JP2019181550A - 送気加圧鋳造法用の通気性鋳型 - Google Patents

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森田  裕
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Abstract

【課題】 送気加圧鋳造法において、送気ガスの一部が製品部又は押湯部に侵入することを抑制でき、送気ガスの侵入に起因する鋳造欠陥の発生を抑えて健全な鋳造物品を得ることが可能となる送気加圧鋳造法用の通気性鋳型を提供する。【解決手段】 少なくとも湯口部、湯道部からなる溶湯流路部及び製品部のキャビティを有する鋳造のための通気性鋳型であって、通気性鋳型の全てのキャビティの体積よりも小さい所望のキャビティの体積の金属溶湯を重力注湯し、次いで湯口部からガスを送気して、所望のキャビティを金属溶湯で充填して鋳造物品を得るための送気加圧鋳造法用の通気性鋳型において、溶湯流路部のキャビティと製品部のキャビティとの間に、ガス抜き部を設ける。【選択図】 図1

Description

本発明は、通気性鋳型のキャビティの全体の体積よりも小さい所望のキャビティの体積の金属溶湯を重力注湯し、次いで湯口部からガスを送気して、所望のキャビティを金属溶湯で充填して鋳造物品を得る鋳造法(以下、単に送気加圧鋳造法という場合がある)に用いる通気性鋳型に関するものである。
重力注湯(以下、単に注湯という場合がある)による鋳造物品の製造には、砂粒子を用いて造型された通気性の鋳型(以下、通気性鋳型又は単に鋳型という場合がある)所謂、砂型が最も一般的に用いられている。通気性鋳型を使用すれば、鋳型に画成された特定形状のキャビティ(空間)に金属溶湯(以下、単に溶湯という場合がある)が充填される際に、キャビティに残留する気体(一般には空気)がキャビティ表面から押し出されるとともに、キャビティ全体に溶湯が充填して、キャビティと実質同一形状の鋳物を得ることができる。一般の鋳造において、鋳型のキャビティは湯口部、湯道部、押湯部及び製品部を有し、通常は、湯口部、湯道部、押湯部及び製品部の順で溶湯が供給される。そして、従来の鋳造法においては、製品部を満たすだけの溶湯ヘッド高さを湯口部に形成して注湯が終了する。
注湯終了後に凝固した鋳物は、湯口部、湯道部、押湯部及び製品部が一体の鋳物として連結した形態となっている。ここで、湯口部及び湯道部は製品部までの溶湯の経路であり、また押湯部は凝固過程において製品部の凝固収縮に対して溶湯を補給して製品の健全化のために必要に応じて設けるものであり、何れも鋳造後の鋳物としては不要な部分である。凝固終了後の後工程では、製品部をその他の不要な部分から分離して、鋳造物品を得るとともに、湯口部、湯道部、押湯部はリターン材として再溶解される。このように従来の鋳造法では、鋳造物品を得るために、本来不要な湯口部や湯道部へも溶湯を充填するため、注入歩留り(製品部重量/総注湯重量で表される比率を百分率で示す)は低かった。また、後工程である製品部の分離工程において製品部と不要な部分との仕分け作業に相当な工数を要し、生産効率の低下を招いていた。従って、重力注湯において、鋳物として湯口部や湯道部の存在は大きな問題であった。
特許文献1及び特許文献2は、上記のような問題を解決する画期的な手段として、本発明の通気性鋳型に適用される基本技術である送気加圧鋳造法を提案している。その手段とは、通気性鋳型のキャビティ(以下、単に鋳型キャビティという場合がある)のうちの一部である所望のキャビティ部分に金属溶湯を充填するため、鋳型キャビティの全体の体積よりも小さく、溶湯を充填させたい所望のキャビティ部分とほぼ等しい体積の溶湯を重力注湯し、次いで注湯された溶湯が凝固する前に、湯口部から圧縮ガスを送気して所望のキャビティ部分に溶湯を充填して凝固させるものである。特許文献1及び特許文献2の手段によれば、製品部を満たすために必要であった溶湯ヘッド高さによる圧力が圧縮ガスによって補填されるため、湯口部はもちろん、湯道部の溶湯もほぼ不要とすることが可能となり、注入歩留りの向上や後工程での生産効率の向上に資することが期待されている。
