JP2019178359A - Cr−Fe−Ni系合金製造物およびその製造方法 - Google Patents

Cr−Fe−Ni系合金製造物およびその製造方法 Download PDF

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Tomonori Kimura
友則 木村
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純一 西田
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Toshihiro Uehara
利弘 上原
長谷川 満
Mitsuru Hasegawa
長谷川  満
雅史 能島
Masafumi Nojima
雅史 能島
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Yasuhisa Aono
泰久 青野
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Abstract

【課題】 高温においてマルテンサイトステンレス鋼とCo基合金と同等以上の耐摩耗性および高温強度を兼ね備え、かつCo基合金よりも低コスト化が可能な合金製造物、および該製造方法を提供する。【解決手段】 Cr−Fe−Ni系合金を用いた製造物であって、前記合金は、その化学組成が質量%で、57%以上65%以下のCrと、15%以上22%以下のNiと、0%超2%以下のMnと、0%超1.0%以下のCと、0.2%以上3.0%以下のO及び、残部はFeおよび不可避的不純物からなるCr−Fe−Ni系合金製造物。【選択図】 図1

Description

本発明は、高耐摩耗合金の技術に関し、特に、Cr−Fe−Ni系合金を用いた製造物およびその製造方法に関するものである。
内燃機関に使用される各種部材のうち、摺動する部材(例えば、軸受部材)は、高い耐摩耗性が要求される。そのような要求を満たす素材として、現在、耐摩耗性に優れるコバルト基合金やマルテンサイト系ステンレス鋼が広く用いられている。
例えば、特開2007−107034号公報(特許文献1)には、基地形成粉末と硬質相形成粉末を含む原料粉末を圧粉成形し、焼結する耐摩耗性焼結部材の製造方法において、前記基地形成粉末の90質量%以上が最大粒径46μmの微粉末であり、前記硬質相形成粉末の前記原料粉末に占める割合が40〜70質量%であって、前記硬質相形成粉末が、質量%で、Mo:20〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜12%、残部がCo及び不可避不純物からなる組成を有する耐摩耗性焼結部材の製造方法が開示されている。
また、特開平8−109450号公報(特許文献2)には、質量%でC:0.3〜1.5%、Cr:0.1〜1.5%、W:0.05〜6%、V:0.02〜1.8%、Cu:7〜30%、ならびに残部のFeおよび不可避不純物からなり、その合金の組織は、マルテンサイトが存在する鉄炭素合金基地中に、Cu粒子またはCu合金粒子が分散していると共に、前記鉄炭素合金基地より硬質で、組成が重量比でC:0.6〜1.7%、Cr:3〜5%、W:1〜20%、V:0.5〜6%を含有するFe基合金の粒子5〜30重量%が分散しており、かつ気孔率が8〜30%であることを特徴とする含油軸受用耐摩耗性焼結合金が開示されている。
特開2007−107034号公報 特開平8−109450号公報
特許文献1によると、密度の高い焼結体が得られるため、耐摩耗性と強度を向上できる、とされている。特許文献2によると、高面圧下において優れた耐摩耗性を有するマルテンサイト系ステンレス鋼を提供することができる、とされている。
近年、車両軽量化のためのエンジン小型化手法としてターボチャージャーの利用が注目されている。内燃機関におけるターボチャージャーの部材は、使用環境において高温の排気ガスに晒され、さらに摺動部では優れた耐摩耗性が要求される。また、使用される部材を製造する際の合金原料価格は、製造コストに直結する重要な因子である。
マルテンサイト系ステンレス鋼は、炭素量を増加させると機械的特性の向上に有効であるが、高温環境化において機械的特性が低下するという弱点がある。一方、優れた耐摩耗性と高温強度とを兼ね備える金属材料としてCo基合金が挙げられるが、Co基合金は材料コストが非常に高いという弱点がある。
金属部材の研究開発において、求められる諸特性を満たすことは必須条件であるが、そのような金属部材を低コストで製造できるようにすることは、商用化の観点から最重要課題のうちの一つである。
したがって、本発明の目的は、高温においてマルテンサイトステンレス鋼とCo基合金と同等以上の耐摩耗性および高温強度を兼ね備え、かつCo基合金よりも低コスト化が可能な合金製造物、および該製造方法を提供することにある。
本発明の一様態は、Cr−Fe−Ni系合金を用いた製造物であって、前記合金は、その化学組成が質量%で、57%以上65%以下のCrと、15%以上22%以下のNiと、0%超2%以下のMnと、0%超1.0%以下のCと、0.2%以上3.0%以下のO及び残部はFeおよび不可避的不純物からなるCr−Fe−Ni系合金製造物を提供するものである。
