JP2019182698A - 焼結石英の製造方法、焼結石英および粉体組成物 - Google Patents

焼結石英の製造方法、焼結石英および粉体組成物 Download PDF

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泰伸 秋山
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Abstract

【課題】古代エジプトファイアンスと組成が同等の焼結石英を得ることが可能であり、且つ造形性に優れる、焼結石英の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の焼結石英の製造方法は、石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A)、原料混合物を造形し造形物を得る工程(B)、および前記造形物を、該造形物中および造形物表面の少なくとも一方に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩が存在する条件下において、680℃〜1020℃で焼成する工程(X)を有する、焼結石英の製造方法。【選択図】図8

Description

本発明は、焼結石英の製造方法、焼結石英および粉体組成物に関する。
粘土や粘土鉱物を利用して、陶器や磁器を製造することは世界中で行われている。陶器と磁器とは共に粘土や粘土鉱物を原料とすることは共通するが、粘土の割合が陶器では高く、磁器では比較的低い点で異なる。また、陶器、磁器はその製造の際に、高温での焼成が必要である。
ところで、古代エジプトにおいて製造されていたファイアンス(古代エジプトファイアンスやエジプトファイアンスとも呼称される)がある。これはイタリアのファエンツァで製造されるマヨリカ焼きの一種であるファイアンスが語源である。
しかしながら、古代エジプトファイアンスと、イタリアのファイアンスとは、全く異なる物である。古代エジプトファイアンスは、現在の陶磁器と異なり、石英を主成分とし、粘土や陶土を用いずに製造されており、その製法は現代に伝わっておらず、様々な推測がされている。
例えば石英、石灰、炭酸ナトリウム、塩基性炭酸銅等を原料とする古代エジプトファイアンスの復元実験が行われている(例えば、非特許文献1参照)。該復元実験で得られた焼結石英の組成は古代エジプトファイアンスと同等であったが、復元実験では、複雑な立体物を造形することができないことが判明しており、該復元実験を経てもなお古代エジプトファイアンスの製法は不明である。
山花京子、「古代エジプトファイアンス復元実験−白華技法」、日本西アジア考古学会、『西アジア考古学』 第18号、2017年、79−88頁
本発明は、古代エジプトファイアンスと組成が同等の焼結石英を得ることが可能であり、且つ造形性に優れる、焼結石英の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の原料を用い、特定の温度で焼成することにより、古代エジプトファイアンスと組成が同等の焼結石英を得ることが可能であり、且つ、造形性にも優れる、焼結石英の製造方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は例えば以下の[1]〜[14]に関する。
[1] 石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A)、
原料混合物を造形し造形物を得る工程(B)、および
前記造形物を、該造形物中および造形物表面の少なくとも一方に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩が存在する条件下において、680℃〜1020℃で焼成する工程(X)を有する、焼結石英の製造方法。
[2] 前記工程(B)と、工程(X)との間に、
前記造形物を乾燥する工程(C)を有する、[1]に記載の焼結石英の製造方法。
[3] 石英を65質量%以上、水酸化カルシウムを1〜10質量%、並びに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を1〜20質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−1)、
工程(A−1)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−1)、
工程(B−1)で得られた造形物を乾燥する工程(C−1)、および
工程(C−1)で乾燥された造形物を680℃〜1020℃で焼成する工程(X−1)を有する、焼結石英の製造方法。
[4] 石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−2)、
工程(A−2)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−2)、
工程(B−2)で得られた造形物を乾燥する工程(C−2)、
石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程(D−2)、
工程(D−2)で得られた釉薬を、工程(C−2)で得られた乾燥後の造形物に塗布し、乾燥する工程(E−2)、
工程(E−2)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程(X−2)を有する、焼結石英の製造方法。
[5] 石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−3)、
工程(A−3)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−3)、
工程(B−3)で得られた造形物を乾燥する工程(C−3)、
工程(C−3)で得られた乾燥後の造形物を、450℃〜1020℃で焼成する工程(X−3)、
石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程(D−3)、
工程(D−3)で得られた釉薬を、焼成後の造形物に塗布し、乾燥する工程(E−3)、
工程(E−3)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程(Y−3)を有する、焼結石英の製造方法。
[6] 前記粉体組成物が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を0〜20質量%含む、[4]または[5]に記載の焼結石英の製造方法。
[7] 前記粉体組成物が、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜20質量%含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の焼結石英の製造方法。
[8] 前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素である、[7]に記載の焼結石英の製造方法。
[9] 前記釉薬原料が、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜50質量%含む、[4]または[5]に記載の焼結石英の製造方法。
[10] 前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素である、[9]に記載の焼結石英の製造方法。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の焼結石英の製造方法により得られる、焼結石英。
[12] 石英を65質量%以上、水酸化カルシウムを1〜10質量%、並びに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を1〜20質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物。
[13] 前記粉体組成物が、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜20質量%含む、[12]に記載の粉体組成物。
[14] 前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素である、[13]に記載の粉体組成物。
