JP2019187141A - 車両用バッテリの充電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費電力を増加させることなく充電ケーブルの取っ手部を冷却することができる車両用バッテリの充電装置を提供する。【解決手段】充電コネクタ61を筒状に包囲することにより内周面63bと外周面61bとの間に環状通路63fを形成し、制御部がファンを回転させることにより、環状通路63fの他端63gから環状通路63f内に外気が導入されることにより、消費電力を増加させることなく、充電ケーブルの取っ手部63を冷却することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、充電ケーブルを用いて外部から電力を供給することにより車両のバッテリを充電する車両用バッテリの充電装置に関する。
近年、プラグインハイブリッド車両及び電気自動車等のバッテリを充電する充電システムにおいて、充電時間短縮の要請のため、単位時間当たりの供給電力量が増加してきている。その結果、充電ケーブルの発熱量が増加し、使用者が充電ケーブルを取り扱うことが困難となる虞がある。そこで、従来の充電ケーブルの一つ(以下、「従来ケーブル」と称呼する。)は、その内部に冷却水を流通させるための冷却管が挿通され、冷却水を冷却する装置とともに用いられていた(例えば、特許文献1を参照。)。
特許6201071号(図3)
ところで、充電ケーブルのコネクタ部の周囲には、使用者が取っ手として握ることができるような形状に成形された取っ手部分が備えられる。これにより、使用者は車両の充電インレットに充電ケーブルを容易に接続することができる。しかし、従来ケーブルは、ケーブル部分を冷却水によって冷却しているが、接触電気抵抗が高いために発熱量が比較的大きくなる端子部(充電インレットとの接続部)は冷却していない。そのため、単位時間当たりの供給電力量が大きくされたとき、端子部の熱が取っ手部分に伝わることにより取っ手部分の温度が端子部の温度上昇とともに上昇する。その結果、使用者が取っ手部分を握ることが困難となる虞がある。そこで、取っ手部分を冷却するために、例えば取っ手部分にも冷却配管を挿通する方法が考えられるが、この方法によれば、取っ手部分を更に冷却する必要があるため、消費電力が増加するという問題がある。
本発明は上記問題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、消費電力を増加させることなく取っ手部分を冷却することができる車両用バッテリの充電装置を提供することにある。
本発明の車両用バッテリの充電装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、
バッテリ(30)と、充電インレット(20)と、ファン(43)と、を車両(10)に備える。
前記バッテリは、前記車両の電動機(36)に電力を供給する。前記充電インレットは、前記車両の外部から前記バッテリに充電電力を供給するために設けられる。前記ファンは、前記バッテリを冷却するために設けられている。
更に、本発明装置は、充電ケーブル(60)を備えている。前記充電ケーブルは、電気ケーブル(62)と、充電コネクタ(61)と、取っ手部(63)と、を含んでいる。前記電気ケーブルは、前記充電電力を供給する。前記充電コネクタは、前記充電インレットと前記電気ケーブルとを電気的に接続させる。前記取っ手部は、前記充電コネクタの外周部に形成され、前記充電コネクタの前記充電インレットとの挿抜のために用いられる。
加えて、本発明装置は、制御部(50)と、通風管(45)と、を前記車両に更に備える。前記制御部は、前記充電コネクタが前記充電インレットに接続されると、前記充電電力の外部からの供給を許可するとともに、前記ファンを回転させる。前記通風管は、一端(45a)が、前記ファンが格納されたファンシュラウド(42)に接続され、他端(45b)が前記充電インレットの周囲に延出して前記車両の外部に開口する。
