JP2019182302A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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昌明 橋本
Masaaki Hashimoto
昌明 橋本
渡邉 和宏
Kazuhiro Watanabe
和宏 渡邉
伊早夫 岡澤
Isao Okazawa
伊早夫 岡澤
祥 西
Sho Nishi
祥 西
篤弥 松尾
Shigeya Matsuo
篤弥 松尾
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Abstract

【課題】転舵機構と機械的に分離された操舵機構に対して規制する回転量の変更を簡易にする車両用操舵装置車両用操舵装置を提供する。【解決手段】操舵機構2と転舵機構3とが機械的に分離されている車両用操舵装置1は、操舵機構2の動作に応じて回転するステアリングシャフト20と、ステアリングシャフト20から伝達される回転力により動作する軸部材42と、軸部材42に一端が固定される被巻き取り部材101と、被巻き取り部材101の他端が固定される取付部102とを備える。軸部材42は、動作することによって、被巻き取り部材101を巻き取る。【選択図】図3

Description

本発明は、車両用操舵装置に関する。
ステアリングホイールと転舵機構とが機械的に接続されていないステア・バイ・ワイヤ式の車両用操舵装置がある。例えば、特許文献1は、ステアリングホイール等の操舵部材と、舵取り用の車輪の操向のための舵取機構とが分離されたステア・バイ・ワイヤ式の車両用操舵装置を開示している。一般的な操舵装置では、操舵部材の回転範囲は、舵取機構により制限を受けるが、ステア・バイ・ワイヤ式の操舵装置では、操舵部材の回転範囲は、制限を受けない。特許文献1の車両用操舵装置は、一般的な操舵装置と同様の操舵感が得られるように、操舵部材の回転を規制する構成を備える。具体的には、操舵部材のうちのコラム軸と同軸の第1ギヤに噛み合う第2ギヤの回転量を規制することによって、コラム軸の回転量が規制される。そして、第2ギヤと一体に回転するストッパが、これらのギヤを収容するハウジングに固定されたストッパと当接することにより、第2ギヤの回転が規制される。
特開2004−189037号公報
ここで、特許文献1の車両用操舵装置では、第2ギヤのストッパは、正回転及び逆回転のいずれの場合でも、第2ギヤが一回転するまでに、ハウジングのストッパと当接する。このため、コラム軸の回転可能な量は、第2ギヤの一回転に対応する回転量以下に規制される。コラム軸の回転可能な量を変更する場合、第2ギヤを変更する必要があり、第2ギヤの変更により、ハウジングの変更も必要となる場合がある。このため、コラム軸の回転可能な量の変更のためのコストがかかる。
そこで、本発明は、転舵機構と機械的に分離された操舵機構に対して規制する回転量の変更を簡易にする車両用操舵装置を提供する。
本発明の一態様に係る車両用操舵装置は、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離された車両用操舵装置であって、前記操舵機構の動作に応じて回転する回転軸と、前記回転軸から伝達される回転力により動作する巻き取り部と、前記巻き取り部に一端が固定される被巻き取り部材と、前記被巻き取り部材の他端が固定される取付部とを備え、前記巻き取り部は、動作することによって、前記被巻き取り部材を巻き取る。
本発明に係る車両用操舵装置によると、転舵機構と機械的に分離された操舵機構に対して規制する回転量の変更が簡易になる。
図1は、実施の形態1に係る車両用操舵装置の全体的な構成を模式的に示す図である。 図2は、図1の操舵機構の模式的な側面図である。 図3は、図2のステアリングシャフトの軸心を通る第一減速機、操舵制限機構及びその周辺の模式的な断面側面図である。 図4Aは、図3のIVA−IVA線に沿った操舵制限機構の模式的な断面図である。 図4Bは、図4Aの操舵制限機構による操舵制止状態の1つを示す模式的な図である。 図4Cは、図4Aの操舵制限機構による操舵制止状態の別の1つを示す模式的な図である。 図5は、実施の形態2に係る車両用操舵装置の操舵制限機構及びその周辺の構成を、図3と同様に示す模式的な断面側面図である。 図6Aは、図5のVIA−VIA線に沿った操舵制限機構の断面を、図4Aと同様に示す模式的な断面図である。 図6Bは、図6Aの操舵制限機構による操舵制止状態の1つを示す模式的な図である。 図6Cは、図6Aの操舵制限機構による操舵制止状態の別の1つを示す模式的な図である。 図7は、実施の形態3に係る車両用操舵装置の操舵制限機構及びその周辺の構成を、図3と同様に示す模式的な断面側面図である。 図8Aは、図7のVIIIA−VIIIA線に沿った操舵制限機構の断面を、図4Aと同様に示す模式的な断面図である。 図8Bは、図8Aの操舵制限機構による操舵制止状態の1つを示す模式的な図である。 図8Cは、図8Aの操舵制限機構による操舵制止状態の別の1つを示す模式的な図である。
以下、実施の形態に係る車両用操舵装置を、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明される実施の形態は、包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る車両用操舵装置1の構成を説明する。図1には、実施の形態1に係る車両用操舵装置1の全体的な構成が模式的に示されている。車両用操舵装置1は、車両に搭載されている。図1に示すように、車両用操舵装置1は、車両の運転者によって操作される操舵機構2と、運転者による操舵機構2への入力に応じて転舵輪80を転舵させる転舵機構3とを備えている。転舵輪80は、車両の舵取り用の車輪である。操舵機構2と転舵機構3とは、機械的に接続されずに分離されている。このような車両用操舵装置1は、ステア・バイ・ワイヤシステムを構成している。