本発明の焼結石英の製造方法は、造形性に優れており、様々な形状の焼結石英を得ることができ、原料を適宜設定することにより、古代エジプトファイアンスと組成が同等の焼結石英を得ることができる。
焼結石英の製造方法(第1の態様)のフロー図(概略)を示す。 焼結石英の製造方法(第2の態様)のフロー図(概略)を示す。 焼結石英の製造方法(第3の態様)のフロー図(概略)を示す。 実施例1で得た焼結石英Aおよび焼結石英B、並びに焼結石英Cの断面を示す。 実施例2で得た焼結石英Dを示す。 実施例3で得た焼結石英E−1、E−2を示す。 実施例4で得た焼結石英Fを示す。 実施例5で得た焼結石英Gを示す。
次に本発明について具体的に説明する。
[焼結石英の製造方法]
本発明の焼結石英の製造方法は、石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A)、原料混合物を造形し造形物を得る工程(B)、および前記造形物を、該造形物中および造形物表面の少なくとも一方に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩が存在する条件下において、680℃〜1020℃で焼成する工程(X)を有する。
前記工程(B)と、工程(X)との間に、前記造形物を乾燥する工程(C)を有することが、焼成中に造形物が割れることなく、安定的に焼結石英を製造する観点から好ましい。
本発明の焼結石英の製造方法で得られる焼結石英は、その表面がガラス質であることが特徴の一つである。前記焼結石英は、一般に流通している陶磁器とは異なる光沢を有しており、有用性が高い。本発明の焼結石英の製造方法のより具体的な態様としては、後述の第1〜3の態様が挙げられる。
本発明の焼結石英の製造方法は、得られる焼結石英に貫入が入りづらく、得られる焼結石英が滑らかな仕上がりになる傾向がある。また、比較的低温で焼成することが可能であるため、省エネルギーの観点からも有効な製造方法である。
なお、本発明において、数値範囲を、「A〜B」(前記A、Bは数値である)と記載する場合があるが、該記載はA以上B以下を意味する。すなわち、0〜20質量%と記載した場合には0質量%以上20質量%以下を意味する。
(工程(A))
工程(A)は、石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程である。
原料混合物は、粉体組成物を予め調製した後に、粉体組成物と水とを混合することにより調製してもよく、粉体組成物を構成する各原料と水とを同時に混合することにより調製してもよい。
粉体組成物を予め調製する場合には、各原料を量り取り、すり鉢、乳鉢、V字ブレンダー、ビーズミル、ボールミル、振動ミル、ヘンシェルミキサー等を用いて、各原料を均一に混合することにより、調製することができる。
粉体組成物と水とから原料混合物を得る場合には、粉体組成物に水を加え、造形可能な粘度に調整することが好ましい。
また、粉体組成物を構成する各原料と水とを同時に混合する場合には、撹拌を行いながら、水に粉体組成物を構成する各原料を加える方法が挙げられる。
なお、粉体組成物を構成する各原料の量は、粉体組成物を100質量%とした場合の量である。
原料混合物を100質量部とすると、粉体組成物が通常は65〜95質量部、好ましくは70〜90質量部含まれ、水が通常は5〜35質量部、好ましくは10〜30質量部含まれる。
工程(A)を行う際の雰囲気、温度としては特に限定は無く、通常は大気下で、温度10〜30℃の条件下で行われる。
(工程(B))
工程(B)は、原料混合物を造形し造形物を得る工程である。
原料混合物の造形は、目的とする焼結石英の形状に応じて行えばよい。造形の方法としては、手捏ね(てづくね)による造形、ろくろを用いた造形、型を用いた造形等、所望の方法を採用することができる。本発明の原料混合物は造形性に優れているため、立体的な形状、複雑な形状であっても造形可能である。このため、本発明の製造方法で得られる焼結石英として、例えば、ビーズや象嵌用パーツ等の装飾具(Ornamental parts)、タイル、皿、鉢、碗、花瓶、その他の容器、置物を得ることが可能である。
造形物の大きさとしては、立体的な造形物の場合には、高さ、幅、奥行きが、それぞれ5mm〜50cm程度、皿等の高さがあまりないものであれば、厚さ2mm〜3cm程度、また微細な装飾用の造形物であれば、線幅1mm〜5mm程度の造形物を得ることが可能であり、用途に応じて、適宜造形することが可能である。
工程(B)を行う際の雰囲気、温度としては特に限定は無く、通常は大気下で、温度10〜30℃の条件下で行われる。
(工程(C))
本発明では、前記工程(B)と、後述の工程(X)との間に、工程(C)を有することが好ましい。
工程(C)は、前記造形物を乾燥する工程である。
造形物が例えば厚さ2mm〜5mmの薄いものであれば、工程(C)を行うことなく、工程(X)を行っても焼結石英を得ることができるが、造形物の厚さが厚い場合には、工程(C)を行うことなく、工程(X)を行った場合には、焼成時に造形物に割れが発生する確率が高くなる傾向にある。
造形物を乾燥する方法としては、特に限定は無いが、室内または室外に造形物を置き、乾燥させる方法、送風機などを用いて風乾燥させる方法等が挙げられる。また、焼成前に例えば温度30〜200℃の環境に置くことにより、加熱乾燥を行ってもよい。
乾燥を行う際の好適な一例としては、直射日光を避け20℃程度の条件下に、2日〜1週間造形物を置くことにより乾燥する方法が挙げられる。
(工程(X))
工程(X)は、前記造形物を、該造形物中および造形物表面の少なくとも一方に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩が存在する条件下において、680℃〜1020℃で焼成する工程である。
本発明の焼結石英の製造方法では、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩(以下、単にアルカリ金属塩とも記す。)が造形物中および造形物表面の少なくとも一方に存在する条件で焼成することにより、表面がガラス質の焼結石英を得ることができる。立体的な造形が可能であること、表面がガラス質であることは、古代エジプトファイアンスの特徴でもある。このことから、本発明の製造方法は、古代エジプトで行われていた、古代エジプトファイアンスの製造方法と、同じあるいはかなり近い方法であると推測することが可能である。
工程(X)を行う際の装置は、前記温度で焼成できる限り、特に限定は無く、電気窯炉等の炉、電気窯等の窯を適宜使用することができる。
工程(X)の焼成温度は680℃〜1020℃であり、好ましくは700〜950℃であり、より好ましくは780〜900℃である。
焼成時間は、造形物の大きさ、形状、焼成温度によっても異なるが、通常は1〜7時間、好ましくは3〜5時間である。
焼成は酸化焼成でもよく、還元焼成でもよい。酸化焼成と、還元焼成とは、焼成中の酸素量を調整することにより、適宜実施することができる。
(絵付け工程)
本発明では、任意の工程として絵付け工程を行ってもよい。
本発明において、絵付けとは、絵付け対象(造形物や焼結石英)に対し、色彩を有する模様(文字、線図、絵、記号等)を付与することを意味し、絵付けは、絵付け対象の全面に行われてもよく、一定の範囲に行われてもよい。
絵付けに用いる絵具としては、従来公知の物を始め特に制限なく用いることができる。絵具としては例えば、酸化マンガンを水に分散させた絵具が挙げられる。
絵付け工程は、造形物を得た後の任意のタイミングで行うことができる。例えば造形物を得た後、乾燥前に行ってもよく、乾燥後、焼成前に行ってもよく、焼成後の造形物や、焼結石英に対して行ってもよい。
焼成後に絵付けを行った場合には、模様を定着させるために、通常は再度の焼成が行われる。絵付け後に再度の焼成を行う場合の、焼成温度、焼成時間としては、絵具に応じて適宜決定すればよく、特に制限は無いが、焼成温度は通常は700〜900℃であり、焼成時間は通常は2〜4時間である。
以下、本発明の焼結石英の製造方法に使用可能な原料について説明する。
(石英)
本発明の焼結石英の製造方法では石英が用いられる。
石英としては、造形性の観点から一次粒子の平均粒径が5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。石英としては、市販品を用いることができる。また、石英の供給源として、石英を含む天然鉱物を用いてもよい。
