JP2019178589A - 建物施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物の建設エリアの外に長期的に建設機械を設置することが困難な環境下においても、建物の施工作業を効率化し、工期の短縮を可能とする。【解決手段】建物施工方法では、建物1の基礎2を形成する基礎形成領域4の内側に自走式のクレーン50を移動し、クレーン50を用いて、基礎形成領域4に建物1の躯体6を組み上げ、クレーン50を用いて、建物1の躯体6においてクレーン50の搬出側となる第1側面部11以外の第2側面部12について外壁パネル20を設置し、第2側面部12に外壁パネル20を設置した後に、第1側面部11から基礎形成領域4の外にクレーン50を移動する。そして、第1側面部11の一階部分に設ける一階用外壁パネル20A−1に、水平方向に延出する第1横架材31を取り付け、第1側面部11の基礎2の立ち上がり部2Cを形成し、第1側面部11の基礎2の立ち上がり部2Cと一階用外壁パネル20A−1を固定する。【選択図】図8

Description

本発明は、クレーン等の建設機械を用いて建物を施工する建物施工方法に関する。
住宅等の建物の建設に際し、クレーン等の建設機械を用いることが行われている。例えば、特許文献1には、建物の建設エリアの外側にクレーンを設置して、躯体や建築資材を運搬することについて開示されている。
特開平9−317185号公報
ところで、市街地に住宅を建てる場合には、住宅の建設地にクレーンを設置するスペースが確保できないことがある。こうした場合には、建設地に面した道路にクレーンを設置することとなるが、細い道路では通行止めの必要があり、長期間のクレーンの設置ができないことがある。そのため、建物の建設エリアの外に長期的に建設機械を設置することが困難な環境下においても、建設機械を効率良く使用して工期を短縮可能な工法が望まれている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、建物の建設エリアの外に長期的に建設機械を設置することが困難な環境下においても、建物の施工作業を効率化し、工期の短縮が可能となる建物施工方法を提供することにある。
上記課題は、本発明に係る建物施工方法によれば、建物を施工する建物施工方法であって、前記建物の基礎を形成する基礎形成領域の内側に自走式の建設機械を移動する工程と、前記建設機械を用いて、前記基礎形成領域に前記建物の躯体を組み上げる工程と、前記建設機械を用いて、前記建物の前記躯体において前記建設機械の搬出側となる第1側面部以外の第2側面部について外壁パネルを設置する第1設置工程と、前記第2側面部に外壁パネルを設置した後に、前記第1側面部から前記基礎形成領域の外に前記建設機械を移動する工程と、前記第1側面部に外壁パネルを設置する第2設置工程と、を含み、前記第2設置工程は、前記第1側面部に水平方向に延出する第1横架材を取り付ける工程と、前記第1側面部の一階部分に一階用外壁パネルを取り付ける工程と、前記一階用外壁パネルに前記第1横架材を取り付ける工程と、前記第1側面部の基礎の立ち上がり部を形成する形成工程と、前記第1側面部の基礎の立ち上がり部と前記一階用外壁パネルを固定する固定工程と、を有することにより解決される。
こうすることで、建物の建設エリアの外に長期的に建設機械を設置することが困難な環境下においても、建設エリアの中に建設機械を入れて建物の大部分の躯体、外壁パネルの設置が可能となる。そして、建設機械を建物の基礎形成領域から外に出す第1側面部分については、効率的に外壁パネルの設置が可能となる。
また、一階用外壁パネルに第1横架材を取り付けることにより、一階用外壁パネルの位置を拘束することができるため、一階用外壁パネルと基礎の立ち上がり部との固定を容易に行うことができる。
すなわち、上記の建物施工方法によれば、建物の建設エリアの外に長期的に建設機械を設置することが困難な環境下においても、建物の施工作業を効率化し、工期の短縮が可能となる。
上記の建物施工方法において、前記一階用外壁パネルは、前記第1側面部の一階部分に吊り下げた状態で取り付けられ、前記形成工程では、前記一階用外壁パネルを吊り下げたまま、前記第1側面部の基礎の立ち上がり部を形成するとよい。
こうすることで、一階用外壁パネルを躯体に吊り下げたまま、基礎の立ち上がり部を形成することができる。そのため、一階用外壁パネルの位置と基礎の立ち上がり部の高さを容易に合わせることができる。