図2には、図1の操舵機構2の模式的な側面図が示されている。図1及び図2に示すように、操舵機構2は、運転者が操向のために操作する操舵部材としてのステアリングホイール10と、ステアリングホイール10と接続されたステアリングシャフト20と、ステアリングシャフト20に反力を与える反力モータ31と、反力モータ31の回転駆動力をステアリングシャフト20に伝達する第一減速機40とを備える。ステアリングシャフト20は、チューブ21内に配置され、チューブ21によって、その軸心Cを中心に回転可能に、且つ軸心C方向にスライド可能に支持されている。チューブ21は、車体に固定され、それにより、ステアリングシャフト20を所定の位置に保持する。チューブ21から突出するステアリングシャフト20の一方の端部に、ステアリングホイール10が接続される。ステアリングシャフト20の他方の端部は、図3に示すトーションバー22を介して第一減速機40と接続されている。また、反力モータ31及び第一減速機40は、チューブ21に固定されている。なお、図3は、図2のステアリングシャフト20の軸心Cを通る第一減速機40、操舵制限機構100及びその周辺の模式的な断面側面図である。
操舵機構2は、運転者によってステアリングホイール10を介してステアリングシャフト20に加えられる操舵トルクを検出するためのトルクセンサ50を備える。本実施の形態では、トルクセンサ50は、第一減速機40内において、トーションバー22(図3参照)に配置されているが、トルクセンサ50の位置は第一減速機40内に限定されない。トーションバー22は、ステアリングシャフト20と第一減速機40が備える軸部材42(図3参照)とを一体的に連結する。トーションバー22の剛性は、ステアリングシャフト20及び軸部材42よりも低い。ステアリングシャフト20及び軸部材42は、トーションバー22が捩れることによって、所定の角度範囲内で相対回転する。トルクセンサ50は、トーションバー22の捩れ量、つまりステアリングシャフト20及び軸部材42の相対回転角を検出することによって、操舵トルクを検出する。
第一減速機40は、トーションバー22を介してステアリングシャフト20と接続され且つ反力モータ31と接続されている。第一減速機40は、反力モータ31を駆動源として、操舵に対する反力を、トーションバー22を介してステアリングシャフト20に付与する。これにより、運転者は、ステアリングホイール10を操作する際に、ステアリングホイール10から重みを感じ、操舵感を感じることができる。第一減速機40は、反力モータ31の回転速度を減速させ且つ回転駆動力を増強してステアリングシャフト20に伝達する。
また、車両用操舵装置1は、操舵制限機構100を備える。操舵制限機構100は、ステアリングシャフト20の回転量を制限する。本実施の形態では、操舵制限機構100は、第一減速機40と接続され、第一減速機40を介してステアリングシャフト20と間接的に接続されている。しかしながら、操舵制限機構100は、ステアリングシャフト20に直接的に接続されてもよく、他の部材を介してステアリングシャフト20と間接的に接続されてもよい。操舵制限機構100の詳細は後述する。
また、車両用操舵装置1は、ECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)91を備える。ECU91は、反力モータ31、及び後述する転舵機構3の転舵モータ32と電気的に接続され、反力モータ31及び転舵モータ32の動作を制御する。転舵モータ32は、その回転駆動力によって転舵輪80を転舵させる。ECU91は、車両の速度センサ92、バッテリ93及びトルクセンサ50とも電気的に接続され、速度センサ92から車速の信号を取得し車速に変換し、トルクセンサ50から捩れ量の信号を取得し操舵トルクに変換する。ECU91は、バッテリ93の電力を反力モータ31及び転舵モータ32に供給し、これらを稼動させる。ECU91は、トルクセンサ50を介して検出される操舵トルク、及び、速度センサ92を介して検出される車速に応じて、反力モータ31に発生させるトルク、及び、転舵モータ32の回転量及びトルクを制御する。つまり、ECU91は、反力モータ31及び転舵モータ32に対して操舵トルクを用いたフィードバック制御を行う。また、ECU91は、ステアリングシャフト20の回転角を検出する図示しない操舵角センサから操舵角の信号を取得し、反力モータ31及び転舵モータ32に対して操舵角を用いたフィードバック制御も行ってもよい。
転舵機構3は、転舵輪80に接続されるラックシャフト70と、転舵モータ32と、転舵モータ32の回転駆動力をラックシャフト70に伝達する第二減速機60とを備える。
第二減速機60は、転舵モータ32及びラックシャフト70と接続され、転舵モータ32を駆動源として、転舵輪80を転舵させるための力をラックシャフト70に付与する。第二減速機60は、転舵モータ32の回転速度を減速させ且つ回転駆動力を増強してラックシャフト70に伝達し、さらに、転舵モータ32の回転駆動力をラックシャフト70の軸方向の力に変換してラックシャフト70に伝達する。例えば、第二減速機60は、転舵モータ32の駆動回転軸に接続された第一歯車61と、第一歯車61と係合する中空円筒状の第二歯車62とを備える。ラックシャフト70は、第二歯車62を貫通する。第二歯車62は、外周面のギヤ歯で第一歯車61と噛み合い、内周面の雌ネジでラックシャフト70の外周面の雄ネジと螺合する。例えば、第二歯車62及びラックシャフト70は、ボールネジを介して螺合してもよい。さらに、第二歯車62は、ラックシャフト70の軸心方向に移動せず且つ軸心を中心として回転可能であるように、第二減速機60のハウジングによって支持されている。転舵モータ32の回転駆動力は、第一歯車61を介して第二歯車62を回転させ、第二歯車62が回転することによって、ラックシャフト70は、第二歯車62に対して往復移動する。これにより、ラックシャフト70は、転舵輪80を転舵させる。
図3を参照しつつ、操舵制限機構100及びその周辺の構成を説明する。操舵制限機構100は、第一減速機40が有するハウジング41内に配置されている。
