JP2019187317A - 細胞培養基材の細胞付着強度の制御方法、細胞培養基材の製造方法及び細胞培養基材 - Google Patents

細胞培養基材の細胞付着強度の制御方法、細胞培養基材の製造方法及び細胞培養基材 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な種類の培養細胞から効率的にスフェロイドを取得することが可能となる方法、このような方法を採用する細胞培養基材の製造方法及びこのような方法を採用することにより得られる細胞培養基材を提供すること。【解決手段】本発明によれば、細胞を付着させて培養させる細胞培養基材の細胞付着強度の制御方法であって、細胞培養基材をカルボキシル化セルロース繊維で構成し、該繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を変化させることにより、細胞付着強度を変化させる、制御方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞培養基材の細胞付着強度の制御方法、細胞培養基材の製造方法及び細胞培養基材に関する。
再生医療等の研究においては、in vivoでの薬物の有効性や毒性の予測等をより確実に行うため、in vitroでの様々なアッセイにおいて、生体内での環境を可能な限り再現することが望ましい。例えば、肝臓、膵臓、皮膚、血管等の各器官を形成する細胞は、生体内において、細胞同士が三次元的にネットワークを形成することで機能を発現している。したがって、in vitroの細胞培養においても、細胞同士が三次元的にネットワークを形成できるような培養(三次元培養)が求められる。
三次元培養を行うための手法としては、例えば、ヒドロゲル又は膜の形態の植物由来の機械的に崩壊させたセルロースナノファイバー等を含む細胞培養マトリックスを用いた培養が知られている(下記特許文献1参照)。
特表2013−541956号公報
細胞同士が三次元的に集合した細胞集合体の中でも、「スフェロイド」は、細胞同士の相互作用及び細胞外マトリックスが発達しており、より生体内の組織に近いものである。スフェロイドを形成する細胞は、例えば従来の二次元培養細胞と比較して、生体内において発現している機能をより忠実に維持できることから、生体に近いアッセイが期待できる。しかし、培養細胞の種類によってはスフェロイドを形成しやすい細胞とスフェロイドを形成しにくい細胞とが存在するため、スフェロイドを形成させる細胞毎に、異なる材料組成を有する培養基材を用いてスフェロイド形成に最適な培養条件等を検討しなくてはならず、様々な種類の培養細胞から効率的にスフェロイドを取得することは困難である。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、様々な種類の培養細胞から効率的にスフェロイドを取得することが可能となる方法、このような方法を採用する細胞培養基材の製造方法及び細胞培養基材を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、まず、セルロース繊維を含む細胞培養基材において、細胞が当該基材上でスフェロイドを形成するためには、細胞培養基材と細胞との付着強度が関係していることを見出した。なお、本明細書において「スフェロイド」とは、細胞が球状、塊状等に三次元的に集合した細胞集合体をいう。すなわち、細胞培養基材と細胞との付着強度が大きすぎると、細胞が平面的に広がって増殖しやすくなるか、又は播種した細胞が遊走できず、スフェロイドを形成することが困難となる。一方、細胞培養基材と細胞との付着強度が小さすぎると、細胞が集合体を形成する際に、細胞が細胞培養基材から剥離してしまい、効率的な細胞培養が困難となる。
また、本発明者等は、セルロース繊維を含む細胞培養基材において、セルロース繊維をカルボキシル化したカルボキシル化セルロース繊維を用いることで、細胞培養基材と細胞との付着強度が向上すること、さらに、当該付着強度は、カルボキシル化セルロース繊維で構成された細胞培養基材におけるカルボキシル基の存在量と関連性があることを見出した。すなわち、カルボキシル化セルロース繊維から構成される細胞培養基材において、カルボキシル基が過度に存在すると、細胞が当該基材の培養面に対して過度に付着してしまい、結果としてスフェロイドの形成が阻害されてしまう。一方、カルボキシル基の存在量が小さすぎると、細胞が当該基材の培養面に付着できなくなり、効率的なスフェロイドの形成が困難となる。これに対し、カルボキシル化セルロース繊維から構成される細胞培養基材において、カルボキシル基が適度に存在する場合、培養される細胞が適度な付着力で基材の培養面に浮遊することなく付着するため、細胞の遊走を阻害することなく効率的にスフェロイドが形成される。
本発明は、上述したような知見に基づきなされたものであり、細胞を付着させて培養させる細胞培養基材の細胞付着強度の制御方法であって、細胞培養基材をカルボキシル化セルロース繊維で構成し、該繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を変化させることにより、細胞付着強度を変化させる、制御方法を提供する。このような本発明に係る制御方法を適用することで、様々な種類の培養細胞から効率的にスフェロイドを取得することが可能となる。ここで、細胞培養基材におけるカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を変化させることとは、細胞培養基材におけるカルボキシル化セルロース繊維の含有量を一定に維持しつつ、細胞培養基材におけるカルボキシル基の存在量を調節することをいう。また、細胞付着強度は、細胞培養基材上で細胞を培養した場合、スフェロイドの形成度合いを観察することで評価できる。
カルボキシル基存在量の変化は、単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が異なる、カルボキシル化セルロース繊維を複数組み合わせることで生じさせることができる。このような方法によれば、より簡便にカルボキシル化セルロース繊維から構成される細胞培養基材におけるカルボキシル基の存在量を調節することができ、スフェロイドの生産効率が向上する。
カルボキシル基存在量の変化は、セルロース繊維のカルボキシル化のための酸化の度合いを変化させることで生じさせることもできる。このような方法によれば、より広範囲にわたりカルボキシル基の存在量を調節することができ、様々な種類の細胞についてスフェロイドを効率的に生産することが可能となる。