上記の建物施工方法において、前記一階用外壁パネルは、下端部に設けられたアンカー部材を有し、前記固定工程では、前記第1側面部の基礎の立ち上がり部と前記アンカー部材とを固定するとよい。
こうすることで、第1横架材により、一階用外壁パネルのアンカー部材の位置決めを行うことができる。これにより、一階用外壁パネルの上下位置を適正に設定できる。
上記の建物施工方法において、前記アンカー部材は、前記一階用外壁パネルに対する取り付け位置を上下に調整するための位置調整部を有するとよい。
こうすることで、アンカー部材を適正な位置に配されるよう容易に調整することができる。
上記の建物施工方法において、前記アンカー部材は、前記第1側面部の基礎から上方に延出するアンカーボルトが挿通される貫通孔を有し、前記第2設置工程は、前記貫通孔に挿通された前記アンカーボルトと、前記第1横架材とを連結部材により連結する工程を有するとよい。
こうすることで、基礎に対して適正な位置に一階用外壁パネルを吊り下げることができる。
上記の建物施工方法において、前記第2設置工程は、前記第1側面部において前記第1横架材よりも上部に、水平方向に延出する第2横架材を取り付ける工程をさらに有し、前記一階用外壁パネルは、前記第2横架材に対し、水平方向に並べて取り付けられる複数のパネルユニットを有するとよい。
こうすることで、第2横架材により外壁パネルの水平方向の目地幅を調整しやすくなる。
上記の建物施工方法において、前記形成工程では、前記基礎形成領域において前記建設機械が設置されていた設置領域にコンクリートを打設して土間をさらに形成するとよい。
こうすることで、基礎の立ち上がり部と、土間とを並行して形成できる。これにより、更に工期の短縮が可能となる。
本発明によれば、建物の建設エリアの外に長期的に建設機械を設置することが困難な環境下においても、建物の施工作業を効率化し、工期の短縮が可能となる。
建物の基礎形成領域にクレーンを搬入する直前の状態を模式的に示す図である。 建物の基礎形成領域に搬入したクレーンを用いて建物の躯体を組み上げた状態を模式的に示す図である。 図2に対応する正面図である。 クレーンのジブを伸ばした状態を示す図である。 図3に対応する側面図である。 躯体の第2側面部に第2外壁パネルを取り付けた状態を模式的に示す図である。 建物の基礎形成領域からクレーンを搬出した状態を模式的に示す図である。 建物の基礎形成領域から搬出したクレーンを用いて、第1側面部に第1外壁パネルを取り付けた状態を模式的に示す図である。 第1側面部の二階と三階に第1外壁パネルを取り付けた状態を示す図である。 第1側面部の一階に第1外壁パネルを吊り下げた状態を示す図である。 一階用外壁パネルを吊り下げた状態を屋内側から見た図である。 第1横架材の近傍の構成を示す図である。 アンカー部材の近傍の構成を示す図である。 基礎の立ち上がり部を打設した状態を示す図である。 一階用外壁パネルのアンカー部材を基礎の立ち上がり部に固定した状態を示す図である。 第1側面部の一階に吊り下げた第1外壁パネルを立ち上がり部に固定した状態を示す図である。
<建物1の施工方法>
以下、図1乃至図16を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る建物1の施工方法(建物施工方法)について説明する。以下に説明する建物1は、複数階建ての住宅を例として説明するが、建物1は住宅に限られるものではなく、また建物1は複数階建てに限らず平屋であってもよい。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
<基礎2の形成>
図1に示されるように、建設エリアAには、建物1の基礎2が形成される。なお、建設エリアAにおいて基礎2が形成される領域を基礎形成領域4とする。そして、本実施形態では、基礎2の内部において、前面道路Rに近い出入り部2−1から侵入可能な領域を、建設機械としてのクレーン50を設置するための設置領域5とする。そのため、基礎2の出入り部2−1については当初の段階では基礎の立ち上がり部を形成しないこととする。
また、図1に示されるように、基礎2の内側の領域のうち、出入り部2−1に面していない領域に対してはコンクリートを打設し、第1土間3A、第2土間3Bを形成する。一方、設置領域5に対しては、図1に示す段階においては、コンクリートの打設を行わないこととする。
なお、以下において、建設エリアAにおいて前面道路Rの延出方向に直交する方向をX方向、X方向に対し直交する方向をY方向(すなわち前面道路Rの延出方向)とする。そして、鉛直方向をZ方向とする。
