JP2019187191A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この対策として、電圧が変動する配線間を基板に対して平面視で互いに並行にして重ならないように配置し、配線間の浮遊容量を削減する方法が考えられる。
実施の形態1は、多層配線基板上に一次側スイッチング回路と、二次側整流回路と、一次側、二次側間の絶縁トランスとを有し、一次側スイッチング回路と絶縁トランスとを接続する第一の配線と、二次側整流回路と絶縁トランスとを接続する第二の配線とにおいて、配線が長い方はバスバーで配線し、短い方は多層配線基板の基板配線で配線する電力変換装置に関するものである。
なお、直流電源と負荷は電力変換装置の構成要素ではないが、電力変換装置の動作上関連しているため、特に区別せずに説明する。
入力部は、直流電源である入力電源100と入力コンデンサ101とを備える。
絶縁型変換部は、単相インバータ102と、整流回路105と、単相インバータ102と整流回路105との間を電気的に絶縁して接続する絶縁トランス104とを備える。
出力部は、出力平滑用リアクトル106と、出力コンデンサ107と、負荷108とを備える。
単相インバータ102は、入力電源100および入力コンデンサ101とそれぞれに並列に接続され、入力電源100の直流電圧Vinを交流電圧に変換するインバータである。
単相インバータ102は4つの半導体スイッチング素子102a、102b、102c、102dをフルブリッジ構成している。そして単相インバータ102の出力は、絶縁トランス104の一次側巻線104aに接続されている。すなわち、単相インバータ102は、絶縁トランス104の一次側スイッチング回路である。
整流回路105は、絶縁トランス104の二次側巻線104bに接続されている。そして、整流回路105の出力側は、出力平滑用リアクトル106が直列に接続され、また整流回路105に並列に出力コンデンサ107が接続されている。この出力コンデンサ107の両端から負荷108へ直流電圧Voutが出力されている。
なお、図1において、配線201a、201bは、単相インバータ102と絶縁トランス104の一次側とを接続する配線である。配線202a、202bは、整流回路105と絶縁トランス104の二次側とを接続する配線である。
図2(a)は絶縁型変換部の上面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢視A−Aから見た断面図である。
図2では、絶縁型変換部の主要構成要素である単相インバータ102、絶縁トランス104、および整流回路105に加えて、多層配線基板301、バスバー401、および絶縁トランス104の二次側と整流回路105とを接続する配線202a、202bを基板配線としている。
なお、図2では、実施の形態1の構成を分かり易くするために、入力部(入力電源100、入力コンデンサ101)および出力部(出力平滑用リアクトル106、出力コンデンサ107、負荷108)は省略している。
ここで、絶縁トランス104が図2のように整流回路105に近い場所に実装されていると、単相インバータ102と絶縁トランス104を接続する配線が長くなり、絶縁トランス104と整流回路105を接続する配線は短くなる。
なお、図2で記載している絶縁トランス104の形は一例で、一次側巻線と二次側巻線が同軸巻されていてもよく、またプレーナトランスでもよい。
図3(a)は、バスバー401を上から見た平面図である。図3(b)は、図3(a)の矢視A−Aから見た断面図である。なお、バスバー401は、バスバー401aと401bから構成される。バスバー401aと401bとを区別する必要がない場合は、バスバー401と記載する。
また、図3において、Wはバスバー401a、401bの幅であり、dはバスバー401aとバスバー401bとの間隔である。
バスバー間の距離が浮遊容量の値に影響するため、バスバー401a、401bは、例えば樹脂で成型して、バスバー401a、401b間の距離を一定に保っている。
配線の高周波抵抗による損失は、配線の長さに比例して大きくなるため、絶縁トランス104の一次側と二次側に流れる電流がほぼ変わらない場合は、長い方の配線201a、201bでの損失の方が、短い方の配線202a,202bでの損失より大きくなる。このため、損失の大きい方の配線をバスバーにすることで、損失低減の効果は大きい。
短い方の配線は、バスバーを使用せずに基板配線で配線することで、コスト増および電力変換装置1の大型化を抑えることができる。
