JP2019178286A - 2液型の表面処理液、表面処理方法、及び液状組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
第一級アミノ基、第二級アミノ基、カルボキシ基、及びフェノール性水酸基から選択される1種以上の基を有する構成単位(b1)を含む樹脂(B)を含有する第2液とからなる、2液型の表面処理液である。
被処理体の表面に、第1液を塗布して第1層を形成することと、
第1層上に、第2液を塗布して第2層を形成することと、を含み、
第2液が酸発生剤を含む場合、第2液の塗布後に、酸発生剤から強酸を発生させることを、さらに含む、表面処理方法である。
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a1)と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成させる基を含むシリル基を有する構成単位(a2)と、酸分解性基を有する構成単位(a3)とを含む樹脂(A)を含有する液状組成物である。
2液型の表面処理液は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a1)と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成させる基を含むシリル基を有する構成単位(a2)と、酸分解性基を有する構成単位(a3)とを含む樹脂(A)を含有する第1液と、
第一級アミノ基、第二級アミノ基、カルボキシ基、及びフェノール性水酸基から選択される1種以上の基を有する構成単位(b1)を含む樹脂(B)を含有する第2液とからなる。
以下、第1液、及び第2液について説明する。
前述の通り、第1液は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a1)と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成させる基を含むシリル基を有する構成単位(a2)と、酸分解性基を有する構成単位(a3)とを含む樹脂(A)を含有する。
以下、第1液に含まれ得る成分について、樹脂(A)と、その他の成分とについて説明する。
樹脂(A)の種類は、前述の所定の要件を満たす構成単位を含む限り特定に限定されない。樹脂(A)は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の縮合型の樹脂であってもよく、(メタ)アクリル系樹脂や、スチレン系樹脂のような付加重合型の樹脂であってもよい。
樹脂(A)は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。樹脂(A)において、エポキシ基及び/又はオキセタニル基同士の分子内反応が生じにくいことから、樹脂(A)はランダム共重合体であるのが好ましい。
所定の構成単位を含む樹脂の合成又は入手が容易であることや、構成単位の種類及び比率の調整が容易であることから、樹脂(A)は、付加重合型の樹脂であるのが好ましく、(メタ)アクリル酸誘導体を含む不飽和二重結合を有する単量体を共重合させた(メタ)アクリル系樹脂であるのがより好ましい。
以下、樹脂(A)が(メタ)アクリル系樹脂である場合について、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、及びその他の構成単位について説明する。
樹脂(A)は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a1)を含む。このため、樹脂(A)を含む第1液を用いて形成される第1層上に、後述する樹脂(B)を含む第2液を用いて第2層を形成することにより、第1層が有するエポキシ基及び/又はオキセタニル基と、第2層が有する官能基とが反応することで、第1層と第2層とが化学的に結合する。その結果、被処理体の表面に堅牢な被膜が形成される。
また、構成単位(a1)は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体に由来する構成単位には限定されない。
樹脂(A)が、構成単位(a1)以外の構成単位として、(メタ)アクリル酸誘導体に由来する構成単位を含む場合、構成単位(a1)は、例えば、アリルグリシジルエーテルのような不飽和二重結合と、エポキシ基及び/又はオキセタニル基とを有する単量体に由来する構成単位であってもよい。
なお、上記の構成単位(a1)の好ましい比率は、樹脂(A)が、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂である場合についても同様である。
構成単位(a2)は、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成させる基を含むシリル基を有する構成単位(a2)を有する。樹脂(A)は、かかる構成単位(a2)を有することによって、被処理体の表面に水酸基やアミノ基等の活性水素基を有する官応基と結合し得る。
このため、第1液を被処理他の表面に塗布することにより、被処理体の表面に強固に結合した第1層を形成できる。
なお、被処理体の材質によって、上記のシリル基との反応を生じさせ得る官能基量が少ない場合がある。この場合、酸素プラズマや水蒸気プラズマ等によるプラズマ処理により、被処理体の表面に水酸基を導入し得る。
また、構成単位(a2)は、上記のシリル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体に由来する構成単位には限定されない。
樹脂(A)が、構成単位(a2)以外の構成単位として、(メタ)アクリル酸誘導体に由来する構成単位を含む場合、構成単位(a2)は、例えば、アリルトリメトキシシランのような不飽和二重結合と、上記のシリル基とを有する単量体に由来する構成単位であってもよい。