また、上記本発明に係る制御方法は、細胞付着強度を、細胞がスフェロイドを形成する強度に設定することが好ましい。これにより、様々な種類の細胞についてスフェロイドをより効率的に生産することが可能となる。
上述した制御方法を実施することにより、細胞付着強度が最適化された細胞培養基材を得ることができる。すなわち、本発明は、細胞培養基材の製造方法の一態様として、上述した本発明に係る制御方法を実施して、細胞に対応した最適な細胞付着強度を求め、該細胞付着強度になるように、細胞培養基材を構成するカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を決定する、細胞培養基材の製造方法を提供する。
また、本発明は、細胞培養基材の製造方法の他の一態様として、上述した制御方法を実施して、設定された細胞付着強度になるように、細胞培養基材を構成するカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を決定する、細胞培養基材の製造方法を提供する。
上述した方法を採用することにより、所望のカルボキシル基の存在量を有する細胞培養基材を得ることができる。すなわち、本発明はまた、カルボキシル化セルロース繊維を含んでおり、該繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が0.01〜2.0mmol/gである、細胞培養基材を提供する。
本発明によれば、様々な種類の培養細胞から効率的にスフェロイドを取得することが可能となる方法、このような方法を採用する細胞培養基材の製造方法及びこのような方法を採用することにより得られる細胞培養基材が提供される。
一実施形態に係る細胞培養容器を示す模式断面図である。 培養4日目の各細胞培養基材A〜LでのHepG2の生育状態を示す顕微鏡写真である。 培養4日目の各細胞培養基材A〜LでのMCF−7の生育状態を示す顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本実施形態において、細胞を付着させて培養させる細胞培養基材の細胞付着強度の制御方法は、細胞培養基材をカルボキシル化セルロース繊維で構成し、該繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を変化させることにより、細胞付着強度を変化させる。このような制御方法を採用することで、様々な種類の培養細胞から効率的にスフェロイドを取得することが可能となる。すなわち、本実施形態に係る細胞培養基材は、スフェロイド形成用細胞培養基材ということもできる。
カルボキシル化セルロース繊維で構成される細胞培養基材は、カルボキシル基を有するセルロース繊維を含む細胞培養基材であってよい。セルロース繊維は、セルロース原料を解繊して、セルロース原料を微細化させることで得ることができる。
セルロース原料は、セルロースが含まれている材料であればよく、植物由来又は細菌由来のセルロースであってもよいが、入手容易性、コスト等の観点から、植物由来のセルロースをセルロース原料として使用することが好ましい。例えば、カラマツ、スギ、アブラヤシ、ヒノキ等から得られる各種木材;パルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙等の紙類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類をセルロース原料として使用してもよい。ここで、パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
木材パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹未漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹未漂白クラフトパルプ、亜硫酸木材パルプ、ソーダパルプ、未晒しクラフトパルプ、酸素漂白クラフトパルプ、加水分解クラフトパルプ等の化学修飾パルプ;セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ;砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプなどが挙げられる。
非木材パルプとしては、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ(綿セルロース)、麻(麻セルロース)、麦わら(麦わらセルロース)、バガス(サトウキビの搾りかす)、空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎、ホヤや海草等から単離されるセルロースなどが挙げられる。
脱墨パルプとしては、古紙を原料とする脱墨パルプ等が挙げられる。
上記セルロース原料は、1種を単独で使用しても、2種以上の混合物の形態で使用してもよい。これらのうち、入手容易性、繊維径の制御のしやすさ、繊維微細化(解繊)等の観点から、セルロースを含む木材パルプ及び化学修飾パルプからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。なお、セルロース原料は市販品を使用してもよい。
セルロース原料の解繊方法としては、機械解繊等を採用することができる。具体的には、セルロース原料を含む水性分散液を、解繊処理装置を用いて微細化(解繊)処理する方法が挙げられる。水性分散液を得るために使用される水性媒体としては、水、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)などが挙げられる。上記水性媒体は、1種を単独で使用しても、2種以上の混合液の形態で使用してもよい。これらのうち、水が好ましい。水性分散液におけるセルロース原料の濃度は、機械解繊(微細化)効率の観点から、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜10質量%である。必要に応じて、セルロースの分散性向上の観点から、水性分散液のpHを調整してもよい。
機械解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザ―、水中対向衝突、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー等の機械的処理などが挙げられる。また、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーター等、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができる。このような機械解繊処理を行うことにより、分散液中のセルロースが微細化され、セルロース繊維を含む分散液(セルロース繊維分散液)を得ることができる。