第一減速機40は、チューブ21に固定されたハウジング41を備えている。ハウジング41は、第一ハウジング部材41a、第二ハウジング部材41b及び第三ハウジング部材41cで構成されている。第三ハウジング部材41cは、チューブ21に固定される。第一ハウジング部材41a及び第三ハウジング部材41cは、ステアリングシャフト20の軸心C方向で、第二ハウジング部材41bの両側に位置する。第一ハウジング部材41a、第二ハウジング部材41b及び第三ハウジング部材41cは、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属で構成される。
第一ハウジング部材41a、第二ハウジング部材41b及び第三ハウジング部材41cは、互いに組み付けられることによって、ハウジング41を形成し、且つハウジング41内に収容空間を形成する。第一ハウジング部材41a及び第二ハウジング部材41bは、これらの内側に第一収容空間41dを形成する。第二ハウジング部材41b及び第三ハウジング部材41cは、これらの内側に第二収容空間41eを形成する。第三ハウジング部材41cは、この内側に第三収容空間41fを形成する。第一収容空間41d及び第三収容空間41fは、軸心C方向で、第二収容空間41eの両側に位置する。第一収容空間41d、第二収容空間41e及び第三収容空間41fは、互いに連通し、ハウジング41の収容空間を形成する。第三収容空間41fは、チューブ21の内部空間に連通する。
トーションバー22は、第三収容空間41f内に延び、第一減速機40が備える軸部材42と一体に回転するように連結されている。つまり、軸部材42は、トーションバー22及びステアリングシャフト20と一体化されている。軸部材42は、運転者によるステアリングホイール10への操作に応じて回転するステアリングシャフト20と共に回転する。さらに、トルクセンサ50も、第三収容空間41f内に配置されている。ここで、ステアリングシャフト20は、操舵機構2の動作に応じて回転し、回転軸を構成する。軸部材42は、ステアリングシャフト20から伝達される回転力により動作し、巻き取り部を構成する。
トーションバー22及び軸部材42は、軸心Cを中心とする回転駆動力を互いに伝達できる連結構造により、連結されている。本実施形態では、トーションバー22及び軸部材42は、互いに嵌合する。具体的には、軸部材42は、一方の端部に、内周面にセレーション又はスプラインが形成された嵌合穴42bを有している。トーションバー22におけるステアリングシャフト20と反対側の端部22aの外周面にも、セレーション又はスプラインが形成されている。トーションバー22は、端部22aが嵌合穴42bに挿入されることによって、軸部材42と一体回転可能に連結される。なお、トーションバー22及び軸部材42の嵌合構造は、上記に限定されず、キー及びキー溝による嵌合構造、圧入による嵌合構造等の、回転駆動力を伝達可能である他のいかなる嵌合構造であってもよい。さらに、トーションバー22及び軸部材42の連結構造は、嵌合構造に限定されず、フランジ又は継手などを介したネジ締結等の、回転駆動力を伝達可能である他のいかなる連結構造であってもよい。
第一減速機40は、軸部材42及びトーションバー22を介して、反力モータ31の回転速度を減速させ且つ回転駆動力を増強してステアリングシャフト20に伝達する。本実施の形態では、第一減速機40はウォーム減速機であるとして、説明する。第一減速機40は、上述のような機能を有すれば、いかなる減速機であってもよい。
第一減速機40は、軸部材42に加え、第二収容空間41e内に、ウォームホイール43と、ウォームシャフト44とを備える。ウォームホイール43は、円板状の歯車であり、外周に複数の歯を有している。ウォームホイール43の中心を、軸部材42が貫通している。軸部材42及びウォームホイール43は、同軸上で一体に回転するように結合されている。軸部材42は、第二収容空間41eから第一収容空間41d及び第三収容空間41f内それぞれに延びる。
ウォームシャフト44は、ネジ状の歯車であり、ウォームホイール43よりも小径の円筒状の形状を有している。ウォームシャフト44は、外周面にらせん状の歯を一体的に有している。ウォームシャフト44は、らせん状の歯がウォームホイール43の外周の歯と噛み合うように配置されている。さらに、円筒状のウォームシャフト44の内部には、反力モータ31の駆動回転軸31aが挿入されている。駆動回転軸31a及びウォームシャフト44は、同軸上で一体に回転するように連結されている。駆動回転軸31a及びウォームシャフト44の連結構造は、例えば、トーションバー22及び軸部材42の連結構造に関して上述した構造のいずれかであってもよい。本実施の形態では、ウォームシャフト44の軸心は、ウォームホイール43及び軸部材42の軸心と直交するが、斜めに交差してもよい。
また、軸部材42は、第二ハウジング部材41bに配置された軸受45を介して、第二ハウジング部材41bによって回転可能に支持され、第三ハウジング部材41cに配置された軸受46を介して、第三ハウジング部材41cによって回転可能に支持される。
上述のような第一減速機40では、ウォームシャフト44が、反力モータ31によって、軸心を中心とする回転駆動力を付与されると、回転駆動力は、互いに噛み合う歯を介して、ウォームホイール43に伝達される。これにより、ウォームホイール43は、軸心を中心とする回転駆動力を受ける。このとき、ウォームホイール43は、ウォームシャフト44よりも大幅に低い回転速度であり且つウォームシャフト44よりも大幅に大きい回転駆動力を受ける。このように、第一減速機40は、反力モータ31の回転速度を減速させ且つ回転駆動力を増強して軸部材42に伝達し、さらに、この回転駆動力を軸部材42及びトーションバー22を介してステアリングシャフト20に伝達する。
図3及び図4Aに示すように、第一収容空間41d内において、軸部材42には、操舵制限機構100が取り付けられている。なお、図4Aは、図3のIVA−IVA線に沿った操舵制限機構100の模式的な断面図である。図4Aは、軸部材42の先端に向かう方向、つまり、トーションバー22から軸部材42に向かう方向で見た断面図である。操舵制限機構100は、被巻き取り部材101と、取付部102とを備える。被巻き取り部材101は、巻き取られること及び繰り出されることが可能である部材である。被巻き取り部材101は、可撓性を有する線状又は帯状の部材である。被巻き取り部材101の例は、ワイヤ、ピアノ線、チェーン、ベルト等である。被巻き取り部材101の構成材料は、金属であるが、樹脂又は繊維であってもよい。なお、被巻き取り部材101は、弾性、伸縮性等を有してもよく、非弾性又は非伸縮性であってよい。
