以下、本発明における車両のタイヤ付着物除去装置について詳細に説明する。
図1は本発明に係る上記付着物除去装置1の平面図であり、図2は同上付着物除去装置1のガイドレール28aを取り除いた側面図であり、トレーラー等の車両2の左右の車輪3,3’が通過可能な左車輪用の載置板(左側載置板)4、右車輪用の載置板(右側載置板)4’が左右方向の所定間隔T1の空間S1を以って、車両の進行方向(矢印A方向)に沿って、直線的に配置されている。尚、車両2は矢印A方向から当該装置1に進入するものであり、矢印A方向を向いた場合の左右を「左」、「右」、「前方」、「後方」、進行方向に直交する方向を「横方向」、進行方向に沿う方向を「縦方向」と定義する。
上記載置板4,4’の内、中央の水平な左側の中央水平載置板4aは、上記車両2の進行方向に沿って地面G上に載置された左側の一対の中央水平杆5a,5a’(図3参照)上に固定されており、中央の水平な右側の中央水平載置板4a’は、上記車両2の進行方向に沿って地面G上に載置された右側の一対の中央水平杆5b,5b’(図3参照)上に固定されている。
また、上記左右の中央水平杆5a,5a’及び5b,5b’は各々入口側の左右方向固定杆9、及び出口側の左右方向固定杆10により相互に連結固定されており(図3参照)、上記中央水平杆5a,5b’及び左右方向固定杆9,10により、全体として長方形状の中央水平架台4”が構築されている。そして、上記中央水平架台4”(中央水平杆5a,5a’、5b,5b’、左右方向固定杆9,10)により、上記中央水平載置板4a,4a’は地面GよりT2の高さに水平に設けられている(図2参照)。
上記中央水平載置体4a,4a’の後端部(入口側)と前端部(出口側)には、地面Gから上記各中央水平載置板4a,4a’の後端部(入口側)の上面の高さに連続するように、各々傾斜(上り傾斜)して設けられた左右の傾斜載置板4b,4b’と、同じく地面Gから上記各中央水平載置板4a,4a’の前端部(出口側)の上面の高さに連続するように各々傾斜して(下り傾斜)設けられた左右の傾斜載置部4c,4c’とが設けられている(図1、図2参照)。
上記各載置板4,4’は、各々上記車両2の進行方向(矢印A方向)に沿って平行に設けられた各4本ずつの縦方向杆7と、これら縦方向杆7の上部に直交して溶接固定された複数の短い横方向杆8により格子状に形成されており、上記中央水平載置板4a,4a’の各両サイドの上記縦方向杆7,7と上記横方向杆8の両端部が上記中央水平杆5a,5a’の上面及び上記中央水平杆5b,5b’の上面に溶接固定されている。そして、これらの載置板4,4’の各格子の隙間S2(図1参照)から下方に泥等のタイヤの付着物が落下し得るように構成されている。
また、上記各横方向杆8の上面は、断面が三角形状の左右方向の突条8aが形成されており、進入する車両のタイヤ3がスリップしないように構成されている(図1、図2参照)。
さらに、入口側の上記傾斜載置板4b,4b’の前端部は、左右方向軸11a,11aにより上記中央水平載置板4a,4a’の後端部の上記左右方向固定杆9の軸受部9’に各々軸着されており(図8参照)、各々矢印B方向に回動して折り畳むことができるように構成されている(図2参照、傾斜載置板4b,4b’を折り畳んだ状態を図2に示す)。同様に、上記出口側の上記傾斜載置板4c,4c’の後端部は、左右方向軸12aにより上記中央水平載置板4a,4a’の前端部の上記左右方向固定杆10の軸受部10’に軸着されており(図6参照)、矢印B’方向に回動して折り畳むことができるように構成されている(図2参照)。
上記中央水平載置板4a,4a’において、上記車両2が当該中央水平載置部4a,4a’上に停止したとき(図2参照)、各タイヤ3の位置に対応して前後一対の清掃ローラが設けられている。
ここで、上記車両2は所謂トレーラーであり、前輪のタイヤ3aと駆動輪のタイヤ3bを備えたトレーラヘッド2aと、該トレーラヘッド2aに牽引されタイヤ3c,3dを具備する荷台2bとから構成されるものとする(図2参照)。