−SiR01 xR02 (3−x)・・・(a2−1)
(式(a2−1)中、R01は有機基であり、R02は、水酸基、又は加水分解によりシラノール基を生成させる基であり、xは0、1、又は2である。)
で表される基であるのが好ましい。
構成単位(a2)を与える単量体の入手や調製が容易であることから、R01としての有機基は炭化水素基であるのが好ましい。
R01がアルキル基である場合の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基が挙げられ、メチル基、及びエチル基がより好ましい。
アラルキル基としては、ベンジル基、及びフェネチル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ナフタレン−1−イル基、及びナフタレン−2−イル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
これらの基の中では、構成単位(a2)を与える単量体の入手が容易であることや、第1液の保存安定性を過度に損なうことなく、且つ、被処理体の表面との反応性が良好である第1液を得やすいことから、アルコキシ基が好ましい。
アルコキシ基の炭素原子数は特に限定されない。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上6以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
アルコキシ基の好適な例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、及びn−ブチルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、及びエトキシ基がより好ましい。
なお、上記の構成単位(a1)の好ましい比率は、樹脂(A)が、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂である場合についても同様である。
樹脂(A)は、酸分解性基を有する構成単位(a3)を含む。酸分解性基とは、水酸基、カルボキシ基等の官能基が、酸解離性の保護基により保護された基である。
第2液について、樹脂(B)がスルホン酸基等の強酸性を示す基を有する場合や、第2液が、強酸、又は強酸を発生し得る酸発生剤を含む場合、第1液を用いて形成される第1層上に、第2液が塗布された場合に、第1層中の酸分解性基が分解される。
第1層において、樹脂(A)中の酸分解性基が分解されると、樹脂(A)が有するエポキシ基及び/又はオキセタニル基の周囲における立体障害が緩和される。その結果、第1層におけるエポキシ基及び/又はオキセタニル基と、第2層における構成単位(b1)が有するアミノ基やフェノール性水酸基等の官能基との反応が生じやすい。
また、第1層において、樹脂(A)中の酸分解性基が分解されると、立体障害の緩和による第1層の緊密化に加え、第1層と第2層との間に水素結合が形成されやすいことにより、第1層と第2層とからなる堅牢な被膜が形成される。
第2液に含まれる樹脂(B)が均一に結合しやすい。
このような理由から、所定の組成の第1液と、後述の第2液とを用いて表面処理を行う場合、被処理体の表面を均一に処理しやすい。
酸分解性基としては、例えば、下記式(a−I)、又は下記式(a−II)で表される基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、ビニルオキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、又はトリアルキルシリル基が挙げられる。
また、上記式(a−II)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
また、上記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリ−tert−ブチルジメチルシリル基等の各アルキル基の炭素原子数が1以上6以下の基が挙げられる。
脂肪族環式基の具体例としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。特に、シクロヘキサン、アダマンタンから1個の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
なお、上記の構成単位(a3)の好ましい比率は、樹脂(A)が、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂である場合についても同様である。
重合体(A)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a3)以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。
第1液は、樹脂(A)以外に、通常溶媒を含む。第1液に含まれる溶媒は、樹脂(A)との反応性を持たず、樹脂(A)を良好に溶解させる溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、通常有機溶剤を含有する溶媒が用いられる。溶媒は、有機溶剤であっても、有機溶剤の水溶液であってもよい。
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;
ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;
ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、ぎ酸−n−ペンチル、酢酸−i−ペンチル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸−i−プロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸−n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
