(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、危険情報処理システムに関し、以下の問題が生じることを見出した。
近年、自動車の安全運転を支援する安全運転支援システムが開発されている。このような安全運転支援システムでは、自動車は、道路上を走行中に、当該自動車の前方の情報を距離センサなどから取得する。そして、自動車は、取得した情報を用いて、交通事故が起こらないように、前方の障害物との距離が一定以下になった場合には、自動的にブレーキをかけるなどの制御を行う。
しかしながら、安全運転支援の対象となる自動車が、自車両に搭載されたセンサでセンシングした情報のみに従って運転を制御する場合、危険な状態になる前に、運転手に事前に警告することが困難であるという課題があった。
例えば特許文献1の危険情報処理システムでは、次に示す技術を開示している。当該技術では、車両の運転中は、タブレット端末のカメラで、一定間隔で画像を撮影して記録する。また、運転中の運転操作および車両の挙動を各々検出した結果である操作情報および挙動情報を記録する。そのようにして取得した各画像と操作情報および挙動情報とから、対象地点の事故等の危険を生じさせる要素となりうる危険因子を取得する。そして、取得した各危険因子に基づいて統計的に警告すべき危険種別を判定して、対象地点の危険情報を地図データに登録する。これにより、潜在的な危険情報を予め得ることができる。
特許文献1の危険情報処理システムは、危険種別ごとに、同一の道路区間、同一の時間帯、同一の危険種別の各個別危険度に基づいて、統計的に危険種別に示される危険の発生しやすさを示す統計危険度を求める。このとき、1つの危険種別の統計危険度は、同一の道路区間、同一の時間帯の各画像、各挙動操作情報の各々から得られる各危険因子に基づいて統計的に求めたものである。つまり、特許文献1では、自動車が走行するような広い地域の危険度を算出しようとした場合、その地域に含まれるあらゆる道路区間、あらゆる時間帯についてあらゆる危険因子、あらゆる危険種別を実際にセンシングしなければ、危険度を求めることができないという課題があった。また、同一の道路区間、同一の時間帯、同一の危険種別であっても運転者によっては危険度が異なるという点が考慮されていないという課題があった。
以上の検討を踏まえ、本発明者は、上記課題を解決するために、下記の改善策を検討した。
前記従来の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理方法は、危険事象発生の有無を数値で表した危険度を管理するコンピュータにより実行される情報処理方法であって、前記コンピュータが備える記憶部は、複数の地点のそれぞれと複数の状況のそれぞれの組み合わせに対して危険度が格納可能に構成され、前記コンピュータは、前記記憶部に危険度が格納されていない第1の組み合わせの危険度を、前記記憶部に格納されている前記危険度を用いて推定する。
また、例えば、移動体の現在位置を示す位置情報と現在状況を示すセンサデータとを受信し、前記推定は、受信した前記位置情報が示す地点と前記センサデータが示す状況の組み合わせに対する危険度が前記記憶部に格納されていない前記第1の組み合わせである場合に、前記第1の組み合わせに対する危険度を推定してもよい。
また、例えば、前記記憶部には、前記第1の組み合わせと地点が同じで状況が異なる第2の組み合わせに対する第2の危険度と、前記第1の組み合わせと状況が同じで地点が異なる第3の組み合わせに対する第3の危険度と、前記第2の組み合わせと状況が同じで前記第3の組み合わせと地点が同じ第4の組み合わせに対する第4の危険度とを含み、前記第1の組み合わせに対する前記危険度の推定は、前記第2の危険度と前記第4の危険度とを用いて、地点間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた前記地点間における危険度の相関を用いて、前記第3の危険度から、前記第1の組み合わせに対する危険度を推定してもよい。
また、例えば、前記記憶部には、前記第1の組み合わせと地点が同じで状況が異なる第2の組み合わせに対する第2の危険度と、前記第1の組み合わせと状況が同じで地点が異なる第3の組み合わせに対する第3の危険度と、前記第2の組み合わせと状況が同じで前記第3の組み合わせと地点が同じ第4の組み合わせに対する第4の危険度とを含み、前記第1の組み合わせに対する前記危険度の推定は、前記第3の危険度と前記第4の危険度とを用いて、状況間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた前記状況間における危険度の相関を用いて、前記第2の危険度から、前記第1の組み合わせに対する危険度を推定してもよい。
また、例えば、前記推定において得られた前記危険度を前記記憶部に格納してもよい。
また、例えば、前記記憶部には、前記複数の地点と、前記複数の地点のそれぞれに対する前記複数の状況のそれぞれの組み合わせに対する運転者毎の危険度を、運転者毎の個別危険情報として、かつ、全ての運転者を対象とした危険度を全体危険情報として格納可能に構成され、前記運転者毎の個別危険情報に危険度が格納されていない組み合わせに対する危険度を、前記個別危険情報と前記全体危険情報と間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた前記個別危険情報と前記全体危険情報と間における危険度の相関を用いて、前記全体危険情報の危険度から、前記個別危険情報の危険度を推定してもよい。
また、例えば、前記記憶部には、交通事象の頻度と前記複数の地点のそれぞれとを対応付けた頻度情報を前記記憶部に格納し、前記頻度情報を用いて、前記複数の地点の処理順序を決定し、前記推定では、前記処理順序に従って、処理対象の前記第1の組み合わせに対する危険度を推定してもよい。
また、例えば、前記記憶部には、運転者毎の運転頻度と運転者とを対応付けた頻度情報を前記記憶部に保持し、前記頻度情報を用いて、複数の運転者の処理順序を決定し、前記個別危険情報の危険度の推定では、前記処理順序に従って、処理対象の前記個別危険情報の危険度を推定してもよい。
また、例えば、さらに、移動体から現在位置を示す位置情報と現在状況を示すセンサデータとを受信し、受信した前記位置情報が示す地点と前記センサデータが示す状況との組み合わせに対する危険度を、前記記憶部から取得し、取得した前記危険度に基づく情報を、前記移動体に送信してもよい。
また、例えば、前記危険度に基づく情報は、前記移動体の操作のための制御信号であってもよい。
また、例えば、前記移動体の操作は、前記移動体の移動速度を変更する操作と、前記移動体を停止する操作と、前記移動体の操舵を変更する操作と、のうちのいずれか1つの操作であってもよい。
本発明の一態様に係る危険情報処理方法は、移動体が位置する地点に対する危険度を管理する危険情報処理システムに用いられる危険情報処理方法であって、危険事象が発生した地点と、前記地点において前記危険事象が発生した際の状況との組み合わせに対して入力された危険度を、前記危険情報として前記危険情報処理システムが備える記憶部に格納し、危険度が入力されていない第1の組み合わせを処理対象として、前記記憶部に格納されている3個以上の前記危険情報を用いて、前記第1の組み合わせに対する危険度を計算することで、当該危険度である第1の危険情報を推定し、前記3個以上の危険情報は、前記第1の組み合わせと地点が同じで状況が異なる第2の組み合わせに対する危険度である第2の危険情報と、前記第1の組み合わせと状況が同じで地点が異なる第3の組み合わせに対する危険度である第3の危険情報と、前記第2の組み合わせと状況が同じで前記第3の組み合わせと地点が同じ第4の組み合わせに対する危険度である第4の危険情報とを含む。
これによれば、既に危険度を取得できている地点と状況との組み合わせから、危険度が入力されていない第1の組み合わせの危険度を推定することにより、得ることができる。これにより、管理している全ての地点と状況との組み合わせに対し、実際にセンシングしたデータを取得することなく、危険度を取得できる。
また、例えば、前記推定では、前記第2の危険情報と前記第4の危険情報とを用いて、地点間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた前記地点間における危険度の相関を用いて、前記第3の危険情報の危険度から、前記第1の組み合わせに対する危険度を計算してもよい。
また、例えば、前記推定では、前記第3の危険情報と前記第4の危険情報とを用いて、状況間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた前記状況間における危険度の相関を用いて、前記第2の危険情報の危険度から、前記第1の組み合わせに対する危険度を計算してもよい。
また、例えば、前記推定において得られた前記第1の危険情報を前記記憶部に格納してもよい。
このため、推定した危険度を記憶部に保持させることができる。
また、例えば、さらに、危険事象が発生した地点と、前記地点において前記危険事象が発生した際の状況との組み合わせに対して、運転者毎に入力された危険度を、運転者毎の個別危険情報として、かつ、全ての運転者を対象とした全体危険情報として前記記憶部に格納し、前記個別危険情報と前記全体危険情報と間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた前記個別危険情報と前記全体危険情報と間における危険度の相関を用いて、前記全体危険情報の危険度から、前記個別危険情報の危険度を計算してもよい。
これによれば、全体を対象とした地点と状況との組み合わせに対する危険度を用いて、運転者を特定し、特定した運転者毎の個別の危険度を得ることができる。これにより、管理している全ての地点と状況との組み合わせに対し、実際に全てのセンシングデータを運転者毎に個別に取得することなく、運転者毎の危険度を取得できる。
また、例えば、さらに、交通事象の頻度と地点とを対応付けた頻度情報を前記記憶部に格納し、前記頻度情報を用いて、複数の地点の処理順序を決定し、前記推定では、前記処理順序に従って、処理対象の前記第1の危険情報を決定してもよい。
このため、全ての組み合わせのうちの危険度が入力されていない組み合わせへの危険度の推定処理を待たなくても、交通量の多い地点など交通事象の頻度が高い地点の推定評価値を得ることができる。
また、例えば、さらに、運転者毎の運転頻度と運転者とを対応付けた頻度情報を前記記憶部に保持し、前記頻度情報を用いて、複数の運転者の処理順序を決定し、前記個別危険情報の危険度の計算では、前記処理順序に従って、処理対象の前記個別危険情報を決定してもよい。
