JP2019189097A - 車両の空調システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートパイプの技術を利用して暖房が速やかに行える空調システムを実現する。【解決手段】空調装置7に取り付けられた凝縮器73、排気管9に取り付けられた蒸発器25、これら凝縮器73及び蒸発器25に接続されて作動液を循環させる循環配管41を有するヒートパイプサイクル40、作動液の流動状態を変化させる切替バルブ23等を備える。エンジン2の作動中に所定の温度条件が成立した場合には、暖房が要求されていない時であっても、作動液が抑制された状態で流動するように、空調制御装置51が切替バルブ23を制御する。【選択図】図13

Description

開示する技術は、車室の暖房にヒートパイプの技術を利用した車両(自動車)の空調システムに関する。
一般に、ヒートパイプとは、内部を減圧した管体に少量の作動液を封入したものをいう。ヒートパイプで、作動液の蒸発と凝縮とを異なる部位で発生させる。そうすることで、作動液が移動し、熱の移動が行える。従って、ヒートパイプは、ヒートポンプと異なり、熱の移動に、ポンプ等の駆動力を要しない。
図1に、ヒートパイプの技術を利用した熱移動サイクル(ヒートパイプサイクル100)の基本的な構成を示す。例示のヒートパイプサイクル100は、蒸発器101、凝縮器102、及びこれらを接続する循環配管103で構成されている。凝縮器102は、蒸発器101よりも高位置に配置される。循環配管103は、蒸発器101及び凝縮器102の各々の上部に接続された、送液用の第1管部103aと、蒸発器101及び凝縮器102の各々の下部に接続された、返液用の第2管部103bと、で構成されている。
ヒートパイプサイクル100の内部は高度に減圧されていて、その内部に適量の作動液(水溶液、アルコール、冷媒等)が封入されている。それにより、蒸発器101の下部や第2管部103bの内部に、作動液が貯留される。
蒸発器101に熱が供給されると、その熱によって作動液が気化する。気化によって発生した作動液の蒸気は第1管部103aを通って凝縮器102に移動する。凝縮器102に移動した作動液の蒸気は、凝縮器102で放熱して液化する。液化した作動液は、作動液の蒸気圧や重力の作用により、第2管部103bを通って蒸発器101に移動する。このような蒸発器101での吸熱と凝縮器102での放熱とにより、作動液がヒートパイプサイクル100を循環し、熱の移動が行われる。
ヒートパイプの技術を利用した空調システムに関する先行技術としては、例えば特許文献1がある。
特許文献1には、ヒートパイプの技術を利用して、即効で暖房できる暖房装置が開示されている。具体的には、その暖房装置は、高温になったエンジンの冷却水(温水)の一部を保温タンク7に蓄え、冷却水の温度が低い時に、蓄えた温水の熱を利用して暖房が行えるように構成されている。保温タンク7の上流側の温水路8に、プリタンク9が設けられていて、このプリタンク9の内部に、ヒートパイプ17の第1凝縮部20が設置されている。ヒートパイプ17の蒸発部19は、排気管18の周囲に設置されている。
保温タンク7及びヒートパイプ17の内部が異常高圧になるのを防止するため、ヒートパイプ17に、車外に放熱する第2凝縮部24が設けられている。保温タンク7の温度が所定温度以上になると、第1凝縮部20から第2凝縮部24に管路が切り替わる。
ヒートパイプの技術は利用していないが、暖房を速やかに行える車両用空調装置が、特許文献2に開示されている。具体的には、その車両では、リモコンキースイッチ等にプレ駆動スイッチが設けられている。そのプレ駆動スイッチを操作することで、空調装置は、暖房運転の前に、暖房準備運転を開始する。
暖房準備運転で、外気温等から空調装置が暖房運転の必要があると判断すると、空調装置は、送風機(ブロワ)は停止した状態で、ヒートポンプサイクル、すなわち圧縮機及び循環ポンプを駆動する。それにより、ヒートポンプサイクルを循環する冷媒(熱媒体)が加熱され、冷媒に熱が蓄えられる。そうして、冷媒が所定の温度に達すると、圧縮機を間欠的に駆動し、暖房要求があるまでその状態を維持する。暖房要求があれば、送風機の運転を開始する。それにより、車室に温風が吹き出すので、速やかに暖房が行える。
特開昭61−295118号公報 特開2017−100476号公報
特許文献1では、ヒートパイプの技術を利用して、排気ガスの熱を車室の暖房に利用している。しかし、蓄えた温水の熱を利用して暖房する仕組みを前提としているため、特許文献1の暖房装置は、規模が大きく構造も複雑である。また、暖房装置専用の部材を新たに設置する必要がある。しかも、保温タンク等、設置に大きなスペースを要する部材もある。
従って、特許文献1の暖房装置を既存の自動車に適用するのは容易でない。また、特許文献1の暖房装置では、排気ガスの熱を暖房に直接利用するのではなく、冷却水の加熱に利用する。従って、熱効率の点でも不利がある。
特許文献2の空調装置では、暖房前の冷媒の蓄熱を行うために、圧縮機及び循環ポンプを駆動する。これら装置の駆動にはエネルギーを要するため、エネルギー効率の点で不利がある。また、事前にプレ駆動スイッチを操作しなければ、暖房準備運転が行えない。従って、利便性に欠ける不利もある。
そこで開示する技術の目的は、ヒートパイプの技術を利用することにより、要求に応じて暖房が速やかに行える空調システムを提供することにある。
ここで開示する技術は、車室の暖房が可能な、車両の空調システムに関する。