本発明は上記の本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(1)前記製造物は、平均直径が0.5μm以上4.0μm以下の炭化物と酸化物の1種または2種を有する。
(2)前記製造物は、数密度が1.0×10個/m以上1.0×1011個/m以下の炭化物と酸化物の1種または2種を有する。
(3)前記製造物は、ビッカース硬さが700HV以上である。
(4)前記製造物は、大越式摩擦摩耗試験において比摩耗量が1.0mm/kg未満である。
本発明の他の一様態は、上記のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解して溶湯を形成する溶解工程と、前記溶湯から合金粉末を形成するアトマイズ工程と、を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法を提供するものである。
本発明の他の一様態は、上記のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、前記Cr−Fe−Ni系合金の合金粉末を用いて粉末成形体を形成する粉末成型工程と、前記粉末成形体に対して1000℃以上で前記合金の固相線温度未満の焼結熱処理を施して粉末焼結体を形成する焼結工程と、を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法を提供するものである。

本発明の他の一様態は、上記のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、前記焼結熱処理は、1000℃以上で前記合金の固相線温度未満かつ500気圧以上3000気圧以下の熱間等方圧加圧処理を含むCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法を提供するものである。
本発明の他の一様態は、前記粉末焼結体に対して900℃以上1300℃以下の硬化熱処理を施す硬化工程を更に含むCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、高温においてマルテンサイトステンレス鋼とコバルト基合金と同等以上の耐摩耗性および高温強度を兼ね備えた金属部材であり、かつコバルト基合金部材よりも低コスト化が可能な部材として、Cr−Fe−Ni系合金を用いた製造物および該製造物の製造方法を得ることができる。
本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の一例であり、粉末焼結した後に硬化熱処理を施した成形体の表面研磨面の微細組織例を示す光学顕微鏡写真である。 本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法の一例であり、粉末冶金材の製造方法を示す工程図である。 (a)は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物およびそれを利用した工業製品の一例であり、排気ガス流量調整機器の平面模式図である。(b)は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物およびそれを利用した工業製品の他の一例であり、自動車エンジン用の燃料噴射装置の断面模式図である。(c)は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物およびそれを利用した工業製品の他の一例あり、ローラーチェーンの平面模式図である。
本発明者等は、Cr、FeおよびNiを主要成分とするCr−Fe−Ni系合金、特にCrを57質量%以上含むCr−Fe−Ni系合金を用いた製造物において、化学組成、金属組織形態、耐摩耗性および高温強度の関係について鋭意調査検討し、本発明を完成させた。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、同義の状態・工程については、同じ符号を付して重複する説明を省略する。また、本発明は、ここで取り挙げた実施形態に限定されるものではなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で公知技術と適宜組み合わせたり公知技術に基づいて改良したりすることが可能である。
[化学組成]
最初に、本発明のCr−Fe−Ni系合金の組成限定理由について説明する。なお、元素の含有量は質量%である。以下、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金の組成について説明する。
Cr:57%以上65%以下