(水酸化カルシウム)
本発明の焼結石英の製造方法では水酸化カルシウムが用いられる。
水酸化カルシウムを用いることにより、本発明の製造方法は、従来の焼結石英の製造方法と比べて、造形性に優れる。水酸化カルシウムを用いることにより、原料混合物中および造形物中において、下記反応(α)が進行し、下記反応(α)により、脱水・固化が進行することにより、造形性が向上していると本発明者は推定した。
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O ・・・(α)
水酸化カルシウムとしては、通常は市販品を用いることができる。
(粘土および粘土鉱物)
本発明の焼結石英の製造方法は、原料として粘土および粘土鉱物を用いないか、用いる場合であっても少量であることが特徴の一つである。粘土および粘土鉱物を大量に用いると、造形性については優れる傾向にあるが、焼成後の焼結石英に気泡が多く発生したり、得られる焼結石英が暗色となり、外観不良となる傾向がある。このため粉体組成物が粘土および粘土鉱物の少なくとも一方を含む場合であってもその量は、粉体組成物100質量%中に、粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下であり、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
なお、本発明において粘土とは、地球上の各地で採取可能な、数種類の鉱物を主成分とし、有機物を含むことのある集合体であり、粘性と可塑性に富み、陶芸などのやきもの製造の材料として使われるものである。粘土の具体例としては、例えば天草陶石が挙げられ、天草陶石は、主に絹雲母(粘土鉱物)・石英・カオリナイト(粘土鉱物)・曹長石からなる混合物である。
また、本発明において粘土鉱物とは、地上や地下で岩石が水と接触することによって起こった風化作用により生成されたもので、主に層状ケイ酸塩鉱物より形成されるものである。粘土鉱物の具体例としては、例えばカオリナイト(カオリン)[Al2Si25(OH)4]、葉ロウ石(パイロフィライト)[Al2Si410(OH)2]、モンモリロナイト[(Na,Ca)0.33(Al,Mg)2Si410(OH)2・nH2O]、ベントナイトが挙げられる。
下記実施例で使用したベントナイトは粘土鉱物モンモリロナイトを主成分とし、石英を不純物として含む。
本発明の焼結石英の製造方法では、粘土および粘土鉱物の少なくとも一方を用いると、造形性は向上する傾向にあるが、多量に用いると得られる焼結石英が暗色を帯び、気泡が発生する傾向がある。このため、本発明では粘土および粘土鉱物を用いないか、粉体組成物100質量%中における、粘土および粘土鉱物の合計の量が前述の範囲であることが好ましい。
(アルカリ金属塩)
本発明の焼結石英の製造方法では、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩が用いられる。
本発明の製造方法では、造形物中および造形物表面の少なくとも一方にアルカリ金属塩が存在する条件下において、680℃〜1020℃で焼成することにより、表面がガラス質の焼結石英を得ることができる。
アルカリ金属塩は、粉体組成物を構成する原料の一種として用いてもよい。この場合には、造形物中にアルカリ金属塩が存在する。なお、粉体組成物を構成する原料の一種としてアルカリ金属塩を用いた場合には、乾燥により、造形物表面のアルカリ金属塩割合が、造形物中よりも高くなる。このように状態で焼成する方法を、白華法と呼ぶことがあり、本発明では、粉体組成物を構成する原料の一種としてアルカリ金属塩を用いた場合には白華法で焼結石英を得ることが好ましい。また、アルカリ金属塩は、後述の釉薬を構成する釉薬原料の一種として用いてもよい。釉薬にアルカリ金属塩を含む場合には、原料混合物を用いて造形物を得たのち、焼成前に釉薬を塗布してもよく、造形物を焼成したのちに、釉薬を塗布し、再度焼成してもよい。この場合には造形物の表面にアルカリ金属塩が存在する。
粉体組成物を構成する原料の一種としてアルカリ金属塩を用い、かつアルカリ金属塩を含む釉薬を用い、該釉薬を造形物に塗布してもよいが、製造工程が煩雑になるため、通常は粉体組成物および釉薬原料の一方にアルカリ金属塩が含まれることが好ましい。
(多価金属塩および多価金属酸化物)
本発明の焼結石英の製造方法では、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を用いてもよい。多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種は、粉体組成物を構成する原料の一種として用いてもよく、釉薬原料の一種として用いてもよい。多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を用いることにより、得られる焼結石英を、所望の色に着色することができる。
前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素としては、好ましくは、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素である。金属元素としては、経済性、発色性の観点からCu、Sb、Fe、Mnから選択される少なくとも1種の金属元素が好ましい。
多価金属塩としては、例えば、多価金属炭酸塩が挙げられる。
本発明の製造方法で得られる焼結石英としては、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を用いない場合には、通常白色であり、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を用いた場合には、多価金属塩および多価金属酸化物に含まれる金属元素に応じて、所望の色に着色することができる。得られる焼結石英の色は、前記金属元素の種類や量、焼成を酸化焼成で行うか、還元焼成で行うかによっても変化する。具体例としては金属元素が鉄である場合にはライトブラウン〜赤〜こげ茶(酸化焼成)、緑〜深緑(還元焼成)、銅である場合には水色〜青〜濃紺(酸化焼成)、赤〜こげ茶(還元焼成)、マンガンである場合には紫〜黒(酸化焼成)、スズである場合には白色(酸化焼成)、鉛およびアンチモン(混合)である場合にはレモン色〜黄色〜オレンジ(酸化焼成)、銅およびマンガン(混合)である場合には黒(酸化焼成)、銅、鉛およびアンチモン(混合)である場合には緑色(酸化焼成)の焼結石英を得ることができる。
本発明の焼結石英の製造方法のより具体的な態様としては、以下の第1〜3の態様が挙げられる。
[焼結石英の製造方法(第1の態様)]
本発明の焼結石英の製造方法(第1の態様)は、石英を65質量%以上、水酸化カルシウムを1〜10質量%、並びに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を1〜20質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−1)、工程(A−1)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−1)、工程(B−1)で得られた造形物を乾燥する工程(C−1)、および工程(C−1)で乾燥された造形物を680℃〜1020℃で焼成する工程(X−1)を有する。
第1の態様のフロー図(概略)を図1に示す。
(工程(A−1))
工程(A−1)は、石英を65質量%以上、水酸化カルシウムを1〜10質量%、並びに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を1〜20質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程である。