前記空調システムは、前記車両の動力を発生させる内燃機関と、前記内燃機関で発生する排気ガスを排出する排気管と、前記車室の内部に臨むように配置され、当該車室の内部に空気を吹き出す空調装置と、前記空調装置に取り付けられた凝縮器、前記排気管に取り付けられた蒸発器、並びにこれら凝縮器及び蒸発器に接続されて作動液を循環させる循環配管を有するヒートパイプサイクルと、前記作動液の流動状態を変化させる熱移動可変装置と、前記熱移動可変装置を制御する制御装置と、を備える。そして、前記内燃機関の作動中に所定の温度条件が成立した場合には、暖房が要求されていない時であっても、前記作動液が抑制された状態で流動するように、前記制御装置が前記熱移動可変装置を制御する。
この空調システムによれば、車室の内部に空気を吹き出す空調装置に凝縮器が取り付けられている。内燃機関で発生する高温の排気ガスを排出する排気管に蒸発器が取り付けられている。そして、これら凝縮器及び蒸発器は、作動液が循環する循環配管によって接続されている。
すなわち、この空調システムには、排気ガスの熱を空調装置に移動させるヒートパイプサイクルが設けられている。従って、この空調システムによれば、排気ガスの熱を直接的に利用して、車室の暖房が効率よく行える。
空調装置本来の暖房は、昇温した、内燃機関の冷却水の熱を利用するのが一般的である。従って、通常、冷却水の温度が低い状態からでは、温風を吹き出すまでに、ある程度の時間を要する。それに対し、この空調システムでは、冷却水の温度が高温になっていなくても温風を吹き出すことができる。従って、暖房が速やかに行える。冷却水を用いないので、内燃機関の予熱も速やかに行える。従って、燃費向上等の面でも優れる。
一方、循環配管が長いと、作動液の放熱によって熱輸送効率が低下し、ヒートパイプサイクルであっても、レスポンスに遅れを生じるおそれがある。
それに対し、この空調システムには、作動液の流動状態を変化させる熱移動可変装置が備えられていて、内燃機関の作動中に所定の温度条件が成立した場合には、暖房が要求されていない時であっても、作動液が抑制された状態で流動するように、制御装置が熱移動可変装置を制御する。
すなわち、この空調システムは、暖房が要求される可能性が高く、作動液が放熱し易いような温度条件が成立した場合には、作動液が抑制された状態で流動、つまり、本来よりも熱移動量が相対的に少ない状態で、ヒートパイプサイクルを作動させる(暖房待機運転)。それにより、循環配管が長くても、暖房の要求後、直ちに暖房が行える。排熱を利用しているので、余計なエネルギーを消費することもない。
前記空調システムはまた、前記排気管は、当該排気管が二股に分岐して構成された、バイパス通路と、前記蒸発器が配置された排熱回収通路とを有し、前記熱移動可変装置が、前記排熱回収通路を流れる排気ガスの流量を変更することによって、前記作動液の流動状態を変更する、としてもよい。
この場合、排熱回収通路を流れる排気ガスの流量を変更することで、必要な量の排熱を、必要なタイミングで簡単に利用できる。排気ガスをバイパス通路に流すこともできるので、排気ガスの良好な掃気性も確保できる。
前記空調システムはまた、前記熱移動可変装置が、排気ガスが流れる経路を、前記バイパス通路及び前記排熱回収通路のいずれか一方に間欠的に切り替えることによって、前記作動液の流動状態を間欠的に変化させる、としてもよい。
この場合、簡単な構成で熱移動可変装置を実現できる。制御も簡素化できる。従って、安定して作動する空調システムが、安価で実現できる。
前記空調システムはまた、前記制御装置が、前記作動液が抑制された状態で流動するように前記熱移動可変装置を制御するのと同時に、前記車室の内部に抑制された状態で空気が吹き出すように、前記空調装置に設けられた送風機を制御する、としてもよい。
作動液の流動性を高めるために送風機を作動させると、温風が車室に吹き出す。暖房を要求していない時に、空調装置から温風が吹き出すと、搭乗者は空調装置の異常と誤解するおそれがある。
そこで、この空調システムは、熱移動可変装置の制御と同時に、送風機の作動も制御し、車室の内部に抑制された状態で空気が吹き出すようにする。それにより、車室の内部に吹き出す温風の勢いが弱まり、搭乗者は温風の吹き出しを認識できなくなる。従って、この場合、搭乗者の誤解を防止しながら作動液の流動性を促進できるので、効果的な暖房待機運転が行える。
前記空調システムはまた、前記車室の内部に抑制された状態で空気が吹き出すように、前記制御装置が、前記送風機を間欠的に作動させる、としてもよい。
この場合、送風機の制御内容を変更するだけで実現できる。従って、暖房が速やかに行える空調システムを安価で実現できる。
前記空調システムはまた、前記制御装置が、外気の温度、室内の温度、及び前記内燃機関の冷却水の温度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記所定の温度条件が成立するか否かを判定する、としてもよい。
これら温度であれば、車両に既設の装置を利用して検知できる。従って、空調システムを安価で実現できる。
前記空調システムはまた、前記排気管に、三元触媒を含む1つ以上の排気処理装置が配置され、前記蒸発器が、最も下流側に位置する前記排気処理装置よりも下流側に配置されている、としてもよい。
三元触媒は、適正に機能させるには所定以上の温度が必要である。従って、蒸発器をそのような排気処理装置の上流側に配置すると、循環配管を短くできるが、三元触媒の機能が損なわれるおそれがある。それに対し、この空調システムによれば、循環配管は長くなるが、三元触媒の機能を損なうことがない。
開示する技術によれば、ヒートパイプの技術を利用することにより、要求に応じて暖房が速やかに行える空調システムを実現できる。