被巻き取り部材101の一端は、軸部材42の外周面42aに固定される。被巻き取り部材101の他端は、取付部102に固定される。取付部102は、外周面42aと対向する第一ハウジング部材41aの内周面41aaに固定される。つまり、取付部102は、被巻き取り部材101の他端を第一ハウジング部材41aに固定する。取付部102は、第一ハウジング部材41aの一部であってもよく、第一ハウジング部材41aと別の部材であってもよい。前者の場合、取付部102は、内周面41aaに一体的に形成された突起又は鐶等であってもよい。後者の場合、取付部102は、内周面41aaにネジ留めなどで固定される留め付け金具等であってもよい。
図4Aに示すように、被巻き取り部材101の長さは、軸部材42の外周面42aと第一ハウジング部材41aの内周面41aaとの距離よりも大きい。このため、軸部材42は、その軸心Cを中心として回転することができる。例えば、ステアリングホイール10が中立状態にあるとき、被巻き取り部材101の弛み量が最も大きくなるように、被巻き取り部材101は配置される。このため、軸部材42は、その軸心Cを中心として、時計回りの方向である方向RAと、反時計回りの方向である方向RBとに、回転することができる。具体的には、外周面42aと内周面41aaとの距離に対する被巻き取り部材101の余長の分だけ、方向RA及びRBそれぞれに、軸部材42は回転することができる。
例えば、運転者が、中立状態のステアリングホイール10を時計回りの方向である右回りに回転させると、軸部材42は方向RAに回転する。図4Bに示すように、軸部材42が方向RAに回転するに従い、外周面42aと内周面41aaとの間で弛んでいる被巻き取り部材101は、軸部材42の外周面42a上に巻き付けられる、つまり、軸部材42に巻き取られる。図4Bに示すように、弛んでいる被巻き取り部材101の全てが巻き取られ、被巻き取り部材101が引張された状態となると、軸部材42は巻き取りを継続できず停止する。つまり、被巻き取り部材101は、軸部材42の方向RAの回転を制止する。これにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の方向RA、つまり右回りへの回転が制止される。なお、図4Bは、図4Aの操舵制限機構100による操舵制止状態の1つを示す模式的な図である。
また、図4Bの状態において、ステアリングホイール10が反時計回りの方向である左回りに回転されると、軸部材42は方向RAと反対の方向RBに回転する。図4Cに示すように、軸部材42が方向RBに回転するに従い、軸部材42に巻き付けられている被巻き取り部材101の全てが、軸部材42から繰り出される。さらに、軸部材42が方向RBに回転すると、繰り出された被巻き取り部材101は、方向RAへの回転時とは反対向きで、軸部材42の外周面42a上に巻き付けられる。図4Cに示すように、弛んでいる被巻き取り部材101の全てが巻き取られ、被巻き取り部材101が引張された状態になると、軸部材42は巻き取りを継続できず停止する。つまり、被巻き取り部材101は、方向RBへの軸部材42の回転を制止する。これにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の方向RB、つまり左回りへの回転が制止される。なお、図4Cは、図4Aの操舵制限機構100による操舵制止状態の別の1つを示す模式的な図である。
ステアリングホイール10の中立位置を、図4Bの状態と図4Cの状態との中間の状態とすることによって、操舵制限機構100は、軸部材42、ステアリングシャフト20及びステアリングホイール10の右回り及び左回りの回転量を同等に制限する。また、被巻き取り部材101の全長、及び/又は、軸部材42の外径に応じて、図4Bの状態と図4Cの状態との間における軸部材42の回転可能な量が決まる。よって、被巻き取り部材101の全長、及び/又は、軸部材42の外径に応じて、ステアリングホイール10における右回りのロック位置と左回りのロック位置との間の回転量、つまり回転角の制御が可能である。
上述したように、実施の形態1に係る車両用操舵装置1では、操舵機構2と転舵機構3とが機械的に分離されている。車両用操舵装置1では、操舵機構2の動作に応じて回転する回転軸としてのステアリングシャフト20と、ステアリングシャフト20から伝達される回転力により動作する巻き取り部としての軸部材42と、軸部材42に一端が固定される被巻き取り部材101と、被巻き取り部材101の他端が固定される取付部102とを備える。軸部材42は、動作することによって、被巻き取り部材101を巻き取る。
上記態様によると、ステアリングシャフト20は、運転者による操舵機構2の操作に応じて、回転する。そして、軸部材42は、ステアリングシャフト20から伝達される回転力により動作し、被巻き取り部材101を巻き取る。軸部材42は、被巻き取り部材101を可能なだけ全て巻き取ると、それ以上巻き取れなくため、動作を停止する。これにより、軸部材42を回転させるステアリングシャフト20も回転できなくなる、つまり、制止される。よって、ステアリングシャフト20の回転は、軸部材42が被巻き取り部材101を巻き取りできる量に応じた範囲に制限される。また、被巻き取り部材101の長さを変更することによって、ステアリングシャフト20の回転の制限範囲の変更が可能である。従って、操舵機構2に対して規制する回転量の変更が簡易になる。
例えば、実施の形態1に係る車両用操舵装置1のように反力モータ31を備える車両用操舵装置には、通常状態において、反力モータ31が付与する操舵反力によって、運転者に、ステアリングホイール10の左右の最大操舵角位置、つまりラックエンドを認識させるものがある。このような場合、反力モータ31に異常が発生すると、運転者は、ラックエンドを認識することができず、過剰な操舵角で操舵する過操舵をする可能性がある。これにより、運転者は操舵に違和感を抱く。また、ステアリングホイール10には、様々な操作スイッチが配置されることがある。操作スイッチの配線は、スパイラルケーブルが適用され、ステアリングシャフト20又はチューブ21の周りにらせん状巻き付けられつつ操作対象に延びる。このため、過操舵が発生すると、スパイラルケーブルが破断する可能性がある。一方、実施の形態1に係る車両用操舵装置1では、ステアリングシャフト20の回転は、被巻き取り部材101によって機械的に制限されるため、過操舵に起因するスパイラルケーブルの破断及び運転者の違和感が抑えられる。
