JP2019182775A - メラトニンの分泌開始時刻遅延促進用組成物、早期覚醒改善用組成物及び概日リズムの位相前進化の改善用組成物 - Google Patents

メラトニンの分泌開始時刻遅延促進用組成物、早期覚醒改善用組成物及び概日リズムの位相前進化の改善用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、概日リズムの乱れを安全且つ簡便に改善、予防、防止および/または治療することができ、かつ、日常的に摂取することのできる新規な組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、メラトニンの分泌開始時刻遅延促進用組成物、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、早期覚醒改善用組成物およびオルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、概日リズムの位相前進化の改善用組成物に関する。【選択図】図3

Description

本発明は、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、メラトニンの分泌開始時刻を遅延させるための組成物及び早期覚醒を改善するための組成物に関する。
各種の生理、薬理機能を有し、人間の生理機能や障害に対する改善作用を有する物質として、多くのアミノ酸が知られている。アミノ酸の中でも、塩基性アミノ酸であるオルニチンは、成長ホルモンを分泌させ筋肉合成を増強する、又は、基礎代謝を高め肥満を予防する食品素材として、米国及び日本を中心に用いられている。
また、オルニチンは、欧州では肝臓障害を改善する医薬品としてL−オルニチンL−アスパラギン酸塩の形態で用いられている。オルニチンの薬理的な機能に基づいて、各種の症状改善剤が開示されている。
例えば、特許文献1には、仕事や家事、余暇のスポーツ等の日常活動において現れる肉体的な及び精神的な疲労、すなわち、生理的疲労に対して、その疲労自覚症状を改善する組成物、あるいは、各種の感染症若しくは基礎疾患に伴う症状、又は身体的、精神的障害に伴う症状として現れる病的疲労に対してその疲労自覚症状を改善する組成物として、オルニチン又はその塩を有効成分とする疲労自覚症状改善用組成物あるいは疲労軽減剤が開示されている。
また、オルニチンのその他の改善剤として、特許文献2には、オルニチン又はその塩を有効成分とする寝つき又は寝起き改善用経口剤が開示されている。さらに、特許文献3には、オルニチン、リジン、アルギニン及びシトルリンから選択される塩基性アミノ酸を含む睡眠改善剤が開示されている。
睡眠と覚醒の規則的な概日リズム、いわゆる体内時計が乱れると、睡眠障害を生じる。その原因は身体・精神疾患の場合もあるが、環境や生理的な変化、たとえば海外旅行や夜間勤務前後など、体内時計の直接の乱れも睡眠障害の大きな要因である。概日リズムを調整するのは、おもに松果体で合成・分泌されるメラトニンである。メラトニンは周囲が暗くなると分泌されて睡眠を誘うため、睡眠ホルモンともいわれる(非特許文献1)。
睡眠障害の症状として、例えば、普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう早期覚醒(早朝覚醒)、夜間中々入眠出来ず寝つくのに普段より2時間以上かかる入眠障害、夜一旦寝ついても夜中に目が醒め易く2回以上目が醒める中間覚醒、朝起きたときにぐっすり眠った感じの得られない熟眠障害などが挙げられる。
早期覚醒は、概日リズム位相の前進化と対応していると考えられている。早期覚醒はどの年代にも生じ得るものであり、特に高齢者になると概日リズム位相が前進しやすく、それに伴い早期覚醒を生じやすい(非特許文献2)。
概日リズムの乱れを調整するために、臨床学的にメラトニン又はその受容体アゴニスト製剤が用いられているが、他疾患との関連で投与が制限される、副作用を生じる、効果発現に時間を要する等の問題がある(非特許文献3)。
国際公開第2007/040244号 特開2006−342148号公報 特開2008−50352号公報
時間生物学、2011年、17巻1号、p. 23−34 医学のあゆみ、2012年、242巻11号、p.868−872 「ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム(The Journal of clinical endocrinology and metabolism)」,2003年、88巻、p.4689−4695 日本老年医学会雑誌、2012年、49巻、p.541−546
本発明は、概日リズムの乱れを安全且つ簡便に改善、予防、防止および/または治療することができ、かつ、日常的に摂取することのできる新規な組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、オルニチンを投与することにより、メラトニンの分泌開始時刻を効果的に遅延させて、早期覚醒を改善し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、メラトニンの分泌開始時刻遅延促進用組成物。
