JP2019183513A - 無排土オーガ掘削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】掘削土砂を産業廃棄物とする必要がなく、孔壁が崩れにくく、スクリューによる作業者の巻き込み事故が発生せず、使用後の掘削工具の清掃が容易で、構造が簡単で壊れにくく、製造が容易な無排土オーガ掘削工具を提供する。【解決手段】軟弱地盤掘削時、掘削土砂bは、孔壁圧密用中空体18の各三日月空間aに入り込み、その後、小判形の円弧面部分18aにより孔壁17に押圧されて圧密化される、よって、掘削土砂bを産業廃棄物とする必要がなく、孔壁17が崩れにくく、スクリューによる作業者の巻き込み事故も発生せず、使用後の清掃が容易で、構造が簡単で壊れにくく、製造も容易である。【選択図】図1

Description

この発明は無排土オーガ掘削工具、詳しくはアースオーガ工法により地盤に基礎杭などの掘削孔を形成するための無排土オーガ掘削工具に関する。
例えば軟弱地盤に住宅の基礎杭(鋼管杭)用の杭孔(掘削孔)を形成するオーガ掘削機として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。この掘削機は、鉛直に配置される支持部材と、軟弱地盤に鉛直な杭孔を掘削するオーガスクリュー(オーガ掘削工具)と、支持部材に沿ってオーガスクリューを回転させながら昇降させる回転圧入装置とを備えたものである。
オーガ掘削機による杭孔の掘削時には、オーガスクリューを回転圧入装置により回転させつつ、鉛直な支持部材をガイドにして回転圧入装置を徐々に下降させる。これにより、軟弱地盤に杭孔が形成される。
特開平9−328984号公報
しかしながら、このオーガ掘削機では、オーガ掘削工具としてスクリューを採用していたため、掘削した土砂が地上に排出されていた。そのため、掘削残土を産業廃棄物として処分する必要があった。
また、軟弱地盤を掘削することから、孔壁は軟らかく土圧で崩れやすかった。これにより、崩れ落ちた土砂が杭孔の底面に溜まってしまい、基礎杭を杭孔に差し込めず、再びスクリューを用いて土砂の除去作業を行う必要があった。しかも、基礎工事後、孔壁から落ちた土砂が杭孔と基礎杭との隙間に入り込み、これを原因として地盤密度の低下や地盤沈下が発生するおそれがあった。
さらに、スクリューを使用した掘削工事では、掘削中、現場の作業者が地面に露呈したスクリューに体を巻き込まれる事故等が発生するおそれがあった。
さらにまた、基礎工事後、スクリューには多量の土砂が付着していたため、土砂を取り除く清掃作業に手間を要していた。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、スクリューに代えて、杭孔の孔壁の土砂を圧密する断面形状が略小判形の孔壁圧密用軸体と、孔壁圧密用軸体の先端部に設けられる掘削ヘッドとを備えた無排土オーガ掘削工具を採用すれば、上述した課題はすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
すなわち、この発明は、掘削土砂を産業廃棄物として処分する必要がなく(無排土)、仮に軟弱地盤であっても掘削孔の孔壁が崩れにくく、スクリューによる作業者の巻き込み事故が発生せず、使用後のオーガ掘削工具の清掃が容易で、構造が簡単で壊れにくく、製造も容易な無排土オーガ掘削工具を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、オーガ掘削機の回転圧入装置に装着されて、回転しながら下降することにより地盤に掘削孔を形成する無排土オーガ掘削工具において、断面形状が大略真円形状で、その外周面に円弧面部分と平坦面部分とが配されて、この円弧面部分により掘削した土砂を前記掘削孔の孔壁に面接触状態で押圧することにより該孔壁の土砂を圧密する孔壁圧密用軸体と、該孔壁圧密用軸体の先端部に設けられて、地盤を掘削する掘削ヘッドとを備えた無排土オーガ掘削工具である。