前記取っ手部は、前記充電コネクタの外周面(61b)とは離間して前記充電コネクタを筒状に包囲することにより、前記取っ手部の内周面(63b)と前記充電コネクタの外周面(61b)との間に環状通路(63f)が形成される。前記環状通路の一端(63h)は、前記充電コネクタの前記充電インレットと接続する側において開口しており、前記環状通路の他端(65)は、前記充電コネクタの前記充電インレットと接続する側とは反対側において開口している。前記充電コネクタが前記充電インレットに接続されたとき、前記通風管と前記環状通路とが連通し、前記制御部が前記ファンを回転させることにより、前記環状通路の他端から前記環状通路内に外気が導入されるように構成されている。
この態様によれば、充電コネクタと取っ手部との間には空間(環状通路)が形成されているので、電気ケーブルからの熱が取っ手部に直接伝導されにくい構造となっている。更に、バッテリの充電時には、ファンが回転することにより環状通路の他端(充電インレットと接続する側とは反対側)から環状通路内に外気が導入されるので、外気が冷媒の役割を果たし、その結果、取っ手部が冷却され易くなる。本発明装置は、上記ファンがバッテリの充電時にバッテリを冷却するために作動することを利用して取っ手部を冷却しているので、取っ手部の冷却のために新たな電力を必要とはしない。従って、本発明装置によれば、消費電力を増加させることなく、取っ手部を冷却することができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用バッテリの充電装置及び当該充電装置が適用される車両の概略構成図である。 図2は、図1に示した充電インレットの端部の正面視における概略構成図である。 図3は、図1に示した充電ケーブルの端部の正面視における概略構成図である。 図4は、図1に示した充電インレット及び充電インレットに接続された充電ケーブルの側面図である。 図5は、図1に示した充電ケーブルの取っ手部の充電コネクタの端子と反対側の端部における正面図及び上面断面図である。 図6は、図1に示した充電ケーブルの取っ手部の充電コネクタの端子と反対側の端部における上面断面図である。 図7は、図1に示した充電ケーブルの取っ手部の流体解析モデルの斜視図である。 図8は、「プロペラ翼構造」を採用した実施装置の取っ手部の流体解析結果を示した図である。 図9は、「全面開口構造」を採用した変形装置の取っ手部の流体解析結果を示した図である。
(構成)
本発明の実施形態に係る車両用バッテリの充電装置(以下、「実施装置」とも称呼される。)は、図1に示したプラグインハイブリッド車両10(以下、単に「車両」とも称呼する。)に適用される。
車両10は、充電インレット20、バッテリ30、正極側充電リレー31、負極側充電リレー32、正極側システムメインリレー33、負極側システムメインリレー34、パワーコントロールユニット(PCU)35、電動機(MG)36、冷却機構40及び電子制御装置(ECU)50及び図示しない内燃機関を備えている。実施装置は、更に、車両10の外部に充電ケーブル60を備えている。
充電インレット20は、車両10の車体11の側面に備えられる。充電インレット20にはバッテリ30への充電が行われるとき、充電ケーブル60が接続される。
より具体的に述べると、充電インレット20は、電力線Hotと接続された陽極端子(DCIH端子)、電力線Coldと接続された陰極端子(DCIC端子)及びECU50と接続されたCAN端子(CAN−H及びCAN−L)を備えている。図2に示したように、充電インレット20は、更に、充電開始/停止信号用のDCS端子(DCS1及びDCS2)、充電許可/禁止信号用のDCP端子及びコネクタ接続確認信号用のDCC端子等を備えている。なお、DCS端子、DCP端子及びDCC端子はECU50に電気的に接続されている。
充電インレット20のDCIH端子及びDCIC端子のそれぞれは、充電ケーブル60を介して図示しない急速充電スタンドの電力線と接続される。DCS端子、DCP端子、DCC端子及びCAN端子(CAN−H及びCAN−L)は、充電ケーブル60を介して急速充電スタンドの制御部と接続される。なお、充電インレット20は、図示しない温度センサを内蔵し、ECU50に充電インレット20の温度を表す信号を送信するようになっている。