ヒートパイプサイクルの概要を説明するための図である。 開示する技術を適用した車両の一例を示す概略図である。 空調装置の構成を示す概略図である。 空調装置の要部を示す概略斜視図である。 車室を構成している隔壁の前下側部分を示す概略斜視図である。 図5における矢印Aの方向から見た部分の概略斜視図である。 図5における矢印Bの方向から見た部分の概略図である。 排気管、ヒートパイプサイクル等、車両の要部を上方から見た概略図である。 排熱回収機構を示す概略斜視図である。 排熱回収通路の概略断面図である。 図10における矢印C−C線での概略断面図である。 空調制御装置、及びこれに入出力する主な装置を示すブロック図である。 空調システムによる、暖房待機運転の制御例を示すフローチャートである。 暖房待機運転の制御例に対応した主な状態量の経時変化を示すグラフである。 (比較例)暖房待機運転を行わない場合の、図14Aに相当する図である。
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
図2に、開示する技術(空調システム)を適用した自動車1(車両)を例示する。この自動車1では、ガソリンを燃料とするエンジン2(内燃機関)が搭載されている。ガソリンの燃焼で動力が発生し、自動車1は走行する。自動車1のボディ3の前後方向(自動車1が直進する方向に対しての前後の方向、以下同様)の中間部位に、搭乗者が乗り込むキャビン4(車室)が配置されている。そのキャビン4の前方に、エンジンルーム5(機関室)が配置されている。
エンジンルーム5には、前輪を駆動するエンジン2が設置されている。すなわち、本実施形態では、一般的な前輪駆動(いわゆるFF方式)の自動車1を例示している。エンジン2の前方には、エンジン2の冷却水(単に冷却水ともいう)を冷却するラジエータ6、及び空調装置7の冷媒を冷却するコンデンサ8が配置されている。
空調装置7は、キャビン4の前側の車幅方向かつ車高方向の中間部位から、キャビン4の内部に臨むように配置されている。空調装置7は、デフロスター(DEF)としても利用される。そのため、空調装置7は、キャビン4の前側上部を区画しているフロントガラス3aの直下に配置されている。空調装置7は、搭乗者の操作に応じて、キャビン4の各所に配置された吹出口から、温度調節された空気(冷風又は温風)を吹き出す。それにより、キャビン4は、冷房及び暖房が可能となっている。
図3、図4に、空調装置7の主な構造を示す。空調装置7の内部には、空気が流れる空調ダクト70が形成されている。空調ダクト70の上流端には、1つの導入口70aが設けられ、空調ダクト70の下流端には、DEFを含む複数(図例では3つ)の導出口70bが、開閉可能な状態で設けられている。これら導出口70bが、上述した吹出口に連通している。この空調ダクト70の内部に、エバポレータ71、第1ヒータコア72、第2ヒータコア73(凝縮器)、及びエア混合チャンバ74が、上流側から順に配置されている。
空調装置7の側方には、空調装置7に空気を送り込むブロワ75(送風機)が付設されている(図5も参照)。ブロワ75は、空調装置7の作動時に駆動され、外気、又はキャビン4の内部の空気を、導入口70aを通じて空調装置7に送り込む。
図3、図4に示すように、エバポレータ71は、コンプレッサ81、膨張弁82など、ヒートポンプサイクル80を構成する公知の装置とともに、冷媒配管76を介してコンデンサ8と接続されている。必要に応じて、エバポレータ71とコンデンサ8との間を、コンプレッサ81の動力によって冷媒が循環する。コンデンサ8で冷却された冷媒が、エバポレータ71で吸熱することにより、空調装置7に導入された空気は、冷却及び乾燥される。
ラジエータ6は、冷却水タンク91、ウォータポンプ92等の装置が設置されていて、冷却水を循環させる冷却経路93を介してエンジン2と接続されている。これらにより、エンジン2を冷却する公知の冷却水循環サイクル90が構成されている。そして、第1ヒータコア72は、冷却水配管77を介して冷却経路93に接続されている。
冷却経路93と冷却水配管77との間には、冷却水バルブ95が設置されている。冷却水バルブ95が閉じられていると、冷却水は、第1ヒータコア72に供給されない。冷却水バルブ95を開くことで、冷却水が第1ヒータコア72に供給される。従って、エンジン2の作動時には、ウォータポンプ92の駆動により、冷却水が循環してエンジン2を冷却しており、冷却水バルブ95を開くことで、その冷却水が、冷却水配管77を通じて、第1ヒータコア72を循環する。
エンジン2が始動されて、所定の時間が経過すると、エンジン2は暖まって所定の温度状態で安定するようになる(いわゆる温間時)。その時、冷却水の温度は高温(常温よりも高い温度、例えば60℃以上)になる。従って、そのような状態の下で、冷却水が循環している第1ヒータコア72を空気が通過すると、冷却水と熱交換することにより、第1ヒータコア72が放熱し、その空気は加熱される。
なお、冷却水バルブ95は必須の構成ではない。車種によっては冷却水バルブ95が無いタイプもある。そのような自動車では、ウォータポンプ92が駆動すると、冷却水は、エンジン2及び第1ヒータコア72の双方を循環する。
第2ヒータコア73は、ヒートパイプサイクル40の凝縮器を構成している(ヒートパイプサイクル40、第2ヒータコア73については後述)。第2ヒータコア73は、第1ヒータコア72を通過した空気が通過するように、第1ヒータコア72の下流側に隣接して配置されている。エンジン2の作動時に、第1ヒータコア72を通過した空気が、必要に応じて、第2ヒータコア73で加熱される。
図3に示すように、第1ヒータコア72の近傍には、揺動可能なエア混合ドア78が配置されている。エア混合ドア78が揺動することで、第1ヒータコア72の上流側で、エバポレータ71を通過した空気の一部又は全部が、第1ヒータコア72及び第2ヒータコア73をバイパスして流れるように構成されている。
空調装置7の作動時には、第1ヒータコア72及び第2ヒータコア73をバイパスした空気、及び第1ヒータコア72及び第2ヒータコア73を通過した空気は、エア混合チャンバ74で混合されて温度調節される。エア混合チャンバ74で混合された空気は、各導出口70b及び各吹出口を通じてキャビン4の内部に吹き出される。
