JP2019187237A - 無線電力伝送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】送電側装置からの非放射電磁界の分布を制御することで、送電側装置から受電側装置への電力伝送効率を高めることができる無線電力伝送システムを提供する。【解決手段】この無線電力伝送システム1は、非放射電磁界を用いて送電側装置2から受電側装置3に無線で電力伝送を行うものにおいて、送電側装置2からの非放射電磁界を屈折させて受電側装置3に向けて誘導、すなわち非放射電磁界の分布を制御する誘電体又は磁性体の誘導器4を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、非放射電磁界を用いて無線で電力伝送を行う無線電力伝送システムに関する。
電磁界は、放射電磁界(電磁波)と非放射電磁界(エバネッセント場)に分類できる。非放射電磁界を用いた無線電力伝送システムには、結合共振器型、電磁誘導型、容量結合型などがある。
例えば、結合共振器型の無線電力伝送システムは、送電側装置の送電側共振器から受電側装置の受電側共振器に、ある程度の距離があっても高効率の電力伝送が可能であるため、非常に注目されている。結合共振器型の無線電力伝送システムに関しては、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、送信側装置と受信側装置のいずれにも設けられたループ状の導体などの共振器に共振を起こさせて電力伝送を行う無線電力伝送システムの基本的な構成が記載されている。特許文献2には、送電側共振器のコイルと受電側共振器のコイルに共振を起こさせて電力伝送を行う無線電力伝送システムにおいて、送電側共振器と受電側共振器との間の距離を検出し、それに基づいて共振周波数を変更するものが記載されている。
特表2009−501510号公報 特開2010−239769号公報
しかし、送電側装置の周囲には、受電側装置の存在が予定された特定の空間以外の空間にも非放射電磁界が分布する。その特定の空間以外の空間では、エネルギー損失が少なからず起こり、送電側装置から受電側装置への電力伝送効率を低下させる一因となる。特許文献1、2を含め従来から提案されている無線電力伝送システムでは、非放射電磁界の分布を制御することは考慮されていない。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、送電側装置からの非放射電磁界の分布を制御することで、送電側装置から受電側装置への電力伝送効率を高めることができる無線電力伝送システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の無線電力伝送システムは、非放射電磁界を用いて送電側装置から受電側装置に無線で電力伝送を行う無線電力伝送システムにおいて、前記送電側装置からの非放射電磁界を屈折させて受電側装置に向けて誘導する誘導器を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の無線電力伝送システムは、請求項1に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、誘電体又は磁性体によって構成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の無線電力伝送システムは、請求項1又は2に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記送電側装置は送電側共振器を有し、かつ、前記受電側装置は受電側共振器を有しており、該送電側共振器と該受電側共振器に共振を起こさせて電力伝送を行うことを特徴とする。
請求項4に記載の無線電力伝送システムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、前記送電側装置の中心軸の方向に延伸していることを特徴とする。
請求項5に記載の無線電力伝送システムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、曲がっていることを特徴とする。
請求項6に記載の無線電力伝送システムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、凹レンズであることを特徴とする。
請求項7に記載の無線電力伝送システムは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、水を用いて非放射電磁界を誘導することを特徴とする。
請求項8に記載の無線電力伝送システムは、請求項7に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、少なくとも前記送電側装置と前記受電側装置とに面している部分の水には塩分が添加されていることを特徴とする。
請求項9に記載の無線電力伝送システムは、請求項7又は8に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、少なくとも前記送電側装置と前記受電側装置とに面している部分の水の塩分濃度が、0.1重量%〜2重量%の範囲に有ることを特徴とする。
請求項10に記載の無線電力伝送システムは、請求項7に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、少なくとも前記送電側装置と前記受電側装置とに面している部分の水の塩分濃度が、0.0001重量%以下の範囲に有ることを特徴とする。
