JP2019183067A - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低温使用時においても優れた低摩擦効果を示す潤滑油組成物を提供することを目的とする。【解決手段】硫黄含有有機モリブデン化合物と、5ppm超1000ppm以下の平均粒径1μm以下のバブルを含む、潤滑油組成物。【選択図】図2
Description
本発明は、潤滑油組成物に関する。
自動車には様々な摺動部材が用いられており、摺動部材の摩擦係数を低減することは自動車の性能向上に繋がるので、重要視されている。
ここで、摺動面間に作用する摩擦係数は、摺動面の表面状態と摺動面間の潤滑状態により異なるため、摩擦係数の低減を図る場合、摺動面の材料や摺動面間へ供給する潤滑油の改良が検討される。
このような潤滑油の改良技術として、潤滑油中にバブルを添加する技術が知られており、例えば、特許文献1には、内燃機関内あるいは変速機内を循環する媒体の媒体循環装置において、マイクロバブルを発生させ、循環する媒体に混入するマイクロバブル発生手段を備える媒体循環装置が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されるようなバブルを添加した潤滑油では、潤滑油のせん断抵抗低減及び局所粘度低減により、流体潤滑領域における摩擦力を低減させることが可能であるが、混合潤滑領域及び境界潤滑領域における摩擦力の低減は十分ではない。
一方、混合潤滑領域及び境界潤滑領域においても低摩擦効果を示す潤滑油組成物として、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等のモリブデン系添加剤を用いた潤滑油組成物が広く用いられており、例えば、特許文献2には、合成油に、添加剤として所定量のモリブデン化合物を配合した潤滑油組成物が開示されている。
ここで、近年、電気をエネルギー源とする電気自動車(EV)、ガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたハイブリッド車(HV)、ガソリンと電気をエネルギー源とするプラグインハイブリッド車(PHV)等のエコカーの開発が進められているが、EV、HV及びPHVのリダクションギヤは、混合潤滑領域及び境界潤滑領域で使用され、また、運転時の潤滑油の温度上昇は緩やかであり、潤滑油の最高油温や平均油温が低下することも予想されており、常温域から低摩擦効果が発現する潤滑油組成物が求められている。
しかし、特許文献2に開示されるMoDTC等のモリブデン化合物を用いた潤滑油組成物では、モリブデン化合物の熱分解により低摩擦効果が発現するため、20℃〜40℃程度の常温レベルでは、その低摩擦効果は十分に発揮されない。
前記の通り、従来の潤滑油組成物では、低温使用時における低摩擦効果が十分ではなかった。それ故、本発明は、低温使用時においても優れた低摩擦効果を示す潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、硫黄含有有機モリブデン化合物と、平均粒径1μm以下のバブルを併用することにより、潤滑油組成物の低温使用時における低摩擦効果を改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)硫黄含有有機モリブデン化合物と、5ppm超1000ppm以下の平均粒径1μm以下のバブルを含む、潤滑油組成物。
(1)硫黄含有有機モリブデン化合物と、5ppm超1000ppm以下の平均粒径1μm以下のバブルを含む、潤滑油組成物。
本発明により、低温使用時においても優れた低摩擦効果を示す潤滑油組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の潤滑油組成物は、硫黄含有有機モリブデン化合物を添加剤として基油に配合した潤滑油に、所定量の平均粒径1μm以下のバブルをさらに配合したものであり、すなわち、硫黄含有有機モリブデン化合物と、所定量の平均粒径1μm以下のバブルを含む。本発明の潤滑油組成物は、硫黄含有有機モリブデン化合物と、平均粒径1μm以下のバブル(以下、ファインバブルとも記載する)を組み合わせることにより、低温(常温域:20℃以上40℃以下程度)使用時においても優れた低摩擦効果を発現する。