Crは、本発明のCr−Fe−Ni系合金の主要成分の1つであり、Cr−Fe−Ni系合金の高温強度を向上させることができる。また、後述するOとともにCr酸化物を形成し、また、Cとともに炭化物を形成させることで摩耗面における凝着を抑制して耐摩耗性を付与する重要な元素である。前述したCrの効果を得るには57%以上65%以下とする必要がある。Crが57%未満になると、Cr−Fe−Ni系合金の機械的特性(例えば、硬さ、高温強度)が不十分になる。一方、Cr含有率が65%超になってもCr−Fe−Ni系合金の機械的特性が低下する。前述のCr添加による効果をより確実に得るための好ましい下限は58%であり、好ましい上限は63%である。なお、Cr−Fe−Ni系合金の機械的特性や材料コストとの観点から、主要3成分(Cr、Fe、Ni)のうちでCrが最大含有率であることが好ましい。言い換えると、本発明のCr−Fe−Ni系合金は、Coよりも安価なCrを最大成分とすることから、Coを最大成分とするCo基合金よりも材料コストを低減できる利点と共に、Co基合金と同等以上の耐摩耗性を確保できる利点がある。
Fe:18%以上29%以下
Feも、本発明のCr−Fe−Ni系合金の主要成分の1つであり、良好な機械的特性を確保するための基本成分である。また、FeはCrと共に硬質なフェライト相を形成し、高温強度および耐摩耗性を高める効果がある。前述したFeの効果を得るには18%以上29%以下とする必要がある。Feが18%未満になると、Cr−Fe−Ni系合金の機械的特性が不十分になる。一方、Fe含有率が29%超になると、800℃近傍の温度域で脆性の金属間化合物のシグマ相(以下、σ相と記す)が生成し易くなり、Cr−Fe−Ni系合金の延性・靱性が著しく低下する(いわゆるσ相脆化)。言い換えると、Feの含有率を18〜29%の範囲に制御することにより、Cr−Fe−Ni系合金のσ相脆化を抑制して良好な機械的特性を確保することができる。前述のFe添加による効果をより確実に得るための好ましい下限は19%であり、好ましい上限は21%である。
Ni:15%以上22%以下
Ni成分も、本発明のCr−Fe−Ni系合金の主要成分の1つであり、良好な加工性を有するオーステナイト相の形成に寄与すると共に、フェライト相においても延性・靱性の向上に寄与する成分である。前述したNiの効果を得るには15%以上22%以下とする必要がある。Cr−Fe−Ni系合金の硬さを重要視する場合、Niの含有率は、15%以上18%未満が更に好ましい。Ni含有率が15%未満になると、Cr−Fe−Ni系合金の加工性が低下する。一方、Ni含有率が22%超になると、Cr−Fe−Ni系合金の硬さが不十分になる。前述のNi添加による効果をより確実に得るための好ましい下限は18%であり、好ましい上限は21%である。
なお、前述のFeとNiとの総量の上限は43%以下が好ましい。該合計含有率が43%超になると、機械的特性(例えば、硬さおよび高温強度)が不十分になる場合がある。好ましい上限は40%であり、更に好ましい上限は38%である。一方、FeとNiとの総量が33%未満になると、Cr−Fe−Ni系合金の加工性が不十分になる。好ましいFeとNiの総量の下限は35%である。
Mn:0%超2%以下
Mnは、本発明のCr−Fe−Ni系合金の副成分の1つであり、脱硫の役割を担って機械的特性の向上に寄与する。そのため、Mnは0%を超えて必須添加する。しかし、Mnが2%超になると、硫化物(例えばMnS)の粗大粒子を形成して機械的特性の低下要因になることから、Mnは0%超2%以下とする。前述のMn添加による効果をより確実に得るための好ましい下限は0.2%であり、好ましい上限は0.8%である。
O:0.2%以上3.0%以下
Oは、前述したCrと化合して微細な酸化物粒子を形成して耐摩耗性を向上させる重要な元素である。前述したOによる効果を得るためには0.2%以上3.0%以下が必要である。Oが0.2%未満となると、耐摩耗性向上に寄与する酸化物が不足する。一方、Oが3.0%超になると酸化物が過剰となったり、酸化物が粗大化して機械的特性(特に、延性、靱性)の低下要因になる。好ましい酸化物の大きさ及び分布状況については後述する。
なお、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物において、耐摩耗性の向上をより確実にするには、Oの下限は0.5%以上が好ましく、更に好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.5%以上である。また、延性と耐摩耗性とを兼備させるにはOはやや低めの範囲が好ましく、0.2%以上0.5%以下の範囲であれば良い。0.2%以上0.3%以下が更に好ましい。
C:0%超1.0%以下
Cは、母相中に固溶したり炭化物として晶出または析出したりすることによって合金を硬化させ、耐摩耗性を向上させる重要な元素である。さらに粉末成型を行う場合においておいては、焼結性を向上する作用効果がある。前記のCによる効果を得るためには0超%以上1.0%以下が必要である。Cが1.0%超になると、炭化物が過剰になって機械的特性の低下要因になる。さらに粉末成型を行う場合においては、Oと反応してガスを発生しO含有率を低減させ、耐摩耗性が低下する。好ましい炭化物の大きさ及び分布状況については後述する。