請求項11に記載の無線電力伝送システムは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、前記誘導器は、フェライトを用いて非放射電磁界を誘導することを特徴とする。
本発明に係る無線電力伝送システムによれば、誘導器が非放射電磁界を誘導、すなわち非放射電磁界の分布を制御することで、送電側装置から受電側装置への電力伝送効率を高めることが可能になる。
本発明の実施形態に係る無線電力伝送システムの構成のブロック図である。 同上の無線電力伝送システムの送電側装置を示すもので、(a)は模式的な斜視図、(b)は送電側装置を構成する送電側共振器の概略正面図である。 同上の無線電力伝送システムの受電側装置を示すもので、(a)は模式的な斜視図、(b)は受電側装置を構成する受電側共振器の概略正面図である。 異なる媒質の境界における屈折の様子を示すもので、(a)は誘電率が異なる媒質の境界における電界の様子、(b)は透磁率が異なる媒質の境界における磁界の様子である。 同上の無線電力伝送システムの非放射電磁界の電界の電気力線を模式的に示したブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の構成を示すブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の結合係数の特性図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の透過率の特性図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の無負荷Q値の特性図である。 同上の無線電力伝送システムの他の構成のブロック図である。 同上の無線電力伝送システムの更なる他の構成のブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を磁性体とした実験の構成を示すブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を磁性体とした実験の結合係数の特性図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る無線電力伝送システム1は、結合共振器型であり、図1に示すように、非放射電磁界を用いて送電側装置2から受電側装置3に無線で電力伝送を行うシステムである。この無線電力伝送システム1において注目すべき点は、送電側装置2からの非放射電磁界を屈折させて受電側装置3に向けて誘導する誘導器4を備えていることである。
送電側装置2は、送電側共振器21を有している。送電側共振器21は、図2に示すように、電気導線が平面的でスパイラル状に巻かれて形成されるコイル、すなわちスパイラルコイルとすることができる。送電側共振器21は、インピーダンスの整合を行うインピーダンス整合手段22を介して、高周波電源23の信号によって励振される。インピーダンス整合手段22は、典型的には、送電側共振器21に電磁誘導結合する結合ループを用いることができるが、他の形態(例えば、送電側共振器21に直結するもの)であってもよい。なお、図2ではスパイラルコイルの両端は開放しているが、電界の制御等のために、それらの間にコンデンサを接続することも可能である。
受電側装置3は、受電側共振器31を有している。受電側共振器31は、図3に示すように、スパイラルコイルとすることができる。受電側共振器31に伝送された電力は、インピーダンスの整合を行うインピーダンス整合手段32を介して、負荷33に供給される。負荷33は、通信分野における携帯機器の充電回路など、機器の所要の機能のための回路である。インピーダンス整合手段32は、典型的には、受電側共振器31に電磁界結合する結合ループを用いることができるが、他の形態(例えば、受電側共振器31に直結するもの)であってもよい。なお、各図においては、受電側装置3を送電側装置2とほぼ同じ大きさで描いているが、受電側装置3の大きさは限定されるものではなく、送電側装置2より小さい場合も多い。また、図3ではスパイラルコイルの両端は開放しているが、電界の制御等のために、それらの間にコンデンサを接続することも可能である。
誘導器4は、誘電体又は磁性体によって構成することができる。この誘導器4は、非放射電磁界の屈折を利用するものである。電磁界は、前述したように放射電磁界と非放射電磁界に分類できる。
参考のため、先ず、放射電磁界の屈折について述べる。放射電磁界の屈折については、古くから研究されており、例えば光を収束する周知の凸レンズが広く社会で使用されている。放射電磁界の屈折の原理はスネルの法則と呼ばれており、電磁波の進行方向を規定する法則である。なお、スネルの法則は次式であらわされる。
Figure 2019187237
この式は、誘電率ε、透磁率μの媒質と誘電率ε、透磁率μの媒質の境界に、誘電率ε、透磁率μの媒質側から角度θで電磁波が入射し、角度θで誘電率ε、透磁率μの媒質側に出射した場合のものである。
しかし、非放射電磁界の屈折に対してはスネルの法則は無関係である。一般に、電界及び磁界の屈折に対しては、以下のようにして法則が導かれる。
図4(a)に示すような誘電率εの媒質と誘電率εの媒質の境界では、マクスウェルの方程式から各媒質における電界と電束密度は次式のようになる。
Figure 2019187237
これより、電界の屈折の法則が次式のように導かれる。
Figure 2019187237
この式は、誘電率εの媒質側から角度θで電界(電気力線)が入り、角度θで誘電率εの媒質側に出た場合のものである。