そして、上記中央水平載置板4aには、上記前輪のタイヤ3aに対応する位置に、清掃ローラ13、駆動輪のタイヤ3bに対応する位置に清掃ローラ14、上記タイヤ3c,3dに対応する位置に清掃ローラ15,16が各々設けられている。上記各清掃ローラは、左側のタイヤ3に対して前後に一対、右側のタイヤ3について前後に一対、計4本のローラ(例えば、図3の清掃ローラ13a,13a’、13b,13b’)により構成されており、各清掃ローラともに、基本的構成は同じなので、まずは、上記清掃ローラ13から説明する。
尚、実施形態(図2参照)における車両2はタイヤが全部で8輪あるが、通常の車両であればタイヤは少なくとも4輪存在するため、各タイヤに接触する前後一対の少なくとも四組の清掃ローラが必要となる。勿論、清掃ローラの数(組数)、設置位置は、車両のタイヤの数、設置位置に対応して設けられることになる。
また、上記車両2のタイヤについては、位置を特定しない場合は、「3」の符号を使用し、位置を特定する場合は、「3a〜3d」の符号を使用する。また、左側のタイヤを示す場合は「3」,「3a」等のダッシュのない符号を使用し、右側のタイヤを示す場合は「3’」,「3a’」のようにダッシュを付けて説明する。また、清掃ローラについても、全体の位置を示す場合は、「13」,「14」等の符号を用い、個別に指定する場合は、「13a」のようにアルファベット符号を付し、左側の清掃ローラはダッシュなしの符号(例えば「13a」等)、右側の清掃ローラはダッシュを付けて示す(例えば「13a’」等)(図3参照)。
また、上記中央水平載置板4a,4a’において、上記清掃ローラ13,14,15,16が設けられている位置には、上記縦方向杆7と横方向杆8は設けられておらず、上記清掃ローラ13等を設置するための幅(スペースN1〜N4)が形成されており(図1参照)、上記タイヤ3が直接、上記清掃ローラ13等の上に載置されるように構成されている(図2参照)。
上記車両2の前輪の左側のタイヤ3aの位置に対応して、前後に横長円筒状の清掃ローラ13a,13bが上記中央水平杆5a,5a’に各々設けられた軸受18,18(左側)、18’,18’(右側)によって各中心線P1,P2に沿う回転軸を以って回転自在に軸支されている(図3、図6参照)。
また、上記車両2の前輪の右側のタイヤ3a’の位置に対応して、前後に横長円筒状の清掃ローラ13a’,13b’が上記中央水平杆5b,5b’に各々設けられた軸受18,18(左側)、18’,18’(右側)によって同一高さの中心線P1,P2を以って回転自在に軸支されている(図3、図6参照)。尚、この場合上記左側の清掃ローラ13a,13bの大きさ(直径及び長さ)は、右側の清掃ローラ13a’,13b’と同じである。
そして、上記左側の清掃ローラ13aと上記右側の清掃ローラ13a’、上記左側の清掃ローラ13bと右側の清掃ローラ13b’は各々中心線P1,P2の位置に設けられているため、その中心軸261,261’、中心軸262,262’は上記中央水平載置板4a,4a’間(中央水平杆5a’,5b間、上記間隔T1間)の空間S1にて、左寄りのチェーンカップリング33,33により連結されている。さらに、上記中心軸261’,262’には駆動用スプロケット171,172(中心線は各々P1,P2)が縦方向の同一直線L(無端チェン19の方向)上に沿って同一中心高さで固定されている。
同様に、上記車両2の後輪の左側のタイヤ3bの位置に対応して、前後に横長円筒状の清掃ローラ14a,14bが上記中央水平杆5a,5a’に各々設けられた軸受18,18(左側)、18’,18’(右側)によって各中心線P3,P4に沿う回転軸を以って回転自在に軸支されている(図3、図7参照)。