このため、全ての運転者の個別危険情報のうちの危険度が入力されていない組み合わせへの危険度の推定処理を待たなくても、運転頻度の高い運転者の個別危険情報を得ることができる。
また、例えば、さらに、前記移動体から現在位置を示す位置情報と現在状況を示すセンサデータとを受信し、受信した前記位置情報が示す地点と前記センサデータが示す状況との組み合わせに対する危険度を、前記記憶部から取得し、取得した前記危険度に基づく情報を、前記移動体に送信してもよい。
このため、移動体を運転中のユーザに対して、走行している地点の危険度を、リアルタイムに通知することができる。
また、例えば、さらに、前記取得した危険度が、予め保持している閾値を超える場合に、警告を提示すると判定し、前記取得した危険度に基づく情報を、前記移動体に送信し、前記取得した危険度が、予め保持している前記閾値以下の場合に、前記警告を提示しないと判定し、前記取得した危険度に基づく情報を、前記移動体に送信しなくてもよい。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示では、一部の道路区間、一部の時間帯、一部の危険因子をセンシングすることで、センシングできていない箇所の危険度を算出する方法を開示する。
上記考察に基づき、本発明者らは本開示の各態様を想到するに至った。
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態に係る危険情報処理システムについて説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。つまり、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、本開示の一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本開示は、請求の範囲の記載に基づいて特定される。したがって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素は、本開示の課題を達成するために必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成する構成要素として説明される。
(提供するサービスの全体像)
図25の(A)には、本実施の形態における情報提供システムの全体像が示されている。図25に示した情報提供システムのサービスの一つとして、収集した地点毎の危険情報を管理する危険情報処理システムを提供する。
グループC100は、例えば企業、団体、家庭、路側器、車両等であり、その規模を問わない。グループC100には、複数の機器C101である機器A、機器BおよびゲートウェイC102が存在する。複数の機器C101には、インターネットと接続可能な機器(例えば、スマートフォン、PC、TV等)もあれば、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器(例えば、照明、洗濯機、冷蔵庫、カーナビ等)も存在する。それ自身ではインターネットと接続不可能な機器であっても、ゲートウェイC102を介してインターネットと接続可能となる機器が存在してもよい。またグループC100には複数の機器C101を使用するユーザC10が存在する。
データセンタ運営会社C110には、クラウドサーバC111が存在する。クラウドサーバC111とはインターネットを介して様々な機器と連携する仮想化サーバである。主に通常のデータベース管理ツール等で扱うことが困難な巨大なデータ(ビッグデータ)等を管理する。データセンタ運営会社C110は、データ管理やクラウドサーバC111の管理、それらを行うデータセンタの運営等を行っている。データセンタ運営会社C110が行っている役務については詳細を後述する。ここで、データセンタ運営会社C110は、データ管理やクラウドサーバC111の運営等のみを行っている会社に限らない。例えば複数の機器C101のうちの一つの機器を開発・製造している機器メーカが、併せてデータ管理やクラウドサーバC111の管理等を行っている場合は、機器メーカがデータセンタ運営会社C110に該当する(図25の(B))。また、データセンタ運営会社C110は一つの会社に限らない。例えば機器メーカ及び他の管理会社が共同もしくは分担してデータ管理やクラウドサーバC111の運営を行っている場合は、両者もしくはいずれか一方がデータセンタ運営会社C110に該当するものとする(図25の(C))。
サービスプロバイダC120は、サーバC121を保有している。ここで言うサーバC121とは、その規模は問わず例えば、個人用PC内のメモリ等も含む。また、サービスプロバイダがサーバC121を保有していない場合もある。
なお、上記サービスにおいてゲートウェイC102は必須ではない。例えば、クラウドサーバC111が全てのデータ管理を行っている場合等は、ゲートウェイC102は不要となる。また、家庭内のあらゆる機器がインターネットに接続されている場合のように、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器は存在しない場合もある。
次に、上記サービスにおける情報の流れを説明する。
まず、グループC100の機器A又は機器Bは、各ログ情報をデータセンタ運営会社C110のクラウドサーバC111に送信する。クラウドサーバC111は機器A又は機器Bのログ情報を集積する(図25の(a))。ここで、ログ情報とは複数の機器C101の、例えば運転状況や動作日時等を示す情報である。例えば、テレビの視聴履歴やレコーダーの録画予約情報、洗濯機の運転日時・洗濯物の量、冷蔵庫の開閉日時・開閉回数などであるが、これらのものに限らずあらゆる機器から取得が可能なすべての情報をいう。ログ情報は、インターネットを介して複数の機器C101自体から直接クラウドサーバC111に提供される場合もある。また複数の機器C101から一旦ゲートウェイC102にログ情報が集積され、ゲートウェイC102からクラウドサーバC111に提供されてもよい。
次に、データセンタ運営会社C110のクラウドサーバC111は、集積したログ情報を一定の単位でサービスプロバイダC120に提供する。ここで、データセンタ運営会社が集積した情報を整理してサービスプロバイダC120に提供することの出来る単位でもいいし、サービスプロバイダC120が要求した単位でもいい。一定の単位と記載したが一定でなくてもよく、状況に応じて提供する情報量が変化する場合もある。前記ログ情報は、必要に応じてサービスプロバイダC120が保有するサーバC121に保存される(図25の(b))。そして、サービスプロバイダC120は、ログ情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、ユーザに提供する。提供するユーザは、複数の機器C101を使用するユーザC10でもよいし、外部のユーザC20でもよい。ユーザへのサービス提供方法は、例えば、サービスプロバイダから直接ユーザへ提供されてもよい(図25の(b)および(e))。また、ユーザへのサービス提供方法は、例えば、データセンタ運営会社C110のクラウドサーバC111を再度経由して、ユーザに提供されてもよい(図25の(c)および(d))。また、データセンタ運営会社C110のクラウドサーバC111がログ情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、サービスプロバイダC120に提供してもよい。
なお、ユーザC10とユーザC20とは、別でも同一でもよい。
以下、本発明の一態様に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における危険情報処理システム100の全体構成の一例を示す図である。図1に示す危険情報処理システム100は、サーバ装置101、移動体102、移動体103、観測装置104および観測装置105を備える。
サーバ装置101、移動体102、移動体103、観測装置104および観測装置105は、通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワークとしては、例えば、インターネットを採用することができる。したがって、サーバ装置101、移動体102、移動体103、観測装置104および観測装置105は、それぞれTCP/IP等の通信プロトコルを用いて種々のデータを送受信する。
本実施の形態では、サーバ装置101は、移動体102、移動体103、観測装置104または観測装置105から、位置情報とセンサデータとを受信する。サーバ装置101は、受信した位置情報が示す地点とセンサデータが示す状況との組み合せに対して、危険事象の発生の有無を示す評価値を危険度として対応付けた全体観測テーブルを記録する。サーバ装置101は、全体観測テーブルを用いて、全体観測テーブルに記録されていない地点と状況との組み合わせに対する危険度(推定評価値)を推定する。
移動体102および移動体103の各々は、例えば、自動車、2輪車、携帯端末などである。本実施の形態では、移動体102および移動体103の各々は、当該移動体の現在位置を示す位置情報と、移動体自身の状態や周辺状況などその他センサデータとを取得する。移動体102および移動体103の各々は、取得した位置情報とセンサデータとを、サーバ装置101に送信する。
観測装置104および観測装置105は、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)路側器やDSRC(Dedicated Short Range Communication)路側器などである。本実施の形態では、観測装置の現在位置を示す位置情報と、観測装置自体の状態や周辺状況などその他センサデータを取得する。観測装置104、105は、取得した位置情報とセンサデータとを、サーバ装置101に送信する。
なお、図1では、移動体は、移動体102および移動体103の2つしか示されていないが、1つでもよいし、3つ以上設けられていてもよい。また、図1では、観測装置は、観測装置104および観測装置105の2つしか示されていないが、1つでもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