セルロース繊維は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲において、上述した解繊処理の前に、予め脱脂処理、アルカリ処理等の物理的又は化学的処理を施してもよい。上記の処理は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脱脂処理は、例えば、セルロース原料を脱脂用溶液中に浸漬することによって行われる。脱脂用溶液の調製に用いられる溶媒は、使用するセルロース原料の種類等によって敵選択すればよく、例えば、水、アセトン、アルコール等が挙げられる。また、脱脂条件は、使用するセルロース原料の種類等によって適宜選択すればよく、例えば、脱脂処理温度は通常、10〜100℃、好ましくは15〜50℃である。脱脂処理時間は通常、1〜30時間、好ましくは15〜20時間である。また上記脱脂処理は、撹拌下で行われてもよい。
アルカリ処理は、例えば、セルロース原料をアルカリ溶液中に浸漬することによって行われる。アルカリ溶液の調製に用いられるアルカリは、無機物でも有機物でもよい。無機物(無機アルカリ)としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩などが挙げられる。有機物(有機アルカリ)としては、例えば、アンモニア;ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等の、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物、並びにこれらの水酸化物、炭酸塩及びリン酸塩などが挙げられる。また、アルカリ溶液の調製に使用される溶媒は、アルカリを溶解できるものであればよく、水やメタノール、エタノール等の低級アルコールなどを用いることができるが、水を含むことが好ましい。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液をアルカリ溶液として好ましく使用できる。アルカリ溶液におけるアルカリ濃度は、例えば、1〜15質量%、好ましくは3〜7質量%である。また、アルカリ処理条件は、使用するセルロース原料やアルカリの種類等によって適宜選択すればよい。例えば、アルカリ処理温度は通常、10〜50℃、好ましくは15〜40℃である。アルカリ処理時間は通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。また、上記アルカリ処理は、撹拌下で行われてもよい。なお、アルカリ処理を行う場合には、アルカリ処理後のセルロースを洗浄して余分なアルカリを除去してもよい。洗浄に使用できる洗浄液としては、例えば、上記アルカリ溶液に使用したものと同様の溶媒を使用することができる。
カルボキシル化セルロース繊維は、上述した解繊処理の前又は後に、脱リグニン処理、酸化処理等を行うことで得ることができ、例えば、カルボキシル化セルロース繊維を含む分散液(カルボキシル化セルロース繊維分散液)として得ることができる。
脱リグニン処理は、例えば、セルロース原料を酸(例えば、硫酸、塩酸、酢酸、無水酢酸)及び酸化剤(漂白剤)(例えば、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素)を含む脱リグニン用溶液に添加し、これを加熱処理する方法が好ましく使用できる。ここで、加熱条件は、使用するセルロース原料の種類及び酸又は酸化剤の種類によって適宜選択すればよい。例えば、加熱温度は通常、50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。加熱時間は通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
酸化処理は、セルロース分子の有するアルコール性1級炭素をカルボキシル基に変換するための方法であり、具体的には、N−オキシル化合物を酸化触媒として酸化反応に用いる方法等が挙げられる。これにより、セルロース表面を選択的に酸化でき、また、セルロースを容易に微細化することができる。また、上記酸化触媒は、水系で比較的穏やかな条件(室温付近で常圧で)で用いることが可能である。また、木材中のセルロースに対しても、酸化反応は、結晶内部より結晶表面で選択的に進行し、セルロース分子鎖が持つアルコール性1級炭素を選択的にカルボキシル基に変換できる。したがって、次工程の解繊処理によって、セルロース繊維を水系溶媒中で一本ずつ分散させることができることから、得られる分散液に高い透明性を付与させることができ、細胞培養基材の透明性を向上させることができる。
N−オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ホスホノオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が挙げられる。これらのうち、セルロースの酸化効率の観点から、TEMPO、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルが好ましく、TEMPOがより好ましい。また、酸化触媒の使用量は、セルロースの酸化反応を進行でき、所望のカルボキシル基の存在量を所望量に調整できる量であればよく、例えば、セルロース原料に対して、0.1〜5質量%又は0.5〜3質量%であってよい。
酸化処理は、酸化剤の共存下で行ってもよい。酸化剤を併用することによって、カルボキシ基の導入効率を更に向上できる。また、温和な条件で酸化反応が可能となるため、セルロースの結晶構造を維持しやすい。ここで、酸化剤としては、特に制限されないが、例えば、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素等)、次亜ハロゲン酸又はそれらの塩(次亜塩素酸又はその塩、次亜臭素酸又はその塩、次亜ヨウ素酸又はその塩等)、亜ハロゲン酸又はそれらの塩(亜塩素酸又はその塩、亜臭素酸又はその塩等)、過ハロゲン酸又はそれらの塩(過塩素酸又はその塩、過ヨウ素酸又はその塩等)、ハロゲン酸化物(ClO、ClO、Cl、BrO、Br等)、窒素酸化物(NO、NO、N等)、過酸化物(過酸化水素、過酢酸、過硫酸、過安息香酸等)などが挙げられる。セルロースの酸化効率等の観点から、次亜ハロゲン酸及び次亜ハロゲン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)がより好ましい。上記酸化剤は、単独で使用されても又は2種以上を併用してもよい。また、酸化剤は、そのままの形態で添加されても、又は適当な溶媒(例えば、水)に溶解した溶液形態で添加されてもよい。酸化剤の使用量は、酸化反応を促進できる量であればよく、例えば、セルロース原料の単位質量当たり、1〜30ミリモル、又は5〜20ミリモルであってよい。