しかし、逆の場合、すなわち、配線202a、202bの長さが、配線201a、201bの長さより長い場合は、配線202a、202bをバスバーで配線し、配線201a,201bを基板配線で配線する。
図4は、2つのバスバーを平面視で重ならないように平行して配置した例である。
図4(a)は、バスバー402c、402dを上から見た平面図である。図4(b)は、図4(a)の矢視A−Aから見た断面図である。なお、バスバー402は、バスバー402cと402dから構成される。バスバー402cと402dとを区別する必要がない場合は、バスバー402と記載する。
また、図4において、Wはバスバー402c、402dの幅であり、eはバスバー402c、バスバー402dの厚さである。
このようにバスバー401a、401bを幅Wの方向で重ねて近接して配置している。このため、相反する方向に電流が流れる場合は、配線同士の近接効果により、図3(b)の斜線部分(表皮深さ×幅W)に電流が偏る。
以上説明したように、本実施の形態1の電力変換装置1の図3の構成、すなわちバスバーを幅Wの方向で重ねて配置することで、バスバーの高周波抵抗を低減でき、バスバーでの損失を低減することができる。
実施の形態1に係る電力変換装置1のバスバー401は、筐体が絶縁されている。この理由を以下に説明する。
そこで、絶縁距離を確保する必要があるが、絶縁トランス104の一次側と二次側の配線と筐体間の電圧が高い場合に、バスバー401と筐体の絶縁を担保しようとすると、バスバー401と筐体をある一定以上の距離を離隔する必要がある。このため、電力変換装置1は大型化する。
これを回避するため、バスバー401を樹脂で覆うことで、バスバー401と筐体間の絶縁を確保することができ、バスバー401を筐体に近接して配置することができる。
電力変換装置1のバスバー401は、その間隔は多層配線基板301の隣り合う配線層の間隔よりも大きく設定している。こうすることで、バスバー401a、401b間の浮遊容量の値を多層配線基板301での基板配線間での浮遊容量の値よりも小さくすることができる。このため、浮遊容量に起因する損失を低減することができる。
バスバー401aと401bと間の浮遊容量は式(3)で表せる。
ここで、真空の誘電率をε0、バスバーを覆う樹脂の比誘電率をεr、バスバー401aおよび401bの距離をd、バスバー401aと401bとの対向面積をS、バスバー401の浮遊容量をCbとしている。
したがって、図3におけるバスバー401a、401b間の距離dを数mmオーダーにすることで、基板配線における配線間距離の数10倍の距離を取ることができる。このため、式(3)から、バスバー401a、401b間の浮遊容量の値は基板配線間での浮遊容量の数10分の1の値にすることができる。浮遊容量の値を小さくすることで、浮遊容量に起因する損失を抑えることができる。
図1において、配線201a、201bと配線202a、202bとの内、配線202a、202bの方が配線201a、201bより短いとして説明する。
図2に示すように、配線202a、202bは多層配線基板301に対し平面視で、互いに並行または離隔されて重ならないように配置されている。具体的には、同一配線層に配線202a、202bを配置することで、平面視で重ならないように配置することが可能となる。
配線202a、202bが平面視で重ならないように配置することで、配線202a,202bによる浮遊容量を削減することができ、浮遊容量に起因する損失を抑えることができる。
実施の形態1に係る電力変換装置1においては、一次側および二次側の巻数比を式(4)の値を満たす絶縁トランス104を使用する場合を想定している。
ここで、一次側の巻数をn1、二次側の巻数をn2とする。
この場合、絶縁トランス二次側の電流は一次側の電流に比べて5倍の大きさになる。したがって、損失低減のためには、絶縁トランス二次側と整流回路をバスバーで接続することは必須となる。さらに、もし一次側の配線が長い場合は、一次側にもバスバーを使用することとなる。このため、絶縁トランスの両側でバスバーを使用することになり、コスト増加および電力変換装置の大型化になる。
したがって、絶縁トランス一次側の配線を短くしなければならなくなる。このため、単相インバータと絶縁トランスを近づけて配置することが必須となり、部品レイアウトが制約され、電力変換装置は大型化する。
電力変換装置において、絶縁トランスの巻線は一般的に式(5)で表せる。