β−プロピロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ペンチロラクトン等のラクトン類;
n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、メチルオクタン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類;
p−メンタン、ジフェニルメンタン、リモネン、テルピネン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン等のテルペン類;等が挙げられる。
前述の通り、第2液は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、カルボキシ基、及びフェノール性水酸基から選択される1種以上の基を有する構成単位(b1)を含む樹脂(B)を含有する。樹脂(B)が有する上記の官能基は、前述の第1液を用いて形成される樹脂(A)を含む第1層が有するエポキシ基及び/又はオキセタニル基と反応する。かかる反応により、第1液を用いて形成される第1層と、第2液を用いて形成される第2層とが、両者の界面に置いて化学的に結合する。
以下、第2液に含まれ得る成分について、樹脂(B)と、その他の成分とについて説明する。
樹脂(B)の種類は、樹脂(A)と同様に、前述の所定の要件を満たす構成単位を含む限り特定に限定されない。樹脂(B)は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の縮合型の樹脂であってもよく、(メタ)アクリル系樹脂や、スチレン系樹脂のような付加重合型の樹脂であってもよい。
樹脂(B)は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。樹脂(B)が有する上記の所定の官能基と、樹脂(A)が有するエポキシ基及び/又はオキセタニル基とが反応する確率を高めやすいことから、樹脂(B)はランダム共重合体であるのが好ましい。
所定の構成単位を含む樹脂の合成又は入手が容易であることや、構成単位の種類及び比率の調整が容易であることから、樹脂(B)は、付加重合型の樹脂であるのが好ましく、(メタ)アクリル酸誘導体を含む単量体を共重合させた(メタ)アクリル系樹脂であるのがより好ましい。
以下、樹脂(B)が(メタ)アクリル系樹脂である場合について、構成単位(b1)、及びその他の構成単位について説明する。
構成単位(b1)は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、カルボキシ基、及びフェノール性水酸基から選択される1種以上の基を有する構成単位である。
構成単位(b1)を与える単量体としては、不飽和二重結合と上記の所定の官能基とを有する単量体であれば特に限定されない。
樹脂(B1)は、1種類の構成単位(b1)のみからなるホモポリマーであってもよく、2種以上の構成単位(b1)からなるコポリマーであってもよく、1種以上の構成単位(b1)と、構成単位(b1)以外のその他の構成単位とからなるコポリマーであってもよい。
CH2=CRb02−CO−Xb−Rb01・・・(B−I)
(式(B−I)中、Rb01は、第一級アミノ基で置換された炭素原子数1以上4以下のアルキル基であり、Rb02は水素原子又はメチル基であり、Xbは、−O−又は−NH−である。)
で表される化合物と、が挙げられる。
構成単位(b1)が第二級アミノ基を有する場合、構成単位(b1)を与える単量体の好ましい例としては、前述した、第一級アミノ基を有する構成単位(b1)を与える好適な化合物の、N−モノアルキル置換体、N−モノアリール置換体、及びN−モノアラルキル置換体が挙げられる。
N−モノアルキル置換体について、第二級アミノ基を構成するアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましい。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基,n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。
N−モノアリール置換体について、第二級アミノ基を構成するアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましい。炭素原子数6以上10以下のアリール基の具体例としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフタレン−1−イル基、及びナフタレン2−イル基が挙げられる。
N−モノアラルキル置換体について、第二級アミノ基を構成するアラルキル基としては、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基が好ましい。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、及びフェネチル基が挙げられる。
樹脂(B)が、かかる範囲内の比率で構成単位(b1)を含むことにより、第2液を用いて形成される第2層を、第1層に良好に結合させることができ、且つ、被処理体の表面を良好に親水化することができる。
なお、上記の構成単位(b1)の好ましい比率は、樹脂(B)が、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂である場合についても同様である。
第2液は、下記(i)及び(ii):
(i)樹脂(B)が、スルホン酸基を有する構成単位(b2)を含む。
(ii)pKaが2以下の強酸、及び/又はpKaが2以下の強酸を発生させ得る酸発生剤を含む。