工程(A−1)では、粉体組成物が、石英を65質量%以上、水酸化カルシウムを1〜10質量%、並びに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を1〜20質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含むことが規定されている以外は、工程(A)と同様に行うことができる。なお、前記各原料の量は、粉体組成物を100質量%とした場合の量である。粉体組成物としては、石英を70〜90質量%、水酸化カルシウムを3〜10質量%、並びにアルカリ金属塩を3〜15質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で8質量%以下含むことが好ましく、石英を75〜90質量%、水酸化カルシウムを5〜8質量%、並びにアルカリ金属塩を5〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないことがより好ましい。
前記粉体組成物は、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜20質量%含むことが、得られる焼結石英を所望の色の着色する観点から好ましく、1〜15質量%含むことがより好ましい。また、前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素であることが好ましく、Cu、Sb、Fe、Mnから選択される少なくとも1種の金属元素であることがより好ましい。
なお、工程(A−1)で使用可能な粉体組成物自体も、本発明の一態様である。
(工程(B−1))
工程(B−1)は、工程(A−1)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程である。
工程(B−1)は、工程(A−1)で得られた原料混合物を用いる以外は、工程(B)と同様に行うことができる。
(工程(C−1))
工程(C−1)は、工程(B−1)で得られた造形物を乾燥する工程である。
工程(C−1)は、工程(B−1)で得られた造形物を用いる以外は、工程(C)と同様に行うことができる。
(工程(X−1))
工程(X−1)は、工程(C−1)で乾燥された造形物を680℃〜1020℃で焼成する工程である。
工程(X−1)により、焼結石英を得ることが可能である。
本発明の焼結石英の製造方法(第1の態様)では、アルカリ金属塩が粉体組成物を構成する原料として用いているため、少なくとも造形物中にアルカリ金属塩が存在し、好ましくは造形物表面には造形物中よりも多くのアルカリ金属塩が存在する。焼結石英の製造方法(第1の態様)では、乾燥後の造形物を工程(X−1)で焼成することにより、表面がガラス質の焼結石英を得ることができる。
工程(X−1)を行う際の装置は、前記温度で焼成できる限り、特に限定は無く、電気窯炉等の炉、電気窯等の窯を適宜使用することができる。
工程(X−1)の焼成温度は680℃〜1020℃であり、好ましくは700〜950℃であり、より好ましくは780〜900℃である。
焼成時間は、造形物の大きさ、形状、焼成温度によっても異なるが、通常は1〜7時間、好ましくは3〜5時間である。
焼成は酸化焼成でもよく、還元焼成でもよい。酸化焼成と、還元焼成とは、焼成中の酸素量を調整することにより、適宜実施することができる。
[焼結石英の製造方法(第2の態様)]
本発明の焼結石英の製造方法(第2の態様)は、石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−2)、工程(A−2)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−2)、工程(B−2)で得られた造形物を乾燥する工程(C−2)、石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程(D−2)、工程(D−2)で得られた釉薬を、工程(C−2)で得られた乾燥後の造形物に塗布し、乾燥する工程(E−2)、工程(E−2)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程(X−2)を有する。
第2の態様のフロー図(概略)を図2に示す。
(工程(A−2))
工程(A−2)は、石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程である。
工程(A−2)は、工程(A)と同様に行うことができる。
粉体組成物としては、石英を70〜90質量%、および水酸化カルシウムを3〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で8質量%以下含むことが好ましく、石英を75〜90質量%、および水酸化カルシウムを5〜8質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないことがより好ましい。
なお、前記各原料の量は、粉体組成物を100質量%とした場合の量である。
工程(A−2)では、粉体組成物が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を0〜20質量%含んでいてもよく、好ましくは0〜15質量%含んでいてもよく、より好ましくは0〜8質量%含んでいてもよい。焼結石英の製造方法(第2の態様)は、アルカリ金属塩を含む釉薬を用いるため、粉体組成物としては、アルカリ金属塩を、用いても、用いなくてもよいが、前記範囲で使用することが可能である。
前記粉体組成物は、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜20質量%含むことが、得られる焼結石英を所望の色の着色する観点から好ましく、1〜15質量%含むことがより好ましい。また、前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素であることが好ましく、Cu、Sb、Fe、Mnから選択される少なくとも1種の金属元素であることがより好ましい。
(工程(B−2))
工程(B−2)は、工程(A−2)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程である。
工程(B−2)は、工程(A−2)で得られた原料混合物を用いる以外は、工程(B)と同様に行うことができる。
(工程(C−2))
工程(C−2)は、工程(B−2)で得られた造形物を乾燥する工程である。
工程(C−2)は、工程(B−2)で得られた造形物を用いる以外は、工程(C)と同様に行うことができる。
(工程(D−2))
工程(D−2)は、石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程である。
釉薬は、釉薬原料を予め調製した後に、釉薬原料と水とを混合することにより調製してもよく、釉薬原料を構成する各原料と水とを同時に混合することにより調製してもよい。
釉薬原料を予め調製する場合には、各原料を量り取り、すり鉢、乳鉢、V字ブレンダー、ビーズミル、ボールミル、振動ミル、ヘンシェルミキサー等を用いて、各原料を均一に混合することにより、調製することができる。
釉薬原料と水とから釉薬を得る場合には、釉薬原料に水を加え、造形物に塗布可能な粘度に調整することが好ましい。
また、釉薬原料を構成する各原料と水とを同時に混合する場合には、撹拌を行いながら、水に釉薬原料を構成する各原料を加える方法が挙げられる。
釉薬原料としては、石英を5質量%以上、およびアルカリ金属塩を10〜90質量%を含むが、石英を10〜50質量%、およびアルカリ金属塩を20〜80質量%を含むことが好ましく、石英を20〜40質量%、およびアルカリ金属塩を40〜70質量%を含むことがより好ましい。なお、各原料の量は、釉薬原料を100質量%とした場合の量である。
また、釉薬原料には、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を含まない場合には、釉薬は透明釉として使用することが可能である。また、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を釉薬原料として用いることにより、釉薬によって、焼結石英の表面を着色することも可能である。釉薬原料として、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を用いる場合には、釉薬原料は多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜50質量%含むことが好ましく、1〜30質量%含むことがより好ましく、5〜20質量%含むことが特に好ましい。
前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素であることが好ましく、Cu、Sb、Fe、Mnから選択される少なくとも1種の金属元素であることがより好ましい。