図2に示すように、ガソリンの燃焼によってエンジン2で発生する排気ガスは、エンジン2に接続された排気管9を通じて、自動車1の後部から排出される。排気管9は、キャビン4の下側を通過して、エンジンルーム5から後方に延び、その末端が自動車1の後方に臨むように、ボディ3に配置されている。
図5に、空調装置7及び排気管9とともに、キャビン4を区画している隔壁10の前下側部分を示す。隔壁10は、ボディ3と一体に設けられるパネル部材や補強部材で構成されており、ダッシュパネル10a(ダッシュロアパネル)、フロアパネル10b、クロスメンバ10cなどを有している。
ダッシュパネル10aは、車幅方向に拡がって車高方向の中間位置から下方を覆うように設置されている。それにより、ダッシュパネル10aは、ボディ3の内部にあって、キャビン4の前下部とエンジンルーム5とを区画している。空調装置7は、ダッシュパネル10aの内側(キャビン4のある側)の壁面に取り付けられている。
フロアパネル10bは、ダッシュパネル10aの下部に連なり、後方に向かって略水平に拡がっている。それにより、フロアパネル10bは、キャビン4の下部を構成している。ダッシュパネル10aは、キャビン4と車外とを区画している。ダッシュパネル10aの下面は、車外に臨んでいる。
フロアパネル10bの車幅方向の中央部には、前後方向に延びるトンネル部11(凹部)が設けられている。トンネル部11は、キャビン4の側に向かって凹んでいる。図6に示すように、トンネル部11の前端部は、ダッシュパネル10aの下部に連なっている。それにより、トンネル部11の前端部は、ダッシュパネル10aの前方のエンジンルーム5に開放されている。
トンネル部11を横切って車幅方向に延びるように、クロスメンバ10cが、フロアパネル10bの上面に設けられている(図5参照)。クロスメンバ10cは、閉断面構造を形成し、ボディ3の剛性を強化している。
図7にも示すように、排気管9は、キャビン4の下側を前後方向に延びている。排気管9は、トンネル部11に収容されている。すなわち、排気管9のほとんどが、フロアパネル10bの最下面より上方に位置している。排気管9の前端部分は、ダッシュパネル10aに沿うように上方に向かって湾曲し、エンジン2の排気経路に接続されている。
排気管9の前後方向の中間部位には、排気処理装置が付設されている。排気処理装置の多くは、例えば、三元触媒、パーティクルフィルター(PF)などを含み、NOxや煤など、排気ガスに含まれる有害物質を除去する機能を有している。
この自動車1では、排気処理装置として、キャビン4の下側に位置する排気管9の中間部位に、三元触媒を含むアンダーフットキャタ12が配置されている。図示しないが、エンジン2の近傍に位置する排気管9の上端部位にも、三元触媒を含む直キャタリストが配置されている。すなわち、三元触媒を含む排気処理装置としては、アンダーフットキャタ12が、排気管9の最も下流側に位置している。
排気管9の末端部位には、サイレンサ13が配置されている(図2参照)。そして、排気管9の、アンダーフットキャタ12の下流側の部位であって、サイレンサ13の上流側の部位に、排熱回収機構20が設けられている。
(排熱回収機構20)
図8、図9にも示すように、排熱回収機構20は、排気管9を二股に分岐する排熱回収通路21及びバイパス通路22と、切替バルブ23(熱移動可変装置の一例)とを有している。切替バルブ23は、これら排熱回収通路21及びバイパス通路22の上流側に位置する分岐部位に設置されている。排熱回収通路21及びバイパス通路22は、車幅方向に並んだ状態で、トンネル部11に収容されている。
本実施形態の切替バルブ23は、排気ガスが流れる経路を、排熱回収通路21及びバイパス通路22のいずれか一方に切り替える。すなわち、切替バルブ23は、排気ガスが排熱回収通路21を流れる熱回収位置と、排気ガスがバイパス通路22を流れる熱不回収位置とに切り替える。無通電時の切替バルブ23は、熱不回収位置に位置するように構成されている。排熱回収通路21には、熱回収部25が設けられている。
図10に、排熱回収通路21(概略断面図)を示す。排熱回収通路21は、上流側絞り部24、熱回収部25、下流側絞り部26、を有している。上流側絞り部24及び下流側絞り部26は、流路断面が緩やかに小さくなるように形成されていて、熱回収部25を流れる排気ガスの流速や乱れを緩和する。従って、これら上流側絞り部24及び下流側絞り部26により、熱回収部25での熱交換が安定する。
熱回収部25は、断面が略矩形に形成されている。熱回収部25の内部には、熱回収器30が配置されている。熱回収部25により、後述するヒートパイプサイクル40の蒸発器が構成されている。
図11にも示すように、熱回収器30は、直方体状の部材からなり、一対のパイプサポート31,31と、複数のガスパイプ32とを有している。各ガスパイプ32は、中空薄板状の金属製パイプからなる。ガスパイプ32の内部は、襞状に折れ曲がった金属板(コルゲートフィン)で仕切られている。
各パイプサポート31は、略矩形の金属板からなる。2つのパイプサポート31,31は、互いに間隔を隔てて、熱回収部25の内部に配置されている。各パイプサポート31は、排気ガスの流れる方向(ガス流方向ともいう、図10に白抜き矢印で示す)に面するように配置されている。各パイプサポート31の外周は、熱回収部25の内面に、隙間無く固定されている。それにより、各パイプサポート31の周囲は密閉されている。
各ガスパイプ32の両端部は、2つのパイプサポート31,31に一体的に取り付けられている。各ガスパイプ32は、各パイプサポート31を貫通している。各ガスパイプ32は、互いに僅かな隙間を隔てて平行するように、両パイプサポート31の間に配置されている。それにより、隣接するガスパイプ32の間には、上下方向に平行して延びる複数の枝流路33が形成されている。