<クレーン50の搬入、設置工程>
次に、図1に示されるように、クレーン50を前面道路Rから基礎形成領域4の内部(より詳細には設置領域5)に搬入する。具体的には、基礎2の出入り部2−1の上に金属板等の保護板52を設置して、前面道路Rから保護板52を通ってクレーン50を設置領域5に移動させる。
本実施形態では、クレーン50は、自走式のクレーンであり、クレーン50を運転することにより、クレーン50の移動が可能である。また、クレーン50は旋回、延長、部材の吊り下げ、吊り上げが可能なジブ51を有し、これにより各種建材の運搬が可能となっている。
そして、クレーン50を設置領域5に移動させた後に、クレーン50の脚を固定することで、クレーン50の設置工程が完了する。
<躯体6の組み上げ工程>
次に、図2乃至図5に示されるように、設置領域5に設置したクレーン50を用いて、柱6A及び梁6B等の躯体6を基礎2の上に組み上げる。
具体的には、図3乃至図5に示されるように、本実施形態に係る建物1は三階建てとし、基礎2の上に柱6Aが固定され、さらに柱6Aの間に梁6Bが架け渡されて固定される。
ここで、図4に示されるように、クレーン50のジブ51は、最上階の梁6Bを超える長さに伸長可能となっている。
このように、設置領域5に設置したクレーン50を用いて柱6Aや梁6Bを含む建材を運搬することで、躯体6の組み上げを効率よく実施することができる。
ここで、建物1の躯体6において、基礎2の出入り部2−1の上部に当たる部分を第1側面部11、それ以外の部分を第2側面部12とする。
すなわち、第1側面部11は、躯体6において、クレーン50を前面道路Rに搬出する際の側面部に相当する。換言すれば、第1側面部11は、前面道路Rに面した部分であり、第2側面部12は、前面道路Rに面していない部分である。
そして、第1側面部11の一階部分に相当する一階部11−1と、二階部分に相当する二階部11−2の間に配される梁6B−1は、クレーン50を搬出する際に干渉しないように、本来の取り付け位置よりも上方に仮固定しておく。
<第1設置工程>
次に、図6に示されるように、設置領域5に設置したクレーン50を用いて、第2側面部12に、外壁パネル20を取り付ける。なお、第2側面部12に取り付けられる外壁パネル20を第2外壁パネル20Bと称する。そして、第2側面部12に第2外壁パネル20Bを設置する工程を第1設置工程と称する。
第1設置工程では、クレーン50により第2外壁パネル20Bを吊り下げて運搬し、第2側面部12の各部に第2外壁パネル20Bを作業員が固定することとする。
<クレーン50の搬出工程>
次に、図7に示されるように、設置領域5から前面道路Rにクレーン50を搬出する。具体的には、クレーン50のジブ51を短くした状態で、クレーン50を第1側面部11の一階部11−1から前面道路Rに向けて移動させる。この際、出入り部2−1は保護板52で覆っておくことで、出入り部2−1の損傷を抑制する。
クレーン50を前面道路Rに移動させた後に、クレーン50を建設エリアAに対して横付けして設置する。
そして、一階部11−1及び二階部11−2の間に設けられる梁6B−1を本来の取り付け位置に移動後に固定する。
<第2設置工程>
次に、図8に示されるように、前面道路Rに設置したクレーン50を用いて第1側面部11に外壁パネル20を取り付ける。なお、第1側面部11に取り付ける外壁パネル20を第1外壁パネル20Aと称する。そして、第1側面部11に第1外壁パネル20Aを設置する工程を第2設置工程と称する。
以下、図9乃至図16を参照しながら、第1側面部11への第1外壁パネル20Aの取り付け工程(第2設置工程)の詳細について説明する。
<二階用外壁パネル20A−2、三階用外壁パネル20A−3の取り付け>
図9に示されるように、クレーン50を用いて、第1側面部11の二階部11−2及び三階部11−3に対して、それぞれ二階用外壁パネル20A−2及び三階用外壁パネル20A−3を取り付ける。
具体的には、パネル化された三階用外壁パネル20A−3をクレーン50により吊り上げて、躯体6の三階部11−3に取り付ける。
そして、パネル化された二階用外壁パネル20A−2をクレーン50により吊り上げて、躯体6の二階部11−2に取り付ける。
なお、三階用外壁パネル20A−3及び二階用外壁パネル20A−2の取り付けに際しパネルユニット40を三階部11−3及び二階部11−2に取り付けるようにしてもよい。