の条件の少なくとも1つを満たすのが好ましい。
以下、樹脂(B)が含み得る好ましい構成単位である、構成単位(b2)について説明する。強酸、及び酸発生剤については後述する。
また、構成単位(b2)に含まれるスルホン酸基は、樹脂(A)中の構成単位(a3)が備える酸分解性基を分解させる。
第1層において、樹脂(A)中の酸分解性基が分解されると、樹脂(A)が有するエポキシ基及び/又はオキセタニル基の周囲における立体障害が緩和される。その結果、第1層におけるエポキシ基及び/又はオキセタニル基と、第2層における構成単位(b1)が有する官能基との反応が生じやすい。
また、第1層において、樹脂(A)中の酸分解性基が分解されると、立体障害の緩和による第1層の緊密化に加え、第1層と第2層との間に水素結合が形成されやすく、第1層と第2層とからなる堅牢な被膜が形成される。
スルホン酸基を有する構成単位(b2)を与える単量体としては、2−ビニルベンゼンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、及び3−ビニルベンゼンスルホン酸等のビニルベンゼンスルホン酸類と、下記式(B−II):
CH2=CRb02−CO−Xb−Rb03・・・(B−II)
(式(B−II)中、Rb02と、Xbとは、式(B−I)と同様である。Rb03は、スルホン酸基で置換された炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。)
で表される化合物と、が挙げられる。
樹脂(B)が、かかる範囲内の比率で構成単位(b2)を含むことにより、第2液を用いて形成される第2層を、第1層に良好に結合させることができ、且つ、被処理体の表面を良好に親水化することができる。
なお、上記の構成単位(b2)の好ましい比率は、樹脂(B)が、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂である場合についても同様である。
樹脂(B)は、表面処理による親水化効果をさらに高める目的で、第一級アミノ基、第二級アミノ基、カルボキシ基、フェノール性水酸基、及びスルホン酸基以外の親水性基を有する構成単位(b3)を含んでいてもよい。
かかる親水性基としては、一般的に親水性基であると当業者に認識される基であって、第一級アミノ基、第二級アミノ基、カルボキシ基、フェノール性水酸基、及びスルホン酸基以外であれば特に限定されない。
アニオン部としての1価アニオンの好適な例としては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、種々の有機カルボン酸又は有機スルホン酸に由来する有機酸イオン等が挙げられる。これらの中では、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオンがより好ましく、塩化物イオン、及び臭化物イオンがさらにより好ましく、塩化物イオンが特に好ましい。
これらのカチオン性基の中では、樹脂(B)への導入が容易であることや、親水化の効果が高いこと等から、4級アンモニウム塩基を含む基が好ましい。
−Rb08−N+Rb05Rb06Rb07・X−・・・(B−IV)
(式(B−IV)中、Rb05、Rb06、及びRb07は、それぞれ独立にN+に結合する炭素原子数1以上4以下のアルキル基であり、Rb05、Rb06、及びRb07のうちの2つは互いに結合して環を形成してもよく、Rb08は炭素原子数1以上4以下のアルキレン基であり、X−は1価のアニオンである。)
で表される基が好ましい。
構成単位(b3)を与える単量体としては、下記式(B−III):
CH2=CRb02−CO−Xb−Rb04・・・(B−III)
(式(B−III)中、Rb02と、Xbとは、式(B−I)と同様である。Rb04は、水酸基、又は前述の式(B−IV)で表される基である。)
で表される化合物と、が挙げられる。
樹脂(B)が、かかる範囲内の比率で構成単位(b3)を含むことにより、被処理体の表面を良好に親水化することができる。
なお、上記の構成単位(b3)の好ましい比率は、樹脂(B)が、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂である場合についても同様である。
重合体(B)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、構成単位(b1)、構成単位(b2)、及び構成単位(b3)以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。
前述の通り、第2液は、pKaが2以下の強酸、及び/又はpKaが2以下の強酸を発生させ得る酸発生剤を含む。なお、pKaは水中での値である。
強酸、又は酸発生剤が発生させる強酸は、構成単位(b2)中のスルホン酸基と同様の効果をもたらす。
強酸としては、上記のpKaを示す酸であれば特に限定されない。強酸は、有機酸であっても、無機酸であってもよい。
強酸の好適な例としては、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フッ素化脂肪族カルボン酸(例えばトリフルオロ酢酸等)、フルオロスルホン酸、炭素原子数1以上30以下のアルカンスルホン酸(例えばメタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、アリールスルホン酸(例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、炭素原子数1以上30以下のフルオロアルカンスルホン酸(例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸及びトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ビススルホニルイミド化合物、2つのスルホニル基がフルオロアルキレン基で連結された環状スルホニルイミド化合物、及びN−アシルフルオロアルカンスルホン酸アミド等が挙げられる。