オーガ掘削工具とは、地盤に掘削孔を形成するアースオーガ工法に用いられる掘削工具である。
掘削される地盤の種類は限定されない。特に、泥や多量の水を含む常時柔らかい粘土、または未固結の軟らかい砂からかる"軟弱地盤"に好適である。国土交通省「宅地防災マニュアル」では、軟弱地盤の判定の目安として、有機質土・高有機質土(腐植)・N値3以下の粘性土・N値5以下の砂質土を挙げている。
オーガ掘削機の種類は、掘削時に掘削孔の孔壁を内側から支持するケーシングを有さないものであれば任意である。例えば、単軸式アースオーガ掘削機などを採用することができる。
回転圧入装置は、電動式ものもでも、油圧式のものでもよい。
ここでいう"円弧面部分"とは、孔壁を面接触状態で押圧可能な、孔壁圧密用軸体の長さ方向に直交した断面において(平面視して)、円弧状の湾曲面をいう。
ここでいう平坦面部分とは、孔壁圧密用軸体の長さ方向に直交する断面において、隣接する円弧面部分と円弧面部分とを直線的に結んだ(切欠した)領域をいう。円弧面部分と平坦面部分との突合せ部は、鋭角でも、面取りしてもよい。
"孔壁の土砂を圧密する"とは、孔壁圧密用軸体の円弧面部分によって掘削孔の孔壁の内周面に掘削土砂を押し付けることにより、孔壁周辺の土砂に含まれるボイド(空隙)が減少し、その土砂の体積が収縮していく(密度が高まる)現象をいう。
孔壁圧密用軸体とは、掘削孔の孔壁を圧密しながら地盤を掘削するための円筒状のアタッチメントである。孔壁圧密用軸体は、回転圧入装置の出力軸に直接連結することができる。
孔壁圧密用軸体は、中実、中空の何れでもよい。孔壁圧密用軸体を中実体とした場合、軟弱でない地盤であっても孔壁圧密用軸体の自重を利用して小さな押し込み力で掘削孔を形成することができる。また、孔壁圧密用軸体を中空とした場合、中実のものに比べて軽量であるため、孔壁と面接触する圧密用の工具でありながら、低出力の回転圧入装置を利用することができる。
掘削ヘッドの構造は任意である。例えば、掘削刃を有すものでも、そうでないものでもよい(例えば、弾頭型のもの)。
請求項2に記載の発明は、前記孔壁圧密用軸体の断面形状は、真円の両側部分を平行に切欠した略小判形を有している請求項1に記載の無排土オーガ掘削工具である。
ここでいう小判形とは、孔壁圧密用軸体の長さ方向に直交する断面形状が、真円の両側部分(円周方向では180度離間した部分)を平行に切欠した形状をいう。円弧面部分と平坦面部分との突合せ部(連続する部分)は、鋭角でも、面取りしてもよい。
ここでいう"小判形の円弧面部分"とは、孔壁を面接触状態で押圧可能な断面視して(平面視して)円弧状の湾曲面をいう。
請求項3に記載の発明は、前記孔壁圧密用軸体は、内部が空洞の孔壁圧密用中空体で、前記孔壁圧密用中空体は、前記回転圧入装置に取り付けられるオーガ軸に、連結部材を介して着脱自在に連結された請求項1または請求項2に記載の無排土オーガ掘削工具である。
ここでいう"中空の孔壁圧密用軸体"とは、金属棒からなる中実の孔壁圧密用軸体において、その軸線上に、掘削用の水や地盤改良材の供給孔を形成したことによる中空ではなく、それより肉薄な管状の軸体をいう。
請求項1に記載の発明によれば、掘削現場にオーガ掘削機を設置し、回転圧入装置に無排土オーガ掘削工具を装着して、例えば軟弱地盤を掘削する。掘削ヘッドにより掘削された土砂は、軟弱地盤が掘進されることで孔壁圧密用軸体に到達し、孔壁圧密用軸体の各平坦部分と掘削孔(杭孔)とのあいだの平面視して三日月状(真円を弦で切り欠いたかまぼこ形状)の空間(以下、三日月空間)にそれぞれ入り込む。
その後、各三日月空間に溜まった土砂は、オーガ掘削工具の回転に伴い、各三日月空間のうち、回転方向とは反対側の端部にそれぞれ移動する。