特開2007−75862号公報 特開2010−269345号公報
本発明者らは、特許文献1及び特許文献2に開示の送気加圧鋳造法を実現化するための検討を試みた。その結果、従来の鋳造法に較べ送気加圧鋳造法では、ガスに起因すると思われる鋳造欠陥が生じやすいという課題を見出した。即ち、製品に吹かれ、ガスホール、ブローホール、不回り不良などのガス欠陥が生じやすく、また押湯への溶湯の未充填により溶湯補給機能が低下して製品への引け巣欠陥が生じやすいという事象が散見された。
製品に発生したガス欠陥を観察した結果、鋳型内でガスの送気経路となる湯口部又は湯道部のキャビティと製品部のキャビティとが接近した製品又は製品内の部位において発生傾向が高いことが分かった。このためガス欠陥の発生原因は、溶湯を重力注湯した後、湯口部からガスを送気した場合に、送気したガス(以下、送気ガス又は単にガスという場合がある)の一部が、通気性鋳型又は通気性鋳型の見切り(分割面)或いはその両方を介して、湯口部又は湯道部から製品部に侵入し、侵入したガスが製品部に残留して発生するものと推察された。
本発明の目的は、上記の先行技術の課題に鑑み、送気加圧鋳造法において、送気ガスの一部が製品部又は押湯部に侵入することを抑制できる送気加圧鋳造法用の通気性鋳型を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは、送気したガスを製品部又は押湯部に侵入させないためには、湯口部又は湯道部から通気性鋳型又は通気性鋳型の見切り或いはその両方から鋳型内に侵入した送気ガスを、鋳型の内部や外部に放散する必要があることに着目して、その手段について鋭意検討した。その結果、通気性鋳型内にガス抜き部を設置することで、製品部又は押湯部への送気ガスの侵入を抑制できることを見出し本発明に想到した。
即ち、本発明の送気加圧鋳造法用の通気性鋳型は、少なくとも湯口部、湯道部からなる溶湯流路部及び製品部のキャビティを有する鋳造のための通気性鋳型であって、前記通気性鋳型の全てのキャビティの体積よりも小さい所望のキャビティの体積の金属溶湯を重力注湯し、次いで前記湯口部からガスを送気して、前記所望のキャビティを金属溶湯で充填して鋳造物品を得るための通気性鋳型において、溶湯流路部のキャビティと製品部のキャビティとの間に、ガス抜き部を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、送気加圧鋳造法において、送気ガスの一部が製品部又は押湯部に侵入することを抑制できるので、送気ガスの侵入に起因する鋳造欠陥の発生が抑制され、健全な鋳造物品を得ることが可能となる。
本発明の実施の形態の通気性鋳型を概念的に示す平面図である。 本発明の実施の形態の通気性鋳型を示す要部断面図であって、(a)は図1のA−A矢視断面図であり、(b)は図1のB−B矢視断面図である。
(1)送気加圧鋳造法
本発明の通気性鋳型に適用される基本技術である送気加圧鋳造法について説明する。送気加圧鋳造法は、特許文献1及び特許文献2に提案されるようなガスを適用する鋳造物品の製造方法(送気加圧鋳造法)を基本技術とするものであり、これらの特許文献に開示される技術に適用される。ただし、これらの特許文献の開示範囲に限定されるものではない。
