JP2019182458A - 液体用パウチ - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する積層体からなり、自立性を有する液体用パウチにおいて、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することを課題とする。【解決手段】胴部は表裏2枚の積層体を、シーラント層同士を対向させて重ね合わせ、周縁部をシールしてなり、注出口はパウチ上辺のいずれかの場所に、手指または刃物等を用いて開封可能に設けてあり、注出口の近傍、かつ注出口の開口部の位置より下方の胴部には、表裏の2枚の積層体のうち少なくとも1枚に、パウチ外側から見て凹みを有しており、凹みは、パウチ胴部に、水平またはパウチ中央に向かって斜め上方への、線形の形状であることを特徴とする液体用パウチである。【選択図】図1

Description

本発明は、パウチに関するものである。特にプラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する液体用パウチにおいて、内容物の液体の注ぎ出しが容易で、より円滑に行なうことのできる液体用パウチに関するものである。
パウチは、シーラント層以外がプラスチックフィルム単層で構成される場合のみならず、他のプラスチックフィルムや樹脂層、金属箔などとの積層体として、内容物による要求品質に応じた層構成や材料設計が可能であることが特徴のひとつであって、様々な用途に広く用いられている。また、性能面でもコスト面などでもガラス瓶や缶などに比べて有利である場合が多い。
たとえば、飲料や食品用途にも広く用いられており、液体のほかペースト状の食品にも好適に用いられている。味噌などの調味料に用いられる例もあり、ほかにもたとえば、食用油、ソース、コーヒー飲料などの飲料、食品に限らず、液体洗剤、柔軟剤等のトイレタリー用品や、エンジンオイルなどの工業製品など、液体やペースト状の内容物であればパウチへの充填・収納が容易に可能であり、また用途に応じて保存性などにも優れたものが可能である。
そのほか、最近ではプラスチックやガラス製のボトルを使い捨てにすることをやめ、環境保護の観点から、詰め替え用の容器を用いることで廃棄物を削減する動きも見られ、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなるパウチに対しては、特にその需要が高まっている。
また、プラスチックフィルムを基材とした、シーラント層を有する液体用パウチは、柔軟性に富み、内容物の充填前、あるいは注ぎ出しを終えた後には、平たくたたんで容積を小さくすることが可能である。
しかしながら、その柔軟さゆえに、容器としての自立性にかけるという問題もあったが、これはパウチの底部に、胴部と同じ積層体からなる底フィルムを挟み込むことで、内容物を充填した際には、底フィルムが拡張して自立を可能とする工夫がなされ、この問題は解決している。
一般にパウチは、内容物の情報を表示してパウチ内部に収納し、外部環境から内容物を保護し、また保存することができる機能を有するものであり、内容物を取り出すに当っては、取り出しやすさ、特に流体であれば注ぎ出し易さが重要であって、内容物やその目的によって形態や材料構成は様々である。
特に注ぎ出し易さについては、パウチの開封後、内容物の液体を開口部から取り出すに際して、注ぎ出しが安定して容易であるのはもちろんのこと、外部にこぼれ出たり、手や衣服が汚れたりすることがあっては不都合であり、開口部が安定してその形状を保っていることが望ましい。これは詰め替え用容器としてのパウチにおいては特に求められていることでもある。
しかしながら、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有するパウチは、多くの場合に、開口部の両端はシーラント層によってシールされており、プラスチックフィルムが柔軟性を有する半面、安定した形状を保つことができない場合があり、安定かつ容
易な注ぎ出しに支障をきたす場合がある。あるいはプラスチックフィルムの有する剛性、復元性によって、流路や開口部が、内容物の減少とともに閉じやすい場合も見られるという問題が指摘されている。
安定した形状を保つことができない場合には、注ぎ出しの作業そのものが不安定で、内容物がこぼれ出たりする問題を引きおこすおそれがある。
具体的には、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有するパウチは、パウチを傾けて、注出口から内容物の液体を注ぎだすに際して、注出口に近い部分は、表裏の胴部が互いに密着して、注ぎ出しが円滑ではないことが多い。
さらにパウチを傾ければ、密着が解けて流路は形成されるものの、内容物が集中して一気に噴出する恐れがあり、時には噴出のあと一旦元に戻って再度密着が起こり、この脈動を繰り返す場合もある。
