JP2019178773A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受剛性の向上を実現できる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】外方部材2は、そのアウター側端部2eにおける内周面2fに研削加工が施されておらず、内周面2fがインナー側からアウター側に向けて拡径することで環状空間Sを拡径している。また、芯金61は、外方部材2の外周面に嵌合される嵌合部61aと、嵌合部61aから径方向内側へ延びる側板部61bと、側板部61bから内周面2fに沿って延びる折込部61cと、を有している。【選択図】図5
Description
本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来より、車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている(特許文献1参照)。かかる車輪用軸受装置は、車体に外方部材が固定される。また、外方部材の内側に内方部材が配置され、外方部材と内方部材のそれぞれの軌道面間に複数の転動体が介装されている。こうして、車輪用軸受装置は、転がり軸受構造を構成し、内方部材に取り付けられた車輪を回転自在としている。
ところで、このような車輪用軸受装置には、外方部材と内方部材との間に環状空間が形成されている。環状空間に異物(泥水や砂塵等)が侵入する、又は環状空間に封入しているグリースが漏出する可能性がある。そのため、車輪用軸受装置は、環状空間の両側開口端を塞ぐためにインナー側シール部材とアウター側シール部材を備えている。
加えて、このような車輪用軸受装置においては、外方部材の内側にインナー側シール部材とアウター側シール部材が収容される。ここで、外方部材のアウター側端部に着目すると、アウター側シール部材が収まるスペースを確保する観点から、アウター側に介装される転動体のピッチ円径を大きく設計することができないという問題があった。ひいては軸受剛性の向上を実現しにくいという問題があった。
軸受剛性の向上を実現できる車輪用軸受装置を提供する。
第一の発明は、
内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、
小径段部が形成されたハブ輪及び前記小径段部に外嵌される内輪からなり、外周に複列の内側軌道面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの軌道面間に介装される複数の転動体と、
前記外方部材と前記内方部材の間に形成される環状空間のアウター側開口端を密封するアウター側シール部材と、を備え、
前記アウター側シール部材が芯金と当該芯金に固着される弾性部材で構成された車輪用軸受装置において、
前記外方部材は、そのアウター側端部における内周面に研削加工が施されておらず、当該内周面がインナー側からアウター側に向けて拡径することで前記環状空間を拡径しており、
前記芯金は、前記外方部材の外周に嵌合される嵌合部と、前記嵌合部から径方向内側へ延びる側板部と、前記側板部から前記内周面に沿うように延びて前記環状空間の拡径部分に収まる折込部と、を有している、ものである。
内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、
小径段部が形成されたハブ輪及び前記小径段部に外嵌される内輪からなり、外周に複列の内側軌道面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの軌道面間に介装される複数の転動体と、
前記外方部材と前記内方部材の間に形成される環状空間のアウター側開口端を密封するアウター側シール部材と、を備え、
前記アウター側シール部材が芯金と当該芯金に固着される弾性部材で構成された車輪用軸受装置において、
前記外方部材は、そのアウター側端部における内周面に研削加工が施されておらず、当該内周面がインナー側からアウター側に向けて拡径することで前記環状空間を拡径しており、
前記芯金は、前記外方部材の外周に嵌合される嵌合部と、前記嵌合部から径方向内側へ延びる側板部と、前記側板部から前記内周面に沿うように延びて前記環状空間の拡径部分に収まる折込部と、を有している、ものである。
第二の発明は、第一の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記芯金は、前記折込部から径方向内側へ延びる内板部を更に有し、
前記外方部材の外周に前記嵌合部が外嵌される嵌合面が形成されており、
前記内板部は、前記嵌合面の軸方向中央部分よりもアウター側に位置している、ものである。