また、実施の形態1に係る車両用操舵装置1の操舵制限機構100において、軸部材42は、ステアリングシャフト20と一体化されている。上記態様によると、軸部材42の搭載スペースの低減が可能になり、さらに、軸部材42に関連する構成の簡易化が可能になる。
また、実施の形態1に係る車両用操舵装置1の操舵制限機構100において、被巻き取り部材101は、線状又は帯状部材である。上記態様によると、被巻き取り部材101の巻き取り及び繰り出しが容易になる。さらに、巻きとられた被巻き取り部材101が占めるスペースの低減が可能になる。
[実施の形態2]
実施の形態2に係る車両用操舵装置を説明する。実施の形態2に係る車両用操舵装置では、操舵制限機構200の構成が、実施の形態1と異なる。以下において、実施の形態1と異なる操舵制限機構200の構成を中心に説明し、実施の形態1と同様の点の説明を省略する。
図5及び図6Aを参照しつつ、実施の形態2に係る車両用操舵装置の操舵制限機構200の構成を説明する。なお、図5は、実施の形態2に係る車両用操舵装置の操舵制限機構200及びその周辺の構成を、図3と同様に示す模式的な断面側面図である。図6Aは、図5のVIA−VIA線に沿った操舵制限機構200の断面を、図4Aと同様に示す模式的な断面図である。操舵制限機構200は、被巻き取り部材201と、係合部材202と、回転部材203とを備える。被巻き取り部材201は、実施の形態1の被巻き取り部材101と同様である。
被巻き取り部材201の一端は、軸部材42の外周面42aに固定される。軸部材42の外周面42aにおいて、軸部材42の先端近傍には、ギヤ歯42aaが形成されている。さらに、外周面42aにおいて、ギヤ歯42aaよりもトーションバー22つまりステアリングシャフト20に近い基部側では、軸部材42の径方向に窪む凹部42abが形成されている。凹部42abは、外周面42aの全周にわたって形成され、外周溝を形成する。被巻き取り部材201の一端は、凹部42ab内に固定される。
被巻き取り部材201の他端は、回転部材203に固定される。回転部材203は、その軸心が軸部材42の軸心Cと略平行である円柱又は多角柱等の柱状部材であり、軸部材42から離れて配置されている。回転部材203の両端は、ハウジング41に回転自在に支持される。具体的には、回転部材203の一端は第一ハウジング部材41aに支持され、他端は第二ハウジング部材41bに支持されているが、これに限定されない。被巻き取り部材201の他端は、回転部材203の外周面に固定される。
係合部材202は、外周面にギヤ歯202aが形成された歯車である。係合部材202の軸心を、回転部材203が貫通している。係合部材202及び回転部材203は、同軸上で一体に回転するように結合されている。さらに、係合部材202のギヤ歯202aは、軸部材42のギヤ歯42aaと噛み合い、係合部材202及び軸部材42は連動して回転する。このため、係合部材202及び軸部材42の一方が回転すると、ギヤ歯での係合を介して、係合部材202及び軸部材42の他方が従動して回転する。ここで、係合部材202及び回転部材203は、巻き取り部210を構成する。また、軸部材42は、回転軸及び取付部を構成する。回転部材203は、第一回転部材の一例である。
図6Aに示すように、被巻き取り部材201は、実施の形態1とは異なり、比較的弛みがない状態で、つまり、内部に張力が発生している状態で、回転部材203及び軸部材42の凹部42abに巻き付けられて配置される。例えば、ステアリングホイール10が中立状態にあるとき、被巻き取り部材201は、回転部材203及び軸部材42のいずれにも巻き付けられている。
例えば、運転者が中立状態のステアリングホイール10を右回りに回転させると、軸部材42は方向RAに回転し、係合部材202及び回転部材203は、軸部材42に従動し、方向RBに回転する。これにより、回転部材203が、その外周面に巻き付けられた被巻き取り部材201を軸部材42に向かって繰り出しつつ、軸部材42が、繰り出された被巻き取り部材201を、凹部42abに巻き付ける。被巻き取り部材201の繰り出し及び巻き付けは、並行し且つ連動して行われる。そして、図6Bに示すように、被巻き取り部材201の全てが回転部材203から繰り出され、且つ、繰り出された被巻き取り部材201の全てが軸部材42に巻き取られ、被巻き取り部材201は引張された状態になる。これにより、繰り出しを継続できない回転部材203、及び、巻き取りを継続できない軸部材42は、停止する。つまり、被巻き取り部材201は、方向RAへの軸部材42の回転及び方向RBへの係合部材202の回転を制止する。これにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の右回りへの回転が制止される。なお、図6Bは、図6Aの操舵制限機構200による操舵制止状態の1つを示す模式的な図である。
また、図6Bの状態において、ステアリングホイール10が左回りに回転されると、軸部材42は方向RBに回転し、係合部材202及び回転部材203は、軸部材42に従動し、方向RAに回転する。これにより、軸部材42が、その凹部42abに巻き付けられた被巻き取り部材201を回転部材203に向かって繰り出しつつ、回転部材203は、軸部材42に従動する係合部材202と共に回転することによって、繰り出された被巻き取り部材201を外周面に巻き付ける。そして、図6Cに示すように、被巻き取り部材201の全てが軸部材42から繰り出され、且つ、繰り出された被巻き取り部材201の全てが回転部材203に巻き取られ、被巻き取り部材201は引張された状態になる。これにより、繰り出しを継続できない軸部材42、及び、巻き取りを継続できない回転部材203は、停止する。つまり、被巻き取り部材201は、方向RBへの軸部材42の回転及び方向RAへの係合部材202の回転を制止する。これにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の左回りへの回転が制止される。なお、図6Cは、図6Aの操舵制限機構200による操舵制止状態の別の1つを示す模式的な図である。