また内容物が、パウチにあまり余裕なく一杯に充填されている場合には、パウチをわずかに傾けるだけで、注出口から注ぎ出る恐れがあり、たとえば詰替え容器に注ぎ入れる前に周囲に溢れ出る問題も発生する場合もある。
これに対しては、注出口付近において、表裏胴部を構成する積層体に外側に膨らむ形状を付与したり、パウチ外側に凸となるエンボス加工を施して、流路を設けるなどの工夫がなされており、この場合には表裏胴部の密着による噴出には一定の効果が見られるものの、パウチが一杯に充填されている場合に発生する、内容物の液体が容易に溢れ出る問題には効果的ではない。
あるいは、内容物の注ぎ出しの最中に開口部が閉じてしまう場合には、開口部を再び開けなくてはならず、その手指による作業は新たに開封する作業よりも困難を伴い、内容物がこぼれ出るおそれのみならず、手指が汚れるおそれもあり、使用者、消費者を悩ませてきた。
これは、内容物が液体であっても、ペースト状であっても、共通の課題として改善が求められるところである。従来にはたとえばパウチに口栓をとりつけて、取り出しやすさを改善することも行なわれてきた。
しかしながら、口栓を取り付けるには、口栓は一般に別部材で構成されるために、材料コストがかかり、また製造工程も増えるなど、課題も存在している。
加えて、洗剤やシャンプーなどにおいて実用化されている、詰め替え用の容器として用いる場合には、その目的が省資源であり、また廃棄物の減少であることから、口栓は逆行した動きとして、歓迎されるものではない。
特許文献1には、自立性パウチの注ぎやすさを改善する試みが示されているが、注出口下方のシール部は完全にシールされており、両面の積層体を解放できない。
したがって、パウチ内の内容物の量が減った状態で傾けた場合には、注ぎだしにくく、パウチを大きく傾ける必要が生じて、作業は容易さを欠き、安定した注ぎ出しが保たれない恐れがある。
また特許文献2には、自立性パウチの注出口の表面および裏面の相対する位置には、ノズルの先端部から液体収納部方向へ向かう経路に注出口の中央部を外側に膨らませる凸状
筋と、凸状筋の下側の注出口部分にあって注出口の先端部から液体収納部方向に向かう経路に内側に窪ませる凹状筋とを形成した注出口付き液体収納容器である。
すなわち、ここで提案されたパウチ注出口の構造は、詰替え容器に注出口を差し込む際に注出口を良好に開くことを意図したものであって、必ずしも注ぎ出し、および詰め替えそのものを容易かつ円滑に行なう目的とは異なっている。
特開2000−43902号公報 特開2004−168333号公報
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、プラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する積層体からなり、自立性を有する液体用パウチにおいて、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体からなるパウチであって、
胴部は表裏2枚の積層体を、シーラント層同士を対向させて重ね合わせ、周縁部をシールしてなり、
底部は表裏2枚の胴部下部の間に、積層体のシーラント層を外側にして折りたたんだ、底テープが、拡張可能にシールされており、
注出口はパウチ上辺のいずれかの場所に、手指または刃物等を用いて開封可能に設けてあり、
注出口の近傍、かつ注出口の開口部の位置より下方の胴部には、表裏の2枚の積層体のうち少なくとも1枚に、パウチ外側から見て凹みを有しており、
凹みは、パウチ胴部に、水平またはパウチ中央に向かって斜め上方への、線形の形状であることを特徴とする液体用パウチである。
また、請求項2に記載の発明は、
前記凹みの線形の形状は直線、または円弧線、または「ヘの字」線、あるいはそれらが断続してなる線であることを特徴とする請求項1に記載の液体用パウチである。
また、請求項3に記載の発明は、
前記凹みは、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体用パウチである。
また、請求項4に記載の発明は、
前記凹みは、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接する位置から発して、パウチの中央の中心線を越えない範囲で設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体用パウチである。
また、請求項5に記載の発明は、
前記凹みは、デボス加工によって形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液体用パウチである。
また、請求項6に記載の発明は、
前記注出口近傍には、パウチ内部から開口部に向かうエンボス加工部を設けてあることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液体用パウチである。