図2は、実施の形態1に係る危険情報処理方法を実現する危険情報処理システム100の構成の一例を示すブロック図である。図2の危険情報処理システムでは、位置情報と周辺状況などその他のセンサデータとを取得して送信する移動体102と、危険情報処理装置の機能を有するサーバ装置101とが、ネットワークを介して接続する構成を示している。サーバ装置101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータにより構成される。
移動体102および移動体103の各々は、データ取得部201を備える。また、観測装置104および観測装置105は、データ取得部201を備える。以降では、移動体102について説明するが、移動体102を、移動体103、観測装置104または観測装置105に置き換えてもよい。
データ取得部201は、移動体102の周辺状況をセンシングし、現在位置を示す位置情報と、移動体102自身の状態や移動体102の周辺状況などの状況を示すセンサデータとを取得する。データ取得部201は、取得した位置情報とセンサデータとを、サーバ装置101に送信する。データ取得部201は、例えば、位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)などの位置取得手段と、センサデータとを取得する、車載カメラ、レーザーデータ、ミリ波レーダ、ソナー、赤外線カメラ、路面状態センサ、眠気センサ、天候センサなどのセンサデバイスを備える。そして、データ取得部201は、位置取得手段が取得した位置情報と、各センサデバイスがセンシングしたセンサデータとを取得する。また、データ取得部201は、CAN(Controller Area Network)情報取得手段、車車間通信情報手段、路車間通信情報手段、車両周辺情報認識手段等を備え、通信又は認識することで、位置取得手段が取得した位置情報と、各センサデバイスがセンシングしたセンサデータとを取得する。
例えば、データ取得部201は、車載カメラを備え、撮影した画像に画像認識処理を行うことで得られた結果である前方車両の有無や、撮影した画像を用いて計測した前方車両との距離を、センサデータとして取得してもよい。また、データ取得部201は、車載カメラやミリ波レーダを備え、一定距離内に歩行者が何人いるかを計測し、センサデータとして取得してもよい。また、データ取得部201は、路面状態センサを備え、路面が凍結しているかどうかを計測し、センサデータとして取得してもよい。また、データ取得部201は、天候センサを備え、雨天かどうかを計測し、センサデータとして取得してもよい。センサデータの種類には制限されない。
また、データ取得部201が取得するセンサデータは、個々の移動体102、103および個々の観測装置104、105によって異なっていてもよいし、同じであってもよい。
サーバ装置101は、制御部200と、入力部203と、記憶部205と、受信部206とを備える。サーバ装置101は、危険情報処理装置としての機能を有する。
受信部206は、移動体102、103、または、観測装置104、105から、位置情報とセンサデータとを受信する。受信部206は、受信した位置情報とセンサデータとを、制御部200に通知(送信)する。
制御部200は、管理部202と演算部204とを備える。
管理部202は、地点と状況との組み合せに対して、危険事象発生の有無を示す評価値を対応付けた全体観測テーブルを生成して、記憶部205に格納する。全体観測テーブルは、例えば、位置情報が示す地点を行、センサデータが示す状況を列とし、地点と状況との組み合わせの各々について、当該組み合わせに対する危険度である危険情報で構成される。なお、危険度が複数の組み合わせの各々に対応付けられた複数の危険情報は、全体観測テーブルとして記憶部205に保持されているが、テーブルとして保持されていなくてもよく、複数の組み合わせの各々と危険度とが対応付けられた情報であればテーブル以外の形態で表された情報であってもよい。
管理部202は、受信部206から取得した位置情報およびセンサデータ、または、入力部203から取得した危険事象発生の有無を用いて、位置情報が示す地点とセンサデータが示す状況との組み合わせに対する評価値(危険事象発生の有無を示す評価値(危険度))を、記憶部205に保持されている全体観測テーブルの該当する組み合わせを示すセルに記録する。危険事象発生とは、例えば、事故発生の有無である。危険事象発生とは、例えば、ヒヤリハットの発生の有無でもよい。
また、管理部202は、全体観測テーブルを用いて、地点と状況との組み合せの各々に対して推定した危険度(危険事象発生の有無を示す推定評価値)を対応付けた全体推定テーブルを生成して、記憶部205に格納する。全体推定テーブルは、例えば、位置情報が示す地点を行、センサデータが示す状況を列とし、地点と状況との組み合わせの各々について、当該組み合わせに対する危険度として推定評価値を含む危険度を示す危険情報で構成される。管理部202は、全体観測テーブルにおいて危険度が保持されていない地点と状況との組み合わせに対応するセル(以下、「未評価セル」という。)に対し、全体観測テーブルにおける他の地点と状況との組み合わせに対応するセルに保持されている危険度を用いて、推定評価値を計算する。具体的には、管理部202は、推定評価値を計算する際、演算部204に演算を指示し、演算部204による演算結果を用いて推定評価値の計算処理を行う。推定評価値の計算手順については、後で図面を用いて詳細に説明する。また、管理部202は、全体観測テーブルにおいて評価値が保持されている地点と状況との組み合わせに対応するセル(以下、「評価済みセル」という。)の評価値を、そのまま全体推定テーブルの該当セルに格納する。更に、管理部202は、未評価セルに対し、演算部204を用いて算出した推定評価値を、全体推定テーブルの該当セルに格納する。
演算部204は、受信部206から受信した位置情報から地点を特定する機能と、受信部206から受信したセンサデータからどのような状況であるのかを所定の条件に基づいて判定する機能とを有する。なお、状況が複数の場合には、複数の状況に各々対応する複数の条件が対応付けられている。また、演算部204は、管理部202からの指示に従い、地点間における危険度の相関係数を計算する機能と、未評価セルに対する推定評価値を計算する機能とを有する。相関係数を計算する機能と、推定評価値を計算する機能とについては、後で図面を用いて詳細に説明する。また、演算部204は、受信部206から受信したセンサデータのうちの、例えばABS(Antilock Brake System)装置の稼働データから事故が起こったか否かを判断し、危険事象発生の有無として入力する機能を有していてもよい。
入力部203は、危険事象発生の有無を入力する。入力部203は、入力した危険事象発生の有無を、制御部200に送信する。例えば、入力部203は、キーボードやマウスなどのデバイスであり、オペレータが操作することで、危険事象発生の有無を入力する。
記憶部205は、地点と状況との組み合わせに対して、危険事象発生の有無を示す評価値を対応付けた危険情報を全体観測テーブルとして保持する。また、記憶部205は、地点と状況との組み合わせに対して、推定した評価値である推定評価値を対応付けた危険情報を全体推定テーブルとして保持する。
以上が、本実施の形態に係る危険情報処理システム100の構成についての説明である。
次に、本実施の形態に係る危険情報処理システム100の動作を説明する。
図3は、実施の形態1に係る危険情報処理システム100が全体観測テーブルに評価値を記録する処理手順の一例を示すフロー図である。
図3に示すように、受信部206は、移動体102、103および観測装置104、105から位置情報とセンサデータとを受信し、受信した位置情報とセンサデータとを制御部200に送信する。制御部200は、位置情報とセンサデータとの入力を受け付ける(ステップS301)。
次に、制御部200の管理部202は、入力された位置情報を用いて、全体観測テーブルに登録された地点を移動体103、104が通過したか否かを判定する(ステップS302)。管理部202は、入力された位置情報が示す地点が、全体観測テーブルに登録された地点の行にあると判定した場合に、当該登録された地点を通過したと決定する。入力された位置情報が示す地点が、全体観測テーブルに登録された地点の行にない場合は(ステップS302でNo)、処理を終了する。
管理部202は、全体観測テーブルに登録された地点を通過したと判定した場合(ステップS302でYes)、当該地点を示した位置情報とともに入力されたセンサデータを用いて、当該センサデータを取得した移動体の状況または観測装置の周囲の状況が全体観測テーブルに登録された状況であるか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、管理部202は、入力されたセンサデータが、全体観測テーブルに登録された状況であるか否かを判定するための所定の条件を満たすか否かを演算部204に判定させる。そして、管理部202は、演算部204から取得した判定結果が所定の条件を満たすと判定された結果である場合に、入力されたセンサデータを取得した移動体の状況または観測装置の周囲の状況が全体観測テーブルに登録された状況であると判定する。つまり、入力されたセンサデータは、当該センサデータを取得した移動体の状況または観測装置の周囲の状況が全体観測テーブルに登録された状況を示す。
一方で、管理部202は、入力されたセンサデータが所定の条件を満たさないと判定された結果を演算部204から取得した場合、当該センサデータを取得した移動体の状況または観測装置の周囲の状況が全体観測テーブルに登録された状況でないと判定し(ステップS303でNo)、処理を終了する。
管理部202は、入力されたセンサデータを取得した移動体の状況または観測装置の周囲の状況が全体観測テーブルに登録された状況であると判定した場合(ステップS303でYes)、入力部203から取得した危険事象発生の有無に応じて、位置情報が示す地点と当該センサデータが示す状況との組み合わせに対する評価値(危険事象発生の有無を示す評価値)を決定する(ステップS304)。
そして、管理部202は、決定した評価値を、全体観測テーブルのうちの当該組み合わせに対応するセルに記録し(ステップS305)、処理を終了する。
以上が、危険情報処理システム100が全体観測テーブルに評価値を記録する処理手順である。つまり、危険情報処理システム100は、危険事象が発生した地点と、当該地点において危険事象が発生した際の状況との組み合わせに対して入力された危険度を、危険情報として記憶部205に格納する。
図4〜図6は、本実施の形態に係る危険情報処理システム100が全体推定テーブルに推定評価値を記録する処理手順の一例を示すフロー図である。