このように、電界は異なる媒質の境界で屈折する。ここで、着目しておくべきことは、式(3)を式(1)と比べると、εとεの位置が分子と分母で逆であることである。これにより、ε>εとすると、スネルの法則はθ<θであるのに対し、電界の屈折ではθ>θとなる。すなわち、電界の屈折の向きは、スネルの法則の屈折の向きとは反対になる。
また、透磁率μの媒質と透磁率μの媒質の境界では、マクスウェルの方程式から各媒質における磁界と磁束密度は次式のようになる。
Figure 2019187237
これより、磁界の屈折の法則が次式のように導かれる。
Figure 2019187237
この式は、透磁率μの媒質側から角度θで非放射電磁界の磁界(磁気力線)が入り、角度θで透磁率μの媒質側に出た場合のものである。
このように、磁界は異なる媒質の境界で屈折する。ここで、着目しておくべきことは、式(5)を式(1)と比べると、μとμの位置が分子と分母で逆であることである。これにより、μ>μとすると、放射電磁界ではθ<θであるのに対し、磁界の屈折ではθ>θとなる。すなわち、磁界の屈折の向きは、放射電磁界の屈折の向きとは反対になる。
よって、非放射電磁界に対してはスネルの法則は成立せず、上記の式(3)で示される電界の屈折の法則及び上記の(5)で示される磁界の屈折の法則が成立する。この電界の屈折の法則及び磁界の屈折の法則が成立するという事実を利用して、以下のように、誘電体又は磁性体によって誘導器4を構成することができる。
先ず、誘電体の誘導器4について説明する。
誘電体の誘導器4は、図1に示すように、送電側装置2と受電側装置3の間に配置したもので、送電側装置2の中心軸zの方向に延伸させた形状となっている。送電側装置2の中心軸zは、送電側共振器21のスパイラルの中心軸である。誘電体の誘導器4とその周囲の空気との境界では、誘電率の違いにより、非放射電磁界の電界の屈折が起こる。そして、その屈折を利用することにより、図5に示すように、非放射電磁界の電界を誘導器4の中において、発散させずに、送電側装置2から受電側装置3に向けて誘導することができる。なお、図5においては、非放射電磁界の電界の電気力線を破線で模式的に示している。
次に、誘電体の誘導器4を用いた無線電力伝送システム1の実験について述べる。送電側装置2の送電側共振器21と受電側装置3の受電側共振器31とはそれぞれ、線径が約1mmの電気導線を巻いて直径を約30cmにしたスパイラルコイルを用いた。また、送電側共振器21と受電側共振器31とは、約50cmの距離でもって対向させ、図6に示すように、それらの間に誘電体の誘導器4として、ペットボトル、すなわち縦長の大略直方体のポリエチレンテレフタラート製の容器41に水を入れたものを配設した。容器41は中心軸z方向の長さが10cm弱、それに垂直方向が約8.5cm、高さが約30cmのものを用いた。
図7は、送電側共振器21と受電側共振器31との結合係数の変化を示している。図8は、送電側共振器21から受電側共振器31への電力伝送の効率を示す透過率の変化を示している。図7及び図8の横軸は、水を入れた容器41の数である。水は水道水を使用し、水を入れた容器41は、中央から端に向かって対称的に配置した。送電側共振器21は、送電側装置2のインピーダンス整合手段22から見て時計回り(図2参照)に約100巻きとしている。図7の曲線a、c、d及び図8の曲線e、g、hは、受電側共振器31を、送電側装置2のインピーダンス整合手段22から見て反時計回り(図3参照)に約100巻きとしたものの特性である。図7の曲線b及び図8の曲線fは、受電側共振器31を、送電側装置2のインピーダンス整合手段22から見て時計回りに約100巻きとしたものの特性である。図7の曲線a、b及び図8の曲線e、fは、送電側共振器21と受電側共振器31とに面している容器(容器列の両端に配置された容器)41の水だけに0.45重量%の塩分を添加し残りの容器41の水は水道水のままとしている。図7の曲線c及び図8の曲線gは、全ての容器41の水に0.45重量%の塩分を添加している。図7の曲線d及び図8の曲線hは、全て水道水のままである。
図7の曲線a及び図8の曲線eでは、水を入れた容器41の数を増やすと、つまり、誘電体の誘導器4を中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数は上昇し、透過率も上昇している。図7の曲線b及び図8の曲線fでは、水を入れた容器41の数を増やすと、結合係数は下降し、透過率も下降している。図7の曲線c及び図8の曲線gでは、水を入れた容器41の数を増やすと、結合係数は上記の曲線aとほぼ同じようにして(曲線aとほぼ重なって)上昇し、透過率は上記の曲線eよりも急勾配で上昇している。図7の曲線d及び図8の曲線hでは、水を入れた容器41の数を増やすと、結合係数は上昇するが、透過率は水を入れた容器41が5個未満では、すなわち4個になるまでは数が増えるほど上昇し、5個になると下降している。
水を入れた容器41の水が全て水道水のままの場合に、水を入れた容器41が5個になると透過率が下降するのは、送電側共振器21及び受電側共振器31に近接して面している水道水の水を入れた容器41が無負荷Q値を下降させているからである。図9は、近接する水を入れた容器41の塩分濃度に対する無負荷Q値の変化を示している。横軸は、対数表示した塩分濃度である。曲線i、曲線j、曲線k、曲線l、曲線m、曲線n、曲線o、曲線p、曲線q、曲線rはそれぞれ、送電側共振器21(及び受電側共振器31)とそれに近接する水を入れた容器41との間の距離が、0、0.5cm、1cm、1.5cm、2cm、3cm、4cm、5cm、7cm、10cmとした特性である。水道水(塩分を添加しない水道水)は塩分濃度が約0.003重量%であるが、この塩分濃度の近傍では無負荷Q値が非常に降下していることが分かる。また、送電側共振器21(及び受電側共振器31)とそれに近接する水を入れた容器41との間の距離によって多少のバラツキは有るが、塩分濃度が0.1重量%〜2重量%の範囲に有れば高い無負荷Q値が局所的に得られ、また、塩分濃度が0.0001重量%以下の範囲に有れば高い無負荷Q値が得られることが分かる。なお、一般に、生理食塩水の塩分濃度は約0.9重量%であり、また、純水又は蒸留水などは、塩分濃度が0.0001重量%以下の範囲に有る。