本発明によれば、プラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する積層体からなり、自立性を有する液体用パウチにおいて、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能である。
すなわち、注出口の近傍、かつ注出口の開口部の位置より下方の胴部には、表裏の2枚の積層体のうち少なくとも1枚に、パウチ外側から見て凹みを有しており、この部分が注ぎ出し初期においては、注出口への内容物の液体の集中的な流れ込みを、ゆるやかにするための堰の役割を果たす。これは、胴部に設けられた、表裏両面の胴部、あるいは表裏どちらかに設けられた凹部が内容物の液体の流路を堰き止める役割を果たすことによる。
パウチをさらに傾けて、注ぎ出しが定常状態になるときには、凹みによって形成される堰の部分が、内容物液体の自重による液圧で開いて、内容物の液体の流路を妨げることはない。
特に、請求項2に記載の発明によれば、凹みの形状が、直線、または円弧線、または「ヘの字」線、あるいはそれらが断続してなる線であることによって、より効果的に堰の役割を果たすことができ、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能である。
特に、請求項3に記載の発明によれば、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接して設けられていることによって、より効果的に堰の役割を果たすことができ、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能である。
特に、請求項4に記載の発明によれば、凹みは、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接する位置から発して、パウチの中央の中心線を越えない範囲で設けられていることによって、より効果的に堰の役割を果たすことができ、かつ定常状態の流路が形成されたときには、内容物液体の流路を妨げることがなく、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能である。
特に、請求項5に記載の発明によれば、凹みの形成にデボス加工を用いることで、安価かつ確実に凹みを形成することができ、新たな費用の発生を最小限に抑えることが可能になる。
特に、請求項6に記載の発明によれば、パウチ内部から開口部に向かうエンボス加工部を設けてあることによって、注出口部分を補強することができ、折れ曲がりなどの不具合を起こすことなく、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能である。
図1は、本発明に係る液体用パウチの、一実施態様を説明するための斜視模式図である。 図2は、本発明に係る液体用パウチに関して、表裏胴部の積層体の凹み形成を説明するための部分断面模式図である。 図3は、本発明に係る液体用パウチに関して、表裏胴部の積層体の凹みの機能を説明するための部分断面模式図である。 図4は、本発明に係る液体用パウチの、凹みの形状を説明するための平面模式図である。 図5は、本発明に係る液体用パウチの、内容物の液体の注ぎ出しに関して、凹みの機能を説明するために、パウチを開封し、傾けた状態を説明するための斜視模式図である。 図6は、本発明に係る液体用パウチの、内容物の液体の注ぎ出しに関して、凹みの機能を説明するために、図5に示す状態からパウチをさらに傾けた状態を説明するための斜視模式図である。 図7は、本発明に係る液体用パウチの、一実施態様を説明するための平面模式図である。 図8は、本発明に係る液体用パウチの、他の実施態様を説明するための平面模式図である。
以下、本発明を図1〜図8を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
図1は、本発明に係る液体用パウチの、一実施態様を説明するための斜視模式図である。
本発明による液体用パウチ(100)は、プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体からなるパウチである。胴部(1)は表裏2枚の積層体を、シーラント層同士を対向させて重ね合わせ、周縁部をシールして構成される。したがって胴部は表側胴部(5)、裏側胴部(6)の両面で構成され、周縁部はシール部(2)となる。
パウチの底部(3)は表裏2枚の胴部下部の間に、積層体のシーラント層を外側にして折りたたんだ、底テープ(4)が、拡張可能にシールされており、これによって内容物を充填してパウチが膨らむときには、底面が広がり、液体用パウチ(100)の自立性が付与される。
注出口(7)は、パウチ上辺(9)のいずれかの場所に、手指で開封可能に設けてあり、開封された後、注出口(7)の開口部(8)から、内容物の液体が注ぎ出される。
