2.14 (2H, t, J = 7.6 Hz, PhCCH2), 1.64 (2H, m, CH2COOMe), 1.49 (2H, m, CH2CH2COOMe). Minor isomer (about 14 %): 7.93 (2H, m, o-H arom), 3.68 (3H, s, OCH3), 2.91 (2H, t, J = 7.6 Hz, PhCCH2), 2.53 (2H, m, CH2COOMe), 2.19 (2H, m, CH2CH2COOMe).
LD-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 910.0 (M-, 100%), 720.0 (C60 -, 48%).
・[2−5]の合成:
[2−4](異性体混合物、43.0mg、0.047mmol)の1,2−ジクロロベンゼン(10mL)溶液を5日間加熱還流した。得られた溶液をゆっくり室温まで冷却し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン)で精製することで、40.6mgの[2−5]を茶色の固体として得た(収率94%)。得られた固体を1H−NMR、カーボンNMR(13C−NMR)、及びLD−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) 7.93 (2H, d, J = 7.8 Hz, o-H, arom), 7.56 (2H, t, J = 7.6 Hz, m-H arom), 7.47 (1H, m, p-H arom), 3.68 (3H, s, OCH3), 2.91 (2H, t, J = 8.1 Hz, PhCCH2), 2.53 (2H, t, J = 7.6 Hz, CH2COOMe), 2.19 (2H, m, CH2CH2COOMe)
13C-NMR (CDCl3, 125 MHz, δ; ppm) 173.50 (CO2Me), 148.81, 147.81, 145.86, 145.20, 145.16, 145.08, 145.04, 144.79, 144.67, 144.51, 144.43, 144.01, 143.76, 143.13, 143.04, 143.00, 142.94, 142.23, 142.18, 142.13, 142.12, 141.00, 140.75, 138.04, 137.57, 136.73, 132.10 (Ph), 128.44 (ph), 128.55 (Ph), 79.86 (bridgehead C), 51.85 (OCH3), 51.70 (PhCCH2), 33.89, 33.67 (PhCCH2 and CH2CO2Me), 22.37 (CH2CH2CO2Me)
LD-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 910.0 (M-, 73%), 720.0 (C60 -, 100%)
・[2−6]の合成:
[2−5](11.4mg、0.01mmol)のトルエン(5mL)溶液に、酢酸(5mL)及び濃塩酸(2mL)を加え、40時間加熱還流した。得られた反応液を減圧濃縮し、メタノールを加えた。生成した固体を濾別し、トルエンで洗浄した。得られた茶色の固体を二硫化炭素(80mL)に溶解し、減圧濃縮後真空乾燥して、11.7mgの[2−6]を茶色固体として得た(収率80%)。得られた固体を1H−NMR及びLD−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/CS2, 400 MHz, δ; ppm) 7.88 (2H, d, J = 7.1 Hz, o-H arom), 7.51 (2H, m, m-H arom), 7.44 (1H, m, p-H arom), 2.90 (2H, m, PhCCH2), 2.53 (2H, t, J = 7.3 Hz, CH2CO2H), 2.17 (2H, m, CH2CH2CO2H)
LD-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 896.0 (M-, 100%), 720.0 (C60 -, 18%)
・[2]の合成:
[2−6](13.6mg、0.015mmol)の二硫化炭素(20mL)溶液に、EDCl(6.0mg、0.031mmol)のクロロホルム(1mL)溶液とNHS(6.8mg、0.059mmol)を加え、アルゴン下室温で4日間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、そこへトルエン(20mL)を加えて再度減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエンのみ〜トルエン/酢酸エチル=1/9)で精製して、10.7mgの[2](Rf=0.4、トルエン・酢酸エチル=9/1)を茶色固体として得た(収率72%)。これをフラーレン誘導体[2]とする。得られた固体を1H−NMR及びMALDI−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz, δ; ppm) 7.94 (2H, m, o-H arom), 7.58-7.49 (3H, m, m- and p-H, arom), 3.00 (2H, m, PhCCH2), 2.85-2.81 (6H, m, CH2CO2 and CH2×2), 2.31 (2H, m, CH2CH2CO2)
MALDI-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 993.0 (M-, 100%)), 720.1 (C60 -, 6%)
〔実施例3:C60C(C64Br)−(CH23−CO2−succinimide(3)の合成〕
Figure 2006038745
・[3−2]の合成:
5−クロロ−5−オキソ吉草酸(1.74g、10.5mmol)のブロモベンゼン(10.3g、65.8mmol)溶液に無水塩化アルミニウム(2.92g、21.5mmol)をアルゴン下、−5℃で一気に加えた。反応温度を−5℃に維持しながら3時間撹拌後、室温まで昇温し、22時間撹拌した(反応の完結は、HClガスの発生が停止することで確認した。)。
反応溶液を、撹拌されている0℃の希塩酸に注ぎ、更に30分撹拌しながら室温まで昇温した。この水相をトルエン抽出し、得られたトルエン溶液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/9)により精製し、2.590gの[3−2]を黄白色の固体として得た(収率88%)。得られた固体の融点(mp)の測定と、1H−NMR分析、MS分析、及び元素分析(重量%)を行なった。その結果を以下に示す。
mp 38〜40 ℃.