図4に示すように、管理部202は、まず全体観測テーブルの評価値が入力されているセルから、全体観測テーブルの行に登録された全ての地点間における危険度の相関係数を計算する(ステップS401)。
次に、管理部202は、ステップS401で計算した全体観測テーブルの行に登録された全ての地点間における危険度の相関係数と、全体観測テーブルに入力済みセルの評価値から、全体観測テーブルの未評価セルに対する推定評価値を計算する(ステップS402)。具体的には、管理部202は、全体観測テーブルの地点と状況との組み合わせに対応する複数のセルのうちの評価済みセルの評価値を、そのまま全体推定テーブルの対応するセルに格納する。更に、管理部202は、全体観測テーブルの複数のセルのうちの未評価セルに対する推定評価値であって、演算部204を用いて計算した推定評価値を、全体推定テーブルの対応するセルに格納する。つまり、管理部202は、評価値が入力されていない第1の組み合わせを処理対象として、各組み合わせに対応するセルに入力された危険度である危険情報を記憶部205から読み出して、読み出した危険情報を用いて第1の組み合わせに対する危険度を計算することで、当該危険度を示す第1の危険情報を推定する。
図5は、図4のステップS401に対応しており、危険情報処理システム100が、全体観測テーブルから各地点間における危険度の相関係数を計算する処理手順の一例を示すフロー図である。
図5に示すように、管理部202は、まず全体観測テーブルに登録された地点の行のうちの1つの地点を地点i=0として定める(ステップS501)。
次に、管理部202は、全体観測テーブルに登録された全ての地点の各々について、他の地点との間における危険度の相関係数を計算済みか否かを判定する(ステップS502)。具体的には、管理部202は、現在相関係数を計算している地点について、当該地点のiが登録地点数から1減じた数と等しいか否かを判定する。なお、登録地点数は、全体観測テーブルに登録された全ての地点の数である。管理部202は、現在相関係数を計算している地点のiが登録地点数から1減じた数と等しいと判定した場合、全ての地点について他の地点との間における危険度の相関係数を計算済であると判定する。一方で、管理部202は、現在相関係数を計算している地点のiが登録地点数から1減じた数と等しくないと判定した場合、全ての地点について他の地点との間における危険度の相関係数を計算済でないと判定する。
管理部202は、全体観測テーブルに登録された全ての地点の各々について、他の地点との間における危険度の相関係数を計算済みであると判定した場合(ステップS502でYes)、全体観測テーブルから各地点間における危険度の相関係数を計算する処理を終了する。
管理部202は、全体観測テーブルに登録された全ての地点の各々について、他の地点との間における危険度の相関係数を計算済みでないと判定した場合(ステップS502でNo)、地点i=0とは異なり、かつ、まだ相関係数を計算していない地点j=i+1を定める(ステップS503)。
次に、管理部202は、全体観測テーブルに登録された地点iについて、全ての他の地点jとの間における危険度の相関係数を計算済みか否かを判定する(ステップS504)。具体的には、管理部202は、他の地点のjが登録地点数と等しいか否かを判定する。管理部202は、他の地点のjが登録地点数と等しいと判定した場合、全体観測テーブルに登録された地点iについて、全ての他の地点jとの間における危険度の相関係数を計算済みであると判定する。一方で、管理部202は、他の地点のjが登録地点数と等しくないと判定した場合、全体観測テーブルに登録された地点iについて、全ての他の地点jとの間における危険度の相関係数を計算済みでないと判定する。
管理部202は、全体観測テーブルに登録された地点iについて、全ての他の地点jとの間における危険度の相関係数を計算していないと判定した場合(ステップS504でNo)、演算部204に、地点iと地点jとで共通に評価値のある状況に対する評価値を用いて、地点iと地点jとの間における危険度の相関係数の計算を指示する。演算部204は、管理部202からの指示に従い、地点iと地点jとの間における危険度の相関係数を計算する(ステップS505)。
管理部202は、jをインクリメントし(ステップS506)、ステップS504に遷移し、処理を繰り返す。
管理部202は、全体観測テーブルに登録された地点iについて、全ての他の地点jとの間における危険度の相関係数を計算したと判定した場合(ステップS504でYes)、iをインクリメントし(ステップS507)、ステップS502に遷移し、処理を繰り返す。
以上が、危険情報処理システム100が全体観測テーブルから各地点間における危険度の相関係数を計算する処理手順である。
図6は、図4のステップS402に対応しており、危険情報処理システム100が、全体観測テーブルと相関係数とから各地点の未評価セルに対する推定評価値を計算する処理手順の一例を示すフロー図である。
図6に示すように、管理部202は、まず全体観測テーブルに未評価のセルがあるか否かを判定する(ステップS601)。管理部202は、全体観測テーブルに未評価のセルがないと判定した場合(ステップS601でNo)、全体観測テーブルの評価値を、そのまま全体推定テーブルの該当セルに格納して、処理を完了する。
管理部202は、全体観測テーブルに未評価のセルがあると判定した場合(ステップS601でYes)、演算部204に、未評価セルに対する推定評価値の計算を指示する。演算部204は、管理部202からの指示に従い、全体観測テーブルに登録された各状況の列について、当該列の各地点間における危険度の相関係数と評価済みの評価値とを用いて、未評価セルに対する推定評価値を計算する(ステップS602)。管理部202は、全体観測テーブルの評価値を、そのまま全体推定テーブルの該当セルに格納し、更に、演算部204が計算した推定評価値を、全体推定テーブルの該当セルに格納する。
以上が、危険情報処理システム100が、全体観測テーブルと相関係数とから各地点の未評価セルに対する推定評価値を計算する処理手順である。
次に、ステップS505にて、地点iと地点jとで共通に評価値のある状況に対する評価値を用いて地点間における危険度の相関係数を計算する際の計算式の一例を説明する。
地点xの状況yに対する相対的危険度の式は、下記の式1のように示される。
ここで、rxyは、地点xの状況yに対する評価値(危険事象発生有無)を示す。また、r ̄xは、地点xの評価値(危険事象発生有無)の平均値をあらわす。
地点iと地点jの状況kへの評価値(危険事象発生有無)の類似度の式は、下記の式2のように示される。この式の値が負の場合は非類似、正の場合は類似しているといえる。
地点aと地点xとの間における危険度の相関係数の式は、下記の式3のように示される。このとき、地点aと地点xの間で共通に評価値を評価しているもののみを演算の対象とする。
ここで、r’ ̄xは地点aと地点xとにおいて共通の危険事象が発生したときの状況に対する地点xの評価値(危険事象発生有無)の平均値をあらわす。
次に、ステップS602にて、各センサデータについて、各地点間における危険度の相関係数と、評価済の評価値から未評価の評価値を計算する際の計算式の一例を説明する。
地点a以外の全ての地点xの評価値(危険事象発生有無)から、地点aと状況yとの組み合わせに対する危険度の式は、下記の式4のように示される。
式4に対し、多くの地点で評価値(危険事象発生有無)が決まったものほど、評価されやすくなるという問題を修正するために、正規化を施すことにより下記の式5が得られる。
地点aの状況yについての推定評価値の式は、下記の式6のように示される。
次に、全体観測テーブル、および、全体推定テーブルの具体例を用いて危険情報処理システム100の処理を説明する。
図7は、発明の実施の形態1に係る記憶部205が記憶する全体観測テーブルの構成を説明するための図である。
全体観測テーブル701は、初期値としては、各セルに未評価を意味する「2」を保持している。例えば、地点Aにて状況aを示すセンサデータが取得された際に事故が発生した場合、管理部202は、全体観測テーブル701の地点Aおよび状況aのセルに、危険事象が発生したことを意味する「3」を評価値として記録する。例えば、地点Nにて状況mを示すセンサデータが取得された際に事故が発生しなかった場合、管理部202は、全体観測テーブル701の地点Nおよび状況mのセルに、危険事象が発生しなかったことを意味する「1」を評価値として記録する。図7に示す全体観測テーブル701の例では、地点Bおよび状況bのセルのみが未評価のセルで、それ以外のセルは評価済みという例である。なお、状況を示すセンサデータとは、当該状況であるか否かを判定するための所定の条件を満たすセンサデータである。
図8は、実施の形態1に係る記憶部205が記憶する全体推定テーブルの構成を説明するための図である。
全体推定テーブル801は、図7で示した全体観測テーブル701と評価済みのセルの値は同じである。両者の違いは、全体観測テーブル701では未評価であった地点Bおよび状況bのセルに推定評価値「2.75」が入力されている点である。入力されている推定評価値は、地点Bとその他の各地点との間における危険度の相関係数を計算し、計算した相関係数と、各地点での状況bの各セルの評価値と、式6とを用いて、推定評価値を計算した結果である。
つまり、管理部202は、未評価の第1のセル(第1の組み合わせ)の評価値である第1の危険情報を推定するために、第1のセルと地点が同じで状況が異なる第2のセル(第2の組み合わせ)に対する危険度(評価値)である第2の危険情報と、第1のセルと状況が同じで地点が異なる第3のセル(第3の組み合わせ)に対する危険度(評価値)である第3の危険情報と、第2のセルと状況が同じで第3のセルと地点が同じ第4のセル(第4の組み合わせ)に対する危険度(評価値)である第4の危険情報との3つの評価済みのセルの評価値(危険情報)を用いて、第1の危険情報を推定する。具体的には、管理部202は、まず、第2のセルに入力されている評価値と第4のセルに入力されている評価値とを用いて、地点間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた地点間における危険度の相関を用いて、第3のセルに入力されている評価値から、第1のセルに対する危険度を計算する。
図9は、図7と同様に、実施の形態1に係る記憶部205が記憶する全体観測テーブルの一例を示す図である。