ステアリングホイール10の中立位置を、図6Bの状態と図6Cの状態との中間の状態とすることによって、操舵制限機構200は、軸部材42、ステアリングシャフト20及びステアリングホイール10の右回り及び左回りの回転量を同等に制限する。また、被巻き取り部材201の全長、軸部材42の外径、回転部材203の外径、及び/又は、係合部材202と軸部材42とのギヤ比等のパラメータに応じて、図6Bの状態と図6Cの状態との間における軸部材42の回転可能な量が決まる。よって、上記パラメータに応じて、ステアリングホイール10の回転角の制御が可能である。
上述したように、実施の形態2に係る車両用操舵装置によると、実施の形態1と同様の効果が得られる。さらに、実施の形態2に係る車両用操舵装置の操舵制限機構200において、巻き取り部210は、被巻き取り部材201を巻き取る及び繰り出すように回転可能である第一回転部材としての回転部材203を備え、回転部材203は、回転軸としての軸部材42から伝達される回転力により回転する。上記態様において、被巻き取り部材201の一端は、回転部材203に固定され、他端は、軸部材42に固定される。操舵機構2の操作に応じて軸部材42が回転すると、回転部材203も回転する。そして、回転部材203及び軸部材42の間において、巻き取られている被巻き取り部材201の繰り出し、及び、繰り出された被巻き取り部材201の巻き取りの一連の動作を円滑にすることが可能になる。なお、被巻き取り部材201の繰り出しができなくなると、巻き取りもできなくなるため、回転部材203及び軸部材42の回転が制止される。
また、実施の形態2に係る車両用操舵装置の操舵制限機構200において、回転部材203は、軸部材42と係合しつつ回転する。上記態様によると、軸部材42の回転動作と、回転部材203の回転動作とを連動させることができる。よって、回転部材203及び軸部材42の間において、巻き取られている被巻き取り部材201の繰り出し、及び、繰り出された被巻き取り部材201の巻き取りの一連の動作を、より円滑にすることが可能になる。
なお、実施の形態2の操舵制限機構200において、回転部材203の外径は、軸部材42の外径よりも小さいが、これに限定されない。回転部材203の外径は、軸部材42の外径と同じであってよく、軸部材42の外径よりも大きくてもよい。
また、実施の形態2の操舵制限機構200において、軸部材42と回転部材203とは、係合部材202を介して係合し互いに連動して動作したが、係合しなくてもよい。例えば、回転部材203は、その軸心を中心に回転するように付勢されてもよい。例えば、回転部材203は、ゼンマイバネ等の付勢部材によって回転方向に付勢されてもよい。このような操舵制限機構は、実施の形態1の操舵制限機構100に類似する動作をする。具体的には、回転部材203は、回転方向に付勢されることによって、被巻き取り部材201を巻き取り、被巻き取り部材201の弛みを除去する。方向RA又はRBに回転する軸部材42は、回転部材203の被巻き取り部材201を巻き取り、その全てを巻き取ると停止し、それにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の回転が制止される。
[実施の形態3]
実施の形態3に係る車両用操舵装置を説明する。実施の形態3に係る車両用操舵装置では、操舵制限機構300の構成が、実施の形態2と異なる。以下において、実施の形態1及び2と異なる操舵制限機構300の構成を中心に説明し、実施の形態1又は2と同様の点の説明を省略する。
図7及び図8Aを参照しつつ、実施の形態3に係る車両用操舵装置の操舵制限機構300の構成を説明する。なお、図7は、実施の形態3に係る車両用操舵装置の操舵制限機構300及びその周辺の構成を、図3と同様に示す模式的な断面側面図である。図8Aは、図7のVIIIA−VIIIA線に沿った操舵制限機構300の断面を、図4Aと同様に示す模式的な断面図である。操舵制限機構300は、被巻き取り部材301と、第一係合部材302aと、第一回転部材303aと、第二係合部材302bと、第二回転部材303bとを備える。被巻き取り部材301は、実施の形態1の被巻き取り部材101と同様である。また、軸部材42の外周面42aには、実施の形態2と同様に、ギヤ歯42aa及び凹部42abが形成されている。凹部42abはなくてもよい。
第一回転部材303a及び第二回転部材303bはそれぞれ、軸部材42の軸心Cと略平行な軸心の円柱又は多角柱等の柱状部材であり、軸部材42から離れて配置されている。第一回転部材303a及び第二回転部材303bそれぞれの両端は、実施の形態2の回転部材203と同様に、ハウジング41に回転自在に支持される。第一回転部材303a及び第二回転部材303bは、軸部材42を挟んで、互いに反対側に配置されている。つまり、第一回転部材303a及び第二回転部材303bの間に、軸部材42が位置する。
第一係合部材302a及び第二係合部材302bはそれぞれ、実施の形態2の係合部材202と同様に、外周面にギヤ歯302aa及び302baが形成された歯車である。第一係合部材302a及び第二係合部材302bはそれぞれ、第一回転部材303a及び第二回転部材303bと、同軸上で一体に回転するように結合されている。さらに、第一係合部材302aのギヤ歯302aa及び第二係合部材302bのギヤ歯302baは、軸部材42のギヤ歯42aaと噛み合い、軸部材42と連動して回転する。このため、軸部材42、第一係合部材302a及び第二係合部材302bの1つが回転すると、その他は従動して回転する。