熱回収部25の上部には、液混合室34が設けられている。液混合室34は、熱回収器30の上方に拡がるように形成されている。それにより、各枝流路33は、ガス流方向の全域にわたって、液混合室34と連通している。液混合室34におけるガス流方向の上流側の部位には、上方に突出して幅方向に延びた上側接続室35が形成されている。この上側接続室35の前面に、液流出口36(第1接続部)が設けられている。液流出口36は、上側接続室35における幅方向の一端側に偏った部位に配置されている。
熱回収部25の下部には、下方に突出して幅方向に延びた下側接続室37が形成されている。各枝流路33は、ガス流方向の下流側の一部の領域だけを介して、下側接続室37と連通している。この下側接続室37における幅方向の他端側(液流出口36とは反対側)の側面に、液流入口38(第2接続部)が設けられている。
(ヒートパイプサイクル40)
この自動車1には、排気ガスの熱をキャビン4の暖房に効率よく利用できるように、ヒートパイプサイクル40が設けられている。ヒートパイプサイクル40は、ヒートパイプの技術を利用した熱移動サイクルである。ヒートパイプサイクル40は、第2ヒータコア73及び熱回収部25と、これら第2ヒータコア73及び熱回収部25に接続された循環配管41と、を有している。
第2ヒータコア73、熱回収部25、及び循環配管41の各々の内部は連通している。それにより、これらの内部には、互いに連なって密閉された空間(熱移動空間)が形成されている。熱回収部25では、下側接続室37、枝流路33、液混合室34、及び上側接続室35により、熱移動空間が形成されている。
熱移動空間の内部は高度に減圧されている。そして、熱移動空間の内部には、適量の作動液(水溶液、アルコール、冷媒等)が封入されている。それにより、第2配管41bの一部、下側接続室37、及び枝流路33の一部に、作動液が貯留されている。なお、この作動液の液量は一例である。
循環配管41は、第1配管41aと、第2配管41bとを有している。第1配管41aは、液流出口36に接続されている。第2配管41bは、液流入口38に接続されている。第1配管41aを通じて、熱回収部25で気化した作動液が第2ヒータコア73に送られる。第2配管41bを通じて、第2ヒータコア73で液化した作動液が熱回収部25に送られる。
第2ヒータコア73は、空調装置7の狭い内部に増設されるため、その容量は小さく設計されている。熱回収部25も、分岐した状態でトンネル部11に収容される排熱回収通路21に設けられるため、その容量は小さく設計されている。作動液の量が多いとそれだけ熱容量が増えるため、循環配管41も、その容量が小さくなるように、細管(例えば、内径が2mm以上20mm以下)で構成されている。すなわち、ヒートパイプサイクル40は、コンパクトに構成されている。
図6に示すように、ダッシュパネル10aにおけるトンネル部11の上部に隣接した部位には、開口14が形成されている。図4、図7、図8にも示すように、ダッシュパネル10aの内側に、配管接続部79が設置されている。配管接続部79は、開口14を通じて前方のエンジンルーム5に臨んでいる。配管接続部79は、空調装置7に収容されているエバポレータ71、第1ヒータコア72、及び第2ヒータコア73に接続される配管(冷媒配管76、冷却水配管77、循環配管41)を中継する。
エンジンルーム5に面した配管接続部79の前面には、第2ヒータコア73に接続する継手79aが設置されている。これら継手79aに、熱回収部25から延びる循環配管41が接続されている。この実施形態の循環配管41の主体は、いずれも金属管42(硬質配管)と、ゴム管43(軟質配管)とで構成されている。
金属管42は、熱回収部25に接続されていて、熱回収部25からフロアパネル10bの下側を前方に向かって延びている。金属管42は、排気管9に沿った状態でトンネル部11に収容されている。特に、第1配管41aの金属管42は、排気管9の上部に沿って延びるように配置されている(図7参照)。すなわち、第1配管41aの金属管42は、排気管9よりもトンネル部11の奥に配置されている。
第2配管41bの金属管42は、排気管9の側部に沿って延びるように配置されている。これら金属管42の前端部は、フロアパネル10bの前端部に位置している。
ゴム管43の一端は、金属管42の前端部に接続されている。ゴム管43は、屈曲された状態で、ダッシュパネル10aに沿って延びている。そして、ゴム管43の他端は、継手79aに接続されている。循環配管41は、ダッシュパネル10a又はフロアパネル10bには支持されず、排気管9と継手79a(配管接続部79、更には空調装置7)とによって支持されている。
(空調システム50)
この自動車1では、空調装置7にヒートパイプサイクル40を組み込み、冷却水と排気ガスの双方の熱が利用できるように、空調システム50が構成されている。それにより、暖房が、空調装置7のみで行う場合よりも速やかに行えるようになっている。空調システム50には空調制御装置51が備えられていて、この空調制御装置51により、空調システム50は総合的に制御される。
図12に、空調制御装置51の主な構成を示す。空調制御装置51は、プロセッサ51a、メモリ51b、インターフェース51cなど、公知のハードウエアと、ハードウエアに実装された制御プログラムや制御データなどのソフトウエアとで構成されている。ソフトウエアはメモリ51bに記憶されており、プロセッサ51aがソフトウエアを実行する。
空調制御装置51には、インターフェース51cを介して、吸気温度センサSW1、水温センサSW2、室内温センサSW3、切替バルブ23、ブロワ75、冷却水バルブ95などの装置が接続されている。図示はしないが、空調制御装置51には、空調装置7を制御するため、コンプレッサ81、ウォータポンプ92、エア混合ドア78、導出口70bなどの装置も接続されている。