図9の、図7との違いは、全体観測テーブルについて、各状況をより具体的に開示した点である。図7の場合と同様に、全体観測テーブル901は、初期値としては、各セルに未評価を意味する「2」を保持している。例えば、地点Bにて一定距離内前方車両有を示すセンサデータが取得された際に事故が発生した場合、管理部202は、全体観測テーブル901の地点Aおよび一定距離内前方車両有のセルに、危険事象が発生したことを意味する「3」を評価値として記録する。また、例えば、地点Nにて路面凍結有を示すセンサデータが取得された際に事故が発生しなかった場合、管理部202は、全体観測テーブル901の地点Nおよび路面凍結有のセルに、危険事象が発生しなかったことを意味する「1」を評価値として記録する。図9に示す全体観測テーブル901の例では、地点Bおよび一定距離内後方車両有のセルと、地点Bおよび一定距離内歩行者数>閾値aのセルと、地点Oおよび一定距離内対向車有のセルとが未評価のセルで、それ以外のセルは評価済みという例である。
図10は、図8と同様に、実施の形態1に係る記憶部205が記憶する全体推定テーブルの一例を示す図である。
図10の、図8との違いは、全体推定テーブルについて、各状況をより具体的に開示した点である。図8の場合と同様に、図9の全体観測テーブル901では未評価であった地点Bおよび一定距離内後方車両有のセルと、地点Bおよび一定距離内歩行者数>閾値aのセルと、地点Oおよび一定距離内対向車有のセルとにそれぞれ、推定評価値「2.98」と、「1.05」と、「1.12」とが入力されている点である。入力されている推定評価値「2.98」は、地点Bとその他の地点との間における危険度の相関係数を計算し、計算した相関係数と、各地点での一定距離内後方車両有の列の各セルの評価値と、式6とを用いて、推定評価値を計算した結果である。また、入力されている推定評価値「1.05」は、地点Bとその他の地点との間における危険度の相関係数を計算し、計算した相関係数と、各地点での一定距離内歩行者数>閾値aの列の各セルの評価値と、式6とを用いて、推定評価値を計算した結果である。また、入力されている推定評価値「1.12」は、地点Oとその他の地点との間における危険度の相関係数を計算し、計算した相関係数と、各地点での一定距離内対向車両有の列の各セルの評価値と、式6とを用いて、推定評価値を計算した結果である。
以上が、本実施の形態に係る危険情報処理システム100の処理の説明である。
(効果)
本実施の形態に係る危険情報処理システム100は、既に評価値を取得できている地点と状況との組み合わせ(つまり、評価済みセル)から、状況を示すセンサデータを取得できていない地点(つまり、未評価セル)の危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を得ることができる。これにより、危険情報処理システム100は、管理している全ての地点と状況との組み合わせに対し、実際に全てのセンシングデータを取得することなく、危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を取得できる。
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る危険情報処理方法を実現する危険情報処理システム110の構成の一例を示すブロック図である。
図11に示す危険情報処理システム110では、位置情報とセンサデータとを取得して送信する移動体112、113および観測装置114、115と、危険情報処理装置の機能を有するサーバ装置111とが、ネットワークを介して接続する構成を示している。以下では、実施の形態1との各構成要素の機能の違いのみを説明する。実施の形態1と機能の違いがない構成要素については説明を省略する。
移動体112および移動体113の各々は、データ取得部211を備える。また、観測装置114および観測装置115は、データ取得部211を備える。以降では、移動体112について説明するが、移動体112を、移動体113、観測装置114または観測装置115に置き換えてもよい。
データ取得部211は、実施の形態1のデータ取得部201の機能に加え、運転者を特定するセンサデータも取得する。データ取得部211は、予め登録された運転者情報と、運転者の所有するスマートフォンや、車の鍵、運転免許証などとをマッチングすることにより、運転者を特定してもよい。また、運転者自身の身体的特徴、例えば、指紋、掌紋、瞳孔、声紋などから運転者を特定してもよい。センサデータの種類は制限されない。
サーバ装置111は、制御部210と、入力部203と、記憶部215と、受信部206とを備える。サーバ装置111は、危険情報処理装置としての機能を有する。
制御部210は、管理部212と演算部214とを備える。
管理部212は、地点と状況との組み合せに対して、危険事象発生の有無を示す評価値を対応付けた全体観測テーブルと個別観測テーブルとを生成して、記憶部215に格納する。全体観測テーブルは、例えば、実施の形態1で説明した全体観測テーブルと同じである。ここで、全体観測テーブルは、運転者に関わらず全ての運転者を対象とした全体危険情報とも言える。個別観測テーブルは、全体観測テーブルと同じ行と列を備え、運転者毎に個別のテーブルとして別々に管理される。つまり、個別観測テーブルは、危険事象が発生した地点と、当該地点において危険事象が発生した際の状況との組み合わせに対して、運転者毎に入力された危険度である、運転者毎の個別危険情報で構成される。
管理部212は、受信部206から取得した位置情報と、運転者を特定するセンサデータを含むセンサデータとを用いて、運転者を特定し、特定した運転者に対応付けられている個別観測テーブルを選択する。管理部212は、受信部206から取得した位置情報およびセンサデータ、または、入力部203から取得した危険事象発生の有無を用いて、位置情報が示す地点とセンサデータが示す状況との組み合わせに対する危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を、記憶部215に保持されている全体観測テーブルおよび個別観測テーブルの各々の該当セルに記録する。危険事象発生とは、例えば、事故発生の有無である。危険事象発生とは、例えば、ヒヤリハットの発生の有無でもよい。
また、管理部212の全体観測テーブルを用いた全体推定テーブルの生成する処理は、実施の形態1の管理部202の処理と同じであるため説明を省略する。管理部212は、生成した全体推定テーブルを、記憶部215に格納する。
また、管理部212は、全体推定テーブルと個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数を計算する。そして、管理部212は、計算することにより得られた相関係数を用いて、全体推定テーブルの推定評価値から個別観測テーブルの未評価セルに対する推定評価値を計算し、個別推定テーブルを生成して、記憶部215に格納する。
演算部214は、実施の形態1の演算部204の機能に加え、全体推定テーブルと個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数を計算する機能と、全体推定テーブルの推定評価値から個別観測テーブルの未評価セルに対する推定評価値を計算する機能とを有する。
記憶部215は、実施の形態1の記憶部205で保持する全体観測テーブルおよび全体推定テーブルに加え、運転者毎に全体観測テーブルと同じ行および列を備えた、個別観測テーブルを1つ以上保持し、また、運転者毎に全体推定テーブルと同じ行および列を備えた、個別推定テーブルを1つ以上保持する。
以上が、本実施の形態に係る危険情報処理システム110の構成についての説明である。
次に、本実施の形態に係る危険情報処理システム110の動作を説明する。
図12は、実施の形態2に係る危険情報処理システム110が全体観測テーブルと個別観測テーブルとに評価値を記録する処理手順の一例を示すフロー図である。
図12に示すように、受信部206は、移動体112、113および観測装置114、115から位置情報とセンサデータとを受信し、受信した位置情報とセンサデータとを制御部210に送信する。制御部210は、位置情報とセンサデータとの入力を受け付ける(ステップS1201)。ここで、制御部210が受け付けるセンサデータは、実施の形態1とは異なり、運転者を特定するセンサデータを含む。
次に、制御部210の管理部212は、入力されたセンサデータから運転者を特定し、特定した運転者に対応付けられている個別観測テーブルを選択する(ステップS1202)。
次に、管理部212は、入力された位置情報とセンサデータとを用いて、実施の形態1の図3のステップS302〜ステップS305と同じ処理を行う。
ステップS305の次に、管理部212は、ステップS305で判断した評価値を、ステップS1202で選択した個別観測テーブルの該当するセルに記録し(ステップS1203)、処理を終了する。
以上が、危険情報処理システム100が全体観測テーブルと個別観測テーブルとに評価値を記録する処理手順である。つまり、危険情報処理システム100は、危険事象が発生した地点と、当該地点において危険事象が発生した際の状況との組み合わせに対して、運転者毎に入力された危険度を、運転者毎の個別危険情報として、かつ、全ての運転者を対象とした全体危険情報として記憶部215に格納する。
図13〜図15は、実施の形態2に係る危険情報処理システム110が全体推定テーブルと個別推定テーブルとに推定評価値を記録する処理手順の一例を示すフロー図である。
図13に示すように、管理部212は、まず、実施の形態1の図4のステップS401およびステップS402と同じ処理を行う。
次に、管理部212は、全体推定テーブルと個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数を計算する(ステップS1301)。
管理部212は、全体推定テーブルの推定評価値から、個別観測テーブルの未評価セルに対する推定評価値を計算する(ステップS1302)。管理部212は、個別観測テーブルの複数のセルのうちの評価済みセルの評価値を、そのまま個別推定テーブルの対応するセルに格納する。更に、管理部212は、個別観測テーブルの複数のセルのうちの未評価セルに対する推定評価値であって、演算部214を用いて計算した推定評価値を、個別推定テーブルの対応するセルに格納する。
図14は、図13のステップS1301に対応しており、危険情報処理システム110が、全体推定テーブルと個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数を計算する処理手順の一例を示すフロー図である。