送気加圧鋳造法は、通気性鋳型の湯口部から溶湯流路部内に鋳型キャビティの全体の体積よりも小さい所望のキャビティの体積の金属溶湯を重力注湯で供給し、次いで湯口部からガスを送気して、溶湯流路部内の金属溶湯を押し込むことで溶湯流路部内の金属溶湯を所望のキャビティに供給し、所望のキャビティを金属溶湯で充填して鋳造物品を得る方法である。なお、所望のキャビティとは、少なくとも製品部のキャビティを含むキャビティである。
従来の一般的な重力注湯による鋳造法では、製品部だけでなく、製品部以外の全キャビティにも溶湯を充填して凝固させることが健全な製品を得るために不可欠であることから、注入歩留りは高々70%程度に留まって、それ以上に大幅な向上は見込めない。これに対して送気加圧鋳造法を用いれば、鋳型キャビティの全体の体積よりも小さく、製品部のキャビティよりも大きい体積の溶湯を充填することが可能なので、原理的には注入歩留りをほぼ100%にできる可能性がある。
金属溶湯は、鋳鉄、鋳鋼などの鉄合金、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金、亜鉛合金などの一般的な鋳造物品の製造に使用される金属材料の溶湯を使用することができる。
(2)通気性鋳型
本発明の通気性鋳型は、上述の送気加圧鋳造法に用いた場合に好適な通気性鋳型であって、少なくとも金属溶湯を受湯する湯口部と、湯口部と製品部を連通する湯道部と、からなる溶湯流路部のキャビティ及び製品部のキャビティを有する。なお、溶湯流路部とは、湯口部又は湯道部又は湯口部と湯道部を合わせた部位の総称である。本発明の通気性鋳型は、製品部以外には湯口部及び湯道部を有すればよく、必ずしも押湯部を有するとは限らない。しかしながら、押湯部は製品部の凝固収縮に伴い溶湯を補給する役割を果たす部分であるため、凝固開始前の溶湯は押湯部全体にも充填されていないと押湯部はその役割を十分に果たせずに製品部に引け巣等の不良をきたしてしまうことがあるので、押湯部も、少なくとも送気加圧による充填の完了時点においては溶湯で充填されているのが好ましい。このため本発明の実施の形態では、押湯部も製品部と同様に所望のキャビティと定義して、溶湯で充填される形態で例示する。以下、製品部又は製品部と押湯部とを合わせたキャビティを、製品部のキャビティという場合がある。
通気性鋳型は、重力注湯で流下する溶湯を効率よく受けて、スムーズに鋳型キャビティ内に導入するために、湯口部が溶湯流路部よりも拡径された湯口カップ部を有していることが好ましい。
通気性鋳型は、水平方向に見切りを有する横込めの通気性鋳型に適用するのが特に好ましいが、これに限定されず、例えば、鉛直方向に見切りを有する縦込めの通気性鋳型に適用してもよい。
通気性鋳型は、生砂型、シェル型、ガス硬化型、自硬性型その他の砂粒子を用いて造型された砂型と呼ばれる鋳型が一般的であるが、セラミックス粒子や金属粒子を用いて造型された鋳型も適用できる。また石膏などのほとんど通気性のない鋳型でも、通気性材料を混在させる、又は部分的に通気性材料を用いて十分な通気性をもたせることによって通気性鋳型として使用可能である。さらに、金型のように全く通気性のない材料を用いた鋳型であっても、ベントホール等の通気孔を設けて通気性をもたせた場合には通気性鋳型として使用可能である。
本発明の通気性鋳型は、送気ガスの一部が製品部又は押湯部に侵入するという課題を解決するために、溶湯流路部のキャビティと製品部のキャビティとの間に、ガス抜き部を設けたことを技術的特徴かつ必須の構成要件とするものである。ガス抜き部を設けることで、送気ガスは、ガス抜き部から鋳型の内部や外部に放散して製品部又は押湯部に侵入することが抑制される。この結果、送気ガスの侵入に起因する鋳造欠陥の発生が抑制され、健全な鋳造物品を得ることが可能となる。