再び図1を参照して説明する。バッテリ30は、充放電が可能な二次電池(リチウムイオン電池)である。バッテリ30は、正極(正極端子)と負極(負極端子)との間に端子間電圧Vb0(例えば、350V)を発生する。なお、バッテリ30は、ニッケル水素電池、鉛バッテリ、ニッケルカドミウム電池及び他の二次電池であってもよい。
正極側充電リレー(以下、「DCRB」とも称呼する。)31は、充電インレット20と「電力線Hotと電力線PLとの接続点C1」との間において電力線Hotに介装されている。正極側システムメインリレー(以下、「SMRB」とも称呼する。)33は、接続点C1とバッテリ30の正極端子との間において電力線Hotに介装されている。負極側充電リレー(以下、「DCRG」とも称呼する。)32は、充電インレット20と「電力線Coldと電力線NLとの接続点C2」との間において電力線Coldに改装されている。負極側システムメインリレー(以下、「SMRG」とも称呼する。)34は、接続点C2とバッテリ30の負極端子との間において電力線Coldに介装されている。
このように、DCRB31及びDCRG32は、バッテリ30と充電インレット20とを結ぶ充電経路中に介装されており、この充電経路の導通状態と遮断状態とを切替え可能である。SMRB33及びSMRG34は、バッテリ30と充電インレット20とを結ぶ充電経路中に介装されており、この充電経路の導通状態と遮断状態とを切替え可能である。
電力線PLは、接続点C1とパワーコントロールユニット(以下、「PCU」と称呼する。)35の一方の入力端子とを接続している。電力線NLは、接続点C2とPCU35の他方の入力端子とを接続している。
PCU35は、昇降圧コンバータ及びインバータを含み、バッテリ30の出力する直流電圧を昇圧し、更に、その昇圧された直流電力を三相交流電力へと変換して発電電動機(MG)36へ出力する。一方、PCU35は、MG36が発電し出力する三相交流電力を直流電力に変換し、その変換された直流電圧を降圧してバッテリ30へ出力する。
発電電動機(MG)36は、PCU35から供給される三相交流電力によって車両10の車輪を駆動するためのトルクを発生させる。
冷却機構40は、ラジエータ41、ファンシュラウド42、ファン43、ファンモータ44及び通風管45を備える。
ラジエータ41は、車体11の前部に配設される。ラジエータ41は、内燃機関を冷却するための冷却水を車体前部から導入される空気によって冷却する。
ファンシュラウド42は、ラジエータ41の背部(ラジエータ41よりも車体11の後方側)に配設され、ラジエータ41の背部を覆っている。ファンシュラウド42の略中央には、ファン43の先端からの気流の巻き返しを防ぐため、ファン43の先端との間に僅かな空隙が画成されるようファン43の直径より僅かに大きい直径の孔42aが開口している。ファンシュラウド42の端部は、通風管45が接続されるための孔42bが開口している。
ファン43は、ファンシュラウド42の略中央の開口(孔42a)内に、ファン43の回転軸を中心に回転可能に配設される。ファン43は、バッテリ30と対向して配設されている。
ファンモータ44は、ファン43を回転駆動させるモータである。ファンモータ44の出力軸はファン43の回転軸と連結し、ファン43と一体回転可能に構成されている。
通風管45は、その一端45aが、開口しているファンシュラウド42の端部の孔42bと接続され、その他端(以下、「端部」とも称呼される。)45bが、充電インレット20の周辺に延出している。従って、通風管45は、ファンシュラウド42の内部と車体11の外部とを連通している。図2に示したように、通風管45の端部45bは、充電インレット20の周囲に形成され、通風管45の端部45bと充電インレット20との間S1は円環状に開口している。通風管45の端部45bに近い通風管45の内部には、充電インレット20を固定するための網状の板46が取り付けられる。網状の板46は、抵抗なく空気を通すことができるように各格子内が中空となっている。