前記芯金は、前記折込部から径方向内側へ延びる内板部を更に有し、
前記外方部材の外周に前記嵌合部が外嵌される嵌合面が形成されており、
前記内板部は、前記嵌合面の軸方向中央部分よりもアウター側に位置している、ものである。
第三の発明は、第一又は第二の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記弾性部材は、前記嵌合部に固着された部分に堰部及び前記ハブ輪との間に微小隙間を形成するラビリンスリップを有し、
前記ラビリンスリップの外周縁が前記堰部の外周縁よりも径方向外側に位置している、ものである。
前記弾性部材は、前記嵌合部に固着された部分に堰部及び前記ハブ輪との間に微小隙間を形成するラビリンスリップを有し、
前記ラビリンスリップの外周縁が前記堰部の外周縁よりも径方向外側に位置している、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
第一の発明に係る車輪用軸受装置によれば、アウター側シール部材の芯金が、外方部材の外周に嵌合される嵌合部と、インナー側からアウター側に向けて拡径する外方部材の内周面に沿うように延びて環状空間の拡径部分に収まる折込部とを有するため、アウター側シール部材を径方向外側によせて配置することができる。これにより、アウター側に介装される転動体のピッチ円径を大きく設計することが可能となる。また、芯金が外方部材の外周に嵌合されるので、外方部材の内周面を非研削面としている。これにより、外方部材の内周面の設計自由度が向上し、外方部材のアウター側端部におけるアウター側部分よりもインナー側部分の肉厚を確保することができ、当該アウター側端部の剛性を確保することが可能となる。ひいては軸受剛性の向上を実現できる。
第二の発明に係る車輪用軸受装置によれば、アウター側シール部材をアウター側によせて配置することができる。従って、アウター側に介装される転動体をアウター側へズラすことにより、インナー側の転動体からアウター側の転動体までの距離をより長く設計することが可能となる。ひいては更なる軸受剛性の向上を実現できる。
第三の発明に係る車輪用軸受装置によれば、堰部とラビリンスリップの間に異物(泥水や砂塵等)が流れ込んでも、ラビリンスリップを越えてシールリップに到達するのを抑えることができる。ひいてはシールリップが破損したり摩耗したりするのを抑えることができる。
まず、本発明に係る車輪用軸受装置1について説明する。図1は、車輪用軸受装置1を示す図である。図2は、車輪用軸受装置1の構造を示す図である。そして、図3及び図4は、車輪用軸受装置1の一部構造を示す図である。
車輪用軸受装置1は、車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材2と、内方部材3と、転動部材4と、を備えている。なお、本明細書において、「インナー側」とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、「アウター側」とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、「径方向外側」とは、内方部材3の回転軸Aから遠ざかる方向を表し、「径方向内側」とは、内方部材3の回転軸Aに近づく方向を表す。更に、「軸方向」とは、内方部材3の回転軸Aに沿う方向を表す。
外方部材2は、転がり軸受構造の外輪部分を構成するものである。外方部材2のインナー側端部における内周には、嵌合面2aが形成されている。また、外方部材2のアウター側端部における外周には、嵌合面2bが形成されている。更に、外方部材2の軸方向中央部における内周には、二つの外側軌道面2c・2dが形成されている。加えて、外方部材2には、径方向外側へ広がる車体取り付けフランジ2eが形成されている。車体取り付けフランジ2eには、複数のボルト穴2fが設けられている。
内方部材3は、転がり軸受構造の内輪部分を構成するものである。内方部材3は、ハブ輪31と内輪32で構成されている。
ハブ輪31は、外方部材2の内側に設けられている。ハブ輪31のインナー側端部における外周には、軸方向中央部まで小径段部3aが形成されている。小径段部3aは、ハブ輪31の外径が小さくなった部分を指し、その外周面が回転軸Aを中心とする円筒形状となっている。また、ハブ輪31には、そのインナー側端部からアウター側端部まで貫かれたスプライン穴3bが形成されている。更に、ハブ輪31の軸方向中央部における外周には、外側軌道面2dと対向する内側軌道面3dが形成されている。加えて、ハブ輪31には、径方向外側へ広がる車輪取り付けフランジ3eが形成されている。車輪取り付けフランジ3eには、回転軸Aを中心に複数のボルト穴3fが設けられており、それぞれのボルト穴3fにハブボルト33が圧入されている。