本発明による液体用パウチ(100)においては、注出口(7)の近傍、かつ注出口の開口部(8)の位置より下方の胴部(1)には、表裏の2枚の積層体のうち少なくとも1枚に、パウチ外側から見て凹みを有しており、凹みは、サイドシールから、水平またはパウチ中央に向かって斜め上方への、線形の形状であることを特徴とする。
図2は、本発明に係る液体用パウチに関して、表裏胴部の積層体の凹み形成を説明するための部分断面模式図である。
本発明による液体用パウチは、注出口の近傍、かつ注出口の開口部の位置より下方の胴
部には、表裏の2枚の積層体のうち少なくとも1枚に、パウチ外側から見て凹み(10)を有していることを特徴とする。
図2に示す例は、表側胴部の積層体(11)、および裏側胴部の積層体(12)の両方に凹みを有している例である。すなわち凹み(10)は、パウチ外側から見ての凹み(10)であって、図2において、表側胴部の積層体(11)には、上方からパウチ内側(13)へ向かっての凹み(10)であって、裏側胴部の積層体(12)には、下方からパウチ内側(13)へ向かっての凹み(10)である。
これら両方の凹み(10)は、シーラント層同士は対向しており、互いに接しているがシールはされていない状態である。この凹み部分によって、表側胴部の積層体(11)、および裏側胴部の積層体(12)の間にはクリアランス(16)が形成される。
このクリアランス(16)によって、表側胴部の積層体(11)、および裏側胴部の積層体(12)が密着することがなく、内容物の液体の注ぎだしに際して、その内容物の液体の流れ(18)を妨げたのち、密着が解けて一気に噴出することがなくなり、安定した注ぎ出しに効果的である。
また、内溶物の液体の流れ(18)に対しては、直接に注出口(7)に集中して流入することを抑制し、堰の役割を果たす。すなわち、設けられた凹み(10)は堰の役割を果たすことができ、内容物の液体の注出口(7)からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能である。
図3は、本発明に係る液体用パウチに関して、表裏胴部の積層体の凹みの機能を説明するための部分断面模式図である。
図2、および図3で示す例のように、液体用パウチ(100)の注出口(7)からの注ぎ出しが行なわれようとするとき、内容物の液体の流れ(18)は一旦凹み部分でその流れが抑制される。
しかしながら、凹み(10)は互いにシールされているのではなく、また表側胴部の積層体(11)、および裏側胴部の積層体(12)もプラスチックフィルムを基材とした積層体であるため、柔軟性、弾力性を併せ持つために、内容物の液体の流れ(18)は完全に遮断されることはなく、その一部は内容物の液体の流れ(19)として、注出口(7)へ向かう。
注出されるべき他の大部分の内溶物の液体の流れ(18)は、この注出口近傍に設けられた凹み(10)を迂回して注出口(7)に向かう。この機構によって、内容物の液体の注出口(7)からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチ(100)を提供することが可能になる。
したがって、注ぎ出しの作業において、内容物の液体があふれ出す恐れもなく、手を汚すなどの不具合を回避することができる。
図4は、本発明に係る液体用パウチの、凹みの形状を説明するための平面模式図である。
本発明による液体用パウチにおいて、胴部注出口近傍に設けられた凹み(10)は、パウチ胴部に、水平またはパウチ中央に向かって斜め上方への、線形の形状である。たとえ
ば、凹み(10)の線形の形状は直線、または円弧線、または「ヘの字」線、あるいはそれらが断続してなる線とすることができ、図4に示す例のように、(a)水平な直線、(b)パウチ中央に向かって斜め上方への直線、(c)円弧線、(d)「ヘの字」線、などを用いることができる。
但し、(a)〜(d)に示す、これらの凹み(10)の形状は、注出口(7)が、図1に示す例のように、これらの凹み(10)から見て、上方向、または左上方向にあることを想定した模式図である。
すなわち、液体用パウチ(100)の注出口(7)からの注ぎ出しが行なわれようとするとき、内容物の液体の流れ(18)が、一旦凹み(10)部分でその流れが抑制されるように配置する。
図5は、本発明に係る液体用パウチの、内容物の液体の注ぎ出しに関して、凹みの機能を説明するために、パウチを開封し、傾けた状態を説明するための斜視模式図である。
本発明による液体用パウチ(100)からの、内容物の液体の注ぎ出しは、はじめに手指あるいは刃物によってパウチの注出口(7)の先端を切り裂いて、開口部(8)を設ける。特に手指で切り裂いて開口部(8)を設ける場合には、注出口(7)の一部に切り欠きや、易開封機構を設けてあることが好ましい。
次に図5に示すように、液体用パウチ(100)全体を傾けて、内容物の液体を注出口(7)に導くが、このとき、凹み(10)によって表側胴部の積層体(11)と裏側胴部の積層体(12)との間にはクリアランス(16)が形成されているため、両者の密着は避けられる。