図2に示すように、吸気温度センサSW1は、エンジン2の吸気通路(図示せず)に設置されていて、新気(外気)の温度を検知する。水温センサSW2は、冷却経路93に設置されていて、冷却水の温度を検知する。室内温センサSW3は、空調装置7に設置されていて、キャビン4の中の温度を検知する。
自動車1の電源がONされると、それ以降、その電源がOFFされるまで、空調制御装置51には、これらセンサから信号が入力される。そして、空調制御装置51は、これら信号に基づいて、切替バルブ23、ブロワ75、冷却水バルブ95などの作動を制御する。
(空調システム50の動作)
自動車1の電源がOFFの時など、常態では、切替バルブ23は熱不回収位置に位置している。そのため、エンジン2の作動中に発生する排気ガスは、バイパス通路22を流れて、従来と同様に排気される。従って、ヒートパイプサイクル40は作動しない。
すなわち、切替バルブ23が熱不回収位置に位置している時、作動液は、ほとんど循環せずに滞留した状態となっている(不循環状態)。バイパス通路22には、排気ガスの通気抵抗になる構造は無い。従って、排気ガスがバイパス通路22を流れる時には、排気ガスの良好な掃気性も得られる。
一方、エンジン2の作動中に搭乗者が空調装置7を操作するなどして、暖房要求があると、ブロワ75が作動し、キャビン4に空気が吹き出される。そして、切替バルブ23は、熱回収位置に切り替わる。それにより、排気ガスは、排熱回収通路21に流れる。排熱回収通路21に導入された排気ガスは、上流側絞り部24で流速や乱れが緩和された後、ガスパイプ32に流入する。
排気ガスがガスパイプ32を通過する過程で、各枝流路33に溜まる作動液が排気ガスの熱を吸収して気化し、作動液の蒸気が発生する。作動液の蒸気は、第1配管41aを通じて第2ヒータコア73に移動する。第2ヒータコア73に移動した作動液の蒸気は、空調装置7に導入される空気に放熱して液化する。第2ヒータコア73で液化した作動液は、作動液の蒸気圧や重力の作用により、熱回収部25へ移動する。
すなわち、切替バルブ23が熱回収位置に切り替わると、排気ガスとの熱交換、及び、空調装置7に導入される空気との熱交換により、作動液は、相変化しながら、循環配管41を通じて、第2ヒータコア73と熱回収部25との間を循環した状態となる(循環状態)。それにより、排気ガスの熱を直接的に利用して、キャビン4の暖房が行える。
空調装置7が元来有している暖房機能では、冷却水との熱交換によって空気を加熱する。そのため、空調装置7のみで暖房を行った場合には、冷却水が暖房できる温度に上昇するまでは、空気を加熱できない。従って、暖房要求があっても、エンジン2の始動時など、冷却水の温度が低い状態からでは、温風を吹き出すまでに、ある程度の時間が必要である。
また、暖房を行うために、エンジン2が暖まっていない状態の下で冷却水を第1ヒータコア72に供給すると、冷却水が第1ヒータコア72で放熱して、冷却水の温度上昇が遅くなる。従って、エンジン2が適切な温度状態に達するのが遅れ、燃費向上等の面でも不利がある。
それに対し、この空調システム50によれば、排気ガスの熱を直接的に利用して、キャビン4の暖房が行える。そのため、冷却水の温度が十分に高温になっていなくても、キャビン4に温風を吹き出すことができる。従って、エンジン2の始動時など、冷却水の温度が低い状態からであっても、暖房が速やかに行える。冷却水を用いずに暖房が行えるので、エンジン2の予熱も速やかに行える。従って、燃費向上等の面でも優れる。
更に、この自動車1では、排気管9にアンダーフットキャタ12が設置されている。アンダーフットキャタ12が含む三元触媒は、適正に機能させるには所定以上の温度が必要である。従って、熱回収部25をアンダーフットキャタ12の上流側に配置すると、アンダーフットキャタ12の機能が損なわれるおそれがある。
それに対し、この自動車1では、熱回収部25がアンダーフットキャタ12の下流側に配置されている。従って、ヒートパイプサイクル40で排熱を利用しても、アンダーフットキャタ12の機能を維持できる。
ところが、アンダーフットキャタ12など、排熱の利用によって影響を受ける装置が排気管9に設置されている場合に、その装置の下流側に熱回収部25を配置すると、循環配管41が長くなる。循環配管41が長くなると、循環過程で作動液が放熱し易くなるため、熱輸送効率が低下する。
そのため、この空調システム50においても、暖房要求の直後は、適切な作動液の流動状態が得られずに、キャビン4に温風を吹き出せないおそれがある。特に、寒冷地や極寒季等、外気の温度が非常に低い環境下でのエンジン2の始動時には、そのような状況になり易い。
そこで、この空調システム50では、エンジン2の作動中に所定の温度条件が成立した場合には、暖房要求がされていない時であっても、作動液が抑制された状態で流動するように構成されている(暖房待機運転)。
具体的には、エンジン2が作動していて所定の温度条件が成立すれば、暖房要求がされていない時であっても、空調制御装置51は、切替バルブ23を制御し、排気ガスが流れる経路を、バイパス通路22及び排熱回収通路21のいずれか一方に間欠的に切り替える制御を実行する。そうすることにより、作動液の流動状態は、不循環状態と循環状態とに、間欠的に変化する。
所定の温度条件は、暖房が要求される可能性が高く、作動液が放熱し易い温度条件である。すなわち、環境温度が適温(常温)よりも低い時(例えば、10℃以下や0℃以下)が相当する。その判断には、直接的には、外気の温度が利用できる。暖房前であれば室内の温度も利用できる。エンジン2の始動前であれば、冷却水の温度も利用できる。これら温度であれば、既設のセンサSW1〜SW3を利用して検知できる。従って、空調システム50を安価で実現できる。