そして、パネルユニット40の水平方向の隙間が縦目地41となり、パネルユニット40の垂直方向の隙間が横目地42となる。
<一階用外壁パネル20A−1の吊り下げ工程>
ここで、一階用外壁パネル20A−1の構成について説明する。一階用外壁パネル20A−1は、水平方向に並べられた複数のパネルユニット40を含み構成される。本実施形態では、一階用外壁パネル20A−1は、パネルユニット40を4枚水平に並べて構成したものである。
そして、パネルユニット40の下端部には、アンカー部材21が取り付けられている。このアンカー部材21は、一階用外壁パネル20A−1に対して複数設けられる。
ここで、アンカー部材21の構成について説明する。図13に示すように、アンカー部材21は、底壁部21A、立壁部21B及び左右の側壁部21Cを備える。
底壁部21Aは、水平の板状部を有し、中央に貫通孔21Aaが形成されている。この貫通孔21Aaには、基礎枠部2Aから上方に延出するアンカーボルト35が通される。
立壁部21Bは、底壁部21Aから鉛直方向に立ち上がる板状部であり、一階用外壁パネル20A−1に取り付けられる。
また、立壁部21Bには、一階用外壁パネル20A−1に対する取り付け位置を上下に調整可能な位置調整部22が設けられる。
具体的には、位置調整部22は、左右一対の長孔22A及び長孔22Aに通されるビス22Bを備える。そして、長孔22Aにおけるビス22Bの位置を変更することにより、アンカー部材21の一階用外壁パネル20A−1に対する上下方向の取り付け位置を調整可能となっている。
そして、側壁部21Cは、底壁部21A及び立壁部21Bに接続する略三角形状の板部である。このように、側壁部21Cが底壁部21A及び立壁部21Bを連結することにより、アンカー部材21の剛性を向上させている。
そして、図10及び図11に示されるように、一階用外壁パネル20A−1を一階部11−1に吊り下げる。具体的には、一階用外壁パネル20A−1の各パネルユニット40を、吊り下げ部材43により梁6Bに吊り下げることとする。
ここで、上記の吊り下げ部材43は、梁6Bのフランジと、パネルユニット40とのそれぞれに取り付けられ、梁6Bに対してパネルユニット40を吊り下げるための金具である。
<第1横架材31の取り付け工程>
次に、図10及び図11に示されるように、躯体6の一階部11−1の下部11−1aに対して第1横架材31を取り付ける。なお、一階部11−1の下部11−1aとは、一階部11−1において基礎枠部2Aのアンカーボルト35が届く範囲とする。
具体的には、第1横架材31の取り付けは、一階部11−1の両側の柱6Aに対して、第1横架材31を架設してボルト締結することにより行われる。また、第1横架材31の取り付けは、基礎枠部2Aから上方に立ち上がるアンカーボルト35に対して、第1横架材31を固定することにより行ってもよい。
ここで、図11乃至図13に示されるように、第1横架材31は、Y方向に延出し、断面がL字状の金属部材である。
具体的には、第1横架材31は、一階用外壁パネル20A−1が取り付けられる取付部31Aと、取付部31Aに直交し、室内側に延出するフランジ部31Bとを有する。
取付部31Aには、複数のボルト締結孔31Aaが形成されており、ボルト締結孔31Aaに一階用外壁パネル20A−1から室内側に延出するボルトが通されてナット61により締結される。これにより、一階用外壁パネル20A−1に第1横架材31が取り付けられる。このように、一階用外壁パネル20A−1に第1横架材31を取り付けることにより、一階用外壁パネル20A−1の位置、特にX方向における位置を拘束することが可能となる。
また、フランジ部31Bには、複数のボルト挿通孔31Baが形成されている。なお、フランジ部31Bの中央部に設けられるボルト挿通孔31Baには、出入り部2−1の基礎枠部2AのY方向中央から上方に延出する中央ボルト36が通される。これにより、第1横架材31のX方向及びY方向の位置決めが行われる。
そして、ボルト挿通孔31Baには、上方から連結部材33が通され、連結部材33の下端とアンカーボルト35の上端とが接続金物63により接続される。こうすることで、第1横架材31、アンカー部材21及びアンカーボルト35が互いに固定されることとなる。
<第2横架材32の取り付け工程>
次に、図10及び図11に示されるように、躯体6の一階部11−1の上部11−1bに対して第2横架材32を取り付ける。なお、一階部11−1の上部11−1bとは、下部11−1aよりも梁6Bに近い側である。