電子制御装置(ECU)50は、周知のマイクロコンピュータを含む電子回路であり、CPU、ROM、RAM及びインタフェースI/F等を含む。ECUはエレクトロニックコントロールユニットの略称である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
ECU50は、バッテリ30、DCRB31、DCRG32、SMRB33、SMRG34、PCU35、充電インレット20内の温度センサ及び冷却機構40のファンモータ44等と電気的に接続されている。
ECU50からの指示によりファンモータ44が作動すると、ファン43は、ファンシュラウド42の内部(ラジエータ41側)から外部(バッテリ30側)へと空気を流す向きに回転する。従って、ファン43が回転すると、バッテリ30はファン43が発生した冷却風を受けて冷却されるようになっている。ファン43が回転すると、ファンシュラウド42の内部からファン43を経由して外部へと空気が流れるので、ファンシュラウド42の内部の気圧が低下し、外気圧よりも気圧が低くなる(負圧が発生する)。その結果、通風管45の端部45b(充電インレット20の周辺)において、通風管45内に外気が導入されるようになっている。
図3に示したように、充電ケーブル60は、充電コネクタ61、電気ケーブル62及び取っ手部63を備える。
充電コネクタ61は樹脂でできている。充電コネクタ61は、図4に示したように、充電インレット20と嵌合する端部61aに、DCIH端子、DCIC端子、DCS端子(DCS1及びDCS2)、DCP端子、DCC端子及びCAN通信用端子(CAN−H及びCAN−L)等を備えている。これらの端子は、充電コネクタ61が充電インレット20と嵌合したとき、充電インレット20の対応する端子(図2を参照。)にそれぞれ接続される。
電気ケーブル62は、充電コネクタ61と急速充電スタンドとの間を電気的に接続する。従って、バッテリ30を車両10の外部からの電力により充電するとき、充電コネクタ61が充電インレット20に挿入(接続)されると、急速充電スタンドと充電インレット20とが電気的に接続される。
図3に示したように、取っ手部63は、充電コネクタ61の周囲(外周部)に、充電コネクタ61の外周面61bとは離間して、充電コネクタ61を包囲するように配設される。取っ手部63は、樹脂でできている。
充電コネクタ61が充電インレット20に挿入(接続)されたときに充電インレット20に近い側に位置する端部(充電ケーブル60の終端側の端部)63aは、図4に示したように、円環状に形成されている。円環状に形成された端部63aは、以下、「取っ手端部」63aと称呼される。
取っ手端部63aの外径は、通風管45の端部45bの内径と略同径であり、取っ手端部63aは、充電コネクタ61が充電インレット20に挿入(接続)されたとき、通風管45の端部45bに挿入(接続)される。より具体的に述べると、図3に示したように、取っ手端部63aは、通風管45の端部45bと継ぎ手のように嵌合するようになっている。
図4に示したように、取っ手部63の内周面63bには、取っ手端部63aに近い位置において、半径方向内側に突出する柱63cが円周方向に等間隔に形成されている。更に、上記等間隔に形成された複数の柱63cの先端の総てに接する一つの円環体63dが形成されている。本例において、複数の柱63cの本数は4本であり、円周方向に90°毎に配置されている。円環体63dの内径は充電コネクタ61の外周面61bの外径と等しく設定される。この円環体63dの内周面63eと、充電コネクタ61の外周面61bとが当接することにより、取っ手部63と充電コネクタ61とが互いに固定される。
このようにして、充電コネクタ61と取っ手部63との間には空気が流通する円環状の空間63fが形成される(図3を参照。)。この円環状の空間63fは、以下、「環状通路63f」と称呼される。取っ手端部63a側において、環状通路63fの一端63hは、円環状に開口している(図4を参照。)。このように、充電コネクタ61は、電力及び電気信号を中継するための管であり、取っ手部63の環状通路63fは、空気を流通させるための管である。つまり、これらの2つの管は略同軸の二重管構造になっている。