したがって、凹み(10)によって、表側胴部の積層体(11)と、裏側胴部の積層体(12)とが、密着して流路を妨げることがなく、内容物の液体の急激な噴出も起こりにくいため、円滑に注ぎ出しが開始される。
また、この凹み(10)がせき止めの効果を有して、内容物の液体の注出口(7)への急激な流入に一定の抑制をかけることができ、一定の角度の傾きによって始めて注ぎだしが可能になるため、急激な噴出も起こりにくい。
図5に示す状態においては、液面(20)が注出口(7)の高さになって、注ぎ出しが始まった状態を示している。この時点では、凹み(10)が堰として有効に機能しているため、内容物の流れ(21)が主とした流路である。すなわち、注出口近傍の領域(25)において、内容物の液体は安定した流れを形成することができている状態を示している。
図6は、本発明に係る液体用パウチの、内容物の液体の注ぎ出しに関して、凹みの機能を説明するために、図5に示す状態からパウチをさらに傾けた状態を説明するための斜視模式図である。
さらに液体用パウチ(100)を傾けて、注ぎ出しが定常状態になると、凹み(10)は内容物の液体の自重による液圧でさらに大きく開き、内容物の流れ(22)を主として注ぎ出しの流路が形成され、注ぎ出される液体(24)の量は安定し、増減することはない。
その後、内容物の液体は、注ぎ出しとともに安定して減じてゆき、液体用パウチ(10
0)からの注ぎ出しの作業を終了することができる。
図7は、本発明に係る液体用パウチの、一実施態様を説明するための平面模式図である。また図8は、本発明に係る液体用パウチの、他の実施態様を説明するための平面模式図である。
本発明による液体用パウチにおいて、注出口はパウチ上辺の、左右の角部を含むいずれかの場所に設けてあり、また注出口の近傍、かつ注出口の開口部の位置より下方の胴部には、表裏の2枚の積層体のうち少なくとも1枚に、パウチ外側から見て凹みを設けるものである。
また、凹みは、パウチ胴部に、水平またはパウチ中央に向かって斜め上方への、線形の形状であることによって、本発明において課題とするところの、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能になる。
さらにこの機能をより効果的に発揮せしめるために、凹みは、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接して設けることができる。
あるいはまた、凹みは、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接する位置から発して、パウチの中央の中心線を越えない範囲で設けることができる。
図7に示す液体用パウチ(100)の例においては、凹み(10)を、一方のサイドシールに接して設けた例であり、凹み(10)は、パウチの中央の中心線(15)を越えない範囲で設けた例である。
上記の位置に凹み(10)を設けることによって、凹み(10)によるクリアランスの形成が、より効果的に表裏胴部積層体の密着を防止できるとともに、内容物の液体のより容易かつ安定的な流路形成に効果的である。
本発明による液体パウチ(100)の胴部の注出口(7)近傍に設けられる凹み(10)は、その形成には特定の制約を加えるものではないが、たとえばデボス加工によって形成することができる。
ここで言うデボス加工は、この発明に関しては表裏、またはその一方の積層体の一部に凹み(10)を設ける加工であって、凹型と凸型使用して、積層体を挟み込んで凹み(10)を形成するものである。
加えて、内容物の液体の注ぎだしにおいて、注出口(7)の補強を目的として、注出口(7)近傍には、パウチ内部から開口部(8)に向かうエンボス加工部(17)を設けることができる。
この補強は、単に注ぎ出しを行なう場合のみならず、注ぎ出しにおいて注出口(7)を他の容器の開口部に差し入れて注ぎ出しを行なう場合にも都合がよい。
すなわち、エンボス加工部によって、注出口(7)の強度を補強することができ、本発明が課題とするところの、内容物の液体の注出口(7)からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチ(100)を提供することがより効率的に可能になる。
図8に示す液体用パウチ(100)の例においては、凹み(10)を、左右両方のサイドシールに接して水平方向の線形に設けた例であり、凹み(10)は、パウチの中央の中心線を越えない範囲で設けた例である。
上記の位置に凹み(10)を設けることによって、凹み(10)によるクリアランスの形成が、より効果的に表裏胴部積層体の密着を防止できるとともに、内容物の液体のより容易かつ安定的な流路形成に効果的である。
このように本発明による液体用パウチは、胴部の凹みによって、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能となるが、そのための新たな材料費が発生することもなく、またパウチの形状を大きく変更する必要もなく、内容量を減じるなどの必要もなく、凹みの加工も、デボス加工を使うなどすれば簡便で、製造工程への影響も低く抑えることができる。