本発明の潤滑油組成物による低摩擦発現メカニズムは以下のように推定される。まず、潤滑油組成物に含まれる硫黄含有有機モリブデン化合物は、摺動部材表面又はその表面上に生成した酸化層に吸着し、熱分解により二硫化モリブデン(MoS2)を摺動部材表面等の上に生成し、このMoS2により摺動面同士の直接接触が回避され、低摩擦効果を発現すると考えられる。硫黄含有有機モリブデン化合物とファインバブルを併用した本発明の潤滑油組成物では、潤滑油組成物が摺動面に供給されると、摺動面にファインバブルが混入し、このファインバブルが垂直荷重及びせん断荷重を受けて破泡することで、バブル破泡部において局所的な油膜切れが発生し、この部分で摺動部材間の固体接触による局所的な発熱が起こり、この発熱により、摺動部材等の表面に吸着した硫黄含有有機モリブデン化合物が分解・反応してMoS2を生成し、これによって、低温使用時においても低摩擦効果を発現すると考えられる。すなわち、本発明の潤滑油組成物では、硫黄含有有機モリブデン化合物と所定量のファインバブルを併用することにより、バブル破泡部における局所的な発熱によりMoS2が生成するという特異的な挙動を示す。
潤滑油組成物に用いられる基油(ベースオイル)としては、特に限定されずに、従来用いられる動物・植物油、鉱油、合成油等を用いることができるが、鉱油が好ましく、パラフィン系鉱油がより好ましい。基油は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上の混合物で用いてもよい。なお、基油の動粘度や粘度指数等は特に限定されず、潤滑油に通常用いられ得る範囲内に制御されていればよい。
硫黄含有有機モリブデン化合物は、本発明の潤滑油組成物において、添加剤として用いられている。硫黄含有有機モリブデン化合物は、硫黄を含有する有機モリブデン化合物であれば特に限定されないが、例えば、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)、モリブデン酸ジアルキルアミン等が挙げられる。これらの中で、低摩擦効果に優れることから、モリブデンジチオカーバメート及びモリブデンジチオホスフェートが好ましい。
硫黄含有有機モリブデン化合物の添加量は、潤滑油組成物全量に対するモリブデン(Mo)の質量割合で、通常300ppm以上2000ppm以下であり、好ましくは500ppm以上1500ppm以下である。
潤滑油組成物は、平均粒径1μm以下のバブルを含む。なお、本明細書において、平均粒径1μm以下のバブルをファインバブルとも記載する。
バブルは、特に限定されずに、例えば、空気の他、窒素、アルゴン等の不活性ガス及び二酸化炭素、並びにそれらの混合気体等の気体である。バブルが空気であると、バブル発生時に特殊な気体を用いる必要がない点で好ましい。また、バブルが、窒素、アルゴン等の不活性ガス及び二酸化炭素であると、空気の場合と比較して摩擦係数がより低減するため好ましい。このメカニズムは以下のように推定される。具体的には、摺動面では、摺動による摺動部材表面の酸化層の摩滅と、酸素との接触による酸化層の生成が繰り返されるため、添加剤の硫黄含有有機モリブデン化合物は、通常、酸化層に吸着して低摩擦効果を発揮する。しかし、硫黄含有有機モリブデン化合物は、酸化層に比べて摺動部材表面に吸着し易い。バブルが、窒素、アルゴン等の不活性ガス及び二酸化炭素であると、摺動面に供給される酸素量を低減でき、摺動部材表面の酸化層の生成を抑制できるので、摺動部材表面に吸着する硫黄含有有機モリブデン化合物の量が増加し、結果として生成するMoS2量が増加し、摩擦係数がより低減すると考えられる。
潤滑油組成物中のバブルの平均粒径は1μm以下である。バブルの平均粒径が1μm以下であると、油膜切れによる摺動面の凝着を十分に抑制することができる。バブルの平均粒径は、好ましくは0.3μm以下である。バブルの平均粒径が0.3μm以下であると、油膜が薄い部位にもバブルを十分に供給でき、低摩擦効果をより発現し易くなり、また、摺動面の凝着を確実に抑制することができる。本発明において、バブルの平均粒径は、定量レーザ回折・散乱法によって測定された個数基準の粒径分布から求められる50%積算値(D50)をいう。バブルの平均粒径は、例えばSALD−7500ファインバブル計測システム(島津製作所社製)を用いて測定できる。