被巻き取り部材301の一端は、第一回転部材303aの外周面に固定され、被巻き取り部材301の他端は、第二回転部材303bの外周面に固定される。図8Aに示すように、被巻き取り部材301は、実施の形態2と同様に、比較的弛みがない状態で、つまり、内部に張力が発生している状態で、第一回転部材303a及び第二回転部材303bに巻き付けられて配置される。例えば、ステアリングホイール10が中立状態にあるとき、被巻き取り部材301は、第一回転部材303a及び第二回転部材303bのいずれにも巻き付けられている。ここで、第一係合部材302a及び第一回転部材303aは、巻き取り部310を構成し、第二係合部材302b及び第二回転部材303bは、取付部320を構成する。また、軸部材42は、回転軸の一例である。
例えば、運転者が中立状態のステアリングホイール10を右回りに回転させると、軸部材42は方向RAに回転し、第一回転部材303a及び第二回転部材303bは、軸部材42に従動し、方向RBに回転する。これにより、第一回転部材303aが、その外周面に巻き付けられた被巻き取り部材301を繰り出しつつ、第二回転部材303bが、繰り出された被巻き取り部材301を外周面に巻き付ける。被巻き取り部材301の繰り出し及び巻き付けは、並行し且つ連動して行われる。そして、図8Bに示すように、被巻き取り部材301の全てが第一回転部材303aから繰り出され、且つ、繰り出された被巻き取り部材301の全てが第二回転部材303bに巻き取られ、被巻き取り部材301は引張された状態になる。これにより、繰り出しを継続できない第一回転部材303a、及び、巻き取りを継続できない第二回転部材303bは、停止し、軸部材42も回転を停止する。つまり、被巻き取り部材301は、方向RBへの第一回転部材303a及び第二回転部材303bの回転、及び、方向RAへの軸部材42の回転を制止する。これにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の右回りへの回転が制止される。なお、図8Bは、図8Aの操舵制限機構300による操舵制止状態の1つを示す模式的な図である。
また、図8Bの状態において、ステアリングホイール10が左回りに回転されると、軸部材42は方向RBに回転し、第一回転部材303a及び第二回転部材303bは、軸部材42に従動し、方向RAに回転する。これにより、第二回転部材303bが、その外周面に巻き付けられた被巻き取り部材301を繰り出しつつ、第一回転部材303aが、繰り出された被巻き取り部材301を外周面に巻き付ける。そして、図8Cに示すように、被巻き取り部材301の全てが第二回転部材303bから繰り出され、且つ、繰り出された被巻き取り部材301の全てが第一回転部材303aに巻き取られ、被巻き取り部材301は引張された状態になる。これにより、繰り出しを継続できない第二回転部材303b、及び、巻き取りを継続できない第一回転部材303aは、停止し、軸部材42も回転を停止する。つまり、被巻き取り部材301は、方向RAへの第一回転部材303a及び第二回転部材303bの回転、及び、方向RBへの軸部材42の回転を制止する。これにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の左回りへの回転が制止される。なお、図8Cは、図8Aの操舵制限機構300による操舵制止状態の別の1つを示す模式的な図である。
ステアリングホイール10の中立位置を、図8Bの状態と図8Cの状態との中間の状態とすることによって、操舵制限機構300は、軸部材42、ステアリングシャフト20及びステアリングホイール10の右回り及び左回りの回転量を同等に制限する。また、被巻き取り部材301の全長、第一回転部材303aの外径、第二回転部材303bの外径、並びに/又は、第一係合部材302a及び第二係合部材302bと軸部材42とのギヤ比等のパラメータに応じて、図8Bの状態と図8Cの状態との間における軸部材42の回転可能な量が決まる。よって、上記パラメータに応じて、ステアリングホイール10の回転角の制御が可能である。
上述したように、実施の形態3に係る車両用操舵装置によると、実施の形態2と同様の効果が得られる。さらに、実施の形態3に係る車両用操舵装置の操舵制限機構300において、取付部320は、被巻き取り部材301を巻き取る及び繰り出すように回転可能である第二回転部材303bを備える。上記構成において、被巻き取り部材301の一端は、第一回転部材303aに固定され、他端は、第二回転部材303bに固定される。操舵機構2の操作に応じて軸部材42が回転すると、第一回転部材303aが回転し、第二回転部材303bに対して、被巻き取り部材301の巻き取り又は繰り出しを行う。そして、巻き取り又は繰り出しができなくなると、第一回転部材303aは停止し、軸部材42の回転が制止される。よって、2つの回転部材を用いた軸部材42の回転の制限が可能である。
また、実施の形態3に係る車両用操舵装置の操舵制限機構300において、第二回転部材303bは、回転軸としての軸部材42から伝達される回転力により回転する。上記態様によると、第一回転部材303a及び第二回転部材303bは、軸部材42から伝達される回転力により回転する。これにより、軸部材42の回転時、第一回転部材303a及び第二回転部材303bの一方が、巻き取られている被巻き取り部材301を繰り出し、他方が、繰り出された被巻き取り部材301を巻き取るように動作させることができる。よって、第一回転部材303a及び第二回転部材303bにおいて、円滑な被巻き取り部材301の繰り出し及び巻き取りが可能になる。
また、実施の形態3に係る車両用操舵装置の操舵制限機構300において、第二回転部材303bは、軸部材42と係合しつつ回転する。上記態様によると、軸部材42の回転動作と第二回転部材303bの回転動作とを連動させることができる。さらに、軸部材42の回転動作と第一回転部材303aの回転動作とを連動させることによって、第一回転部材303aの回転動作と第二回転部材303bの回転動作とを連動させることができる。よって、第一回転部材303a及び第二回転部材303bにおいて、より円滑な被巻き取り部材301の繰り出し及び巻き取りが可能になる。