また、上記車両2の後輪の右側のタイヤ3b’の位置に対応して、前後に横長円筒状の清掃ローラ14a’,14b’が上記中央水平杆5b,5b’に各々設けられた軸受18,18(左側)、18’,18’(右側)によって同一高さの中心線P3,P4に沿う中心軸を以って回転自在に軸支されている(図3、図7参照)。尚、この場合上記左側の清掃ローラ14a,14bの大きさ(直径及び長さ)は、右側の清掃ローラ14a’,14b’と同じである。
そして、上記左側の清掃ローラ14aと上記右側の清掃ローラ14a’、上記左側の清掃ローラ14bと右側の清掃ローラ14b’は各々同一共通中心線P3,P4の位置に設けられているため、その中心軸263,263’、中心軸264,264’は上記中央水平載置板4a,4a’間(中央水平杆5a’,5b間、上記間隔T1間)の空間S1にて、左寄りのチェーンカップリング33,33により連結されている。さらに、上記中心軸263’,264’には駆動用スプロケット173,174(中心線は各々P3,P4)が縦方向の同一直線L(無端チェン19の方向)上に沿って同一中心高さで固定されている。
さらに、上記車両2の後輪3cに対応する上記清掃ローラ15の位置において(尚、上記車両2の後輪3dに対応する清掃ローラ16も上記清掃ローラ15と同一構成なので(図3、図8参照)、清掃ローラ16の部材の説明は、上記清掃ローラ15の構成の説明の符号の後に清掃ローラ16の構成部材の符号をカッコ書で示す。
上記車両2の後輪の左側のタイヤ3c(3d)の位置に対応して、前後に横長円筒状の清掃ローラ15a,15b(16a,16b)が上記中央水平杆5a,5a’に各々設けられた軸受18,18(左側)、18’,18’(右側)によって各中心線P5,P6(P7,P8)に沿う中心軸を以って回転自在に軸支されている(図3、図8参照)。
また、上記車両2の後輪の右側のタイヤ3c’(3d’)の位置に対応して、前後に横長円筒状の清掃ローラ15a’,15b’(16a’,16b’)が上記中央水平杆5b,5b’に各々設けられた軸受18,18(左側)、18’,18’(右側)によって同一高さの中心線P5,P6(P7,P8)に沿う中心軸を以って回転自在に軸支されている(図3、図8参照)。尚、この場合上記左側の清掃ローラ15a,15b(16a,16b)の大きさ(直径及び長さ)は、右側の清掃ローラ15a’,15b’(16a’,16b’)と同じである。
そして、上記左側の清掃ローラ15a(16a)と上記右側の清掃ローラ15a’(16a’)、上記左側の清掃ローラ15b(16b)と右側の清掃ローラ15b’(16b’)は各々同一共通中心線P5,P6(P7,P8)の位置に設けられているため、その中心軸265,265’(267,267’)、中心軸266,266’(268,268’)は上記中央水平載置板4a,4a’間(中央水平杆5a’,5b間、上記間隔T1間)の空間S1にて、左寄りのチェーンカップリング33,33により連結されている。さらに、上記中心軸265’,266’(267’、268’)には駆動用スプロケット175,176(中心線は各々P5,P6)(駆動用スプロケット177,178(中心線は各々P7,P8))が縦方向の同一直線L(無端チェン19の方向)上に沿って同一中心高さで固定されている。
このように、各清掃ローラ13,14,15,16を駆動するための駆動用スプロケット171〜178は同一直線L上に沿って同一高さで設けられており(図3参照)、かつ、上記各駆動スプロケット171〜178には、図4に示すように、1本の無端チェン19が上記直線Lに沿って掛け回されている。また、上記各スプロケット171〜178に隣接して、上記1本の無端チェン19に所定のテンションを作用させるべく、テンションスプロケット201〜2010が設けられている。以下、テンションスプロケットについて説明する。
尚、以下に説明するように、上記各駆動用スプロケット171〜178の前側及び/又は後側に上記無端チェン19に噛合するテンションスプロケット201〜2010が設けられている。