暖房要求がされていない時に、ヒートパイプサイクル40を作動液が間欠的に流動していれば、抑制された状態(本来よりも相対的に少ない状態)で、常に、熱移動が行われる。従って、外気の温度が低い環境下であっても、暖房要求の直後に、ヒートパイプサイクル40を利用して、キャビン4に温風を吹き出すことができる。
暖房待機運転の際、作動液の流動を促進させるためには、ブロワ75は作動させるのが好ましい。ブロワ75が作動すれば、第2ヒータコア73で作動液の液化が促進され、作動液の流動性が高まる。
ところが、ブロワ75を作動させると、温風がキャビン4に吹き出す。暖房要求がされていない時に、空調装置7から温風が吹き出すと、搭乗者が空調装置7の異常と誤解し、搭乗者に不安を与えるおそれがある。
そこで、この空調システム50では、空調制御装置51が、切替バルブ23の間欠的な切り替え制御と同時に、ブロワ75の作動も制御し、キャビン4の内部に抑制された状態で空気が吹き出すようにしている。具体的には、空調制御装置51は、切替バルブ23が間欠的に排熱回収通路21に切り替わるタイミングに同期して、ブロワ75も間欠的に作動させる。
ブロワ75を連続的に作動させると、空調装置7から温風がキャビン4に強く吹き出すが、間欠的に作動させれば、空調装置7からキャビン4に吹き出す温風の勢いが弱くなる。その結果、空調装置7から温風が吹き出しても、搭乗者はそれを認識できなくなる。従って、この空調システム50では、搭乗者が空調装置7の異常と誤解するのを防止しながら、第2ヒータコア73で作動液の液化を促進できるので、効果的な暖房待機運転が行える。
その際、空調制御装置51が、各導出口70bを開閉制御し、キャビン4の下方に向けて吹き出す吹出口やフロントガラス3aに向けて吹き出す吹出口など、搭乗者を避けて空気を吹き出す吹出口にのみ通じる導出口70bを開くように制御してもよい。
(暖房待機運転の制御例)
図13、図14Aを参照して、暖房待機運転の制御例を示す。この制御例は、寒冷地において冷めた状態(いわゆる冷間時)からエンジン2を始動した時の制御を示している。
図14Aの上段のグラフ(a)は、冷却水の温度の経時変化を示している。図14Aの中段のグラフ(b)は、切替バルブ23及びブロワ75の作動状態を示している。グラフ(b)の「A」は、切替バルブ23が熱回収位置に位置し、ブロワ75が作動している状態を示している。グラフ(b)の「B」は、切替バルブ23が熱不回収位置に位置し、ブロワ75が作動していない状態を示している。そして、図14Aの下段のグラフ(c)は、ヒートパイプサイクル40を流れる作動液の液温の経時変化を示している。なお、各図の時間的なタイミングは一致するように示している。
自動車1の電源がONになると、吸気温度センサSW1、水温センサSW2、及び室内温センサSW3から空調制御装置51に検出信号が入力される。そして、エンジン2が始動されると、それに伴って排気ガスが排気管9を通じて排出され、冷却水は徐々に温度が上昇していく。この時、切替バルブ23は、熱不回収位置にあるため、排気ガスはバイパス通路22を通じて排出される。従って、ヒートパイプサイクル40は作動せず、作動液は不循環状態となっている。
またこの時、冷却水バルブ95は閉じられている。それにより、エンジン2で発生する熱は、冷却水の温度上昇に用いられ、エンジン2は、速やかに予熱される。
そして、図13に示すように、空調制御装置51は、吸気温度センサSW1、水温センサSW2、及び室内温センサSW3の少なくともいずれか1つで検出される検出温度T(外気温度、室内温度、又は冷却水温度)に基づいて、所定の温度条件が成立するか否かを判断する(ステップS1)。その温度条件は、任意に設定できる。例示の制御では、図14Aのグラフ(a)に示すように、冷却水の温度Tが、常温Tnよりも低い設定温度Ts以下か否かで判断している。
そして、所定の温度条件が成立した場合には(ステップS1でYes)、空調制御装置51は、切替バルブ23及びブロワ75を間欠的に作動させ、暖房待機運転を行う(ステップS2)。その切替間隔や作動時間は、任意に設定できる。例示の制御では、切替バルブ23及びブロワ75の作動状態がAの状態とBの状態と同じ時間で交互に切り替わるようにしている。
それにより、作動液は抑制された状態で流動するため、図14Aのグラフ(c)に示すように、作動液の温度が、本来よりも抑制された状態で上昇する。
一方、所定の温度条件が成立しない場合には、空調制御装置51は、暖房待機運転は行わない(ステップS1でNo)。例えば、環境温度が適温より高く、暖房が要求される可能性が無いような場合が相当する。
空調制御装置51は、暖房要求があるか、エンジン2が充分に暖まって冷却水だけで暖房ができるようになるまで、暖房待機運転を継続する。
そして、エンジン2が充分に暖まる前に、暖房要求があると(ステップS3,図14Aにおいてtdで示す時)、空調制御装置51は、切替バルブ23を熱回収位置に保持し、ブロワ75を連続的に作動させる(ステップS4)。それにより、ヒートパイプサイクル40は、最適な状態で作動し、効率的な熱移動が行われる(暖房正常運転)。
それにより、ヒートパイプサイクル40による熱移動が更に促進され、作動液の温度は、直ちに、作動時本来の最適な温度に移行する。その結果、レスポンスの遅れをほとんど生じることなく、暖房要求に応じて暖房が速やかに行える。
比較のため、図14Bに、暖房待機運転を行わない場合での制御例を示す。暖房要求(図14Bにおいてtdで示す時)があった後に、空調制御装置51は、切替バルブ23を熱回収位置に切り替えてブロワ75を作動させる。従って、作動液の温度は、そのタイミングから徐々に上昇を開始するので、最適な温度に移行するまでに時間を要し、その結果、レスポンスの遅れが生じ、暖房要求に応じて暖房が速やかに行えない(タイムラグがある)。
図14Aに、この暖房待機運転を行わない場合での制御例を破線で示す。暖房待機運転を行うことで、暖房要求後の作動液の温度を短時間で最適な温度に移行できるようになる。