その後、各集められた土砂は、掘削孔の孔壁(掘孔周壁)と面接触している孔壁圧密用軸体の円弧面部分により、この孔壁にそれぞれ押圧されて、孔壁が圧密される。
このように、掘削時に発生した掘削土砂は、掘削孔の外に排出されずに孔壁に押し込められるため、従来のように掘削残土を産業廃棄物として処分する必要がなく(無排土で)、掘削孔の孔壁は圧密されて崩れにくくなる。その結果、従来のスクリュー掘削後に行われていた掘削孔内に落ちた土砂の排出作業が不要になるとともに、基礎杭の挿入後、孔壁の土砂が掘削孔と基礎杭との隙間に落ち込むことを原因とした地盤密度の低下、地盤沈下や基礎杭の支持の低下を減少させる。
また、孔壁と孔壁圧密用軸体との間には、大気と連通する空間(三日月空間)が存在するため、大気がスムーズに掘削孔の底部まで流入する。これにより、オーガ掘削工具を引き抜く際に、掘削ヘッドと掘削孔の底部との間が真空状態とならない。その結果、掘削孔の底部の真空化を原因とした孔壁の底部の崩壊を無くすことができる。
さらに、従来のような全長にわたる長尺なスクリューを使用しないため、スクリューによる作業者の巻き込み事故が発生しない。
さらにまた、このようなスクリュー式のものに比べて、使用後になされるオーガ掘削工具の清掃作業が容易となる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、このように孔壁圧密用軸体として、平面視して小判形形状のものを採用したため、掘削土砂を孔壁に押圧する円弧面部分の長さ(孔壁圧密用軸体の周方向の長さ)が長くとれる。これにより、三日月空間に溜まった土砂を孔壁に長時間しっかりと押し付けることが可能となる。その結果、この孔壁の圧密度をさらに高めることができるとともに、孔壁の磨き効果も得られ、孔壁面(掘孔周壁面)を凹凸が少ない曲面に仕上げることができる。そのため、オーガ掘削工具を引き抜く際や、掘削孔に例えば杭を挿入する際に、対応する掘削工具や杭を、スムーズに抜き差しすることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、回転圧入装置に取り付けられるオーガ軸に、連結部材を介して、孔壁圧密用中空体を着脱自在に連結する構成を採用したため、孔壁圧密用中空体をアタッチメントとして、既存の軟弱地盤用オーガ掘削工具を、簡単に本発明の効果を有するものに変更することができる。
この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具を搭載したオーガ掘削機の使用状態を示す側面図である。 (a)は、この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具の平面図である。(b)は、この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具の正面図である。 (a)は、この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具の使用状態における平面図である。(b)は、この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具の使用状態における正面図である。 (a)は、この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具による掘進(回転)が進んだ状態の平面図である。(b)は、この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具による掘進が進んだ状態の正面図である。 この発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具により掘削孔の孔壁が徐々に圧密されて行く状態を示す要部拡大横断面図である。 この発明の実施例2に係る無排土オーガ掘削工具の斜視図である。