上記車両2のタイヤ3aに対応する清掃ローラ13の駆動用スプロケット171,172の間、及び、上記スプロケット172の後方側には、テンションスプロケット201,202が同一高さの中心線Q1,Q2に沿う回転軸上で、かつ上記直線L上に設けられている(図4、図6、図9参照)。上記テンションスプロケット201は、地面G上に上記直線Lに沿って設けられた支持杆21に、4つのボルトMによって固定されたテンションスプロケット支持板221に、上記中心線Q1に沿う回転軸を以って回転自在に軸支され、上記テンションスプロケット202は、同様に、上記支持杆21に4つのボルトMによって固定されたテンションスプロケット支持板222に、上記中心線Q2に沿う回転軸を以って回転自在に支持されている。尚、上記支持杆21は、上記直線Lに沿って地面G上に設けられ、両端部を上記左右方向固定杆9,10に溶接固定された溝型鋼により構成されている(図5参照)。
上記テンションスプロケット201,202の中心線Q1,Q2の高さは、上記駆動用スプロケット171,172の中心線P1,P2の高さよりも若干高い位置に設けられているが、各テンションスプロケット201,202によって、上記駆動用スプロケット171,172に掛け回された無端チェン19に十分な下向き(矢印Cの方向)のテンションを与えることができる位置に設けられている。
即ち、上記テンションスプロケット201,202は、上記駆動用スプロケット171,172間、及び、上記駆動用スプロケット172の後方位置(駆動用スプロケット172の前後位置)において、上記駆動用スプロケット171,172に掛け回された無端チェン19に噛合すると共に、上記無端チェン19に対して下方向き(矢印C方向)のテンションを与えることにより、上記駆動用スプロケット171,172の上半部において、円弧状(例えば駆動用スプロケット172の上半部の略180度の範囲)に上記無端チェン19を噛合させ、これによって上記無端チェン19が確実に上記駆動用スプロケット171,172に噛合(係合)するように構成されている。
上記駆動用スプロケット171は、前端部のスプロケットであるため、上記無端チェン19を下方に誘導する誘導スプロケットでもあるが、上記誘導スプロケットにより下方(下側移行部)に誘導された無端チェン19は、上記テンションスプロケット支持板221の上記中心線Q1と上下方向の同一鉛直線上の下方位置の中心線Q1’に沿う回転軸に回転自在に軸支されたテンションスプロケット201’に噛合され、下側に移行するように構成されている。
また、上記車両2のタイヤ3bに対応する清掃ローラ14を駆動する駆動用スプロケットについて説明するが、上記車両2のタイヤ3cに対応する清掃ローラ15を駆動するスプロケットと基本的に構成は同一なので、清掃ローラ15の駆動用スプロケットに関連する構成については、清掃ローラ14の説明において、対応する部材をかっこ書で記載することにより行う。
上記車両2のタイヤ3b(3c)に対応する清掃ローラ14(15)の駆動用スプロケット173,174(175,176)間、及び、上記駆動用スプロケット173(175)の前方側、上記駆動用スプロケット174(176)の後方側には、各々テンションスプロケット204(207)及びテンションスプロケット203,205(206,208)が、上記中心線Q1と同一高さの中心線Q4,Q3,Q5(Q7,Q6,Q8)を中心軸として上記直線L上に設けられている(図4、図7、図10参照)(図4、図8、図11参照)。上記テンションローラ203(206)は、上記直線Lに沿った上記支持杆21に、4つのボルトMによって固定されたテンションスプロケット支持板223(226)に、上記中心線Q3(Q6)に沿う回転軸を以って回転自在に軸支され、上記テンションローラ204(207)は、上記支持杆21に4つのボルトMによって固定されたテンションスプロケット支持板224(227)に、上記中心線Q4(Q7)に沿う回転軸を以って回転自在に支持され、上記テンションローラ205(208)は、上記支持杆21に4つのボルトMによって固定されたテンションスプロケット支持板225(228)に、上記中心線Q5(Q8)に沿う回転軸を以って回転自在に支持されている。