内輪32は、ハブ輪31の小径段部3aに外嵌される。内輪32のインナー側端部における外周には、嵌合面3gが形成されている。また、嵌合面3gに隣接する外周には、内側軌道面3cが形成されている。内輪32は、ハブ輪31の小径段部3aに外嵌されることにより、ハブ輪31の外周に外側軌道面2cと対向する内側軌道面3cを構成する。
転動部材4は、転がり軸受構造の転動部分を構成するものである。インナー側の転動部材4は、複数の転動体41と一つの保持器42で構成されている。同様に、アウター側の転動部材4も、複数の転動体41と一つの保持器42で構成されている。
転動体41は、それぞれが保持器42によって円形にかつ等間隔にならべられている。そして、インナー側の転動部材4を構成している転動体41は、外方部材2の外側軌道面2cと内方部材3(内輪32)の内側軌道面3cの間に転動自在に介装されている。また、アウター側の転動部材4を構成している転動体41は、外方部材2の外側軌道面2dと内方部材3(ハブ輪31)の内側軌道面3dの間に転動自在に介装されている。
保持器42は、転動体41を収めるためのポケットが等間隔に形成された円環体となっている。保持器42は、互いに隣り合う転動体41と転動体41の間に球面壁が延びており、二つの球面壁によって一つの転動体41を挟み込むように保持している。
加えて、本車輪用軸受装置1は、外方部材2と内方部材3(ハブ輪31及び内輪32)の間に形成される環状空間Sの両側開口端を密封すべく、インナー側シール部材5とアウター側シール部材6を備えている。なお、インナー側シール部材5は、様々な仕様が存在しており、本明細書に開示された仕様に限定するものではない。
インナー側シール部材5は、スリンガ51とシールリング52で構成されている。スリンガ51は、円筒状の嵌合部51aと、嵌合部51aから径方向外側へ延びる円板状の側板部51bを有している。そして、嵌合部51aが内方部材3(内輪32)の嵌合面3gに外嵌される。一方、シールリング52は、芯金53に弾性部材54を固着したものである。芯金53は、円筒状の嵌合部53aと、嵌合部53aから径方向内側へ延びる円板状の側板部53bを有している。そして、嵌合部53aが外方部材2の嵌合面2aに内嵌される。なお、弾性部材54には、サイドリップ54a・54bが形成されており、それぞれの先端縁が対向するスリンガ51の側板部51bに接触している。更に、弾性部材54には、グリースリップ54cが形成されており、その先端縁が対向するスリンガ51の嵌合部51aに接触又は近接している。
アウター側シール部材6は、芯金61に弾性部材62を固着したものである。芯金61は、円筒状の嵌合部61aのほか、後述する側板部61bと折込部61cと内板部61dを有している。そして、嵌合部61aが外方部材2の嵌合面2bに外嵌される。なお、弾性部材62には、サイドリップ62aが形成されており、その先端縁がハブ輪31に形成された段差部3hの平端面3i或いは円弧面3jに接触している。また、弾性部材62には、中間リップ62bが形成されており、その先端縁が円弧面3jに接触している。更に、弾性部材62には、グリースリップ62cが形成されており、その先端縁が軸周面3kに接触又は近接している。ここで、グリースリップ62cが軸周面3kに近接しているとは、シールリップ62cが微小な隙間(ラビリンス隙間)を介して軸周面3kに対向していることを意味する。本明細書においては、平端面3iと円弧面3jと軸周面3kを「摺接面」と定義する。
ここで、ハブ輪31に形成された段差部3hについて詳しく説明する。段差部3hは、ハブ輪31に形成された車輪取り付けフランジ3eの基端部分におけるインナー側へ突出している部位を指す。段差部3hの平端面3iは、内方部材3の回転軸Aに対して垂直な平面となっており、その径方向内側の一部に円弧面3jが形成されることによって平端面3iと軸周面3kが滑らかにつながっている。なお、段差部3hの外周面3mは、所定曲率で傾斜しており、平端面3iの外縁からハブボルト33の座面3nまで滑らかにつながっている。
次に、外方部材2と内方部材3(ハブ輪31)の形状について詳しく説明するとともに、第一実施形態に係る車輪用軸受装置1の特徴点とその効果について述べる。図5は、車輪用軸受装置1のアウター側シール部材6とその周囲構造を示す図である。
本車輪用軸受装置1においては、外方部材2のアウター側端部2eにおける内径がアウター側でより大きくなるように形成されている。そのため、かかる部分における軸方向断面に着目すると、内周面2fをなす母線がアウター側かつ径方向外側へ向かって斜めに延びている。但し、内周面2fをなす母線が直線状であることに限定するものではない。なお、内周面2fは、旋削加工が施された状態でよく、従来品のような研削加工は不要である。また、切削工具を逃がすためのヌスミ加工も不要である。