潤滑油組成物は、潤滑油組成物に対して5ppm超1000ppm以下のバブルを含む。バブルの添加量が5ppm以下であると、摺動面に供給されるバブルが不足し、十分な摩擦低減効果が得られず、また、1000ppm超であると、摩擦係数はほぼ一定となり、また、コストの面でも好ましくない。潤滑油組成物中のバブルの添加量は、バブルの粒径分布とバブルの濃度(単位体積当たりの個数)から体積基準で算出できる。バブルの濃度は、バブルの平均粒径の測定と同様にして、定量レーザ回折・散乱法によって、例えばSALD−7500ファインバブル計測システム(島津製作所社製)を用いて測定できる。なお、本発明の潤滑油組成物の使用時において、バブルは破泡し、潤滑油組成物中のバブルの量は徐々に減少していくと考えられるところ、必要に応じて潤滑油組成物にバブルを追添加して、バブル添加量を望ましい範囲に調整してもよい。
バブルは、例えば、旋回流式、微細孔式、過飽和析出式、ループ流式(エジェクター式)等のバブル発生装置を用いて、潤滑油組成物に添加することができる。旋回流式のバブル発生装置は、例えば、特開2007−209953号公報に記載されている。微細孔式のバブル発生装置は、例えば、特開平9−207874号公報に記載されている。過飽和析出式のバブル発生装置は、例えば、特開2007−844号公報に記載されている。ループ流式のバブル発生装置は、例えば、特開2009−189984号公報に記載されている。本発明において、ループ流式のバブル発生装置が好ましい。
旋回流式のバブル発生装置はノズルを備えており、このノズル内で螺旋流を発生させ、ノズル内に供給される潤滑油組成物中に高速の螺旋流を形成し、これに気体を導入し、潤滑油組成物の回転せん断により気体をせん断して、平均粒径1μm以下のバブルを生成する。このようにして発生したバブルは、その粒径が小さいことにより潤滑油組成物中での浮上速度が遅く、また、コロイドのような性質があり、バブル同士が相互に合体したり吸収したりしないので、潤滑油組成物中でバブルが分離又は分散した状態を維持できる。
旋回流式のバブル発生装置を用いる場合、例えば、バブル添加前の潤滑油組成物を所定の条件下で循環させ、これに、気体流量、気体添加時間及びノズル内の気体旋回速度を適宜設定してバブルを添加することで、目的とする平均粒径及び添加量のバブルを潤滑油組成物に添加できる。バブルの発生は、室温(約25℃)で行うことができる。なお、バブルの添加により、通常、潤滑油組成物の液温は上昇する。
ループ流式のバブル発生装置の原理は、ベンチュリー効果を補助的に使い、流れ方向が変わる部分で激しい乱流を起こしバブルを細かく粉砕する方式である。気体自給口から流入してきた気体は、気体自給口の気液混合ループ流式攪拌室側端部で剪断されながら一部が液体供給孔から供給された液体と衝突した際の乱流によりさらに細分化され、噴射口から噴射される。
ループ流式のバブル発生装置を用いる場合、例えば、バブル添加前の潤滑油組成物を所定の流量、圧力の条件下で循環させ、これに、圧力気体流量、気体添加時間を適宜設定してバブルを添加することで、目的とする平均粒径及び添加量のバブルを潤滑油組成物に添加できる。バブルの発生は、室温(約25℃)で行うことができる。なお、バブルの添加により、通常、潤滑油組成物の液温は上昇する。
一実施形態において、ループ流式のバブル発生装置を用いる場合、バブル添加前の潤滑油組成物液量9Lに対して潤滑油量を7L/分〜8L/分、供給圧力0.05MPa〜0.06MPaとし、バブル添加の際の気体流量を潤滑油量の1/100〜1/150内に調整し、気体添加時間を30分とする。
潤滑油組成物には、前記の成分の他に、必要に応じて種々の添加剤を適宜配合することができる。他の添加剤としては、極圧剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、金属不活性剤、油性向上剤、消泡剤、流動点降下剤、清浄分散剤、防錆剤、抗乳化剤等や、その他の公知の潤滑油添加剤を挙げることができる。他の添加剤の添加量は、潤滑油組成物に対して、通常20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の潤滑油組成物は、好ましくは、摺動部材に用いられる。摺動部材としては、特に限定されずに、例えば湿式クラッチ、エンジンのピストン、ギヤ(例えばリダクションギヤ)、スプライン、すべり軸受、ワッシャー、動弁系部品等が挙げられる。本発明の潤滑油組成物は、低温使用時においても優れた低摩擦効果を発揮するため、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)等のリダクションギヤに特に適する。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