なお、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物において、耐摩耗性の向上をより確実に得るための炭化物を得ようとするには、Cの下限は0.2%以上が好ましい。Cの好ましい上限は0.5%である。
以上、説明する元素以外は不可避的不純物である。本Cr−Fe−Ni系合金における代表的な不可避的不純物としては、N,PおよびSが挙げられる。これらの不純物が過度に含有すると耐摩耗性や延性等の機械的特性を劣化させることから、Nは0.1%以下、Pは0.06%以下、Sは0.01%以下に制限することが好ましい。
[金属組織]
本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の金属組織について説明する。
本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物中のフェライト相は、Cr含有率の高いフェライト相(以下、単純に「高Crフェライト相」や「フェライト相」と称する場合がある)であり、それ自身が高い機械的強度(例えば、硬さや高温強度)を有する。
本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物は、使用される部材に加工した後の使用時には、オーステナイト相および高Crフェライト相の二相が混在する二相組織、または高Crフェライト相の単相組織に酸化物および炭化物の少なくとも一方が分散した組織を有する。高Crフェライト相と酸化物および炭化物の少なくとも一方を有する組織の場合、上述した高Crフェライト相と酸化物、および炭化物の利点(高い機械的強度および高い耐摩耗性)を存分に享受できる。一方、二相と酸化物および炭化物の少なくとも一方を有する組織の場合、高Crフェライト相の利点とオーステナイト相の利点(優れた延性・靭性)とをバランスよく示し、さらに酸化物および炭化物の少なくとも一方により高い耐摩耗特性が得られる。
なお、フェライト相およびオーステナイト相以外の脆性の金属間化合物などの相(例えば、σ相などの異相)は、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物中に検出されないことが望ましいが、機械的特性や耐食性に著しい悪影響を及ぼさない範囲(例えば、異相の占有率は面積率で3%以下)ならば許容される。
また、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物は、製造方法に起因する金属組織(結晶粒の形状から判別される微細組織)において後述する酸化物および炭化物の数密度、平均直径を有する限り特別な限定は無く、鋳造組織、熱間加工組織、急冷凝固組織及び焼結組織であってもよい。また、所望の形状に成形した後に、溶体化熱処理および/または硬化熱処理を施した金属組織であってもよい。
なお、機械的特性の観点からは、高Crフェライト相およびオーステナイト相の結晶粒径が小さい金属組織(例えば、焼結組織)を有する方が有利である。具体的には、平均結晶粒径は40μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。
本発明における高Crフェライト相、およびオーステナイト相の平均結晶粒径は、微細組織観察像に対する従前の画像処理技術で解析・算出される平均結晶粒径を採用することができる。例えば、合金バルク試料の研磨面の光学顕微鏡観察像または電子顕微鏡観察像(視野面積100μm×100μm以上の観察像)を画像解析ソフト(例えば、ImageJ、パブリックドメインソフト)で読み込んで、当該視野内の結晶粒の平均面積を解析した後、該平均面積と等価面積の円の直径を平均結晶粒径として算出する。
図1は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の一例であり、鋳造および水アトマイズした後に粉末成型工程において作成した粉末冶金成形体に、焼結工程を行って粉末焼結体とし、更に硬化熱処理を施した成形体の表面研磨面の微細組織例を示す光学顕微鏡写真である。図1に示したように、明色のオーステナイト相P1、暗色のフェライト相P2、および黒色の酸化物相P3とが分散混合した組織を有していることが確認される。
上述したように、金属組織中の酸化物や炭化物は特に金属部材の摺動時において金属部材間の凝着を抑制して、耐摩耗性を向上する。前記の酸化物や炭化物による耐摩耗性向上の効果をより確実に得るには、前記の酸化物または炭化物の何れかまたは両方の合計で、その数密度は1.0×10個/m以上1.0×1011個/m以下が好ましい。なお、前記の密度の測定は合金バルク試料断面観察し、その断面の
の研磨面の光学顕微鏡観察像(視野面積100μm×100μm以上の観察像)を画像解析ソフトImageJで読み込んで、当該視野内の測定面積10000μm中における酸化物および炭化物の数量を測定した後、測定面積で除して算出する。