電子吸引性基で置換された炭化水素基としては、フッ素化アルキル基、ニトロ基を有するアリール基が好ましい。フッ素化アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でもよい。フッ素化アルキル基は、完全にフッ素化されたパーフルオロアルキル基であるのが好ましい。ニトロ基を有するアリール基としては、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、及びp−ニトロフェニル基が好ましく、p−ニトロフェニル基がより好ましい。
X5は、炭化水素基である。炭化水素基について、前述のR5の基の主骨格を構成する炭化水素基と同様である。
酸発生剤としては、熱や光等のエネルギーによって酸を発生させる酸発生剤であれば特に限定されない。第2液中での安定性等から、酸発生剤としては光酸発生剤が好ましい。
光酸発生剤としては、以上説明した好ましい強酸を発生させることができる化合物が好ましい。
かかる化合物としては、上記の強酸に由来するアニオンと、オニウムイオンとからなるオニウム塩化合物が好ましい。オニウムイオンとしては、ヨードニウムイオン及びスルホニウムイオンが好ましく、スルホニウムイオンがより好ましい。
第2液は、樹脂(B)以外に、通常溶媒を含む。第2液に含まれる溶媒は、樹脂(B)との反応性を持たず、樹脂(B)を良好に溶解させる溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、通常有機溶剤を含有する溶媒が用いられる。溶媒は、有機溶剤であっても、有機溶剤の水溶液であってもよく、有機溶剤の水溶液が好ましい。
有機溶剤の水溶液が使用される場合、有機溶剤の水溶液における水の含有量は、有機溶剤の水溶液の質量に対して、1質量%以上90質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下が好ましい。
上記の他の好ましい有機溶剤の例は、第1液に含まれ得る有機溶剤の好適な例と同様である。
表面処理方法は、前述の2液型の表面処理液を用いて行われる。
表面処理方法は、
被処理体の表面に、前述の第1液を塗布して第1層を形成することと、
第1層上に、前述の第2液を塗布して第2層を形成することと、
を含む。
表面処理方法は、第2液が酸発生剤を含む場合、第2液の塗布後に、酸発生剤から強酸を発生させることを、さらに含む。
第1液の塗布方法は特に限定されない。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法等が挙げられる。被処理体が基板である場合、基板の表面に、均一な膜厚の第1層をむらなく形成しやすいことから、塗布方法としてスピンコート法が好ましい。
有機材料としては、PET樹脂やPBT樹脂等のポリエステル樹脂、各種ナイロン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂等、種々の樹脂材料が挙げられる。
また、種々のレジスト材料に含まれる感光性の樹脂成分や、アルカリ可溶性の樹脂成分も有機材料として好ましい。
無機材料としては、ガラス、シリコンや、銅、アルミニウム、鉄、タングステン等の種々の金属が挙げられる。金属は、合金であってもよい。
このため、第1層を形成させる前には、第1層の形成を良好に進行させる目的で、被処理体の表面に水酸基を導入する処理を行ってもよい。かかる処理の好適な例としては、酸素プラズマや水蒸気プラズマ等によるプラズマ処理が挙げられる。
第1層の膜厚が上記の範囲内であると、被処理体の表面を第1層によりむらなく被覆しやすく、また、被処理体の表面に第1層を介して第2層を強固に保持しやすい。
第2層の形成は、前述の第2液を用いることの他は第1層の形成と同様に行われる。また、第2層の膜厚は、第1層と同様の膜厚であるのが好ましい。
従って、第1層と、第2層とを形成した後に、第1層及び第2層とを加熱することにより、第2層の摩擦による第1層からの剥離を抑制できる。結果として、摩擦により表面処理効果が低下しにくい、堅牢な被膜が被処理体の表面に形成される。
表面処理された被処理体の表面の水の接触角の、3点以上の測定結果から求められる標準偏差は1以下であるのが好ましい。
また、前述の2液型の表面処理液を用いて形成される被膜は堅牢であるため、表面処理された被処理体の表面をスポンジやスチールウール等で摩擦しても、表面処理効果が損なわれにくい。
液状組成物は、被処理体の表面に下層膜を形成する表面処理を行うために用いられる液状組成物である。かかる液状組成物の組成は、前述の第1液と同様である。
つまり、液状組成物は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a1)と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成させる基を含むシリル基を有する構成単位(a2)と、酸分解性基を有する構成単位(a3)とを含む樹脂(A)を含有する。
液状組成物に含まれる得る樹脂(A)以外の成分は、第1液と同様である。また、液状組成物に含まれる各成分の好ましい比率も、第1液と同様である。
また、液状組成物は、樹脂(A)を含むため、液状組成物の保存安定性が良好である。
表面処理剤の種類は特に限定されないが、典型的には、エポキシ基及び/又はオキセタニル基との反応性を有する物質を含む表面処理剤が好ましい。
被処理体として、シリコンウエハーを用いた。シリコンウエハーに、PGMEA/IPA(1/1:質量比)からなる混合溶媒中に、樹脂(A)を濃度1質量%で含む第1液をスピンコート法により塗布した後、アセトンによるリンスを行い、膜厚1nmのプライマー層を形成した。