釉薬を100質量部とすると、釉薬原料が通常は10〜30質量部、好ましくは15〜25質量部含まれ、水が通常は70〜90質量部、好ましくは75〜85質量部含まれる。
(工程(E−2))
工程(E−2)は、工程(D−2)で得られた釉薬を、工程(C−2)で得られた乾燥後の造形物に塗布し、乾燥する工程である。
工程(E−2)では、乾燥後の造形物に釉薬を塗布するが、塗布方法としては特に限定はされず釉薬を、刷毛等を用いて塗布してもよく、スプレー塗布を行ってもよい。
塗布後に、造形物を乾燥する方法としては、特に限定は無いが、室内または室外に造形物を置き、乾燥させる方法、送風機などを用いて風乾燥させる方法等が挙げられる。また、焼成前に例えば温度30〜200℃の環境に置くことにより、加熱乾燥を行ってもよい。
乾燥を行う際の好適な一例としては、直射日光を避け20℃程度の条件下に、2日〜1週間造形物を置くことにより乾燥する方法が挙げられる。
(工程(X−2))
工程(X−2)は、工程(E−2)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程である。
工程(X−2)により、焼結石英を得ることが可能である。
本発明の焼結石英の製造方法(第2の態様)では、アルカリ金属塩を釉薬原料として用いているため、造形物の表面にアルカリ金属塩が存在する。焼結石英の製造方法(第2の態様)では、釉薬が塗布された造形物を工程(X−2)で焼成することにより、表面がガラス質の焼結石英を得ることができる。
工程(X−2)は、工程(E−2)で釉薬が塗布された造形物を用いる以外は、前述の工程(X−1)と同様に行うことができる。
[焼結石英の製造方法(第3の態様)]
本発明の焼結石英の製造方法(第3の態様)は、石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−3)、工程(A−3)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−3)、工程(B−3)で得られた造形物を乾燥する工程(C−3)、工程(C−3)で得られた乾燥後の造形物を、450℃〜1020℃で焼成する工程(X−3)、石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程(D−3)、工程(D−3)で得られた釉薬を、焼成後の造形物に塗布し、乾燥する工程(E−3)、工程(E−3)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程(Y−3)を有する。
第3の態様のフロー図(概略)を図3に示す。
(工程(A−3)、工程(B−3)、および工程(C−3))
工程(A−3)は、石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程であり、工程(B−3)は、工程(A−3)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程であり、工程(C−3)は、工程(B−3)で得られた造形物を乾燥する工程である。
工程(A−3)、工程(B−3)、および工程(C−3)はそれぞれ、前述の工程(A−2)、工程(B−2)、および工程(C−2)と同様に行うことができる。
(工程(X−3))
工程(X−3)は、工程(C−3)で得られた乾燥後の造形物を、450℃〜1020℃で焼成する工程である。
工程(X−3)の焼成で得られる、焼成後の造形物は、粉体組成物が、アルカリ金属塩を含まない場合には、所謂素焼き状態の造形物である。
工程(X−3)を行う際の装置は、前記温度で焼成できる限り、特に限定は無く、電気窯炉等の炉、電気窯等の窯を適宜使用することができる。
工程(X−3)の焼成温度は450℃〜1020℃であり、好ましくは500〜900℃であり、より好ましくは600〜800℃である。
焼成時間は、造形物の大きさ、形状、焼成温度によっても異なるが、通常は1〜5時間、好ましくは2〜4時間である。
焼成は酸化焼成でもよく、還元焼成でもよい。酸化焼成と、還元焼成とは、焼成中の酸素量を調整することにより、適宜実施することができる。
(工程(D−3))
工程(D−3)は、石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程である。
工程(D−3)は、前述の工程(D−2)と同様に行うことができる。
(工程(E−3))
工程(E−3)は、工程(D−3)で得られた釉薬を、焼成後の造形物に塗布し、乾燥する工程である。
工程(E−3)は、釉薬が塗布される対象が、乾燥後の造形物が、焼成後の造形物になる以外は、前述の工程(E−2)と同様に行うことができる。
(工程(Y−3))
工程(Y−3)は、工程(E−3)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程である。
工程(Y−3)により、焼結石英を得ることが可能である。
本発明の焼結石英の製造方法(第3の態様)では、アルカリ金属塩を釉薬原料として用いているため、造形物の表面にアルカリ金属塩が存在する。焼結石英の製造方法(第3の態様)では、釉薬が塗布された造形物を工程(Y−3)で焼成することにより、表面がガラス質の焼結石英を得ることができる。
工程(Y−3)は、工程(E−3)で釉薬が塗布された造形物を用いる以外は、前述の工程(X−1)と同様に行うことができる。
[焼結石英]
本発明の焼結石英は、前述の焼結石英の製造方法、例えば第1の態様、第2の態様、第3の態様により得られる。
本発明の焼結石英は、前述の製造方法で得られるため、表面がガラス質である焼結石英であり、様々な形状の焼結石英とすることが可能であり、産業上の有用性が高い。
また、前述の製造方法では、貫入が入りづらいため、本発明の焼結石英は、表面を滑らかなものとすることが可能である。
焼結石英の用途としては特に限定は無く、その形状に応じて、例えば、ビーズや象嵌用パーツ等の装飾具(Ornamental parts)、タイル、皿、鉢、碗、花瓶、その他の容器、置物として用いることが可能である。
本発明の焼結石英は、使用中等に割れ、欠けが発生した場合であっても、上述の原料混合物や釉薬を用いることにより、割れた焼結石英同士を接着することや、欠けた部分を補修すること等が可能である。
具体的には、原料混合物を用いて割れた焼結石英同士を接着した後に再焼成することにより補修すること、割れた焼結石英や、一部が欠けた焼結石英の割れた部分や、欠けた部分に原料混合物を盛り、造形した後に、再焼成することにより補修すること等が可能である。また、再焼成前に釉薬を塗ることも可能である。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
原料として石英粉末(45g)、炭酸ナトリウム(4g)、水酸化カルシウム(3g)、塩基性炭酸銅(1g)を量りとった。
上記原材料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水10mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物を得た。
原料混合物を手捏ねで造形し、3種類の造形物(造形物A(長さ5.0cm、幅3.0cm、高さ2.0cm)、造形物B(長さ6.5cm、幅3.5cm、高さ7mm)、および造形物C(長さ2.0cm、幅1.0cm、高さ5mm))を得た。
前記各造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1週間乾燥した。
乾燥後の各造形物を電気窯炉に入れ、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、3種の焼結石英を得た。
得られた3種の焼結石英は、表面がガラス化した青色の焼結石英であった。得られた2種類の焼結石英(焼結石英Aおよび焼結石英B)を、図4に示す。
また、得られた焼結石英の内の一つである焼結石英Cを割り、その断面を観察したところ、その表面近傍がガラス化していることが確認できた(図4)。
〔実施例2〕
原料として石英粉末(30g)、炭酸ナトリウム(2g)、炭酸水素ナトリウム(2g)、水酸化カルシウム(2g)、酸化マンガン(1g)を量りとった。