以下、本発明での重要な構成要件であるガス抜き部の作用について説明する。送気加圧鋳造法は、湯口部から送気したガスの圧力(動圧)を溶湯流路部内に供給した金属溶湯に作用させて、送気ガスの圧力を駆動力として溶湯を所望のキャビティに充填する。送気ガスの圧力(送気ガス圧力)は溶湯に作用する他に、湯口部、湯道部からなる溶湯流路部のキャビティの周壁や見切りにも作用する。鋳型は通気性を有するため、送気ガスの一部は、溶湯流路部の周壁や見切りを介して鋳型内に侵入していく。鋳型内に侵入した送気ガスが製品部のキャビティに到達すると、到達までの圧力損失に応じた圧力をもって製品部のキャビティに吹き出す。送気ガスの一部が吹き出している製品部のキャビティに溶湯が到達すると、送気ガスが溶湯に侵入して、その後、溶湯が凝固すると送気ガスが残留して、製品にガス欠陥を生ずることがある。
製品部の溶湯に送気ガスが侵入するためには、溶湯を充填するガスの圧力(充填ガス圧力)に対して製品部のキャビティに吹き出すガスの圧力(吹出ガス圧力)が高い必要がある。充填ガス圧力と吹出ガス圧力は、湯口部から供給される送気ガス圧力に等しく、両者は同一のはずであり、充填ガス圧力よりも吹出ガス圧力が高くなることはないと考えられる。しかし、現実には湯口部からの送気ガス圧力は製品部に到達するまでに圧力損失すると考えられ、充填ガス圧力は送気ガス圧力より低下しているものと推察される。例えば溶湯をキャビティに充填するための送気ガスと溶湯流路部内の溶湯との接触部の凝固が進行すると、製品部の充填ガス圧力は低下すると考えられる。一方、吹出ガス圧力も溶湯流路部の周壁や見切りを通過する際に圧力損失すると考えられ、吹出ガス圧力は送気ガス圧力より低下しているものと推察される。
このため、製品にガス欠陥を生ずるか否かは、充填ガス圧力と吹出ガス圧力とのバランスによって決定され、充填ガス圧力に対して吹出ガス圧力が大きく上回るとガス欠陥が発生するものと推察される。送気加圧鋳造法の試行の過程で、湯口部の近傍に配置された製品にガス欠陥が多発する傾向がみられたことから、湯口部の近傍の製品部では、溶湯の充填ガス圧力に対して、湯口部の周壁や見切りを介して製品部のキャビティに作用する吹出ガス圧力が著しく高いものと推察された。また、溶湯流路部と製品部との距離が近いほど送気ガスが溶湯流路部のキャビティの周壁や見切りを通過しやすく圧力損失が少ないため、製品部のキャビティに作用する吹出ガス圧力は高くなるものと考えられた。
本発明のガス抜き部は、上述の吹出ガス圧力を低減するために、溶湯流路部のキャビティと製品部のキャビティとの間に設置される。ガス抜き部は、鋳型に画成された溶湯で充填されることのないキャビティ(空間)である。溶湯流路部と製品部との間にガス抜き部を設置することで、溶湯流路部の周壁や見切りを介して鋳型内に侵入した送気ガスは、ガス抜き部に到達するとガス抜き部の空間に開放され、拡散して圧力が低下し、結果として製品部のキャビティに到達するガスの吹出ガス圧力が低減するものと考えられる。ガス抜き部によって製品部の溶湯に送気ガスが侵入して製品にガス欠陥などの鋳造欠陥を生ずることを抑制できる。
ガス抜き部は、溶湯流路部のうち湯口部及び/又は湯道部のキャビティと、製品部のキャビティとの間であれば、どこに設置してもよい。溶湯流路部のうち湯口部は、送気ガスの供給源に近いためガスの圧力損失が少なく、湯口部の周壁や見切りを介して製品部のキャビティに作用する吹出ガス圧力が高い傾向にあると考えられることから、製品部へのガスの侵入を抑制するには、ガス抜き部は湯口部のキャビティと製品部のキャビティとの間に設置することが好ましい。また、ガス抜き部は、そのキャビティが鋳型の見切り(分割面)に対して交差する方向(鉛直方向)に延在していることが好ましい。ガス抜き部が鋳型の見切りに対して交差する方向に延在することで、溶湯流路部から鋳型内に侵入した送気ガスがガス抜き部から鋳型の内部や外部に放散しやすくなり、鋳型の見切りと平行する方向に配置される製品部に到達することを抑制できる。