上記テンションスプロケット203,204,205(206,207,208)の中心線Q3,Q4,Q5(Q6,Q7,Q8)の高さは、上記駆動用スプロケット173,174(175,176)の中心線P3,P4(P5,P6)の高さよりも若干高い位置に設けられているが、各テンションスプロケット203,204,205(206,207,208)よって、上記駆動用スプロケット173,174(175,176)に掛け回された無端チェン19に十分な下向き(矢印Cの方向)のテンションを掛けることができる位置に設けられている。
即ち、上記テンションスプロケット203,204,205(206,207,208)は、上記駆動用スプロケット173(175)の前後、及び174(176)の前後において、上記駆動用スプロケット173,174(175,176)に掛け回された無端チェン19に噛合すると共に、上記無端チェン19に対して下方向き(矢印C方向)のテンションを与えることにより、上記駆動用スプロケット173,174(175,176)の上半部において、円弧状(例えば上記駆動用スプロケット173,174(175,176)の上半部の略180度の範囲)に上記無端チェン19を噛合(係合)させ、これによって上記無端チェン19が確実に上記駆動用スプロケット173,174(175,176)に係合するように構成されている(図10、図11参照)。
上記車両2のタイヤ3dに対応する清掃ローラ16の駆動用スプロケット177,178の間、及び、上記駆動用スプロケット177の前方側には、テンションスプロケット209,2010が同一高さの中心線Q9,Q10に沿う回転軸上で、かつ上記直線L上に設けられている(図4、図8、図11参照)。上記テンションスプロケット209は、上記直線L上において、上記直線Lに沿う上記支持杆21に、4つのボルトMによって固定されたテンションスプロケット支持板229に上記中心線Q9に沿う回転軸に回転自在に軸支され、上記テンションローラ2010は、同様に、上記支持杆21に4つのボルトMによって固定されたテンションスプロケット支持板2210に上記中心線Q10に沿う回転軸に回転自在に支持されている。
上記テンションスプロケット209,2010の中心線Q9,Q10の高さは、上記駆動用スプロケット177,178の中心線P7,P8の高さよりも若干高い位置に設けられているが、各テンションスプロケット209,2010によって、上記駆動用スプロケット177,178に掛け回された無端チェン19に十分な下向き(矢印Cの方向)のテンションを与えることができる位置に設けられている(図11参照)。
即ち、上記テンションスプロケット209,2010は、上記駆動用スプロケット177、178間、及び、上記駆動用スプロケット177の前方位置(駆動用スプロケット177の前後位置)において、上記駆動用スプロケット177,178に掛け回された無端チェン19に噛合すると共に、上記無端チェン19に対して下方向き(矢印C方向)のテンションを与えることにより、上記駆動用スプロケット177,178の上半部において、円弧状(例えば駆動用スプロケット177の上半部の略180度の範囲)に上記無端チェン19を係合させ、これによって上記無端チェン19が確実に上記駆動用スプロケット177,178に係合するように構成されている。
上記駆動用スプロケット178は、後端部のスプロケットであるため、上記無端チェン19を下方に誘導する誘導スプロケットでもあるが、上記誘導スプロケットにより下方に誘導された無端チェン19は、上記テンションスプロケット支持板2210の上記中心線Q10と上下方向の同一鉛直線上の下方位置の中心線Q10’に沿う回転軸に回転自在に軸支されたテンションスプロケット2010’に係合され、下側に移行するように構成されている(図11参照)。