この実験より、特に図7の曲線a、c及び図8の曲線e、gより、送電側装置2と受電側装置3との間の誘電体の誘導器4を中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数を上昇させ、透過率も上昇させ得ることが分かる。また、非放射電磁界を誘導する誘電体として水を用いることができ、少なくとも送電側装置2と受電側装置3とに面している部分の水には、高い無負荷Q値が得られるように、適切な量の塩分を添加したもの、或いは、塩分をできるだけ除去したものを用いるのが好ましい。特に、その部分の水の塩分濃度は、0.1重量%〜2重量%の範囲、或いは、0.0001重量%以下の範囲に有るのが好ましい。
このような誘電体の誘導器4は、中心軸zの方向に延伸させたもののかわりに、図10に示すように、曲がったものとすることもできる。これは、誘導器4が、非放射電磁界の電界を誘導器4の中において、発散させずに、送電側装置2から受電側装置3に向けて誘導することができるからである。
また、誘電体の誘導器4は、図11に示すように、誘電体の凹レンズ42から構成されるようにすることもできる。凹レンズとするのは、前述したように、非放射電磁界の電界の屈折の向きが放射電磁界の屈折の向きとは反対であるからである。凹レンズ42の中心軸の方向は、送電側装置2の中心軸zの方向に一致するもの(図11参照。)に限らず、それから傾かせてもよい。
次に、磁性体の誘導器4について説明する。
磁性体の誘導器4は、上記の図1に示したように、送電側装置2と受電側装置3との間に配置したもので、送電側装置2の中心軸zの方向に延伸させた形状とすることができる。送電側装置2の中心軸zは、送電側共振器21のスパイラルの中心軸である。磁性体の誘導器4とその周囲の空気との境界では、透磁率の違いにより、非放射電磁界の磁界の屈折が起こる。そして、その屈折を利用することにより、非放射電磁界の磁界を誘導器4の中において、発散させずに、送電側装置2から受電側装置3に向けて誘導することができる。
次に、磁性体の誘導器4を用いた無線電力伝送システム1の実験について述べる。送電側装置2の送電側共振器21と受電側装置3の受電側共振器31とはそれぞれ、線径が約1mmの電気導線を約10巻いて直径を約10cmにしたスパイラルコイルを、スパイラルコイルの両端間に容量68pFのコンデンサをつないで用いた。送電側共振器21と受電側共振器31とは、約10cmの距離でもって対向させ、図12に示すように、それらの間に、磁性体の誘導器4として中心軸z方向の長さが2.4cm、高さが2.4cm、厚さが0.1cmのフェライト製の板43を配設した。
図13の曲線sは、送電側共振器21と受電側共振器31との結合係数の変化を示している。図13の横軸は、フェライト製の板43の数である。曲線sでは、フェライト製の板の数を増やすと、つまり、磁性体の誘導器4を中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数は上昇している。
この実験より、非放射電磁界を誘導する磁性体としてフェライトを用いることができ、また、送電側装置2と受電側装置3との間の磁性体の誘導器4を、中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数を上昇させ得ることが分かる。
このような磁性体の誘導器4は、中心軸zの方向に長く延伸させたもののかわりに、上記の図10及び図11に示した誘電体の誘導器4と同様に、曲がったものとしたり、磁性体の凹レンズ42から構成されるようにしたりすることもできる。凹レンズとするのは、前述したように、非放射電磁界の磁界の屈折の向きが放射電磁界の屈折の向きとは反対であるからである。
以上説明したように、無線電力伝送システム1は、誘導器4が非放射電磁界を誘導、すなわち非放射電磁界の分布を制御することで、送電側装置2から受電側装置3への電力伝送効率を高めることが可能になる。なお、このような無線電力伝送システム1は、送電側装置2の設置と同時に誘導器4を設置してもよいし、送電側装置2から受電側装置3への電力伝送効率を改善するために後からアドホックに誘導器4を設置してもよい。
以上、本発明の実施形態に係る無線電力伝送システムについて説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、無線電力伝送システム1は、結合共振器型に限らず、非放射電磁界を用いている他の無線電力伝送システム(例えば、電磁誘導型や容量結合型など)にも適用可能である。また、誘導器4は、非放射電磁界を誘導できるのならば、誘電体又は磁性体によらず金属によって構成することも可能である。
1 無線電力伝送システム
2 送電側装置
21 送電側装置2を構成する送電側共振器
22 送電側装置2を構成するインピーダンス整合手段
23 高周波電源
3 受電側装置
31 受電側装置3を構成する受電側共振器
32 受電側装置3を構成するインピーダンス整合手段
33 負荷
4 誘導器