前述したように、芯金61は、側板部61bと折込部61cを有している。側板部61bは、嵌合部61aから径方向内側へ延びている。側板部61bは、内方部材3の回転軸Aを中心とする円板状に形成された部分であり、外方部材2のアウター側端面2gに当接される。折込部61cは、側板部61bから内周面2fに沿って延びている。折込部61cは、内方部材3の回転軸Aを中心とする円錐状に形成された部分であり、外方部材2のアウター側端部2eにおける内周面2fに沿っている。ここで、「内周面2fに沿っている」とは、内周面2fとの間に小さな隙間をあけて対向していることを意味する。但し、折込部61cが内周面2fに対して平行であることに限定するものではない。重要な点は、外方部材2の内側における従来品よりも拡径された部分、即ち環状空間Sの拡径部分Eに折込部61cが収まっていることである。
更に、芯金61は、内板部61dを有している。内板部61dは、内方部材3の回転軸Aを中心とする円板状に形成された部分であり、外方部材2のアウター側端部2eにおける内周面2f近傍から径方向内側へ延びている。なお、かかる内板部61dに固着された弾性部材62に前述の各シールリップ(サイドリップ62a・中間リップ62b・グリースリップ62c)が形成されている。このうち、最も径方向外側にあるサイドリップ62aは、外方部材2のアウター側端部2eにおける内周面2fに対し、軸方向に重なっている。換言すると、軸方向投影面に重畳している。従って、サイドリップ62aが従来品に対してアウター側かつ径方向外側によせて配置されている。すると、中間リップ62bやグリースリップ62cも、従来品における中間リップやグリースリップ(二点鎖線K参照)に比べてアウター側かつ径方向外側によせて配置することが可能となる。
このように、本車輪用軸受装置1において、外方部材2は、そのアウター側端部2eにおける内周面2fに研削加工が施されておらず、内周面2fがインナー側からアウター側に向けて拡径することで環状空間Sを拡径している。また、芯金61は、外方部材2の外周(嵌合面2b)に嵌合される嵌合部61aと、嵌合部61aから径方向内側へ延びる側板部61bと、側板部61bから内周面2fに沿うように延びて環状空間Sの拡径部分Eに収まる折込部61cと、を有している。そして、折込部61cから径方向内側へ内板部61dが延びている。弾性部材62は、内板部61dに固着された部分に複数のシールリップ(サイドリップ62a・中間リップ62b・グリースリップ62c)が形成されており、最も径方向外側にあるシールリップ(サイドリップ62a)が内周面2fに対して軸方向に重なっている。
詳細に説明すると、本車輪用軸受装置1においては、芯金61が外方部材2の外周(嵌合面2b)に嵌合するため、外方部材2のアウター側端部2eにおける内周面2fには、研削加工が施されていない。つまり、内周面2fは非研削面である。また、内周面2fは、アウター側の外側軌道面2dから軸方向に延びる水平面を介してアウター側に延びている。内周面2fは、インナー側からアウター側に向けて径方向外側に拡径する傾斜面である。
かかる車輪用軸受装置1によれば、アウター側シール部材6の芯金61が、外方部材2の外周に嵌合される嵌合部61aと、インナー側からアウター側に向けて拡径する外方部材2の内周面2fに沿うように延びて環状空間Sの拡径部分Eに収まる折込部61cとを有するため、アウター側シール部材6を径方向外側によせて配置することができる。これにより、アウター側に介装される転動体41のピッチ円径(各転動体41の中心Pを通る円の直径Da:図2参照)を大きく設計することが可能となる。また、芯金61が外方部材2の外周に嵌合されるので、外方部材2の内周面2fを非研削面としている。これにより、外方部材2の内周面2fの設計自由度が向上し、外方部材2のアウター側端部2eにおけるアウター側部分よりもインナー側部分の肉厚を確保することができ、当該アウター側端部2eの剛性を確保することが可能となる。ひいては軸受剛性の向上を実現できる。
加えて、本車輪用軸受装置1においては、内板部61dの位置について次のように特定できる。即ち、内方部材3の回転軸Aに対して垂直に交わるとともに嵌合面2bの軸方向中央部分を通る仮想平面Vを想定し、この仮想平面Vよりも内板部61dがアウター側に位置している。
このように、本車輪用軸受装置1において、芯金61は、折込部61cから径方向内側へ延びる内板部61dを更に有している。また、外方部材2の外周に嵌合部61aが外嵌される嵌合面2bが形成されている。そして、内板部61dは、嵌合面2fの軸方向中央部分よりもアウター側に位置している。