上記原材料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水7mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、造形可能な硬さの原料混合物を得た。
原料混合物を、リンゴの型に入れ、固化した後に取り出し、造形物(造形物D(長さ5.0cm、幅3.0cm、高さ1.2cm))を得た。
前記造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1週間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から850℃まで、3時間かけて昇温し、850℃を3時間維持し、850℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英は、表面がガラス化した青色の焼結石英であった。得られた焼結石英(焼結石英D)を、図5に示す。
〔実施例3〕
原料として石英粉末(50g)、炭酸ナトリウム(2g)、水酸化カルシウム(3g)、塩基性炭酸銅(1g)を量りとった。該原材料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水10mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物を得た。
原料混合物を手捏ねで造形し、二種の造形物(造形物E−1(長さ4.2cm、幅4.2cm、高さ4.8cm)、E−2(長さ2.8cm、幅2.6cm、高さ2.9cm))を得た。
前記各造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1日乾燥した。
酸化マンガン1gに水を約1.5ml加えて、絵具を調製した。
乾燥後の各造形物に絵具で絵付けした。
絵付け後の各造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1日乾燥した。
原料として、炭酸ナトリウム(2g)、石英粉末(1g)、塩基性炭酸銅(0.3g)を量りとった。該原料をすり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、釉薬原料を得た。釉薬原料に水1mlを加え混合し、釉薬を得た。
絵付け後の各造形物を前記条件で乾燥した後に、各造形物の全体に釉薬を塗布した。
釉薬を塗布した後の各造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1週間乾燥した。
乾燥後の各造形物を電気窯炉に入れ、室温から850℃まで、3時間かけて昇温し、850℃を3時間維持し、850℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、二種の焼結石英を得た。
得られた焼結石英は、絵付による模様を有し、表面がガラス化した青色の焼結石英であった。
得られた各焼結石英(焼結石英E−1、E−2)を、図6に示す。
〔実施例4〕
原料として石英粉末(20g)、炭酸ナトリウム(600mg)、水酸化カルシウム(1.4g)、塩基性炭酸銅(500mg)を量りとった。該原料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水3mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物を得た。
原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物F(長さ2.1cm、幅3.2cm、高さ5.0cm))を得た。
前記造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1週間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、表面がガラス化してない素焼き状態の造形物を得た。
原料として、炭酸ナトリウム(2g)、石英粉末(1g)、塩基性炭酸銅(0.3g)を量りとった。該原料をすり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、釉薬原料を得た。釉薬原料に水1mLを加え混合し、釉薬を得た。
素焼き状態の造形物の全体に釉薬を塗布した。
釉薬を塗布した後の造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で2日間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉を用い、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英は、表面がガラス化した淡青色の焼結石英であった。
得られた焼結石英(焼結石英F)を図7に示す。
〔実施例5〕
原料として石英粉末(140g)、炭酸ナトリウム(4g)、水酸化カルシウム(9g)、塩基性炭酸銅(3g)を量りとった。該原料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水20mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物を得た。
原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物G(長さ10cm、幅3.6cm、高さ5.1cm))を得た。
前記造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1週間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、表面がガラス化してない素焼き状態の造形物を得た。
酸化マンガン3gに水を約4.5ml加えて、絵具を調製した。
素焼き状態の造形物に絵具で絵付けした。
絵付け後の造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で1日乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、素焼き状態の造形物に絵が定着した造形物を得た。
原料として、炭酸ナトリウム(4g)、石英粉末(2g)、塩基性炭酸銅(0.6g)を量りとった。上記原材料をすり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、釉薬原料を得た。釉薬原料に水8mLを加え混合し、釉薬を得た。
絵が定着した造形物の全体に釉薬を塗布した。
釉薬を塗布した後の造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で2日間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英は、絵付けによる模様を有し、表面がガラス化した青色の焼結石英であった。
得られた焼結石英(焼結石英G)を、図8に示す。
〔実施例6〕
原料として石英粉末(10g)、炭酸ナトリウム(700mg)、炭酸水素ナトリウム(400mg)、水酸化カルシウム(700mg)、下記表1に示す量の金属酸化物を量りとった。
上記原材料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物6−1〜6−4を得た。
得られた粉体組成物をそれぞれビーカーに移し、水2mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物6−1〜6−4を得た。
各原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物6−1〜6−4)を得た。
なお、造形物6−1〜6−4(各々直径1.5cm、厚さ5mm程度)には、粉体組成物6−1〜6−4で用いた金属酸化物がそれぞれ含まれている。
前記各造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で(2日)間乾燥した。
(焼成条件1)
乾燥後の造形物6−4を、電気窯炉に入れ、室温から1000℃まで、4時間かけて昇温し、1000℃を1時間維持し、1000℃から450℃まで3時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英6−4−1(1000℃)は、表面がガラス化したこげ茶色の焼結石英であった。