本発明は、非放射電磁界を用いて無線で電力伝送を行う無線電力伝送システムに関する。
電磁界は、放射電磁界(電磁波)と非放射電磁界(エバネッセント場)に分類できる。非放射電磁界を用いた無線電力伝送システムには、結合共振器型、電磁誘導型、容量結合型などがある。
例えば、結合共振器型の無線電力伝送システムは、送電側装置の送電側共振器から受電側装置の受電側共振器に、ある程度の距離があっても高効率の電力伝送が可能であるため、非常に注目されている。結合共振器型の無線電力伝送システムに関しては、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、送信側装置と受信側装置のいずれにも設けられたループ状の導体などの共振器に共振を起こさせて電力伝送を行う無線電力伝送システムの基本的な構成が記載されている。特許文献2には、送電側共振器のコイルと受電側共振器のコイルに共振を起こさせて電力伝送を行う無線電力伝送システムにおいて、送電側共振器と受電側共振器との間の距離を検出し、それに基づいて共振周波数を変更するものが記載されている。
特表2009−501510号公報 特開2010−239769号公報
しかし、送電側装置の周囲には、受電側装置の存在が予定された特定の空間以外の空間にも非放射電磁界が分布する。その特定の空間以外の空間では、エネルギー損失が少なからず起こり、送電側装置から受電側装置への電力伝送効率を低下させる一因となる。特許文献1、2を含め従来から提案されている無線電力伝送システムでは、非放射電磁界の分布を制御することは考慮されていない。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、送電側装置からの非放射電磁界の分布を制御することで、送電側装置から受電側装置への電力伝送効率を高めることができる無線電力伝送システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の無線電力伝送システムは、非放射電磁界を用いて送電側装置から受電側装置に無線で電力伝送を行う無線電力伝送システムにおいて、前記送電側装置からの非放射電磁界のうち電界をtanθ /tanθ =ε /ε (θ は電界が入る角度、ε は電界が入る側の媒質の誘電率、θ は電界が出る角度、ε は電界が出る側の媒質の誘電率)、磁界をtanθ /tanθ =μ /μ (θ は磁界が入る角度、μ は磁界が入る側の媒質の透磁率、θ は磁界が出る角度、μ は磁界が出る側の媒質の透磁率)、に従って周囲との境界で発散させずに水によって受電側装置に向けて誘導する誘導器を備えており、前記送電側装置は送電側共振器を有し、かつ、前記受電側装置は受電側共振器を有しており、該送電側共振器と該受電側共振器に共振を起こさせて電力伝送を行い、前記誘導器は、前記送電側装置から前記受電側装置に向けて、前記送電側装置の中心軸の方向に延伸して、又は曲がって、設けられていることを特徴とする。
本発明に係る無線電力伝送システムによれば、誘導器が非放射電磁界を誘導、すなわち非放射電磁界の分布を制御することで、送電側装置から受電側装置への電力伝送効率を高めることが可能になる。
本発明の実施形態に係る無線電力伝送システムの構成のブロック図である。 同上の無線電力伝送システムの送電側装置を示すもので、(a)は模式的な斜視図、(b)は送電側装置を構成する送電側共振器の概略正面図である。 同上の無線電力伝送システムの受電側装置を示すもので、(a)は模式的な斜視図、(b)は受電側装置を構成する受電側共振器の概略正面図である。 異なる媒質の境界における屈折の様子を示すもので、(a)は誘電率が異なる媒質の境界における電界の様子、(b)は透磁率が異なる媒質の境界における磁界の様子である。 同上の無線電力伝送システムの非放射電磁界の電界の電気力線を模式的に示したブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の構成を示すブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の結合係数の特性図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の透過率の特性図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を誘電体とした実験の無負荷Q値の特性図である。 同上の無線電力伝送システムの他の構成のブロック図である。 同上の無線電力伝送システムの更なる他の構成のブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を磁性体とした実験の構成を示すブロック図である。 同上の無線電力伝送システムにおいて誘導器を磁性体とした実験の結合係数の特性図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る無線電力伝送システム1は、結合共振器型であり、図1に示すように、非放射電磁界を用いて送電側装置2から受電側装置3に無線で電力伝送を行うシステムである。この無線電力伝送システム1において注目すべき点は、送電側装置2からの非放射電磁界を屈折させて受電側装置3に向けて誘導する誘導器4を備えていることである。