以下、この発明の実施例を、図面を参照して具体的に説明する。ここでは、木造住宅の基礎杭を埋設するための単軸式アースオーガ工法で使用されるオーガ掘削工具を例にとる。
図1において、10はこの発明の実施例1に係る無排土オーガ掘削工具(以下、単に「オーガ掘削工具」という。)で、このオーガ掘削工具10は、オーガ掘削機11の回転圧入装置(アースオーガ)12に着脱自在に装着されて、木造住宅が建築される軟弱地盤に、基礎杭を圧入するための鉛直な掘削孔(杭孔)13を形成するためのものである。
図1に示すように、オーガ掘削機11は、単軸式アースオーガ工法に用いられるクローラ走行式のもので、上下方向に延びるガイドレール14が前側面に固定された長尺な支持部材15と、オーガ掘削工具10を回転させながら、ガイドレール14に沿って昇降させる前記回転圧入装置12とを備えている。
以下、図1および図2を参照して、このオーガ掘削工具10を詳細に説明する。
オーガ掘削工具10は、真円の両側部分を平行に切欠した(長さ方向に直交する)断面形状が小判形を有し(図2(a))、この小判形の円弧面部分18aによって掘削孔13の孔壁17を面接触状態で押圧することで、孔壁17の土砂を圧密する孔壁圧密用中空体(孔壁圧密用軸体)18と、回転圧入装置12に着脱自在に連結されるオーガ軸19と、孔壁圧密用中空体18の先端部(下端部)に設けられて、軟弱地盤を掘削する掘削ヘッド20とを備えている。
孔壁圧密用中空体18は、直径200mm、長さ6,000mmで、厚さが30mmの鋼管16を本体とする。鋼管16の両側部をそれぞれ縦割りして除去し、現出した縦長な各側面開口を短冊状の平坦な鋼板(平坦面部分)21によりそれぞれ塞ぐ。これにより、断面が真円の外周面に、所定間隔(90°ピッチ)で2つの円弧面部分18aと2つの平坦面部分(鋼板21)とが交互に連続配置された、平面視して小判形の孔壁圧密用中空体18が作製される。なお、鋼管16は、複数本を継ぎ足して使用することができる。
また、孔壁圧密用中空体18の下端開口には、下方へ向かって徐々に先細化した鋼管製の短尺な窄み部22が一体形成されている。窄み部22の小径な下端開口には、表裏面を貫通した多数の貫通孔(図示せず)を有する厚肉な円板状の掘削ヘッド20が一体的に連結されている。
窄み部22は、掘削ヘッド20によって掘削した土砂を、左右一対の三日月空間aにそれぞれ導くための競り上げガイドとなる。
さらに、掘削ヘッド20の下面には、軟弱地盤を掘削するための多数の掘削刃23が所定ピッチで配設されており、掘削ヘッド20の中心部には、オーガ軸19の先端部が着脱自在に嵌合される嵌合孔24が形成されている。
また、鋼管16の上端部内の中央部には、鋼管16の内周面の対向部分から内方へ突出した左右一対の梁枠25を介して、オーガ軸19の上端部を両側方から挟持する左右一対のカップリング26がそれぞれ配されている(図3(a)、(b))。
さらに、鋼管16の内周面のうち、その上部と、その下端部と、その長さ方向の中間部とには、互いに左右平行に離間した2枚1組(合計12組)の回転力受け板片(連結部材)27が、周方向へ90°ピッチで、鋼管16の内方へ放射状に突設されている(図2(a),(b))。
さらにまた、オーガ軸19の外周面には、その基端部付近と、その先端部付近と、その長さ方向の中間部とに、周方向へ90°ピッチで、合計12枚の矩形状の回転力伝達板片(連結部材)28が放射状に突設されている。
オーガ軸19の孔壁圧密用中空体18への装着時には、オーガ軸19を孔壁圧密用中空体18の軸線に沿って、その内部空間に挿入する。これにより、各回転力伝達板片28が、対応する組の2枚の回転力受け板片27の隙間に差し込まれるとともに、オーガ軸19の先端部が掘削ヘッド20の嵌合孔24に嵌合される。一方、孔壁圧密用中空体18の上端部内では、作業者がオーガ軸19の基端部(上端部)を、左右一対のカップリング26により挟み込んでボルト締結する。これらにより、オーガ軸19と孔壁圧密用中空体18とが一体的に連結される。