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.83 (2H, d, J = 8.5 Hz, o-H), 7.60 (2H, d, J = 8.5 Hz, m-H), 3.68 (3H, s, OCH3), 3.02 (2H, t, J = 7.0 Hz, CH2CH2CH2COOMe), 2.45 (2H, t, J = 7.0 Hz, CH2CH2CH2COOMe), 2.07 (2H, quint, J = 7.0 Hz, CH2CH2CH2COOMe)
MS (EI): m/z 286 (M++2), 284 (M+)
Anal. Calcd for C12H13BrO3: C, 50.55; H, 4.60; N, 0. Found: C, 50.79; H, 4.54; N, 0
・[3−3]の合成:
[3−2](573.1mg、2.01mmol)とp−トルエンスルホニルヒドラジド(433.4mg、2.21mmol)のメタノール(30mL)溶液を20.5時間加熱還流した。ゆっくり室温まで冷却した後、更に0℃に冷やして90分撹拌した。生成した白色固体を濾別し、冷メタノールで洗浄後減圧乾燥し、927.1mgの[3−3]を白色固体として得た(収率88%)。得られた固体のmpの測定と、1H−NMR分析、MS分析、及び元素分析(重量%)を行なった。その結果を以下に示す。
mp 151〜155 ℃
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 9.24 (1H, s, NH), 7.90 (2H, d, J = 8.5 Hz, o-H Ts), 7.52 (2H, d, J = 8.5Hz, o-H), 7.46 (2H, d, J = 8.5 Hz, m-H), 7.30 (2H, d, J = 8.5 Hz, m-H Ts), 3.81 (3H, s, OCH3), 2.59 (2H, t, J = 8.2 Hz, CH2CH2CH2COOMe), 2.41 (3H, s, SO2PhCH3), 2.33 (2H, t, J = 6.1 Hz, CH2CH2CH2COOMe), 1.69-1.64 (2H, m, CH2CH2CH2COOMe)
MS (EI): m/z 454 (M++2), 452 (M+)
Anal. Calcd for C19H21BrN2O4S: C, 50.34; H, 4.67; N, 6.18. Found: C, 50.36; H, 4.71; N, 6.08.
・[3−4]の合成:
[3−3](181.2mg、0.400mmol)の乾燥ピリジン(10mL)溶液に、ナトリウムメトキシド(23.88mg、0.42mmol)を加え、アルゴン下室温で15分撹拌した。C60(144.0mg、0.200mmol)の1,2−ジクロロベンゼン(50mL)溶液を加え、19時間加熱還流した。ゆっくり室温まで冷却した後、反応液を2mol/L塩酸(30mL×2)、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/1〜トルエンのみ)で精製し、40.8mgの[3−4]を茶色固体として得た(収率21%)。得られた固体を1H−NMR及びMALDI−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.82 (2H, d, J = 8.5 Hz, o-H), 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz, m-H), 3.69 (3H, s, OCH3), 2.89 (2H, t, J = 8.5 Hz, CH2CH2CH2COOMe), 2.54 (2H, t, J = 7.6 Hz, CH2CH2CH2COOMe), 2.17 (2H, m, CH2CH2CH2COOMe)
MALDI-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 989.9 (M-+2), 987.9 (M-), 719.9 (C60 -)
・[3−5]の合成:
[3−4](40.0mg、0.040mmol)のトルエン(15mL)溶液に酢酸(10mL)と濃塩酸(4mL)を加え、21時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、メタノールを加えた。生成した固体を濾別し、トルエンで洗浄した。得られた茶色固体を二硫化炭素(20mL)に溶解し、再度減圧濃縮、減圧乾燥して、25.4mgの[3−5]を茶色固体として得た(収率65%)。得られた固体をMALDI−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
MALDI-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 976.0 (M-+2), 974.0 (M-)