なお、冷却水の温度がある程度高まれば、第1ヒータコア72によっても熱交換が可能になる。その場合、空調制御装置51は、暖房待機運転中に、冷却水バルブ95を開くように制御してもよい。そうすれば、より効果的な暖房が行える。
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
熱移動可変装置は、切替バルブ23に限らない。バイパス通路22と排熱回収通路21とを切り替えることができるものであればよい。
また、実施形態では、暖房待機運転で、切替バルブ23を間欠的に切り替える場合を例示したが、それに限らない。切替バルブ23の開度が制御できる場合には、排気ガスの一部が、排熱回収通路21を流れるように、排気ガスの流量を制御してもよい。要は、作動液が抑制された状態で流動すればよい。
ブロワ75の作動も同様である。暖房待機運転で、ブロワ75を間欠的に作動させる場合を例示したが、それに限らない。ブロワ75の出力が制御できる場合には、空気の流動が弱くなるように、ブロワ75の出力を制御してもよい。要は、キャビン4の内部に空気が抑制された状態で吹き出せばよい。
暖房待機運転は、エンジン2の始動時に限らない。環境温度が低いと、エンジン2が短期間停止しただけでも、作動液や冷却水の温度が大きく低下する場合がある。暖房待機運転は、そのような場合にも行うことができる。
上述したように、冷却水バルブ95は必須でない。冷却水バルブ95が無い場合にも、開示する技術は適用できる。
開示する技術が適用できる車両は、ガソリンエンジン2で駆動するものに限らない。ディーゼルエンジン2を搭載した自動車1、又は、エンジン2とモータとを併用した電気自動車1にも、開示する技術は適用できる。要は、運転時に排気ガスを排出する車両であればよい。
車両の駆動方式は、FFに限らず、FR、RR、MRでもよい。すなわち、エンジン2の配置は、車両の前部に限らない。排気管9には、NOx吸収還元触媒(NSC)、尿素選択還元触媒(SCR)、排気ガスを再循環させる外部EGRなどの排気処理装置が設置されていてもよい。
1 自動車(車両)
2 エンジン(内燃機関)
4 キャビン(車室)
7 空調装置
9 排気管
10 隔壁
11 トンネル部
12 アンダーフットキャタ
20 排熱回収機構
21 排熱回収通路
22 バイパス通路
23 切替バルブ(熱移動可変装置)
25 熱回収部(蒸発器)
32 ガスパイプ
33 枝流路
36 液流出口
38 液流入口
40 ヒートパイプサイクル
41 循環配管
41a 第1配管
41b 第2配管
42 金属管
43 ゴム管
73 第2ヒータコア(凝縮器)

Claims (7)

  1. 車室の暖房が可能な、車両の空調システムであって、
    前記車両の動力を発生させる内燃機関と、
    前記内燃機関で発生する排気ガスを排出する排気管と、
    前記車室の内部に臨むように配置され、当該車室の内部に空気を吹き出す空調装置と、
    前記空調装置に取り付けられた凝縮器、前記排気管に取り付けられた蒸発器、並びにこれら凝縮器及び蒸発器に接続されて作動液を循環させる循環配管を有するヒートパイプサイクルと、
    前記作動液の流動状態を変化させる熱移動可変装置と、
    前記熱移動可変装置を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記内燃機関の作動中に所定の温度条件が成立した場合には、暖房が要求されていない時であっても、前記作動液が抑制された状態で流動するように、前記制御装置が前記熱移動可変装置を制御する、車両の空調システム。
  2. 請求項1に記載の車両の空調システムにおいて、
    前記排気管は、当該排気管が二股に分岐して構成された、バイパス通路と、前記蒸発器が配置された排熱回収通路とを有し、
    前記熱移動可変装置が、前記排熱回収通路を流れる排気ガスの流量を変更することによって、前記作動液の流動状態を変更する、車両の空調システム。
  3. 請求項2に記載の車両の空調システムにおいて、
    前記熱移動可変装置が、排気ガスが流れる経路を、前記バイパス通路及び前記排熱回収通路のいずれか一方に間欠的に切り替えることによって、前記作動液の流動状態を間欠的に変化させる、車両の空調システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の空調システムにおいて、
    前記制御装置が、前記作動液が抑制された状態で流動するように前記熱移動可変装置を制御するのと同時に、前記車室の内部に抑制された状態で空気が吹き出すように、前記空調装置に設けられた送風機を制御する、車両の空調システム。
  5. 請求項4に記載の車両の空調システムにおいて、
    前記車室の内部に抑制された状態で空気が吹き出すように、前記制御装置が、前記送風機を間欠的に作動させる、車両の空調システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の空調システムにおいて、
    前記制御装置が、外気の温度、室内の温度、及び前記内燃機関の冷却水の温度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記所定の温度条件が成立するか否かを判定する、車両の空調システム。
  7. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の空調システムにおいて、
    前記排気管に、三元触媒を含む1つ以上の排気処理装置が配置され、
    前記蒸発器が、最も下流側に位置する前記排気処理装置よりも下流側に配置されている、車両の空調システム。
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