図14に示すように、管理部212は、まず個別観測テーブルの一つをi=0として定める(ステップS1401)。
次に、管理部212は、全ての個別観測テーブルについて、全体推定テーブルとの間における危険度の相関係数を計算済みか否かを判定する(ステップS1402)。具体的には、管理部212は、現在相関係数を計算している個別観測テーブルについて、当該個別観測テーブルのiが個別観測テーブル数と等しいか否かを判定する。なお、個別観測テーブル数は、記憶部215に保持されている全ての個別観測テーブルの数である。管理部212は、現在相関係数を計算している個別観測テーブルのiが個別観測テーブル数と等しいと判定した場合、全ての個別観測テーブルについて全体推定テーブルとの間における危険度の相関係数を計算済みであると判定する。一方で、管理部212は、現在相関係数を計算している個別観測テーブルのiが個別観測テーブル数と等しくないと判定した場合、全ての個別観測テーブルについて全体推定テーブルとの間における危険度の相関係数を計算済みでないと判定する。
管理部212は、全ての個別観測テーブルについて、全体推定テーブルとの間における危険度の相関係数を計算済みであると判定した場合(ステップS1402でYes)、全体推定テーブルと個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数を計算する処理を終了する。
管理部212は、全ての個別観測テーブルについて、全体推定テーブルとの間における危険度の相関係数を計算済みでないと判定した場合(ステップS1402でNo)、まだ相関係数を計算していない個別観測テーブルを処理対象として選択する(ステップS1403)。
管理部212は、演算部214に、ステップS1403で選択した個別観測テーブルと全体推定テーブルとの間における危険度の相関係数の計算を指示する。演算部214は、管理部212からの指示に従い、全体推定テーブルのセルと個別観測テーブルのセルとで共通に評価済セルの評価値を用いて、相関係数を計算する(ステップS1404)。
管理部212は、全体推定テーブルとの間における危険度の相関係数が未計算の個別観測テーブルについて、全体推定テーブルと当該個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数を計算するために、iをインクリメントして(ステップS1405)、ステップS1402に遷移し、処理を繰り返す。
以上が、危険情報処理システム110が、全体推定テーブルと個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数を計算する処理手順である。つまり、危険情報処理システム110は、個別危険情報としての個別観測テーブルと、全体危険情報としての全体推定テーブルとの間における危険度の相関を計算する。
図15は、図13のステップS1302に対応しており、危険情報処理システム110が、全体推定テーブルの評価値(推定評価値を含む)から個別観測テーブルの未評価セルに対する推定評価値を計算する処理手順の一例を示すフロー図である。
図15に示すように、管理部212は、まず個別観測テーブルの一つをi=0として定める(ステップS1501)。
次に、管理部212は、記憶部215に保持されている全ての個別観測テーブルについて、推定評価値を計算済みか否かを判定する(ステップS1502)。具体的には、管理部212は、現在推定評価値を計算している個別観測テーブルについて、当該個別観測テーブルのiが個別観測テーブル数と等しいか否かを判定する。なお、個別観測テーブル数は、記憶部215に保持されている全ての個別観測テーブルの数である。管理部212は、現在推定評価値を計算している個別観測テーブルのiが個別観測テーブル数と等しいと判定した場合、全ての個別観測テーブルについて推定評価値を計算済みであると判定する。一方で、管理部212は、現在推定評価値を計算している個別観測テーブルのiが個別観測テーブル数と等しくないと判定した場合、全ての個別観測テーブルについて推定評価値を計算済みでないと判定する。
全ての個別観測テーブルについて、推定評価値を計算済みであると判定した場合(ステップS1502でYes)、処理を終了する。
管理部212は、全ての個別観測テーブルについて、推定評価値を計算済みでないと判定した場合(ステップS1502でNo)、まだ推定評価値を計算していない個別観測テーブルを処理対象として選択する(ステップS1503)。
管理部212は、ステップS1503で選択した個別観測テーブルに未評価セルがあるか否かを判定する(ステップS1504)。管理部212は、個別観測テーブルに未評価セルがないと判定した場合(ステップS1504でN)、ステップS1506に遷移する。
管理部212は、個別観測テーブルに未評価セルがあると判定した場合(ステップS1504でYes)、演算部214に、未評価セルに対する推定評価値の計算を指示する。演算部214は、管理部212からの指示に従い、全体推定テーブルと個別観測テーブルとの間における危険度の相関係数と、全体推定テーブルの評価済みセルの評価値(推定評価値を含む)とを用いて、個別観測テーブルの未評価セルに対する推定評価値を計算する(ステップS1505)。
管理部212は、iをインクリメントして(ステップS1506)、ステップS1502に遷移し、処理を繰り返す。
以上が、危険情報処理システム110が、全体推定テーブルの評価値(推定評価値を含む)から運転者毎の個別観測テーブルの未評価セルに対する推定評価値を計算する処理手順である。つまり、危険情報処理システム110は、計算することにより得られた、個別危険情報としての個別観測テーブルと、全体危険情報としての全体推定テーブルとの間における危険度の相関を用いて、全体推定テーブルの評価値から個別観測テーブルの推定評価値を計算する。
次に、全体推定テーブル、個別観測テーブル、および、個別推定テーブルの具体例を用いて危険情報処理システムの処理を説明する。
図16は、実施の形態2に係る記憶部215が保持する全体推定テーブルの一例を示す図である。全体推定テーブル1601の全てのセルには、評価値、または、推定評価値が記録されている。つまり、この全体推定テーブル1601は、ステップS402が終了することにより生成されたテーブルである。
図17は、実施の形態2に係る記憶部215が保持する個別観測テーブルの一例を示す図である。この例では、個別観測テーブル1701は、地点Aおよび一定距離内前方車両有のセルのみに評価値が記録されている。それ以外のセルは、未評価である。ここで、個別観測テーブル1701の評価済セルと全体推定テーブル1601の評価済セルとの間で、式6を用いて相関係数を計算すると相関係数は「1」となる。
図18は、実施の形態2に係る記憶部215が保持する個別推定テーブルの一例を示す図である。この例では、全体推定テーブル1601と個別観測テーブル1701との間における危険度の相関係数が「1」であるため、全体推定テーブル1601は、個別観測テーブル1701では未評価だったセルに、全体推定テーブル1601と同じ評価値が入力されている。
以上が、本実施の形態に係る危険情報処理システム110の動作の説明である。
(効果)
本実施の形態に係る危険情報処理システム110は、既に評価値を取得できている地点と状況との組み合わせ(つまり、評価済みセル)から、センサデータが取得できていない地点(つまり、未評価セル)の危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を得ることができる。また、危険情報処理システム110では、全体を対象とした地点と状況との組み合わせに対する危険度を用いて、運転者を特定し、特定した運転者毎の個別の危険度を得ることができる。これにより、危険情報処理システム110は、管理している全ての地点と状況との組み合わせに対し、実際に全てのセンシングデータを運転者毎に個別に取得することなく、運転者毎の危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を取得することが可能となる。
(実施の形態3)
図19は、実施の形態3に係る危険情報処理方法を実現する危険情報処理システム120の構成の一例を示すブロック図である。
図19に示す危険情報処理システム110では、位置情報とセンサデータとを取得して送信する移動体122、123および観測装置124、125と、危険情報処理装置の機能を有するサーバ装置121とが、ネットワークを介して接続する構成を示している。以下では、実施の形態1との各構成要素の機能の違いのみを説明する。実施の形態1と機能の違いがない構成要素については説明を省略する。
移動体122は、データ取得部221を備える。また、観測装置124および観測装置125は、データ取得部221を備える。以降では、移動体122について説明するが、移動体122を、移動体123、観測装置124または観測装置125に置き換えてもよい。
データ取得部221は、実施の形態1のデータ取得部201の機能に加え、地点毎の交通量など、優先度決定に利用するセンサデータも取得する。
サーバ装置121は、制御部220と、入力部203と、記憶部225と、受信部206とを備える。サーバ装置121は、危険情報処理装置としての機能を有する。
制御部220は、管理部222と演算部204と優先度決定部227とを備える。
管理部222は、地点とセンサデータの組み合せに対して、危険事象発生の有無を示す評価値を対応付けた全体観測テーブルを生成して、記憶部225に格納する。全体観測テーブルは、実施の形態1で説明した全体観測テーブルと同じである。
管理部222は、受信部206から取得した位置情報およびセンサデータ、または、入力部203から取得した危険事象発生の有無を用いて、位置情報が示す地点とセンサデータが示す状況との組み合わせに対する評価値(危険事象発生の有無を示す評価値(危険度))を、記憶部225に保持されている全体観測テーブルの該当する組み合わせを示すセルに記録する。危険事象発生とは、例えば、事故発生の有無である。危険事象発生とは、例えば、ヒヤリハットの発生の有無でもよい。
また、管理部222は、受信部206から取得した位置情報およびセンサデータを取得し、当該センサデータに含まれる、優先度決定に利用する情報(例えば、地点毎の交通量)を抽出して、記憶部225に保持されている事象頻度テーブルに記録する。