さらに、前記の酸化物や炭化物による耐摩耗性向上の効果をさらに確実に得るには、前記の酸化物や炭化物の平均直径は0.5μm以上4.0μm以下が好ましい。なお、前記の酸化物や炭化物の大きさの測定は合金バルク試料の断面観察し、その断面の研磨面の光学顕微鏡観察像(視野面積100μm×100μm以上の観察像)を画像解析ソフトImageJで読み込んで、当該視野内の測定面積10000μm中における酸化物および炭化物の面積を解析した後、円相当径を求め、平均値を算出する。
[製造方法]
次に、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法について説明する。本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物については、例えば急冷凝固法及び粉末冶金法を用いて製造することができる。製造方法について説明する。
図2は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法の一例であり、合金粉末の製造方法を示す工程図である。図2では、合金粉末の作製から硬化成形体までを作製する工程について示した。
まず、所望の組成となるようにCr−Fe−Ni系合金の原料を溶解して溶湯10を形成する原料混合溶解工程(ステップ1:S1)を行う。原料の混合方法や溶解方法に特段の限定はなく、高強度合金の製造における従前の方法を利用できる。次に、所定の鋳型を用いて溶湯10を鋳造してアトマイズの母材とする鋳造成形体20を形成する、鋳造工程(ステップ2:S2)を行ってもよい。
アトマイズ工程(ステップ3:S3)を行うことにより、溶湯10からCr−Fe−Ni系合金の急冷凝固組織を有する合金粉末30を得ることができる。アトマイズ工程S3では母材として鋳造成型体20を使用し、その鋳造成形体20を溶解してもよい。アトマイズ方法に特段の限定はなく、従前のアトマイズ方法を利用できる。例えば、粉末冶金用途では、不規則形状粉末が得られる水アトマイズ法を用いることができる。アトマイズ工程S3の後、合金粉末30に対して、所望の粒径に揃えるための分級工程S4を行ってもよい。
合金粉末30を用いて粉末成型工程(ステップ5:S5)を行うことにより、所望形状を有するCr−Fe−Ni系合金の粉末成形体40を得ることができる。粉末成型方法に特段の限定はなく、従前の金属粉末成型方法を利用できる。例えば、プレス成型や射出成型を好ましく用いることができる。
次に、粉末成形体40に対して、1000℃以上で合金の固相線温度未満の焼結熱処理を施して粉末焼結体50を形成する焼結工程(ステップ6:S6)を行って、焼結組織を有する粉末焼結体50を得ることができる。焼結熱処理方法に特段の限定はなく、従前の方法を利用できる。また、粉末焼結体50の緻密化の観点から、焼結熱処理は、1000℃以上で合金の固相線温度未満かつ500気圧以上3000気圧以下の熱間等方圧加圧(HIP)処理を含むことがより好ましい。
得られた粉末焼結体50に対して、所望の形状となるように機械加工を施そうとする場合(例えば、粉末焼結体50の形状が最終製品の形状と異なる場合)、機械加工を施す前に、粉末焼結体50に対して800℃以上950℃以下の焼鈍熱処理を施す焼鈍工程(ステップ7:S7)を行ってもよい。焼鈍工程S7は必須の工程ではないが、機械加工性向上の観点からは行うことが好ましい。焼鈍熱処理を施すことにより、合金中のオーステナイト相の占有率が増加して(フェライト率が減少して)延性・靱性の向上および硬さの低下が生じ(例えば、450〜550HV程度のビッカース硬さが得られ)、粉末焼結体50の機械加工性を向上させることができる。
次に、焼鈍した粉末焼結体50に対して所望の形状となるように機械加工を施して機械加工成形体60を形成する機械加工工程(ステップ8:S8)を行ってもよい。なお、本発明における機械加工とは、所望形状に成形するために工作機械を用いて行う加工(例えば、切削加工、研削加工、放電加工、レーザー加工、ウォータージェット加工)を意味するものとする。
次に、機械加工成形体60に対して900℃以上1300℃以下の硬化熱処理(いわゆる、焼入れ)を施す硬化工程(ステップ9:S9)を行うことで硬化成形体とすることができる。硬化熱処理の温度は、先の焼鈍熱処理の温度よりも100℃以上高いことが好ましい。熱処理時間としては、0.5〜6時間保持の範囲で適宜調整すればよい。硬化熱処理を施すことにより、合金中のフェライト率が増加して(オーステナイト相の占有率が減少して)硬化成形体とした機械加工成形体60の機械的強度を向上させることができる(例えば、室温において600HV以上(好ましくは700HV以上)のビッカース硬さが得られ、Co基合金と同等以上の高温強度が得られる)。なお、硬化工程S9の後に、仕上加工工程として機械加工(例えば、研磨)を行ってもよい。
[製造物]
上記のようにして製造したCr−Fe−Ni系合金製造物は、Co基合金と同等以上の耐摩耗性を有しながら、Coに比して安価なCrを最大成分とすることから、Co基合金製造物よりも低コスト化を図ることができる。