また、酸化処理を上記酸化剤の存在下で行う場合には、酸化処理を更に臭化物及び/又はヨウ化物の存在下で行ってもよい。これにより、酸化反応を更に円滑に進行させることができる。ここで、臭化物としては、例えば、臭化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム等が挙げられる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。これらのうち、コストや安定性の観点から、臭化ナトリウム(NaBr)を用いることが好ましい。上記臭化物及びヨウ化物は、それぞれ、単独で使用しても2種以上を併用してもよく、臭化物及びヨウ化物を併用してもよい。臭化物及び/又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる量であればよく、例えば、セルロース原料の単位質量当たり、0.5〜30質量%、又は1〜10質量%であってよい。
酸化処理の条件は、使用するセルロース原料並びに酸化触媒及び使用する場合には酸化剤は臭化物/ヨウ化物の種類によって、所望のカルボキシル基の存在量となるように適宜選択すればよい。例えば、酸化処理の温度条件としては、通常、10〜50℃、好ましくは15〜40℃である。また、酸化処理の時間条件としては、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。また、上記酸化処理は、撹拌下で行われてもよい。
なお、酸化処理においては、上記酸化反応を行った後、還元反応を行ってもよい。ここで、還元反応に用いられる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)等が挙げられる。還元剤の使用量は、所望の程度に還元反応を進行できる量であればよく、例えば、セルロース原料の仕込み量に対して、1〜30質量%、又は5〜20質量%であってよい。還元反応の条件は、使用するセルロース原料並びに還元剤の種類によって適宜選択すればよく、例えば、還元反応の温度条件は、通常、10〜50℃、好ましくは15〜40℃である。また、還元反応の時間条件は、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。また、上記還元処理は、撹拌下で行われてもよい。
上記で得られたカルボキシル化セルロース繊維分散液は、そのままカルボキシル化セルロース繊維を含む塗布液(以下、単に「塗布液」ということもある)として使用してもよい。または、カルボキシル化セルロース繊維分散液からカルボキシル化セルロース繊維を分離した後、適当な溶媒に分散させて、塗布液としてもよい。後者の場合に使用できる溶媒は、細胞培養に悪影響を及ぼさないものであることが好ましく、例えば、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)などが挙げられる。上記溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いてもよい。これらのうち、水が好ましい。塗布液におけるカルボキシル化セルロース繊維の濃度は、スフェロイドをより効率的に形成させるとともに、塗布のしやすさ、目視容易性等の観点から、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。当該濃度範囲となるように、上記で得られたカルボキシル化セルロース繊維分散液を濃縮してもよい。また、必要に応じて、セルロース繊維の分散性向上のために、分散液のpHを調整してもよい。
塗布液は、カルボキシル化セルロース繊維のみを含んでいても(すなわち、基材がカルボキシル化セルロース繊維のみから構成されていても)、他の成分を含んでいても(すなわち、基材がカルボキシル化セルロース繊維に加えて他の成分を含んでいても)よい。後者の場合の他の成分としては、細胞培養に用いられる成分(例えば、血清、各種成長因子、分化誘導因子、抗生物質、ホルモン、アミノ酸、糖、塩類等)などが挙げられる。また、塗布液が他の成分を含む場合の、他の成分の添加量は、培養細胞に悪影響を与えない量であればよく、例えば、カルボキシル化セルロース繊維の添加量100質量部に対して、0.01〜100質量部である。
続いて、上記で得られたカルボキシル化セルロース繊維を含む塗布液を、支持体の培養面又は塗布面に塗布する。支持体の材質としては、例えば、無機ガラス;カーボン;シリコン等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;エポキシ樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルエーテル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリールエーテル、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン、フェノール樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂(含フッ素ポリイミド樹脂)、フッ素樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。支持体の厚みは特に制限されないが、通常、1〜10mm、好ましくは1.5mm以上5mm未満である。
カルボキシル化セルロース繊維を含む塗布液を支持体の培養面又は塗布面に塗布する塗布方法としては、例えば、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ロールコート、エアーナイフコート、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、スピンコーター、アプリケーター、ベーカーアプリケーター、グラビアコーター、スクリーン印刷機等の装置を用いる種々の塗布方法が挙げられる。塗布は、数回から十数回繰り返し行ってもよい。また、塗布液の支持体への塗布量は、目的とする細胞培養基材の厚みに応じて適宜調整し得る。