下側に移行した無端チェン19は、上記直線Lに沿って直線的に配置され、前端部の上記テンションローラ201’、駆動用スプロケット171により上側に移行する。
図9、図10、図11において、下側移行部の無端チェン19の下方の複数個所に設けられている横杆34は、上記下側移行部の無端チェン19の支持杆であり、各上面が下側移行部の上記無端チェン19に接する高さに設けられている。
図4において、23aは上記清掃ローラ13(駆動用スプロケット172)と上記清掃ローラ14(駆動用スプロケット173)の間の上記無端チェン19に上向きのテンション(テンションローラ201〜2010とは逆方向のテンション)を与えるためのテンション付与板、23bは上記清掃ローラ14(駆動用スプロケット174)と上記清掃ローラ15(駆動用スプロケット175)の間の上記無端チェン19に上向きのテンション(テンションローラ201〜2010とは逆方向のテンション)を与えるためのテンション付与板である。これらのテンション付与板は同一構成なので、上記テンション付与板23aについて説明する。
上記テンション付与板23aは、例えば上側に上記直線Lに沿う円弧状の突部24を有し、その一定横幅の上記突部(例えば樹脂製)24を上記上側の無端チェン19の下側に接触させ、上方に持ち上げることにより、上記無端チェン19にテンションを作用させるものである(図4参照)。これらのテンション付与板23a,23bは、各々上記突部24の下側にテンション付与板支持部25が設けられており、上記テンション付与板支持部25の下端が、上記支持杆21に溶接固定されている。
従って、上記清掃ローラ13,14の間、及び、上記清掃ローラ14,15間において、上記無端チェン19は、上記各テンション付与板23a,23bによって、上方に持ち上げられ、上記テンション付与板23a,23bの各突部24,24の上面に摺接しながら走行する。このように上記清掃ローラ13,14間、上記清掃ローラ14,15間において、逆方向の上向きのテンションが作用するため、上記無端チェン19は、十分なテンションを以って上記各駆動用スプロケット171〜178に係合することができる。
図3、図6において、27は上記清掃ローラ13a’の中心軸261’に設けられたカムクラッチであり、上記中心軸261’が駆動方向(矢印E方向、図9参照)に回転する場合はフリーであり、逆方向には回転しないようにロックするものである。通常は上記車両2の駆動輪(タイヤ3b)の駆動(図2、矢印F方向)により、上記中心軸261’は矢印E方向に回転するが、車両2の脱出時等において車両2のバックギアにより逆方向への回転力が作用したときは、上記カムクラッチ27の作用により、上記中心軸261’を回転させないように構成されている。
図5において、28a,28bは上記中央水平杆5a,5a’上に固定され、上記車両2のタイヤ3の脱輪を防止するためのガイドレール、29a,29bは上記中央水平杆5b,5b’上に固定され、上記車両2のタイヤ3の脱輪を防止するためのガイドレールであり、各々上記軸受18,18’を被覆するものである。また、30は上記載置板4において、上記ガイドレール28bと29a間を閉鎖する閉鎖板であり、上記駆動用スプロケット171〜178、テンションスプロケット201〜2010、無端チェン19等の駆動系を覆い、無端チェン19等に泥等の汚れが付着しないようにするためのものである。
上記清掃ローラ13〜16は、鉄製であり、上述のようにそれらの左右方向長さ、径は同一であるが、各外周面に汚れ落し用の複数の鉄筋31,32が溶接固定されている。前輪(タイヤ3a)用の清掃ローラ13はその外周面に複数螺旋状の鉄筋31が溶接固定されており、左右の各清掃ローラ13a,13a’の螺旋の向きは、互いに反対方向となるように構成されている(図6参照)(清掃ローラ13b,13b’も同じ)。