その結果、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物は、耐摩耗性と高い高温強度とが要求される種々の部材として好適に利用できる。当該適用部材としては、自動車用部材(例えば、燃料噴射装置部材、排気ガス流量調整機器、)や、鉄道部材(例えば、パンタグラフ部材)や、環境機器部材(例えば、ゴミ焼却炉部材)や、機械加工装置部材(例えば、金型、圧延ロール、切削工具部材)や、化学プラント機器部材(例えば、液化天然ガス気化装置部材)や、発電機器関連部材(例えば、石炭ガス化装置部材、耐熱配管部材、燃料電池用セパレータ部材、燃料改質機器部材)などが挙げられる。上記の中でも特に排気ガス流量調整機器の用途に本発明のCr−Fe−Ni系合金を適用することが好適である。
図3aは、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物およびそれを利用した工業製品の一例であり、排気ガス流量調整機器の模式図である。排気ガス流量調整機器においては、例えば、排気の流量および流速を調整するベーンを駆動するピンやアーム部材として好適に利用できる。該ピンおよびアーム部材は、粉末焼結体の形態で製造することができる。
図3bは、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物およびそれを利用した工業製品の他の一例であり、自動車エンジン用の燃料噴射装置の断面模式図である。燃料噴射装置においては、例えば、バルブおよび/またはバルブボディとして本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物を好適に利用できる。該バルブやバルブボディも、粉末焼結体の形態で製造することができる。
図3cは、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物およびそれを利用した工業製品の他の一例であり、ローラーチェーンの平面模式図である。ローラーチェーンにおいては、例えば、チェーンプレートおよび/またはチェーンローラとして本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物を好適に利用できる。該チェーンプレートやチェーンローラも、粉末焼結体の形態で製造することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実験1]
(発明合金粉末P1、P2および比較合金粉末CP1の用意)
原料を混合し高周波溶解法(溶解温度1500℃以上、減圧Ar雰囲気中)により溶解して溶湯を形成した後(溶解工程S1)、水アトマイズ法により急冷凝固組織を有する合金粉末を用意した(アトマイズ工程S3)。P1およびP2の主要成分であるCrは水によって容易に酸化され、粉末表面が酸化相に覆われる。表面が酸化した粉末を焼結することで均質で微細な酸化物が分散した焼結組織が得られる。
表1で示す元素以外の不純物含有量は0.05%以下である。なお、比較合金CP1はCo基合金(市販品)である。
[実験2]
(発明合金S1〜S3および比較合金CS1の用意)
実験1で用意したP1、P2およびCP1の合金粉末を用いて、金属粉末射出成形法により円柱状の粉末成形体(外径9mm、高さ90mm)を用意した(粉末成型工程S5)。S1およびS2には合金粉末P1を用い、S3にはP2を用いた。なおS2には100質量部の合金粉末P1に、0.6質量部のグラファイト粉末を混練した。グラファイト粉末は焼結性を高めると共に粉末表面で炭化物を形成することで、均質で微細な炭化物が分散した焼結組織が得られる。CS1には合金粉末CP1を用いた。
次に、粉末成形体に対して、焼結熱処理(1300℃以上で2時間保持した後、炉冷し、その後、1160℃かつ997気圧で1時間保持のHIP処理)を施して粉末焼結体を用意した(焼結工程S6)。S1〜S3およびCS1の化学組成を表2に示す。なお、表2で示す元素以外の不純物含有量は0.05%以下である。
[実験3]
(比較合金C1の用意)
実験1と同様にして、原料を混合し高周波溶解法(溶解温度1500℃以上、減圧Ar雰囲気中)により溶解して溶湯を形成した後(原料混合溶解工程S1)、溶湯を鋳造して鋳造成形体を用意した(鋳造工程S2)。なお、比較合金C1は本発明の組成規定を外れるCr−Fe−Ni系合金である。表2で示す元素以外の不純物含有量は0.05%以下である。
[実験4]
(比較合金C2の用意)
実験3と同様にして、原料を混合し高周波溶解法(溶解温度1500℃以上、減圧Ar雰囲気中)により溶解して溶湯を形成した後(原料混合溶解工程S1)、溶湯を鋳造して鋳造成形体(ここでは塑性加工用インゴット)を用意した(鋳造工程S2)。
塑性加工用インゴットに対して、所定の形状となるように熱間鍛造を行って塑性加工成形体を用意した。なお、比較合金C2はマルテンサイト系ステンレス鋼(市販品)である。表2で示す元素以外の不純物含有量は0.05%以下である。
[実験5]
(製造物SP1〜SP3、CP1、CP2およびCSP1の用意)
S1〜S3,C1に対して、硬化熱処理(1000〜1100℃で1時間保持した後、空冷)を施して(硬化工程S9)、試験・評価用の硬化成形体SP−1〜SP−3およびCP−1とした。またC2に対して、1050℃で1時間保持した後油冷し、−75℃で1時間のサブゼロ処理および220℃で1時間の焼戻熱処理を施してCP−2とした。CS1には熱処理は実施せず、CS1をCSP1とした。作製条件を表3に併記する。