式(5)の絶縁トランス104の場合、単相インバータ102へと接続される配線201a、201bをバスバーで接続し、整流回路105へと接続される配線202a,202bが基板配線とすることで、より一層損失を抑えることができる。
すなわち、ワイドギャップ半導体を用いて、本実施の形態1の電力変換装置1を構成すれば、浮遊容量の充放電電流および高周波抵抗を低減できる。このため高周波において、スイッチング素子および基板配線の発熱を有効に低減させ、より電力変換装置の小型化、高効率化を実現できる。
また、ワイドバンドギャップ半導体は耐熱性も高いため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化、および水冷部の空冷化が可能であるので、電力変換装置の一層の小型化が可能になる。
更に電力損失が低いため、スイッチング素子の高効率化が可能であり、延いては電力変換装置の高効率化が可能になる。
この場合、二次側スイッチング回路を構成するスイッチング素子は、MOSFETおよびIGBT等の自己消弧型半導体に限らず、高周波駆動可能なワイドギャップ半導体を使用してもよい。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
102 単相インバータ、104 絶縁トランス、104a 絶縁トランス一次側巻線、104b 絶縁トランス二次側巻線、105 整流回路、
105a〜105d ダイオード、106 出力平滑用リアクトル、
107 出力コンデンサ、108 負荷、
201a,201b 単相インバータと絶縁トランス一次側とを接続する配線、
202a,202b 整流回路と絶縁トランス二次側とを接続する配線、
301 多層配線基板、401,401a,401b,402c,402d バスバー。
Claims (10)
- 多層配線基板上に
一次側スイッチング回路および二次側スイッチング回路と、
前記一次側スイッチング回路と前記二次側スイッチング回路との間に設けた絶縁トランスとを有し、
前記一次側スイッチング回路と前記絶縁トランスとを接続する第一の配線と、
前記二次側スイッチング回路と前記絶縁トランスとを接続する第二の配線とにおいて、
前記第一の配線および前記第二の配線の内、いずれか長い方の配線はバスバーで配線し、短い方の配線は前記多層配線基板の基板配線で配線する電力変換装置。 - 前記基板配線は少なくとも1対あり、前記多層配線基板の平面視で、互いに離隔されて重ならない配置である請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記基板配線は前記多層配線基板上に隣り合い、且つ、電流が互いに相反する方向に流れるように配置されている請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記バスバーは少なくとも1対あり、その厚さ方向に比べて大きい幅方向で重ねて配置されている請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記バスバーは、前記多層配線基板、前記一次側スイッチング回路、前記二次側スイッチング回路、および前記絶縁トランスを収納する筐体とは絶縁されている請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記バスバーは少なくとも1対あり、その間隔は前記多層配線基板の隣り合う配線層の間隔よりも大きい請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記絶縁トランスの一次側の巻数をn1、二次側の巻数をn2として、
前記一次側の巻数n1と前記二次側の巻数n2との比が0.5<n2/n1<2である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記第一の配線は、前記第二の配線よりも短く前記バスバーで配線し、
前記第二の配線は、前記第一の配線よりも長く前記基板配線で配線する請求項7に記載の電力変換装置。 - 前記一次側スイッチング回路および前記二次側スイッチング回路のスイッチング素子はワイドバンドギャップ半導体である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化珪素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドである請求項9に記載の電力変換装置。
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