かかる車輪用軸受装置1によれば、アウター側シール部材6をアウター側によせて配置することができる。従って、アウター側に介装される転動体41をアウター側へズラすことにより、インナー側の転動体41からアウター側の転動体41までの距離(インナー側の転動体41の中心Pからアウター側の転動体41の中心Pまでの距離Db:図2参照)をより長く設計することが可能となる。ひいては更なる軸受剛性の向上を実現できる。
次に、第二実施形態に係る車輪用軸受装置1の特徴点とその効果について述べる。図6は、車輪用軸受装置1のアウター側シール部材6とその周囲構造を示す図である。ここでは、主に第一実施形態に係る車輪用軸受装置1との相違点に着目して説明する。
本実施形態に係る車輪用軸受装置1においては、弾性部材62における嵌合部61aに固着された部分に堰部62d及びラビリンスリップ62eが形成されている。堰部62dとは、嵌合部61aを覆う弾性部材62が径方向外側へ突出している部分を指す。また、ラビリンスリップ62eとは、嵌合部61aを覆う弾性部材62がアウター側かつ径方向外側へ延出してハブ輪31との間に微小隙間Cを形成している部分を指す。
堰部62dは、外方部材2を伝ってシールリップ(サイドリップ62a・中間リップ62b・グリースリップ62c)へ向かう異物(泥水や砂塵等)を堰き止めることができる。ラビリンスリップ62eは、外方部材2やハブ輪31(厳密には車輪取り付けフランジ3e)を伝ってシールリップ(サイドリップ62a・中間リップ62b・グリースリップ62c)へ向かう異物(泥水や砂塵等)を堰き止めたり受け流したりすることができる。
加えて、本実施形態に係る車輪用軸受装置1においては、堰部62dの外周縁における外径よりもラビリンスリップ62eの外周縁における外径のほうが大きくなっている。このようにしたのは、堰部62dとラビリンスリップ62eの間に流れ込んだ異物(泥水や砂塵等)が堰部62dを越えて排出されるように考慮したものである(矢印F参照)。なお、堰部62dのアウター側端面62fがインナー側かつ径方向外側に傾斜するのも同様に考慮したものである。
このように、本車輪用軸受装置1において、弾性部材62は、嵌合部61aに固着された部分に堰部62d及びハブ輪31との間に微小隙間Cを形成するラビリンスリップ62eが形成を有している。そして、ラビリンスリップ62eの外周縁が堰部62dの外周縁よりも径方向外側に位置している。
かかる車輪用軸受装置1によれば、堰部62dとラビリンスリップ62eの間に異物(泥水や砂塵等)が流れ込んでも、ラビリンスリップ62eを越えてシールリップ(サイドリップ62a・中間リップ62b・グリースリップ62c)に到達するのを抑えることができる。ひいてはシールリップ(62a・62b・62c)が破損したり摩耗したりするのを抑えることができる。
次に、第三実施形態に係る車輪用軸受装置1の特徴点とその効果について述べる。図7は、車輪用軸受装置1のアウター側シール部材6とその周囲構造を示す図である。ここでも、主に第一実施形態に係る車輪用軸受装置1との相違点に着目して説明する。
本実施形態に係る車輪用軸受装置1においては、外方部材2のアウター側端部2eにおける内周に内径が異なる段差が設けられている。そして、かかる拡径された部分、即ち環状空間Sの拡径部分Eに折込部61cが収まっている。このような構造であったとしても、前述の効果を奏することは明白である。但し、アウター側端部2eにおける剛性の確保が条件になるのは言うまでもない。
本願における車輪用軸受装置1は、車体取り付けフランジ2eを有する外方部材2と、ハブ輪31に一つの内輪32が外嵌された内方部材3と、外方部材2と内方部材3のそれぞれの軌道面2c・2d・3c・3d間に介装される複数の転動体41・41と、で構成された内方部材回転仕様の第3世代構造としているが、これに限定するものではない。例えば、ハブ輪として形成された外方部材と、車体取り付けフランジを有する支持軸に一つの内輪が嵌合された内方部材と、外方部材と内方部材のそれぞれの軌道面間に介装される複数の転動体と、で構成された外方部材回転仕様の第3世代構造であってもよい。
最後に、本願における発明は、各実施形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲に記載の均等の意味及び範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外方部材
2b 嵌合面、 2c 外側軌道面、 2d 外側軌道面、
2e アウター側端部、 2f 内周面