[実験6]
次に、前記SP1〜SP3、CP1、CP2およびCSP1に対して、金属組織観察、硬度測定(常温及び高温)、耐摩耗性試験を行った。
(1)微細組織評価
各製造物から組織観察用の試験片を採取した後、該試験片の表面を鏡面研磨し、シュウ酸水溶液中で電界エッチングを行った。該研磨表面を光学顕微鏡で観察した。
(2)硬度評価
機械的特性評価として、ビッカース硬度計を用いてビッカース硬さ試験(荷重1kg、荷重付加時間10s)を行った。ビッカース硬さHVは5点測定の平均値として求めた。機械的特性評価用の試料は、硬化させた試料として先の組織観察用試験片を用いた。
ビッカース硬さ試験の結果、「HV<500」をDグレードと評価し、「500≦HV<600」をCグレードと評価し、「600≦HV<700」をBグレードと評価し、「700≦HV」をAグレードと評価した。Bグレード以上を合格と判定し、Cグレード以下を不合格と判定した。ビッカース硬さ試験の結果を表3に併記する。
(3)高温硬度評価
高温硬度評価として、ビッカース硬度計を用いて400℃および600℃におけるビッカース硬さ試験(荷重10kg、荷重付加時間30s)を行った。SP3、CP2およびCSP1について評価し、ビッカース硬さHV10は5点測定の平均値として求めた。
高温ビッカース硬さ試験の結果、「HV10<300」をDグレードと評価し、「300≦HV10<400」をCグレードと評価し、「400≦HV10<500」をBグレードと評価し、「500≦HV10」をAグレードと評価した。ビッカース硬さ試験の結果を表3に併記する。
(4)耐摩耗性評価
耐摩耗性評価として、大越式摩耗試験機を用いて耐摩耗性評価(相手材SCM415,荷重6.6kg,摩耗距離400m,周速2.03,2.96m/s)を行った。摩耗量は比摩耗量[mm/kg]に換算した。
耐摩耗性評価の結果、「a<0.5」をAグレードと評価し、「0.5≦a<1.0」をBグレードと評価し、「1.0≦a<3.0」をCグレードと評価し、「3.0≦a」をDグレードと評価した。Bグレード以上を合格と判定し、Cグレード以下を不合格と判定した。耐摩耗性評価の結果を表3に併記する。
(5)摩耗痕断面評価
耐摩耗性評価として、大越式摩耗試験後の摩耗断面評価を実施した。各摩耗試験片の摩耗痕断面から組織観察用の試験片を採取した後、該試験片の表面を鏡面研磨した。該研磨表面をSEMで観察した。
摩耗痕断面評価の結果、組織に「割れ無し」のものをAグレードと評価し、「割れ有り」のものをCグレードとした。Aグレードを合格と判定し、Cグレードを不合格と判定した。摩耗痕断面評価の結果を表3に併記する。
金属組織の光学顕微鏡観察に関しては、合金粉末を焼結して硬化熱処理を施した硬化成形体である製造物であることから、鋳造組織の結晶粒よりも平均結晶粒径が小さい等軸晶状の組織が確認された。先に示した図1と同様にフェライトおよびオーステナイトの二相組織と酸化物が観察された。さらにSP2では炭化物が観察された。なお、発明粉末冶金製造物SP1〜SP3において、フェライト相、オーステナイト相、酸化物および炭化物以外の金属間化合物相(例えば、σ相などの異相)は、観察・確認されなかった。本発明の組成規定を外れるCr−Fe−Ni合金であるCP1ではフェライト組織が観察されたものの、酸化物の平均直径、および数密度は小さかった。
なお、前記の密度の測定は合金バルク試料の研磨面の光学顕微鏡観察像(視野面積100μm×100μm以上の観察像)を画像解析ソフトImageJで読み込んで、当該視野内の測定面積10000μm中における酸化物および炭化物の数量を測定した後、測定面積で除して算出した。上記と同様に前記の酸化物や炭化物の大きさの測定は合金バルク試料の研磨面の光学顕微鏡観察像(視野面積100μm×100μm以上の観察像)を画像解析ソフトImageJで読み込んで、当該視野内の測定面積10000μm中における酸化物および炭化物の面積を解析した後、円相当径を求め、平均値を算出した。
本発明のSP1〜SP3は、硬化熱処理を施すと、ビッカース硬さが全てAグレード以上(700≦HV)となり、マルテンサイト系ステンレス鋼の製造物であるCP2やCo基合金の製造物であるCSP1と同等以上の高い硬度を有していることが確認される。また本発明の組成規定を外れるCr−Fe−Ni合金であるCP1についてもAグレードの高い硬度特性であった。
本発明のSP3は、高温硬度評価において400℃および600℃でAグレード(500≦HV10)の高い硬度を示した。またCo基合金の製造物であるCSP1も400℃でAグレード、600℃でBグレード(400≦HV10<500)の高い硬度特性であった。一方でマルテンサイト系ステンレス鋼の製造物であるCP2は400℃においてAグレードの高い硬度特性を示したが、600℃では硬度が低下し、Dグレード(HV10<300)であった。