[2]オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、早期覚醒改善用組成物。
[3]オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、概日リズムの位相前進化の改善用組成物。
[4]経口組成物である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の組成物。
本発明の組成物は、優れた入眠を促すと言われるメラトニンの分泌開始時刻を効果的に遅延させる作用を有し、入眠時刻を遅延させて、概日リズム位相の前進化の改善、予防、防止および/または治療等に役立つ。したがって、本発明の組成物は、早期覚醒若しくは中途覚醒またはそれによる昼間の眠気、さらには概日リズムの乱れを安全且つ簡便に改善、予防、防止および/または治療等する手段として有効に機能し得るものである。
図1に試験デザインの模式図を示す。 図2は、成人男女にオルニチンを含有するカプセル又はオルニチンを含有しないカプセル(プラセボ)を投与したときの、唾液中メラトニン濃度の経時変化を示すグラフである。縦軸は、唾液中のメラトニン濃度(pg/ml)を示す。横軸は、唾液採取時刻を示す。黒丸はオルニチンを含有するカプセルを投与した場合のグラフであり、白丸は、対照としてプラセボを投与した場合のグラフである。 図3は、成人男女にオルニチンを含有するカプセル又はプラセボを投与したときの、メラトニンの分泌開始時刻を示すグラフである。横軸は摂取した食品を示す。縦軸はメラトニンの分泌開始時刻を示す。
本発明によるメラトニンの分泌開始時刻遅延促進用組成物、早期覚醒改善用組成物及び概日リズムの位相前進化の改善用組成物(以下、本発明の組成物ともいう)は、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を有効成分として含有する。
本発明で用いられるオルニチンとしては、L−オルニチン及びD−オルニチンが挙げられる。オルニチンは、化学的に合成する方法、発酵生産する方法、素材から抽出する方法等により取得することができる。また、オルニチンは、市販品を購入することにより取得することもできる。
L−オルニチンを化学的に合成する方法としては、例えば、Coll.Czechoslov.Chem.Commun.,24,1993(1959)に記載の方法が挙げられる。L−オルニチンを発酵生産する方法としては、例えば、特開昭53−24096号公報及び特開昭61−119194号公報に記載の方法が挙げられる。また、L−オルニチン及びD−オルニチンは、市販のもの(例えば、シグマ−アルドリッチ社等)を購入することもできる。上記のオルニチンのうち、L−オルニチンが好ましく用いられる。
オルニチンの薬学上許容される塩としては、例えば、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、アミノ酸付加塩及び有機アミン付加塩等が挙げられる。その他、塩以外の形態として、ペプチド又は素材抽出物など、オルニチンが含まれる全ての物質を利用することができる。
酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩等の無機酸塩、並びに酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩及びカプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩並びに亜鉛塩等が挙げられる。
アンモニウム塩としては、例えば、アンモニウム及びテトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられる。
アミノ酸付加塩としては、例えば、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸及びグルタミン酸等の塩が挙げられる。
有機アミン付加塩としては、例えば、モルホリン及びピぺリジン等の塩が挙げられる。
上記のオルニチンの塩のうち、塩酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、α−ケトグルタル酸塩、アスパラギン酸塩が好ましく用いられるが、他の塩、又は2以上の塩を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明における「メラトニンの分泌開始時刻」(DLMO、Dim Light Melatonin Onset)とは、メラトニン分泌の上昇が開始する時刻をいう。メラトニン分泌開始時刻は、概日リズム位相を判断する指標として用いられる指標である。メラトニンの分泌量は生体試料の濃度を定量する公知の方法により評価することができ、血清を試料とするほか、後述する実施例で示すように唾液を試料とした方法により評価することができる。