・[3]の合成
[3−5](23mg、0.023mmol)の二硫化炭素(20mL)溶液に、NHS(3.2mg、0.028mmol)とEDCl(6.7mg、0.035mmol)を加え、アルゴン下室温で21時間撹拌した。更にNHS(4.5mg、0.039mmol)とEDCl(13mg、0.069mmol)を追加し、アルゴン下室温で23時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、トルエン35mLを加えて再度減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエンのみ〜トルエン/酢酸エチル=9/1)により精製し、10.5mgの[3]を茶色固体として得た(収率42%)。これをフラーレン誘導体[3]とする。得られた固体を1H−NMR及びMALDI−TOF−MSで分析した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ; ppm) 7.75 (2H, d, J = 8.5 Hz, o-H), 7.61 (2H, d, J = 8.5 Hz, m-H), 2.90 (2H, m), 2.78-2.75 (6H, m, CH2CO2 and CH2×2), 2.22 (2H, m, CH2CH2CO2)
MALDI-TOF-MS (reflectron negative) m/z: 1073.0 (M-+2), 1071.0 (M-)
なお、合成例1〜3で得られたフラーレン誘導体[1][2][3]は、何れも上述のフラーレン誘導体(I)に該当する。また、フラーレン誘導体[2][3]は、上述のフラーレン誘導体(II)にも該当する。
〔実施例4:フラーレン誘導体[2]を用いたBradykininの分析〕
・ペプチド類とフラーレン誘導体との反応:
1.4mgのフラーレン誘導体[2]を1mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、1mM濃度の溶液Aを調製した。別途、ペプチド類であるBradykinin(Arg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Pro−Phe−Arg)の1mM溶液Bを調製した。90μLのAと10μLのBとを混合し、室温で1時間放置した。得られた反応液を分析サンプルとして用いた。
・反応液の分析:
上述の分析サンプルについて、質量分析(MALDI−TOF−MS法)を行なった。質量分析装置としては、AXIMA-CFR plus(Shimadzu/Kratos, Manchester, UK)を用いた。分析条件は以下の通りとした。
nitrogen laser (337nm)
linear mode
detection of negative mode
マトリックスとして、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)を用い、エタノール(60体積%)/アセトニトリル(36体積%)/水(4体積%)の溶媒に対する飽和溶液(10mg/mL)として用いた。
分析サンプル0.5μLと上記マトリックス溶液0.5μLをターゲットプレ−ト上で混ぜ、十分に乾燥して分析に供した。得られたMSチャートを図1に示す。Bradykininとフラーレン誘導体[2]との複合体(フラーレン−ペプチド類複合体)の分子量に対応する1821のピークが、最大ピークとして観測されていることが分かる。
〔実施例5〜10〕
用いるペプチド類とフラーレン誘導体の種類を下記表1に記載のものに替えた以外は、実施例4と同様に分析を行なった。それぞれの実施例で用いたペプチド類の種類、フラーレン誘導体の種類、反応により得られたフラーレン−ペプチド類複合体の分子量(各原子の主な同位体の原子量から計算された値及び、全ての同位体の原子量とその存在比率を元に計算された値)、MSチャートの番号を以下の表1に示す。また、各実施例に対応するMSチャートを図2〜7に示す。
Figure 2006038745
これらの結果から、以下のことが分かる。
・実施例4〜6から、本発明の方法によるBradykininのネガティブモードでの質量分析では、フラーレン誘導体[1]、[2]、[3]の何れを用いてもフラーレン−ペプチド類複合体の親ピークが観測され、本発明の質量分析方法が有効であることが分かる。
・実施例7〜9から、SO3H化ペプチドのネガティブモードでの質量分析では、フラーレン誘導体[1]、[2]、[3]の何れを用いてもフラーレン−ペプチド類複合体の親ピークが観測され、スルホン化ペプチド類で本発明の質量分析方法が有効であることが分かる。特にこの中でフラーレン−ペプチド類複合体の親ピークが最もきれいに観測できるのは、フラーレン誘導体[2]を用いた場合であり、次いでフラーレン誘導体[3]がよく、フラーレン誘導体[1]を用いた場合は目的とする親ピークが最大ピークとして観測されておらず、フラーレン誘導体[2]、[3]と比較するとイオン化における機能が若干劣っている。