取っ手部63の他端(電気ケーブル62に近い側の端部)63gは、充電コネクタ61(電気ケーブル62)の周囲に円環状に形成されている。取っ手部63の他端63gと、充電コネクタ61の外周面61bとの間は、円周方向に等間隔に配列した複数の壁64が設けられている。より具体的に述べると、図5に示したように、複数の壁64は、6枚の羽根を有するプロペラ状に配列される。複数の壁64は、充電コネクタ61の中心軸X1方向と垂直な面V1に対し、20°傾けた壁64を円周方向に等間隔に6枚設けることにより構成される(図5(B)を参照。)。充電コネクタ61の中心軸X1方向から見て、複数の壁64は、60°毎に配置される(図5(A)を参照。)。
これにより、取っ手部63の他端63g側において、環状通路63fの他端には取っ手部63の内周面63b、充電コネクタ61の外周面61b及び隣り合う2つの壁64のそれぞれの端部64a及び64bにより画成される矩形の孔65が開口している。矩形の孔65は、円周方向に60°おきに6ヶ所開口している。矩形の孔65の開口面(隣り合う壁64のそれぞれの端部64a及び64bを含む面)は、充電コネクタ61の中心軸X1を通る平面と一致している。従って、矩形の孔65が開口する向きは、充電コネクタ61の中心軸X1を通る平面の法線方向(図5(B)において面V1を表す一点鎖線と同方向)である。矩形の孔65は、正面視にて時計回りの方向に開口している(図5を参照。)。なお、矩形の孔65には、それぞれ異物侵入防止用のフィルタ66が取り付けられている。異物侵入防止用のフィルタ66は周知の多孔質フィルタである。
(作動)
このように構成された実施装置において、充電コネクタ61が充電インレット20に挿入(接続)されると、ECU50は自動的に急速充電スタンドと情報交換を行う。より具体的に述べると、充電コネクタ61が充電インレットに挿入(接続)されたとき、ECU50は、急速充電器に充電許可信号を送信する。その後、ECU50は、ECU50からの充電許可信号を受信した急速充電スタンドが発生した充電許可信号を受信すると、DCRB31、DCRG32、SMRB33及びSMRG34を導通状態とする信号をDCRB31、DCRG32、SMRB33及びSMRG34に送信する。更に、ECU50は、ファンモータ44を駆動状態とする信号をファンモータ44に送信する。これにより、バッテリ30への急速充電が開始される。
従って、急速充電が開始されると、ファン43が作動(回転)して、矩形の孔65から取っ手部63の内部に外気が導入される。前述したように、矩形の孔65は正面視にて時計回りの方向に開口しているので、外気は、図6に矢印にて表したように、時計回りと反対向きに矩形の孔65に流入する。外気は壁64に沿って取っ手部63の内部に流れ込み、図3に示したように、取っ手部63の内部において、らせん状の気流を生じさせる。
(効果の説明)
次に、このらせん状の気流による取っ手部63の内周面63b及び充電コネクタ61の外周面61bの冷却効果を説明する。
発明者は、取っ手部63の端部63gが、複数の壁64により構成された構造(以下、「プロペラ翼構造」と称呼する。)を有する実施装置の冷却効果を検証するため、以下のモデルを用いて流体解析を行った。
流体解析に用いた取っ手部63及び充電コネクタ61の形状が図7に示される。充電コネクタ61及び電気ケーブル62の外径D1は50mmに設定される。取っ手部63の端部63gにおける内径D2は90mmに設定される。取っ手端部63aにおける内径D3は130mmに設定される。プロペラ翼構造における複数の壁64の半径方向の長さL1は20mmに設定され、複数の壁64の厚さは2mmに設定される。これにより、矩形の孔65の大きさは長辺が20mm、短辺が7.5mmに設定される。
実施装置において、充電コネクタ61を充電インレット20に挿入(接続)し、ファン43が作動している状態における環状通路63f内の空気の流速分布が図8に示される。