具体的には、第2横架材32の取り付けは、一階部11−1の両側の柱6Aに対して、第2横架材32を架設してボルト締結することにより行われる。これにより、一階用外壁パネル20A−1に第2横架材32が取り付けられる。
ここで、図11乃至図13に示されるように、第2横架材32は、Y方向に延出し、断面がL字状の金属部材である。
具体的には、第2横架材32は、一階用外壁パネル20A−1が取り付けられる取付部32Aと、取付部32Aに直交し、室内側に延出するフランジ部32Bとを有する。
取付部32Aには、複数のボルト締結孔32Aaが形成されており、ボルト締結孔32Aaに一階用外壁パネル20A−1から室内側に延出するボルトが通されてナットにより締結される。これにより、一階用外壁パネル20A−1と第2横架材32が固定される。
そして、取付部32Aに対するパネルユニット40の取り付け位置を調整することにより、パネルユニット40の縦目地41の幅を調整することができる。
<基礎2の立ち上がり部2C、第3土間3Cの形成工程>
次に、図13に示されるように、基礎枠部2Aの上に型枠部材60を配置して、立ち上がり部2Cを形成するためのコンクリートの型を形成する。そして、型にコンクリートを打設して立ち上がり部2Cを形成する。
図14に示されるように、立ち上がり部2Cは、アンカー部材21の底壁部21Aに達する高さまで形成する。
ここで、設置領域5に対しても配筋37を設置した後に、コンクリートを流し込んで、第3土間3Cを形成する。
このように、立ち上がり部2Cと第3土間3Cの形成とを同時に行うことで、コンクリート硬化までの待ち時間を短縮することができる。
<一階用外壁パネル20A−1のアンカー部材21と立ち上がり部2Cの固定工程>
次に、立ち上がり部2Cが硬化した後に、第1横架材31及び第2横架材32を取り外す。そして、図15に示されるように、一階用外壁パネル20A−1のアンカー部材21と、立ち上がり部2Cとの間にモルタル64を充填し硬化した後に、アンカーボルト35に対してナット62を締付けて固定する。これにより、図16に示されるように、一階用外壁パネル20A−1のアンカー部材21と立ち上がり部2Cとが固定される。
以上の建物1の施工方法によれば、建物1の基礎2を形成する基礎形成領域4の内部にクレーン50を搬入し、クレーン50を用いて躯体6や外壁パネル20の取り付け作業を行うことができる。そして、クレーン50の設置領域5及びクレーン50を搬出するための第1側面部11については、クレーン50を搬出後に第1外壁パネル20Aの取り付け作業を効率よく実施することができる。
こうすることで、クレーン50を前面道路Rに長期間設置することが困難な状況下においてもクレーン50を効率よく利用して施工の省力化を図ることができる。
また、第1側面部11の一階部11−1に一階用外壁パネル20A−1を取り付ける際に、第1横架材31及び第2横架材32を用いることで、一階用外壁パネル20A−1の位置を拘束することができる。これにより、一階用外壁パネル20A−1の位置を固定した状態で、基礎2の立ち上がり部2Cを形成できる。そのため、基礎2の立ち上がり部2Cと一階用外壁パネル20A−1とを固定するための施工の作業性を向上できる。
<まとめ>
以上説明した本実施形態に係る建物施工方法の主な特徴は以下の通りである。
[1]本実施形態に係る建物施工方法は、建物1の基礎2を形成する基礎形成領域4の内側に自走式のクレーン50(建設機械)を移動する工程と、クレーン50を用いて、基礎形成領域4に建物1の躯体6を組み上げる工程と、クレーン50を用いて、建物1の躯体6においてクレーン50の搬出側となる第1側面部11以外の第2側面部12について外壁パネル20を設置する第1設置工程と、第2側面部12に外壁パネル20を設置した後に、第1側面部11から基礎形成領域4の外にクレーン50を移動する工程と、第1側面部11に外壁パネル20を設置する第2設置工程と、を含む。第2設置工程は、第1側面部11に水平方向に延出する第1横架材31を取り付ける工程と、第1側面部11の一階部分に一階用外壁パネル20A−1を取り付ける工程と、一階用外壁パネル20A−1に第1横架材31を取り付ける工程と、第1側面部11の基礎2の立ち上がり部2Cを形成する形成工程と、第1側面部11の基礎2の立ち上がり部2Cと一階用外壁パネル20A−1を固定する固定工程と、を有する。