また、管理部222は、全体観測テーブルを用いた全体推定テーブルを生成する処理は、実施の形態1の管理部202の処理とほぼ同じである。管理部222は、全体推定テーブルを生成する処理において、優先度決定部227が決定した順序に従い、演算部204に推定評価値の計算を指示する点が、実施の形態1の管理部202の処理と異なる。
優先度決定部227は、記憶部225に保持されている事象頻度テーブルを参照して、推定評価値を計算する順序を決定する。優先度決定部227は、全体観測テーブルから全体推定テーブルを生成する処理において、各地点間における危険度の相関関数を計算する処理および推定評価値を計算する処理の順序を、決定した順序(例えば、地点毎の交通量が多い順序)に並べかえる。
記憶部225は、実施の形態1の記憶部205で保持する全体観測テーブルおよび全体推定テーブルに加え、優先度決定に利用する情報(例えば、地点毎の交通量などの交通事象の頻度と地点とを対応付けた頻度情報)を事象頻度テーブルとして保持する。
以上が、本実施の形態に係る危険情報処理システム120の構成についての説明である。
次に、本実施の形態に係る危険情報処理システムの動作を説明する。
図20は、実施の形態3に係る危険情報処理システム120が事象頻度テーブルに記録する処理手順の一例を示すフロー図である。
図20に示すように、受信部206は、移動体122、123および観測装置124、125から位置情報とセンサデータとを受信し、受信した位置情報とセンサデータとを制御部220に送信する。制御部220は、位置情報とセンサデータとの入力を受け付ける(ステップS2001)。ここで、制御部220が受け付けるセンサデータは、実施の形態1とは異なり、地点毎の交通量など、優先度決定に利用するセンサデータを含む。
次に、制御部220の管理部222は、入力されたセンサデータから地点毎の交通量を抽出し、抽出した地点毎の交通量を記憶部225に格納されている事象頻度テーブルに記録する(ステップS2002)。
以上が、危険情報処理システム120が事象頻度テーブルに記録する処理手順の説明である。
図21は、実施の形態3に係る危険情報処理システム120が優先度に従い全体推定テーブルに推定評価値を記録する処理手順の一例を示すフロー図である。
図21に示すように、優先度決定部227は、記憶部225に格納されている事象頻度テーブルを参照し、全体観測テーブルの各地点の未評価セルに対する推定評価値を計算する処理順序である優先度順を決定する。優先度決定部227は、全体観測テーブルの各地点の未評価セルに対する推定評価値を計算する処理順序を、決定した優先度順に並び替える(ステップS2101)。ここでは、優先度決定部227は、地点毎の交通量が多い順序に、各地点における未評価セルの推定評価値を計算すると決定する。具体的には、優先度決定部227は、iの値が小さいものに、より交通量の多い地点を割り当てることで、各地点の未評価セルに対する推定評価値を計算する順序を優先度順に並び替える。
次に、管理部222は、全体観測テーブルに登録された地点の行のうち地点i=0から処理を開始する(ステップS2102)。
次に、管理部222は、実施の形態1の図5のステップS502〜S506と同じ処理を行う。
管理部222は、ステップS504において、全体観測テーブルに登録された地点iについて、全ての他の地点jとの間における危険度の相関係数を計算したと判定した場合(ステップS504でYes)、ステップS2103に遷移する。
そして、管理部222は、地点iの各状況の各セルに未評価セルがあるか否かを判定する(ステップS2103)。
管理部222は、地点iの各状況の各セルに未評価セルがあると判定した場合(ステップS2103でYes)、演算部204に、未評価セルに対する推定評価値の計算を指示する。演算部204は、管理部222からの指示に従い、未評価セルについて、他の地点との間における危険度の相関係数と、未評価セルの状況の列における他の地点の評価値とを用いて、未評価セルに対する推定評価値を計算する(ステップS2104)。管理部222は、全体観測テーブルの評価値を、そのまま全体推定テーブルの該当セルに格納し、更に、演算部204が計算した推定評価値を、全体推定テーブルの該当セルに格納する。
管理部222は、iをインクリメントし(ステップS2105)、ステップS502に遷移して、処理を繰り返す。
以上が、危険情報処理システム120が、決定した優先度順に従い全体推定テーブルに推定評価値を記録する処理手順である。つまり、危険情報処理システム120は、頻度情報としての事象頻度テーブルを用いて、複数の地点の処理順序を決定し、決定した処理順序に従って、処理対象の未評価セルの評価値である第1の危険情報を決定する。
図22は、実施の形態3に係る記憶部225が保持する事象頻度テーブルの一例を示す図である。
本実施の形態の説明では、頻度を記録する事象として、地点毎の交通量としたが、地点毎の事故回数としてもよい。この場合、例えば、事故回数が多い地点から順序に処理を行うと決定する。
また、実施の形態2と組み合わせて、運転者毎の運転回数としてもよい。この場合、例えば、運転回数が多い運転者から順序に、個別推定テーブルを生成すると決定する。つまり、この場合、記憶部は、運転者毎の運転頻度と運転者とを対応付けた頻度情報を保持し、危険情報処理システムは、頻度情報を用いて、複数の運転者の処理順序を決定し、個別危険情報としての個別推定テーブルの未評価セルの評価値の計算では、決定した処理順序に従って、処理対象の個別推定テーブルを決定する。
以上が本実施の形態に係る危険情報処理システム120の動作の説明である。
(効果)
本実施の形態に係る危険情報処理システム120は、既に評価値を取得できている地点と状況との組み合わせ(つまり、評価済みセル)から、センサデータが取得できていない地点(つまり、未評価セル)の危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を得ることができる。これにより、危険情報処理システム120は、管理している全ての地点と状況との組み合わせに対し、実際に全てのセンシングデータを取得することなく、危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を取得することが可能となる。
また、危険情報処理システム120は、全体推定テーブルの全ての未評価値の更新を待たなくても、交通量の多い地点など優先度が高い地点の推定評価値を得ることができる。
(実施の形態4)
図23は、実施の形態4に係る危険情報処理方法を実現する危険情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。図23に示す危険情報処理システム130では、実施の形態1から実施の形態3で説明した危険情報処理装置の機能を有するサーバ装置101(111、121)と、危険情報提示装置の機能を有する移動体102(112、122)とが、ネットワークを介して接続する構成を示している。つまり、危険情報処理システム130では、実施の形態1から実施の形態3で説明した、サーバ装置101、111、121のいずれかと、移動体102、112、122のいずれかとの組み合わせで実現してもよい。
サーバ装置101(111、121)の記憶部205(215、225)には、実施の形態1から実施の形態3で説明した全体推定テーブルが格納されている。
危険情報提示装置2300は、データ取得部201(211、221)と、判定部2301と、提示部2302とを備える。図23では、危険情報提示装置2300は、移動体102(112、122)の一部として構成されている。
データ取得部201、および、記憶部205(215、225)は、実施の形態1から実施の形態3の構成要素と同じで、機能に違いがないので説明を省略する。
なお、危険情報処理システム130について、以下では、サーバ装置101と移動体102との組み合わせで説明する。
判定部2301は、データ取得部201から、位置情報とセンサデータとを受信する。判定部2301は、受信した位置情報が示す地点とセンサデータが示す状況との組み合わせに対する危険度である評価値(推定評価値を含む)を、サーバ装置101の記憶部205に格納されている全体推定テーブルから取得する。判定部2301は、受信した位置情報が示す地点と全体推定テーブルの地点の行とを対応付け、更に、受信したセンサデータが示す状況と全体推定テーブルの状況の列とを対応付ける。
次に、判定部2301は、取得した評価値と予め保持している閾値とを比較し、比較の結果に基づいて、警告などの情報を提示するか否かを判定する。具体的には、判定部2301は、取得した評価値が予め保持している閾値を超えるか否かを判定する。そして、判定部2301は、取得した評価値が予め保持している閾値を超えると判定した場合に、警告を提示すると判定する。一方で、判定部2301は、取得した評価値が予め保持している閾値を超えないと判定した場合に、警告を提示しないと判定する。
提示部2302は、ユーザに情報を提示する。例えば、ディスプレイやスピーカ、LEDなどの照明の点灯、点滅などであり、移動体102の運転者に、警告などの情報を提示する。具体的には、提示部2302は、判定部2301が警告を提示すると判定した場合、当該判定に用いられた評価値に基づく情報を、移動体102の運転者に提示する。
以上が本実施の形態にかかる危険情報提示装置2300の構成についての説明である。
以下に、本実施の形態に係る危険情報提示装置の動作を説明する。
図24は、実施の形態4に係る危険情報提示装置2300の処理手順の一例を示すフロー図である。
図24に示すように、判定部2301は、まず、データ取得部201から位置情報とセンサデータとを受信する(ステップS2401)。
次に、判定部2301は、受信した位置情報が示す地点とセンサデータが示す状況とから、当該地点の行、および、当該センサデータの列に該当する全体推定テーブルのセルに記録されている評価値をサーバ装置101の記憶部205から参照し、参照した評価値が閾値を超えているか否かを判定する(ステップS2402)。
判定部2301は、評価値が閾値を超えていると判定した場合(ステップS2402でYes)、提示部2302を介して、評価値に基づく警告などの情報を提示する(ステップS2403)。判定部2301は、推定評価値が閾値を超えていないと判定した場合(ステップS2402でNo)、処理を終了する。
以上が、本実施の形態に係る危険情報処理システム130の動作の説明である。
なお、閾値は予め定められていてもよいし、評価値の平均としてもよい。