送電側装置2は、送電側共振器21を有している。送電側共振器21は、図2に示すように、電気導線が平面的でスパイラル状に巻かれて形成されるコイル、すなわちスパイラルコイルとすることができる。送電側共振器21は、インピーダンスの整合を行うインピーダンス整合手段22を介して、高周波電源23の信号によって励振される。インピーダンス整合手段22は、典型的には、送電側共振器21に電磁誘導結合する結合ループを用いることができるが、他の形態(例えば、送電側共振器21に直結するもの)であってもよい。なお、図2ではスパイラルコイルの両端は開放しているが、電界の制御等のために、それらの間にコンデンサを接続することも可能である。
受電側装置3は、受電側共振器31を有している。受電側共振器31は、図3に示すように、スパイラルコイルとすることができる。受電側共振器31に伝送された電力は、インピーダンスの整合を行うインピーダンス整合手段32を介して、負荷33に供給される。負荷33は、通信分野における携帯機器の充電回路など、機器の所要の機能のための回路である。インピーダンス整合手段32は、典型的には、受電側共振器31に電磁界結合する結合ループを用いることができるが、他の形態(例えば、受電側共振器31に直結するもの)であってもよい。なお、各図においては、受電側装置3を送電側装置2とほぼ同じ大きさで描いているが、受電側装置3の大きさは限定されるものではなく、送電側装置2より小さい場合も多い。また、図3ではスパイラルコイルの両端は開放しているが、電界の制御等のために、それらの間にコンデンサを接続することも可能である。
誘導器4は、誘電体又は磁性体によって構成することができる。この誘導器4は、非放射電磁界の屈折を利用するものである。電磁界は、前述したように放射電磁界と非放射電磁界に分類できる。
参考のため、先ず、放射電磁界の屈折について述べる。放射電磁界の屈折については、古くから研究されており、例えば光を収束する周知の凸レンズが広く社会で使用されている。放射電磁界の屈折の原理はスネルの法則と呼ばれており、電磁波の進行方向を規定する法則である。なお、スネルの法則は次式であらわされる。
Figure 2019187237
この式は、誘電率ε、透磁率μの媒質と誘電率ε、透磁率μの媒質の境界に、誘電率ε、透磁率μの媒質側から角度θで電磁波が入射し、角度θで誘電率ε、透磁率μの媒質側に出射した場合のものである。
しかし、非放射電磁界の屈折に対してはスネルの法則は無関係である。一般に、電界及び磁界の屈折に対しては、以下のようにして法則が導かれる。
図4(a)に示すような誘電率εの媒質と誘電率εの媒質の境界では、マクスウェルの方程式から各媒質における電界と電束密度は次式のようになる。
Figure 2019187237
これより、電界の屈折の法則が次式のように導かれる。
Figure 2019187237
この式は、誘電率εの媒質側から角度θで電界(電気力線)が入り、角度θで誘電率εの媒質側に出た場合のものである。
このように、電界は異なる媒質の境界で屈折する。ここで、着目しておくべきことは、式(3)を式(1)と比べると、εとεの位置が分子と分母で逆であることである。これにより、ε>εとすると、スネルの法則はθ<θであるのに対し、電界の屈折ではθ>θとなる。すなわち、電界の屈折の向きは、スネルの法則の屈折の向きとは反対になる。
また、透磁率μの媒質と透磁率μの媒質の境界では、マクスウェルの方程式から各媒質における磁界と磁束密度は次式のようになる。
Figure 2019187237
これより、磁界の屈折の法則が次式のように導かれる。
Figure 2019187237
この式は、透磁率μの媒質側から角度θで非放射電磁界の磁界(磁気力線)が入り、角度θで透磁率μの媒質側に出た場合のものである。
このように、磁界は異なる媒質の境界で屈折する。ここで、着目しておくべきことは、式(5)を式(1)と比べると、μとμの位置が分子と分母で逆であることである。これにより、μ>μとすると、放射電磁界ではθ<θであるのに対し、磁界の屈折ではθ>θとなる。すなわち、磁界の屈折の向きは、放射電磁界の屈折の向きとは反対になる。
よって、非放射電磁界に対してはスネルの法則は成立せず、上記の式(3)で示される電界の屈折の法則及び上記の(5)で示される磁界の屈折の法則が成立する。この電界の屈折の法則及び磁界の屈折の法則が成立するという事実を利用して、以下のように、誘電体又は磁性体によって誘導器4を構成することができる。
先ず、誘電体の誘導器4について説明する。
誘電体の誘導器4は、図1に示すように、送電側装置2と受電側装置3の間に配置したもので、送電側装置2の中心軸zの方向に延伸させた形状となっている。送電側装置2の中心軸zは、送電側共振器21のスパイラルの中心軸である。誘電体の誘導器4とその周囲の空気との境界では、誘電率の違いにより、非放射電磁界の電界の屈折が起こる。そして、その屈折を利用することにより、図5に示すように、非放射電磁界の電界を誘導器4の中において、発散させずに、送電側装置2から受電側装置3に向けて誘導することができる。なお、図5においては、非放射電磁界の電界の電気力線を破線で模式的に示している。
次に、誘電体の誘導器4を用いた無線電力伝送システム1の実験について述べる。送電側装置2の送電側共振器21と受電側装置3の受電側共振器31とはそれぞれ、線径が約1mmの電気導線を巻いて直径を約30cmにしたスパイラルコイルを用いた。また、送電側共振器21と受電側共振器31とは、約50cmの距離でもって対向させ、図6に示すように、それらの間に誘電体の誘導器4として、ペットボトル、すなわち縦長の大略直方体のポリエチレンテレフタラート製の容器41に水を入れたものを配設した。容器41は中心軸z方向の長さが10cm弱、それに垂直方向が約8.5cm、高さが約30cmのものを用いた。