3 内方部材
3a 小径段部、 3c 内側軌道面、 3d 内側軌道面
31 ハブ輪
32 内輪
41 転動体
6 アウター側シール部材
61 芯金
61a 嵌合部、 61b 側板部
61c 折込部、 61d 内板部
62 弾性部材
62d 堰部、 62e ラビリンスリップ
S 環状空間
E 拡径部分
2 外方部材
2b 嵌合面、 2c 外側軌道面、 2d 外側軌道面、
2e アウター側端部、 2f 内周面
3 内方部材
3a 小径段部、 3c 内側軌道面、 3d 内側軌道面
31 ハブ輪
32 内輪
41 転動体
6 アウター側シール部材
61 芯金
61a 嵌合部、 61b 側板部
61c 折込部、 61d 内板部
62 弾性部材
62d 堰部、 62e ラビリンスリップ
S 環状空間
E 拡径部分
Claims (3)
- 内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、
小径段部が形成されたハブ輪及び前記小径段部に外嵌される内輪からなり、外周に複列の内側軌道面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの軌道面間に介装される複数の転動体と、
前記外方部材と前記内方部材の間に形成される環状空間のアウター側開口端を密封するアウター側シール部材と、を備え、
前記アウター側シール部材が芯金と当該芯金に固着される弾性部材で構成された車輪用軸受装置において、
前記外方部材は、そのアウター側端部における内周面に研削加工が施されておらず、当該内周面がインナー側からアウター側に向けて拡径することで前記環状空間を拡径しており、
前記芯金は、前記外方部材の外周に嵌合される嵌合部と、前記嵌合部から径方向内側へ延びる側板部と、前記側板部から前記内周面に沿うように延びて前記環状空間の拡径部分に収まる折込部と、を有している、ことを特徴とする車輪用軸受装置。 - 前記芯金は、前記折込部から径方向内側へ延びる内板部を更に有し、
前記外方部材の外周に前記嵌合部が外嵌される嵌合面が形成されており、
前記内板部は、前記嵌合面の軸方向中央部分よりもアウター側に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。 - 前記弾性部材は、前記嵌合部に固着された部分に堰部及び前記ハブ輪との間に微小隙間を形成するラビリンスリップを有し、
前記ラビリンスリップの外周縁が前記堰部の外周縁よりも径方向外側に位置している、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018070241A JP2019178773A (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | 車輪用軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018070241A JP2019178773A (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | 車輪用軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019178773A true JP2019178773A (ja) | 2019-10-17 |
Family
ID=68278231
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018070241A Pending JP2019178773A (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | 車輪用軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019178773A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024024645A1 (ja) * | 2022-07-27 | 2024-02-01 | Ntn株式会社 | 車輪用軸受装置 |
-
2018
- 2018-03-30 JP JP2018070241A patent/JP2019178773A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2024024645A1 (ja) * | 2022-07-27 | 2024-02-01 | Ntn株式会社 | 車輪用軸受装置 |
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