また、上記清掃ローラ14,15,16は、前方側の清掃ローラ14a,14a’は上記清掃ローラ13a,13a’と同様に、互いに逆向きの螺旋状の鉄筋31が溶接固定されているが(図7、図8参照)、後方側の清掃ローラ14b,14b’、15b,15b’、16b,16b’は、各清掃ローラの中心線P4,P6,P8に平行となるように複数の鉄筋32が横方向に平行(中心軸に平行)に溶接固定されている。このような構成は、タイヤ3cに対応する上記清掃ローラ15、上記タイヤ3dに対応する清掃ローラ16においても同様である。これは、上記タイヤ3b,3c,3dは一般にダブルタイヤであることが多いので、前方側の清掃ローラ13a等と後方側の清掃ローラ13b等とで、鉄筋の構成を変えることにより、より汚れを落ちやすくしたものである。
上述のように、上記駆動用スプロケット171〜178の中心軸(中心線P1〜P8)は前後方向の直線Lに沿う同一高さに設けられており、同様に、テンションスプロケット201〜2010の中心軸(中心線Q1〜Q10)は、上記中心線P1〜P8よりも若干高い位置において、前後方向の直線Lに沿う同一高さに設けられており、上記駆動用スプロケット171〜178の前側及び/又は後側において、上記無端チェン19にテンションを作用させることにより、上記スプロケット171〜178と1本の無端チェン19との噛合(係合)を確実なものとしている(図4参照)。
本発明は上述のように構成されるので、以下、本発明の作用について説明する。
作業等によりタイヤに泥等が付着した車両2は、車両の付着物除去装置1の入口側から左右のタイヤ3,3’を左右の載置板4,4’に合わせて、傾斜載置板4b,4b’側から進入し、傾斜載置板4b,4b’を超えて、中央水平載置板4a,4a’に至り、その前輪3a,3a’が清掃ローラ13上に位置するまで進行して当該位置に一旦停止する。
従って、このとき、車両2の前輪のタイヤ3a,3a’が各々、清掃ローラ13a,13b(左側)、清掃ローラ13a’,13b’(右側)上に載置され、上記車両2の駆動輪のタイヤ3b,3b’が各々、清掃ローラ14a,14b(左側)、清掃ローラ14a’,14b’(右側)に載置され、上記車両2のタイヤ3c,3c’が各々、清掃ローラ15a,15b(左側)、清掃ローラ15a’,15b’(右側)上に載置され、上記車両2のタイヤ3d,3d’が各々、清掃ローラ16a,16b(左側)、清掃ローラ16a’,16b’(右側)上に載置されている。
次に、運転者は、ギアを2速等に入れてアクセルを踏み込み、時速20km〜30kmで維持する。すると、駆動輪であるタイヤ3bが前進方向(図2、矢印F方向)に回転するので、その回転により、清掃ローラ14a,14a’,14b,14b’が矢印E方向(図10参照)に回転し、よって、上記駆動用スプロケット173,174が矢印E方向に回転し、これにより無端チェン19は矢印H方向(上側移行部)に走行する。
すると、上記無端チェン19の走行に従って、上記駆動用スプロケット171,172が矢印E方向に回転し(図9参照)、その結果、清掃ローラ13a,13a’,13b,13b’が矢印E方向に回転し、従って、上記前輪のタイヤ3a,3a’が矢印F方向に回転駆動される。
同時に、上記無端チェン19の矢印H方向の走行に従って、上記スプロケット175,176(177,178)が矢印E方向に回転し(図11参照)、その結果、清掃ローラ15a,15b,15a’,15b’(16a,16b,16a’,16b’)が矢印E方向に回転し、従って、上記車両のタイヤ3c(3d)が矢印F方向に回転駆動される。即ち、全ての清掃ローラ13〜16が1本の無端チェン19により同時に駆動される。