サンプル油の調製
(実施例1)
硫黄含有有機モリブデン化合物としてモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)(ADEKA社製、アデカサクラルーブ200)を用い、これを基油(150N鉱油:40℃における動粘度が32.8mm2/sであり、100℃における動粘度が5.6mm2/sであるパラフィン系鉱油)に添加したものをベースの潤滑油とした。MoDTCの添加量は、サンプル油全量に対して、Mo量に換算して質量基準で700ppmとした。
(実施例1)
硫黄含有有機モリブデン化合物としてモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)(ADEKA社製、アデカサクラルーブ200)を用い、これを基油(150N鉱油:40℃における動粘度が32.8mm2/sであり、100℃における動粘度が5.6mm2/sであるパラフィン系鉱油)に添加したものをベースの潤滑油とした。MoDTCの添加量は、サンプル油全量に対して、Mo量に換算して質量基準で700ppmとした。
バブル気体として空気を用い、バブルの平均粒径が0.3μmとなり、バブル添加量が、サンプル油に対して体積基準で100ppmとなるように、バブルをベースの潤滑油に添加した。
具体的には、ベースの潤滑油9Lをタンクに入れ、タンクのポンプ吐出側配管の先端にループ流式バブル発生装置(OKエンジニアリング社製、OKE−MB04FJ)をタンク内設置し、渦流タービンポンプを用いて、ポンプ圧力0.05MPaで、ベースの潤滑油を7L/分にて30分間循環させ、バブル発生装置によりバブルを添加した。バブル発生装置の気体供給量は、ベースの潤滑油の循環量の1/100〜1/150内で調整し、約70cc/分にて供給した。バブル添加は室温で行い、油温は18℃から22℃に推移した。
(実施例2)
バブル添加量を500ppmとした以外は実施例1と同様にして実施例2のサンプル油を調製した。
バブル添加量を500ppmとした以外は実施例1と同様にして実施例2のサンプル油を調製した。
(実施例3)
バブル気体を窒素に代えた以外は実施例1と同様にして実施例3のサンプル油を調製した。
バブル気体を窒素に代えた以外は実施例1と同様にして実施例3のサンプル油を調製した。
(実施例4)
バブル気体を二酸化炭素に代えた以外は実施例1と同様にして実施例4のサンプル油を調製した。
バブル気体を二酸化炭素に代えた以外は実施例1と同様にして実施例4のサンプル油を調製した。
(実施例5)
硫黄含有有機モリブデン化合物をモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)(ADEKA社製、アデカサクラルーブ300)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例5のサンプル油を調製した。
硫黄含有有機モリブデン化合物をモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)(ADEKA社製、アデカサクラルーブ300)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例5のサンプル油を調製した。
(比較例1)
バブル添加量を5ppmとした以外は実施例1と同様にして比較例1のサンプル油を調製した。
バブル添加量を5ppmとした以外は実施例1と同様にして比較例1のサンプル油を調製した。
(比較例2、3)
バブルを添加していない、実施例1で用いたベースの潤滑油を比較例2、3のサンプル油として用いた。
バブルを添加していない、実施例1で用いたベースの潤滑油を比較例2、3のサンプル油として用いた。
バブルを添加したサンプル油について、バブルの平均粒径及びバブル添加量を測定した。
[バブルの平均粒径]
バブル計測装置:SALD−7500ファインバブル計測システム(島津製作所社製)を用いて、個数基準の粒径分布を20℃で測定し、50%積算値(D50)を平均粒径とした。
[バブル添加量]
バブル計測装置:SALD−7500ファインバブル計測システム(島津製作所社製)を用いて、測定項目:粒径分布及び粒子濃度(単位体積当たりの個数)を20℃で測定し、得られた粒径分布とバブル濃度からバブル添加量を体積基準で算出した。