図7は、送電側共振器21と受電側共振器31との結合係数の変化を示している。図8は、送電側共振器21から受電側共振器31への電力伝送の効率を示す透過率の変化を示している。図7及び図8の横軸は、水を入れた容器41の数である。水は水道水を使用し、水を入れた容器41は、中央から端に向かって対称的に配置した。送電側共振器21は、送電側装置2のインピーダンス整合手段22から見て時計回り(図2参照)に約100巻きとしている。図7の曲線a、c、d及び図8の曲線e、g、hは、受電側共振器31を、送電側装置2のインピーダンス整合手段22から見て反時計回り(図3参照)に約100巻きとしたものの特性である。図7の曲線b及び図8の曲線fは、受電側共振器31を、送電側装置2のインピーダンス整合手段22から見て時計回りに約100巻きとしたものの特性である。図7の曲線a、b及び図8の曲線e、fは、送電側共振器21と受電側共振器31とに面している容器(容器列の両端に配置された容器)41の水だけに0.45重量%の塩分を添加し残りの容器41の水は水道水のままとしている。図7の曲線c及び図8の曲線gは、全ての容器41の水に0.45重量%の塩分を添加している。図7の曲線d及び図8の曲線hは、全て水道水のままである。
図7の曲線a及び図8の曲線eでは、水を入れた容器41の数を増やすと、つまり、誘電体の誘導器4を中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数は上昇し、透過率も上昇している。図7の曲線b及び図8の曲線fでは、水を入れた容器41の数を増やすと、結合係数は下降し、透過率も下降している。図7の曲線c及び図8の曲線gでは、水を入れた容器41の数を増やすと、結合係数は上記の曲線aとほぼ同じようにして(曲線aとほぼ重なって)上昇し、透過率は上記の曲線eよりも急勾配で上昇している。図7の曲線d及び図8の曲線hでは、水を入れた容器41の数を増やすと、結合係数は上昇するが、透過率は水を入れた容器41が5個未満では、すなわち4個になるまでは数が増えるほど上昇し、5個になると下降している。
水を入れた容器41の水が全て水道水のままの場合に、水を入れた容器41が5個になると透過率が下降するのは、送電側共振器21及び受電側共振器31に近接して面している水道水の水を入れた容器41が無負荷Q値を下降させているからである。図9は、近接する水を入れた容器41の塩分濃度に対する無負荷Q値の変化を示している。横軸は、対数表示した塩分濃度である。曲線i、曲線j、曲線k、曲線l、曲線m、曲線n、曲線o、曲線p、曲線q、曲線rはそれぞれ、送電側共振器21(及び受電側共振器31)とそれに近接する水を入れた容器41との間の距離が、0、0.5cm、1cm、1.5cm、2cm、3cm、4cm、5cm、7cm、10cmとした特性である。水道水(塩分を添加しない水道水)は塩分濃度が約0.003重量%であるが、この塩分濃度の近傍では無負荷Q値が非常に降下していることが分かる。また、送電側共振器21(及び受電側共振器31)とそれに近接する水を入れた容器41との間の距離によって多少のバラツキは有るが、塩分濃度が0.1重量%〜2重量%の範囲に有れば高い無負荷Q値が局所的に得られ、また、塩分濃度が0.0001重量%以下の範囲に有れば高い無負荷Q値が得られることが分かる。なお、一般に、生理食塩水の塩分濃度は約0.9重量%であり、また、純水又は蒸留水などは、塩分濃度が0.0001重量%以下の範囲に有る。
この実験より、特に図7の曲線a、c及び図8の曲線e、gより、送電側装置2と受電側装置3との間の誘電体の誘導器4を中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数を上昇させ、透過率も上昇させ得ることが分かる。また、非放射電磁界を誘導する誘電体として水を用いることができ、少なくとも送電側装置2と受電側装置3とに面している部分の水には、高い無負荷Q値が得られるように、適切な量の塩分を添加したもの、或いは、塩分をできるだけ除去したものを用いるのが好ましい。特に、その部分の水の塩分濃度は、0.1重量%〜2重量%の範囲、或いは、0.0001重量%以下の範囲に有るのが好ましい。
このような誘電体の誘導器4は、中心軸zの方向に延伸させたもののかわりに、図10に示すように、曲がったものとすることもできる。これは、誘導器4が、非放射電磁界の電界を誘導器4の中において、発散させずに、送電側装置2から受電側装置3に向けて誘導することができるからである。
また、誘電体の誘導器4は、図11に示すように、誘電体の凹レンズ42から構成されるようにすることもできる。凹レンズとするのは、前述したように、非放射電磁界の電界の屈折の向きが放射電磁界の屈折の向きとは反対であるからである。凹レンズ42の中心軸の方向は、送電側装置2の中心軸zの方向に一致するもの(図11参照。)に限らず、それから傾かせてもよい。
次に、磁性体の誘導器4について説明する。
磁性体の誘導器4は、上記の図1に示したように、送電側装置2と受電側装置3との間に配置したもので、送電側装置2の中心軸zの方向に延伸させた形状とすることができる。送電側装置2の中心軸zは、送電側共振器21のスパイラルの中心軸である。磁性体の誘導器4とその周囲の空気との境界では、透磁率の違いにより、非放射電磁界の磁界の屈折が起こる。そして、その屈折を利用することにより、非放射電磁界の磁界を誘導器4の中において、発散させずに、送電側装置2から受電側装置3に向けて誘導することができる。