唾液中のメラトニン濃度には概日リズム性があり、夕方から夜間にかけて濃度が上昇するため、DLMOはヒトの体内時計の一般的な指標として用いられる。DLMOの算出方法は、後述する実施例のように閾値を定義し、その閾値を超えた時刻とするのが一般的である。なお、閾値の値は2−10pg/mlの範囲で試験系に応じて決定するのが望ましいとされている[「ジャーナル・オブ・クリニカル・スリープ・メディスン(Journal of clinical sleep medicine)」:2008年、4巻、p.66−69]。
本発明における「メラトニンの分泌開始時刻遅延促進」とは、本発明の組成物を体内に摂取することで、非摂取時と比較して、メラトニンの分泌開始時刻を遅らせることを示す。本発明の組成物は、メラトニンの分泌開始時刻を遅らせる作用により、メラトニンの分泌開始時刻の前進化、概日リズム位相の前進化、早期覚醒および/または中途覚醒の改善、予防、防止および/または治療等に役立つ。
概日リズムの位相は光照射療法によりコントロールすることができ、概日リズム位相のコントロールにより睡眠や覚醒の状態を改善できることが知られている。例えば、睡眠相全身症候群を呈している者に午後8時から11時までの間の2時間に光照射を行って位相の前進化を抑制し、夜間の中途覚醒の減少、睡眠効率の改善、睡眠時間の延長が認められたことなどが報告されている(「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・フィジオロジカル・サイコロジー・アンド・サイコフィジオロジー(Japanese Journal of Physiological Psychology and Psychophysiology」,2000年、18巻1号、p.17−25)。また、光照射療法によりメラトニン分泌開始時刻を調整しうることが知られている(「スリープ(Sleep)」、2005年、28巻5号、p.616−623)。そうすると、本発明の組成物は、メラトニンの分泌開始時刻を遅らせる作用を有することから、概日リズムの位相の前進化を抑制し、夜間の中途覚醒の減少、睡眠効率の改善、睡眠時間の延長の効果を奏するものと考えられる。
本発明における「早期覚醒改善」とは、本発明の組成物を体内に摂取することで、非摂取時と比較して、早期覚醒を改善することを示す。本発明の組成物は、早期覚醒を改善する作用により、早期覚醒による昼間の眠気、体調不良等の改善、予防、防止および/または治療等に役立つ。
本発明における「概日リズムの位相前進化の改善」とは、本発明の組成物を体内に摂取することで、非摂取時と比較して、概日リズムの位相前進化を改善することを示す。
ヒトは加齢により、例えば早期覚醒のような睡眠障害を呈する者が多くなり、概日リズム位相の前進化や振幅の減少が生じやすいことが知られている(日本老年医学会雑誌、2012年、49巻、p.541−546)。また、メラトニンの分泌開始時刻は光照射療法によりを調整しうること(「スリープ(Sleep)」、2005年、28巻5号、p.616−623]、光照射療法により概日リズムの位相がコントロールされ睡眠や覚醒の状態を改善できること(「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・フィジオロジカル・サイコロジー・アンド・サイコフィジオロジー(Japanese Journal of Physiological Psychology and Psychophysiology)」,2000年、18巻1号、p.17−25)が知られている。そうすると、本発明の組成物は、メラトニンの分泌開始時刻を遅らせる作用を有することから、例えば高齢者のように、概日リズムの位相の前進化により早期覚醒等の睡眠障害を呈している者の睡眠や覚醒の状態を改善しうるものと考えられる。
本発明の組成物の使用形態としては、特に制限されず、例えば、飲食品組成物、その飲食品組成物に配合するために用いられる添加物、医薬組成物、その医薬組成物に配合するために用いられる添加物などが挙げられる。本発明の組成物は、その形態に特に制限はなく、顆粒状、粒状、ペースト状、ゲル状、液状、半液体状、固体状のいずれであってもよい。また、本発明の組成物には、上記有効成分の他に、さらに睡眠障害を改善、予防、防止および/または治療等する他の構成要素を含有させてもよい。
本発明における飲食品組成物には、いわゆる健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメントを包含し、疾病リスク低減表示を付した食品などの保健機能食品(例えば、特定保険用食品、栄養機能性食品及び機能性表示食品等)、病者用食品及び食品添加物も包含される。