樹脂(A)としては、表1及び表2に記載の種類の構成単位を、表1及び表2に記載の比率で含む(メタ)アクリル系樹脂を用いた。
なお、比較例1については、樹脂(A)ではなく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを単量体の形態で用いた。表2中、比較例1について、便宜的に樹脂(A)の組成欄に、下記構成単位A1−1の比率が100モル%である旨記載する。
表1及び表2に記載の構成単位は、以下の通りである。
樹脂(B)としては、以下の構成単位からなる(メタ)アクリル系樹脂を用いた。なお、下記式において、括弧の右下の数字は、樹脂中の全構成単位に対する各構成単位の比率(モル%)を表す。
Dropmaster700(協和界面科学株式会社製)を用いシリコンウエハーの表面処理された表面に純水液滴(2.0μL)を滴下して、滴下10秒後における接触角として、水の接触角を測定した。シリコンウエハー上の3点の水の接触角の平均値を、表1及び表2に記す。
また、表面処理された直後のシリコンウエハー上の3点の水の接触角の測定値から、標準偏差を求めた。標準偏差の値を表1及び表2に記す。
Claims (12)
- エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a1)と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成させる基を含むシリル基を有する構成単位(a2)と、酸分解性基を有する構成単位(a3)とを含む樹脂(A)を含有する第1液と、
第一級アミノ基、第二級アミノ基、カルボキシ基、及びフェノール性水酸基から選択される1種以上の基を有する構成単位(b1)を含む樹脂(B)を含有する第2液とからなる、2液型の表面処理液。 - 前記シリル基が、下記式(a2−1):
−SiR01 xR02 (3−x)・・・(a2−1)
(式(a2−1)中、R01は有機基であり、R02は、水酸基、又は加水分解によりシラノール基を生成させる基であり、xは0、1、又は2である。)
で表される基である、請求項1に記載の2液型の表面処理液。 - 前記酸分解性基が、酸解離性の保護基により保護されたカルボキシ基、又は酸解離性の保護基により保護されたフェノール性水酸基である、請求項1又は2に記載の2液型の表面処理液。
- 前記第2液が、下記(i)及び(ii):
(i)前記樹脂(B)が、スルホン酸基を有する構成単位(b2)を含む。
(ii)pKaが2以下の強酸、及び/又はpKaが2以下の強酸を発生させ得る酸発生剤を含む。
の条件の少なくとも1つを満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型の表面処理液。 - 前記樹脂(A)を構成する全構成単位対する前記構成単位(a1)の比率が、20モル%以上80モル%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2液型の表面処理液。
- 前記樹脂(A)を構成する全構成単位対する前記構成単位(a2)の比率が、0.5モル%以上20モル%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2液型の表面処理液。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の2液型の表面処理液を用いる表面処理方法であって、
被処理体の表面に、前記第1液を塗布して第1層を形成することと、
前記第1層上に、前記第2液を塗布して第2層を形成することと、を含み、
前記第2液が前記酸発生剤を含む場合、前記第2液の塗布後に、前記酸発生剤から前記強酸を発生させることを、さらに含む、表面処理方法。 - 前記第1層の厚さと、前記第2層の厚さとの合計が10nm以下である、請求項7に記載の表面処理方法。
- 前記第1層と、前記第2層とを形成した後に、前記第1層及び前記第2層とを加熱することを含む、請求項7又は8に記載の表面処理方法。
- 被処理体の表面に下層膜を形成するために用いられる液状組成物であって、
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a1)と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成させる基を含むシリル基を有する構成単位(a2)と、酸分解性基を有する構成単位(a3)とを含む樹脂(A)を含有する液状組成物。 - 前記シリル基が、下記式(a2−1):
−SiR01 xR02 (3−x)・・・(a2−1)
(式(a2−1)中、R01は有機基であり、R02は、水酸基、又は加水分解によりシラノール基を生成させる基であり、xは0、1、又は2である。)
で表される基である、請求項10に記載の液状組成物。 - 前記酸分解性基が、酸解離性の保護基により保護されたカルボキシ基、又は酸解離性の保護基により保護されたフェノール性水酸基である、請求項10又は11に記載の液状組成物。
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Citations (2)
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---|---|---|---|---|
JPH0841355A (ja) * | 1994-08-02 | 1996-02-13 | Mazda Motor Corp | 低溶剤型樹脂組成物、それを用いた塗料組成物、並びにその塗装方法 |
JPH09263731A (ja) * | 1996-03-29 | 1997-10-07 | Mazda Motor Corp | 低溶剤型樹脂組成物、それを使用する低溶剤型塗料組成物、並びにその塗装方法 |
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