塗布後の乾燥条件は、主に溶媒の沸点等を考慮して適宜選択することができる。例えば、乾燥温度は、好ましくは20〜100℃、より好ましくは40〜70℃である。乾燥時間は、好ましくは10〜30時間、より好ましくは15〜20時間である。
上記方法により形成された塗膜を支持体から剥離することによって、本実施形態に係る細胞培養基材を得ることができる。当該細胞培養基材は、好ましくは培養に使用する前に滅菌処理を行ってから培養に使用する。細胞培養用器具類の滅菌処理としては、オートクレーブ滅菌、乾熱滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、ガンマ線滅菌、電子線滅菌等の滅菌方法が利用可能である。これらのうち、耐熱耐圧性の低い器具類の滅菌にも適用でき、且つエチレンオキサイドガスのような残留ガスの問題もない点で、ガンマ線滅菌が好ましい。
上述したような方法によって得られた細胞培養基材において、カルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を変化させることにより、細胞付着強度を変化させる。カルボキシル基存在量の変化は、例えば、単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が異なる、カルボキシル化セルロース繊維を複数組み合わせることで生じさせてもよく、セルロース繊維のカルボキシル化のための酸化の度合いを変化させることで生じさせてもよい。すなわち、本実施形態に係る細胞培養基材の製造方法は、このように細胞付着強度を変化させることにより、細胞に対応した最適な細胞付着強度を求め、その細胞付着強度になるように、細胞培養基材を構成するカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を決定する方法を備えていてもよい。
細胞付着強度は、細胞がスフェロイドを形成する強度に設定することが好ましい。すなわち、本実施形態に係る細胞培養基材の製造方法は、このように設定された細胞付着強度になるように、細胞培養基材を構成するカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を決定する方法を備えていてもよい。
カルボキシル基存在量を変化させるために、例えば、上述した細胞培養基材の製造方法において、塗布液におけるカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量を調節することで、上記カルボキシル基存在量を変化させてもよい。塗布液におけるカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量を調節する方法としては、例えば、セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が異なる2種以上の分散液を、所望の割合で混合する方法、セルロースを含む原料に、所望の条件で酸化処理を施す方法、又はその両方を行う方法等が挙げられる。
酸化処理を所望の条件で施す方法は、上述した酸化処理の条件を適宜変更すればよい。例えば、上述した各条件のうち、酸化触媒、酸化剤、臭化物及び/又はヨウ化物、又は還元剤の種類、使用量等を適宜変更してもよく、また、上記酸化条件及び/又は還元条件を適宜変更してもよい。
カルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が異なる2種以上の分散液を、所望の割合で混合する方法の場合、用いる分散液は、セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が異なる2種以上であればよく、例えば、上述したような方法で得られた分散液であってよく、上記酸化処理を施すことによって得られた分散液であってもよい。
用いる分散液において、セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量については、所望の塗布液が得られれば特に制限されず、任意の値を有していてよい。用いる分散液におけるセルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量は、例えば、0.01〜2.0mmol/gであってよく、0.05〜1.5mmolであってよい。
用いる分散液は、例えば、混合して塗布液とする際に得られる塗布液のカルボキシル化セルロース繊維の濃度を適切に制御する観点から、それぞれのカルボキシル化セルロース繊維の濃度を揃えた分散液を混合することが好ましい。分散液におけるカルボキシル化セルロース繊維の好ましい濃度は、上記塗布液におけるカルボキシル化セルロース繊維の好ましい濃度と同様である。
本実施形態に係る細胞培養基材は、培養する細胞に応じて、カルボキシル基が適度な存在量を示す。なお、細胞培養基材におけるカルボキシル基の存在量は、細胞培養基材を作製する際に用いる塗布液におけるカルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量と同様である。カルボキシル基の存在量は、電気伝導度測定によって測定することができ、電気伝導度の緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウムの量(物質量)から算出することができる。カルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量は、培養する細胞に応じて、適宜調節すればよいが、例えば0.01〜2.0mmol/gであってよく、0.05〜1.5mmol/gであってよい。
本実施形態に係る細胞培養基材は、培養中の細胞を目視により容易に観察できる観点から、透明であることが好ましい。ここで、透明性は、ヘーズ(濁度)によって評価でき、例えば、細胞培養基材のヘーズは、40%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、16%以下であることが更に好ましく、12%以下であることが更により好ましく、10%以下であることが特に好ましい。このようなヘーズであれば、培養中の細胞をより容易に目視できる。なお、細胞培養基材のヘーズは低いほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば0.1%以上である。なお、本明細書においてヘーズは、JIS K7136:2000に準拠し、ヘーズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製:HZ−V3(商品名))を用いて測定した値を意味する。