本発明の組成物には、睡眠障害を改善、予防、防止および/または治療する効果を有する旨の表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため本発明の組成物には以下の一部又は全部の表示が付されてもよい。なお、本発明において「メラトニンの分泌開始時刻の遅延を促進する」、「早期覚醒を改善、予防、防止および/または治療する」、「概日リズムの乱れを改善、予防、防止および/または治療する」が以下の表示を含む意味で用いられる。
・夜、起きていられない方に
・夕食後にうとうとしてしまう方に
・朝、起きたい時刻より早く目が覚めてしまう方に
・朝もゆっくりやすみたい方に
・就寝まで活動的でいたい方に
飲食品組成物の具体例としては、ドリンク類、スープ類、非アルコール飲料、アルコール飲料、ゼリー状飲料及び機能性飲料等の液状食品;ゼリー及びヨーグルト等の半固形状食品;みそ及び発酵飲料等の発酵食品;クッキー及びケーキ等の洋菓子類、饅頭及び羊羹等の和菓子類、キャンディー類、ガム類、グミ、冷菓並びに氷菓等の各種菓子類;食用油、ドレッシング、マヨネーズ及びマーガリンなどの油分を含む製品;飯類、餅類、麺類、パン類及びパスタ類等の炭水化物含有食品;ハム及びソーセージ等の畜産加工食品;かまぼこ、干物、塩辛等の水産加工食品;漬物等の野菜加工食品;カレー、あんかけ及び中華スープ等のレトルト製品;インスタントスープ及びインスタントみそ汁等のインスタント食品;電子レンジ対応食品;卵を用いた加工品、及び魚介類又は畜肉の加工品;調味料;等が挙げられる。さらには、粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状又はゼリー状に調製された健康飲食品も挙げられる。本発明における飲食品組成物の製造は、当該技術分野に公知の製造技術により実施することができる。
非アルコール飲料としては、例えば、ミネラルウォーター、ニア・ウォーター、スポーツドリンク、茶飲料、乳飲料、清涼飲料水、コーヒー飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁及び野菜汁飲料、炭酸飲料及びアルコールを含まないビールテイスト飲料などが挙げられるが、これらに限定はされない。ノンアルコールビール等、アルコール含有量が1%未満のビール飲料であってもよい。ミネラルウォーターは、発泡性及び非発泡性のミネラルウォーターのいずれもが包含される。
前記茶飲料とは、ツバキ科の常緑樹である茶樹の葉(茶葉)又は茶樹以外の植物の葉若しくは穀類等から抽出したものからなる飲料をいい、発酵茶、半発酵茶及び不発酵茶のいずれもが包含される。茶飲料としては、例えば、日本茶(例えば、緑茶及び麦茶等)、紅茶、ハーブ茶(例えば、ジャスミン茶等)、中国茶(例えば、中国緑茶及び烏龍茶等)、ほうじ茶等が挙げられる。
前記乳飲料とは、生乳、牛乳等又はこれらを原料として製造した食品を主原料とした飲料をいい、牛乳等そのものを材料とするものの他に、例えば、栄養素強化乳、フレーバー添加乳及び加糖分解乳等の加工乳を原料とするものも包含される。
果汁入り飲料又は果汁若しくは野菜汁入り飲料に用いられる果物としては、例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、モモ、マンゴー、アサイー及びブルーベリーなどが挙げられる。また、野菜汁入り飲料又は果汁若しくは野菜汁入り飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、カボチャ及びキュウリなどが挙げられる。
飲食品組成物として用いる場合、有効成分であるオルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物の摂取量は、通常、成人1人1日当たりオルニチンとして1〜5000mgが好ましく、より好ましくは10〜2000mgであり、さらに好ましくは100〜1000mgである。
また、飲食品組成物として用いる場合、1食分ないしは1食分として小分けされた容器中に、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物をオルニチンとして1〜5000mg含有する形態であることが好ましく、より好ましくは10〜2000mg含有する形態であり、さらに好ましくは100〜1000mg含有する形態である。
オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物は単回摂取でもメラトニンの分泌開始時刻遅延促進効果及び早期覚醒改善効果が認められるが、飲食品組成物として継続的に摂取することにより、概日リズムの乱れを改善、予防、防止および/または治療等するより優れた効果が得られる。