なお、実施の形態3の操舵制限機構300において、第一回転部材303aの外径は、第二回転部材303bの外径と同等であるが、互いに異なっていてもよい。第一回転部材303aの外径及び第二回転部材303bの外径のいずれがより大きくてもよい。また、第一回転部材303a及び第二回転部材303bの外径は、軸部材42の外径よりも小さいが、これに限定されない。第一回転部材303a及び/又は第二回転部材303bの外径は、軸部材42の外径と同じであってもよく、より大きくてもよい。
また、実施の形態3の操舵制限機構300において、第一回転部材303a及び第二回転部材303bはそれぞれ、第一係合部材302a及び第二係合部材302bを介して、軸部材42と係合し互いに連動して動作したが、これに限定されない。第一回転部材303a及び第二回転部材303bの一方、例えば、第二回転部材303bが軸部材42と係合しなくてもよい。この場合、第二回転部材303b、例えば、その軸心を中心に回転するように、ゼンマイバネ等の付勢部材によって付勢されてもよい。このような操舵制限機構は、実施の形態1の操舵制限機構100に類似する動作をする。具体的には、第二回転部材303bは、回転方向に付勢されることによって、被巻き取り部材301を巻き取り、被巻き取り部材301の弛みを除去する。軸部材42と連動して方向RA又はRBに回転する第一回転部材303aは、第二回転部材303bの被巻き取り部材301の巻き取り、その全てを巻き取ると停止し、それにより、ステアリングホイール10及びステアリングシャフト20の回転が制止される。
[その他]
以上、本発明の1つ以上の態様に係る車両用操舵装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ以上の態様の範囲内に含まれてもよい。
また、実施の形態に係る車両用操舵装置において、操舵制限機構は、第一減速機40のウォームホイール43の軸部材42に設けられていたが、これに限定されない。操舵制限機構は、ステアリングシャフト20に設けられてもよく、ステアリングシャフト20と共に回転するいかなる部材に設けられてもよい。例えば、操舵制限機構は、第一減速機40のウォームシャフト44に設けられてもよい。また、操舵制限機構は、第一減速機40に対して、ステアリングシャフト20と反対側に配置されていたが、ステアリングシャフト20側に配置されてもよい。なお、操舵制限機構は、第一減速機40に配置されることによって、第一減速機40のハウジング41内のスペースを効率的に利用することができ、省スペース化を可能にする。
また、実施の形態に係る車両用操舵装置の操舵制限機構において、係合部材及び回転部材からなる巻き取り部又は取付部は、軸部材42に直接係合していたが、間接的に係合してもよい。例えば、係合部材と軸部材42との間に、これらに係合する歯車等の係合部材がさらに配置されてもよい。
また、実施の形態に係る車両用操舵装置は、操舵機構2と転舵機構3とが機械的に接続されておらず、且つ左右の転舵輪80が機械的に接続された構成であったが、これに限定されない。車両用操舵装置は、操舵機構2と転舵機構3とが機械的に接続されていない構成であればよい。例えば、車両用操舵装置は、左右独立操舵可能なステア・バイ・ワイヤシステムを構成してもよい。上記ステア・バイ・ワイヤシステムでは、左右の転舵輪それぞれの転舵機構は、互いに機械的に結合されておらず、操舵機構とも機械的に結合されていない。左右の転舵機構は、各転舵機構に設けられたアクチュエータによって動作する。
また、実施の形態に係る車両用操舵装置において、ステアリングシャフト20は、トーションバー22を介して、第一減速機40の軸部材42、つまり、第一減速機40と間接的に連結されていたが、これに限定されない。ステアリングシャフト20は、軸部材42つまり第一減速機40と直接的に連結されてもよい。
本発明に係る車両用操舵装置は、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離されている車両用操舵装置に有用である。
1 車両用操舵装置、2 操舵機構、3 転舵機構、20 ステアリングシャフト(回転軸)、22 トーションバー、31 反力モータ、40 第一減速機、42 軸部材(巻き取り部、回転軸、取付部)、100,200,300 操舵制限機構、101,201,301 被巻き取り部材、102,320 取付部、202 係合部材、203 回転部材(第一回転部材)、210,310 巻き取り部、302a 第一係合部材、302b 第二係合部材、303a 第一回転部材、303b 第二回転部材。

Claims (8)

  1. 操舵機構と転舵機構とが機械的に分離された車両用操舵装置であって、
    前記操舵機構の動作に応じて回転する回転軸と、
    前記回転軸から伝達される回転力により動作する巻き取り部と、
    前記巻き取り部に一端が固定される被巻き取り部材と、
    前記被巻き取り部材の他端が固定される取付部とを備え、
    前記巻き取り部は、動作することによって、前記被巻き取り部材を巻き取る
    車両用操舵装置。
  2. 前記巻き取り部は、前記回転軸と一体化されている
    請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 前記巻き取り部は、前記被巻き取り部材を巻き取る及び繰り出すように回転可能である第一回転部材を備え、
    前記第一回転部材は、前記回転軸から伝達される回転力により回転する
    請求項1に記載の車両用操舵装置。
  4. 前記第一回転部材は、前記回転軸と係合しつつ回転する
    請求項3に記載の車両用操舵装置。
  5. 前記取付部は、前記被巻き取り部材を巻き取る及び繰り出すように回転可能である第二回転部材を備える
    請求項3または4に記載の車両用操舵装置。
  6. 前記第二回転部材は、前記回転軸から伝達される回転力により回転する
    請求項5に記載の車両用操舵装置。
  7. 前記第二回転部材は、前記回転軸と係合しつつ回転する
    請求項6に記載の車両用操舵装置。
  8. 前記被巻き取り部材は、線状又は帯状部材である
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
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