図8において、気流は描画の濃度が低い(薄い)線にて表現されている。図8から理解されるように、環状通路63fにおいてらせん状の気流が多く発生し、これらの気流が通風管45に向かって流れ込んでいる。
以上、説明したように、実施装置は、充電コネクタ61が充電インレット20に接続されると、充電電力の外部からの供給を許可するとともに、ファンを回転させる制御部(ECU)50と、一端45aが、ファン43が格納されたファンシュラウド42に接続され、他端45bが充電インレット20の周囲に延出して車両10の外部に開口する通風管45と、を車両10に備える。
更に、実施装置の取っ手部63は、充電コネクタ61の外周面61bとは離間して充電コネクタ61を筒状に包囲している。これにより、取っ手部63の内周面63bと充電コネクタ61の外周面61bとの間に環状通路63fが形成される。環状通路63fの一端63hは、充電コネクタ61の充電インレット20と接続する側において開口しており、環状通路63fの他端(矩形の孔65)は、充電コネクタ61の充電インレット20と接続する側とは反対側において開口している。従って、充電コネクタ61が充電インレット20に接続されたとき、通風管45と環状通路63fとが連通する。このとき、制御部(ECU)50がファン43を回転させることにより、環状通路63fの他端65から環状通路63f内に外気が導入される。
このような二重管構造により、充電コネクタ及び充電インレット(端子部)の熱が直接取っ手部に伝導することを防止するとともに、充電時に外部から導入された空気が環状通路内を流れるので、取っ手部63、充電コネクタ61及び充電インレット20が冷却される。従って、実施装置は、単位時間当たりの供給電力量が大きい急速充電時においても取っ手部63の温度上昇を低くすることができる。更に、実施装置は、ファン43がバッテリ30の充電時にバッテリ30を冷却するために作動することを利用しているだけであるので、消費電力を増加させることなく、取っ手部63を冷却することができる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
上記実施形態において、取っ手部63の端部63gは6枚の壁64により矩形の孔65が開口する構造(プロペラ翼構造)を有していたが、プロペラ翼にあたる複数の壁の枚数、壁の取付け角度及び形状等は適宜変更されてもよい。
上記実施形態において、取っ手部63の端部63gはプロペラ翼構造を有していたが、単に円環状に開口している構造(以下、「全面開口構造」と称呼する。)を有していてもよい。
全面開口構造を有する装置(以下、「変形装置」と称呼する。)について、流体解析を行った結果が図9に示される。図9から理解されるように、環状通路63fの内部に気流が発生し、気流が通風管45に流れ込んでいる。プロペラ翼構造の実施装置と比較すると、流速は低く、環状通路63f内部における分布は不均一ではあるものの、一定以上の冷却効果があると言える。
上記実施形態においては、充電ケーブル60は、電気ケーブル62を冷却する冷却管は備えていなかったが、本発明に係る車両用バッテリの充電装置には、冷却管を備えた充電ケーブルが用いられてもよい。
上記実施形態において、充電インレット20は、通風管45を通過する気流によって冷却されるが、冷却管を備えた充電ケーブルが用いられる場合、この冷却管を流通する冷却水を利用して充電インレットを冷却してもよい。より具体的に述べると、この場合、充電ケーブルの冷却管は充電コネクタの先端まで延長され、充電インレット内部にも冷却管が備えられる。充電コネクタが充電インレットに挿入(接続)されたとき、充電コネクタの冷却管と充電インレットの冷却管とが接続するように構成される。この変形例によれば、冷却管を通過する冷媒(冷却水)を用いて充電インレットを冷却することができるので、取っ手部の温度上昇をより一層低減することができる。
上記実施形態において、充電インレットは通風管45を流れる空気により冷却されていたが、図示しない車両のエアコンのエバポレータからの冷却風を用いて充電インレットを冷却してもよい。このように、充電インレットを冷却することにより、取っ手部の温度上昇を低下させることができる。なお、この変形例は、例えば、車室内を冷却するためにエアコンを作動させるときに有効であり、例えば、充電中にバッテリをエバポレータからの冷却風を用いて冷却する車両において有効である。