医薬組成物は、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を有効成分として含み、担体、賦形剤、結合剤又は希釈剤等を混合することにより製造できる。経口又は非経口的に投与することが可能であり、経口投与することが好ましい。経口投与する場合には、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤又はシロップ剤等、どのような形態であってもかまわない。また、非経口用の投与形態としては、例えば、注射剤、点滴剤及び経鼻投与製剤等の外用剤等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
本発明の組成物におけるオルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物の濃度は、通常0.1〜100質量%、好ましくは0.5〜80質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物の濃度は、HPLC法などの公知の方法により測定できる。
医薬組成物として用いる場合、その投与量としては、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質又は重篤度等により異なるが、経口投与の場合、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物の投与量は、通常、成人1人1日当たりオルニチンとして1〜5000mgが好ましく、より好ましくは10〜2000mgであり、さらに好ましくは100〜1000mgである。非経口投与、例えば静脈内投与の場合、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物の投与量は、成人1人1日当たり1〜5000mgが好ましく、より好ましくは10〜2000mgであり、さらに好ましくは100〜1000mgである)。なお、これら投与量に関しては、種々の条件により、適宜最適な形態を選択すればよい。
本発明の組成物の投与対象となるヒトは、睡眠障害のあるヒトが好ましく、より好ましくは早期覚醒の認められるヒトである。早期覚醒の認められるヒトとしては、例えば、概日リズム位相の前進化及び/又は加齢による早期覚醒の認められるヒトが挙げられる。概日リズム位相の前進化による早期覚醒の認められるヒトとしては、例えば、睡眠相前進症候群、時差症候群、交代勤務睡眠障害等の障害があるヒトが挙げられる。加齢による早期覚醒の認められるヒトとしては、例えば、年齢が好ましくは50歳以上、より好ましくは60歳以上、さらに好ましくは70歳以上のヒトが挙げられる。
本発明の組成物の投与時期は、ヒトの場合、本来のメラトニン分泌の開始される前から分泌量がピークを迎える前であることが好ましく、1日の活動期の後半であることが好ましい。具体的には例えば、6時に起床して22時に就寝する場合、1日の活動期は6時〜22時であり、活動期の後半は14時〜22時となる。この場合、本発明の組成物の投与時期は、14時〜22時が好ましく、16時〜22時がより好ましく、18時〜22時がさらに好ましく、20時〜22時が特に好ましく、就寝時である22時直前が最も好ましい。
本発明の組成物の投与期間は、特に限定されないが、通常1日間〜1年間であることが好ましく、より好ましくは1週間〜3ヶ月間である。
本発明の組成物は、ヒトだけでなく、昼行性の非ヒト動物に用いてもよい。昼行性の非ヒト動物としては、例えば、愛玩動物(例えば、犬、猫及び鳥類等)、家畜(家禽を含む)などが挙げられる。
本発明の組成物を昼行性の非ヒト動物に投与する場合の投与量及び投与回数は、投与形態、動物の種類、年齢等により異なるが、体重1kg1日当たり、オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物として、通常0.2〜1000mgであることが好ましく、より好ましくは2〜400mg、さらに好ましくは20〜200mgとなるように、1日1回又は数回投与する。
本発明の組成物を昼行性の非ヒト動物に投与する場合の投与時期については、ヒトの場合と同様に、1日の活動期の後半に投与することが好ましい。また、本発明の組成物を昼行性の非ヒト動物に投与する場合の投与期間については、特に限定されないが、通常1日間〜1年間であることが好ましく、より好ましくは1週間〜3ヶ月間である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.製造例(被験食品の製造)
(1)オルニチンを含有するカプセル(以下「試験食品」という)の製造
オルニチン塩酸塩1,000g(製品名:L−オルニチン塩酸塩、協和発酵バイオ社製)、微結晶セルロース320g(製品名:セオラスFD−301、旭化成社製)を混合し、HPMCハードカプセル1号(製品名:QUALI−V−N、クオリカプス社製)に330mgずつ充填して製造した。2錠あたりのオルニチンの含量は400mg(オルニチン塩酸塩として500mg)である。
(2)オルニチンを含有しないカプセル(以下「プラセボ食品」という)の製造
微結晶セルロース320g(製品名:セオラスFD−301、旭化成社製)をHPMCハードカプセル1号(製品名:QUALI−V−N、クオリカプス社製)に280mgずつ充填して製造した。