・実施例10では、リン酸化ペプチド類のネガティブモードでの質量分析においても、目的とするフラーレン−ペプチド類複合体の親ピークが観測され、この場合にも本発明の質量分析方法が有効であることが分かる。
本発明のペプチド類の質量分析方法によれば、ペプチド類を特定構造のフラーレン誘導体と反応させて得られた生成物を質量分析に供することにより、ネガティブモードで高感度に質量分析を行なうことが可能となる。従って、本発明は、様々なペプチド類の質量分析が求められる各種の分野において、好適に利用することが可能である。
また、本発明の新規なフラーレン誘導体は、ペプチド類のN末端にフラーレン部位を導入し、フラーレン−ペプチド類複合体を製造することができる。従って、本発明の新規なフラーレン誘導体は、上述したペプチド類の質量分析方法での使用に加えて、各種の誘導体や生理活性物質の開発への応用、更には自己集合体を形成させてイオンチャンネルとして利用する等、様々な好適に利用することが可能である。
実施例4において得られたフラーレン−ペプチド類複合体のMSチャートである。 実施例5において得られたフラーレン−ペプチド類複合体のMSチャートである。 実施例6において得られたフラーレン−ペプチド類複合体のMSチャートである。 実施例7において得られたフラーレン−ペプチド類複合体のMSチャートである。 実施例8において得られたフラーレン−ペプチド類複合体のMSチャートである。 実施例9において得られたフラーレン−ペプチド類複合体のMSチャートである。 実施例10において得られたフラーレン−ペプチド類複合体のMSチャートである。

Claims (7)

  1. ペプチド類を、下記式(1)で表わされる官能基を有するフラーレン誘導体と反応させて得られた生成物を用いて、質量分析を行なう
    ことを特徴とする、ペプチド類の質量分析方法。
    Figure 2006038745
    (式(1)中、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する炭素数3以上、10以下の有機基を表わす。
    Figure 2006038745
    但し、Xは、式(a)の窒素原子において、式(1)のカルボキシル基に結合する。)
  2. 該フラーレン誘導体が、フラーレン骨格上に下記式(2)で表わされる構造を有する
    ことを特徴とする、請求項1記載のペプチド類の質量分析方法。
    Figure 2006038745
    (式(2)中、2つのCfは、フラーレン骨格上の隣接する2つの炭素原子を表わし、Rは、炭素数1以上20以下の有機基を表わし、Aは、2価の有機基を表わし、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する炭素数3以上、10以下の有機基を表わす。
    Figure 2006038745
    但し、Xは、式(a)の窒素原子において、式(2)のカルボキシル基に結合する。)
  3. フラーレン骨格上に、下記式(2)で表わされる構造を有する
    ことを特徴とする、フラーレン誘導体。
    Figure 2006038745
    (式(2)中、2つのCfは、フラーレン骨格上の隣接する2つの炭素原子を表わし、Rは、炭素数1以上20以下の有機基を表わし、Aは、2価の有機基を表わし、Xは、下記式(a)で表わされる構造を有する炭素数3以上、10以下の有機基を表わす。
    Figure 2006038745
    但し、Xは、式(a)の窒素原子において、式(2)のカルボキシル基に結合する。)
  4. 式(2)中、Rが、置換されていてもよい炭素数6以上14以下の芳香族基である
    ことを特徴とする、請求項3記載のフラーレン誘導体。
  5. 請求項3又は請求項4に記載のフラーレン誘導体と、ペプチド類とを反応させる
    ことを特徴とする、フラーレン−ペプチド類複合体の製造方法。
  6. 請求項5記載の方法で製造される
    ことを特徴とする、フラーレン−ペプチド類複合体。
  7. フラーレン骨格上に、下記式(3)で表わされる構造を有する
    ことを特徴とする、フラーレン−ペプチド類複合体。
    Figure 2006038745
    (式(3)中、2つのCfは、フラーレン骨格上の隣接する2つの炭素原子を表わし、Rは、炭素数1以上20以下の有機基を表わし、Aは、2価の有機基を表わし、−NH−[Peptide]は、N末端においてカルボニル基と結合するペプチド類を表わす。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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