こうすることで、建物1の建設エリアAの外に長期的にクレーン50を設置することが困難な環境下においても、建設エリアAの中にクレーン50を入れて建物1の大部分の躯体6、外壁パネル20の設置が可能となる。そして、クレーン50を建物1の基礎形成領域4から外に出す第1側面部11については、効率的に外壁パネル20の設置が可能となる。
また、一階用外壁パネル20A−1に第1横架材31を取り付けることにより、一階用外壁パネル20A−1の位置を拘束することができるため、一階用外壁パネル20A−1と基礎2の立ち上がり部2Cとの固定を容易に行うことができる。
すなわち、上記の建物施工方法によれば、建物1の建設エリアAの外に長期的にクレーン50を設置することが困難な環境下においても、建物1の施工作業を効率化し、工期の短縮が可能となる。
[2]上記の建物施工方法において、一階用外壁パネル20A−1は、第1側面部11の一階部分に吊り下げた状態で取り付けられ、形成工程では、一階用外壁パネル20A−1を吊り下げたまま、第1側面部11の基礎2の立ち上がり部2Cを形成する。
こうすることで、一階用外壁パネル20A−1を躯体6に吊り下げたまま、基礎2の立ち上がり部2Cを形成することができる。そのため、一階用外壁パネル20A−1の位置と基礎2の立ち上がり部2Cの高さを容易に合わせることができる。
[3]上記の建物施工方法において、一階用外壁パネル20A−1は、下端部に設けられたアンカー部材21を有し、固定工程では、第1側面部11の基礎2の立ち上がり部2Cとアンカー部材21とを固定する。
こうすることで、第1横架材31により、一階用外壁パネル20A−1のアンカー部材21の位置決めを行うことができる。これにより、一階用外壁パネル20A−1の上下位置を適正に設定できる。
[4]上記の建物施工方法において、アンカー部材21は、一階用外壁パネル20A−1に対する取り付け位置を上下に調整するための位置調整部22を有する。
こうすることで、アンカー部材21を適正な位置に配されるよう容易に調整することができる。
[5]上記の建物施工方法において、アンカー部材21は、第1側面部11の基礎2から上方に延出するアンカーボルト35が挿通される貫通孔21Aaを有し、第2設置工程は、貫通孔21Aaに挿通されたアンカーボルト35と、第1横架材31とを連結部材33により連結する工程を有する。
こうすることで、基礎2に対して適正な位置に一階用外壁パネル20A−1を吊り下げることができる。
[6]上記の建物施工方法において、第2設置工程は、第1側面部11において第1横架材31よりも上部に、水平方向に延出する第2横架材32を取り付ける工程をさらに有し、一階用外壁パネル20A−1は、第2横架材32に対し、水平方向に並べて取り付けられる複数のパネルユニット40を有する。
こうすることで、第2横架材32により外壁パネル20の水平方向の目地幅を調整しやすくなる。
[7]上記の建物施工方法において、形成工程では、基礎形成領域4においてクレーン50が設置されていた設置領域5にコンクリートを打設して土間3をさらに形成する。
こうすることで、基礎2の立ち上がり部2Cと、土間3とを並行して形成できる。これにより、更に工期の短縮が可能となる。
<その他の実施形態>
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、一階用外壁パネル20A−1のパネルユニット40を一階部11−1に吊り下げた後に第1横架材31及び第2横架材32を取り付けてもよいし、第1横架材31及び第2横架材32を取り付けた後にパネルユニット40を吊り下げてもよい。
また、第1横架材31の取り付けと、第2横架材32の取り付けの間に一階部11−1にパネルユニット40を吊り下げるようにしてもよい。
建物1の建設に用いる建設装置は、クレーン50に限られるものではなく、3Dプリンタ等であってもよい。
また、図1乃至図16に示した工程の途中に他の工程が入っても構わない。
また、上記の実施形態においては、一階用外壁パネル20A−1を躯体6の一階部11−1に吊り下げた状態で基礎2の立ち上がり部2Cを形成することとしたが、これに限られない。例えば、基礎2の立ち上がり部2Cを形成した後に、一階用外壁パネル20A−1を躯体6の一階部11−1に吊り下げて、一階用外壁パネル20A−1を基礎2の立ち上がり部2Cに固定してもよい。この場合に、基礎2の立ち上がり部2Cの高さは予め設定しておいてもよい。また、躯体6の一階部11−1に一階用外壁パネル20A−1を一旦取り付けて基礎2の立ち上がり部2Cの高さを決定した後に、パネルユニット40を取り外して基礎2の立ち上がり部2Cを形成するようにしてもよい。