また、本発明は、大型のパウチにも適用できるため、内容量の大きなパウチにおいてもパウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチとすることができ、詰め替えなどの作業においても溢れ出たり、それによる周囲への飛散とそれに伴う汚染や、衣服、手指への付着を防止することができる。
図1についての説明において前述したとおり、本発明は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなる包装袋である。本発明を実現するために用いることのできる個々の材料について、さらに詳しく説明を加える。
(プラスチックフィルム)
本発明による包パウチはプラスチックフィルムを基材とする。プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
(積層体)
またプラスチックフィルムは、接着剤層あるいは樹脂層を介して、他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、パウチに対する要求品質に応じて適宜設計することができる。
また、たとえば内容物の保存性を向上させることなどを目的として、必要な場合には、プラスチックフィルムを基材とする積層体中に、着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、プラスチックフィルムを基材とする積層体中に、ガスバリア層を設けることができる。
たとえば、プラスチックフィルムの表面に、無機化合物からなるガスバリア層を蒸着したガスバリアフィルムを用いることができる。またガスバリア層としてアルミニウムなどの金属箔、あるいはアルミニウムをプラスチックフィルムに蒸着した蒸着フィルムを用いることができる。いずれの場合においても、ガスバリア性によって、内容物の保存性向上に有効である。
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、コーティング層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、コーティング層を順次設ける。
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いるほか、一般に知られているコーティング方法を用いて塗膜を形成することができる。
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm〜30nmが良い。
コーティング層を形成する方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。
このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
無機化合物層は真空蒸着法による塗膜のみでもガスバリア性を有するが、コーティング法による無機化合物層であるコーティング層を真空蒸着法による無機化合物層である蒸着層に重ねて形成し、ガスバリア層とすることができる。
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、パウチとしての適性も具備することができる。
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は透明であるために、内容物を包装袋の外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、目的、要求品質によって、金属箔などのガスバリア層などと、適宜使い分けをすればよい。
(シーラント層)
パウチを構成する積層体のシーラント層は、2枚のプラスチックフィルムをシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、パウチに製袋することを可能にする。
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂を用いることができる。
また、ほかにもポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
(印刷層)
また、商品としてのイメージアップや、内容物についての必要な情報表示や意匠性の向上を目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層体中の、包装袋外側から見える層に印刷によって設けることができる。包装袋の最外層に設けるのでも構わない。
ここで印刷方法、および印刷インキには、とくに制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、内容物によっては食品容器としての安全性などを考慮すれば適宜選択してよい。