なお、ガス抜き部は、鋳型外に開口することなく鋳型内に画成してもよいが、送気ガスの放散の効果を高めるため、鋳型内に画成したガス抜き部を鋳型外に開口して、送気ガスを直接、鋳型外の大気中へ開放することがより好ましい。ガス抜き部を鋳型外に開口するためには、鋳型の外周面(上面、下面、側面)や内面からドリル穿孔を施して、ガス抜き部から鋳型外に貫通する開孔部を設けることで達成できる。
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は本発明の類型の一例であって、本発明は以下の実施の形態の構成により何ら限定されるものではなく、また本発明の技術的思想の範囲において、実施の形態の構成を適宜変更可能である。
(実施の形態)
本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の通気性鋳型を概念的に示す平面図であり、図2は本発明の実施の形態の通気性鋳型を示す要部断面図であって、(a)は図1のA−A矢視断面図であり、(b)は図1のB−B矢視断面図である。図1は、水平方向に見切りを有する横込めの通気性鋳型であって、鉛直方向上方より透視したと仮定した場合の湯口カップ2aを除く全てのキャビティを含む通気性鋳型を示している。図1及び図2は説明の便宜上、キャビティに溶湯を注湯していない状態を示す図である。図2でPLは見切り示し、見切りPLを挟んで、紙面上側が上型、紙面下側が下型を示す。
まず通気性鋳型の構成について説明する。図1において、鋳型1は、従来知られた硅砂等を主成分とする砂粒子からなる骨材、ベントナイト等の粘結材及び水分を主体に構成された生砂型からなる通気性を有する砂型である。本実施の形態では、鋳型1に画成された8つの製品部5のキャビティと溶湯流路部のキャビティとで構成された通気性鋳型を例示したものである。
製品部5は、その断面が略凸状の形状を有し、2つの製品部5に1つの押湯部4を連結している。一般に鋳造物品を製造する場合には、押湯部4を有することが多いが、鋳鉄鋳物のように凝固過程で黒鉛が晶出して体積膨張を生じる鋳造物品では、製品の健全性を補償できれば押湯部4は不要である。なお、所望のキャビティは、少なくとも製品部5を含めばよいが、本実施の形態では、押湯部4を有し、製品部5及び押湯部4を合わせて所望のキャビティとして構成している。
溶湯流路部は、湯口部2及び湯道部3から構成している。湯口部2は、鋳型1の上面に開口して注湯された溶湯を受湯する湯口カップ2aと、湯口カップ2aに連通し鉛直方向で下方に延伸する湯口2bを有している。湯道部3は、一端が湯口部2に連通し、鋳型1の水平方向に延伸しながら3箇所の分岐を経て他端が押湯部4に連通して溶湯の流路を形成している。
図1及び図2の符号10で示す部位は本発明で重要な構成となるガス抜き部であって、送気加圧鋳造法で溶湯を所望のキャビティに充填するための送気ガスを、製品部5以外の鋳型1の内部や外部に放散せしめるために、溶湯で充填されることのないキャビティとして鋳型1の上型に画成している。具体的には、ガス抜き部10は、溶湯流路部である湯口部2のキャビティと製品部5のキャビティとの間の領域に、鉛直方向で見切りPLから上方に延在するキャビティとして設けている。本実施の形態ではガス抜き部10は、湯口2bを囲繞した湯口囲繞部10a、ガス抜き通路部10b及び放散部10cから構成している。