掘削孔掘削時、回転圧入装置12により発生したオーガ軸19の回転力は、各カップリング26から、対応する梁枠25をそれぞれ経て、孔壁圧密用中空体18へ伝達される。さらに、各回転力伝達板片28から各回転力受け板片27を経て、孔壁圧密用中空体18へとそれぞれ伝達される。
このように、オーガ軸19の基端部を、各カップリング26を介して孔壁圧密用中空体18の上端部にボルト締結するとともに、オーガ軸19の先端部を掘削ヘッド20の嵌合孔24に嵌合するようにしたため、ボルト締め工具(スパナ等)が届かないオーガ軸19の中間領域内では、単に各組2枚の回転力受け板片27の隙間に、対応する回転力伝達板片28を抜き差し自在に挿入しただけの動力伝達構造であっても、オーガ軸19の回転力と、オーガ軸19の上下方向の推進力とを、支障なく孔壁圧密用中空体18に伝達することができる。
次に、図1〜図5を参照して、この発明の実施例1に係るオーガ掘削工具10を使用して、単軸式アースオーガ工法により、軟弱地盤上に建築する木造住宅の基礎杭を埋設するための掘削孔13を形成する方法を説明する。
図1に示すように、まず、掘削現場にオーガ掘削機11を配置し、また図示しない管接手を介して、回転圧入装置12の出力軸にオーガ軸19の上端部を連結する。
次いで、軟弱地盤の掘削箇所付近に支持部材15を鉛直に起立させた後、回転圧入装置12を作動して、孔壁圧密用中空体18を回転させながら徐々に下降する。これにより、軟弱地盤が掘削ヘッド20により徐々に掘削されて行く。発生した掘削土砂bは、軟弱地盤の掘進に伴い、下向き円錐台状の窄み部22をガイドにして徐々に競り上がり、一対の三日月空間aにそれぞれ下方から入り込む(図3(a)、(b))。
次に、各三日月空間aに溜まった掘削土砂bは、オーガ掘削工具10の回転に伴い、各三日月空間aのうち、回転方向とは反対側の端部にそれぞれ移動する(図4(a),(b))。
その後、各三日月空間aの前記部分に集められた掘削土砂bは、掘削孔13の孔壁17と面接触している平面視して小判形の孔壁圧密用中空体18の円弧部分18aにより、この孔壁17にそれぞれ押圧されて、孔壁17の内周部の土砂が圧密部cとなる。
このように、掘削時に発生した掘削土砂bは、掘削孔13の外に排出されることなく孔壁17に押し込められるため、従来のように掘削残土を産業廃棄物として処分する必要がない。また、掘削孔13の孔壁17は、このように圧密されているため、崩れにくくなる。その結果、従来のスクリュー掘削後に行われていた掘削孔13内に落ちた土砂の排出作業が不要になるとともに、基礎杭(鋼管)の挿入後、孔壁17の土砂が掘削孔13と基礎杭との隙間に落ち込むことを原因とした地盤密度の低下、地盤沈下や基礎杭の支持の低下が発生しない。
また、このように孔壁圧密用中空体18として、平面視して小判形のものを採用したため、掘削土砂bを孔壁17に押圧する円弧面部分18aの長さ(孔壁圧密用中空体18の周方向の長さ)を長く確保することができる。これにより、三日月空間aに溜まった掘削土砂bを、孔壁17に対して長時間しっかりと押し付けることが可能となる。その結果、孔壁17の圧密度をさらに高めることができるとともに、孔壁17の磨き効果も得られ、孔壁面(掘孔周壁面)を凹凸の少ない湾曲面に仕上げることができる。そのため、掘削孔13からオーガ掘削工具10を引き抜く際や、掘削孔13に基礎杭を挿入(圧入)する際に、対応するオーガ掘削工具10や基礎杭を、スムーズに抜き差しすることができる。
さらにまた、孔壁17と孔壁圧密用中空体18との間には、大気と連通する空間(三日月空間a)が存在するため、外部空気がスムーズに掘削孔13の底部まで流入する。これにより、オーガ掘削工具10を引き抜く際に、掘削ヘッド20と掘削孔13の底部との間が真空状態とならない。その結果、この引き抜き時において、掘削孔13の底部の真空化を原因とした孔壁17の底部の崩壊を無くすことができる。