耐摩耗評価に関しては、本発明のSP1〜SP3は、全てBグレード以上(a<1.0)の評価であり、高い耐摩耗性を有していることが確認される。また、比較製造物CSP1についてもBグレード(0.5≦a<1.0)と高い耐摩耗性を示した。これに対し、比較製造物CP1は、周速2.03m/sにおいてCグレード(1.0≦a<3.0)と耐摩耗性が不十分であった。さらに比較製造物CP2も、周速2.03m/sにおいてDグレード(3.0≦a)であり周速2.96m/sにおいてもCグレードと耐摩耗性が不十分であった。
摩耗断面評価では、本発明のSP1〜SP3は、全てAグレード(割れ無し)の評価であり、良好な結果であった。また、比較製造物CP1およびCP2についてもAグレードであった。これに対し、比較製造物CSP1は、Cグレード(割れ有り)であり、摺動部材へ適用した場合に金属片の剥落(スポーリング現象)が生じうることから不合格と判定した。
上述した実施形態や実施例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発
明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の
一部を当業者の技術常識の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に
当業者の技術常識の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実
施形態や実施例の構成の一部について、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、削除・他
の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
P1…オーステナイト相、P2…フェライト相、P3…酸化物相
10…溶湯、20…鋳造成形体、30…急冷凝固合金粉末、40…粉末成形体、50…粉末焼結体、60…機械加工成形体

Claims (9)

  1. Cr−Fe−Ni系合金を用いた製造物であって、
    前記合金は、その化学組成が質量%で、
    57%以上65%以下のCrと、
    15%以上22%以下のNiと、
    0%超2%以下のMnと、
    0%超1.0%以下のCと、
    0.2%以上3.0%以下のO及び、
    残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。
  2. 請求項1に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
    平均直径が0.5μm以上4.0μm以下の炭化物と酸化物の1種または2種を有するCr−Fe−Ni系合金製造物。
  3. 請求項1または2に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
    数密度が1.0×10個/m以上1.0×1011個/m以下の炭化物と酸化物の1種または2種を有するCr−Fe−Ni系合金製造物。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
    ビッカース硬さが700HV以上であるCr−Fe−Ni系合金製造物。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
    大越式摩擦摩耗試験において比摩耗量が1.0mm/kg未満であるCr−Fe−Ni系合金製造物。
  6. 請求項1または2に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、
    前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
    前記溶湯から合金粉末を形成するアトマイズ工程と、
    を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、
    前記Cr−Fe−Ni系合金の合金粉末を用いて粉末成形体を形成する粉末成型工程と、
    前記粉末成形体に対して1000℃以上で前記合金の固相線温度未満の焼結熱処理を施して粉末焼結体を形成する焼結工程と、
    を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。
  8. 請求項7に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、
    前記焼結熱処理は、1000℃以上で前記合金の固相線温度未満、かつ500気圧以上3000気圧以下の熱間等方圧加圧処理を含むCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。
  9. 請求項8に記載の前記粉末焼結体に対して900℃以上1300℃以下の硬化熱処理を施す硬化工程と、
    を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。

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