上述した本実施形態に係る細胞培養基材を用いて、細胞培養容器を得ることができる。すなわち、本実施形態に係る細胞培養容器は、上述した細胞培養基材を備える。本実施形態に係る細胞培養容器は、上述した本実施形態に係る細胞培養基材上で細胞を培養する限り、当該細胞培養基材と他の部材とが組み合わされていてもよいし、細胞培養基材と他の部材とが一体化されて構成されていてもよいし、細胞培養基材のみにより構成されていてもよい。本実施形態に係る細胞培養基材がフィルム状等の柔軟な基材である場合には、剛性を有する適当な支持部材と組み合わせて形成してもよい。
図1は、一実施形態に係る細胞培養容器を示す模式断面図である。図1(a)に示されるように、一実施形態において、細胞培養容器100は、細胞培養基材1からなるものでもよく、図1(b)に示されるように、他の実施形態において、細胞培養容器101は、底面及び外周側面を有する支持部材20と、該支持部材20の底面上に配置された細胞培養基材1と、を備えていてもよいし、図1(c)に示されるように、他の実施形態において、細胞培養容器102は、細胞培養基材1と、細胞培養基材1を取り囲むように配置され、外周側面を有する支持部材20と、を備えていてもよい。
細胞培養容器において、開口下側から平面視したときの内郭形状及び外郭形状は、それぞれ例えば円、多角形(四角形、三角形等)などの任意の形状であることができる。支持部材20を構成する材料としては、例えば、無機ガラス;カーボン;シリコン等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;エポキシ樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルエーテル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリールエーテル、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン、フェノール樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)等が例示できる。上述した支持体を支持部材として使用してもよい。
本実施形態に係る細胞培養容器は、本実施形態に係る細胞培養基材を備えていればよく、全体としてどのような形状であってもよい。例えば、シングル又はマルチウェルプレート等の培養用プレート、シャーレ、ディッシュ、フラスコ、バッグ等の各種容器の形状であることができる。本実施形態に係る細胞培養容器は、大量培養装置や潅流培養装置などの培養装置における細胞培養容器の形態であってもよい。
本実施形態に係る細胞の培養方法は、上記細胞培養基材に細胞を接触させた状態で、細胞を培養して培養細胞を得る工程を備える。当該細胞培養基材は、カルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量を所望の量含むことから、細胞培養基材上で細胞を三次元培養することによりスフェロイドを効率的に形成することができる。また、細胞は適度な接着力で細胞培養基材上に付着するため、スフェロイドの大きさを制御することも可能である。したがって、中心部の壊死等に伴う細胞の機能低下を抑制・防止できる。また、当該細胞培養基材を用いて培養した培養細胞は、細胞培養基材に適度に接着するため、細胞培養中に培地交換する際でも、細胞が培地と一緒に除去されることを抑制することができ、細胞ロスを低減すること可能である。
上記細胞の培養方法に用いられる細胞の種類は、例えば、正常細胞、がん細胞、幹細胞、ハイブリドーマ等の融合細胞などを用いることができ、遺伝子導入等の人工的処理がされた細胞であってもよい。例えば、人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells:iPS細胞)、胚性幹細胞(Embryonic stem cells:ES細胞)、間葉系幹細胞等の一般的に三次元培養を行うことが求められている細胞や、各種前駆細胞及び幹細胞を含む、脂肪細胞、幹細胞、腎細胞、膵臓細胞、乳腺細胞、内皮細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、筋芽細胞、心筋細胞、神経細胞、グリア細胞、樹状細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞、繊維芽細胞、各種血液系細胞、網膜細胞、角膜由来細胞、生殖腺由来細胞、各種腺細胞、その他間葉系前駆細胞、各種がん細胞等が挙げられる。これらの細胞が由来する生物種も特に限定されず、ヒト及び非ヒト動物由来の各種細胞を用いることができる。細胞が由来する生物種としては、例えば、ヒト、アカゲザル、ミドリザル、カニクイザル、チンパンジー、タマリン及びマーモセット等の霊長類、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等の齧歯類、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、ウズラ、ミンク、ツパイ、ゼブラフィッシュ等が挙げられる。
細胞培養に用いる培地は、細胞に合わせて適宜選択すればよい。培地の種類としては、例えば、任意の細胞培養基本培地や分化培地、初代培養専用培地等を用いることができる。具体的には、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、α−MEM、グラスゴーMEM(GMEM)、IMDM、RPMI1640、ハムF−12、MCDB培地、ウィリアムス培地E、及びこれらの混合培地等が挙げられるが、細胞が増殖や分化に必要な成分が含まれる培地であれば利用可能である。さらに、血清、各種成長因子、分化誘導因子、抗生物質、ホルモン、アミノ酸、糖、塩類等を添加した培地を使用してもよい。培養温度は、通常は25〜45℃程度で行う。
本実施形態に係る培養細胞は、上記細胞培養基材上で三次元培養された培養細胞であり、細胞培養基材上での三次元培養物ということもできる。本実施形態に係る培養細胞は、特にスフェロイドである。スフェロイドは、例えば肝細胞のような単一な細胞で形成された三次元細胞集合体でも、各種繊維芽細胞や血管内皮細胞等と肝細胞のような2種以上の異なる細胞腫が混在した三次元細胞集合体でもよい。使用できる細胞としては、上記の各種細胞が挙げられる。