(焼成条件2)
乾燥後の造形物6−1〜6−4をそれぞれ、電気窯炉に入れ、室温から780℃まで、3時間かけて昇温し、780℃を3時間維持し、780℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英6−1−2(780℃)は表面がガラス化したレモン色の焼結石英であり、焼結石英6−2−2(780℃)は表面がガラス化した青色の焼結石英であり、焼結石英6−3−2(780℃)は表面がガラス化した黒色の焼結石英であり、焼結石英6−4−2(780℃)は表面がガラス化したこげ茶色の焼結石英であった。
〔実施例7〕
下記表2に示す原料を量り取り、すり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物7−1〜7−3を得た。
得られた粉体組成物をそれぞれビーカーに移し、水2mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物7−1〜7−3を得た。
各原料混合物を手捏ねで造形し、造形された原料混合物7−1〜7−3を組み合わせることで造形物(造形物7−A)を得た。
原料混合物7−2および7−3を手捏ねで造形し、造形された原料混合物7−2および7−3を組み合わせることで造形物(造形物7−B)を得た。
前記各造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で2日間乾燥した。
乾燥後の造形物7−A〜7−Bをそれぞれ、電気窯炉に入れ、室温から750℃まで、3時間かけて昇温し、750℃を3時間維持し、750℃から450℃まで3時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英7−Aは表面がガラス化した白色、黒色および黄色の焼結石英であり、焼結石英7−Bは表面がガラス化した黒色および黄色の焼結石英であった。
〔実施例8〕
原料として石英粉末(8g)、炭酸ナトリウム(2g)、水酸化カルシウム(700mg)、酸化銅(400mg)を量りとった。
上記原材料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物8−1を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水2mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物8−1を得た。
原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物8−1(直径2.5cm、厚さ7mm))を得た。
前記造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で2日間乾燥した。
乾燥後の造形物8−1を、電気窯炉に入れ、室温から700℃まで、3時間かけて昇温し、700℃を3時間維持し、700℃から450℃まで3時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英8−1は表面がガラス化した濃紺色の焼結石英であった。
〔実施例9〕
原料として石英粉末(4.2g)、炭酸カリウム(350mg)、水酸化カルシウム(350mg)、塩基性炭酸銅(100mg)を量りとった。
上記原材料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水1mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物を得た。
原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物9)を得た。造形物9は、直径1.5cmの球と直径1.0cmの球とがくっついたダルマ形状であった。
前記造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で2日間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から790℃まで、3時間かけて昇温し、790℃を3時間維持し、790℃から450℃まで3時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英は、表面がガラス化した青色の焼結石英であった。
〔実施例10〕
下記表3に示す原料を量り取り、すり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物10−1〜10−5を得た。
得られた粉体組成物をそれぞれビーカーに移し、水2mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物10−1〜10−5を得た。
各原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物10−1〜10−5)を得た。
前記各造形物を、直射日光を避けて約20℃の条件下で5日間乾燥した。
乾燥後の造形物10−1〜10−5をそれぞれ、電気窯炉に入れ、室温から560℃まで、3時間30分かけて昇温し、850℃まで90分かけて昇温し、850℃を3時間維持し、850℃から300℃まで6時間40分かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英(焼結石英10−1〜10−5)を得た。
得られた焼結石英はすべて、表面がガラス化した青色の焼結石英であった。なお、造形物10−1〜10−5を比較すると、粉体組成物の原料として用いた粘土鉱物であるベントナイトの量が増えるに従い、ガラス質光沢の艶や滑らかさが、僅かに減少した。一方で、ベントナイトの量が増えるほど原料混合物の造形性は向上した。
〔比較例1〕
下記表4に示す原料を量り取り、すり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物c1−1〜c1−4を得た。
得られた粉体組成物をそれぞれビーカーに移し、水2mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物c1−1〜c1−4を得た。
各原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物c1−1〜c1−4)を得た。
前記各造形物を(直射日光を避けて約20℃)の条件下で5日間乾燥した。
乾燥後の造形物c1−1〜c1−4をそれぞれ、電気窯炉に入れ、室温から560℃まで、3時間30分かけて昇温し、850℃まで90分かけて昇温し、850℃を3時間維持し、850℃から300℃まで6時間40分かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英(焼結石英c1−1〜c1−4)を得た。
得られた焼結石英はすべて、表面がガラス化したものの気泡が多く、暗色を帯びた焼結石英であった。
〔実施例11〕
下記表5に示す原料を量り取り、すり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物11−1〜11−3を得た。
得られた粉体組成物をそれぞれビーカーに移し、水2mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物11−1〜11−3を得た。
各原料混合物を手捏ねで造形し、造形物(造形物11−1〜11−3、いずれも直径2.5cm、厚さ8mm程度)を得た。
前記各造形物を、直射日光を避けて約20℃の条件下で4日間乾燥した。
炭30gおよび乾燥後の造形物11−1〜11−3を箱形のステンレス容器に入れ蓋をした。前記蓋がされたステンレス容器を、電気窯炉に入れ、室温から830℃まで、3時間かけて昇温し、830℃を3時間維持し、830℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英(焼結石英11−1〜11−3)を得た。
得られた焼結石英11−1は、酸化鉄を用いており表面がガラス質の薄緑の焼結石英であり、焼結石英11−2は、酸化鉄を用いており表面がガラス質の濃緑の焼結石英であり、焼結石英11−3は、酸化銅を用いており表面がガラス質のこげ茶色の焼結石英であった。
実施例11は、炭を用いることにより、容器内の酸素を消費するため、還元焼成であり、炭を用いることのない他の実施例、比較例は、酸化焼成であった。