湯口囲繞部10aは、湯口2bと湯道部3の接続部分を除いて、水平方向視で湯口2bの周囲を円弧状に囲繞し、鉛直方向視で断面が略長方形のキャビティとして画成され、湯口2bの径方向外方に延伸するガス抜き通路部10bを介して放散部10cに連通している。湯口囲繞部10aのキャビティのサイズは、大きいほど湯口囲繞部10aに到達した送気ガスの放散がしやすくなるので好ましいが、湯口2bのキャビティと製品部5のキャビティとの距離、造型における鋳型1の抜型性、送気ガス圧力及び鋳型1の通気度等を勘案してそのサイズを適宜設定すればよい。
本実施の形態では湯口囲繞部10aは、水平方向視で湯口2bの周囲を円弧状に囲繞した形態を例示したが、これに限定されず、水平方向視でコの字状、U字状、V字状、L字状、I字状等の形状で湯口2bを囲繞した形態でもよく、要は湯口2bのキャビティと製品部5のキャビティとの間の領域に、任意の形状で設ければよい。また湯口囲繞部10aは、鉛直方向視で断面が略長方形のキャビティの形態を例示したが、これに限定されず、略台形状、略三角状、略半円状及びそれらの組み合わせ等の断面形状に画成したキャビティであってもよい。
湯口囲繞部10aに連通する放散部10cは、湯口囲繞部10aに到達した送気ガスをより積極的に鋳型1の内部や外部に放散させるために設けている。放散部10cは、水平方向視で製品部5から離間した位置に、湯口2bと同等程度の直径と上型の全高さの半分以上の高さとを有する円筒状のキャビティとして画成している。放散部10cは、鉛直方向で見切りPLから上型の全高さの半分程度まで延在しているので、ガス抜き部10に到達した送気ガスを鋳型1の内部のみならず外部に放散させるのに特に有効である。
放散部10cのキャビティのサイズは、大きいほど放散部10cに到達した送気ガスの放散がしやすくなるので好ましいが、放散部10cのキャビティと製品部5のキャビティとの距離、造型における鋳型1の抜型性、送気ガス圧力及び鋳型1の通気度等を勘案してそのサイズを適宜設定すればよい。本実施の形態では放散部10cは、円筒状のキャビティの形態を例示したが、放散部10cはこれに限定されず、角柱状、台形状、円錐状、角錐状等に画成したキャビティの形態であってもよい。
湯口囲繞部10aを設けるだけで送気ガスの製品部5への侵入を抑制できれば、放散部10cは、必ずしも必要ない。しかしながら設置スペースの制約などから、湯口囲繞部10aのみでは送気ガスの製品部5への侵入を抑制できない場合などは、放散部10cを設けることで送気ガスをより積極的に鋳型1の内部や外部に放散できるので好ましい。
なお、送気ガスGを大気中へ直接開放することで送気ガスGの放散の効果を高めることができるので、放散部10cの紙面上側の天井面から鋳型1の外部に貫通する開孔部を設けることがより好ましい。鋳型1の外部に貫通する開孔部は、上型の上面又は放散部10cの天井面から他方に向けてドリル穿孔を施すことで設けることができる。
次に、送気加圧鋳造法により、上述の鋳型1の湯口部2から溶湯流路部内に鋳型1の全てのキャビティの体積よりも小さい所望のキャビティの体積(本実施の形態では8つの製品部5及び4つの押湯部4のキャビティとほぼ等しい体積)の溶湯を重力注湯で供給し、次いで湯口部2からガスGを送気して、溶湯流路部内の溶湯を押し込むことで溶湯流路部内の溶湯を所望のキャビティに供給し、所望のキャビティを溶湯で充填して鋳造物品を得る場合のガス抜き部10の作用について説明する。
図1及び図2は、キャビティに溶湯を注湯していない状態を示す図であるが、送気加圧鋳造法により、鋳型1の湯口部2から所望のキャビティ(押湯部4及び製品部5のキャビティ)の体積の溶湯を重力注湯で供給し、次いで湯口部2からガスGを送気したと仮定して説明する。溶湯流路部内に供給した溶湯は、注湯後に湯口部2から送気したガスGの圧力(動圧)によって所望のキャビティに供給される。この際、送気ガスGの圧力(送気ガス圧力)は溶湯に作用する他に、湯口部2及び湯道部3からなる溶湯流路部のキャビティの周壁や見切りPLにも作用する。