従って、タイヤ3a,3a’は、清掃ローラ13a,13b上、13a’,13b’上、上記タイヤ3b,3b’は清掃ローラ14a,14b上、14a’,14b’上、上記タイヤ3c,3c’は清掃ローラ15a,15b上、15a’,15b’上、上記タイヤ3d,3d’は清掃ローラ16a,16b上、16a’,16b’上において清掃ローラと接触した状態で回転駆動され、全ての清掃ローラ13〜16との接触状態での回転により、各タイヤ3a〜3dに付着した泥等が除去される。
このとき、上記駆動輪であるタイヤ3b,3b’の回転に基づく上記駆動用スプロケット173,174の回転駆動により1本の無端チェン19を走行させることになるが、各駆動用スプロケット173,174には、テンションスプロケット203,204,205の作用により無端チェン19が確実に噛合しており、その他の駆動用スプロケット171,172には、テンションスプロケット201,202の作用により無端チェン19が確実に噛合しており、上記駆動用スプロケット175,176(177,178)には、テンションスプロケット206,207,208(209,2010)の作用により無端チェン19が確実に噛合しているので、1本の無端チェン19であっても、各駆動用スプロケット171〜178を確実に駆動して、全ての清掃ローラ13〜16を確実に駆動することができる。
また、無端チェン19には、テンション付与板23a,23bにより、上記テンションスプロケット201〜2010とは逆方向にテンションを作用させているので、駆動用のスプロケット17と無端チェン19との噛合(係合)をより確実に行うことができる。
上記車両2のタイヤ3の清掃が終了した後は、一旦駆動輪を停止した後、ギアをバックに入れ、車両2を若干後退させる。このとき、カムクラッチ27の作用により、上記駆動用スプロケット171は逆方向には回転しないので、無端チェン19も逆方向には走行しない。よって、バック時は、各清掃ローラ13〜16は回転しないので、車両2は上記清掃ローラから容易に脱出することができる。その後は、車両2のギアを1速に入れて、ゆっくりと前進することで、出口側の傾斜載置板4c,4c’を通って、当該車両付着物除去装置1から出ることができる。
以上のように本発明によると、1本の無端チェン19を介して全ての清掃ローラ13〜16を駆動し得て、全てのタイヤ3に付着する泥等の付着物を除去することができるので、1本の無端チェン19であっても、タイヤ3の付着物を確実に除去でき、メンテナンス性を高め、装置構成を簡略化することができる。
また、清掃ローラ13〜16を駆動する駆動用スプロケット171〜178、テンションスプロケット201〜2010及び無端チェン19を左右の載置板4a,4a’の間の空間S1に設けることができ、清掃ローラの駆動系等を含む装置構成を簡略化することができる。
また、閉鎖板30により、泥等が清掃ローラの駆動系に付着することを防止することができる。
また、1本の無端チェン19にテンションを作用させることにより、上記各駆動用スプロケット171〜178と上記無端チェン19との噛合を確実なものとし得て、1本の無端チェン19であっても全ての清掃ローラ13〜16を確実に駆動することができる。
また、無端チェン19の上側移行部と下側移行部との間に十分なスペースを設けることができ、上記テンションスプロケット201〜2010及び上記テンション付与部材23a,23bにより、1本の無端チェン19に十分なテンションを作用させることができる。
また、車両3は傾斜載置板4b,4b’,4c,4c’により、載置板の中央に円滑に移行し、中央の載置板から円滑に降りることができる。
尚、上記実施形態では、車両2は四輪のタイヤを有するトレーラヘッド2aとこれに牽引される四輪のタイヤを有する荷台2bであり、この車両2のタイヤ3に対応する位置に清掃ローラを設けたものであるが、車両の種類及びタイヤの数はこれに限定されない。従って、例えば車両が前二輪、後二輪(四輪)のトラックであれば、各タイヤに対応する位置に少なくとも四組の清掃ローラを設ける構成とすれば良い。また、後二輪というときは図5のようなダブルタイヤもダブルタイヤを一輪とみなして後二輪という。