たとえば従来より知られている、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。中でもグラビア印刷法は、生産性や絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
以下本発明を、実施例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
評価用に下記の仕様のパウチを作成した。
層構成:パウチ外側から、
延伸ポリアミドフィルム(厚さ15μm)/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ150μm)
大きさ:天地260mm±1.0mm 左右130mm±1.5mm
底テープ寸法:往復72mm±3.0mm
内容物の液体:水500ml
である。
評価項目は、
注ぎやすさ
注ぎ時のこぼれ
の、2項目とした。
注ぎやすさの評価は、◎、〇、×評価、とし、
注ぎ時のこぼれの評価は、ある、なし評価とした。
<実施例1>
上記構成のパウチからの、内容物の液体の注ぎ出しを行なうに際して、注ぎ口から3cmの位置を、デボス加工を再現として、指で押さえて詰替ボトルへの注出作業を行なった。
<比較例1>
上記構成のパウチからの、内容物の液体の注ぎ出しを行なうに際して、指での押さえることはせずに、詰替ボトルへの注出作業を行なった。この部分が実施例1とは異なる。
評価結果を表1に示す。
Figure 2019182458
表1に示す結果から、「注ぎやすさ」、「注ぎ時のこぼれ」のいずれにおいても、本発明による実施例1が、比較例1に比べて、優位にあることが分かる。
表1の評価はすなわち、比較例1において、パウチを浅く傾けた段階で、注ぎ出しが始まるために、詰め替えボトルを傾けて作業を行なう必要があり、容易ではなかったのに比べ、実施例1においては、注ぎ出し初期においても、急激な噴出は起こらず、一定の傾きを与えて後も、注ぎ出しが容易で安定していたことによる。
このように本発明によれば、プラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する積層体からなり、自立性を有する液体用パウチにおいて、内容物の液体の注出口からの注ぎ出しを、パウチの開封から注ぎ出し終了まで、容易かつ安定して行なうことのできる液体用パウチを提供することが可能であることを、検証することができた。
1・・・胴部
2・・・シール部
3・・・底部
5・・・表側胴部
6・・・裏側胴部
7・・・注出口
8・・・開口部
9・・・パウチ上辺
10・・・凹み
11・・・表側胴部の積層体
12・・・裏側胴部の積層体
13・・・パウチ内側
15・・・中心線
16・・・クリアランス
17・・・エンボス加工部
18・・・内容物の液体の流れ
19・・・内容物の液体の流れ
20・・・液面
21・・・内容物の流れ
22・・・内容物の流れ
24・・・注ぎ出される液体
25・・・注出口近傍の領域
100・・・液体用パウチ

Claims (6)

  1. プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体からなるパウチであって、
    胴部は表裏2枚の積層体を、シーラント層同士を対向させて重ね合わせ、周縁部をシールしてなり、
    底部は表裏2枚の胴部下部の間に、積層体のシーラント層を外側にして折りたたんだ、底テープが、拡張可能にシールされており、
    注出口はパウチ上辺のいずれかの場所に、手指または刃物等を用いて開封可能に設けてあり、
    注出口の近傍、かつ注出口の開口部の位置より下方の胴部には、表裏の2枚の積層体のうち少なくとも1枚に、パウチ外側から見て凹みを有しており、
    凹みは、パウチ胴部に、水平またはパウチ中央に向かって斜め上方への、線形の形状であることを特徴とする液体用パウチ。
  2. 前記凹みの線形の形状は直線、または円弧線、または「ヘの字」線、あるいはそれらが断続してなる線であることを特徴とする請求項1に記載の液体用パウチ
  3. 前記凹みは、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体用パウチ。
  4. 前記凹みは、少なくとも一方のサイドシールに近接、または接する位置から発して、パウチの中央の中心線を越えない範囲で設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体用パウチ。
  5. 前記凹みは、デボス加工によって形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液体用パウチ。
  6. 前記注出口近傍には、パウチ内部から開口部に向かうエンボス加工部を設けてあることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液体用パウチ。
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