なお、提示部2302は、ユーザに直接的に情報を提示することだけに限定されず、移動体(例えば自動車)の操作情報を移動体の制御信号として出力することで、ユーザに間接的に情報を提示してもよい。例えば、ある地点で自動車の車速が早いときに評価値が大きい場合は、提示部2302は、自動車の速度を減速してもよいし、自動車を停車させてもよい。また、ある地点で車速が一定値以下の場合に評価値が大きい場合は、提示部2302は、自動車の速度を加速してもよいし、また、ある地点で自車両の左側に自転車がある場合に評価値が大きい場合は、提示部2302は、自動車を右側に操舵してもよい。
また、判定部2301は、サーバ装置が有していてもよい。この場合判定の結果に応じて、評価値に基づく警告などの情報を移動体の提示部に送信したり、送信しなかったりしてもよい。
(効果)
本実施の形態に係る危険情報処理システム130は、既に評価値を取得できている地点と状況との組み合わせ(つまり、評価済みセル)から、推定したセンサデータが取得できていない地点(つまり、未評価セル)の危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)を得ることができる。これにより、危険情報処理システム130は、管理している全ての地点と状況との組み合わせに対し、実際に全てのセンシングデータを取得することなく、危険度(危険事象発生の有無を示す評価値)に基づく情報を提示することが可能となる。これにより、運転中のユーザに対して、走行している地点の危険度を、リアルタイムに通知することができる。
<変形例>
本発明を上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態などに限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)
上記態様において説明された技術は、例えば、以下のクラウドサービスの類型において実現されうる。しかし、上記態様において説明された技術が実現される類型はこれに限られるものでない。
(サービスの類型1:自社データセンタ型)
図25は、サービスの類型1(自社データセンタ型)を示す。本類型は、サービスプロバイダC120がグループC100から情報を取得し、ユーザに対してサービスを提供する類型である。本類型では、サービスプロバイダC120が、データセンタ運営会社の機能を有している。即ち、サービスプロバイダが、ビッグデータの管理をするクラウドサーバC111を保有している。従って、データセンタ運営会社は存在しない。
本類型では、サービスプロバイダC120は、データセンタ(クラウドサーバC111)を運営、管理している(C203)。また、サービスプロバイダC120は、OS(C202)及びアプリケーション(C201)を管理する。サービスプロバイダC120は、サービスプロバイダC120が管理するOS(C202)及びアプリケーション(C201)を用いてサービス提供を行う(C204)。
(サービスの類型2:IaaS利用型)
図26は、サービスの類型2(IaaS利用型)を示す。ここでIaaSとはインフラストラクチャー・アズ・ア・サービスの略であり、コンピュータシステムを構築および稼動させるための基盤そのものを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
本類型では、データセンタ運営会社がデータセンタ(クラウドサーバC111)を運営、管理している(C203)。また、サービスプロバイダC120は、OS(C202)及びアプリケーション(C201)を管理する。サービスプロバイダC120は、サービスプロバイダC120が管理するOS(C202)及びアプリケーション(C201)を用いてサービス提供を行う(C204)。
(サービスの類型3:PaaS利用型)
図27は、サービスの類型3(PaaS利用型)を示す。ここでPaaSとはプラットフォーム・アズ・ア・サービスの略であり、ソフトウェアを構築および稼動させるための土台となるプラットフォームを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
本類型では、データセンタ運営会社C110は、OS(C202)を管理し、データセンタ(クラウドサーバC111)を運営、管理している(C203)。また、サービスプロバイダC120は、アプリケーション(C201)を管理する。サービスプロバイダC120は、データセンタ運営会社が管理するOS(C202)及びサービスプロバイダC120が管理するアプリケーション(C201)を用いてサービス提供を行う(C204)。
(サービスの類型4:SaaS利用型)
図28は、サービスの類型4(SaaS利用型)を示す。ここでSaaSとはソフトウェア・アズ・ア・サービスの略である。例えばデータセンタ(クラウドサーバ)を保有しているプラットフォーム提供者が提供するアプリケーションを、データセンタ(クラウドサーバ)を保有していない会社・個人(利用者)がインターネットなどのネットワーク経由で使用できる機能を有するクラウドサービス提供モデルである。
本類型では、データセンタ運営会社C110は、アプリケーション(C201)を管理し、OS(C202)を管理し、データセンタ(クラウドサーバC111)を運営、管理している(C203)。また、サービスプロバイダC120は、データセンタ運営会社C110が管理するOS(C202)及びアプリケーション(C201)を用いてサービス提供を行う(C204)。
以上いずれの類型においても、サービスプロバイダC120がサービス提供行為を行ったものとする。また例えば、サービスプロバイダ若しくはデータセンタ運営会社は、OS、アプリケーション若しくはビックデータのデータベース等を自ら開発してもよいし、また、第三者に外注させてもよい。
(2)
移動体は車(自動車)でもよいし、自動二輪でもよいし、自転車でもよいし、電車でもよいし、飛行機でもよいし、携帯電話でもよいし、タブレットでもよいし、ノートパソコンでもよいし、ウェアラブルデバイスでもよいし、移動可能でデータ取得部を備えていればどのような機器であってもよい。
(3)
データ取得部は、移動体の内部または周辺、または、観測装置の内部または周辺や状況をセンシングする機能を有する機器、センサーなどであればどのようなものであってもよい。例えば、位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)、車載カメラ、レーザーデータ、ミリ波レーダ、ソナー、赤外線カメラ、路面状態センサ、眠気センサ、天候センサ、CAN(Controller Area Network)情報取得手段、時刻情報取得手段、車車間通信情報手段、路車間通信情報手段、通信手段、などでもよい。また、位置情報は、GPSだけでなく、例えば、Wi−Fiや携帯電話通信などの受信電界強度から推定することにより取得してもよい。また、車両周辺や車両内部情報認識手段等を備えるセンサでもよい。例えば、車載カメラから、前方車両の有無を判断したり、前方車両との距離を計測したりしてもよい。また、車載カメラやミリ波レーダなどから一定距離内に歩行者が何人いるかを計測してもよい。また、路面状態センサから、路面が凍結しているかどうかを計測してもよい。また、天候センサから雨天かどうかを計測してもよい。また、運転者の所有するスマートフォンや、車の鍵、運転免許証などをセンシングし、運転者を特定してもよい。運転者自身の身体的特徴、例えば、指紋、掌紋、瞳孔、声紋などから運転者を特定してもよい。運転操作の方法をセンシングするものでもよいし、その他の機器をの操作やその操作内容をセンシングするものでもよく、センサデータの種類には制限されない。
(4)
地点間における危険度の相関係数を計算してから、他の地点の各状況の列の評価値を用いて、推定評価値を計算するとしたが、反対に状況間における危険度の相関係数を計算してから、他の状況の各地点の行の評価値を用いて、推定評価値を計算するとしてもよい。つまり、未評価の第1のセルの評価値の推定では、第2のセルに入力されている評価値と第4のセルに入力されている評価値とを用いて、状況間における危険度の相関を計算し、計算することにより得られた状況間における危険度の相関を用いて、第2のセルに入力されている評価値から、第1のセルに対する危険度を計算してもよい。ここで、第2のセルは、第1のセルと地点が同じで状況が異なる組み合わせに対応するセルである。また、第3のセルは、第1のセルと状況が同じで地点が異なる組み合わせに対応するセルである。また、第4のセルは、第2のセルと状況が同じで第3のセルと地点が同じ組み合わせに対応するセルである。
(5)
上記実施の形態でいう地点とは、地球上の特定位置という意味で、その言葉は広さを制限していない。地点の表現の仕方については、緯度経度情報でもよいし、住所でもよいし、道路名や、交差点名であってもよく、地球上の特定位置をしめすものであれば何でもよい。
(6)
評価値については、例として、事故があった場合は、「3」で評価、事故がなかった場合は「1」で評価、それ以外の場合は「2」としたが、これは単なる一例であって発明を限定するものではない。評価値は、事故以外の危険事象を評価した結果としてもよく、例えば、ヒヤリハット事象の有無、交通違反の有無、急ブレーキの有無、加速度センサの変化度合い、操舵装置の変化度合い、運転者が回避行動をとったかどうか、などとしてもよく、危険事象をあらわすものであればどのような評価値を採用してもよい。また、評価値についても、「3」、「2」、および「1」の数値としたが値はこれ以外でもよい。また、危険事象の有無で評価としているが、危険事象がある場合とそれ以外としてもよい。
(7)
事象頻度については、交通量としたが、地点毎の事故回数としてもよいし、子供の通行量としてもよいし、車線幅に応じて決定してもよいし、交差点に応じて決定してもよく、優先度を決められるような事象または、性質をあらわすものであれば何でもよい。また実施の形態2と組み合わせて、運転者毎の運転回数としてもよい。
(8)
上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニットなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(9)
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(10)
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(11)
本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(12)
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。