〔実施例12〕
原料として石英粉末(10g)、炭酸ナトリウム(300mg)、水酸化カルシウム(700mg)、塩基性炭酸銅(300mg)を量りとった。
該原料をすり鉢にいれ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物をビーカーに移し、水2mLを少しずつ添加しながら混合を行った。
スポイトで水を滴下しながら混合し、硬さを微調整し、手捏ねで造形可能な硬さの原料混合物を得た。
原料混合物を手捏ねで造形し、リング状の造形物(直径2.7cm)とプレート状の造形物(長さ2.5cm、幅1.5cm、厚さ3mm)を得た。
前記造形物を(直射日光を避けておおよそ20℃)の条件下で3日間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から550℃まで、3時間かけて昇温し、550℃を3時間維持し、550℃から400℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、表面がガラス化してない素焼き状態のリング状の造形物とプレート状の造形物を得た。
素焼き上の造形物とプレート状の造形物を、前記原料混合物で結合し、プレートがリングに結合した造形物を得た。
原料として、炭酸ナトリウム(1g)、石英粉末(500mg)、塩基性炭酸銅(150mg)を量りとった。
上記原材料をすり鉢に入れ、各原料を微粉末にすると同時に、混合を行い、釉薬原料を得た。釉薬原料に水2mLを加え混合し、釉薬を得た。
結合した造形物の全体に釉薬を塗布した。
釉薬を塗布した後の造形物を、直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で2日間乾燥した。
乾燥後の造形物を電気窯炉に入れ、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、表面がガラス化した青色の焼結石英を得た。
得られた焼結石英のリング部分の一部を破損させ、プレートが、一部が破損したリングに結合した焼結石英(A)を得た。
上述の原料混合物を用いて、焼結石英(A)の破損部分を修復し、上述の釉薬を修復部分に塗りつけ、未焼成の修復部分を有する焼結石英(A)を得た。
未焼成の修復部分を有する焼結石英(A)を、後直射日光を避けておおよそ20℃の条件下で2日間乾燥した。
乾燥後の未焼成の修復部分を有する焼結石英(A)を、電気窯炉に入れ、室温から820℃まで、3時間かけて昇温し、820℃を3時間維持し、820℃から450℃まで2時間かけて降温し、その後加熱を止め、自然冷却を行い、焼結石英を得た。
得られた焼結石英は、修復部分も含め、表面がガラス化した青色の焼結石英であった。

Claims (14)

  1. 石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A)、
    原料混合物を造形し造形物を得る工程(B)、および
    前記造形物を、該造形物中および造形物表面の少なくとも一方に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩が存在する条件下において、680℃〜1020℃で焼成する工程(X)を有する、焼結石英の製造方法。
  2. 前記工程(B)と、工程(X)との間に、
    前記造形物を乾燥する工程(C)を有する、請求項1に記載の焼結石英の製造方法。
  3. 石英を65質量%以上、水酸化カルシウムを1〜10質量%、並びに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を1〜20質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−1)、
    工程(A−1)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−1)、
    工程(B−1)で得られた造形物を乾燥する工程(C−1)、および
    工程(C−1)で乾燥された造形物を680℃〜1020℃で焼成する工程(X−1)を有する、焼結石英の製造方法。
  4. 石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−2)、
    工程(A−2)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−2)、
    工程(B−2)で得られた造形物を乾燥する工程(C−2)、
    石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程(D−2)、
    工程(D−2)で得られた釉薬を、工程(C−2)で得られた乾燥後の造形物に塗布し、乾燥する工程(E−2)、
    工程(E−2)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程(X−2)を有する、焼結石英の製造方法。
  5. 石英を65質量%以上、および水酸化カルシウムを1〜10質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物と、水とを含む原料混合物を調製する工程(A−3)、
    工程(A−3)で得られた原料混合物を造形し造形物を得る工程(B−3)、
    工程(B−3)で得られた造形物を乾燥する工程(C−3)、
    工程(C−3)で得られた乾燥後の造形物を、450℃〜1020℃で焼成する工程(X−3)、
    石英を5質量%以上、および炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を10〜90質量%を含む釉薬原料と、水とを含む釉薬を調製する工程(D−3)、
    工程(D−3)で得られた釉薬を、焼成後の造形物に塗布し、乾燥する工程(E−3)、
    工程(E−3)で釉薬が塗布された造形物を、680℃〜1020℃で焼成する工程(Y−3)を有する、焼結石英の製造方法。
  6. 前記粉体組成物が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を0〜20質量%含む、請求項4または5に記載の焼結石英の製造方法。
  7. 前記粉体組成物が、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜20質量%含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の焼結石英の製造方法。
  8. 前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素である、請求項7に記載の焼結石英の製造方法。
  9. 前記釉薬原料が、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜50質量%含む、請求項4または5に記載の焼結石英の製造方法。
  10. 前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素である、請求項9に記載の焼結石英の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の焼結石英の製造方法により得られる、焼結石英。
  12. 石英を65質量%以上、水酸化カルシウムを1〜10質量%、並びに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩を1〜20質量%含み、かつ粘土および粘土鉱物を含まないか、または粘土および粘土鉱物を合計で15質量%以下含む粉体組成物。
  13. 前記粉体組成物が、多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種を、0.1〜20質量%含む、請求項12に記載の粉体組成物。
  14. 前記多価金属塩および多価金属酸化物から選択される少なくとも1種に含まれる金属元素が、Cu、Pb、Sn、Sb、Fe、Mn、Co、Cr、およびNiから選択される少なくとも1種の金属元素である、請求項13に記載の粉体組成物。
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