1 建物
2 基礎
2A 基礎枠部
2B 柱受け部
2C 立ち上がり部
2−1 出入り部
3 土間
3A 第1土間
3B 第2土間
3C 第3土間
4 基礎形成領域
5 設置領域
6 躯体
6A 柱
6B 梁
6B−1 梁
11 第1側面部
11−1 一階部
11−1a 下部
11−1b 上部
11−2 二階部
11−3 三階部
12 第2側面部
20 外壁パネル
20A 第1外壁パネル
20A−1 一階用外壁パネル
20A−2 二階用外壁パネル
20A−3 三階用外壁パネル
20B 第2外壁パネル
21 アンカー部材
21A 底壁部
21Aa 貫通孔
21B 立壁部
21C 側壁部
22 位置調整部
22A 長孔
22B ビス
23 ナット
31 第1横架材
31A 取付部
31Aa ボルト締結孔
31B フランジ部
31Ba ボルト挿通孔
32 第2横架材
32A 取付部
32Aa ボルト締結孔
32B フランジ部
33 連結部材
35 アンカーボルト
36 中央ボルト
37 配筋
40 パネルユニット
41 縦目地
42 横目地
43 吊り下げ部材
50 クレーン(建設機械)
51 ジブ
52 保護板
60 型枠部材
61 ナット
62 ナット
63 接続金物
64 モルタル
A 建設エリア
R 前面道路

Claims (7)

  1. 建物を施工する建物施工方法であって、
    前記建物の基礎を形成する基礎形成領域の内側に自走式の建設機械を移動する工程と、
    前記建設機械を用いて、前記基礎形成領域に前記建物の躯体を組み上げる工程と、
    前記建設機械を用いて、前記建物の前記躯体において前記建設機械の搬出側となる第1側面部以外の第2側面部について外壁パネルを設置する第1設置工程と、
    前記第2側面部に外壁パネルを設置した後に、前記第1側面部から前記基礎形成領域の外に前記建設機械を移動する工程と、
    前記第1側面部に外壁パネルを設置する第2設置工程と、を含み、
    前記第2設置工程は、
    前記第1側面部に水平方向に延出する第1横架材を取り付ける工程と、
    前記第1側面部の一階部分に一階用外壁パネルを取り付ける工程と、
    前記一階用外壁パネルに前記第1横架材を取り付ける工程と、
    前記第1側面部の基礎の立ち上がり部を形成する形成工程と、
    前記第1側面部の基礎の立ち上がり部と前記一階用外壁パネルを固定する固定工程と、を有することを特徴とする建物施工方法。
  2. 前記一階用外壁パネルは、前記第1側面部の一階部分に吊り下げた状態で取り付けられ、
    前記形成工程では、前記一階用外壁パネルを吊り下げたまま、前記第1側面部の基礎の立ち上がり部を形成することを特徴とする請求項1に記載の建物施工方法。
  3. 前記一階用外壁パネルは、下端部に設けられたアンカー部材を有し、
    前記固定工程では、前記第1側面部の基礎の立ち上がり部と前記アンカー部材とを固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の建物施工方法。
  4. 前記アンカー部材は、前記一階用外壁パネルに対する取り付け位置を上下に調整するための位置調整部を有することを特徴とする請求項3に記載の建物施工方法。
  5. 前記アンカー部材は、前記第1側面部の基礎から上方に延出するアンカーボルトが挿通される貫通孔を有し、
    前記第2設置工程は、前記貫通孔に挿通された前記アンカーボルトと、前記第1横架材とを連結部材により連結する工程を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の建物施工方法。
  6. 前記第2設置工程は、前記第1側面部において前記第1横架材よりも上部に、水平方向に延出する第2横架材を取り付ける工程をさらに有し、
    前記一階用外壁パネルは、前記第2横架材に対し、水平方向に並べて取り付けられる複数のパネルユニットを有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の建物施工方法。
  7. 前記形成工程では、前記基礎形成領域において前記建設機械が設置されていた設置領域にコンクリートを打設して土間をさらに形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の建物施工方法。
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