鋳型1は、通気性を有することから湯口部2から送気されたガスGの一部は、湯口2bの周壁や見切りPLにも作用して、図2(a)の矢印で示すガスg1のように湯口2bの周壁や見切りPLから鋳型1の内部に侵入していく。ここで本実施の形態の鋳型1は、ガス抜き部10を有することから、鋳型1の内部に侵入したガスg1のうち一部は、ガス抜き部10を構成する湯口囲繞部10aに到達すると湯口囲繞部10aのキャビティで開放され、湯口囲繞部10aで拡散して圧力が低下するとともに、その一部はガス抜き通路部10bを介して流路抵抗の少ない放散部10cへ向かい、また一部は矢印で示すガスg2のように鋳型1の内部に放散していく。湯口囲繞部10aを経由して、再度、鋳型1に侵入したガスg2はその一部が、製品部5のキャビティにも到達する可能性があるが、そのガスは流量、圧力ともに僅かであり、溶湯に侵入してガス欠陥などの鋳造欠陥を生ずることはない。
図2(b)に示すように、湯口囲繞部10aからガス抜き通路部10bを介して放散部10cへ向かったガスg3は、放散部10cのキャビティで開放され、放散部10cで拡散して圧力が低下するとともに、矢印で示すガスg4のように鋳型1の内部に放散するとともに一部は鋳型1の外部に放散していく。放散部10cと押湯部4及び製品部5とのキャビティは、鋳型1内で十分に離間しているため、ガスg4が押湯部4及び製品部5のキャビティに到達する可能性は低く、仮に到達しても、そのガスは流量、圧力ともに僅かであり、溶湯に侵入してガス欠陥などの鋳造欠陥を生ずることはない。
なお、本実施の形態では、湯口部2(湯口2b)のキャビティと製品部5のキャビティとの間の領域にガス抜き部10を設けた態様を例示したが、本発明はこの態様に限定されず、ガス抜き部10は、湯口部2と押湯部4、湯道部3と製品部5、湯道部3と押湯部4、湯口部2及び湯道部3と製品部5、湯口部2及び湯道部3と押湯部4、或いは湯口部2及び湯道部3と製品部5及び押湯部4の各キャビティの間に設置することができる。鋳造においては、鋳型への製品部の込め数、鋳込み姿勢などの鋳造条件により、鋳型1内での製品部5と、所謂、鋳造方案とも称される湯口部2、湯道部3及び押湯部4との配置は、様々な形態をとり得る。従って、ガス抜き部10は、製品部5及び鋳造方案の配置状況に応じて、溶湯流路部と製品部5又は押湯部4が接近した部位に適宜設置することが好ましい。
本実施の形態のごとくガス抜き部を設けることで、送気加圧鋳造法において、溶湯流路部のキャビティの周壁や見切りから鋳型に侵入した送気ガスを鋳型の内部や外部に放散して、製品部又は押湯部に侵入することを抑制できるので、送気ガスの侵入に起因するガス欠陥などの鋳造欠陥の発生が抑制され、健全な鋳造物品を得ることが可能となる。
1:通気性鋳型(鋳型)
2:湯口部
2a:湯口カップ
2b:湯口
3:湯道部
4:押湯部
5、5a、5b:製品部
10:ガス抜き部
10a:湯口囲繞部
10b:ガス抜き通路部
10c:放散部
PL:見切り
G、g1、g2、g3、g4:ガス(送気ガス)

Claims (1)

  1. 少なくとも湯口部、湯道部からなる溶湯流路部及び製品部のキャビティを有する鋳造のための通気性鋳型であって、前記通気性鋳型の全てのキャビティの体積よりも小さい所望のキャビティの体積の金属溶湯を重力注湯し、次いで前記湯口部からガスを送気して、前記所望のキャビティを金属溶湯で充填して鋳造物品を得るための通気性鋳型において、溶湯流路部のキャビティと製品部のキャビティとの間に、ガス抜き部を設けたことを特徴とする送気加圧鋳造法用の通気性鋳型。
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