上記実施形態において、通風管45はファンシュラウド42に接続されていたが、通風管45が接続される部位は、負圧が発生する部位(空調ダクト及び吸気管等)であってもよい。通風管が空調ダクトに接続される場合は充電時に空調(エアコン)を作動させればよく、通風管が吸気系に接続される場合は充電時に内燃機関を運転させればよい。
上記実施形態において、通風管45はラジエータ21のファンシュラウド42に接続されていたが、エアコンのコンデンサ及びコンデンサのファンシュラウドを備える車両の場合、通風管45はコンデンサのファンシュラウドに接続されてもよい。
上記実施形態において、車両10は電動機36及び内燃機関を備えたハイブリッド車両であったが、車両は電動機のみを備えた電気自動車であってもよい。この場合、通風管45は、エアコンのコンデンサのファンシュラウドに接続されればよい。
上記実施形態の充電ケーブル及び充電インレットは、直流電力を供給するためのケーブル及びインレットであったが、交流電力を供給するための充電ケーブル及び充電インレットが用いられてもよい。この場合、供給された交流電力は、充電インレットから車両内の図示しない充電器に送られる。送られた電力は、充電器にて交流電力から直流電力に変換され、充電リレー及びシステムメインリレーを介してバッテリに供給される。
上記実施形態において充電インレット20は車体11の側面に備えられていたが、車体11の前面及び背面等に備えられてもよい。
上記実施形態においてフィルタ66は、矩形の孔65にそれぞれ設けられていたが、環状通路63f内に一体的に設けられてもよい。
10…車両、20…充電インレット、30…バッテリ、36…電動機、40…冷却機構、43…ファン、45…通風管、50…電子制御装置(ECU)、60…充電ケーブル、61…充電コネクタ、61b…充電コネクタの外周面、62…電気ケーブル、63…取っ手部、63a…取っ手部の一端、63b…取っ手部の内周面、63f…環状通路、63g…取っ手部の他端の他端、63h…環状通路の一端。

Claims (1)

  1. 車両の電動機に電力を供給するバッテリと、
    前記車両の外部から前記バッテリに充電電力を供給するために設けられた充電インレットと、
    前記バッテリを冷却するためのファンと、
    を前記車両に備えるとともに、
    前記充電電力を供給するための電気ケーブルと、
    前記充電インレットと前記電気ケーブルとを電気的に接続させるための充電コネクタと、
    前記充電コネクタの外周部に形成され、前記充電コネクタの前記充電インレットとの挿抜のために用いられる取っ手部と、
    を含む充電ケーブルを備えた、
    車両用バッテリの充電装置であって、
    前記充電コネクタが前記充電インレットに接続されると、前記充電電力の外部からの供給を許可するとともに、前記ファンを回転させる制御部と、
    一端が、前記ファンが格納されたファンシュラウドに接続され、他端が前記充電インレットの周囲に延出して前記車両の外部に開口する通風管と、を前記車両に更に備え、
    前記取っ手部は、前記充電コネクタの外周面とは離間して前記充電コネクタを筒状に包囲することにより、前記取っ手部の内周面と前記充電コネクタの外周面との間に環状通路が形成され、
    前記環状通路の一端は、前記充電コネクタの前記充電インレットと接続する側において開口しており、
    前記環状通路の他端は、前記充電コネクタの前記充電インレットと接続する側とは反対側において開口しており、
    前記充電コネクタが前記充電インレットに接続されたとき、前記通風管と前記環状通路とが連通し、
    前記制御部が前記ファンを回転させることにより、前記環状通路の他端から前記環状通路内に外気が導入されるように構成された、
    充電装置。
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