[バブルの平均粒径]
バブル計測装置:SALD−7500ファインバブル計測システム(島津製作所社製)を用いて、個数基準の粒径分布を20℃で測定し、50%積算値(D50)を平均粒径とした。
[バブル添加量]
バブル計測装置:SALD−7500ファインバブル計測システム(島津製作所社製)を用いて、測定項目:粒径分布及び粒子濃度(単位体積当たりの個数)を20℃で測定し、得られた粒径分布とバブル濃度からバブル添加量を体積基準で算出した。
実施例1〜5及び比較例1〜3のサンプル油について、硫黄含有有機モリブデン化合物の種類、バブル気体の種類及び添加量、並びに下記の摩擦試験の評価温度を表1に示す。
評価
実施例1〜5及び比較例1〜3のサンプル油について、摩擦試験を行った。具体的には、振動摩擦摩耗試験機(SRV4試験機)を用いて、平板試験片(ディスク)(サイズ:φ24×7.9mm、材質:SUJ2 Hv720、表面粗さ:0.8μRa)と、平板試験片の上に置いた樽型試験片(シリンダー)(サイズ:φ15×22mm、材質:SUJ2 Hv720、表面粗さ:0.8μRa)を、サンプル油を平板試験片と樽型試験片の間に配置して、往復摺動させ、一定荷重で規定時間保持した際の安定時の平均摩擦係数を測定した。図1(a)に、SRV4試験機の垂直方向の断面模式図を示し、図1(b)に、試験部の外観の模式図を示す。また、摩擦試験条件は以下のようにした。なお、摩擦試験開始時の試験油温を評価温度とした。
実施例1〜5及び比較例1〜3のサンプル油について、摩擦試験を行った。具体的には、振動摩擦摩耗試験機(SRV4試験機)を用いて、平板試験片(ディスク)(サイズ:φ24×7.9mm、材質:SUJ2 Hv720、表面粗さ:0.8μRa)と、平板試験片の上に置いた樽型試験片(シリンダー)(サイズ:φ15×22mm、材質:SUJ2 Hv720、表面粗さ:0.8μRa)を、サンプル油を平板試験片と樽型試験片の間に配置して、往復摺動させ、一定荷重で規定時間保持した際の安定時の平均摩擦係数を測定した。図1(a)に、SRV4試験機の垂直方向の断面模式図を示し、図1(b)に、試験部の外観の模式図を示す。また、摩擦試験条件は以下のようにした。なお、摩擦試験開始時の試験油温を評価温度とした。
[摩擦試験条件]
試験荷重:1000N
振幅:3mm
周波数:50Hz
潤滑状態:サンプル油中ディッピング
評価温度:25℃(実施例1〜5、比較例1〜2)、80℃(比較例3)
試験荷重:1000N
振幅:3mm
周波数:50Hz
潤滑状態:サンプル油中ディッピング
評価温度:25℃(実施例1〜5、比較例1〜2)、80℃(比較例3)
図2に、実施例1〜5及び比較例1〜3のサンプル油についての摩擦試験の結果を示す。実施例1、2と比較例1、2の比較により、通常、硫黄含有有機モリブデン化合物の低摩擦効果が発現しない潤滑油温25℃において、5ppm超の平均粒径1μm以下のバブルを添加することにより、摩擦係数が有意に低減することが示された。これは、硫黄含有有機モリブデン化合物と、バブルを組み合わせることによって、バブル破泡部における局所的な発熱により、硫黄含有有機モリブデン化合物が分解・反応して、低摩擦に寄与するMoS2が十分量生成したためであると考えられる。
実施例1、3、4の比較により、バブルが、不活性ガスである窒素や二酸化炭素である場合、空気の場合と比較して摩擦係数がさらに低減することが示された。これは、バブルが不活性ガスである窒素や二酸化炭素であると、摺動部材表面における酸化層の生成を抑制できるので、摺動部材表面に吸着する硫黄含有有機モリブデン化合物の量が増加し、生成するMoS2量が増加したためであると考えられる。また、バブル気体が窒素や二酸化炭素の場合、潤滑油温25℃の低温使用時においても、バブルを含まない潤滑油の80℃の場合と同等の摩擦低減効果を示した(実施例3、4及び比較例3)。
実施例1、5の比較により、硫黄含有有機モリブデン化合物としてMoDTC及びMoDTPを用いたいずれの場合であっても、バブルの添加により優れた摩擦低減効果を示すことが示された。
Claims (1)
- 硫黄含有有機モリブデン化合物と、5ppm超1000ppm以下の平均粒径1μm以下のバブルを含む、潤滑油組成物。
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