また、従来のスクリューを使用しないため、スクリューによる作業者の巻き込み事故が発生しない。
さらに、このようなスクリュー式のものに比べて、使用後になされるオーガ掘削工具10の清掃作業が容易となる。
さらにまた、中実のものより軽量な孔壁圧密用中空体18を使用しているため、孔壁17と面接触する圧密用の工具でありながら、低出力の回転圧入装置12を利用可能であるとともに、構造が簡単で壊れにくく、製造も容易となる。
また、回転圧入装置12に取り付けられるオーガ軸19に、回転力受け板片27、回転力伝達板片28を介して、孔壁圧密用中空体18を着脱自在に連結する構成を採用したため、孔壁圧密用中空体18をアタッチメントとして、既存のオーガ掘削工具10を、簡単に本発明の効果を有するものに変更することができる。
次に、図6を参照して、この発明の実施例2に係るオーガ掘削工具を説明する。
図6に示すように、実施例2のオーガ掘削工具10Aの特徴は、オーガ軸19を省き、孔壁圧密用中空体18に代えて、細長い中実の金属棒である孔壁圧密用軸体18Aを採用するとともに、掘削ヘッド20に代えて、短尺な円柱体の掘削ヘッド20Aを採用した点である。
孔壁圧密用軸体18Aは、断面が真円の孔壁圧密用軸体18Aの外周面に、その周方向へ90°ピッチで2つの円弧面部分18aと2つの平坦面部分18bとが交互に(隣接して)配されたものである。孔壁圧密用軸体18Aの基端部(上端部)は、直接、回転圧入装置12の出力軸に着脱自在に連結される。
掘削ヘッド20Aの胴部には、ボルトのねじ部に似たねじ山20aが形成されている。
孔壁圧密用軸体18Aおよび掘削ヘッド20Aの軸線上には、各全長にわたって、掘削用の水や地盤改良材を掘削ヘッド20Aの先端口から吹き出すための供給孔30が形成されている。
このように、中実の孔壁圧密用軸体18Aを採用したため、軟弱でない地盤であっても孔壁圧密用軸体18Aの自重を利用して小さな押し込み力で掘削孔13を形成することができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能であるため、説明を省略する。
この発明は、アースオーガ工法により軟弱地盤に基礎杭などの杭孔を形成するための技術として有用である。
10,10A 無排土オーガ掘削工具、
11 オーガ掘削機、
12 回転圧入装置、
13 掘削孔、
17 孔壁、
18 孔壁圧密用中空体(孔壁圧密用軸体)、
18A 孔壁圧密用軸体、
18a 円弧面部分、
18b 平坦面部分、
19 オーガ軸、
20 掘削ヘッド、
21 鋼板(平坦部分)、
27 回転力受け板片(連結部材)、
28 回転力伝達板片(連結部材)、
b 掘削土砂。

Claims (3)

  1. オーガ掘削機の回転圧入装置に装着されて、回転しながら下降することにより地盤に掘削孔を形成する無排土オーガ掘削工具において、
    断面形状が大略真円形状で、その外周面に円弧面部分と平坦面部分とが配されて、この円弧面部分により掘削した土砂を前記掘削孔の孔壁に面接触状態で押圧することにより該孔壁の土砂を圧密する孔壁圧密用軸体と、
    該孔壁圧密用軸体の先端部に設けられて、地盤を掘削する掘削ヘッドとを備えた無排土オーガ掘削工具。
  2. 前記孔壁圧密用軸体の断面形状は、真円の両側部分を平行に切欠した略小判形を有している請求項1に記載の無排土オーガ掘削工具。
  3. 前記孔壁圧密用軸体は、内部が空洞の孔壁圧密用中空体で、
    前記孔壁圧密用中空体は、前記回転圧入装置に取り付けられるオーガ軸に、連結部材を介して着脱自在に連結された請求項1または請求項2に記載の無排土オーガ掘削工具。
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