次に、磁性体の誘導器4を用いた無線電力伝送システム1の実験について述べる。送電側装置2の送電側共振器21と受電側装置3の受電側共振器31とはそれぞれ、線径が約1mmの電気導線を約10巻いて直径を約10cmにしたスパイラルコイルを、スパイラルコイルの両端間に容量68pFのコンデンサをつないで用いた。送電側共振器21と受電側共振器31とは、約10cmの距離でもって対向させ、図12に示すように、それらの間に、磁性体の誘導器4として中心軸z方向の長さが2.4cm、高さが2.4cm、厚さが0.1cmのフェライト製の板43を配設した。
図13の曲線sは、送電側共振器21と受電側共振器31との結合係数の変化を示している。図13の横軸は、フェライト製の板43の数である。曲線sでは、フェライト製の板の数を増やすと、つまり、磁性体の誘導器4を中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数は上昇している。
この実験より、非放射電磁界を誘導する磁性体としてフェライトを用いることができ、また、送電側装置2と受電側装置3との間の磁性体の誘導器4を、中心軸zの方向に長く延伸させるほど結合係数を上昇させ得ることが分かる。
このような磁性体の誘導器4は、中心軸zの方向に長く延伸させたもののかわりに、上記の図10及び図11に示した誘電体の誘導器4と同様に、曲がったものとしたり、磁性体の凹レンズ42から構成されるようにしたりすることもできる。凹レンズとするのは、前述したように、非放射電磁界の磁界の屈折の向きが放射電磁界の屈折の向きとは反対であるからである。
以上説明したように、無線電力伝送システム1は、誘導器4が非放射電磁界を誘導、すなわち非放射電磁界の分布を制御することで、送電側装置2から受電側装置3への電力伝送効率を高めることが可能になる。なお、このような無線電力伝送システム1は、送電側装置2の設置と同時に誘導器4を設置してもよいし、送電側装置2から受電側装置3への電力伝送効率を改善するために後からアドホックに誘導器4を設置してもよい。
以上、本発明の実施形態に係る無線電力伝送システムについて説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、無線電力伝送システム1は、結合共振器型に限らず、非放射電磁界を用いている他の無線電力伝送システム(例えば、電磁誘導型や容量結合型など)にも適用可能である。また、誘導器4は、非放射電磁界を誘導できるのならば、誘電体又は磁性体によらず金属によって構成することも可能である。
1 無線電力伝送システム
2 送電側装置
21 送電側装置2を構成する送電側共振器
22 送電側装置2を構成するインピーダンス整合手段
23 高周波電源
3 受電側装置
31 受電側装置3を構成する受電側共振器
32 受電側装置3を構成するインピーダンス整合手段
33 負荷
4 誘導器

Claims (11)

  1. 非放射電磁界を用いて送電側装置から受電側装置に無線で電力伝送を行う無線電力伝送システムにおいて、
    前記送電側装置からの非放射電磁界を屈折させて受電側装置に向けて誘導する誘導器を備えていることを特徴とする無線電力伝送システム。
  2. 請求項1に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、誘電体又は磁性体によって構成されていることを特徴とする無線電力伝送システム。
  3. 請求項1又は2に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記送電側装置は送電側共振器を有し、かつ、前記受電側装置は受電側共振器を有しており、
    該送電側共振器と該受電側共振器に共振を起こさせて電力伝送を行うことを特徴とする無線電力伝送システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、前記送電側装置の中心軸の方向に延伸していることを特徴とする無線電力伝送システム。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、曲がっていることを特徴とする無線電力伝送システム。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、凹レンズであることを特徴とする無線電力伝送システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、水を用いて非放射電磁界を誘導することを特徴とする無線電力伝送システム。
  8. 請求項7に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、少なくとも前記送電側装置と前記受電側装置とに面している部分の水には塩分が添加されていることを特徴とする無線電力伝送システム。
  9. 請求項7又は8に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、少なくとも前記送電側装置と前記受電側装置とに面している部分の水の塩分濃度が、0.1重量%〜2重量%の範囲に有ることを特徴とする無線電力伝送システム。
  10. 請求項7に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、少なくとも前記送電側装置と前記受電側装置とに面している部分の水の塩分濃度が、0.0001重量%以下の範囲に有ることを特徴とする無線電力伝送システム。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線電力伝送システムにおいて、
    前記誘導器は、フェライトを用いて非放射電磁界を誘導することを特徴とする無線電力伝送システム。
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