2.実施例(ヒト試験)
(1)方法
健康な成人男女29名[平均年齢:39.9歳、男性:22名(平均年齢41.4歳)、女性:7名(平均年齢31.3歳)]を対象に二重盲検クロスオーバー比較試験を実施した。被験者29名を、15名と14名の2つの群にランダムに分けた。
被験者には試験食品又はプラセボ食品を1日あたり2錠ずつ1週間摂取させた。被験食品は就寝の15分前に水と共に摂取させ、摂取期間最終日(すなわち摂取開始7日目)は18時に水と共に摂取させ、12:00、14:00、16:00、19:00、20:00、20:30、21:00、21:30、22:00、22:30、23:00にそれぞれ約1mlずつ唾液を採取した。
1週間のウォッシュアウト期間の後、被験食品を他方に入れ替え、同様の手順に沿って試験を実施した。図1に試験デザインの模式図を示す。
各摂取期間最終日に採取した唾液中のメラトニン濃度を市販のELISAkit(製品名:Salivary Melatonin ELISA Kit、サリメトリックス社製)を用いて定量しメラトニン濃度の経時変化を求めた。そして、唾液中のメラトニン濃度が7pg/mlに達した時刻をメラトニン分泌開始時刻(DLMO)として評価した。
解析対象となった全被験者の試験食品摂取期のDLMOの平均値とプラセボ食品摂取期のDLMOの平均値を比較し、オルニチン摂取が体内時計に与える影響を評価した。統計解析は対応のあるt検定で行った。
(2)結果
試験食品摂取期とプラセボ食品摂取期における唾液中のメラトニン濃度の経時変化を図2に示す。
図2に示すように、メラトニン濃度は、両期においておよそ19:00以前は低く推移し、12:00、14:00、16:00、19:00のメラトニン濃度の平均値(ベースライン値)は、試験食品摂取期0.95pg/ml(S.E.0.41pg/ml)、プラセボ食品摂取期0.95pg/ml(S.E.0.32pg/ml)であり差は認められなかった。
また、両期において、メラトニン濃度の上昇は20:00以降に開始されたところ、DLMOの平均値は、試験食品摂取期が21:41(S.E.10min)、プラセボ食品摂取期21:26S.E.10min)でありその差は有意なものであった(p=0.015)。
すなわち、図3に示すように、試験食品摂取期において、DLMOの平均値が15分後退することが示された。
なお、29名のうち1名はオルニチンとは関連しない体調不良によって試験を脱落し、7名はメラトニン濃度が本試験で閾値とした7pg/mlに達しなかったため解析の対象から除外したため最終的な解析対象者は21名となった。
以上の結果より、活動期後半(概ね日暮れ以降深夜12:00頃まで)の試験食品の摂取が、体内時計の指標であるDLMOを後退させることが明らかとなった。DLMOは睡眠と密接に結びついていることから、オルニチンを活動期後半に摂取することにより、DLMOが早まる傾向のあるヒトの早期覚醒を改善、予防、防止および/または治療等できる可能性がある。また、特に高齢者は体内時計が前進しやすいことが知られており、オルニチンの摂取により高齢者の早期覚醒を改善、予防、防止および/または治療等できる可能性が示された。
本発明の組成物は、概日リズムの乱れを改善、予防、防止および/または治療等するための安全で簡便な手段として利用されることが期待される。

Claims (4)

  1. オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、メラトニンの分泌開始時刻遅延促進用組成物。
  2. オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、早期覚醒改善用組成物。
  3. オルニチン又はその薬学上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する、概日リズムの位相前進化の改善用組成物。
  4. 経口組成物である、請求項1〜3いずれか1項に記載の組成物。
JP2018074695A 2018-04-09 2018-04-09 メラトニンの分泌開始時刻遅延促進用組成物、早期覚醒改善用組成物及び概日リズムの位相前進化の改善用組成物 Pending JP2019182775A (ja)

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JP2006342148A (ja) * 2005-05-13 2006-12-21 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd 寝つきまたは寝起き改善用経口剤
WO2015152311A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 国立大学法人九州大学 メラトニン分泌調整剤、メラトニン分泌調整方法

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