本実施形態に係る細胞培養基材を用いることにより、生体内に近い機能を有する培養細胞(スフェロイド)を取得することが可能である。したがって、このような培養細胞と薬剤とをin vitroで接触させる工程を備える方法を用いることで、より生体内に近い環境を再現したin vitroでの薬剤の試験を行うことが可能となる。薬剤の試験は、例えば、医薬品開発時の有効性(薬効)試験や毒性試験等が挙げられる。具体的には、例えば、抗がん剤の開発において、がん細胞に対する薬効試験をin vitroで実施することで、ハイスループットに有効な抗がん剤をスクリーニングすることが求められているが、本実施形態に係る細胞培養基材を利用して取得した培養細胞は、生体内に近い抗がん剤への抵抗性を有するため、生体で実施した試験に近い抗がん剤の薬効データを取得することができる。
本実施形態に係る細胞培養基材を用いることで、生体に近い機能を持った培養細胞を取得することができるため、当該培養細胞を、例えば心疾患、肝臓疾患、加齢黄斑変性等の眼科領域の疾患等の様々な疾患に対する再生医療用途で利用することも可能である。また、本実施形態に係る細胞培養基材は、生体に安全なセルロースを使用しているため、より安全な培養細胞を取得することができ、再生医療用途での利用に好適である。したがって、本実施形態に係る細胞培養基材及び当該基材上での三次元培養物の両者を患部に移植することも可能である。これにより、細胞を基材から回収せずに患部に容易に移植することができ、且つ患部に細胞を長く留めさせることや、細胞の生存率を高く維持できる効果も期待できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[分散液(懸濁液)の調製]
(懸濁液A)
スギウッドチップ(40g)を室温(25℃)で一晩(15時間)、アセトンと水の混合液(アセトン:水=900mL:100mL)中で撹拌することによって脱脂処理を行った。続いて脱脂処理したウッドチップを、無水酢酸と過酸化水素の混合液(無水酢酸:過酸化水素=500mL:500mL)中で、90℃、2時間の条件で加熱することによって脱リグニン処理し、ブフナーロートと濾紙No.101を用いて濾過を行った後、蒸留水10Lで洗浄して、ホロセルロースパルプ(パルプA)を得た。
得られたホロセルロースパルプを2000mLの水で懸濁し(固形分濃度0.5質量%)、Ball−collisionチャンバーを備えた高圧ウォータージェットシステム(株式会社スギノマシン製:スターバーストラボ「HJP−25005」(商品名))を用いて、245MPaの圧力で直径0.17mmのノズルから押出し、高圧ホモジネート(機械解繊)して、ホモジネート化スラリーを得た。この押出しを50回繰り返し、0.3質量%濃度のホロセルロース繊維分散液を得た。得られたホロセルロース繊維分散液を0.8質量%濃度になるまで濃縮することで、ホロセルロース繊維懸濁液(カルボキシル化セルロース繊維懸濁液:懸濁液A)を調製した。
(懸濁液B)
湿潤状態の針葉樹溶解サルファイトパルプ(乾燥重量:20g)を、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)0.32g及び臭化ナトリウム2gを含む蒸留水(1500mL)中に懸濁して、セルロースパルプ懸濁液を得た。
得られたセルロースパルプ懸濁液に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(4w/v%)を、5.0mmol/gセルロースパルプ濃度となるように撹拌しながら添加し、1.0M水酸化ナトリウム水溶液を加えることでpHを10〜11に維持しながら2時間撹拌しながら酸化処理し、ブフナーロートと濾紙No.101を用いて濾過を行った後、蒸留水10Lで洗浄して、TEMPO酸化セルロースパルプ(パルプB)を得た。
得られたTEMPO酸化セルロースパルプを水2000mLで懸濁し(固形分濃度0.5質量%)、Ball−collisionチャンバーを備えた高圧ウォータージェットシステム(株式会社スギノマシン製:スターバーストラボ「HJP−25005」(商品名))を用いて、245MPaの圧力で直径0.17mmのノズルから押出し、高圧ホモジネート(機械解繊)して、ホモジネート化スラリーを得た。この押出しを20回繰り返し、0.3質量%濃度のTEMPO酸化セルロース繊維分散液を得た。得られたTEMPO酸化セルロース繊維分散液を0.8質量%濃度になるまで濃縮することで、TEMPO酸化セルロース繊維懸濁液(カルボキシル化セルロース繊維懸濁液:懸濁液B)を調製した。
(懸濁液C)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液(4w/v%)を、3.0mmol/gセルロースパルプ濃度となるように撹拌しながら添加した以外は、懸濁液Bの調製と同様の操作を行い、パルプC及び懸濁液Cを調製した。
(懸濁液D)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液(4w/v%)を、10.0mmol/gセルロースパルプ濃度となるように撹拌しながら添加した以外は、懸濁液Bの調製と同様の操作を行い、パルプD及び懸濁液Dを調製した。
[細胞培養基材の調製]
支持体としてのアクリル板(日本テストパネル株式会社製:厚さ2mm)の一方の面に7cm×7cmの穴の開いた金属製の枠材を載せたもの(塗布板)を用意した。上記で得られた懸濁液A〜Dを下記表1の割合となるように混合して各混合液(塗布液)を作製し、各塗布液を上記塗布板の穴に40mL/穴の量で流し込んだ。ガラス棒で塗布液を穴の中全体に伸ばした。枠材を外し、50℃で一晩(15時間)オーブンで乾燥した後、塗膜をアクリル板から回収して、カルボキシル化セルロース繊維を含む細胞培養基材A〜L(30μm厚)を作製した。
<カルボキシル基の存在量の測定>
上記で得られたパルプA〜Dについて、乾燥重量を精秤し、蒸留水70g、0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えた懸濁液を調製し、0.05M水酸化ナトリウム水溶液でpHを約8.0とし、30分間撹拌した。その後0.1M塩酸水溶液によってpHを約2.7〜3.0とし、30分間撹拌した後、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが約11になるまで電気伝導度測定を行った。電気伝導度の緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量から下記の式によりカルボキシル基の存在量を算出した。
カルボキシル基の存在量(mmol/g)=0.05(M)×水酸化ナトリウム量(mL)/パルプ重量(g)
細胞培養基材A〜Lにおける混合液の組成及びカルボキシル基の存在量を表1に示す。
[細胞の付着強度の制御]
<HepG2細胞付着挙動の評価>
HepG2(ヒト肝癌細胞)はDSファーマバイオメディカル株式会社より購入した。終濃度10(v/v)%ウシ胎児血清(FBS)(DSファーマバイオメディカル株式会社製)、培地の1/100量(体積比)の100×MEM用非必須アミノ酸(DSファーマバイオメディカル株式会社製)、及び終濃度2mMグルタミン溶液(DSファーマバイオメディカル株式会社製)を添加したEMEM培地(DSファーマバイオメディカル株式会社製)(血清添加EMEM培地)を用いて、HepG2の培養を行った。HepG2を、2.0×10cells/cmとなるように、100mmセルカルチャーディッシュ(BD Falcon社)に播種し、37℃で5体積%CO条件下で培養した。100mmセルカルチャーディッシュで80%コンフルエントの状態まで培養したHepG2を、0.25%トリプシン/50mM EDTA溶液で処理した後、上記と同様の血清添加EMEM培地を添加してトリプシン反応を停止させ、HepG2の浮遊細胞懸濁液を得た。0.4(w/v)%トリパンブルー溶液(和光純薬株式会社製)を用いてHepG2の浮遊細胞懸濁液中の生細胞数を測定し、3.1×10cells/cmとなるように、上記で作製した各細胞培養基材A〜Lに播種し、37℃で5体積%CO条件下で培養した。培養4日目に位相差顕微鏡を用いて細胞の付着形態やスフェロイド形成の有無を確認し、以下の基準にしたがって、HepG2細胞付着挙動(HepG2の基材への付着強度)を評価した。評価結果を表2に示す。また、図2に、培養4日目の各細胞培養基材A〜LでのHepG2の生育状態(顕微鏡写真)を示す。なお、各基材は予めγ線滅菌処理した後、上記細胞培養に使用した。
付着強度(強):伸展した細胞のみが存在していた。
付着強度(中):伸展した細胞と基材上に結合したスフェロイドが混在していた。
付着強度(弱):基材上に結合したスフェロイドのみが形成されていた。
<MCF−7細胞付着挙動の評価>
MCF−7(ヒト乳腺癌細胞)はDSファーマバイオメディカル株式会社より購入した。終濃度10(v/v)%ウシ胎児血清(FBS)(DSファーマバイオメディカル株式会社製)、培地の1/100量(体積比)の100×MEM用非必須アミノ酸(DSファーマバイオメディカル株式会社製)、及び終濃度2mMグルタミン溶液(DSファーマバイオメディカル株式会社製)を添加したEMEM培地(DSファーマバイオメディカル株式会社製)(血清添加EMEM培地)を用いて、MCF−7の培養を行った。MCF−7を、2.0×10cells/cmとなるように、100mmセルカルチャーディッシュ(BD Falcon社)に播種し、37℃で5体積%CO条件下で培養した。100mmセルカルチャーディッシュで80%コンフルエントの状態まで培養したMCF−7を、0.25%トリプシン/50mM EDTA溶液で処理した後、上記と同様の血清添加EMEM培地を添加してトリプシン反応を停止させ、MCF−7の浮遊細胞懸濁液を得た。0.4(w/v)%トリパンブルー溶液(和光純薬株式会社製)を用いてMCF−7の浮遊細胞懸濁液中の生細胞数を測定し、3.1×10cells/cmとなるように、上記で作製した各細胞培養基材A〜Lに播種し、37℃で5体積%CO条件下で培養した。培養4日目に位相差顕微鏡を用いて細胞の付着形態やスフェロイド形成の有無を確認し、以下の基準にしたがって、MCF−7細胞付着挙動(MCF−7の基材への付着強度)を評価した。評価結果を表2に示す。また、図3に、培養4日目の各細胞培養基材A〜LでのMCF−7の生育状態(顕微鏡写真)を示す。なお、各基材は予めγ線滅菌処理した後、上記細胞培養に使用した。
付着強度(強):伸展した細胞のみが存在していた。
付着強度(中):伸展した細胞と基材上に結合したスフェロイドが混在していた。
付着強度(弱):基材上に結合したスフェロイドのみが形成されていた。
カルボキシル化セルロース繊維におけるカルボキシル基の存在量に応じて、細胞培養基材への細胞の付着強度が異なり、スフェロイド形成のしやすさが異なることが確認された。
1…細胞培養基材(フィルム)、20…支持部材、100、101、102…細胞培養容器。

Claims (7)

  1. 細胞を付着させて培養させる細胞培養基材の細胞付着強度の制御方法であって、
    前記細胞培養基材をカルボキシル化セルロース繊維で構成し、該繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を変化させることにより、前記細胞付着強度を変化させる、制御方法。
  2. 前記カルボキシル基存在量の変化は、
    単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が異なる、カルボキシル化セルロース繊維を複数組み合わせることで生じさせる、請求項1に記載の制御方法。
  3. 前記カルボキシル基存在量の変化は、
    セルロース繊維のカルボキシル化のための酸化の度合いを変化させることで生じさせる、請求項1又は2に記載の制御方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の制御方法であって、
    前記細胞付着強度を、前記細胞がスフェロイドを形成する強度に設定する制御方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の制御方法を実施して、前記細胞に対応した最適な前記細胞付着強度を求め、該細胞付着強度になるように、前記細胞培養基材を構成する前記カルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を決定する、細胞培養基材の製造方法。
  6. 請求項4に記載の制御方法を実施して、設定された前記細胞付着強度になるように前記細胞培養基材を構成する前記カルボキシル化セルロース繊維の単位質量当たりのカルボキシル基存在量を決定する、細胞培養基材の製造方法。
  7. カルボキシル化セルロース繊維を含んでおり、該繊維の単位質量当たりのカルボキシル基の存在量が0.01〜2.0mmol/gである、細胞培養基材。
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